【皇太子夫妻にまつわる怖い話】 第百二十七話

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172本当にあった怖い名無し
インタビューなどのまとめに手を入れた1000字ほどの私のコメントは、次の『週刊朝日』
に掲載される。著者の橋本さんも言っているが、この面倒なテーマの「けじめ」をつけられ
る実行者は天皇陛下のほかにはいない。陛下以外に問題を解決できる人はいない、と私も思う。

 それなら私にしても橋本さんにしてもなぜ書かずにいられないかというと、将来の皇室
の変質が心配で、それに伴い日本の未来がさらに心配だからである。国民の一人として
声を挙げずにいられないのは当然である。

 昨年の『WiLL』5月号の私の発言時に、公開の文章で問わずに直接殿下にお会いし
て口頭で奏上するのが正しく、私は「臣下の分」を弁えない不忠義者であると、ものもの
しく言い立てる保守派からの攻撃を受けたが、橋本明氏のような天皇陛下にいつでも会
える側近でさえ、こうして本を書いて公開オピニオンに訴える形式をとっているのである。
この点をよく見届けておいて欲しい。聞く処では橋本さんは陛下がカナダに旅立つ前に
見本刷かなにかをいち早く陛下にお渡しになっているようである。

 雑誌や本で世論を喚起するのは現代の常道で、それ以外に肝心の方々のお耳には
届かない。否、それをいくらやったとしてもお耳には届かないのかもしれない。橋本さん
の今度の本は、私とは違って、間違いなく天皇陛下のお手には渡った。

 私見ではもう日本が昔の型の身分社会に戻ることはないが、皇室と一般国民の間の
垣根が低くなることは皇室の危機に直結するというにがい現実を、橋本さんは見ていない。
また、戦争行為を封じた現行憲法が今まで見捨てられないできたのは、日米安保条約と
ワンセットになっていたからであって、これが今問われている。国内に50個所も米軍基地
を許し、米国の意のまゝの戦争にのみ狩り出される可能性をこの侭つづけていてよいの
かという疑問は日増しに高まっている。左右両サイドから安全保障への不安が高まって
いる。今上陛下の現行憲法擁護のご発言は、こう考えると、なかなかに政治的である。
日本の左翼に政治利用される可能性がある。否、すでにされ始めている。

 雅子妃問題よりもこの方が深刻な問題であるので、また稿を改めて論じることにする。
http://www.nishiokanji.jp/blog/?p=857