もう12年も前のことでしす。
当時は大学生でした。気がつけばオカルトに浸かり、いくつもの心霊スポットに行き、
ありとあらゆるオカルト因子がありそうな事柄に首を突っ込んでた、一風変わった日々でした。
そんな俺の心霊スポットでの醍醐味は、犯罪だとは分かりつつも、
心霊スポットの遺品を部屋に持ってきては部屋に飾ることや、人が少ないシーズンやマイナーな場所によっては心霊スポットで一泊するなど、あまり類をみない破天荒なものでした。
もちろんこんな日々を送れていたのも、
霊感が皆無だったからだったと思っております。それゆえに未来のない今があるのですが…
それでは本編に
その出来事の日の夜も案の定心霊スポットにいました。
あの日の俺は友人2人と埼玉県のとある廃屋(具体的な場所、地名等はこの場では省略させていただきます。)まで車を走らせていました。
友人2人も霊感があるわけではないのですが、俺よりは気配に敏感そんな奴らでした。
例の廃屋は毎日家で飲んだくれている父が母との口論の末、母を酒瓶で撲殺。
その現場をリアルタイムで見てしまった娘が自分も殺されると思い、父親を包丁で刺殺。結果としてその娘は毎日夢の中で流れる惨殺のパラレルの中で気を狂わせてしまい、精神病院に現幽閉された、そんな噂が広まっていた所でした。
車を走らせること2時間程度、さすがに木造建ての廃屋が半壊している状態には、
霊感がない俺でも少し気負いするような雰囲気を醸し出していました。
とは言っても連れも連れ、その程度では恐れるに足らず、ずかずかと家にあがりこみました。
2/3
しばらく家の中を3人一緒に探索し、一枚の写真を見つけました。どうやら家族写真のようです。
背景には海と砂浜が広がり、とても美しい写真でした。ですが何か違和感を感じるのです。
誰がどう見ても砂浜に家族を除いて人っこ一人いません。にも拘らず写真には一家3人が写っていました
。仮に親戚がいたとしても、一家水入らずの旅行に1人で参加するとは思えませんし、また、他に連れの人がいたならば、写真にその連れの人が写っていてもおかしくないでしょう。
そして何より、表情がおかしいんです。口元は笑っているのに瞳孔が開き、カメラより遠くを眺めている、そんな感じでした。
俺は良いものを見つけたとすかさずポケットに写真をしまおうとしました。しかし友人2人は、それはやばい。とだけを続けて言います。
しかしお宝を前に諦められるはずもなく、無理を言ってポケットにつめたせいで、その日はそこでしらけてしまい帰宅する事になりました。
その後何事もなかったかのように解散し、自室で戦利品をまじましと見つめます。知らぬが仏、と言った所でしょうか。
その写真の中の人間たちはどの位置からみても俺の真後ろを見ているのです。
写真は写真、目が動くはずもないのですが、ただ自分の後ろを見ているという感覚に間違えはなく、その時初めて友人たちのやばいの意味をしった気がしました。
しかしながら実生活に影響がなく、机の隅で写真は眠っていたのですが、一週間ぶりに見てみると、オーブがいくつか浮き出ていました。
それから毎日写真を確認してみると、増えゆくオーブと共に、少しずつ写真の中の人たちの見ている位置が自分に近づいていました。