◇ 心霊ちょっといい話 ver.14 ◇

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そこでお通夜の時、一緒に夜通し線香をあげてくれるという
親切な母方の叔父に、恥ずかしながらその夢の話を打ち明けてみた。

俺の話を静かに聞いていた叔父は、
その後ポツリと次のようなことを語り始めた。

叔父:
 「もしかしたらその夢は、お通夜の時に線香の火を絶やさないでくれという、
  お父さんのメッセージだったのではないのかな?」

叔父によると、どのくらい昔の話なのかはよくわからないものの、
ほんの少し前までの日本には、多くの地域で死者を土葬にする習慣があり、
亡くなった人を地面に埋めた後、何も処置をせずに放置すると、
獣が地面を掘り返して、亡骸を食い荒らすことがよくあったのだそうだ。

そうした悲劇を避けるため、埋葬した後しばらくは火を絶やさず、
火と煙(香り)の力で獣を近寄せなかったという習慣の名残が、
お通夜で線香を絶やさないという作法に繋がっているらしい。

俺は正直、こう言ってはなんだが、死後の世界を信じていないし、
特定の宗教も信仰してはいない、ぶっちゃけ不信心者の現実主義者なので、
父の死は耐え難い辛さであったものの、
お通夜や葬儀という儀式自体は単なる茶番だと心底思っていたのだ。