白 白 白 白 白
僕は毎日同じ夢を見る。夢だと確信することができる夢。
理由はいたってシンプルで毎回同じ背景だからだ。
背景という言葉ではいささか語弊がある気もするが、適正な表現がみつからないので背景としてとらえてほしい。
そこは白い。上も下も右も左も。黒いのは自分だけ。
地に足がついているのかは分からない。でも下に沈むこともふと落ちる事もない。
そして奥行きが見えない。
目の前の白はどこまで続くのかが分からない。
ただ僕は毎回その白に潰され、目を覚ます事しかできない。
これは僕が望んだ夢。
善と悪。否と肯。白と黒。
現実世界で黒くなってしまった僕は
夢の中で白に追われる。
そうする事でしかこの世界中で白に触れられる空間がない。
グシャリ
迫りくる白に右足が潰された。
血は出ない。
望みつつもこの白から逃れる術はない。これが一時の利益を求めた結果、永遠の罰。
今日も僕はあの人のために、夢の中で体を白に包ませる。
いつか僕は現実の黒に、夢の中の白で納得する事が出来るのだろうか。
グシャり
グシャ
グシ