じわじわ来る怖い話21じわ目

このエントリーをはてなブックマークに追加
383本当にあった怖い名無し
私の家の近所にしゃべる自動販売機がある。
最近ではどこでも見かけるタイプだが、設置された当初は物珍しくて何度も通った。

「おはようさん!」
「毎度、おおきに!つり銭、忘れんといてや!」
「ほな、気張って行ってきぃやー!」
この元気な関西弁が気分を明るくしてくれる。
いつしか出勤前はここで缶コーヒーを買うのが日課になっていた。

その朝でも私はそこで缶コーヒーを買い求めた。
「おはようさん!」
小銭を入れ、商品を選択する。
「毎度、おおきに!つり銭……」
そこで音声はブツリと途切れた。
「ほな……な…」
続くはずの言葉も、言い淀んだかのようにぶつ切りで終わった。

挨拶も済んだ。そろそろいこうか。