在る日の火喰い鳥の話。
ある日、火喰い鳥は女の子に出会いました。
女の子は影の長い慌ただしい、栗色の目をした手袋の似合う女の子でした。
火喰い鳥は尋ねます。
「少女よ、何故急くのだ」
女の子は一歩後ろから答えます。
「貴方にはわからない事よ」
「…成程。」
火喰い鳥は女の子を食べてしまいました。
その次の日、火喰い鳥は駆け足で走るチョコを背負った商人と出会いました。
火喰い鳥は尋ねます。
「男よ、何故急くのだ。」
チョコを背負った商人は答えます。
「おめえさんには分からねえこった」
寸刻置いて、火喰い鳥は
「…そうか。」
そうして、火喰い鳥はチョコを背負った商人を食べてしまいました。
また次の日、火喰い鳥は何も無い男に出会いました。
男は火喰い鳥を指差し、言いました。
「お前は、火喰い鳥だ」
長い時間が流れました。
ある日火喰い鳥は女の子に出会いました。
女の子は影の長い慌ただしい、栗色の目をした手袋の似合う女の子でした。
「少女よ、何故急くのだ」
女の子は一歩後ろから答えます。
「貴方にはわからない事よ」
「…成程。」
火喰い鳥は、女の子を食べませんでした。
それきり、火喰い鳥を見た者は居ませんでした。