数年前の冬の夜のこと。
寒くなると手荒れが酷くなるので夜になるとハンドクリームをたっぷりつけて時間をかけてマッサージする習慣なんだけど、
その夜も家族が寝静まった後一人で居間でテレビを見ながらクリームを付けてマッサージしていたら、
どこからか大きな銀蠅が入ってきてブンブン飛び回り始めたので「もう冬なのにどこから来たんだろう?」と不審に思った。
やがて銀蠅にちゃぶ台の上に止まって、私の目の前で手をすりすりし始めて、
それがなんだか私が手をマッサージしているのを真似しているように見えて蠅にバカにされたように思えてムッとしたので
軽く手で払おうとしたら、手に付いたクリームにくっついてしまった。
あわててそばにあった新聞紙で蠅ごとクリームをこそぎ落として洗面所に飛んで行って30分ぐらいかけて必死で手を洗った。
おかげでますます手荒れが酷くなってしまったが、翌朝親戚の家から電話がかかってきて、
前の夜遅く伯母が急に倒れて病院に担ぎ込まれて意識不明になっていたが今朝意識が戻ったという知らせだった。
そして、私に会いたがっているというので、急いで病院に行ったら、伯母が私の顔を見て
「私、倒れた時ああもうダメだ、でも死ぬ前にみんなにお別れを言いたいと思って、まずあなたの家に行ったの。
そしてさようなら、おばちゃん遠くへ行くけど元気でねって言ったら、
あなたにいきなり横っ面を張り飛ばされて、そうしたら急に我に返って、まだ死んではいけないって思ったの。
この世に戻ってこられたのはあなたのおかげなのよ。」と言われた。
助かったのは嬉しかったけど、別れを告げに来るのに銀蠅の姿で来るって、おばちゃん…
銀蠅だったから、手で払われて助かったんだよね。
もしゴキとかだったら・・・
「お別れ言いに行ったら、いきなりスリッパで脳天を叩かれて、そうしたら急に我に返って……」
ってなったのかなw。
そのまま昇天しそうだ