「玄関から来たものは」
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自分が中学生の時、夜中にPS2のゲームをするのが習慣だった。
ばあちゃんが、私がゲームをしている自室の、廊下を挟んだ向こうの部屋で寝ていた。
部屋の電気をつけたままだと光が漏れてばあちゃんが目を覚ましてしまうし、
それに時々「いい加減にしときなさい」と小言を言われたりもするから、いつも電気は消していた。
その日も夜中、いつも通りに真っ暗な中ゲームしていた。
それで、しばらくやってるとガラガラガラ、と家の玄関の引き戸が開く音と
ポロロロン、と人が通ると鳴る玄関のチャイムの音がはっきりと聞こえた。
こんな時間に変だなと思ってプレイを中断して、
まさか泥棒じゃないのか、でもそんなに堂々と入って来る訳ないし…と、玄関が見える廊下からそっと覗いた。
玄関は何もなかったかのように静まりかえっていて、人が居るような気配はない。
閉まる音はしなかったのに、玄関は開いていない。
二階で寝ている家族が何かしたのなら階段を降りる音で分かる。
部屋の電気をつけ、勇気を出して玄関まで行ってみたけどやっぱり誰も居なかった。
ここまでくるとだんだん怖くなってきて、廊下を走り、慌ててばあちゃんを揺り起こした。