じわじわ来る怖い話21じわ目

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424本当にあった怖い名無し
ある大学に、幽霊は存在するか実証しようとした研究グループがあった。
その実験には、最新の科学機器が用いられた。

実験場所は、「出る」と評判の廃墟で、当然電気など通っていないので、
各機器に影響を与えないよう設計された特製の自家発電機まで持ち込まれた。

部屋の中の電波、音波、温度変化はもちろん、
各研究員の脳波、心拍数、発汗なども全て数値化する。
人間以外にも犬、猫、マウス、コウモリまで連れ込み、同様に身体変化の数値化を行った。
これは、人間と人間以外の「霊感」の有無を検証するためでもあった。


真っ暗な廃墟の中に、機器の動作音と研究員の息遣い、
動物たちのケージから聞こえる音だけが響いた。
午前二時から夜明けが来る午前六時まで、その無言の実験は続けられた。

総合的な数値結果が出たのは4日後のことだった。
結果、部屋には何の変化もなく、動物たちにも変化は見受けられなかった。
人間だけが顕著な変化を示したが、
これは暗闇の恐怖と実験の緊張から来るものと分析された。

「教授、やっぱり幽霊はいないんですね」
「動物たちに何の変化もないのはなぜだと思う?」
「え?」
「見慣れたものが見えても彼らには変化は起きない」