【今夜】百物語2009本スレ【恐怖】

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267のらはり ◆EBtYQnCuYk
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『Sさんの霊感』

 私は少しだけ霊感があり、私の母は私より霊感が強いです。
そして弟の友人の母Sさんはさらに強いです。

 例えば、ある事故現場を通った際に、その事故のことは誰も知らなかったのですが、
私は特に何も見えないのですがいきなり寒気がして気持ち悪くなり、
母はちょうど脇のガードレールによりかかるような感じで若い女性らしい
ヒールのサンダルを履いた足が見え、Sさんはガードレールに
よりかかりながら若い男女が雑談している(Sさん曰く自分が
死んだのに気づいていないらしい)のが見えたそうです。
これはそんな霊感レベルの高いSさんの話です。

 中古車販売会社で働いている母子家庭のSさんは、ある中古車を別の事業所に運ぶ
ため、その車に乗りました。その瞬間「やっちゃった。」と思ったらしい
です。なんでもバックミラーに青白い女性が写っていたそうです。こういう
業界だとたまに車に霊が乗っていることがあるらしいですが、最初から
現れたのは初めてだったそうです。それで隣市の事業所まで運転して
いって降りた時にはもうその女性はいなくなっていました。
268のらはり ◆EBtYQnCuYk :2009/08/08(土) 00:02:27 ID:Pp7JCMum0
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 その日の深夜、Sさんがその息子と二人でアパートの3階にある部屋にいた時
のことです。ふと気配がしたので振り向いたところ、先ほどの女性が窓の外
から二人をにらみつけていました。その女性は息子にも見えているらしく、
彼はブルブルと震えながら、小声で「オカアサン・・」と助けを求めてきました。
すると女性は窓に両手のひらをつけたかと思うと、窓ガラスがありえない
くらいのスピードで、ガタガタガタガタ・・と鳴り出しました。「ついてきた。
そしてこの霊は危険だ。」と直感したSさんは息子を連れて家を飛び出し、市内にある
母親宅に逃げ込みました。霊を信じていないSさんの母親は理由を聞いて
呆れていましたが、「まあ今日は泊まってって、明日の朝帰りなさい」
と言って二人を泊めてくれました。

 次の日の朝、Sさん親子が家に帰るともう昨日のような気配はありませんでした。
安心したSさんが荷物を降ろしてのんびりしていると、いきなり息子の叫び声が
聞こえてきました。震えながら息子が指差す先は、Sさんが金魚を数匹飼っていた
水槽でした。中を見ると金魚が全て死んでいました。空気ポンプは付けたままで
あったし、戸締りもきちんとしていきました。それなのに金魚は全て死んでいました。

 後日、近くの寺に相談しに行ったところ、あの女性は悪霊だったらしく、
祓ってもらったら、その後Sさんの前に出ることはありませんでした。

 「やっぱりなまじ霊感あると付いてきちゃうみたいだね。金魚が私たちの
身代わりになってくれたんだろう。」
その後、私の母親にSさんは普通の顔でそう言ったそうです。。

[完]