「屋根の影」
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小学校の時に担任の先生が話してくれた体験談+α。
ある日台風の影響で天気が荒れ、帰りは保護者が迎えに来ることになった。
迎えが来るまでの暇潰しに先生が怖い話をしてくれた。
先生がまだ若かったころ、一人の女子児童を家まで送ることがあった。
送る途中、女の子がふと上の方を見上げて立ち止まる。
とある家の屋根を見上げているのでどうしたのかと聞くと、「あそこのお家、誰かが死ぬよ」と呟いたらしい。
何故そんなことを言うの、と咎めると彼女は「屋根に影がいるから」と答えた。
先生が彼女の目線をたどると、先生にも屋根にいる黒い影が見えた。
驚いて先生があっと声を出すと同時に影は猿のように屋根伝いに消えていってしまった。
女の子は「見えた?やっぱり居たでしょう?」と先生に問いかけ確認してきた。
あれは何かと聞くと、「死に神かなぁ。数日中にあのお家の誰かが死んじゃうのよ」と答えた。
2日後、その家のおじいさんが亡くなった。
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先生はその後も数回影を見たらしく、先生の父親が死ぬ時にも自宅の屋根にいる影を見たらしい。
先生はまた思わず声を出してしまい、影もまたどこかへ行った。
父親は翌日亡くなった。
先生が言うには、その時は確かに影だけのそれと目があったと感じたそうだ。
先生は
「いつかまたあの影を見るかもしれない。次は私の番かもしれない。あなた達がもし屋根の上に影を見ても、目を合わせてはいけない…」
と締めくくった。
その瞬間、ドーンと轟音がして学校全体が停電した。
学校に落雷が直撃したのだ。
あまりのタイミングの良さに皆叫びだし大騒ぎになった。
停電が直るとパニックも収まり、保護者も来だして皆無事に帰宅した。
だが落雷の騒ぎで何故いけないのか等、それ以上のことは聞けなかった。
今でも話している間どんどん暗くなっていった空と遠雷、先生の真剣な顔と雷直撃時の衝撃は忘れられない。