【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ12【友人・知人】

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944本当にあった怖い名無し:2010/05/21(金) 03:03:26 ID:TjJVGSwg0

おもしろかったぜ
945本当にあった怖い名無し:2010/05/21(金) 10:55:12 ID:FCMYomBS0
赤いきつねと緑のたぬき
946本当にあった怖い名無し:2010/05/21(金) 11:00:06 ID:1S1Z6qoq0
黒い豚カレーのことも思い出してあげて
947本当にあった怖い名無し:2010/05/22(土) 08:09:23 ID:KbwkmXI+0
やっぱウニさん来ないとイマイチ盛り上がらんね
あ、赤緑氏乙
948赤緑 ◆kJAS6iN932 :2010/05/26(水) 09:37:30 ID:zz4BhEwD0
[報告(後)]

1/15
藤木「失礼します――っと?」
返事を待たずに部屋に入ってきた藤木が、驚きの声を上げる。
藤木「副会長じゃないですか!ご無沙汰しています!」

背筋をピンと伸ばしてから、副会長に向かって真っ直ぐにお辞儀をする藤木。
夏目川「やぁ。元気にしていたかね?」
藤木「はい、それはもう…お陰さまで」
含みのある言い方をする藤木。

…それもそうだろう。
なにしろ、藤木に例の仕事を与えたのは、この副会長だ。

夏目川「丁度今、高城君から例の件について、報告を受けていたところだよ」
藤木「例の件…?」

私「名刺の件よ」
藤木「名刺…あぁ、なるほどね」
ほんとに頭の回転が鈍い男だ。
こんなのが支部長だなんて…と、そんなことを思ったとき、藤木が思いもかけない質問を口にする。

藤木「報告と言えば…、本部長、昨日、汐崎に会えました?」
949赤緑 ◆kJAS6iN932 :2010/05/26(水) 09:40:48 ID:zz4BhEwD0
2/15
……!
突然の想定外な質問に、私は必死で動揺を抑える。
何か気取られるのはマズイ。
彼のことを言うにしろ、黙っているにしろ…。

藤木「昨日の夜、探していましたよ?何か急な用事が――」

どこまで知っているの?
この男が、汐崎の用件を知っている可能性は?
このタイミングで聞いてくるということは、もしかしたら…?

…分からない。この状態で考えたところで、分かるわけが無い。
それについて、今ここで聞くわけにもいかない。

でももし、用件の内容を知っていたら…?
私が副会長に報告を怠った事に…隠し事をしたことになる。
それは、事が事だけに、組織に対する裏切りと取られるかも知れない。

…それはダメ。
私にとっても…もちろん、汐崎にとっても、それは一番良くないことだ。
私が彼を庇ったと悟られる事は、彼にとって最悪の事態になる。
間違いなく、私との関わり合いを探られるだろう。
何も無いと言って、彼らが信じるとは思えない。
…何も無いのに。何も無かったのに――。
950赤緑 ◆kJAS6iN932 :2010/05/26(水) 09:45:17 ID:zz4BhEwD0
3/15
私「藤木…支部長。私はまだ、報告の途中です」
藤木「あら…?」
夏目川「まだ何か、あったかね」

副会長が私を見る。
…私は悪びれることなく、その目を見返して答える。
私「はい。今、藤木からもありましたが…汐崎部長のことで」
夏目川「ふむ」
私「…と言っても、正確には彼の――」

良いの?私はこれで良いの…?

私「娘さんの事です」
夏目川「…」
藤木「あぁ、一人娘が居るってな。確か女子高生で…」

私「…支部長、口を挟まないで下さいます?」
八つ当たり気味に藤木をたしなめる。
怖い怖い、と言った顔をして、藤木は黙った。
951赤緑 ◆kJAS6iN932 :2010/05/26(水) 09:48:38 ID:zz4BhEwD0
4/15
私「実は、汐崎の娘も名刺を受け取ったのです」
夏目川「ほぉ…」
私「汐崎の話では、渡してきたのは、先ほどの学生に渡した相手と同じようです」
夏目川「同じ…。確か、学生から話を聞いたのも、汐崎だったかな」
私「はい」
夏目川「なるほど…」

やはり、彼が渦中の人になってしまう。
何も知らないまま、彼はこの件に深く関わってしまっている。
ここは、話を別の方向に持っていくべき…?

私「これは私の考えなのですが…名刺を渡している人物の目星がついています」
多少強引かもしれないけど、興味を惹きそうな話に持っていく。

夏目川「…ほぉ」
藤木「へぇ…。さすが本部長様」
ニヤニヤしながら藤木が言う。
つくづく不快な男だ。

夏目川「私も大体分かってきたよ。…キミの考えでは、誰かね?」
副会長も検討はついたようだ。
まぁ、事情を知っていれば分かる事だろう。

私「おそらく、この男かと…」
私はそう言って、三嶋から渡された資料の最後の1枚を取り出し、副会長に渡す。

私「桐谷隆二。死んだ桐谷達夫の弟です」
952赤緑 ◆kJAS6iN932 :2010/05/26(水) 09:51:42 ID:zz4BhEwD0
5/15
藤木「へぇ、弟ねぇ…」
横から資料を覗き込み、藤木が言う。
夏目川「まぁ、そんなところだろうね」
…見解は一致したようだ。

夏目川「桐谷隆二、27歳。フリーのカメラマン。…現在、行方不明」
副会長が資料を読み上げる。
藤木「両親は既に他界しており、親戚も居ない…と。それじゃ、今は天涯孤独って訳か」

私「唯一の肉親であった兄が殺された訳ですから…事件の真相を調べていると思われます」
多少の皮肉を込めて言う。
目の前に居るのは、その殺人を命令した者と、実行した者だ。

藤木「浅はかだねぇ…。自分の身の安全を考えてないのかねぇ」
私「…」
この男に「浅はか」と言われたらお終いだ。
今の状況と、資料の写真を見ただけで分からないだろうか…?
この桐谷隆二という男は――

夏目川「この男、なかなかの切れ者かもしれないね」

――そう。この男、よく計算して行動を起こしている。
953赤緑 ◆kJAS6iN932 :2010/05/26(水) 09:56:10 ID:zz4BhEwD0
6/15
夏目川「汐崎の娘を突いてくるとはな…」
私「…」

確かに、桐谷隆二は上手いところを突いてきた。
なぜなら、汐崎の娘は上の人間――副会長が「目を掛けていた子」なのだ。
彼女には霊感が無く、素質があるから。

――でも、違う。

私が桐谷の行動で気になったのは、そちらではない。
本当に注意するべきは、もう一方の方…神尾という子の方だ。

夏目川「汐崎の娘に、桐谷隆二の写真は見せたのかね?」
副会長が聞いてくる。
…彼の興味は、汐崎の娘に向かっている。
私「いえ。資料は、今朝受け取ったばかりで…」

夏目川「では、確認するべきだろうね。相手をハッキリさせて、場合によっては彼女にも――」

…ダメ。
汐崎を、これ以上巻き込んではいけない――

私「いえ…。その必要はないかと」
夏目川「…なぜかね?」
954赤緑 ◆kJAS6iN932 :2010/05/26(水) 09:59:11 ID:zz4BhEwD0
7/15
私「汐崎には、この件については全て忘れるように言いました」
夏目川「当然だね」

私「彼は私に名刺を渡し…全て忘れますと言いました」
夏目川「…名刺を受け取ったのかね」
私「はい」
私は名刺入れから例の名刺を取り出し、テーブルに置いた。

私「汐崎については、これで話がついています。これ以上掻き乱すことは――」
夏目川「――桐谷の思う壺、と?」
私「はい」
夏目川「なるほど…」
そう言って考え込む副会長。どうやら、納得してくれそうな気配だ。

…私は更に続ける。
私「それよりも、私としては学生達の方が気になります」
夏目川「こちらか…」
改めて神尾美加の資料を見る副会長。

彼の興味の矛先を、こちらに向ける。
神尾という子には悪い気がするけど…。
955赤緑 ◆kJAS6iN932 :2010/05/26(水) 10:02:42 ID:zz4BhEwD0
8/15
夏目川「やはり、耳が?」
私「はい」
夏目川「その耳は、桐谷のものでは無かったのかね?」
私「いえ…。その写真を見た感じでは、あれは他の者かと」
夏目川「…」
私「桐谷の協力者かもしれません」

これは憶測。
でも、興味を惹ける筈…。

夏目川「本部長としては、こちらを…ということでよろしいかな?」

――責任の話だ。
副会長はこれを私の判断として、私に責任を持たせようとしている。
…でも、それで構わない。私の勘でも、注意するべきはこちらだから。

私「はい。こちらから調べていくべきだと思います」

まず、こちらから。
一応、汐崎の方を完全に切るような言い方はしないでおく。
変に怪しまれないように…。
956赤緑 ◆kJAS6iN932 :2010/05/26(水) 10:06:38 ID:zz4BhEwD0
9/15
夏目川「では、その線でいこう。報告は以上かな?」
私「はい。以上になります」

夏目川「分かった。…いやぁ、ありがとう、朝早くからすまなかったね」
そう言って副会長が椅子から立ち上がる。
私「いえ…。お忙しいのにわざわざ、ありがとうございます」
私も立ち、頭を下げる。

夏目川「この資料は、貰っても構わないかな?」
私「はい。…では、これに」
私はデスクから封筒を持ってくると、副会長から資料を受け取り、そこに入れる。
夏目川「名刺も一緒に、お願いするよ」
私「はい」
言われた通り、桐谷の名刺もそこに入れ、封筒を渡す。

夏目川「ありがとう。では…藤木君、送ってくれるかね」
藤木「え?…あぁ、はい。勿論です」
2人が連れ立って、部屋から出て行く。

私「おつかれさまでした」
私は扉を開けたまま頭を下げ、2人を見送った。

――なぜ今、藤木も連れて行ったのか。
汐崎の事で少し安心していた私は、それを深く考えなかった。
957赤緑 ◆kJAS6iN932 :2010/05/26(水) 10:10:44 ID:zz4BhEwD0
10/15
――
藤木を連れて建物の外に出た私は、車まで歩きながら彼に言う。
私「まったく君も…良いタイミングで入ってきたものだね」
藤木「…はい?」
私「フン…」

車の横には専属の運転手が立ち、私を待っている。
私はそこまで行かず、途中で足を止める。
…聞かれて困る事もないが、聞かれないに越した事はない。
私「高城に、何の用事があったのかね?」
藤木「いや…まぁ、特には…ヘヘヘ…」
誤魔化すように笑う藤木。それで大体想像ができる。

私「彼女に手を出すのは、控えた方が良いと思うがねぇ」
藤木「…はぁ」
どうなろうと知ったことではないが、アレの…会長の物に手を出して問題になっては、具合が悪い。
…藤木は、私の大切な駒だ。

私「それにしても…」
私は封筒を開け、1枚の資料を――神尾美加という学生の資料を取り出す。
私「これは、中々の掘り出し物だな」
資料には、私が求める最高の条件が書いてある。

――霊感、なし。
958赤緑 ◆kJAS6iN932 :2010/05/26(水) 10:15:04 ID:zz4BhEwD0
11/15
藤木「可愛い顔していますねぇ…」
資料を覗き込んで、藤木が言う。

私「この女については、私の方で調べる」
藤木「…じゃあ、自分は男の方ですか?なんて言いましたっけ」
私「北上明雄だ。…だが、コレはどうでもいい」

こちらも霊感なしだが、興味が沸かない。

藤木「ってことは…桐谷の弟をマークしますか?」
私「いや、それもいい」
藤木「…はぁ」

桐谷隆二は、藤木の手には負えないだろう。
コイツの頭で勝てる相手ではない。

それより、もっと適している仕事がある。

私「キミには、汐崎をマークしてもらう」
959赤緑 ◆kJAS6iN932 :2010/05/26(水) 10:18:39 ID:zz4BhEwD0
12/15
藤木「汐崎…部長ですか」
私「そうだ」
藤木「娘じゃなく?」
私「…場合によっては、娘も、だな」
藤木「その場合が良いなぁ…」
…この男の品の無さは、どうしようもないな。

私「キミにはまた、”力仕事”をしてもらうかも知れないよ」
藤木「あぁ…平気ですよ。得意ですから」
ニヤニヤした顔で藤木が言う。

私「汐崎の動きを、見張っていてくれれば良い。何かあったら――」
藤木「直ぐに連絡します」
私「うむ」
藤木は、頭は悪いが、単純作業や”力仕事”には最適な人間だ。

藤木「でも何で汐崎を?関わりすぎたからですかね?」
私「それもあるが…」

私も汐崎という人間は良く知っているつもりだ。
あれは、上からの命令なら何でも従う男だろうし、何かを忘れろと言えば、スッパリと忘れる筈だ。
上の人間にしてみれば、使いやすい男。

…しかし、娘が絡むと話は別だ。
960赤緑 ◆kJAS6iN932 :2010/05/26(水) 10:24:14 ID:zz4BhEwD0
13/15
私「汐崎は、往来会を疑っている可能性がある」
藤木「…あの部長が?」
私「そうだ」
藤木「そんな情報、どこで…?」
私「…キミにそこまで言う必要があるか?」
そう言って藤木を睨みつける。
余計な口出しは結果として自分の首を絞めることを、分かっていないのだろうか。

藤木「あ…いや、いえ…すみません」
私「分かったら、仕事に移ってくれ」
藤木「…はい!それではこれで失礼します!」
藤木はそう言うと、一礼し、本部へ戻っていった。

私「フン…」
私はそのまま車に乗り込み、これからのことを考える。

汐崎が往来会を疑っている…。
これは間違いない。高城の様子を見れば分かることだった。
961赤緑 ◆kJAS6iN932 :2010/05/26(水) 10:31:04 ID:zz4BhEwD0
14/15
彼女は、汐崎を庇っていた。

この私が、汐崎の報告を省こうとした事に気付かないとでも思ったのだろうか?

しかもそれだけではない。
名刺のことがある。
高城は、この名刺を「汐崎がこの件を全て忘れた証明」として出してきた。

一見自然な話だが、見方を変えるとおかしな話だ。
この名刺はそんなことを証明するものではない。
これは、「彼の娘が名刺を受け取った」という事実を証明するものだ。

「これが彼の娘が受け取った名刺です」と言いながら出すのが普通だろう。
「これを渡してきたので、彼の方を調べる必要はありません」なんて、不自然な話だ。
一番大切なこと――事実を正確に報告していない。
彼女は自分の勝手な考えを肯定するために、これを出してきたのだ。

これはまったく、彼女らしくない。
そんな報告の仕方は、”本部長”としての彼女らしくない。
962赤緑 ◆kJAS6iN932 :2010/05/26(水) 10:38:32 ID:zz4BhEwD0
15/15
私「小娘が…」
そう呟き、車の窓から2階の本部長室を仰ぎ見る。

成り上がり者が何を考えているか知らないが、会長の寵愛を受けているからと言って、好き勝手やらせる訳にはいかない。

…しかしまぁ、それもあと僅かの話だ。

今日は収穫があった。
良い「素材」を知ることができたのが1つ。
もう1つは――

死相。

本部長、高城沙織の顔に死相をみた。

彼女は近いうちに、命を落とす。
それが分かった事が、一番の収穫。

邪魔な人間が消えてくれるのは、何よりも嬉しい事だ…。


963本当にあった怖い名無し:2010/05/27(木) 01:13:10 ID:KXM9il6g0
荒らし?
964本当にあった怖い名無し:2010/05/27(木) 04:23:28 ID:VdU8UT9h0
赤緑さん乙です
965本当にあった怖い名無し:2010/05/27(木) 09:00:43 ID:TivunABi0
赤緑さん乙
赤緑さんしか来なくなって久しいので頑張って欲しいな
相変わらず規制中の人が多いのかな
966本当にあった怖い名無し:2010/05/27(木) 11:35:03 ID:Q/1d5RlY0
赤緑読んでないけどがんばって
967本当にあった怖い名無し:2010/05/28(金) 20:55:25 ID:taNwo7R30
んで忍の人はどうなったんよ
968本当にあった怖い名無し:2010/06/01(火) 17:44:37 ID:hfL1zG8h0
最近コンビニに山田悠介(笑)の書籍が並んでるんだが、コイツはそんなに評価されてるのかね?
このスレの一連の作品の方が面白いと思わん?
969本当にあった怖い名無し:2010/06/01(火) 18:41:38 ID:ZVfOBwMQ0
あの電波な文章が嘲笑の対象として変にウケてるだけ。
970本当にあった怖い名無し:2010/06/01(火) 19:05:22 ID:DiPjrTKv0
そろそろ夏だぞ
新作クレ
971本当にあった怖い名無し:2010/06/02(水) 03:18:26 ID:yva414PK0
もうすっかり夏にならないとダメ。
972本当にあった怖い名無し:2010/06/03(木) 13:14:08 ID:3/R3NSog0
ちょっと前の洒落コワを見ると、霊感のある友人がうじゃうじゃいたのにね。
9731/5:2010/06/03(木) 17:13:32 ID:z37oXUQH0
「俺(Aとする)には凄い霊感を持った師匠がいる。仮にMさんとするか〜」
っていうのを洒落怖に洒落で投稿したものなんすけど。
なんか暇だったのでまた洒落で書いていたら続きができたので、おまいらにやるます。
文章の正式な書き方とか知らんし、適当に煽りの材料にでもしてくだせえ。

自己責任で呼んでください。 一応警告したので始めます。

普段、Mさんは古物商のようなことをしている。
築何十年のボロボロの借家だが、一応店舗も持っている。
「うーす、頼まれたもん持ってきましたー」
「おおA。悪い悪い、ま、茶でも飲んでけや」
奥の居間に通されて座布団に腰をおろす。
「はい、どうぞ」
風呂敷に包まれたものを解いて、机に置いた。
「またおかんから超怒られましたよー、それは持ち出すな!って」
「ああ、その"箱"はなあ、確かに相当やばいからなあ」
「おかんなだめるの大変でしたよー。絶対使わないから大丈夫だって言い張って、持ち逃げしてきました」

この"箱"は見た目は普通の木箱で。大きさはルービックキューブくらい。
ふだんは家の便所に、おかんの趣味のカエルの置物たちと一緒に飾られているものだ。
なんでも、遥か昔に何千体もの悪霊や物の怪の怨念や怒りなどを
とある有名な行者の法力で封じたものらしい。まあ規模の大小はあれ、割とよく聞く話かもしれない。
俺にはそんなヤバイものを見たがるMさんよりも
便所で埃を被ったまま放置しているおかんの神経が分からない。
9742/5:2010/06/03(木) 17:14:56 ID:z37oXUQH0
「で、Mさんこれ何かに使うんですか?」
「まあとにかく、こっちのも見ろよ」
Mさんも小さな古い箱を持ち出す、凄い霊力というか怨念を感じる。
「あれ、これってもしかしてコ○リバコじゃないすか」
「そう、所謂あれだ」
「所謂じゃないすよ。制御が効かない分、ある意味そっちの方が相当ヤバイすよ」
「そんなことはどうでもいい。ところで…」
Mさんの顔が急に真剣になった。
「お前の持ってきた箱だが、多分お前なら"開け"られるよな?」
「まさか、コ○リバコ"焼かせる"んですか」
「別にそれならMさんの"アレ"にやらせてもいいじゃないですか」
「いや、それでもいいんだが、失敗した場合、多分Aのおかん来るじゃん」
「いやそりゃそうですけど。それが何か」
Mさんの顔が泣きそうになる。
「俺、もう嫌なんだよ〜説教食らいながら便所スリッパで全身痣まみれにされるの〜」
「…」
そんな理由でこの"箱"に焼かれる、このコト○バコに少し同情した。
ある意味Mさんの"アレ"の方が、同化されるからまだいいのではないか。
出された茶を少し啜った。よく見たら茶柱が五本くらい浮んでいる…なんか作為を感じてうぜぇ…。
「ふー…いいっすよ、で、焼き具合はどの位が好みですか?レア?ミディアム?ウェルダン?」
「跡形も無いほうが持ち主も助かるから、ウェルダンで」
「なんだ、やっぱり依頼主が居るんすか。じゃ報酬の四割は頂きますね」
「しまった…うちも不況で厳しいんで三割でお願いします…」

風呂敷を四方にきれいに広げると複雑な曼荼羅が現れた、
その中央に箱を置く、あとは呪文を唱え、術式を組み立てるだけだ。
おかんに長年助手をやらされているから、こういうののやり方は詳しい。
「業…い…吸いし……喰ら……ハ……オン……バ…ラ……」
一通り終わると曼荼羅と箱が鈍く光りだした。
「よしっ!大体できました。Mさんの方はどうですか」
「こっちもオッケー。セット完了。これで逃げられないだろ」
柱に荒縄で四方から繋がれた○トリバコが見える。
9753/5:2010/06/03(木) 17:16:50 ID:z37oXUQH0
「では、"開け"ます。Mさんは部屋の隅で避けていて下さい」
「よっしゃ、了解。何回見てもこいつはドキドキするな!なんというか、胸が熱くなるな!」
かなり余裕のある師匠にムカつきつつ、術式の最後の締めをする。
「"囲え"!"箱"よ!」
そう唱えた瞬間、その箱は空中に浮き上がり六面に分解した。
そしてそのまま、コトリ○コに向かい、それを六方から囲い込んだ。
「ではウェルダンでいきます。"焼き尽くせ"」
そのまま徐々に包囲を狭めていきながら、それらはゆっくりと紫色の火花を放ちだした。
そして火花はコトリ○コの表面に燃えうつり、外側からジワジワ焦がしていった。
やがて火が内側に達しそうになるとき、中から悲鳴があがり出した。
「うわぁぁぁぁん…お母ちゃぁぁぁん、熱いよぉぉぉぉぉぉ!!」
「水…水を…火が…」「痛あぃ…いたいよ…」
何十人もの子供の悲痛な叫び声が、箱から大音量で聞こえてくる。
その声に聞き入っていると、俺は地獄行きなのがさも当然のように思えてくる。
本当はこんな呪術を作った輩が最も劣悪なのだが。
9764/5:2010/06/03(木) 17:17:30 ID:z37oXUQH0
もう少しで全ての部分が焦げて無くなろうとしているまさにそのときだった。
ズルリと中から何かが抜け出て、師匠の方へと向かう。
「ありゃりゃ、術式が間違っていたかな。少し逃がしちゃった。Mさん気をつけてー(棒読み)」
「ぉぉぉぉおおおぉぉおおぎゃぁぁあ!!あぁあぉおぉいぃぃぃうううぃい!!!!!」
叫びながら猛スピード這っていくその塊が、師匠と接触する直前に
師匠の肩から真っ黒な腕が現れて、その赤黒い赤ん坊を宙にさらった。
さらに何も無い空間に大きな黒い上下の唇が現れ、
真っ黒な腕がそのあいだに赤ん坊を頭から詰め込んだ。
「ぎゃああああああああああああ」という断末魔と
バリバリムシャムシャという気色の悪い頭蓋骨を噛み砕く音。
師匠のアレだ。旨そうな餌に反応して出てきたようだ。
それは頭蓋骨を一通り噛み砕いたあと
ジュルリ!とさらに気色悪い音を立てて、
赤ん坊の残りの柔らかな身体を吸い込んだ。
「うぇぇぇぇぇぇ…毎度のことながら気色悪いっすねえ…」
「そう言ってやるなよ…こいつも我が身体の可愛い一部だよ」
と言っている師匠の顔は苦笑いしながらも、いつものように若干引きつっていた。
師匠の肩口の上の空間に浮んでいる"黒い唇"が喋る。
「ゴ…チデ…シタ」
「うわっ…言葉覚えたんすか、進化してますねえ、しかもゴチとか言ってますよ。ナウなヤングw」
「うっせボケ。知能が進んでるのは良くない兆候なんだけどな。こっちは泣きたいよ」
「Mサ…ンモットク…ワセテ…モットモ…ットクワセテ」
「謝意をあらわすことも、要求することもできるんですねぇ…敬称すら覚えてる。
 はぁ…真面目に日本語覚えさせて、一人漫才でもやったらどうですか。業界人には絶対うけますよww」
「…お前のおかん呼んでくれ…報酬の五割はやるから…」
珍しくガチで弱気になりだした師匠が、さすがに可哀想になり、おかんに携帯からノイズの酷い電話をかける。
9775/5:2010/06/03(木) 17:20:08 ID:z37oXUQH0
その後は、すぐにぶっ飛んできたおかんに説教に次ぐ説教をされながら、
二人とも便所スリッパでぶったたかれまくり痣だらけになった。
師匠は、なんとかアレをまた封印してもらえたが
報酬の七割をドサクサにまぎれておかんに強奪され涙目になっていた。

俺はさらにその後、家に帰ってから顔を合わすたびに
おかんから便所スリッパで数十回ぶったたかれまくった。
最後は真夜中に部屋に侵入してこられて、寝ている布団の上から二十回ぐらい叩かれた。
寝ぼけ眼で、猛抗議する俺におかん曰く、これでも「まだ足りないかもしれない」らしい。
箱の方はこの家のものだし大した事無いのだが、それより師匠のアレの穢れがかなりこびり付いているらしい。
「油汚れはしつこいからねぇ」とはおかんの弁。
"箱"は没収された。何でも俺がまた小遣い稼ぎに悪用しないように
知り合いの高位の坊さんに引き取って貰うらしい。
しかし、数日したらまたトイレのカエルの置物たちの隣に置かれていた。
なぜ元の場所に戻ったかは、いろんな意味で怖くて未だに訊けていない。

了。

ま、終わりかけのスレを五つ埋めたということで。悪文失礼いたしました。
978本当にあった怖い名無し:2010/06/03(木) 17:58:19 ID:cNYwc0Y50
乙でした
面白かったよ
979本当にあった怖い名無し:2010/06/03(木) 18:02:10 ID:QwdNRP+DO
オ…ツデ…シタ
モットヨ…マセテ…
980 ◆7QPLwJZR/Ypf :2010/06/03(木) 18:26:38 ID:z37oXUQH0
>>978-979
本当にありがとうございます。書いて良かったです。
でも今の凄く嬉しい気持ちで調子に乗って酷い続きを作っても皆さんに悪いので、自重します。

一応作者のトリップだけ付けときます。
またそのうち、今日みたいに思い浮かんだら投稿したいと思います。
981本当にあった怖い名無し:2010/06/03(木) 21:13:34 ID:+JaF9cE60
久しぶりに面白かった〜お疲れさま♪
次回も楽しみにしています。
982本当にあった怖い名無し:2010/06/03(木) 23:32:30 ID:j+Td1rXRO
携帯規制解除されたぞ
忍の人あれからどうなったんだよ
983 ◆DJINKbmZw2 :2010/06/04(金) 06:46:39 ID:q+FvqF5XO
>>983
規制解除教えて下さってありがとうございます。
恥ずかしい話ですが貼紙を最寄りの警察署から東京の交番に張り出して貰うように預けてからの進展はありません。

姉の元カレは偽造した身分証を使って働いていたらしく全く消息不明で、実感のドラッグストアがあると言われていた場所は確かに元ドラッグストアでしたが差し押さえで潰れていました。

忍と姉の元カレに関しては既に相談済みなのでこれ以上は詳しく書けません。

新宿の方が貼紙が貼ってあるか確かめて下さると言うレスに期待しているところです。

実際の話、貼紙を貼るスペースが無ければ後回しにされる事もあるそうですが警察に確認を取って心象を悪くしたくないので。
984 ◆DJINKbmZw2 :2010/06/04(金) 06:47:51 ID:q+FvqF5XO
安価ミス>>982です。
985本当にあった怖い名無し:2010/06/04(金) 07:17:52 ID:5qcWPNp8O
テスト
986本当にあった怖い名無し:2010/06/04(金) 13:21:29 ID:bemIV+MaO
>>983
何か進展ありましたか?貼紙してからそれっぽい連絡ありませんか?
と聞けばいい。人が失踪してるんだから真剣になって当然

3日前から犬が失踪して必死になってる自分からすると心象なんて気にする時点で信じられん
987 ◆DJINKbmZw2 :2010/06/04(金) 14:30:59 ID:q+FvqF5XO
>>986
心象を気にしているのは、貼紙を頼む前に母親が警察相手に色々とやらかしているからです。
もう少し待って僕から進展を聞こうと考えています。

実際のところ、成人した女性の失踪なので重要視されていないこともあるので。
988本当にあった怖い名無し:2010/06/04(金) 15:37:06 ID:bemIV+MaO
そうか
人の失踪は知らん

犬は死んでた
989 ◆DJINKbmZw2 :2010/06/04(金) 19:08:03 ID:q+FvqF5XO
>>988
飼い犬さんはご愁傷様でした。
990本当にあった怖い名無し:2010/06/05(土) 06:39:29 ID:JS+jrNz30
陰膳してますか?
信じてなかったけど当時は、それくらいしかできなくて、
偶然かも知れないけど15年ぶりに帰って来た親類がいます。
991 ◆DJINKbmZw2 :2010/06/05(土) 10:45:06 ID:vTyYLPoXO
>>990
以前していた事があるのですが母親が嫌がって今は姉の部屋に隠れて供え物をしていますが、それでは効果は薄いでしょうね。
戻って来て欲しい気持ちは確かにありますが、会うのが怖い気持ちもあります。

ここに話を投下している間にも色々と考えていました。
母親や祖母から姉の夢を見た話を聞かされる度に複雑な思いです。
992本当にあった怖い名無し:2010/06/05(土) 21:12:45 ID:+rzA9TPb0
次スレが立てられない…
誰かタノム
993本当にあった怖い名無し
…と思ったらできたゼ

【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ13【友人・知人】
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