【今夜】百物語2009本スレ【恐怖】

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488杏仁湯豆腐 ◆nnT9NOPZ4w
「お前だけでも」

ある日、俺と友人は交通事故にあった
バイクを二人乗りしてると、白バイに見つかり逃げようとして対向車に激突したのだ
体中が熱したナイフで切り裂いてるような痛みと
骨をハンマーで直に叩かれているような痛みが重なり、意識が飛んだ

目を開けると、そこは病室だった。体中に包帯、点滴があるかと思い起き上がった
しかし、体には点滴はなく頭に包帯。それだけだった。おまけに体にひどい痛みはない
不思議に思い、上半身をみると確かに痣はあるが包帯は巻かれてなかった
これはもしかして、打ち所が良かったのかと思った。
頭も回復してきたので整理すると、事故は夢ではなかったようだ
そこで気づいた。友人は・・・どうしたんだろうと
とりあえず気がついたのでナースコールをしようと思ったが作動しなかった
こういうところは運が悪いと思い歩けない訳ではないので病室から出て友人を探した
しかしすぐに友人は見つかった。病院の廊下には友人の家族が泣き崩れていたのだ
俺は嫌な予感がし、友人の家族に叫ぶように話しかけるが誰も答えてくれない。
流石に泣いている人に責めるように話しかけられてるんだから無理もない
実際に会えば分かると思い病室に入った   1/2
489杏仁湯豆腐 ◆nnT9NOPZ4w :2009/08/08(土) 03:57:51 ID:9Kr5KgiS0
そこには、俺がはじめ自分がそうなってるであろうという包帯まみれの友人がいた
俺は必死になって声をかけた。謝った。祈った
しかし、こういう時だけ祈ったところで神様は答えてくれない
心配停止の音だけがその病室に響き渡った
俺はどうしたらいいか分からなくなり立ちすくんでいると、友人の口がうごいた気がした
俺は耳を近づけた。もし最後の言葉なら俺が聞き取ってやらないといけない、そう思ったからだ
「こ・・ちが・!か・ぇ・・!」
何を言ってるのか分からなかった。俺は聞き返した。もう一度、もう一度だけ言ってくれと

「こっちは違う!帰れ!」

そこで目が覚めた。周りには泣き叫ぶ家族や知り合い
俺は何がなんだかわからないまま、友人のことを聞いた
友人の母親は泣きながら

「よほど見られたくなかったのか私たちに帰れって叫んで・・・さっき亡くなったわ」

後から聞いた話、友人は俺を衝突時に突き飛ばし、俺はその衝撃で幸いにも助かったらしい
俺が運転して俺のせいで事故に合い俺を助けてくれた
友人はあのときも俺が死んでいるのに助けてくれたのだと、思っている