短くいきます
<消えた代人さん>
私のうちの同居人(以下G)はよく霊のようなものを見るらしい。
もうずいぶん前の話になりますが、
以前Gが電工をしているときの話です。
ある日、現場でコンセントの取り付け作業をしていると、
ふと背後に気配を感じ振り向くと、
その現場でいつも会う代人さんがいた。
代人さんは
「お疲れ様。あとどれぐらいで終わります?」と聞くので
「そうですね、あと30分ぐらいですかねえ・・・」とGは答えた。
振り返ったときに代人さんはメットをかぶっていたのですが
鼻から上の部分がどうしても見えない。
なぜか靄がかかっているように見えて顔に生気というものが感じられなかったそう。
代人さんはどこかいつもと違う様子でそのままスーっといなくなってしまったらしい。
なんだ愛想がないな、とGはそのとき思った。
その後詰め所で缶コーヒーを飲みながら他の作業員と雑談休憩していると、
他の作業員が話している声が聞こえた。
内容を聞くと、そのさっき会ったばかりの代人さんが
昨日作業中に建物の骨組みから足を滑らせて亡くなったという・・・
ではさきほど会った人はいったい誰なんだろう?
という話でした。---完---