【今夜】百物語2009本スレ【恐怖】

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467葛 ◆LqpGksAEaRdT
母の友人はいわゆる「見えるひと」で、何度か心霊体験をしてきたらしい。
その中で一つ、覚えている話を書こうと思う。

彼女はその日、神社に行ったらしい。
どこの町にでもあるような、ごく普通の神社を想像してくれたらいい。
息子の受験合格祈願だったか、家内安全だったか、
至極平凡な願い事をして彼女は振り返ろうと顔を上げた。
するとすぐ後ろをふっと、人が通る気配がした。
振り向かなかったが、老婆なのだな、と漠然と感じたらしい。
その老婆は通りすがりに何かを彼女に呟いた。
肝心の「何か」なのだが、何のことなのかわからないのだ。
『おえぃらくく』
しわがれた低い声で、そう呟いたらしい。
祝詞なのか、呪詛なのか。
幸いにも彼女自身やその近辺に何かが起こったという話は聞いていない。
ただ、その一言が今も忘れられないと言う。