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糖質ですが:
「ロシアによる日本漁船の拿捕への対応」
2007年に日本の漁船がロシアの排他的経済水域(EEZ)で拿捕される事件が二件
起きている。「豊進丸」と「富丸」である。
日本は違法操業であったかを争うのではなく、保証金の支払による釈放義務の履行要求
に絞った簡易手続きを国連海洋法条約が国際海洋法裁判所に管轄権を認めていることに
目をつけた。ロシア当局は豊進丸の事件に際しては、あわてて保証金額の提示を行って
いて、結局、合理的な金額としてロシアの提示額の4割が認定された。日本側の全面勝利
と言ってよい。
「富丸」の事件では、日本側がもたついてしまったために、ロシアが船体没収手続きを完了
させてしまったが、一般論として拿捕国による船体没収は不当に性急に行ってはならない、
という判示が下ったことにより、今後の抑止になる決着となった。
双方ともに日本の実質的勝訴であった。本件は日本が国際裁判所に他国を提訴した戦後
初めての事例であったが、日本国政府の再三の申し入れにもかかわらずロシアが日本漁船
の長期拘束を繰り返していたことを考えると、法的手段に訴えても断固たる姿勢をとる
という日本国政府の意思を国際社会に明確に発信することができたのが最大の収穫だった
とされる。