2 :
空気読めよ ◆GANDAM.i3E :2008/06/29(日) 14:54:14 ID:JYTgX0uOO
>>1 糞スレ立てんな蛆虫死ね
まぁせっかくだから2ゲトしてやるけど
落ちてるってどういうことやねん
>>1乙
ついでに投下。
僕の学校には図書委員長が二人いる。一人は僕。
もう一人は眼鏡に三つ編みおさげの地味目の子。
放課後いつも図書室に現れる。
生徒が騒いでいると、キッと睨んだかと思うとつかつかと近寄って、
「騒ぎたいなら他所へ行ってください」と怒る。
本を乱雑に扱うと、ポルターガイストが起きる。
返却を忘れた生徒の所へ、注意しに現れたりもするらしい。
役職上、僕も何度か話した事がある。
一度、会話の流れで「イメチェンしてみたら」といったら、むっとした表情で睨まれた。
でも次の日、眼鏡外して髪もまっすぐおろしてた。
可愛いとほめたら、顔を赤くしながら「からかわないで」と怒って消えた。
翌日からはまた三つ編み眼鏡に戻っていた。
密かにファンクラブも出来ている事を彼女に教えるべきでしょうか。
6 :
本当にあった怖い名無し:2008/06/30(月) 04:08:06 ID:Emva5IQP0
おぉ、また立ったか。ありがたやありがたや。
8 :
本当にあった怖い名無し:2008/06/30(月) 19:27:20 ID:Vfzc+Ifl0
まだあったのかこのスレw
9 :
ちんこまんこうんこ:2008/07/01(火) 00:54:12 ID:k7EY8YHTO
ちんこまんこうんこ
前スレのログください
前スレを掘り出してみたが
最後の書き込みが5月12日ってw
6月26日だよ
13 :
本当にあった怖い名無し:2008/07/03(木) 00:35:07 ID:bDJRu3AIO
こんばんみ
てす
もうすぐ夏休み。
もう一人の図書委員長に、事務的な確認事項をかねて、夏休みの予定を聞いてみた。
「別になにもないわ。いつもどおり、ここで仕事するだけ」
相変わらずの事務的な返答だ。
「じゃ、7月30日も、予定ないんだね?」
僕が確認すると、彼女は不審そうな表情を浮かべた。
「それが何?」
「その日、夏祭りなんだ。せっかくだし、一緒に行かないかなって」
なるべく不自然にならないように意識してみたが、態度に出たんだろうか。
彼女は眼鏡の奥で目を伏せると、ただ「ごめんなさい」とだけ言って向こうへ行ってしまった。
16 :
2/4:2008/07/05(土) 20:34:13 ID:tP8Oba0R0
夏休みに入った。
図書室は学生に解放されているので、僕は毎日通っていた。
もちろん彼女も毎日顔を出している。
その日、図書室を閉める時間にたまたま二人きりになった。
しつこいかなと思ったけど、もう一度だけ聞いてみた。
「花火だけでも一緒にどう?」
「無理。…私、図書室と関係の無い場所には行けないから」
最後はポツリと呟いて、彼女はそのままふっと姿を消した。
彼女を傷つけてしまったことに、僕はようやく気が付いた。
17 :
3/4:2008/07/05(土) 20:35:04 ID:tP8Oba0R0
7月30日になった。
あの日以来、彼女の姿は見えなくなった。
乱れた本棚や溜まった返却本の山がいつのまにか片付けられたりするから、一応図書室の中にはいるらしい。
僕はあの日から決めていた事を行動に移した。
すっかり日が暮れた。縁日の明かりがよく見える。さすがに喧騒までは届かないみたいだ。
「…無断で本を持ち出すなんて、あなたらしくないわね」
不機嫌な声が後ろから響いてきた。振り返ってみたが、姿は見えない。
「でも、どうして学校の屋上にいるの?」
「ここからなら見えるから」
丁度いいタイミングで、花火の打ち上げが始まった。
「…あ」
「へへ。どうしても一緒に見たいと思ったからさ」
次々と咲く大輪の花。やや遠いが、綺麗な光景はくっきり見えるから問題ない。
ちらりと後ろを伺うと、彼女は姿が見えるようになっていた。
花火の光に照らされた彼女はとても綺麗だった。
18 :
4/4:2008/07/05(土) 20:37:07 ID:tP8Oba0R0
「はい、これ。勝手に持ち出してごめんなさい。こうでもしないと君を図書室から連れ出せないと思ったから」
「いいわ、今回は許してあげる」
いつものつんと澄ました顔で本を受け取る彼女。
「来年も一緒に見れるかな?」
僕が尋ねると、彼女はちょっとだけ上目遣いになって答えた。
「…規則を守らない人と一緒は嫌」
「ひょっとして、ちゃんと借りた期限内の本でも大丈夫なのかな?」
「…知らない」
彼女は顔を真っ赤にすると、慌てて消えた。
よし、明日さっそく確かめてみよう。
保守
/ \__
,.;/__,'、 `ヽ、
/,`, ! ゙'、 '、
/ i i, i '、 ! i (
! !.、!'、 !、 、__',>-i ! i ヽヽ,
, | !'、|, 、.'、`゙ーィ- 、| | ', ノ i < 落ちればよかったのに・・・
(ヽ、 ! ! !' kソ i'し| ! ! , ! ( ヽ、
,`ヽ、 r‐' / ,. `i i ''´' ''`' '|i ノ , i ', `r'ヽ )
゙` `゙`‐-- 、 ノ ,.. ) ,'´ ヽ. !゙ ‐-ニ. -,' ゙!i / ! |、! ヽ-'゙
_____ ヽ_─────! ' ) ̄ ̄ ̄(^ヾ!>-| 、 /ノ'ソ) i| i i! ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
` ー'´ i /\ /!_,.>/'゙ !' ソ
__,r'ヽ) '゙´/ i
_ニ三ニ- ,__ /´ `'´ヽ`ヽ、 ヽ, _,.〉
_二二 - |l ) l_ __ ,- '‐'´ /
── ' ゙  ̄ r'ヾ, `゙" ‐r--,‐'_,l !,.-‐!' ヽ、
_________,|_|_ノ`! / ` ', ヽ
__________ ! | / ! \
__________゚_| ! | !、 | ヽ、
─────────‐。) ! | ! `ヽ -‐‐- 、_,ノ '、
───────── ' - '゙´ 、 | ヽ ,=、
二二二二二二二二ニl、__|─,‐(r '´`ヾ、'! ,、 !, ! i ,,..、 l i
,゙r'゙_,,.. ゙ヽ-ヽ 、 i |i , i ,.. ' | 、| ,...ヽr '
"、 ,. - ' ゙,. -ヽ、ソ- ' ゙ ヽ、 !゙ ! 'l ーi /i / | /`゙'ヽ、.i
あの幽霊は保守してくれたんだ…
私は写真家だ。主に風景を撮っている。
その日もより良い風景を撮るために、人里離れたとある森へと踏み入った。
そこで写した一枚の写真。
それが、始まりだった。
『出てたわね、あたしの写真集』
「…写真しゅ…?あぁ、そうですね」
『印税入ったんでしょ?モデル料、ちゃんと払ってよね』
「いや、その、お神酒用意してた筈ですが、口に合いませんでした?」
『あれじゃ全然足りないわ。あたしがモデルになってあげてるのよ?』
「いやだからそれやらせd…いえなんでもないですすぐ準備しますそのフィルム感光させるのや
最近は、心霊写真家で売れてます。
いえ、あくまで本業は風景写真家です。
>>24 海へ行こう! そしてぜひ水着グラビアを!
どこにデレがあるの?はNGワードですか、すいません
ツンには見えないデレでございます
まさかお見えにならないのですか?
28 :
本当にあった怖い名無し:2008/07/12(土) 23:02:38 ID:Bj4MguOk0
ならないです
ツンツンでも特に問題はない
前スレのDAT誰かあげてもらえますか?
ツデ霊「・・・」
男「ん?」
ツデ霊「なんでもない・・・かも」
男「うそこけ」
ツデ霊「べ、別にかまってほしいわけじゃないかも・・・」
男「・・・わかったわかった。一緒にポップンミュージックやろう」
ツデ霊「・・・」ぱぁ〜
男「・・・まぁ、いいか?」
保守
なんにちカキコがなかったらスレが落ちるのか教えなさい。
>>32 スレの立ち方次第
3日以上保つなら3日に一回sage保守すれば落ちんよ
人形には魂が宿るといわれる。
人の形をしている空っぽの器だから入りやすいのだと。
ならば発想の転換だ。誰かわからんものに入られる前に、先に見知った身近な誰かを入れておけばいい。
とは言っても、誰か殺すわけにはいかないし、死んでる身内というと母親かばあちゃんくらい。それはいろんな意味で嫌だ。
「…と言うわけでそこの彼女!好きなの選べ!!」
ガクブルしながら美少女フィギュアコレクションを示してみた。実際に入ったら即神社仏閣巡りさせてやる。
The・怨霊という風情の女幽霊はコレクションケースの方を一瞥すると、凄まじくバカにしたような嗤いを浮かべた。
『あれ全部先客いるんだけど』
「なにいいいぃぃぃっっ!?じゃあ勝手に動いたり視線を感じたり金縛られた時に襲われたのは夢じゃなかったのかああぁぁぁぁ!?」
『みたいねあんたバk』
「というかなんですか生き人形!?あれですか俺がハァハァしてるとことかガン見られてたわけですかむしろ萌え?いや中身によっては微妙か!!」
『ちょt』
「いやしかし中身オサーンでも外見上問題ないというかそんな女現実に五万といるしむしろ動物霊獣耳尻尾で」
『今あたしが脅してんだからこっち向きなさいよっ!!』
「ウルセェババァ成人三次元に興味は無い失せろ!!」
『なんですってええぇぇぇ!?』
首を絞められて気絶した。
その後なぜか女幽霊に取り憑かれた。
本人曰く『まずはまともな人間にしてから改めて殺す』とか言っている。
食事がどうだ掃除がどうだと生活全般に口出ししてくるだけでもウザイのに、
幽霊のくせにファッション大好きらしくて着替えた姿をいちいち見せにくるのは勘弁して欲しい。
最近は同士として目覚めたのか新しく購入したフィギュアに興味を示しているようだ。
こっちが見てるのに気が付くと慌てて『空っぽかどうか確かめてるわけじゃないから』とか言っている。
ちなみに今のところ中身無しを入手した事は無い。うむ、魂を宿らせる職人技は素晴らしい。
こつこつこつ。
足音が響く。私のヒールとは違う、多分、男の足音が。
ショルダーバッグを握る手に力が入る。
静かな裏通り。近くには墓地もある。この時間帯になれば人通りなど皆無。後悔しても遅い。
足音は、ずっとついてくる。なんだか近づいている気もする。
墓地の手前に街灯らしき光が見えた。その下では女性らしき人影が光にあわせて揺らいでいる。
内心ほっとする。横を通り過ぎた。
ここを抜ければ、表通りまではすぐだ。自然早足になる。
気が付くと、後ろの足音は消えていた。ちらりと後ろを振り向くが、明かりの無い道が伸びているだけだった。
そこで、違和感を感じた。今度は立ち止まって後ろを振り返る。
墓地の前でさっきまで煌々と道を照らしていた光。あれは、どこへ行った!?
私はそこから走って逃げた。二度とこの道は通るまいと固く決意しつつ。
『何してたんですか若い娘さんの後を追いかけて』
『別に。無用心なあの娘が偶々俺の前を行ってただけだ』
『そうですか』
『そっちこそ、やけに派手に人魂飛ばしてたが?』
『落し物を探すのに照らしていただけです。この辺街灯ありませんし暗いと見えませんから』
『そうか?』
『そうです』
37 :
本当にあった怖い名無し:2008/07/20(日) 01:27:56 ID:xRHenUdA0
べ、別にあんたの為に上げたんじゃないんだからね!
落ちそうだから上げただけなの。
分かってるの?
>>38 ば……ばかっ、糞スレなんか落ちちゃえばよかったのよ!
どうやら幽霊にとり憑かれたらしい。
恨みを買った憶えはないのだが、最高に無惨で惨たらしい死にざまを
プレゼントしてやる、と宣言された。
今朝も。
「右折車に巻き込まれて死ね」
……それが最高に無惨な死にざまかどうかは置いておくとして。
「どこで?」
「消防署の。十字路」
「わかった」
「くたばれ」
まあ、通学路を変えればいいだけの話で、呪いは成就しなかった。
いつものことだ。
ばからしいが、奴が飽きるまで付き合ってやろうと思う。
友人と二人、軽い気持ちで心霊スポットに行ったんです。
一家惨殺の殺害現場と言われている極ありふれたスポットです。
ビデオ回しながら廃墟の中をうろついて、でもそのときは特に何も起きなかったんですよ。
拍子抜けだったなって笑いながら帰って、それから回してたビデオを見ようという話になって。
で、見たんですよ。そしたら、そのビデオ。
これってやっぱやばいんでしょうか。
俺たち以外の声が…――。
俺「お邪魔しまーす」
?『嫌よ。ちょっと、嫌って言ってるでしょ。何勝手に上がりこんでんのよ』
友「誰かいますかー?」
?『ここにいるわよ。あんた達ね、非常識にも程があるわよ』
友「こっちは何の部屋かな?」
俺「居間じゃね?」
?『見たらわかりそうなものだけどね。ていうか人の家の中勝手にうろうろしてないでよ。せめて靴を脱いで
(中略)
俺「お邪魔しましたー」
?『ほんっとにお邪魔だったわよ…て、え、もう帰っちゃうの?な、何よ心霊スポットに来といて何も体験しないで帰るつもり?えっと、こういう時は、取り憑くものなんだっけ?いや別にあたしはそんな暇じゃないし』
俺「なんだよ、何も無かったなーw」
友「取り憑かれてたりしてなw」
?『!!―そんなに言うなら仕方ないわね、憑いていってあげるわよ♪』
42 :
本当にあった怖い名無し:2008/07/27(日) 20:07:30 ID:B9ZvIjnZO
ほ
も
へ
45 :
のぞき:2008/08/01(金) 01:36:36 ID:vF9hoW9zO
…ざばぁぁ…チャプン…
「ふ〜…やっぱ風呂は生き返るぜ〜」
…
……ジィ〜
……………
「…とりあえずこっち凝視すんな。そして速やかに風呂場から出てけ」
「なっ…!なんで分かったの!?
(姿は消してるはず…!)」
「その台詞は人魂を隠してから言おうか」
…な、保守
卒論の追い込みで、殆ど毎日研究室に泊り込み状態だった時の話。
時間は既に深夜をまわっていたと思う。
疲労が溜まりうつらうつらとしていた俺は、誰かが窓を叩いている音で目を覚ました。
何とはなしに後ろを振り返り、そして思い出す。
この部屋は3階で、あの窓の向こうには足場も何も無い。
それなのに、窓の向こう側で、下から伸びた右手が窓を叩いている。
恐怖のため動けない俺は、ただそのノックを聞くしかなかった。
そうしているうちにふと気付いた。音が一定のリズムを刻んでいる事に。これは確か運動会の――
「…三三七拍子?」
無意識に漏れた声に、右手は一瞬動きを止めた。
そして、ばん!!と一回大きく窓に掌を叩きつけると、すっと消えた。
翌日からも夜中に窓を叩かれた。何時間か毎にバンバンと何度か激しく叩くだけで、あのリズムは二度と聞かなかったけど。
でもおかげで居眠りすることなく、卒論締め切りには何とか間に合った。
『ありがとう、おかげで卒業できるよ』とお礼を書いた紙を窓に貼り付けておいたら、
次の日結露で曇った窓一杯に『別にあんたにお礼言われるような事何もしてないし勘違いしないでよね!!』という文字と、
あっかんベーの可愛いイラストが書いてあった。
記念に携帯カメラで撮っておいた。今も大事にしている。
幽霊とかじゃなくてもいいから可愛い女の子に照れ隠しのアッカンベーをされるのが
一生の夢な俺惨状!
可愛くないやつにならされたことあるが
当然ぶん殴った?
ほしゅ
51 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/07(木) 23:59:24 ID:uHlbXDDD0
ほっしゅるーむ
52 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/08(金) 15:27:37 ID:yfJTjekp0
53 :
泥田坊:2008/08/09(土) 01:03:48 ID:GEBybbGF0
「田を返せ〜田を返せ〜」
「いや、でもホント(開発計画が順調に進められて)助かったよ。ありがと」
「ば……ばかっ、日本人は米作ってればよかったのよ!」
「外国米輸入しないとな。またマンションたててもいいかな」
「ダ、ダメっ!これ以上食料自給率が下がったら危ないわゎ!!!」
翌週、なんか弁当用意して待っててくれました。
日本の米のうまさを教えてやるだけで、決して僕のために用意したんじゃないそうです。
意図せずして社会派
>>53 そうして日本のおなごの良さを教えてもらうんですねわかります
歩道橋の階段に、女の子の幽霊が居付いている。
彼女は人の足を引っ掛けて転ばすという悪戯をしている。
ただし、相手は若者限定、階段の上か下三段以内。
大きな事故なんて起きた事は無い。
俺はいわゆる見える人で、彼女に悪戯されそうになっても上手くよけて、
その度に睨まれていた。
ある時、遅刻しそうで急いていた為か、
俺は下ろうとしていた階段の一番上で足を踏み外した。
間違いなく死ぬ。
そう思った瞬間、すごい力で後ろから引っ張られた。
何が起きたか理解出来ないままぺたんと尻餅をついて呆けていると、
俺の体をすり抜けて彼女が階段を下りていった。
下から二段目の定位置で、俺のことを仏頂面で見上げている。
ううむ、今日は引っ掛けられてやるべきか。
gj
ブッチョ面(;´Д`)ハァハァ
57 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/12(火) 13:38:37 ID:IKxm6WVc0
これは書き込まざるおえない!!
ブッチョ面(;´Д`)ハァハァ
ブ、ブッシュ面(;´Д`)ハァハァ
プ、プッチョ面(;´Д`)ハァハァ
秋田「わー、みんなよく帰ってきてくれたねぇ♪」
島根「ささ、生まれ育った我が家でゆっくり寛ぐが良い」
広島「オタフクソースが恋しかったじゃろ?ぎょうさんあるけぇようけ食いんさいな」
千葉「オラオラ、早く菜の花体操すんぞ」
東京「………」
宮城「おーい東京、一緒にカーリングしようよ!あ、カバディのがいい?」
東京「……
気を使わなくてもいいよ…お盆に人がいないくなるのはいつものことさ…ハハ」
宮城「べ、別にあんたが寂しそうだからって訳じゃないんだからね!
知事に言われたからしょうがなく相手してやるんだからぁ!
か、勘違いしないでよね!」
大阪「タレント最高や!」
61 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/14(木) 14:38:06 ID:fXVDv/6WO
しまった宮崎と宮城を間違えたー!
島根と岡山も間違えてるし!
>>60 なんでマイナースポーツばっかなんだよwwwww
セパタクローもたまには思い出してね
>>54 おこめじゃなくてお○こを頂くわけですねわかります
お汁こ
お婿だろ
いえ、おめこです
ほ
け
俺の部屋には何かいるらしくて、時々食器や小物が部屋中を飛び交う。
何故か直撃は無いんで散らばった破片に気をつけていればよかったんだが、
3日前に壊されたのは、工房時代の俺がインディーズバンド活動していた時、
唯一発売されたCD。思い出のもの。
就活とかで色々不運が重なってたんでマジへこんでた時でさ。
なんだよ、未来も希望も捨てちまえっつー事か、
いっそ逝っちまおうかと思ってたんだが、
昨日勝手に点いたTVから、俺の曲がアカペラで流れてきたんだ。
歌ってるのは若い女で下手糞だったけどなwでも涙出た。
朝起きてみたら、そこ空きチャンネルだった。
そんな事もあるもんかね。
でもさっき着替えてる時に枕投げつけられたのはムカついた。
そういや暫く静かだったんだが、また煩い日々が始まるのかorz
「ねえ、もうすぐ夏休み終わるんだけど」
『だから何?』
「姉ちゃん、宿題手伝っ――」
『い・や。なんで死んでもあんたの宿題手伝わされなきゃいけないのよ』
「ううう…問題集は見せてもらうとして、自由研究どうしよう?
そういえばひまわりの種まいたけど、すっかり忘れてた。
枯れただろうな…」
『…まだ生きてるわよ』
「え?」
『勘違いするんじゃないわよ!
あんたがすぐ世話を放り出してひまわりが可哀想だったから!
て言うか今じゃあたしのものなんだからね!?
あたしのブログにも育成日記書いてるんだから!』
「育成日記!?そっか姉ちゃん昔から生き物の世話好きだったもんね!
すごいや姉ちゃん!さすが!後でブログ覗かせてね」
『んもう、仕方ないわねぇ』
姉ちゃん死んだの?
>>1にまとめwikiがあるのを見て迷わず飛び込んだ!
でも読みたかった話がなくてガッカリした
耳なし芳一面白かったんだけどなぁ…
>>74 ログはくれてやるから今すぐwikiを編集する作業に戻るんだ
ほ
ー
78 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/27(水) 01:58:37 ID:l3BTOQ270
あげといてやるが、
断じて貴様等のせいじゃないから
勘違いすんじゃねーぞ
このアホンダラメ等がwww
自分で言うのもなんだが霊感は全く無いと思っていたよ。
なんで、大学に入ったとき不動産屋さんのオッチャンが曰くつきと自白するような
アパートに安いと言う理由だけで迷わず入居したよ。都内、2K、駅まで徒歩10数分、
(築30年)、家賃4万、安いよな?
ただ遊びに来た友人が口々に言うのよ。
「夜中寝てるとミシミシ音がする」と、古いからなと言っておいた。
「人の声がしねえ?」と、住宅地だからなと言っておいた。
「窓から凄い形相の女が覗いてる!」と、ここは2階だと言っておいた。
まあ、心当たりが無いでもなかった。
片付けたはずの部屋が散らかっている、消したはずのラジオがついている、閉めたはずの
窓が開いている・・・。初め泥棒の可能性も疑ったけど、盗まれて困るものと言えば冷蔵庫と
ラジオくらいのものだったので放っておいた。
ようやく念願のテレビを買ったのが2年の秋、これは盗まれては困ると戸締り用心したのに
窓が開いてることがある。これはいよいよオカシイと思い始めてはいた。
でもってある日、アパートに女友達が来た。友達以上彼女未満な存在で「何も無いぞ」と
言うのについて来て、夕食まで作ってくれた。良い感じではあったけど、一気に発展する
こともなく駅まで送って帰らせたよ。
その夜のことだ、布団の中で後悔しつつ悶々としていると金縛りにあった。もちろん初体験の。
金縛りって、視覚と聴覚は起きてるんだけど残りはさっぱり動かないのな。だからなんか
言おうと思ってもヒューヒュー言って声にならない。そんな中で明らかに俺のではない声が
聞こえてくるのよ。初めはなんとなくボソボソと、でもよーく耳をすませてみると部屋の中、
つーか俺のすぐ傍で俺に対して訴えかけるように言ってくる。
「・・・デ、・・・・・・、・・・ンデ・・・、・・・・・・」
なるほど、これが大家や友人の言っていた幽霊か。状況を理解し何故だか冷静な俺。どうやら、
俺に「死んで」とか言ってるようだが・・・。怖がろうにも体が動かないし、叫ぼうにも声も
出ない。仕方ないので放っておいたら睡魔に襲われ朝になっていた。
翌日、友人にそのことを話したら、すぐに引っ越せと懇々と諭された。
俺は憑き殺されるんだろうか?少々悩んだが、引越しする費用も無いので住み続けた。
それから、俺が奴に遭遇する頻度は格段に上がった。
寝てると金縛りに遭う、耳元で「死ね」とか「出てけ」とか言う。
金縛りに遭わなくてもガタガタ物音がする、俗に言うポルターガイストってやつだな。
髭を剃ろうと100均で買ってきた鏡と睨めっこしてるとスゥッと後ろを通り抜ける、髪の
長い女性、ということだけは分かった。これがオッサンだったら困りものだが、女性なら
良いかぁ、という考えが頭をよぎったことは否定しない!
窓を開けっぱなしにすると雨が振りこんだり、本物の泥棒が入ってくるんで勘弁してくれ、と
何も無い天井に話しかけたら、以後窓が開けっ放しと言うことは無くなった。とりあえず、
話は分かる奴で安心した。
慣れというのは怖いもので、帰宅してテレビが点いていても気にもしなくなっていた。
見たいテレビがあるのでチャンネルを変えると、さっきまでのチャンネルに切り替わる。
この番組が見たいんだが、と訴えると電源ごと消しやがった・・・。あんまりやるとまた金縛りに
されそうなので自分の見たい番組は録画して後で見た(泣)。ちなみに、こいつ、ウリナリが
好きなようで毎週見ていたな。
便利なことも、100均で小さなホワイトボードを買って、今日の予定(アルバイトとか)書いて
おくと帰る頃に風呂が沸いてた。「アリガd」と言うと翌日から毎日風呂が沸いてた・・・。なんか
毎日お湯抜いて掃除してたみたいで、水道代もったいないんで2,3日に一回水は替えてたんだけど
好意を無にするのも悪いんで放っておいた。
3年の初夏、前述の女の子と親密な関係になることなく決定的に振られた。友人達と自棄酒を
呑んで帰宅する。着替えるのも面倒でちゃぶ台に突っ伏してグデーっとしてた。
体の右側からスーッと近づく冷えた空気。ああ、奴が隣に座ったんだなと理解した。
なんつーかね、少々自棄気味で取り殺されても良いやって気になってたよ。
ほっぺたに冷たいものが触った。ヒャッッ、と起き上がるとマグカップに麦茶が一杯・・・。
姿は見えねど奴が何処からとも無く言った。
「酒臭い・・・」
一度きちんと話してみたいと思ってたけど、こちらからの呼びかけには基本的に無反応だった。
なんつーか、きまぐれで俺にちょっかいを出してくるよーな感じだったよ。特に害も無かったんで、
俺も基本的に放置していたのだが、ある日本気で奴と喧嘩することになる。
当時流通しだしたPS、DVD機能搭載ってことで俺はビデオは買わずに必死でバイトして生活費
やりくりして購入した。ところが購入して僅か1週間、奴のうっかりからPSは帰らぬ星となる。
さすがに怒ったね、小一時間説教してやろうと思ったがぱったりと姿も見せない。そこで俺も
実力行使に出た。線香を束で買ってきて室内で延々と丸2日焚いてやった。ゴキブリに対する
バルサンのように!効果があるかどうか分からんが、その間友人宅に寝泊りし、3日目の夜、
その友人とアパートに戻った。
「こりゃまた盛大な・・・」
友人が唖然とするほど荒れた室内。とりあえず換気して部屋を片付ける。しばらく酒盛りしていたが
出てくる様子も無いので友人を自宅に帰す。夜も更けたので、布団を敷き電気を消す。うつ伏せに
していると線香の匂いが布団に染み付いているのがよく分かった。
「シクシクシクシク」
夜中に女が泣きながら・・・、実にまた古典的な表れ方で奴は現れた。のは良いんだが、ちょこんと
俺の背中の上に座っていた。小さな子供のような体躯だった。
「起きちゃ駄目!」
起き上がろうとした俺に叱りつけた。いつもなら金縛りに遭う展開だが体は普通に動いた。
ここで起き上がるのも無粋なんでじっとしていた。
「線香焚かれると死んじゃうのか?」
「煙かっただけです」
「よく分からんが悪かった、死にそうな目に遭ったんだな」
「うん」
「・・・、とりあえずどいてくんない?」
「うるさい!」
とうに泣き止んだ奴が当たり前のように俺の背中を占拠している。座ったまま
動く様子も無く、奴の尻からあるはずも無い温もりすら感じられた。
「そういや何故PS壊したんだよ?」
「・・・」
「こりゃ、高かったんだぞあれ」
「・・・、だってHなビデオ見るから・・・」
「・・・」
「・・・」
「覗いてたのかー?!お前はー?!」
ぐるんと勢いよく振り返ったが奴はいなかった。ただ、なんとなく高調した体温だけ感じられた。
どうやら夜中になると現れるわけではなく、奴は四六時中室内には居るらしい。要するに自縛霊と
いうやつか、俺は納得すると同時に室内に居る時は四六時中奴の視線を気にするようになって
しまった。これまでにした恥ずかしい行為が全部奴(女性)に見られてたと思うと、いたたまれない
気持ちになった。
しかし同時に、奴が現れる頻度もどんどん減っていった。パタリと居なくなったわけじゃない。
ただ、風呂が沸かしてあったり、新しい麦茶が作り置いてあったり、テレビがついていたりする
回数が段々減っていき、年が変わる頃には全く現れなくなっていた。アルバイトから帰ると部屋が
シンとしている、そんな当たり前の光景が寂しくすらあった。
人間どころか奴にまで振られちまったかな・・・、そんな気分だったよ。
ある日、夢を見た。
夢の中で金縛りに遭う夢。
奴が出てくる。
なんだかよく分からんけど謝っている俺。
奴がゆっくりと俺の顔を覗き込む。
あと少し・・・、顔が見えると思ったところで目が覚める。
がっかりする俺。
「いるんだろ・・・、出て来いよ・・・」
天井に語りかけても何の反応も無かった。
4年生の春、あっさりと就職も決まり卒論を書く以外は毎日のように遊び呆けていた。
もうこの頃になると奴のことも諦めていたよ。彼女と言える存在も出来て2人でよく遊びに行った。
俺のアパートに行きたいとよく言うのだがそれだけは勘弁してもらった。奴はもう居ない、
しかし、なんて言うのかな信義観念を損なうというか、この姿を見せたくなかったと言うか。
彼女曰く「浮気してるのがばれるから」、うん、これが一番近かったかも知れんな。
しかし、ついにその日がやって来てしまう。ゼミ室で呑んでいるうちに彼女の終電終了。
計画的犯行なのは明白なのだが断る理由も無くアパートに連れてきてしまった。
何故か点いているアパートの明かり。
ドアを開けたとき、見覚えの無い、いや見覚えないだけでよ〜く知っている女がちゃぶ台の前で
正座している光景を彼女と二人で見たときの俺の心情はどうすれば伝わるだろうか・・・。
「誰?」
にこやかに、こめかみを震わせながら聞く彼女。
「何て答えれば良いんだか・・・」
とりあえず靴を脱ぎ彼女共々室内に入る。初めて直視する奴の顔は凛としていて、どこか冷たさを
漂わせていた。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
三者一同に押し黙ったまま。このままでもしょうがないので俺が話の口を切る。
「久しぶり、で良いのか?」
「・・・」
デニムのスカートに黒っぽいTシャツ、幽霊といって彼女が信じるかどうか・・・。
「どこ行ってた?」
「何言ってるの?毎日ここにいたのに」
「毎日・・・?」
「ていうか、あれ誰?」
指差された彼女、既に目をひん剥いていて全力で俺にグーパンチした。
終電の無いはずの彼女が何処に行ったかは知らん。
なんつーか、頭の混乱してるのをどうにかしようと思った俺はとりあえずちゃぶ台の前に座った。
奴が麦茶を一杯コトンと置いた。
「お前さぁ、俺になんか怨みでもあるのかよ?」
「別に、ただつくづく女運無いんだなぁと思って」
「ああ、俺も本当そう思うよ・・・」
麦茶を飲みつつ覗き見た奴の顔がどこか微笑んでいたのは見間違いでは無いと思う。
後に知ることになるのだが、この時「彼女」は二股かけていたそうだ。もう一人と俺を比較した時
おそらく付き合っていても切られたのは俺だろうと思う。しかしなんつーかな、あの時に奴が
邪魔しなければ「彼女」と結合できたわけで、それだけが悔いで、全くもう・・・。
その日を境に奴は当たり前のように俺の前に姿を現すようになった。夕食時になるとしばしば
現れて俺の分まで食べるので、最近は少し多めに夕食を用意している、おかげで肥った・・・(泣)。
駅前まで買い物についてくるのはまだ許せるが、この前など電車に乗りやがった、お前自縛霊じゃ
ないのかよ?!彼女が出来ないのはお前のせいだからヤらせろ、と酔った勢いで言ったら金縛りに
あった。試しに酒を呑ませたらべらぼうに強くて、ゼミの飲み会連れてったらすっかり教授の
お気に入りになってしまった。学生じゃないくせに卒コンまで参加しやがった。
社会人になった俺、片道1時間以上の道のりをえっちらおっちら通っている。
「引っ越すならついていってやってもいいよ」
エプロン姿するなら晩飯くらい作ってくれ・・・。
「紫鏡・・・か、アホらしい」
結局、小学生の頃に聞かされてから成人式が終わるまで、忘れなかったな。
「ま、都市伝説なんてこんなものだよな」
「まだ、分からないぞ。久しぶりだな。死にたがりの克也」
懐かしいあだ名だ。たしか、中学の時に付いたあだ名だったな。そのあだ名を知ってるってことは、中学の時の同級生か?
・・・ダメだ。思い出せない。
「思い出せないか。克也らしいな」
「中学離れて、もう何年になると思ってるんだよ」
そう。中学時代だ。俺は、とにかく無気力で死にたかった。あの時、俺が何をしたのか思い出せないが、とにかくどん底にいたことは思い出せる。
家族が目の前で死に、頼れる親族も力もない時代。追い風のごとく、俺に対しての悪い噂と白い眼差しの数々。まさに、絶望の泥沼の最深部のような状態。それでは、死にたくもなるというものだ。だが、なぜか俺は生きている。なぜだった?何かあったはずだ。
「しかし、死ぬことは諦めたと思っていたのだがな。まさか、最後の悪あがきのごとくあんなものを信じて覚えているとは。首を落としてあげようか?」
「・・・ああ、お前か」
思い出した。いや、はっきりとは思い出せないが、俺はこいつを知っていた。死を求めた俺から、死を最も近いところで遠ざけていった奴だ。俺は、こいつのせいで死ねなかった。
「久しぶりなんだ。変わったもの同士、孤独だろうから飲みにでも行こう」
「しかし、まさか克也が生きているとは思わなかったぞ」
成人式が終わり、誰からの誘いもなかった俺たちは、二人で飲みに行くことになった。
「ここは、あまり変わっていないな。あの時と一緒だ。しかし、事務員の人が変わっていなくてよかった」
「まさか、こんな場所で飲むとはな」
そこは、俺が最も死を望んだ時にいた場所。そして、こいつと出会った場所でもある。
「気に入らないか?まぁ、無理もないか。出身中学の屋上なんて、華のない場所で飲むんだからな」
「まぁ、そうでもないな。懐かしすぎはするけどな。・・・何だよ?寒いんだけど」
俺は、寒いので酒を開け飲み始めようとしたが、こいつに睨まれた。
「乾杯ぐらいしようとは思わないのか?相変わらずの間抜けだな。それでは、飲み会も呼ばれないだろ?ほれ、乾杯だ」
口の悪さも、相変わらずらしい。
「・・・すまん。乾杯」
「しかし、懐かしいな。ここでは、色々なことがあったな」
「・・・ああ、ありすぎたな」
無口ながらも、お互いの口が少し軽くなる程度に飲んだ。しかし、こいつは以外と飲む奴なんだな。
「覚えているか?初めて会った時のこと。克也は、ここから飛ぼうとしていたのだったな。死にたいくせに、足を震わせながら」
「ああ、それでお前が後ろから押したんだったな。で、俺はバランスを崩して倒れたな」
あの時のことは、なぜか覚えている。というより、死のうとしたときの事は、ことごとく覚えている。死のうとするたびに、こいつが絡んできたのもよく覚えている。
「『何だ。飛ばないのか。つまらないな。ああ、死ぬ気なら首を落としてあげようか?』だったな」
「無関心だった割りには、覚えているのだな。つまらないやつめ」
他にもあった。カッターを手首にあてたら、隣からハサミが飛んできたり、科学室の薬品棚を見たら隣に沸騰した熱湯をぶちまけてくれた。さらには、冬のストーブの給油時には真隣で焚き火を始めたりした。しかも、なぜか全て俺が怒られた。
「・・・思い出してみたが、あまりいい思い出ではないな」
「そうかな?私にとっては、中々スリリングで傑作的な思い出ばかりだったがな」
まったく奇妙な奴だ。これだけ奇妙で、変に絡んできていた奴なのになぜ俺は思い出せない?
・・・いや、そもそも知らない?同じクラスにいたか?同じ学年にいたか?同じ学校にいたか?何年間?俺が?こいつが?
「混乱させてしまったか。だが、ようやく答えに近づいたみたいだな」
「答え?どういうことだ?」
こいつは、俺を知っている。俺も、たしかにこいつを知っている。だが、こいつは俺の名前を知っているが、俺はこいつの名前を知らない。
・・・名前を知らない?一緒に授業も受けたのに?
「一緒のクラスなのに、名前を呼ばれてない?」
「おお、答えまでもう少しだ。そうだな。私は、克也といつも一緒だった。だが、誰も私の名前を呼ぶ人はいなかった」
見えない人?いつも一緒?いつから?どこから?
「・・・あ」
「ようやく思い出したか」
俺は、こいつを知っていた。中学からなんかじゃく、もっと前から。
――あの時から。
「迷い込んだ廃墟寺の鏡の前にいた女の子」
「ま、お前ではここまでが限界か。そうだ。私は、荒神を祭りし名もなき寺の祭られし者だ。まったく、お前が思い出すまでどれだけ待ったことか」
全て思い出した。子供の頃に見つけた廃墟寺。そのなかにあった美しく光る薄紫色の鏡。その鏡の前に、静かに座る美しい少女。
好奇心で話しかけたもののどこか噛み合わないが、なぜか面白い話。ある時期から、急に隙間風のような冷たい空気の流れる家族仲。亀裂の広がる家族。
家にいるのが嫌で、廃墟寺に自然と足が向く日々。ある日来た家族の崩壊。一家心中で、俺だけ生き残った。父親自ら家に火を付けた。
その炎の中にも、彼女はいた。静かにたたずみ、火だるまになった父親たちをやはり静かに撫でながら、こちらを見て悲しそうに微笑む少女。
今、全てを思い出してしまった。
「お前は・・・死神?」
「・・・ある意味正解か。まぁ、本当は荒神でもなければ、死神でもないのだがな。単なる不幸な流行り病と突発的なアクシデントで、伝説化されながら死んだ寂しい女だ」
こいつは、自嘲的に笑うと酒を静かに傾けた。
「・・・そんなことはないだろ。お前は、俺を助けたじゃんか」
俺は、何となく彼女の今見ているものを見てみたくなり、対面からゆっくりと彼女の隣に移動した。
「あれは・・・勘違いするな。助けたわけではく、寂しくなるとかでもなくて・・・まったく、相変わらず鈍感な奴だ」
「何がだよ?」
彼女は、隣に座る俺を軽く頭で小突くとそのまま寄り掛かってきた。俺は、それを見てからまた正面を向き少しだけ酒を飲んだ。
父親が、みんなを殺して回っていた時なぜか俺は庭にいた。
よく分からず寝呆けながら月を見上げていた。
気が付いて家を見ると、すでに火の海になっていた。そうだ。あの時、たしかに誰かに呼ばれて庭に出た。そして、すすめられるまま月を見上げていた。
「髪、綺麗だな」
「・・・そう言ってくれるのは、二度目だな。まったく、私の心を何度鷲掴みにすれば気が済むのだ。・・・克也。お前は、全てを思い出した今でもまだ死にたいのか?」
縋るような目で見上げる彼女。前にも一度あったな。あの時は、たしか『死にたいか?』と一言だけ聞かれたんだったかな。
「正直、分かんないな。今いる場所は、やっぱり死に近い場所にいるから」
「・・・相変わらず答えは、曖昧なのだな。だが、だからこそ私は、お前を好きになったのかもしれないな。ああ、酔っただけだから気にしないでくれ」
彼女は、そのまま寄り掛かる態勢からあぐらをかく俺の足を膝枕にして寝転がった。
果たしてこいつは、本当に酔っているのか?
「・・・紫鏡の呪いだが、実はあれはあの寺にあった鏡のことだ。克也、もうすぐお前の誕生日も終わるな」
そう言うと彼女は、ゆっくりと起き上がりながら俺の首に手を伸ばした。
――ああ、俺・・・死ぬんだな――
俺は、空の月を眺めながら他人事のようにそんなことを考えながら、ゆっくりと目を閉じる。
彼女の手は、喉にはかからず俺の後頭部に伸ばされ腕を首に回された。恐らく、苦しまないよう絞め殺すのではなく首の骨を折るのだろう。その腕にはゆっくり力がこめられ―――。
柔らかな温もりが、俺の唇に当てられた。
目を開くと彼女は、俺に跨りその腕で俺の首を抱きながら月を背に口付けをしていた。
彼女の幼げながらも、しっかりした顔。酒のせいか、薄くだが朱のかかった頬。そして、月の光を受けて淡く輝く美しい黒髪。
俺の魂は、一発で持っていかれてしまった。
「ん・・・私からの呪いだ。お前は、これから長く一人の女に苦しみ死ぬだろう。だが、その女以外のことで死ぬことは許さない。お前は火消しだ。だが、どんな炎に罷れようとも、死ぬことは許さない。紫鏡の呪いだ。分かったか?」
「呪いってか、魔力だな。また、俺を遠ざけやがった。あと、火消しは古い。今は、消防士って言うんだ」
彼女は、さらに強く俺を抱き締めてきた。これはもう、完全に放してはくれないな。
「そうか、私もまだまだ勉強不足のようだな。克也よ。もう、寂しいのはごめんだ」
「・・・そういや、名前を知らないままだったな。俺に、死ねない呪いをかけて苦しめる女の名前ぐらい教えてくれ」
俺の言葉に彼女は、目を潤ませ俺の顔を見つめてきた。
「そうか・・・そういえば、名乗っていなかったな。ならば、呪いを完全なものにするため名乗るとしよう。私の名は――――」
「先輩!凄いっすね!あんな炎の中に入っていけるなんて、他の先輩にも真似できないっすよ。おかけで、また一人助かりましたね」
「家屋全焼に完全倒壊か・・・真似するなよ?」
俺が言うと後輩は、全力で首を横に振った後事後処理に走りだした。
「まったく、また無茶をしてくれるな。ヒーロー気取りの凡人克也よ」
「相変わらずの手厳しツッコミで・・・ありがうとな。倒壊寸前のビルを支えてくれたうえに、炎から守ってくれて」
一休みしていた横に現れた彼女に俺は、素直に礼を言う。実際、彼女がいなければ俺もやばかった。
「勘違いをするな。たまたまだ。それに、私以外のことで死なれては、呪いの意味がないだろう。まったく、克也のせいでどんどん能力が神がかっていく」
文句を言いながらも、満足そうな顔をする彼女に思わず苦笑してしまう。
「む、何が可笑しい?」
「いや、何でもありませんよ。さて、もうすぐ交替時間だしとっとと帰って、報告したら帰りますかね」
徐々に引き上げていく仲間たちの列に加わりながら、やはり苦笑を浮かべながら俺はつぶやく。
「まったく、寺から鏡を持ち出されたせいで、克也のもとから離れられなくなったよ」
「嫌だったか?そいつはすまなか――って!悪かった。冗談だよ」
俺は、彼女に軽く小突かれながら家路を急ぐことにした。
「――ばか。そんなわけないだろう。私の愛しき克也よ」
「ん?どうした?」
「聞こえずか。何でもない。早く帰るぞ。家には、私の試作したご飯が待っているからな」
彼女の呟きは、たしかに聞き取れなかったが言いたいことは何となく伝わった。
帰ったら、鏡を研いてあげるかな。
俺に呪いをかけた愛しきあいつのために・・・。
100 :
ちんこまんこうんこ:2008/08/28(木) 03:33:21 ID:uKg0uOzT0
ちんこまんこうんこ
101 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/28(木) 05:28:43 ID:Y668wB5t0
引っ越してきた我が家には女の子の幽霊がいるらしい
小5か小6くらい
ネタっぽいかもしれんが事実
糖質と思うなら笑ってくれw
実際に目撃というかいつも夢の中で会う
しかし普通の夢と違ってちゃんとベットから起き上がる所からはじまる
家の中も実際と同じで幽体離脱のような感じ?
んで家の中でその女の子に会うのだが・・
この子激しくつれない
ほとんど喋らんしいつも横向いてる
服は20年くらい前のファッション
この前やっと名前を教えてくれた
最近、この状態にも慣れてきていろいろ質問したり
観察できる余裕がでてきた
俺、もともとロリぎみだしw
でもこの前すごく付きまとっってらすげー勢いで睨まれたorz
それから出てこなくなっちゃったんだけど・・
霊にもひかれちゃったんだろうか・・ううっ
>>101 そこでツンデ霊ハンターにジョブチェンジするんですねw
いいなぁ…いもおとほすぃ…
103 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/31(日) 05:23:39 ID:a6S2KZj2O
久々
最近バイクが重くて仕方ない。丁度一人分タンデムしている感じ。
ガソリン余分に食う以上の実害は無いので放っておいた。
ネットの仲間でのツーリングオフに参加した。そのうち一人はかなりの美女。
特別仲良くなりたかったが、エンストするわ突然ブレーキロックかかってこけそうになるわ散々迷惑かけていいとこなしで終わり。
後日ネット反省会でも皆は笑って許してくれてたが俺は申し訳なくて仕方なかった。
その時のオフ仲間とはメール交換してたんだが、美人の彼女からメールが来た。
『許してあげてね。悪気があったわけじゃないから』
何の事かわからず彼女に確認してみた。
彼女曰く俺のバイクには、いわゆる幽霊が同乗していたらしい。
で、何か知らんがえらく不機嫌で、そのせいでバイクに色々な支障が出たとか。
『悪霊ですか!?』
『いいえ、どちらかと言うと守護霊かな。
君、惹きつけやすい体質みたいであのオフの日も結構あっちこっちで引っ張られそうになってて。
だけど彼女が追い払ってたみたい。まぁ彼女も君に憑いてる一人なんだろうけど(笑)』
そこは笑うべきですか?
美人の彼女とはその後もオフで会ってるが、霊的な事象での特別な友人関係にしかなれない。
勝手にタンデムしている方の彼女は、バイクメンテナンスとか手伝ってくれる今日この頃。
105 :
本当にあった怖い名無し:2008/09/03(水) 01:35:02 ID:72MCHs2/0
何沈めてんのよ?
ごめん
上げといてあげるわよ、この馬鹿。もうどうしようもないんだから。
いつもありがと。
な、何言ってんのよ。たまたま目に付いたからあげておいてあげるだけなんだから。
うん。それでもかんしゃしてるよ。
ば、馬鹿(///)勘違いしないでよね。
うん。
(///)バカ・・・。
うん。
(///)・・・。
・・・。
106 :
本当にあった怖い名無し:2008/09/04(木) 22:19:54 ID:Xr3NdL4G0
なにがツンデ霊だよwwww
過疎スレ晒しageざまぁww
過疎スレ晒したって意味なくないか?
108 :
本当にあった怖い名無し:2008/09/05(金) 00:05:12 ID:sZ6cE+l10
そこは、ほれ、基本ツンデレだから。
しかし、
>>105といい、
>>106といい、
シンプルな作品は味があるな。
109 :
本当にあった怖い名無し:2008/09/08(月) 00:42:18 ID:FpPdVKRL0
110 :
本当にあった怖い名無し:2008/09/10(水) 02:54:02 ID:vigfJeDT0
kono sure
kiete nakute
yokatta
111 :
本当にあった怖い名無し:2008/09/11(木) 00:52:56 ID:XSX/WNKh0
>>110 ikoku kara irasita tunderei sama desuka ?
112 :
すろーらいふ1:2008/09/14(日) 20:17:26 ID:OJkJ8grf0
1
いわゆる自給自足に憧れて、この春から田舎暮らしを始めた。
地元の不動産屋に紹介してもらった農地付き物件は、年季の入った廃屋っぷり。
だが、そのリフォーム作業も含めて充実した毎日だった。
その部屋だけは、何故か他より保存状態が良かった。床も壁もしっかりしていて、雨も隙間風も虫も入り込まない。
だから、その部屋を寝泊りするための場所に使っていた。
気が付いたのは暮らし始めて二週間ぐらいしてから。前兆はもっと前からあったのだろうけど。
人魂、と言うのか。
目の前数センチのところで、ゆらゆらと光の玉が泳いでいる。
寝起きのぼんやりした頭で、それを眺める俺。
暫くそのままだったが、目覚まし代わりの携帯電話が鳴り出した途端、光の玉は驚いたように明滅してから消えた。
2
この屋敷は、どうやら先住者憑きらしい。
色々世話になっている一番近い隣人に何とか聞きだした結果だ。
どうも近所の人から敬遠と言うか奇異の目というか、新入りと言うのとはまたちょっと違う感じで見られているとは思っていたのだが。
過去に住人が首をくくっただの、おかしくなってしまっただの、話す人によって内容は違う。
何処まで本当なのかはよくわからないが、十数年前に越してきた家族が一月も経たず出て行ったのだけは確からしい。
誰もいなくなったこの家の中で彷徨う人魂を見た人もいる。
秘密が暴露されたと知るや、気兼ねなく噂話を聞かせてくれた近所の人は皆『取り殺される前に』と口を揃えるが、そういうのはもっと早くに。。。
財産の殆どをここの購入資金に充てた俺は、後には引けないという殆ど意地で、ここで暮らし続ける事を選択した。
庭にテントを張り、そこを拠点にして屋敷のリフォームと畑作業に精を出す日々。
何か微妙に間違っている。
季節はそろそろ夏になろうとしていた。
3
子供の頃、何とかって怪談を図書館で読んだ。
気の強い男を脅かそうと日替わりでお化けが現れるという話。
今まさにそんな状況だ。
あれから毎日、家の中限定、特にあの部屋を中心に、何かしら怪異は起こっていた。
お経や枯れ木を叩くような音が一晩中続いたり、火の玉が飛び回ったり、誰かが歩き回ったり。
障子や天井一杯の顔が出た事もあるし、屋敷が火事になった幻を見せられた事もある。
客観的に見ていられるのは、慣れ、なんだろう。
建物から一歩出れば、それらが外まで憑いてくる事もなかったし、
殆どが幻で構成されている、要は命に関わるような大事が起きていないという事もある。
むしろ日中の労働後にテント泊という生活の方が体に堪えていた。
ある時、雨がテントを叩く音で目を覚ました。
結構激しい。
畑の様子や修繕道具を確認する必要があるだろう。
起き上がろうとしたが、体中が酷くだるくて、結局断念した。
頭も体も激しく痛む。
転がったままぼんやりしていたが、視界がふぅっと暗転するのを感じた。
次に目を開けた時も、テントを叩く激しい雨は続いていた。
それ程時間は経っていないようだ。
いい加減起き上がらないといけないのだが、いかんせん体は石のように重いまま。
再び意識を失いかけた時、ふわっと湿った風が入り込むのを感じた。
三度目の覚醒は、今までと違う音のせいだった。
てん、とん、てん、ててん。
断続的に床を叩く音。雨漏りだ。慌てて起き上がった。
そしてあたりを見回して、そこがテントの中ではない事に漸く気付いた。
「…あれ?」
何時の間にか、リフォーム真っ最中の屋敷の、例の部屋へと移動していた。
だるさはまだ残っていたがとにかく畑の様子を見ようと歩き出し、ふと口元に手をやって驚いた。
髭が、随分伸びていた。
翌朝「最近姿を見ないから」と心配した隣人が様子見に来た。
どうも体調を崩してそのまま四日程昏倒していたようだ。
どうしようか迷ったが、その日から再び屋敷の中で寝泊りする事にした。
4
盛夏を迎え、猛暑が続く。
俺はというと、畑仕事と屋敷のリフォームと言う相変わらずの生活を送っていた。
病気で倒れた日以来何故か、見えない同居人の仕業と思われる怪現象のうち、睡眠に響く騒音は随分と落ち着いた。
その代わり。
精気を付けろと隣人から頂いた鰻丼を、空にされた。
隣人から頂いた晩飯のてんぷらを盗られた。
頂いた焼肉(略
若いからと肉系を中心におかずをしょっちゅう頂いているのだが、ことごとく奪われていた。
この夏の俺の体は野菜で出来ているといっても過言ではない。
まぁ、同居を認めてもらえる代償と思えば、悔しいけれど安いものだろう、多分。
…悔しいけど。
おかずを奪われるようになって一月ほどした頃。
物音にふと目を覚ました。
周りは真っ暗になっている。
土間の修繕作業中だったのだが、ちょっと一休みと寝転がっているうちに寝入ってしまったらしい。
携帯の明かり片手に、外に置いたランタンを探そうと土間から出ると、縁側の片隅に白いものが見えた。
隣人が夕飯のおすそ分けに来てくれたらしい。布巾の掛けられたお盆が置かれていた。
動物性たんぱく質のおかずは諦めながら布巾をめくる。
案の定、三つ並べられた皿のうち一つは完全に空になっていた。
好みじゃない葉物は相変わらず手付かず。
残る一つの皿を見て、おや、と思った。
卯巻き卵が一切れと、『満腹ダカラ、偶ニハ分ケテヤル』と書かれた緑の葉っぱが一枚。
「はは、ありがと」
苦笑しつつも珍しい事もあるものだと思い、声に出して礼を言った。
縁側の障子の向こうで微かに気配がした。
それ以来、肉類もほんの一口分だけ残してくれる事がある。
5
気が付くと日没が早くなり、朝晩が涼しくなってきた頃。
「ほら、住むならやっぱり一度ちゃんと御祓いとかしてもらわないと」
「はぁ」
隣人が、伝手を頼って紹介してもらったという霊能者を連れてきた。
五十過ぎの胡散臭そうな男性だ。
正直な所、最近はそこまでする必要も感じていなかったのだが、近所に住んでいる人たちも不安なんだろうと思い、形だけ見てもらうことにした。
まずは一通り屋内を見、その後紹介してくれた隣人の家で対応を話し合うことになった。
部屋から部屋へ見て回る男は、見た目通りかなり胡散臭い。
時折妙な方向に視線を飛ばしてみたり、立ち止まったり。
で、俺が寝泊りしている例の部屋では全くの無反応。
そんなこんなで一時間ほど見て回った。
その間怪しげな事は全く起きなかった。
「いや、確かにあそこには悪霊が棲み付いておりますな」
隣人の家に戻るや否や、待ち構えていた近所の人たちに対し早速深刻そうに口を開く男。
「霊道の上に後から家を建てたのでしょう。そのために色々と障害が起きている。このままでは命に関わります」
ざわめきたつ近所の人たち。
「そうなんですか?どうすれば!?」
「対応は早ければ早いほど良い。明日、早速御払いを行いましょう」
「わ、わかりました。あんたもそれでいいね?」
「あ、はい」
当人そっちのけの感があるのだが、それで皆の気が済むならいいか。
そう軽く考えていた。
「明日、御払いするんだってさ」
その夜はそのまま隣人宅に泊めて貰う事になったのだが、同居人には一応報告しておかねばなるまいと思い、忘れ物を取りに帰るフリをして家に戻った。
「あれでも何か効き目があったら大変だから、どっかに隠れているといいよ」
特に反応は無かったから、納得したんだろうと勝手に思い込んでいた。
6
二人の助手と共に着々と準備を進める男。
場所は一番足場の良い、例の寝泊りしている部屋。集中の邪魔になるという理由で近所の人達は締め出され、紹介者の隣人だけが立ち会っていた。
滞りなく作業は進み、やがて除霊が始まった。
一応取り憑かれているということになっている俺を囲い、呪文を唱える男達。
最初は何も起きなかった。
だが、突然、祭壇に灯されていたろうそくが勢いよく燃え上がり中空で一塊になると、そのまま助手の一人に飛び移った。
悲鳴を上げながら燃え移った炎を叩き消す助手。
俺も助けようと立ち上がろうとしたのだが、急に悪寒が走り、同時に体が動かなくなった。
自分の体なのに、自分のものではないような。熱で浮かされた時のあのだるさに似た感覚。
同時に、後ろから生臭い臭いと嫌な含み笑いが聞こえた。
そのまま倒れ込んだ。
男の呪文が続いている。俺に近づき、頭の横に膝を着いて、怒鳴りつけるように呪文を唱えている。
それと呼応するように、だるさと不快感が体中を支配する。
指の先すら動かせないまま、視線だけで男を見上げた。
そうしているとふと、床の下から、かり、かり、と何かが引っかく音がしているのに気が付いた。
『アイツ』がいらいらしながら爪で引っかいている。
そう思った次の瞬間。
下から突き上げてきた衝撃に、天井まで吹き飛ばされた。
黒い毛皮の生き物だった。
犬のようにも見えた。でもあの尻尾は狐のものだ。
俺の体は床に倒れたまま、黒いもやのような大蛇に巻きつかれていた。
黒狐はその蛇に襲い掛かると頭を噛み砕き、俺の体から引き剥がし、呪文を唱える男の方へ放り投げた。
よく見ると男の体にも、大小無数の蛇が絡み付いている。それらの蛇がいっせいに鎌首をもたげ、狐に向かって鋭い威嚇音を発しながら牙を剥いた。
『アイツ』は意に介した様子もなく、口から真っ赤な炎を吐き、男ともども蛇へ浴びせかけた。
白昼夢、だったのだろうか。
気が付くと、俺の視線は倒れたときのまま床に近い所にあった。
あのだるさは無い。急いで起き上がる。
自称霊能者の男は、どこか呆けたような顔をしていた。
立ち会っていた隣人に恐る恐る状況を問われると、慌てて体裁を取り繕い「無事に祓えたようだ」などとのたまっていた。
7
『アイツ』は当分の間荒れていた。
近所の人たちには当然内緒にしていたが。
昼夜構わず家中を走り回ったかと思うと、柱や梁を片っ端から揺さぶってみたり。
紙の類を手当たり次第破ったり、木屑や枯葉を家中にばらまいたり。
俺はあの霊能者を勝手に家に入れてしまったことを毎日謝った。
『アイツ』にとってこの家は『アイツ』の棲家で、俺は間借り人なのだから。
『アイツ』はなかなか許してはくれなかった。
秋祭りの日。
祭りを手伝ったお礼にご近所の皆さんから一人では食べきれないほどの稲荷寿司を貰った。
「一緒に食べてくれる人がいないと困るなぁ」
がたがたと揺れる暗い家に戻り、呟く。
稲荷寿司はそのまま台所に置き、俺は庭に再び設置した寝床――テントにもぐりこんだ。
『――二度と、勝手な真似をするでないぞ?』
夢うつつに、声が聞こえた。大人びた口調の、でも確かに子供の声だ。
『この地に住む以上、おまえは我の使用人なのだからな』
怒っているが、不安げに、寂しげに響く。
思わず頬を緩めつつ、頷いてみせると、声音は一転して明るくなった。
『わかればよい。今回は、供え物に免じて許してやる』
目を覚ます直前、僅かに頭をかしげて艶やかな黒髪を肩に流す、愛らしい笑顔が、見えた気がした。
稲荷寿司の三分の一を一人で食べたらしい。
残りは油揚げ無しの状態で、台所に残されていた。
8
点検で床下を探っていると、例の部屋の下で、拳大の狐らしき素焼きの人形が出てきた。
どうしようか迷ったが、暗い所に戻すのもなんだし、ふかふかの座布団を買って来て上に人形を据え、家の中で一番良い場所に置いた。
相変わらずおかずを奪われるが、それ以外には特におかしなこともないから、問題は無いようだ。
寝ていたら、誰かに物凄い力で両腕を引っ張られた。
そのまま体から引きずり出されてしまった。
腕を掴むのは、女だ。顔はよく見えない。
そのまま天井を抜け、ぐんぐん上へ上へと引かれていく。
そして、雲をつきぬけ――
「…おお」
夜空に煌々と輝く、丸い月。
「今日は十五夜だったっけ」
何時の間にか上昇を停止し、腕を掴んだままの女に何とはなしに話しかけた。
「下にいたら見れなかったなぁ。ありがとう」
「べ、別に礼を言われる筋合いなんて無いわ!一人で高いとこに行くのがちょっと怖かっただけよ!!」
「そうか。でもこんな機会ないし、もう少し一緒に見てていい?帰ったら一緒に月見団子食べようよ」
「だから、その…し、仕方ないわね、付き合ってあげるわよ」
ID:OJkJ8grf0 乙。
ずっと読みふけってしまった。面白かった。
最後の最後にこれぞっていうツンデレが出てきて噴いたけどw
127 :
本当にあった怖い名無し:2008/09/20(土) 01:33:29 ID:KjStOzPn0
>>111 hu,,,hun!
anta no tameni wazawaza
ikokukara kaiteru nja naindakara
kan tigai sinaide yo ne!
128 :
本当にあった怖い名無し:2008/09/20(土) 01:40:24 ID:KjStOzPn0
>>111 hu,,,hun!
anta no tameni wazawaza
ikokukara kaiteru nja naindakara
kan tigai sinaide yo ne!
アンティークショップで見つけた古いオルゴールだ。
蓋を開け、螺子を回すと、軽やかな音楽を伴い人形が舞う。
箱の中には、黒ずんだ銀の指輪が一つ入っていた。
オルゴールが音楽を奏で始めると、いつも彼は現れた。
少し年上の、異国の人。
始めの頃は驚いたが、彼は特に何をするわけでもなかった。
いつしか私も、ちょっと風変わりな話し相手として接するようになった。
彼はいつでも不機嫌で、私の話は殆ど聞き流されていた風だったけど。
恋人が事故で死んだ。
世界から色が消えたように感じた。
その頃の私は、機械のように坦々と日々を過ごしていた。
曲が流れていたのは知っていた。
その日それを意識したのは、テノールの歌声を伴っていたから。
異国の言葉で紡がれる優しい歌に包まれて、
私は、やっと、泣いた。
オルゴールの中の、彼の指にあるものより二周りほど小さな指輪。
磨こうかと思ったこともあるけど、彼に失礼かと思い直して止めた。
今日、よく似た品を見つけたので買い求め、はめて彼に見せてみた。
彼の表情がふわりと和らいだのを見て、まだ生きていてもいいかと思えた。
最近悩み事がある。
「お兄ちゃん、お兄ちゃんってば!!いい加減起きないと遅刻だよ!?」
「…うー」
「もう、毎朝毎朝起こさなきゃいけないこっちの身にもなってよね!」
(…と、言、う、か、)
「ホントお兄ちゃんってば、あたしがいないと――」
(まず金縛りを解けーーーっっ!!!)
「…えー?」
(えー?じゃねぇ!!てめぇが毎朝毎朝4時前に人を金縛りにしてくれやがるからこっちゃ寝不足と疲労でつらいんだよ!!)
「だって、金縛りにしておかないと殴るじゃん」
(当たり前だ!!!第一おまえの『お兄ちゃん』はこないだまで隣の男だったろうが!!)
「あの人0感でオタクできもいんだもん」
(くっ…反論できねぇ)
「それより何よお兄ちゃんのバカ!酷い事言われたってお母さんに言いつけちゃうんだから!もう起こしてなんてあげないんだからぁっ!!」
と言うようなやり取りをここ数日繰り返している。
奴が去った後は疲労困憊、二度寝で遅刻か授業を寝落ち。
まぁあれでも毎日20〜30分ずつ遅くずらしているようなのでいつか普通の時間に起こされる事もあるのかもしれないが。
半端な霊能力なんていらねぇ…。
132 :
本当にあった怖い名無し:2008/09/26(金) 04:02:17 ID:H9BPmFXL0
>>130 それはそれで萌える
ところで続きはあるの?
秋だねぇ。服装も皆、落ち着いてきたし。でも、俺には季節感がいまいちなんだよなぁ。
「ってわけでどうにかならないものかね?」
俺は、病室の窓に寄り掛かりながら眺めていた通りからから隣に視線を移す。
『いや、いきなりなんなの?死ぬの?それとも、死にたいの?何で死ななかったの?』
先程から、俺の隣にずっと立っている季節感のない女。キャミソールとホットパンツなんて、夏真っ盛りな出で立ちで毒を吐いてくる。
「いや、死ぬわけないでしょ。一時期は、危うかったらしいけどね。ま、所詮はトラック。俺様の敵ではなかったのだよ」
『へぇ、右手足骨折に頭部強打による右半身マヒって、重体じゃない?』
「マヒは、治り始めてるよ。ってか、原因はおまえが俺のバイクの後ろに飛び乗ってきたことなんだけどな」
そう、こいつは幽霊。自縛だか何だか知らないが、俺に取り憑いたらしい。俺が、意識不明から目を覚ましたときに目の前で涙を流しながら覗き込んでいた。
『あ・・・いや、ごめんなさい。あんな酷い事になるとは、正直考えてなくて・・・えっと・・・ごめんなさい』
いやいや、そこは強気にまぬけとかツッコミで返してくれよ。
「気にするな。俺が、もともとスピード出し過ぎてただけだ。お前は、そんな俺に警告しようとしただけだろ?警察の人から聞いたよ。四年前にあそこで、スピードの出し過ぎで酷い事故が起きて、信号待ちしてた歩行者の女の子が亡くなったって。ありがとう。お前は、優しいな」
俺は、そう言ってそっと彼女を引き寄せて優しく頭を撫でてやった。まだ若くて、これから楽しいことが山ほどあっただろうに・・・辛いよな。
『・・・・・・ばか。勘違いしすぎだよ。私は、ただ触れる人間が珍しくて、取り憑こうとしただけだよ。ん・・・ねえ、あの時みたいにして』
俺の胸に頭を預け寄りかかる彼女の要求どうりに、そっと頬を撫で涙を拭ってやる。
それは俺が、目覚めた時目の前で涙を流す天使のような彼女を見て、初めにやってあげたことだった。
「・・・やばいな。離れられなくなったかも」
俺が、ぽろりと溢した本音を聞いたのか彼女は、俺の胸に顔を埋めてきた。
一応、肋骨も折れていて痛いのだが、それ以上に可愛すぎる。
『・・・ばーか、あんたが離れようとしても、私が放すわけないでしょ』
俺・・・落ちちゃった。
134 :
本当にあった怖い名無し:2008/09/27(土) 11:03:59 ID:E2SXnWCnO
久しぶりに投下。
パソコンだと何故かdat落ち・・・にゃぜ?
135 :
本当にあった怖い名無し:2008/09/27(土) 11:10:09 ID:UURxrqJ2O
一緒にお墓に入ってあげないんだからね!
幼馴染のミレンは、この夏休みに、交通事故で死んだ。でも何故か俺を恨んでいるらしい。
俺は半分強引に誘われてバンドをやってるんだけど、録音した曲全てに『怨んでやる』と台詞をかぶせてくる。
そして今日、初ライブのリハーサルで事件は起きた。
突然電気系統が全て沈黙した。ただの停電じゃない。
『絶対許さないんだから』
スピーカーから流れてきた少女の、ミレンの声。何が起こったのかわからず戸惑うメンバー。
「何で俺を怨むんだ!?」
虚空に向かって俺は叫ぶ。呼応するように、部屋の中央に、ミレンの姿が現れた。
きつい目で俺を睨みつけ、同じ言葉を繰り返している。
『許さない許さない許さない』
「…その熱い想い、素晴らしいスピリチュアルを感じさせるぜ!!」
『許さな…い…!?』
「前から思っていたが、その声新曲のイメージにぴったりだ。ぜひとも俺たちのバンドに!!」
『…あの、あたし、あんたに取り憑いて――!?』
「そんなの関係ない!俺たちには、いや俺にはお前が必要なんだ!!」
『あ、え、いや、ちょ、ば、馬鹿っそんな急にかか考えさせて!!』
何故か顔を真っ赤にして、彼女は消えた。
「で、何で俺を怨んでるんだ?」
ライブをつつがなく終えたその晩。独りになった俺の前に再びミレンが現れたので聞いてみた。
『…だ、だって…』
「…だって?」
『だって…夏休み、一緒に遊びに行こうって、約束したの、忘れてるんだもんっ!!』
ああ、そういえば始めたばかりのバンド活動にかまけて忘れていた。
『絶対許してなんかやらないから!!』
「うん、一生取り憑いてていいよ…ミレンなら」
その後、彼女は覆面シンガーとなり俺達のバンドのメインボーカルとして活躍している。
うん、定義どおりにツンデレだね。
むぅ…ジーザス
まとめwiki更新乙
140 :
1:2008/10/05(日) 22:40:57 ID:Z43vohfM0
俺の浮気が原因で、すったもんだの挙句に離婚。妻は離婚してすぐの頃に病気で他界。
妻との間には息子が一人いるが、親権は妻方。彼女の死後はその両親が息子を引き取り、滅多に会わせて貰えない。
尤も、俺も責任職にあって帰りの遅い日々が続くので、『父親だ』と大きな顔をする事も出来ないが。
やもめ暮らしを始めた頃からか。年に数回、数十分から数時間、俺の周りの電化製品が異常を起こす日がある。
最初は携帯電話だったが、今では家電製品は当たり前、先日は飲み屋街のネオン看板までが異常明滅を起こした。
原因はわかっている。
どの日も、誕生日や発表会など、息子にとっての重大イベントがあり、
俺がその事を忘れているか知らないかのどちらかの理由で、妻の実家――息子へ連絡を怠った時ばかりだった。
元来気の強い方だったが怒らせるとこちらが謝るまで、
家事はきっちりこなしつつも一切無言、且つ背中しか見せなくなる彼女は、
死んでからパワーアップしているらしい。
141 :
2:2008/10/05(日) 22:42:36 ID:Z43vohfM0
今日も昼から夕方にかけて、家電製品が一斉停止した。
幸か不幸か日曜日。社会的影響は最小限に抑えられる。
アパート暮らしなので、他の家に影響が出ないように肌寒い雨の中、人気の無い公園で時間を潰す必要はあったが。
異常が収まった頃合に帰宅するとすぐPCを起動させ、今年一年生になった息子が通う小学校HPにアクセスする。
調べてみると、今日は運動会だったようだ。
と、突然ぶつん、とPCモニタが暗転した。部屋の照明もだ。
仕方ないので暫くそのまま待っていると、今回は僅か一、二分で回復した。
早すぎる事に逆にびくびくしながら照明を見上げると、何時の間にかそこに何かがぶら下がっていた。
妻の形見になってしまった、忘れ物のハンカチ。それで作られたてるてる坊主だった。
PCを再起動させ、もう一度小学校HPにアクセスし、よくよく確認すると、雨で運動会は翌日順延になったとある。
スケジュール帳を確認しようとしたら、見えない誰かにむしり取られた。
「わかったよ。無理にでも、一時間でも時間を作って応援に行くよ」
そう言うと、ぱちんと音を立てて、一度だけ照明が瞬いた。
『私は別にどうも思ってませんけど!あの子の父親は貴方だけなんですからね!』
だから会いに来いと、不機嫌に言いつつどこか気恥ずかしそうに振り返る生前の妻の姿を、ふと思い出した。
彼氏に二股かけられた上に振られた。
とぼとぼ歩いていると、近所の神社に辿り着いていた。
人気の無い場所に来て余計に寂しさが募ったせいか、ポロリと、涙が零れ落ちそうになる。
ほぼ同時に、頬に、冷たいものが落ちた。
やや肌寒い雨降る秋の夜、雨に紛らせて涙を流した。
ふと、幼い頃に、雨が降る日だけ一緒に遊んだ男の子の友達がいた事を思い出す。
顔を上げると、御神木の枝の上に、その子によく似た男の子が腰掛けているのを見つけた。
彼はこちらに気づくことなく空を見上げていたようだけど、なんだか恥ずかしくなって、急いでその場を後にした。
そこに祭られているのは、降雨神らしい。
鯖転移で保守。
過去ログに〜〜〜って表示されてびっくりした。
てす
ところで最近モニタが消えたんでちょっと触ったら直ったんだが
後テレビもエラー出てたのちょっと触ったら直ったし
俺憑かれてる?
つくもがみ(笑)だとぼくはおもうよ
148 :
残酷校歌:2008/10/12(日) 19:18:03 ID:oFAGtA0j0
※このコピペは、オカルト板、心理学板、日本史板に散布しています。
お楽しみのところすみません。ちょっと失礼します。すみません。
私の地元に「残酷校歌」なる都市伝説が存在しています。
内容としては「ある中学校で、気味の悪い詩を読んだ生徒が死んだ」という
何ということはないありふれた与太話です。
最近、この話が実話であると吹聴して回っている輩がいるらしく、
現地の中高生達(一部)がすっかり乗せられて「死んだのは誰だろう!?」だの
「呪いっぽいから自分に降りかからないかなあ!?」だのと真顔で話すという、
マスコミに弱いスイーツさんのような痛い姿をさらしています。
で、まあほっといてもよかったんですが、この都市伝説がでたらめであることを
証明して彼らに突き付けるのも面白いと思い、ブログを立ち上げて検証しています。
コピペを読んだ方で以下の条件に当てはまる方がおられましたら、よろしければ
ブログをご覧になるか、メールでお知恵をお貸しください。
◆オカルト板:都市伝説の生成、流布の過程に詳しい方
◆心理学板:心理学(とくに思春期の心理)に詳しい方
◆日本史板:応仁の乱に詳しい方(詩の中に「応仁」というフレーズが登場するため)
(ブログ名:残酷校歌)
URL:
http://zankokukouka.cocolog-nifty.com/blog/ Mail: zankokukoukaあっとまーくyahoo.co.jp
149 :
本当にあった怖い名無し:2008/10/13(月) 08:19:13 ID:YOa053ZYO
保守
うちのじいちゃん家、テレビは二台。
一台は普通。地デジ対応の大型テレビ。
もう一台はおんぼろ。
チャンネル変えるのにつまみをガチャガチャ回さないといけないタイプ。
古いテレビはじいちゃんでないと扱えない。
ばあちゃんや僕たちがいじっても、まともには映らない。
じいちゃんが、ニコニコしながら優しく撫でると、
我慢すれば見られるくらいの画像が映る。
じいちゃん一人の時は、もう一台のテレビに負けない綺麗さらしい。
>>146より妄想
最近取り憑いたコイツは0感。
ちょっと寂し…む、無視されるのがつまらないから、
仕方ない、あたしの事に気付かせてやるか。
とりあえず、あたしに出来る事は、と。
お、あたしが触ってるとパソコン動かないじゃん。
よぉし、このままこれで焦らせてやる。
…って、え、や、ちょっ…!?
…び、びっくりした。もう少しでアイツの手があたしの手に触れそうに…。
っていやいやあたし!逃げちゃダメじゃん!
んー、仕方ないなぁ、今度は、うん、テレビにしよう。
リモコンだから触られないよね。
…って、何でこっち来るの??
あの、えと、あぅ、やだっ!!
……また逃げちゃった。
アイツ、わかってやってるわけじゃないんだよね?
…えと、悔しいからまたチャレンジするんだから、うん。
152 :
本当にあった怖い名無し:2008/10/14(火) 09:48:32 ID:+6uJyiauO
乙一の「しあわせは子猫のかたち」が、ツンデ霊だと思うのだがどうだろうか?
153 :
本当にあった怖い名無し:2008/10/17(金) 23:48:43 ID:F5oz+CGXO
…まとめwiki更新…ふんっ///だっ誰がお礼なんて…/// ……アリ…ガト
154 :
本当にあった怖い名無し:2008/10/19(日) 01:56:47 ID:K7ujO4w/0
遅いがな
155 :
本当にあった怖い名無し:2008/10/21(火) 01:33:42 ID:RGS0jnQI0
まァそう言うな
>>153も言おうかどうしよか3日悩んでようやく言う気になれたんだろう
その気持ちを汲んでやろうじゃないか
空気読めない俺。
前スレで書いた霊刀霞さんの新話を書いた。
相変わらずの無駄な長文三文小説だが、今から投下する。
20レス程消費する予定。
157 :
1:2008/10/21(火) 10:56:09 ID:LENtVL/n0
年経ると、動物や自然物、人工物にも魂が宿ると言う。
彼女もそういった存在だ。日本刀に宿る魂、名を霞という。
縁あって、現在は隆弘という少年と行動を共にしている。
「…で、あれが信号。交差点で車や人がぶつからない様に、進めとか停まれとか合図するもの」
盆を過ぎたとある夏の朝。まだ日の出前だが、ウォーキングやペットの散歩など、出歩く人はそこかしこに見られる。
その中に、周囲からはやや浮き気味に、隆弘と霞の姿もあった。
少年はTシャツにトレーニングパンツという特におかしな所の無い服装だ。
一方傍らの凛とした美女は、着物に袴という時代劇から抜け出したような格好である。
だが誰一人として彼女に視線を向ける事はない。
その姿は少年にしか見えていないからだ。
少年が浮いている理由は、片手に携えた中身入りの太刀袋と、独り言にしてはかなり大きい声。
すれ違う際にあからさまに距離をとる者も少なくない。
158 :
2:2008/10/21(火) 10:57:43 ID:LENtVL/n0
『隆弘。何故そこかしこのものを一つ一つ説明しているのか』
「だって霞さん、まだ今の時代の事よく知らないんでしょ」
『うむ』
「だから説明しようかなって」
人のよさそうな笑顔の隆弘に対し、無愛想な態度で返す霞。実際は、彼女の方がかなり周囲を気にしていた。
『拙者は他人には見えぬ。もう少し声量を落とした方が良いと思われるが』
「…そう?」
今一わかっていない少年に、美女はやや困惑気味に柳眉をひそめた。それからふと思い出して言葉を続ける。
『それに、拙者は、同調すれば相手と記憶を共有する事もできる』
先頃はその同調――簡単に言えば憑依――によって共に強敵を退けた。だからこそ、それ程深くは考えずに思い付きを口にした。
「ふーん」
彼女の言葉にちょっとだけ意外そうに霞を見る少年。先ほどまでの笑顔は消えている。
「でも僕そういうの嫌だな」
『――!む、無論記憶云々はまず相手の同意があってからの話だ』
慌てて取り繕う。内心は後悔の嵐だが、武士たるもの無闇に感情を顕にしてはいけないと自制しているので、結局無愛想になるしかない。
「そう?」
『そうだとも。拙者は武人だからな。そのような無礼な振る舞いはせぬ』
それ程厚みのない胸を張ってみせると、納得したのか少年の顔に笑顔が戻った。
霞も、つられたように表情を緩めかけ、それに気付いて慌ててそっぽを向く。
『と、兎に角だ、説明は有難いのだが、もう少し周囲を気にした方がよい』
「んー、難しいなぁ。僕からすると霞さん、普通の人と変わらないから」
『そ、そうか』
無表情を装いつつも、少年が自分を生きている人間と同様に扱ってくれる事が、経験の少ない霞には嬉しい反面非常に気恥ずかしい。
よく見れば、頬が朱に染まっているのがわかる。
のだが。
「あ、じゃあ、幸樹呼ぼうか。二人なら会話してるように見えるし」
『…え、と?』
思い付きを即行動に移す少年に、虚を突かれた霞は対応出来なかった。
「あ、これ、携帯電話。遠くの人と話が出来る道具。――あ、おはよう幸樹」
159 :
3:2008/10/21(火) 10:59:22 ID:LENtVL/n0
爽やかな笑顔の少年と仏頂面の連れ達は、揃って大きな家の門をくぐった。隆弘の生家、地元ではかなりの名家である。
「ああ、走るの久しぶりだったけど気持ちいいね」
「そうかい」
小一時間ほど汗を流し、そろそろ気温も上がり始めたので引き上げてきたところだ。
玄関を上がると、連絡を受けていた隆之の母親が苦笑交じりに出迎えた。
「あらあら幸樹君、何時も御免なさいね」
「慣れてるんで」
「朝ご飯食べてってもらうから」
「はいはい、準備してありますよ」
そのまま居間に移動した。暖かい純和風の食卓を囲んで三人が談笑しながら食事する間、霞は所在無さげに縁側に腰を下ろしていた。
霞の事は、母親には内緒にしてある。余計な心労をかけるだけだと霞本人が引き止めた。
自分で申し出た事とは言え、こういう状況は酷く孤独に感じてしまう。
やや俯き加減になっていたのだが、ふと、何か気配を感じて振り返る。
居間を挟んだ廊下の向こう側で、何者かがこちらを伺っていた気がしたのだが。
「幸樹君、どうしかした?」
母親の声に意識を戻す。霞と同じ方向を、幸樹も何故か不満げに伺っていたようだ。
「…いや、何でもないです」
そう言って食事を再開する幸樹。不思議そうに顔を見合わせたものの、親子は特に追究することもなく、再び世間話に戻った。
そんなこんなで食事が終わる頃になって、そうそう、と母親が切り出した。
「お願いがあるんだけど」
160 :
4:2008/10/21(火) 11:01:33 ID:LENtVL/n0
朝食が済むと、三人は敷地内にある蔵に向かった。
母親の頼み事――前日に隆之の従兄がTV番組に出場するのだと言って蔵の中を物色して行ったのだが、その後片付けをするためである。
確かに蔵の中は、事情を知らない者が見たら泥棒に入られたと思われる程に荒らされていた。
ぶつぶつと文句を垂れながら、床に乱雑に置かれた古民具等をひょいひょいまたいで奥に進む幸樹。
「くそ、とっとと片付けるぞ。お前ん家、長居すると碌な目に遭わないからな」
その言葉が終わらないうちに、ぱこん、と小気味いい音が響いた。どこからともなく降ってきたダンボール箱が、幸樹の頭に着地した音で
ある。
「…くっそー」
頭を押さえつつ空箱を蹴飛ばす親友を不思議そうに見ていた少年だが、傍らの美女は得心が行ったという風だ。
『どうやら幸樹殿は、霊媒体質のようだな』
「れいばい?」
『霊的な干渉を受けやすいと言う事だ』
「ふうん」
そんな話聞いたこと無いなぁと呟く少年を背に、霞は油断無く闇の向こうを睨みつけていた。
小さな影が一つ、闇の向こうに消えるのを見たからだ。
161 :
5:2008/10/21(火) 11:02:39 ID:LENtVL/n0
二時間で荒らされた蔵を片付けるのに、結局半日近くかかった。
幸樹の頭に、空箱や蛇や古本や古着が降った以外には特におかしな事はない。
「ご苦労さん」
「二度とやらん」
隆弘の倍は埃まみれになっている若者は、差し出された麦茶を受け取り、何故かそのまま固まった。
「幸樹?」
何事かと顔を覗き込むが、幼馴染の表情は完全に不機嫌な状態だ。
よく見るとグラスを握る腕はかなり力が入っているのか、筋や血管が浮き上がり小さく震えている。
霞には、その腕に幼い子供――ただし、額からは角が生えている――が二人、楽しそうにしがみつき、ぶら下がっているのが見えていた。
『これ、童。悪戯が過ぎるな』
呆れつつも手刀で薙ぐように払うと、幼児は威嚇の為か歯をむき出しつつも慌ててとび離れた。
と同時に突然枷を外された腕は勢い余って振り上げられ、グラスの中身を己の頭にぶちまけてしまう。
「糞餓鬼が」
壊れそうな勢いでグラスをテーブルに置く幸樹。だが何が起こったのか今一解らない親友に説明するつもりはないらしい。
『どうやらこの家には良くないものが居るようだ』
代わりに厳しい顔で霞は告げた。
162 :
6:2008/10/21(火) 11:04:04 ID:LENtVL/n0
先にシャワーでさっぱりとしてから、三人は隆弘の部屋に移動した。
ベッドには隆弘、幸樹は床に直接座り、霞は専用に用意されている座布団に正座する。
大まかに霞から説明を受けたものの、少年には今一実感がわかないらしい。
「視えるの?」
不思議そうに、幼馴染に問いかけた。
「視えん、聴こえん。触れられたり気配を感じたりはするが、いつもガン無視してやる」
アイスバーを頬張りながら、未だ怒り収まらないのか鼻息荒く言い切る幸樹。
「霞さんの事は?」
「同じだ。普通じゃないって感覚だけわかる」
『要するに常人より勘が鋭い程度で収まっておると言う事か』
霞がまとめたが、それでも納得がいかないのだろう。首を捻っている。
『それより今回の事象に心当たりは?』
「守り神様かなぁ?」
『何者だ?』
少年の呟きを、霞は鋭く聞き咎めた。
「守り神様は、家の守り神様だって聞いたよ」
「説明になってねぇ」
返す言葉を失った美女の代わりに突っ込む幸樹。
「だって、僕はそうとしか聞いてないからなぁ」
『幸樹殿は何か気付いた事は?』
天然についていけないのか複雑な面持ちで視線を移す霞。同様に隆弘が顔を向けた事で漸く、若者は自分が何か問われていることに気が付いた。
「説明を端折るな。聴こえねぇつったろうが」
163 :
7:2008/10/21(火) 11:07:04 ID:LENtVL/n0
広い屋敷の一角、普段は使われていない別棟にある廊下。雨戸も締め切られたままになっているため、かなり暗い。
「餓鬼の頃、ここで散々酷い目に遭わされた」
「ああ、家の中で神隠しに遭ったっけ」
思い出に耽る二人をさておいて、霞は辺りを伺った。
成る程、廊下の突き当たりに鬼門が口を開けている。そこから子鬼が出入りを行っているのも見えた。
『隆弘、同調してもらえぬだろうか』
「あ、うん」
少年は刀を鞘から抜き放つ。
親友に見守られる中、刀身から放たれたほんのりとした輝きは青いオーラとなり、炎のように少年の体にも移り、全身を覆う。
『視えるか』
「うん。凄いねぇ。大きな穴が開いてる」
『塞いでおこう。やり方はわかるな?』
「大丈夫」
返事をすると同時に少年から穏やかな雰囲気が消失した。代わりに放たれる心地よい緊張感に高揚したのか、白刃が微かに震える。
若武者は正眼に構え、鋭い呼気と共に一撃を放った。青い輝きが通り過ぎた直後、闇はにじむようにかき消える。
「ご苦労さん。じゃ次行くか」
『何!?』
「まだあるの!?」
「何故か知らんが、前来た時よりは増えてる感じだな」
面倒臭そうに頭を掻く幸樹。仕方ないねと嘆息しつつ、隆弘も刀を鞘に納めると、歩き出した。
もう一度鬼門のあった辺りを見やってから、霞も追従する。
と、幸樹の肩からきらりと流れる光の筋が見えた。近寄って確かめてみたが、蜘蛛の糸が風に揺れているだけだ。
『…まぁ無理もないか。ここも長い事手入れされておらぬようだし』
ほんの少し違和感を感じたが、気にするほどの事ではあるまいと、放置した。
164 :
8:2008/10/21(火) 11:09:19 ID:LENtVL/n0
幸樹の勘だけを頼りに回る為、三箇所目の穴を塞いだ頃には、太陽は西の稜線に差し掛かっていた。
「これで一旦帰るわ」
早朝から動き通しの為、さすがに疲労が顔に表れている幸樹。「泊まってく?」という隆弘に「嫌」と即答し、さっさと屋敷を後にした。
「幸樹でも疲れるんだねぇ」
『小鬼に絶えずちょっかいを出されておったし、余分に気を消耗したのだろう』
こういう時には妙に目端の利く少年は、美女の姿が何時もより朧げになっている事にも気付いていた。
「霞さんも今日はありがとう」
『む…別に、取り立てて礼を言われる程の事はしておらぬ』
が、彼女が慌ててそっぽを向く理由には何故か思い至らない。真っ赤になった顔を見られまいとしていただけなのだが。
「霞さんって幸樹に似てるよね、ぶっきらぼうなとことか」
『…ぅぁ…』
霞は言葉を失うしかない。意図通り顔は見られていないようだが誤解されるのもと言うか何故比較対象にあの男…と内心はかなり複雑だ。
だが、ふと嫌な気配を感じて顔を上げた。
ほぼ同時に玄関横の部屋の襖が開き、奥から人影が現れた。隆弘の母親だ。淡い色のスーツを身にまとっている。
「あれ、母さん。出かけるの?」
「ええ」
いつものやわらかい笑顔で、けれどどこかしら感じる違和感。
霞が警告するべきか悩む間も、母親は言葉を続けながら少年に近づいた。
165 :
9:2008/10/21(火) 11:13:26 ID:LENtVL/n0
「母さん婦人会に行くから」
「うん」
少年は、完全に油断していた。脇を通り過ぎる女性から、つ、と伸びた手に左手を掴まれても反応できなかった。
「『だカラ、アソボウ?』
勢いよく捻りあげられた腕から、ごきりと鈍い音が響く。
突然の激痛に思わず取り落とした刀を、母親は笑顔のまま玄関の三和土まで蹴り飛ばした。
「母、さ、ん?」
『違う!』
霞の声は、悲鳴に近い。
品の良い中年女性の華奢な体躯が内側から盛り上がり、弾けるように一瞬で掻き消えた。
代わりに現れたのは、廊下の幅一杯を占める程の屈強な巨体。頭に生えた緩やかに湾曲する角は、天井にこすれそうになっている。
にたにたと下卑た表情で嗤う鬼は、少年をそのまま宙吊りにすると、もと来た場所――玄関横の部屋へ戻るべく向きを変えた。
開いた襖の向こうには、光の届かぬ穴が口を開けていた。
『手を!』
短い言葉が示す意味を一瞬で理解し、少年は僅か先に立つ美女に向けて拘束されていない手を伸ばす。
触れれば、同調すれば、使用者の手を離れている刀でもある程度まで移動する事ができる。
だがそれより早く、闇の中から無数の手が伸びて少年を絡めとった。
『隆之!』
霞が必死に伸ばした手は、虚しく空を掴んだだけだった。
166 :
10:2008/10/21(火) 11:14:48 ID:LENtVL/n0
『どうしようどうしようどうしよう』
立ち竦み、唇を噛み締める。使用者が居ない今、霞はその場から動く事さえ儘ならない。
悔しさと不安と自身に対する怒り。零れる筈のない涙で視界がにじむ。
と、突然背後で玄関が開いた。残党がいたかと慌てて身構える。
「携帯忘れた」
『幸樹殿!』
先ほど帰ったばかりの若者の姿を捕らえ、美女の表情に光が差した。
何時もなら邪魔な存在としか思えないのだが、今回ばかりは唯一の助け手の登場に、僅かながらの安堵を覚えた。
一方の幸樹は、床に投げ出された刀に気付き、それから辺りを見回して親友の姿がないのを確認する。
どうやら自分が居ない間に良くない何かが起こったらしい。瞬時に理解し、盛大に溜息をついた。
若者が状況を知る為の手っ取り早い手段は、お互い良く理解している。
「触るけど怒んなよ」
『緊急だ、致し方ない』
幸樹は刀の柄を握ると、刀身を鞘から引き抜いた。
167 :
11:2008/10/21(火) 11:17:20 ID:LENtVL/n0
踏み込んだ時には既に襖の向こうに開いていた筈の鬼門はどこにも見当たらなかった。
『く、閉じられたか』
頭の中だけで響く声はかなり大きく、幸樹は顔をしかめた。
「俺等どんだけ相性良くないんだろうな」
『下らぬ事を言っておる場合か!』
怒りをあらわに幸樹を睨みつける美女だが、その姿はすぐ傍だというのに若者の目に映っていない。
『くう、厄介な』
ほぼ完全な同調状態――その気になれば使用者の体を霞の意思のままに動かす事も出来る――になっている筈だが、この男が言う通り余程相性が悪いらしい。
「そういやアイツ携帯持ってってるよな」
『何をしておるか!?』
屋敷奥へ向かう若者を制することすら出来ない。
「心配すんなよ、ちゃんと探してやるから…―とあったあった」
隆之の部屋に忘れていた携帯電話を見つけると、幸樹は早速ボタンを操作した。
「餓鬼の頃、携帯持ってりゃなー、と思ったもんよ」
通話口から続く呼び出し音。
ふと、聞きなれない音が微かに響いている事に霞も気が付いた。
「…仏間か?いや、あそこか…?」
『…?』
勝手知ったる何とやら、幼い頃から遊び場だった屋敷を迷うことなく進む若者。
微かだった音が次第にはっきりとした旋律を伴い、やがてある部屋の前に到達した。
「開かずの間。守り神様の部屋だからだとさ」
説明しながら襖を開けて中へ入る。
八畳ほどの部屋は手入れが行き届いていた。
明かりはなく、雨戸も締め切られているが、小さな光を伴いながら軽快な音楽を発する携帯電話はすぐに見つかった。
奥のほうに設置されている祭壇の前だ。
そして、そこにも鬼門が一つ、深い闇の口を広げていた。
168 :
12:2008/10/21(火) 11:20:21 ID:LENtVL/n0
上も下も塗りつぶされた闇の中を、二人は早足で進む。
この穴は鬼達に使われていないのだろうか、今のところ何の気配もない。
『守り神とやらが、手助けをしてくれているのだろうか』
我ながら楽観的な事を言っていると自嘲していたが、返ってきた返事は「そうかもな」というものだった。
『幸樹殿は守り神に会った事が?』
「…あれを神様と呼ぶにはちと抵抗があるが」
嫌な事を思い出したというように渋面になる若者だが、霞にとってはそれは隆弘が助かる可能性が高いという朗報だった。
『急ごう』
「…あんま期待しない方がいいぞ」
急かす霞だが、幸樹の方は今一足取りが重い。
やがて突然視界が開けた。より広い場所へ到達したのだ。
無数の鬼が思い思いに蠢いている様子から、どうやら鬼の住処らしい。
『まずいな、一旦退いて身を隠すべきだ』
その言葉が終わらないうちに、見張りだろう一頭の鬼がこちらに気づき、大声で吼えた。
鬼が、いっせいに振り向いた。
169 :
13:2008/10/21(火) 11:24:06 ID:LENtVL/n0
「おぅわっ!」
辛うじて体を捻るのが間に合った。風を切る音とともに、丸太のように太い腕が幸樹の脇をかすめていく。その風圧だけで体が流されそうになるが何とか踏みとどまった。
『体を貸せ!全て切り伏せる!』
「そんなほいほい貸せりゃ苦労しねえよ!」
襲い掛かってくる鬼に対してなりふり構わず刀を振り回す幸樹だが、剣術に関して素人なのはすぐに見透かされ、威嚇にもならない。
あっという間に取り囲まれてしまう。
『ならば、仕方ない』
(何だ!?)
声の響きに感じた違和感に、幸樹の背筋に悪寒が走った。戦いの最中だというのに手中に視線を走らせる。
刀身からゆらゆらと立ち上っていたオーラが、染み込むように消えていくのが見えた。
異変を好機と見たのか、鬼が数体まとめて襲いかかった。振り上げられた鋭い鍵爪が到達するまさにその瞬間。
凄まじい旋風のように白刃が閃き、赤い飛沫を伴いながら鬼の体を寸断した。
一瞬たじろいだ鬼達だが、すぐに数に任せて猛攻を開始した。それらを若者は先程までとは別人のような滑らかな動きで切り伏せる。
鬼を見据える瞳の奥で燃える青い輝きは、先ほどまで刀身から放たれていたものと同質だった。
(あー糞、冗談じゃねぇぞ)
頭の中で微かに響く声。
「許せ、隆弘を救うためだ」
幸樹の唇から紡がれたのは、女の――霞の声だった。
そのまま鬼の屍を越えて駆け抜けた。さざめく鬼の垣を切り払い、さらに奥へと向かう。
視線は少年の姿を求めて彷徨っていた。
170 :
14:2008/10/21(火) 12:36:36 ID:LENtVL/n0
完全に憑依した状態が負担をかけているのは明らかだった。若者の顔が見る見る憔悴していく。
「長くは保たぬか」
焦りは隙を生むとはわかっているものの、このままでは鬼の巣の中で力尽きてしまうのは明らかだ。
その前に隆弘を見つけ出したいのだが、肝心のその姿は何処にも見当たらない。
既に、鬼の手に掛けられてしまったのだろうか。
(もう少し冷静になれよ)
「わかっておる!」
不安を紛らわせるためか、ぎしりと音を立てそうな勢いで奥歯を噛み締める霞。
そのまま横に凪いだ刃は、鬼の体にめり込んだものの背骨を断ち切ることが出来ずに止まった。
引き抜く為に僅かに動作が遅れた。
鬼が、一斉に飛び掛ってきた。
突如上空から白い糸が降ってきた。投網のように中空で広がり絡み合い、あたり一面を覆い尽くす。
もちろん中心で暴れていた霞と幸樹とて例外ではない。だが、纏わり付こうとしたそれは、鬼に対して構えていた一刀で辛うじて切り払えた。
「これは…蜘蛛の糸、か?」
通常の数十倍の太さを備えるその糸は、高い粘度を備えていた。一度捕らえられてしまうと、逃れるにはかなりの時間を要するだろう。霊刀とは言えそれを切れたのは幸運に近い。
『暴れてるのは誰だろうねぇ』
上の方、糸が放たれた辺りから女の声が響いた。糸に絡め摂られた鬼達が、一斉に悲鳴を上げる。
『新手か』
身構えようとする霞だが、幸樹の反応は鈍い。より正確に言えば、再び自律行動を取り始めていた。
『幸樹殿?』
「来た来た来た来た」
顔を引きつらせてじりじりと後ずさる。
そうしている間にも、粘つく糸を音もなく伝い、声の主は現れた。
霞よりもやや年上の、肉感的な美女だ。
身に着けている色鮮やかな着物は胸元が大きく開いており、ただでさえ豊かな乳房がこぼれそうになっている。
同様にはだけているへその辺りから下は、八本の足と、黄と黒の縞模様の巨大な腹、巨大な女郎蜘蛛へと変わっていた。
171 :
15:2008/10/21(火) 12:38:23 ID:LENtVL/n0
『煩いのは嫌いだと、言っておいた筈だがねぇ?』
さも面倒臭そうに、長い黒髪を掻き揚げながら蜘蛛女は辺りを見渡していた。
『黙レ!此処ハ元々我等ノ住処!!我ノ封印ガ解カレタ今、貴様ノ好キニハサセヌ!』
女の言葉に反応したのは、少年を連れ去った大鬼だった。どうやら群れの頭らしい。網の範囲内からぎりぎり外れた場所に一頭だけで立っていた。
その姿を見た瞬間に飛び掛かろうとした霞だが、幸か不幸か既に体の主導権は幸樹が完全に取り戻している。
仮に霞の意思通りに動けたとして、周囲を覆う蜘蛛の糸に足を捕られて三歩も進めなかっただろう。
霞達を気に留める事も無く、鬼と蜘蛛女のやり取りは続いていた。
『アノ小僧ヲ殺セバ祭ル者ノ血ハ絶エル!サスレバ貴様モ力ヲ失ウ!』
『ふぅん、そう。で?』
『グゥ…!!』
鬼と蜘蛛女は対立しているらしく、そして優位に立っているのは明らかに蜘蛛女の方だった。
『隆弘は何処だ!?』
割って入る形で大声で霞が問いかけると、大鬼はすさまじい形相のままこちらを睨みつけてきた。
蜘蛛女の方も、何故か不機嫌そうに霞に視線を移す。
『何処だ!』
重ねて問いかけると、大鬼ではなく蜘蛛女の方が動いた。
右手を上げ、指先をちょいちょいと動かすと、糸に支えられた少年がおろされてきた。
妖艶な美女は、気絶しているのだろう、ぐったりしたままの少年を両手で受けとめ、胸元へ抱き寄せた。
『鬼共が嬉しそうにしてるんでねぇ、ちょいと横から拝借してやったのさね』
蠱惑的な笑みを浮かべて、少年の髪に白い指を絡める蜘蛛女。
「うあっつ!」
突然の静電気に、幸樹は思わず刀を取り落としそうになった。
気が付くと正面に、ぼんやりとした女侍の背が見えていた。
172 :
16:2008/10/21(火) 12:40:23 ID:LENtVL/n0
その場を支配する雰囲気は、先程とは明らかに変化した。
ぴりぴりと張り詰めた空気に、幸樹のみならず網から逃れようともがいていた鬼達さえも、息を殺して身じろぎすらしない。
唯一、空気に呑まれたのかやや遠慮気味にではあるが、主導権を取り戻そうと大鬼が声を上げた。
『ソノ小僧ヲ寄越セ――』
『黙れ』
『お黙り』
二人の美女に同時に睨まれ、慌てて口をつぐむ。
周囲の状況を他所に、美女達は再度向き直った。
『守り神とは貴女の事か』
一切の表情を消して蜘蛛女を見据える霞。
一方の蜘蛛女も、口元には笑みを浮かべているものの、瞳の底は底冷えするような冷たい光を帯びている。
『知らないねぇ。巣の端の上に住んでいる人間が、勝手に祭っているみたいだけど』
『では、其の者に用は無いな?ならばこちらに引き渡して頂こう』
『あんたに渡さなきゃいけない理由は何処にもないねぇ』
『いいや』
霞は決意を確かめるように一瞬目を伏せた後、真っ直ぐに、少年の姿を見つめた。
『拙者は隆弘の守護者だ。証明する者も居る。――…幸樹殿?』
「ああー、はいはい」
やや他人事風に返事を返す若者に微かに眉をひそめながら、霞は蜘蛛女に視線を戻した。
173 :
17:2008/10/21(火) 12:42:25 ID:LENtVL/n0
『…ふぅーん』
つまらなさそうに鼻を鳴らすと、蜘蛛女は名残惜しそうに指先を這わせつつも、素直に少年を地へ横たわらせた。
『何をしておる幸樹殿。早く隆弘を背負わぬか』
「俺疲れてるし、乳魔神に担いでって貰えばいいj」
『いいから早くせい!!』
(うわメンドクセー)
内心毒づきながら少年の元へ向かう。覚醒を期待して軽く揺すってみたが、それは叶わないらしい。仕方なく背負う。
その間も、二人の美女の対峙は続いていた。
『まだ随分とお若いようだけど?鬼如きにさえ遅れを取る様なお嬢ちゃんに、守護者なんて務まるのかねぇ?』
『ご心配無く。足元で騒がれて漸く気が付くご老体とは違います故』
『そうかい。それならここいらの土地の守護もお嬢ちゃんにお任せした方がいいかも知れないねぇ?』
『それ程には拙者は厚かましくはありませぬ』
(色々ツッコみてぇが口出したら死ぬだろうな)
『…ほほほ』
『…ふふふ』
表面上はにこやかな笑顔の美女達に挟まれた形で立つ若者は、ただ早く帰宅したいとそればかりを願っていた。
三人が鬼の巣を立ち去った直後。
『あんな小娘に、縄張りにずかずか踏み込まれてるなんて、あたしも鈍ってるわねぇ』
ぶつぶつと独り言ちながら、妖艶な美女は大鬼の前に降り立った。
『あんたもとっとと逃げればよかったのにねぇ』
細い細い、正しく蜘蛛の糸と呼べるそれで強靭な足を捕らえられ、逃げることが出来なかった大鬼が口を開く前に。
新たに放たれたしなやか且つ鋼を凌駕する強靭さを備えた糸によって、その場に居た全ての鬼は一瞬で絶命した。
174 :
18:2008/10/21(火) 12:45:31 ID:LENtVL/n0
翌日。
「霞さんから聞いたよ。幸樹、いつも迷惑掛けてごめん。後、ありがとう」
『今回は拙者からも礼を言う。かたじけない』
「って霞さんも言ってる」
『…わかったから、寝かせてくれ…』
外はまだ日の出前。前日の騒動の疲労もあり、幼馴染は着信には何とか応じたものの沈没寸前らしい。
「いいけど、携帯は切っちゃ駄目だよ。昨日言ったよね?霞さんと会話するの誤魔化さなきゃいけないんだから」
『…あー…んん……』
通話口から寝息が聞こえ始めた携帯電話をホルダーに納め、イヤホンマイクを装着し、少年は門をくぐって外へ出た。
『本当に、腕に異常は無いのか?』
「うん。ほら」
心配そうな霞に対して、少年はやや大げさにくるくると左腕を回してみせる。
先晩に鬼によってありえない方向へ捻じ曲げられた筈の腕は、全く問題なく動いていた。
『問題が無いならばそれで良いが』
「守り神様が治してくれたんだよ」
にこにこと無邪気な笑顔を浮かべる少年。
霞は、やや不満げな様子である。
『それで、隆弘はあの守り神…殿とは』
「そうそう、結局僕だけ見てないんだよね、僕ん家で祭ってる神様なのに。お礼言いたいのになー」
『そう、か。そうだな』
邪念など微塵も感じさせない少年らしい言動に、美女は無意識に頬を緩めた。
ふと気が付くと、少年がじっとこちらを見つめている。
『何か?』
「ううん、何でもないよ。ちょっと良い事あっただけ」
そう言ってにっこり笑う。霞は不思議そうに首を傾げていたものの、嬉しそうな少年に「そろそろ行こうか」と声を掛けられると、穏やかな笑顔で頷いた。
175 :
余分な19:2008/10/21(火) 12:47:56 ID:LENtVL/n0
「…彼女?」
幼馴染に向かって、漸くそれだけ言葉をつむいだ。
「殴っていいか?いいか?いいな?」
「うーん、嫌」
幸樹が怒っているのはいつもどおりだから、大した事は無いんだろうと、隆弘は勝手に納得する。
霞も、複雑な表情で二人を見上げていた。
『そこで何をしておるのか』
『ほほほ、確かでぇと?でぃえと?と言う、のよねぇ?』
「絶対違う!」
かさかさと音を立てる巨大な蜘蛛の足は、重力を無視しているかのように逆さになったまま信号機をしっかり捉えている。
早朝の薄暗がりの中、ランニング中の二人の前に現れたのは、身体の半分近くを糸で巻き取られた若者を両腕に抱えた蜘蛛女だった。
「これは当て付けという行動であqwsでrftgyふじこlp」
『ほ、ほほほほ、照れてるなんて可愛いわねぇ』
ちらちらと少年の方を伺いつつ、余計な事を言えないようにと抱きつく振りをして若者に更に糸を巻きつける蜘蛛女。
「…んーと」
困ったように霞と顔を見合わせる隆弘。
「放っといてもいいのかな?」
『でーととは仲睦まじい男女が行うのだろう?本人がそう言っておるのだから問題あるまい』
「うん、そうだね」
『あ、ちょ』
「あ、でも、他の人もびっくりするから、人間に化けられるなら下を歩いた方がいいと思うよ」
邪魔しちゃ悪いから、そう言ってさっさと立ち去る二人を蜘蛛女は未練がましくも見送るしかない。
(絶対殴る)
ぎりぎりと歯軋りしながら心に誓う若者。
遠くの山の頂が、朝陽を反射して明るくなりつつあった。
これで心残りは無くなった。
後悔はしてない。
乙!
178 :
本当にあった怖い名無し:2008/10/24(金) 04:03:50 ID:p0HhjIVm0
乙
私は死神。
今日も寿命の尽きかけた人を探す。
Mr.フラグは成績の悪い私に簡単な仕事を回してくれるけど。
「もうすぐ子供が生まれるんだ」
そう話す若い消防士。
Mr.から紹介された、今日のターゲット。
彼はその晩の出動で、業火に巻かれて道を失う。
私は彼を炎の中から放り出した。
勘違いしないで。
私にもプライドがあるの。
予定外の仕事はしない主義なだけ。
べ、別に彼がすっごく幸せそうに話してるから気持ちが揺らいだとかそんなのじゃないから。
ほしゅのじかんです
181 :
本当にあった怖い名無し:2008/10/28(火) 23:36:41 ID:ghMCP7Sj0
わかりました
一応保守。
183 :
1:2008/11/02(日) 01:31:08 ID:ADwIx/zr0
何が起きたのか、最初全然わからなかった。
友達も、先生も。あたしの事を急に無視するようになった。
パパとママも、あたしの事を無視しだした。そのくせ、あたしの部屋に来ては泣くんだ。
何て言うか。
あたし、自分がもう死んでいるって事に気が付くまでにすごく時間が掛かっちゃった。
だから、家族とか友達とか、誰もがあたしを無視するって事がすごくショックで。
最初は何で?どうして?って一生懸命話しかけてたけど、だんだん八つ当たりというか。
うん、怒ってると影響与えられたみたいで、物投げつけたり、人を突き飛ばしたりしてた。
彼に出会った頃には悪霊になりかけてたんだと思う。
184 :
2:2008/11/02(日) 01:32:02 ID:ADwIx/zr0
その頃やってたのは、急に道路に飛び出す事。
通学路の途中の交差点。交通量はそれなり。
たまたまそこの交差点で飛び出した時、さすがに周りの人も驚いて反応してくれたっていうのがきっかけ。
でもまたすぐに、全員であたしを無視するんだけどね。
それでも、反応あるのが嬉しくて、ちょくちょく飛び出すようになった。
けが人が出ても、無視される怒りもあって、ざまあみろって風にしか思えなかった。
罪悪感は消えかかってた。
彼はバイクで走ってきた。
あたしが飛び出すと、避けようとして慌ててハンドルをきって、バランスを崩してそのまま転倒。
転んだ姿を見てあたしは笑ってた。
怪我しなかったんだろうな。彼はすぐに起き上がった。
普段なら、きょろきょろあたしを探す感じに見回した後で、すぐに発車するんだけど。
彼は、まっすぐあたしの方に顔を向けた。
肩をすくめて、フルフェイスのヘルメットのまま、あたしの方に近づいてきて。
「おまえ、何?こんな事して何が楽しいの?」
はっきり、あたしに向かって、そう言った。
無視されだして結構時間が経ってた。やっとあたしを無視しない人に出会った事が、逆にショックで、怖くて。
あたしは、夢中で逃げた。
185 :
3:2008/11/02(日) 01:33:07 ID:ADwIx/zr0
暫くは家で、自分の部屋で大人しくしてた。
でも何日かそうして過ごしてるうちに、彼のことが気になりだした。
皆が無視するのに、何であの人だけあたしの事、ちゃんと見たんだろう?
そんな事考えてて、気が付いたらあの交差点に向かってた。
前に事故があったらしくて、いつも花が置かれてる場所がある。
彼はそこにいた。バイクを脇に止めて、缶ジュースをそこに置いてた。
会いたかったけど、実際前にするとやっぱり怖い。
ちょっと離れた所でどうするか迷ってたら、彼に気付かれた。
やっぱり彼は、あたしの事、無視しようとはしなかった。
勇気を振り絞って、恐る恐る近づいてみた。
「え、と」
何話せばいいのか判らない。
下向いて暫く黙ってたら、思いっきり溜息吐かれた。
「人をこかしといて謝罪も無しかよ」
怒ってるっていうより呆れてるって感じかな、今考えると。
でも微かに残ってた罪悪感と、いきなり文句言われた事で、つい、反発してしまった。
「あんたがぼぉっとしてるから、悪いんでしょ!?」
ばーっとまくしたてて、それから湧き上がる後悔。
恥ずかしさとか怒りとかそんなこんなで頭の中が真っ白になって。
「あんたなんか大っ嫌い!!」
結局また逃げ出した。
186 :
4:2008/11/02(日) 01:34:11 ID:ADwIx/zr0
交差点で事故を起こすのはあたしにとって存在確認みたいになってたんだけど、彼に出会ってからはそれが出来なくなった。
彼がちょくちょくそこの交差点に現れるようになったから。
最初に現れたように颯爽とバイクに乗って、じゃなくて、歩きで来てる。
格好はフルフェイスにライダースーツ、バイクに乗ってたそのままの姿だから、近くで降りてから来てるのかもしれない。
花が供えられてる場所で、多分、本当に、あたしの事を見張ってた。
「大嫌い」なんて言ってしまった手前、彼に話しかけ辛い。
あたしは彼を無視することしか出来なかった。
バカだよね、人に無視されて怒ってたのに、自分は人を無視してる。
それに気付いた時、すごくショック受けて、また部屋に引き篭もって、泣き続けた。
187 :
5:2008/11/02(日) 01:35:51 ID:ADwIx/zr0
その日の朝、何日ぶりかで交差点に向かった。
そこに彼の姿は無い。
まだ来てないのか、それとももう来ないのか。
どきどきしながら待ち続けた。
彼は、向こうから歩いてきた。
「何だ、今日は危ない遊びはしないのか」
出会い頭にそう言われて、ちょっとムカ。
「誰かさんがトロいから、気を使ってあげてるのよ」
思わず言い返してしまった。
自己嫌悪で彼の顔をまともに見れなくてそっぽ向いてたら、「そりゃどーも」とおどけた感じで頭をぽんぽんと叩かれた。
子供扱いされてるのは癪だけど、でも、ちゃんとあたしに向き合ってくれる。
嬉しくて、恥ずかしくて、あたしは彼に真っ赤になった顔を向けられなかったけど。
188 :
6:2008/11/02(日) 01:36:40 ID:ADwIx/zr0
それからは毎日、彼に会うために交差点に立ってた。
何か話すわけじゃなくて、お互い生存確認というか。
彼は通勤だか通学だかでそこを通る必要があるみたいで、その時にお互いちょっと手を上げて挨拶する程度だった。
それでも、あたしには十分だった。
その日、彼は久しぶりにバイクに乗って現れた。
あたしの前で止まると、別に持って来てたヘルメットを投げてよこした。
「…何?」
「乗せてやるよ」
一瞬何を言われてるのか判らなかった。戸惑ってると、彼は慌てたように言葉を続けた。
「勘違いするなよ。たまたま暇そうなおまえがいたから、ちょっと付き合わせてやろうと思っただけだ。嫌ならいい」
「乗る!」
あたしは多分、真っ赤だったと思う。
フルフェイスのヘルメットに遮られて、彼がどんな顔しているのかは、判らなかった。
189 :
7:2008/11/02(日) 01:37:24 ID:ADwIx/zr0
気持ちが良かった。
風を切って走る。
彼の背中にしがみついて、流れていく景色を眺める。自分の置かれている境遇の何もかもを、忘れられた。
ずっと言いたかった事を、やっと口にした。
「こないだは、ごめんなさい」
彼はすぐには返事しなかった。本当に、何の事?って感じだったんだと思う。
「…何が…って、初めて会った時の事?今更?ばっかじゃね?」
「うるさいわね、謝れって言ったじゃん!!」
「ハァ…もういいよ」
「何よそれ!?人が素直に謝ってやってるのに!」
「はいはいわかりましたーもういいですよー」
「棒読みすんな!!」
風に負けないように大声で言い合う。でも、楽しかった。
ふっと、ああ、このまま消えてもいいやって、思った。
目を閉じて、彼の背中にもう一度しがみつこうとして。
突然全部思い出した。
190 :
8:2008/11/02(日) 01:38:19 ID:ADwIx/zr0
あの交差点で、事故にあった。
あたし、車に撥ねられた。
即死じゃなかったんだと思う。
涙交じりにあたしを呼ぶ声とか、覚えてるから。
そうか、あたし、死んじゃったんだ。
目を開けると、一人ぼっちであの交差点に戻ってた。
彼の事が、全部夢だったような気がして。
急に怖くなって、寂しくなって、大声で、泣いた。
191 :
9:2008/11/02(日) 01:39:01 ID:ADwIx/zr0
「ったく、急にいなくなるから驚いたぞ」
しゃがみこんで、膝を抱えてたあたしにかけられた、呆れ声。
顔を上げると、彼がバイクから降りてくるところだった。
夢じゃなかったんだ。
あたしは、無我夢中で彼に飛びついた。
「あたし、死んでるんだよ。ゆーれーなんだ」
彼の胸に顔を押し付けたままで、彼に告げる。
「あー、何だ、やっと気が付いたのか」
彼が平然と答えたので、あたしの方が驚いたけど。
「知ってたの?」
「んー、まぁ、俺も、ご同類だから、な」
あんまし見せたくないんだが、そういいながら、ヘルメットを脱いだ彼。
見たいと思っていた彼の素顔は、永遠に見られないんだと、悟った。
192 :
10:2008/11/02(日) 01:40:46 ID:ADwIx/zr0
彼は最近忙しかったらしくて、今日は久しぶりのデートだ。
いつもと同じ、彼のバイクに二人乗りしてあちこち走るっていうものだけど。
それでも特に今日は、嬉しい報告もある。
あたしの事故はひき逃げらしかったんだけど、この前犯人が捕まった。
パパとママが、あたしの写真に向かって報告してくれた。
新聞を読むと、あの交差点で、一人で勝手に事故を起こして、そこから何だかんだで犯人だってわかったって。
事故の方は、犯人はバイクと接触したとか言ってるらしいけど。
「幽霊とぶつかったとか」
冗談めかして彼に言ってみたけど、「そんな危ない幽霊、お前だけだ」と鼻で笑われた。
子供っぽさが残るツンデ霊の心理描写が面白くて最後まですらすら読めた
オチもよかったお
読んでて考えたんだがツンデ霊のツンな行動心理にもいくつか種類があって、集積・
類型化できるかもしれんね
お子様型,姉御型,犯罪者型,なりゆき型,超越者型みたいな
メンドいし、やらんけど
ageたのは、晒し上げる為なんだから(>_<)
け・・・けっしてスレ位置が700手前で落ちそうだからって理由じゃないんだから・・・(////_<)
>>193 お子様型
善悪の分別が無くおもしろがってor構って欲しくて悪さを働く
諭されるといったん反発するが内心素直に反省
ごめんなさいが言えた後は諭してくれた人になつく傾向がある
姉御型
自分亡き後だらしなくなってしまった対象者の性根を叩きなおしたくて
or格下扱いしていた対象者に幽霊化してしまった自分の不安を見せたくなくてツン化
対象者の成長した頼もしい一面を見ることが出来るとデレる傾向にあるが同時に成仏
してしまう不安も
超越者型
ツン「人間のごとき虫ケラがどうなろうと知らないわよwww」
デレ「に、人間風情が生意気にドキドキさせないでよ…」
とか
よし、教授のデータ収集のための卒論捨ててそれでいくか
冥界よりほしゅ
198 :
本当にあった怖い名無し:2008/11/08(土) 15:42:57 ID:AZeXq8Jv0
動物型はどうよ?
402 :本当にあった怖い名無し:2008/10/20(月) 23:01:25 ID:GB19T2HL0
昔 ネコに大き目の石を頭にぶつけたのは俺です。
ごめんよ 猫。。。
405 :本当にあった怖い名無し:2008/10/20(月) 23:47:29 ID:OSDEmR4kO
>>402 ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ
∧ ∧
ФωФ <ネコカンクレナキャユルサナイニャ
407 :本当にあった怖い名無し:2008/10/21(火) 00:06:26 ID:eH3YXRK00
>>405 つ ねこ缶(ダイエット用)
これで許してー!
419 :本当にあった怖い名無し:2008/10/21(火) 02:48:14 ID:GGO0gplxO
>>407 ∧ ∧
(ー〜ー)<モグモグ…モグモグ…オイシイニャ コレハユルサナイワケニハイカナイニャ…
デモココデユルシタラモウネコカンモラエナイカニャ…ドウシヨウ…モグモグ
動物型
執念と野生の本能に従い人間を襲うが、食い物でデレる
200 :
kiri:2008/11/09(日) 00:43:59 ID:36dJl8p80
初投下、文書下手でも勘弁して。
おかしい所指摘してくれると有難し。
ずっと空を見ていた。
住宅街の塀の上に腰掛けて。
足元には、もう萎れて何か分からなくなったものが刺さった瓶。
一日中此処に居るけど誰にも気付かれない。
・・・・僕は死んでいるから。
何もしたくないと思った。
学校も嫌い。塾にも行きたくない。家に帰っても楽しくない。
・・・このまま消えてしまいたかった。
薄暗い帰り道を一人歩く。
ありふれた、少し寂れた住宅街。
この道は歩道もないような小さな道だけど交通量が比較的多くてたびたび事故が起こっていた。
・・突然目の前に白い光が溢れてけたたましいエンジン音が響いた。
目の前にトラックが迫っていた。
201 :
kiri:2008/11/09(日) 00:44:22 ID:36dJl8p80
(あぁ、私死ぬんだな・・。)と思った瞬間トラックがクラクションとともに横を通り過ぎていった。
一瞬何が起きたのか分からなかったが自分は壁際に尻餅をついてどうやら生きているようだ。
壁にしたたかに背中と頭をぶつけたせいでくらくらする。それに尻餅をついたお尻の下に何かあったようでお尻がすごく痛い。
見てみると萎れた花のようなものが入った瓶だった。
まだくらくらする頭でなぜこんなものがあるのか。どうして自分は生きて壁際で尻餅をついているのかを考えた。
たしか私は壁よりも二メートルほど離れて歩いていたはずだった。なのに壁に背中と頭をぶつけている。
誰かによほど大きな力で突き飛ばされない限り自分の跳躍力では届かない距離だ。
それに、その跳躍力があったとしても自分には反応できなかっただろう。つまり自分で壁際に移動し尻餅をつくのは不可能だということになる。
しかし辺りを見回しても周りには誰も居ない。
すると「大丈夫?」と頭上から声が聞こえた。
見上げると若い男が塀の上に腰掛けたまま見下ろしていた。
「・・あなたが助けてくれたのですか?」
少し違和感を感じながらも男に尋ねた。
202 :
kiri:2008/11/09(日) 00:45:01 ID:36dJl8p80
「さあ、どうだろう?君が轢かれそうになった処までは覚えているんだけどそれ以降はよく分からないんだ。」
「そうですか・・・。・・ところでなぜあなたはそんなところに座っているんですか?」問うた後、少し嫌な予感がした。
「僕にはね、此処しかないんだ。・・どこかに行こうと思っても最後には此処に戻ってきてしまう。だからここに居る。ずっと、ずっとね」
「あ、あの、それって・・」
「お察しのとおり、僕は幽霊って奴だ。証拠はその花瓶かな。」
いやな予感はあっさり現実へと変わった。男はこっちが拍子抜けするくらいあっさりと自分が幽霊であると告げた。
でも恐ろしいとは感じられなかった。むしろ彼の口調・雰囲気に親しみすら感じた。
だからかもしれない、気が付くと言葉が漏れていた。
「死ぬって、幽霊になるってどんな感じですか?」
彼はしばらく考えていたあとようやく口を開いた。
203 :
kiri:2008/11/09(日) 00:51:30 ID:36dJl8p80
「死ぬってこと。つまり死の瞬間は覚えてないんだ。車が目の前に来たことまでは覚えているんだけどね。
気が付いたときは血まみれでぐちゃぐちゃの死体が転がってて最初はそれが誰なのかわからなくて、でもよく考えたらどう見ても真上つまり上空からの視点なんだよね。
上空ってことは飛んでないと見れないアングルナな訳で、当然僕は飛行能力なんて持ってないし、何より、服装とかが自分そっくりで路上には自分の荷物が散乱してる、それで(あぁあれは自分の死体で僕は死んだんだなぁ)って気付いたんだ。
というわけで幽霊になった瞬間のことも分からないんだ。質問に答えてあげられなくてごめんね。」
「い、いいえ。すみません、無遠慮にこんなことを聞いてしまって・・」
本当に自分は馬鹿だと思った。自分の不幸を聞かれて辛くない人は居ないのに。まして自分が死んだ時のことなんて。きっと怒らせただろう。悲しませただろう。辛い思いをさせただろう。
よりによって自分の命の恩人になんてことを聞いてしまったんだ。
「あの・・・」
「はいっっ」あぁどうしようなんて言われるだろう。いや、どうやって謝ればいいんだろう。どうすれば・・・
「そんなにびくびくしないで、僕を怒こらせたと思ってるのならそれは間違いだから。別に怒ってないからさ、ね?」
「ど、どうしてですか?私はあなたに辛いことを・・」
辛いことを思い出させた上に、気を使わせてしまうなんて本当になんて私はどうしてこんなに馬鹿なんだろう。
204 :
kiri:2008/11/09(日) 00:52:18 ID:36dJl8p80
「だからもういいんだって。・・確かに死んだという事実は辛いさ、でもそれはもう過去のことだから。
それにね、立場が違ったら多分僕も同じことを聞いたと思うから。人間ってさ、自分の分からないこと、例えば死とか霊とか気になるでしょ?
なら答えを知っていそうなモノに出会ったら聞いてしまうのは本能みたいなものじゃないのかな?僕は、そう思うけど。
それよりさ、僕は君に会えてうれしいんだよ。」
「えっ?ど、どうしてですか?私はこれといった特徴もないし、暗いし、”うれしい”なんて言われるような所なんて・・ありませんよ。」
「いや、君は僕にとってある意味神様や仏様、金銀財宝よりも貴重なものを持っているよ。」
「? なんですか?」
「分からないの?。君は僕とこうして話すことができるし、触れられるみたいだ。これは僕にとって奇跡みたいなことなんだよ。」
そういって彼は”フワリ”と目の前に降りてきて私の手を握った。
ひんやりとしているかと思っていたけどその手は不思議な温かみを私に与えた。
心の奥にまで届くようなほのかなやさしいあたたかさだった。
「君は暖かいね。こうして触れるだけで君の気持ちが伝わってくるみたいだよ?」
そういって彼はくすりと笑った。間近で見る彼の顔はほんの少し幼さが残りった少年のようだった。
205 :
kiri:2008/11/09(日) 00:54:20 ID:36dJl8p80
訂正
間近で見る彼の顔はほんの少し幼さが残りった少年のようだった。
残りった→残った
続き
「ねぇ、僕と友だちになってくれないかな? ずっと一人で退屈だったんだ。」
笑いかけた彼に私は即答できなかった。その代わりにひとつ質問を投げかけた。
「・・・ずっとここにいるって普段は何をしてるんですか?」
「・・普段はこの塀に座って空を見上げているんだ。あまり遠くにいけないし誰も僕に気が付かないから話相手もいない。
鳥の観察をしてみたり、たまに猫会議に出席したりもするけどにゃごにゃも言われても僕には分からないしね。
だから空を見上げる、・・自分が風になってすうっと飛ばされていって小さな小さな粒子になっていく、鳥に食べられたり、吸い込まれたり、吐き出されたり、雨に解けて海や川に流れて少しずつ少しずつ自分が消えていくのを想像するんだ。
空はいいよ、見上げるごとに違う空になるからね。雨の日、風の日、雪の日、晴れの日、嵐の日。同じ空なんて一つもないし、この大きな空を見てると自分がどれほどちっぽけなものかがよく分かるから。」
そういった彼は少し寂しそうに笑った。
206 :
kiri:2008/11/09(日) 00:54:49 ID:36dJl8p80
その顔が悲しくて、切なくて、なぜか私は彼にこんな顔をさせたくないと思った。
「あの、いい・・です、よ? あ、いえ、その・・友達・・になって・・・ください・・・・。」
つっかえつっかえだったがちゃんと言えたことにほっとする。
でも、彼の反応がなくて不思議に思って顔を上げると彼は、まさに”驚き”の表情で固まっていた。
「本当に!?いいの??僕幽霊だよ!?え、本当に?」
彼のあまりの喜びっぷりにこくこくと小さく首を振ることしかできなかった。しかしそれでも十分なようで彼ははしゃぎまくっていた。
彼の見せた変貌振りに唖然としている私に気付いた彼は恥ずかしそうに咳払いをした後に赤くなりながら言った。
「コ、コホンッ。コホンッ。えーあー・・・その・・つい取り乱してしまってごめん・・
あの・・それくらい、うれしかったんだ・・・。えぇっとさ、いつもここに居るから気が向いたらでいいから来てくれるとうれしいな。」
彼はそう言った後、まだ赤い顔を恥ずかしそうに伏せながら早口に「そ、それじゃまたね!」と言ったかと思うともうそこに彼の姿はなかった。
忽然と消えた彼に驚きながらも帰ろうと歩き出した背中に”気をつけて帰るんだよ”と彼の言葉が聞こえた気がした。
>>200 レスとか感想文って苦手なんだよね。
そんな俺が、
個人的な印象としてはツンが足りないかな素直クールも好きだけどとか
最初の僕→私視点チェンジ場面でちょっと混乱したから分け方もう少しはっきりした方がいいかもねとか
期待してるよもっと沢山話書いてねとか
言うわけないだろ。
だからまぁなんだ、要はgjとだけ言っておく。
208 :
kiri:2008/11/09(日) 19:18:19 ID:36dJl8p80
・・・家まであと少しという所で(あっ、名前聞き忘れたな・・)と気づいたが明日聞きに行けばいいかと流しておくことにした。
家に入るといつものように味気ない食卓、顔も合わせない両親。
私は重苦しい雰囲気に耐えられずそそくさと自室に逃げ込み勉強をすることにした。
・・・しばらくして弟が部屋に入ってきた。
「姉ちゃん、わかんない所あるんだけど・・・」
どうやら宿題をやっていたらしい。やんちゃで落ち着きがないのにまめに勉強するところは私に似ていてよかった。
「・・はいはい、どこなの?」
「この真ん中のところなんだけど・・・」
・・・・・なんていうやり取りを交わしながら説明すると納得してくれたようだ。
こういうところは私よりも飲み込みがいい。もっと勉強したら私よりも良い所に行けるかもしれない、などと思っていると唐突に「・・・姉ちゃん、何かあったの?」不審気な顔でたずねてきた。
「べ、別に何もないわよ。・・何か気になることでもあるの?」
「いやなんか今日の姉ちゃんどこか楽しそうだから・・何かあったのかなって思ってさ。」
「・・たまたま機嫌が良いだけよ。」
などと言って今日の出来事は話さなかった。言っても信じないだろうし、なにより今日の出来事はあの人と私だけの秘密にしておきたかったのだ。
え、何これ続き?
210 :
kiri:2008/11/09(日) 20:00:47 ID:36dJl8p80
続きます。
不定期になるかもしれませんが・・・
書き上げてから一気に投下した方が良くないか。ブツ切れだと印象薄れるぞな。
212 :
kiri:2008/11/09(日) 22:31:40 ID:36dJl8p80
>>211 おk
しばらく空くかも知れんが・・・
そのときはよろしく(?)
証言1
いやまぁ、家賃も環境の割にはやけに安いし?部屋の温度も外と比べて5℃は寒いし、何かやたらカビが出るし。
噂に聞くアレかなーとは思ったけど住んでみると何もでないし。
いやうん、気配はあるよ。視線とか、夢うつつに、パタパタ歩き回る足音とか。
でも夢とか気のせいで片付けられるレベルっしょ?
最近は猫のせいで金縛り、磔か、酷いけど(笑)
証言2
霊感ゼロ人間って本当にいるのねって感じよ。
試しに外に顔出して歩く人脅してみたけどちゃんと反応するのよ、普通は。
なのにアイツ、追い出そうと思ってあたしがどんだけ騒いでも何にも気づかないんだもん。
バカじゃないの?ホントむかつく。
変な野良猫餌付けして家に入れるし。
あいつがいない間、誰が猫の世話しなきゃいけないと思ってんのよ!?
証言3
最近立ち寄る家は、幽霊と人間が同居している。
そういうのは大概折り合いが付かず人間が出て行くのだが、今回は上手くやっている様子。
此処何日かは酷く寒いので我も人間の家に上がり、
なにぶん暖房など無い家なので人間で暖を取らせてもらっている。
夜中などは、我と幽霊共に仲良く人間を挟んで小の字になって寝ている。
>>213 証言3は猫か何かか?
てか幽霊小さいのな。
ところで二年位前だったと思うが、「眼球を頂きたく思います」みたいなフレーズが出てくる話がここにあった気がするんだが、
一体何スレ目だったか覚えてる人いるか?
まとめwikiにもないみたいなんだよな‥‥‥。
もちろん最近餌付けされた野良猫でしょ。
>>214 アレか!『彼の手記』か!!
ココ↓だな
「なにその ツンデ霊 ☆四人目★」
スレタイは四人目だけど、実質5スレ目。
神作品だな
>>214 軽々しく神とか言いたくないが、確かにあの作品は別格だわな。
「晃子のポックリ」を書いた人と同一ではないか、とにらんでるんだが。
218 :
214:2008/11/13(木) 00:50:25 ID:mqeCQnBG0
そうか、『彼の手記』だったか。独特の文章と例の一行の印象が強く残ってる。
地の文で霊の事を「かれ」と呼んでいたような記憶が蘇ってきた。
五スレ目だったか‥‥‥どうしよう。
まとめサイトの編集したらログもらえるかな。
むしろ編集するのにログが必要なんだが
つまり編集するからログをくれと。
必要なのはHTMLか、DATか
来週土曜に@wiki全サーバの大規模メンテナンスば行うそうだ。
その間はまとめへの接続が困難となります。ご理解ご協力頂きます様お願いするとよ。
月日及び時間は11月15日(土) 22:00〜11月16日(日) 7:00 だそうです。
この間に繋がらなかったとしてもまとめが無くなりよったわけではないのでご安心を。
・追伸
前スレのDATば下さい
225 :
kiri:2008/11/14(金) 02:21:04 ID:mbt4fzes0
もう我慢できない。
切れ切れにナっても順次投下します。
では続き。
また朝が来た。憂鬱な一日が始まる。
でも今朝は少し違った。朝の喧騒も、重苦しい食卓も気にならなかった。
あの人に会えるからだろうか、家を出るとき私は少しうきうきしていた。
排気ガスで淀んだ朝。新鮮とは程遠く深呼吸どころか呼吸すらしたくなくなるような爽やかさの欠片も無い朝の空気。
その中を進む。彼のいるであろう場所へ。
はたして、彼はそこにいた。この澱みの中でも見間違えようも無いほどに透き通った何かに包まれるように、はっきりと朝に腰掛けていた。
そらを見上げたままの彼に近づくと「おはよう」の声と共にフワリと降りてきた。
彼が実にあっさりと昨日のことは夢ではなかったのかという疑念を打ち砕いてくれたことに心中感謝しながら挨拶を交わした。
と彼が思いがけない提案をしてきた。
226 :
kiri:2008/11/14(金) 02:21:28 ID:mbt4fzes0
「はーい、ここでちょっと提案です。僕と話すときは誰もいない処でか小声でお願いします。でないとせっかくの友達が”一人事の激しい可哀想な人”になっちゃうよ?」
・・・なるほど今なぜ自分が周りからちらちらと熱視線を送られているのかが分かった。
私の目に彼がどれほどはっきり見えていても周りの人たちにとって私は虚空に向かって話しかける可哀想な人に映る訳だ。
「OKなら手をグーにNOならぱパーにしてね。」
彼の提案にすかさずグーを出す。これで何とか可哀想な人からの脱出出来るだろう。あでぃおす!!
彼は少しならば移動できるというので学校まで話しながら行くことになった。とは言っても彼の言葉にグーパーしていただけなのだが・・
227 :
kiri:2008/11/14(金) 02:21:49 ID:mbt4fzes0
「さて、学校です。今日は授業参観ですか?」
「はい、そうです。トム」
中学生の英語の問題のような答えをしてしまうほどさらりと彼は言った。
「・・・・ってえぇぇぇぇぇ・・・(フェードアウト、はいOKでーす。)。 ち、違いますよ。何ですかいきなり!?」
小声で叫んだ自分を褒めたいと思った。
「いやー授業参観でもないと部外者が授業を見れないじゃないですか!」
チョット マテ・・・ジュギョウ ヲ ミルッテ ?
「だ、駄目ですよ!だって、だって・・・」
「? いいじゃないですか、減るものじゃないんだし。それに暇なんだもん。大丈夫、安心して!君に守護霊のごとき鉄壁のガードをお届けするよ!」
「要りませんからそんなものは・・・」などという小声の攻防戦の結果、彼は渋々ながらも引き下がってくれた。
私はホッと胸を撫で下ろしつつ昇降口に入る。
私の靴箱の中にはやはりというかいくつもの押しピンが入っていた。
(彼に見られなくてよかった。)
いつもの事なので何も感じない、思わない。
もう 慣れてしまった。
いつからこうなったのかさえ覚えていない。理由は些細なことだった。
228 :
kiri:2008/11/14(金) 02:22:51 ID:mbt4fzes0
始まりは私が告白されてそれを断ったということだった。相手は格好良くて人気のある人だった。
そのことが癇に障ったらしい。彼を狙っていた女子と取り巻きの数人が嫌がらせを始めた。もともと私の暗いところやとろいところが気に入らなかったらしい。
彼は私を何度か助けようとしてくれたがその行為をエスカレートさせるだけだった。
そのうちに彼は別の彼女を作った。それでも彼女たちはやめなかった。
私を弄び、蹂躙すること。目的は消え、いつからかその行為自体が目的になったいた。
私はただ耐えた。いつか終わりが来ると信じて。
−−−信じるものは救われる−−−誰の言葉だったか。そんなの全然嘘じゃないか。信じる人すべてが救われるなら。戦争なんて起きない。貧困もない。平和な世界。
私もこんな思いをせずに済むはずだ。
皆無責任なことを言う。「努力すれば夢は叶う。」「あきらめるな。」「仲間を信じろ。」でも誰もその言葉に責任を取らない。
責任の無い軽い言葉を一体誰が信じるのか、なぜ誰も異議を唱えないのだろうか。耳障りがいいから?聞こえが良ければそれでいいの?
じゃあそれを信じた人は?どうすればいい?無責任な人達の無責任な言葉に振り回されて捨てられた人は一体どこに行けばいい?何をすればいい?
無責任なことを言わないで。
229 :
kiri:2008/11/14(金) 02:23:45 ID:mbt4fzes0
「・・・ふーん・・・・・」
耳元で今朝の声が聞こえた。顔を上げると彼がいた。
・・・見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。
見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。
見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。
見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。
見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。
見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。
見られてしまった。見られてしまった。見られてしまった。みられてしまった。みられてしまった。みられてしまった。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。
ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。
ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。ミラレテシマッタ。
彼にだけは知られたくなかったのに・・・・・・・・・・・・彼にだけは知られたくなかったのに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ミラレテシマッタ。
230 :
kiri:2008/11/14(金) 02:24:37 ID:mbt4fzes0
「・・・こっちへおいで」
カレ ガ ナニ カ イッテ イル。デモ ワカラ ナイ、ワカラ ナイ ノ、ワカリタク ナイ ノ ・・・・
−−−ぎゅぅぅぅぅぅぅぅうぅぅぅぅぅ−−−
何が起こったのかわからなかった。いつの間にか私は校舎裏の人気の無い場所にいた。教室の朝の喧騒が遠く響いてくる。
私は一体どうしたんだろう?確か彼に見られてみられてミラレテミラレテ・・・・
−−−ぎゅぅぅぅぅぅぅぅうぅぅぅぅぅ−−−
おかしい。さっきから苦しいような気がする。体が動かない。自分の体なのにどうしてだろう?
ふと目をやると彼が私を抱きしめていた。
一瞬で顔が熱くなると同時に私の頭の中に今の状況がストンと入ってきた。
私は見られてしまったのだ。見られたくなかった秘密を
231 :
kiri:2008/11/14(金) 02:26:22 ID:mbt4fzes0
「どうして・・・」
私が言い終えるより早く彼が口を開いた。
「うるさい!!!・・・なんで隠した?どうして?僕は君の友達だって君と友達になったって言ってくれたじゃないか。なのに、どうして隠すの?ねえ・・・・答えてよっ・・・・・・。」
言葉が 出なかった。幽霊の彼は私を抱きしめたまま静かに泣いていた。怒っていた。何よりも自分は友達なのだと。
「見られたく・・なかった・・・から・・・。友達・・だから、虐められている私を・・見せたくはなかった・・・」
口に出せたのはそこまでだった。
「ふざけるな!!!そんなことで僕が君を嫌うとでも思ったの?僕は君の友達なんだよ、友達なんだ、友達なんだよっ。だから・・・、もっと信じてよ。
お化けだけど・・、会ってすぐだけど・・・君が僕を友達だと言ってくれた時から君の一番の友達でいようと決めたんだ。
友達なんだよ。友達だから。だから、もう隠さないで。我慢しないで。すべてを話して、お願いだから・・・」
そこまで言い終えると彼は泣き崩れた
232 :
kiri:2008/11/14(金) 02:28:41 ID:mbt4fzes0
彼の涙に釣られたのかもしれない。私の目に涙がたまり何も見えなくなっていく。目に映る全てが歪み不確かになる。遂に私の瞳のダムは決壊した。
止め処なく溢れる涙の粒が頬を伝って落ちていく。最初の一粒が地上に落ちた時、私も我慢できなくなって彼に抱きしめられらがら泣いた。
暖かな体。温かな心。温かな涙。暖かな彼の温もり。陽だまりに居るようで気持ちもぽかぽかしていく。あったかな涙は止まらず、でも少しも悲しくはなかった。
私には彼がいるから。僕がここにいるからと彼の温度が伝えてくれたから。きっといつか笑顔になれる。笑い会える日が必ず来る。
この瞬間私は疑いようもなくそのことを信じていた。そのことを彼のぬくもりのせいにした。
こんなに泣かされたのは生まれて初めてだ。
あったかな涙に包まれて、そのとき私は確かに幸福のなかにいた。
−−−柔らかな彼の声がこれほど歪むのを聞いたのは後にも先にもこの一度きりだった。−−−
wktk
234 :
笹原:2008/11/14(金) 22:41:05 ID:nSmxjEkc0
コピペ乙 しかし みんな暇だな∃(^〇^)
235 :
kiri:2008/11/14(金) 23:53:07 ID:mbt4fzes0
もうちっと改行どうにかならんかな。読み難くてしゃーない。
237 :
kiri:2008/11/15(土) 22:06:07 ID:V0wZyl3A0
240 :
kiri:2008/11/16(日) 23:54:00 ID:Uun63K7H0
なんというか読み返してみたら文章構成の下手さに・・・
消してしまいたい・・
書き終えてから数日置いて見返してみたらいいと思うよ
書いた直後に見直したって絶対に「これ最高じゃね?」ぐらいにしか思えないから
いきなりの事にビックリして起きたのは夜中だった。
ついに出たのかと冷静に考える頭もあったがやはり驚愕はでかい。
に、しても何だってんだこの状態は。目の前に透けた顔があるんだが。
なんつうかもっとこう…ポルターガイストみたいなもんじゃねぇのか?
ルールなんて別にないけどさ、ここまで安い物件なんだからみんな怖がって出ていったってもんじゃないの?
かなり怖くないんだが。何せこのクリッとした大きな眼といい…タイプだ。
解らないな。もしや幽霊が出たってだけで今までの住人は出ていったのか?
リアルにありえねぇ。「こんなに可愛いのに…」ふと声に出して言ってしまった。
またたく暇すら与えない勢いで真っ赤になる目の前の顔。「な、何言ってるのよ!」と声を上げた。
せっかくだ。「可愛いって言ったんだよ、お前を」少しぐらい会話しよう。
ん〜。何とキュートな反応な事か。今時の女じゃ絶対見れない素晴らしい反応だ。
がぜんこの部屋から引っ越す気は薄れるってもんだ。「の、呪い殺すわよ!」なんて言われても迫力に欠ける。
まぁ、むしろ「殺されたいかもしれない」と思った。
と、目の前の顔に動揺が広がった。「何か嫌な事でもあるの?」と心配そうに言ってきた。別にそういうわけでもないんだが…。
めっきり変わった態度に俺は感じた。こいつは死ぬ時に何かあったんだと。
のんびりと「いや、お前になら殺されても良いかなって思ってしまっただけさ」と返す。
時計の針がコチコチ動く音がする。「死んでも良いことなんて無いよ?」幽霊はそう語る。悲痛過ぎる顔で。
にっこりと笑って「解ってる。お前は優しいんだな」と返してやる。
改めて顔を赤くして「べ、別に…ただ出ていけって遠回しに言いたいだけなんだから…!」と言いやがる。
行いの一つ一つが可愛い。もしかすると俺はこの幽霊に一目惚れしたかも解らんね。
直視する視線がふと逸らされる。「いつまで見てるのよ…」と恥ずかしそうに言いながら。
しかしどこまでも俺のストライクゾーンを抉るな、本当に。
ていうか何でこいつは幽霊なんだろう。本当にそう思った。
おかしく急になんかなって、俺は泣いた。
きっといきなり泣き出した俺に驚いたのだろう。「どうしたの!?」と慌てだした。
まったく…なんでかな。「ごめん、お前に一目惚れした」
すっかり呆けた顔をしたそいつはハッとすると「ば、馬鹿! でも…嬉しかった、かも…」と言った。やれやれ。
授業中に何してんだか…
おk
心霊スポットで、携帯で写真撮ったら何か写り込んでた。
結構可愛い女の子。欠伸して、油断してる感100%の横顔。
ので、皆に見せて盛り上がっていた。
ある夜、寝てたら金縛りになった。
目を開けると、写真に写ってた女の子が怖い顔して睨んでる。
『写真、消して』
返答に迷ってたら『消せーっ!!』とがくがく揺さぶられつつ首絞められたので、頷いといた。
「でもあの写真、皆に送りまくったんだけ」
『誰に送ったのよちょっと携帯寄越しなさい!!』
彼女やや涙目。
金縛りも解けたんで仕方なく携帯渡すと、早速データ消去してる。勿体無い。
「あの写真結構可愛いと思うけど」
『バカじゃないの!?心霊写真なのよ?あんなの恥ずかしいだけでしょ!!』
怒った途端、変な音立てる携帯電話。静電気?ショート+怪力による破損。
『…ごめん』
「いやいいようん」
ややビビッてます俺。
『…あ、他の人の連絡先、わかんなくなった…』
「ああ、写真送ったの、基本学校の友達だけだから」
『じゃあ、写真消すように回るの、手伝いなさいよ』
「うん、いいよ」
くるくる変わる彼女の表情は生き生きとしてとても魅力的で、俺はすっかり惹かれてしまっていた。
写真一枚でこの騒ぎ、幽霊としてのプライドは高いらしいが、短気で単純で結構ドジっ子な彼女。すっかり尻に敷かれている俺。
「隊長!例のデータ、ネット公開されている模様です!」
『…あんたがあんなの撮るから…』
彼女にがんがん精気吸われながらも、今日も元気に頑張ってます。
246 :
本当にあった怖い名無し:2008/11/18(火) 18:31:15 ID:A0OwNF1N0
下がりすぎなのよ、馬鹿。
あんた分かってるの?
「解ってる…君は素直じゃないからな。心配してくれてるんだろう?」
「けっ…どんだ勘違いね。別にそんなんじゃないんだから」
「なんで素直じゃないのか…」
「いい加減にしなさい! 本当に思い込みもいいところだわ!」
「…そうか…それはすまんな………」
「絡み辛いわね、そう落ち込まれると………」
「まぁ、また君に怒られてしまったからな」
「ルックスいいんだから女々しいと色々勿体無いわよ?」
「あぁ、いいんだ。僕には君が居るから」
「なっ…!?」
「ただ僕には君が居ればそれで良い。僕にずっととり憑いてくれるんだろう? 死ぬまで」
「の、呪い殺すわよ、今すぐ!」
「かなり願ったり叶ったりかもしれない。君に殺されるなら本望だ」
「おかしいわよ、あんた本当に! 初めてわたしを見た時も怖がらなかったし!」
「リクエストした反応が必ず帰って来るとは限らない。君だって僕が好きと言っても顔を赤くして馬鹿としか返してくれない」
「…っ! 解ったわよ!! ………よ……わたしも好きよ! これで満足でしょ!!」
「愛らしい。まぁ、知ってたさ」
「し、死ねぇ!!」
「いいの?」
「よ、よくないに決まってるでしょ! もう………!!」
上手く文章にならんなぁ
萌えた
249 :
本当にあった怖い名無し:2008/11/20(木) 19:13:58 ID:/aypny6W0
250 :
本当にあった怖い名無し:2008/11/21(金) 17:02:44 ID:lF6+j8uA0
もえ
251 :
本当にあった怖い名無し:2008/11/23(日) 23:57:23 ID:XjGeR3sR0
シンプル イズ ベスト
252 :
220:2008/11/24(月) 16:55:13 ID:kqmlPJUk0
>>224 申し訳ない、取り損ねた‥‥。
わざわざ上げていただいたことには本当に感謝しております。
>>221 三、四、四(五スレ目)は970位まで確保したので、隙を見て編集してみようかと思います。
(*・A・A・*)ぬ、ヌッヘッホーなんだからね!
255 :
kiri:2008/11/25(火) 22:41:55 ID:hTwKLSm/0
>>232のつづきです。10日
彼は、私が泣き止むまでずっと抱きしめていてくれた。泣き止んでもそのまま放そうとしなかった。
だから、私も遠慮せず彼に抱きついていた。恥ずかしかったけれどこの泣き膨れた顔ではどうしようもない、顔の赤さは涙の所為にでもしてしまおう。
「・・・いつからなの。」
涙でぐじぐじになった顔を隠すようにそっぽを向いた彼が言った。
私はいつからなのか覚えてないこと、原因、今の状況などを答えさせられた。
それを聞いた彼はしばらくしてポツリと独り言のように小さな声で呟いた。
「言ってくれれば良かったのに。・・・心配、させるなよ。」
そう言った彼の顔は相変わらずそっぽを向いたままだったけど赤く染まった耳が彼が照れまくっていることを教えてくれた。
ho
保守
wiki更新乙です
259 :
kiri:2008/12/02(火) 22:49:02 ID:2cqvq6Fs0
>>255 続き
カツカツカツ・・・教師が黒板に板書していく。
それをノートに取りながら授業が終わるのを待つ。
あの後、彼は学校の敷地内を回ってくると言ったままどこかへ消えてしまった。
キーンコーンカーンコーン・・・
チャイムが授業の終わりを告げる、
・・・昼休みだ。
私はいつものように屋上に来ていた。ものぐさな校務の人が変えていないのか、はたまた気付いていないのか屋上の鍵は壊れて開いている。
「おー、遅かったね。」
ドアをを空けるや否や彼の声がした。どうして私がここに来ると分かったのだろうか?
「・・・なんでここにいるんですか?・・・・いえ、答えなくて良いです。」
「えー、せっかくどう答えようか考えてたのにー」
不満気な声を上げているがそれはこっちの台詞だ。
「・・まあいいです。もう気にしません。」
「?、何を??」
260 :
kiri:2008/12/02(火) 22:49:56 ID:2cqvq6Fs0
彼の頭上には?がぐるぐる旋回していたがそのまま放置しておこう。言っても分からないだろうし。
「それでどうだったんですか?」
「?」
「回ってくるって言ってたでしょう?」
「あぁ・・、そうだね。言ってた言ってた。フツーの学校だね。」
本当にどうでもいい感じで言ったのが気に入らなかったのかもしれない。
「じゃあフツーじゃない学校ってどういう学校なんですか。」聞き返してしまった。本当はどうでもいいことなんだけどな・・
「ええっと・・、例えば恐怖!七不思議〜とか、歩く二ノ宮さんとかあとそれからny・・」
「いいですからもう。はい、この話題は終了です。」
「えーー聞いてきたのそっちじゃん。・・・まあいいや。いい学校だね、ここ」
さっきのふざけた態度から急にいつものさらりとした態度に変わった彼に少しどきどきしながら話を聞く。
「不良が裏で喧嘩したりとか、煙草吸ったりだとか、幽霊もいないし、怪談もない・・・」
「不良と幽霊の事だけですね。」
261 :
kiri:2008/12/02(火) 22:53:36 ID:2cqvq6Fs0
「あはは、そうだね。でも、この二つは快適な学生生活を送る上で重要だよ?僕がいた高校じゃ不良が我が物顔で闊歩していてもしぶつかったりしようものなら・・・」
「話さなくていいです。むしろ聞きたくありません。」・・・なるほど、彼の話は自身の実体験に基づいているようだ。
「だけどさー、虐める方も相当暇だね。むかつくなら相手にしなけりゃいいのに。自分の時間を使ってさあ・・もっと他にやるべきことがあるだろうに・・・・」
「そのやるべきことが他人にかまうことなんじゃないんですか?」
弁当の包みを開けて箸を取り出し手を合わせて食べはじめる。今日のお弁当も良い出来だ。ユータも言ってくれれば作ってあげるのに・・・
「・・・そのお弁当、美味しそうだねー。・・・・・一口!一口でいいからちょうだい!」
「・・・別にいいですけど・・・・・食べられるんですか?」
私の素朴な疑問は、彼が忘れていたものを呼び起こした様だった。
「・・・・・・・・・・・ア---------僕幽霊ダッタ--------------------------!!!!」
叫び続けたまま彼はみるみる萎んで行き最後にぷしゅーと空気が抜ける様な音がした後床にぺたりと張り付いてしまった。
262 :
kiri:2008/12/02(火) 22:55:12 ID:2cqvq6Fs0
「・・・・・はむはむはむ・・・・もぐもぐもぐ・・・・もっきゅもっきゅもっきゅ・・・・ごくん・・・・はむはむ・・・・・・・」
リアクションに困った私はそのままご飯を食べ続けることにした。学生の昼休みは貴重なのだ。
「・・・・プシュ------------・・・・・プシュ----------------」
床にへばり付いた物体Xはまだ元に戻る気は無いらしい。
・・・なんだか不憫になってきたので物体Xに卵焼き(甘い)をお供えすることにした。
・・・・・お、卵焼きに気付いたみたいだ。触手の様なものが伸びてきた。
匂いを嗅ぐように周りでクンクンと動いた後で別の触手が伸びて物体Xを卵焼きの近くまで引きずった。
顔(?)が上がって触手ごと飲み込んだ(!)
「・・・・・・んっまーーーーーーーーーーーい!!!!!!!」
へばり付いていた物体Xは急膨張、ウルトラマンのポーズで復活。
「・・・あなたって本当に幽霊なんですか?妖怪とかそんなのじゃないんですか?」
「何を失敬な!拙者、生まれてこの方幽霊一筋でござる!!」
「いや、最初はちゃんと生きてたんでしょ・・・」
他にもいろいろとツッコミ所はあるが(なぜ侍?などなど)ツッコミ出したら彼のペースなので黙るが勝ちだ。
さあ、ご飯の残りを片付けなくては。
263 :
kiri:2008/12/02(火) 23:05:04 ID:2cqvq6Fs0
「いやー、この卵焼きは美味しいね。やっぱり卵焼きは甘いに限るよね!」
・・自分の料理を家族以外の人に褒めてもらったのは初めてだ、幽霊だけど。何か嬉しいっていうかなんというか・・だめだ顔が熱くなってきちゃった。
「・・・口にあったのなら良かったです。・・って言うより幽霊もご飯を食べられるんですね。驚きです。」
赤い顔を見られたくなくてそっぽを向いてしまった。しかもちょっと声がぎこちない。変に思われたかな・・?
「仏壇とかお墓とかにお供え物をするんだし食べられるんじゃないのかな?良く知らないけど。」
けれど彼は気付かなかったようだ。よかったよかった。
「じゃああのリアクションは何だったんですか?あの物体Xは?」
「食べられるなんて知らなかったんだよぅ。食べようとしたらなぜか食べれたのっ!あと、さっきのは僕の百八あるうちの・・・」
-----キーン コーン カーン コーン-----
(あ、五時間目は移動教室だった。急がなきゃ。)
いそいそと弁当箱を片付けて走り出す。
「じゃあごゆっくりどうぞー・・・・」
「あっ、待って!今ちょうど良い所なのにーー・・・・」
身振り手振り興奮気味にしゃべっていた彼にそれじゃあと後手に手を振って屋上から出る。
久しぶりに他の誰かと一緒に食べたお弁当はいつもよりも美味しく、温かかだった。
264 :
本当にあった怖い名無し:2008/12/03(水) 04:49:10 ID:qmmz7SOK0
?
265 :
本当にあった怖い名無し:2008/12/03(水) 05:34:56 ID:lhBN/BZOO
なにこの人
つまらんし長いし、よそでスレ立てて書いてくれないかな
コピペにもならんわ
こんだけ過疎ってもまだケチつけるだけのやつっているんだね
つ、ツンデレなんかじゃないんだからね!
いつのまにかwiki更新してらー。乙です
あげてなんかやらねーよ
ものすごいハイテンションor半径1M感動シアターモードで書き込んだのが
まとめられると死にたくなる
272 :
本当にあった怖い名無し:2008/12/10(水) 12:31:02 ID:wQOH/LdX0
し、死んじゃダメなんだからね!
悪霊「え〜たまには死んでも良いじゃん」
地縛霊「そうだ! そうだ!」
ツンデ霊「え、えっと…」
悪霊「考えてみなよ死んだら今の若いままの姿でユーレイになるんだよ」
地縛霊「そのままずっと一緒にいられる」
ツンデ霊「た、確かに・・・って別にあんな奴と一緒にいたくないんだからね!」
忘年会で、しこたま飲んだ。
帰り道、同僚と別れた俺は一人、駅のホームでふらつきながら電車を待つ。
構内アナウンスが入り、電車の明かりが近づいてくる。
電車に乗り込もうとして前に歩み出た。
『随分とぉぉ飲んでますねえぇぇ』
エコーが掛かった低い声が頭の中で響くと同時に後ろから肩をガシッと掴まれた。
『これじゃぁぁ線路にぅ落ちても文句言えませんねぇぇ』
暗いホームの下から、血まみれの手が這い上がり、足首に掴みかかる。
そしてそのまま――
電車がホームに入ってきた。
複数の手に支えられた俺の体は風圧に揺らぐ事も無い。
俺の前でドアが開き、そして、俺は電車内へ押し込められた。
閉まるドアの向こう側に立っていたのは、駅員の格好をした骸骨だった。
終点まで気絶してました。
飲みすぎには注意です。
276 :
本当にあった怖い名無し:2008/12/19(金) 15:09:31 ID:SZHfkPaNO
ほしゅするわけじゃないんだからねっ!
ありがとう、君のおかげで落ちずに済んだよ。
またお願いしても良いかな?
>>275 某灼眼に出てくるドォォミノォォォォ!の人に見えたwww
279 :
1/4:2008/12/22(月) 00:53:04 ID:wI+/FK8u0
1
画家志望だった若い頃に暮らしていたぼろアパート。
ただでさえ安普請な造りの上、私の部屋は女の幽霊が出た。
白装束に、長い髪。顔立ちは整っているが、いつも無表情。
色彩の無い半透明な体は膝から下が完全に消えている。
典型的な日本幽霊スタイルの彼女。
幽霊が出てくる場所はいつも決まっていた。
部屋の一角にある押入れ。
襖がじわりじわりと音も無く開いていったかと思うと、
そこから若い女が無表情のまま現れ、部屋の中を徘徊する。
最初は恐ろしかった。
追い回され襲われるとかそういった直接的な干渉は無い。
霊障と言うのか、彼女が現れている間は空気だけではなく体も酷く重く感じ、
誤って彼女と接触した時は、触れた部分を中心に異常な冷たさと痺れに襲われた。
夜中に目覚めた際に、枕元に立つ彼女にじぃっと見下ろされていた時などは、
その後暫くはまともに眠れなかった。
280 :
2/4:2008/12/22(月) 00:54:02 ID:wI+/FK8u0
2
慣れとは不思議なもの。
彼女の進路と交差しないように注意する以外は、
その存在を極当たり前のものとして受け入れるようになっていた。
時には彼女の姿を速写する事もあった。
彼女が最初に現れる押入れの襖には、人の形をした染みが浮き出ていた。
アパートに入る際に襖は全くの新品に差し替えられていたのだが、
気が付くと彼女の残像のように浮き出ていた。
その日ふと思い立ち、絵の具と筆を手に襖に向かう。
彼女の姿を思い出しながら、彼女の残像に色を乗せていく。
その晩いつものように現れた彼女は、
襖に描かれた色鮮やかな自身の姿を目にすると不思議そうにそれを眺めていた。
次の日からは、彼女は現れなくなった。
一人きりの部屋で過ごす私の心には、何故か虚無感に似た感情が生じていた。
微妙な気持ちのまま、それでも大事にしていた彼女の絵も、一日毎に色を失い、
やがて彼女と同様に、痕も残さず消えてしまった。
彼女の事は、消えぬ痛みとして心に刻み込まれた。
これ以降、女性を描く事が出来なくなった。
281 :
3/4:2008/12/22(月) 00:55:06 ID:wI+/FK8u0
3
年月を経て、それなりに食べていける程度の絵を描けるようになっていた。
だがある時、不摂生が祟り大病を患い、結果失明すると宣告された。
死よりも目が見えない事に恐怖し、絵を描けない事に絶望した。
入院していた病室を抜け出すと、手探りに屋上まで行く。
外は雨が降っていた。
無意識に自殺を考えていたのだろうが、端に行き着く前に転んでしまった。
そのまま雨に全身を晒し、見えぬ天を仰いでいた。
暗く濁った闇の中に、鮮やかな色が見えた。
目の前に、あの日描いた色彩を伴った彼女が居た。
何時かの様に、黙ったまま私を見下ろす彼女は相変わらずの無表情。
だが、私は再会を心の底から喜んた。
私の望みがわかったのだろうか。
彼女は身を屈めると、私の体を上から下へとなぞるように手を滑らせた。
かつてと同様に、私の体を異常な冷たさと痺れが襲った。
私は黙って瞼を閉じる。
雨とは別の、柔らかく冷たい感触が、微かに頬を掠めた気がした。
結局私は死に切れなかった。
誰かが押した私の部屋のナースコール。
屋上で倒れていた私は、看護師によって発見された。
長期に渡ったものの、治療によって幸いにも失明は免れた。
282 :
4/4:2008/12/22(月) 00:56:39 ID:wI+/FK8u0
4
今は時々彼女の姿を描く。
けれどその絵は長くは残らない。
あの日、襖に描いたものと同様に、ゆっくりと消えていく。
だからと言って彼女の姿が記憶から消える事は無い。
彼女の姿が己の想像で書き換えられる事も無い。
今、否、多分あの日からずっと。
私は彼女に取り憑かれている。
彼女が愛おしそうに撫でる度に、絵はゆっくりと消え、
そして彼女は鮮やかに色を得る。
何時か本物の肉体を得られるかもしれない。
私のそんな荒唐無稽な夢物語を聞いて以来、彼女は静かに現れる。
例のごとく無表情のまま。
私が描く彼女の姿を、
私が彼女を描く姿を、
すぐ隣で見ている。
良かった GJ
285 :
5/4:2008/12/22(月) 19:30:01 ID:wI+/FK8u0
柔らかな香りに目を覚ます。
カーテンの外は明るい。
首をめぐらせて、香りの源へ顔を向ける。
彼女が枕元で膝を折り、私の顔を覗き込んでいた。
彼女の髪が私の頬をくすぐっている。
真逆。
私は、確かめるために恐る恐る手を伸ばした。
手から逃げるように彼女が身を引く直前に、私の指はその頬に触れた。
怯えた様に揺れる瞳で、彼女は差し伸ばしたままの私の手を眺めていた。
今度は彼女が、恐る恐る細い指を私の手の甲に重ねる。
少しだけ冷たく、柔らかな感触。
彼女の頬が、徐々に紅潮していく。
私は静かに微笑みかけた。
何時かまた、離さなければならなくなるかもしれません。
だから、それまではずっと、手をつないでいて下さい。
私が最後に描いた彼女の絵。
それに何時の間にか、彼女が文を添えていた。
額に納められたその絵の前で、私達はお互いの手を握り直した。
その感触を、存在を確かめる様に。
俺はツンツンが好きなんだ。
デレになる直前が好きなだけだ。
決してデレデレなんて恥ずかしい事公衆の前で発表出来ないつか俺にはそんな力量も想像力も経験も無いから無理
o...rz
o...rz
↑
あんたこれ死んでるんじゃね?w
o..rz
o.. .rz
or. orz
orz orz <これが分裂増殖!!
『赤字だと騒いでいる癖に随分買い込んで来ましたね』
「クリスマスケーキが見切り処分で激安だったので」
『くりすますとは何です?』
「う…外国の宗教行事、でス」
『此処は何処です?』
「神社です、はい」
『……』
「……えと、ケーキ食べます?」
『勿論です。…買って来た物は仕方ありません。捨てるのは勿体無いですから』
「ではお茶を」
『紅茶ですよ』
「はい」
『…うふふ、ケーキ、ケーキ♪』
hosyu
.
あけましてご愁傷様です
まだ出るのかな?
ツンデ霊みくじ
二年ぶりくらいにこのスレ見つけた。
ツンデ霊とか懐かしい…
あげちゃうよ
∧∧
/⌒ヽ)
i三 ∪
〜三 |
(/~∪
三三
三三
三三
1
秋も大分深まったある日。
午後の授業をサボって校舎裏の日当たり良のお気に入りの場所で昼寝しようとしていた俺の視界を、何かがちらりと掠めた。
見上げると、四階建て校舎の屋上に人影が一つ。
(真逆、な)
なんとなく嫌な予感がして、俺は人影から目を離さずに上体を起こす。
その予感は当たってしまった。
ふわり、と表現出来そうな身軽さで、人影は屋上の縁から宙へ身を躍らせた。
落下地点は丁度俺の転がっている場所。
一瞬の事に俺は逃げる暇も無かった。
風をはらんで捲れたスカートが空を遮る。
「ストライプ」
思わず呟く俺の顔面に、上からまっすぐ落ちてきたスニーカー履きの足の裏が直撃。
尤も痛みも重量も無いまま俺の体を突き抜けていったが。
白く華奢な手がすさまじい勢いでスカートの裾を押さえたおかげで俺の視界は開け、
同時に鬼の形相でこちらを睨む少女と目が合った。
2
聞いた事はある。
昔、屋上から飛び降りた生徒がいると。
慰霊碑らしき石碑もある。
そこの陰は丁度周囲から死角になるので俺はよく昼寝場所にしていた。
昨日も、そして今日も。
『…またスカート覗きに来たわけ』
「アレは下を碌に確かめずに落ちてきたお前が悪いんだろが」
今日は遮光用の週刊誌を顔に乗せていたので、そいつが何時現れたのかは判らなかった。
寝転がったまま雑誌を持ち上げてみると、人の頭の直ぐ間近――スカートの縁は押さえている――に立ち、
こっちを覗き込んでいる少女が見えた。
「今日も紐無しバンジーしたのか?」
『勘違いしないで。私はね、死を超越した今、あそこから飛び降りて上手に着地する方法を極めているのよ』
「そっちの方が意味不明だろうが」
『ふんっ。あんたには絶対解らないでしょうね』
何故か勝ち誇ったような笑みを浮かべるそいつは放っといて、昼寝を続行する事にした。
五月蝿いとは思うが、でもまあ、多分俺は明日もここで昼寝するんだろう。
3
お互いに何を話すわけじゃない。
アイツの事を知りたいとも、俺の事を教えたいとも思わない。
基本は昼休み、時々追い込みかかった高校受験用の退屈な授業を抜け出して、あの場所で昼寝する。
偶にアイツが屋上から飛び降りる所を運悪く目撃して、パンツを見たと罵られる。
そんなくだらない生活。
変化があったのは、11月に入った頃か。
日々寒くなる一方だが俺はいつもの場所に腰をすえていた。
『…用意がいいわね』
「当たり前だ」
銀マットとブランケットを広げている俺に、アイツは呆れた表情を見せた。
だが急に、その表情が険しくなった。キッと顔を天に向ける。
俺も釣られて上を見た。
人影が、屋上に消えるのが見えた。
その日から、アイツは俺の前に現れなくなった。
4
屋上通用口は、鍵が掛けられたままになっている。
目的は事故防止。
でも。
鍵は壊れている。
内側からなら、特定の方向に力を入れて少ししつこくガチャガチャやってれば、開く。
知っている奴は少ないが。
噂は聞いている。
学校の怪談って奴か。
曰く、昔生徒が屋上から飛び降り自殺した。
その後同じ場所で立て続けに自殺者が出た。
最初に死んだ生徒が仲間を欲しており、屋上で待ち構えている。
だから今は鍵が掛けれらているのだ――と。
実際屋上に行く生徒はいない。
行くのは俺みたいなバカか、あるいは。
5
数日後。夕焼けで辺りは真っ赤に染まっている。
昼過ぎから屋上で待機していた俺は、気配を感じて後ろを振り返る。
ガチャガチャと音を立てた後、扉はゆっくりと開いた。
薄暗い校舎内から静かな赤い世界へと踏み込んで来たのは女生徒だ。
確か隣のクラスの西。
学年トップクラスの成績を誇るが地味というか少し暗い印象で、あまりお近づきにはなりたくないタイプ。
「おい」
無表情のそいつは俺の声に全く反応を見せない。
まるでゲームの中のゾンビのように、かくかくとした奇妙な動きで、ゆっくりと前へ足を運ぶ。
「おい、待てよ」
「……」
西はぶつぶつと口の中で何か言っているようだが、はっきりとは聞き取れない。
ただゆっくりと、まっすぐに、屋上の端へ進む。
「西!」
腕を掴んで止めようとした。だが意外な程に強い力で振り払われた。
あと少しで、端に到達する。いや、到達した。
「…いい加減に、しろっ!!」
むかついた俺は、横に回り込み全身全力で西に体当たり。勢い余って俺達は床へ転がった。
『邪魔しないで』
背筋が凍るような声に、顔を上げる。
見覚えのある背中が、つい今まで西がいた場所に代わりに立っていた。
「いや、いや、いや…」
転がったまま西がかすれた声で呟いている。
『後少しだったのに』
屋上の縁に立つその人影は、何のためらいも無く、飛び降りた。
西が、絶叫した。
悲鳴を聞きつけた教師達によって俺達は保護――というか俺は殆ど拘束――された。
6
西の飛び降り騒動から数日後。
直後から言い渡されていた自宅謹慎を漸く解除され、俺は久しぶりに登校した。
屋上は鍵が付け替えられ、完全に進入禁止になっている。
俺や西についても色々噂が飛び交っているようだが、別にどうと言う事は無い。
それよりも。
「お前さ、もう少しやり方考えろよな」
昼休み、石碑に体をもたれ掛けさせてぼやく俺。
「屋上から無理やり落とすフリして驚かそうとしたんだろうが、アレじゃ悪霊だ」
『いいじゃない、悪霊で』
石碑の向こう側から、冷たく凍った声が返ってきた。
『機会があれば、あんただって殺してあげるわ』
「俺は死なないよ。少なくともお前には殺されない」
『何でそう言い切れるの?』
「お前は悪霊じゃないから」
強い口調で返すと、奴は押し黙ってしまった。
「あと、俺はひ孫の顔を見てから大往生する予定だから。俺人生設計ではそうなっている」
『バーカ』
呆れた様な、笑った様な声を残して、あいつはいつものように消えた。
後日、本人から聞いたのだが、どうやら西は受験ノイローゼだったらしい。
最初に偶然屋上に出た日も、自殺を考えていたものの下を覗くとそこに偶然俺が居て、我に返って慌てて逃げたんだとか。
だがその後も自殺衝動は残っていたらしい。
あの日も『死にたい』と考えていたら、突然頭の中に『屋上のあの場所から飛び降りて死のう』という囁き声が響き、
その後はまるで操られたように屋上へ向かったんだと。
「幽霊って本当に居るんだね」
親や教師と話し合い、志望高校を変更した西は、あっけらかんとした表情で笑って言った。
暗い印象は払拭されている。どうやら本来のコイツは、かしましいに分類される人種らしい。
最近は何故か俺によく構ってくる。
7
『何してるの?』
「いいだろ別に」
いつもの場所で昼寝をする俺。呆れた顔で姿を現す奴。
いつものだらだらした時間。
『この糞寒い時期にここで昼寝なんて、本物のバカよね』
「俺の勝手だ」
一応使い捨てカイロや毛布で防寒対策しているが、寒いものは寒い。
12月24日。世間ではクリスマスイブ。でも俺には関係ない。
『あんたさ、あの子…確か、西?に告られた?』
「何で知ってんだよ」
『昨日あの子がここに来て、あんたの事、絶対譲らないって啖呵切ってった』
「告られたけど、断った。そんな風に考えた事無かったし」
それに。続けたい言葉は飲み込んだ。
ほんの僅かだけ空いた時間。
それをコイツはどう捉えたのだろうか。
『西ちゃんは絶対デートだって意気込んでたけど、こんな時期に何故か制服着て毎日学校来てるあんた。真逆補習?』
「五月蝿い!」
奴のバカにした笑いを聞きながら、頭から毛布を被った。
8
卒業式は既に終わり、皆思い思いに過ごしている。
西も俺と何処かへ行こうと言ってきたのだがのらくらと断り、俺はいつもの場所に、いつものように寝転がっていた。
『…何、それ?』
「一般的にセクハラアイテムという」
広げて見せたそれは、ストライプの女性物下着。因みに奴のと同じ柄。
『取り憑いて、それ穿いて、屋上から落としてあげようか』
「是非遠慮させていただこう」
冗談のわからん奴だ。俺は下着をポケットに仕舞う。
『全く、卒業式だって言うのにもうちょっとセンチメンタルになりなさいよね』
奴は口を尖らせて石碑の上に腰掛けた。
「別に、絶対会えなくなる訳じゃないし」
「え」
俺の言葉にきょとんとした顔で振り返る。
「俺人生設計に、お前に関した項目を取り入れてるしな。坊さんとか霊能者になってお前をガッツリ成仏させてやるコース、教師になり帰ってきた俺の素晴らしい指導によってお前が悪霊チックにならなくてもいいコース、それから」
『…とうとうバカは治らなかったか』
「五月蝿い」
深々と溜息をつかれ、ちょっと悔しい俺。最後のコースはちょっと変更。
「それからだな、大往生で死んだ俺がお前を連れて強制成仏コース」
『…出来るつもり?』
ふふんと鼻で笑う奴に、「当然」と俺も無駄に胸を張って返す。
「…取り敢えず明日も学校来るから。最後の入試結果、まだなんで」
『…そう。人生語るより前に卒業式って感じじゃないのねあんたは』
奴の優しい視線から微妙に目を逸らす俺。
見返してやる、そう決意しつつ。
9
初めて屋上に上がったのは、一年生の初夏の頃。
人付き合いが苦手な俺は、当時休憩時間のたびに逃げ場所を探して校内を彷徨っていた。
ある時屋上に出る扉をいじっていたら偶々開いた。というか、壊したというか。
屋上に出ると、なんとなく近寄りたくない一角がある。
そこから下を覗くと、ぽつんと石碑が佇んでいるのが見えた。
下に降りて確かめる。
そこはいつも喧騒から取り残されているようだった。
屋上の幽霊の噂はそれから少しして聞いた。
幽霊に会いたくて――多分殺されたくて、毎日石碑の側で時間を過ごすようになった。
そして三年目。
呆れる程のんびりした秋の午後の日差しに、死にたいという気持ちがかすんで消えた。
その時初めて、念願の幽霊は現れた。
( ̄(エ) ̄)zzz
308 :
本当にあった怖い名無し:2009/01/12(月) 18:14:22 ID:mmfcr6ZNO
GJ!でもせつね〜
これで終わり?
ちょっとデレ分が不足です。
ああそっかー。最後の9を、彼女視点で書けばよかったのかー。
と今思いついたけどもういいや。
デレは他の人に任せますw
帰り道からやけに体が重いと思っていたのだが、
家の鏡に映っていたのは、背中にしがみついた幽霊(推定10歳)。
「…あの」
『取り憑いただけなんだからね』
「ああ、そうなんだ」
『そうだよ。誰でも良かったんだけど偶々お兄ちゃんが通りかかったから取り憑いたの。
別に迷子で寂しかったとかお兄ちゃんなら気付いてくれそうだったからとかそんなんじゃないから』
「…そう」
家に居るときは部屋の中を好き勝手に動いているが、
俺が外出する時は必ず、本人曰く『取り憑いているから仕方なく』くっついてくる。
出先で一度はぐれてからは、外では背中とか手にしがみついて離れなくなった。
5か6人目の頃に何作か書いたのも良い思い出。
懐かしついでに保守。
313 :
本当にあった怖い名無し:2009/01/20(火) 22:41:27 ID:T6rosdQB0
>>313 下げても保守になるんだよ
そんなことも知らないの?まったく・・・
べ、別にあんたのことを思って言った訳じゃ・・・
晒し上げに来ただけなんだからね!!
ああ言ってるがageてはいない…つまりこれは
ツンデレだな
インフルエンザにかかったので幽霊でもいいので介抱して欲しい
ガッチリ系激マブの俺でよければ
>>318 あんたバカだから、風邪なんてすぐ治るでしょ! べ…別に心配な訳じゃないよ!
つ旦【タミフル】
未だに1スレ目の
>>1以上のツンデ霊に会ったことが無い。
やはり、どの分野でもパイオニアは偉大だ。
322 :
318:2009/01/30(金) 19:28:37 ID:O/JDntB90
ほ
324 :
1/5:2009/02/01(日) 22:13:57 ID:qN0fjnk+0
いつもの通勤路。
その姿は私にしか視えないらしい。
十数年前の最先端の夏ファッションで着飾った彼女。
今日も、誰かを待っている。
一度だけ、彼女に声を掛けたことがある。
去年の今頃。
今考えると何でそんな事を考えたのか不思議でならない。
自分が首に巻いていたマフラーを渡そうと思った。
結果は、まぁ、言うまでもない。
もろ不審者扱いされて、消えられた。
それ以来、彼女とは偶に目が会うものの、あからさまに目をそらされている。
325 :
2/5:2009/02/01(日) 22:14:53 ID:qN0fjnk+0
いつもの通勤路。
酔っ払い同士のつまらない喧嘩に巻き込まれた。
顔面に拳を受けて一瞬意識が飛んだ。
地面に崩れ落ちる際、したたかに背中を打ったせいで意識が回復する。
続けてこちらに殴りかかろうとしていた酔っ払いの後ろに、彼女の姿が見えた。
小さなポシェットを両手で握り締め、振りかざし。
酔っ払いの薄くなった頭めがけて振り下ろした。
勢いあまったせいか、それとも彼女の奮闘が役立ったのか。
バランスを崩した酔っ払いは私が慌てて避けた地面に正面から倒れこんだ。
326 :
3/5:2009/02/01(日) 22:15:38 ID:qN0fjnk+0
いつもの通勤路。
喧嘩のダメージが予想以上に大きく、検査などで休んでいたため久しぶりの通勤だ。
私の片手には、彼女に似合いそうな華やかな花束。
援護してくれたお礼のつもりだった。
けれど、彼女の姿はいつもの場所には無かった。
327 :
4/5:2009/02/01(日) 22:16:48 ID:qN0fjnk+0
ちらちら雪が降っている。
少ししおれた花束を下げて、暗くなった夜道を歩く。
自宅マンションが見えてきた頃。
マンションを見上げる彼女の後姿が見えた。
声を掛けると、勢いよく振り返り、それから怒ったようにぷうっと頬を膨らませていた。
ちょっとしおれちゃったけど、そう前置きして彼女に花束を渡す。
きょとんとした顔。
ほんの僅かに時間を置いて、その瞳から、ぽろぽろ涙が零れ落ちた。
彼女は焦ったように涙を拭くが、ぜんぜん追いつかないようだ。
私がポケットのハンカチを探っている間に、いつのまにか、姿を消した。
328 :
5/5:2009/02/01(日) 22:18:43 ID:qN0fjnk+0
いつもの通勤路。
彼女が姿を消して2ヶ月。季節は春になっていた。
懐かしさを感じさせる後姿に、足が止まった。
あの場所に、大学生くらいの女の子が立っていた。
視線を感じたのだろう、振り返った女の子と目があった。
顔立ちは明らかに違う、けれど何故か彼女を思い出させる女の子。
不思議そうな顔をして、あからさまに視線をさ迷わせ。
それから再びこちらに向き直ると、まっすぐ近づいてきた。
数年前から不思議な夢を見るようになったという。
夏の知らない街角で、誰かを待つ夢。
そのうちに、季節外れの格好の男が出て来るようになったらしい。
夢の中の彼女は、いつしかその妙な男に会うのを心待ちにしていたそうだ。
予知夢とか、デジャ・ヴュって、本当にあるんですね。
彼女の不思議そうな、でも嬉しそうなその言葉に、私も微笑って頷いた。
ちょっとデレ分が不足です。
330 :
本当にあった怖い名無し:2009/02/02(月) 19:10:11 ID:+KnDr15YO
何となく引き込まれる話だった
お前らのせいでツンデ霊が頭にずっと浮かんで入試試験が手につかなかったじゃねぇか。どうすんだよ。
べ、別に気に入ったわけじゃないんやけんね!!
書き込んだのはIDテストなんだから!
け・・・決して保守なんかじゃないんだから!
近所に祟り石という巨石を祀る神社がある。
ばあちゃんが信心深いほうだったので、俺も前を通るときには挨拶してた。
神社には昔から美人の巫女さんがいる。ただし視える人と視えない人とがいる。
視えても良い事はない。
巫女さんは大体いつも不機嫌だからだ。ついでにすぐに拳も飛んでくる。俺体験済み。
祟り石に悪さすると大怪我をするらしい。
その日は俺が直接悪さしたわけじゃない。
近所の糞ガキがその上から滑り落ちたのを抱きとめたものの、ガキの肘と膝が俺にヒット。俺転倒。その後ガキ逃走。まぁいいけど。
座り込んだまま肘が入った顎をさすってたら、巫女さんに見つかった。
「痛むのか?」
「唾つけときゃ治るよ」
「ふむ」
巫女さんは急にしゃがみこむと、わっしと俺の頭を掴んだ。
条件反射で何されるのかガクブルな俺だったが、気が付くと柔らかな唇が俺の顎に触れていた。
「他に痛む所は?」
「ななななないです」
本当は鳩尾とか腰とか後頭部も痛いです。
「今回だけの特別じゃぞ?」
唇に人差し指を添えて、悪戯っぽい微笑みを浮かべる巫女さん。
顎の痛みは消えていた。
数年後、神職として戻ってきた俺を「誰?」みたいな顔で迎えてくれたときはショックだったが。
相変わらず怒らせると恐ろしいが。
「なんじゃ、今日も子供の相手か」
「ボロ神社だから秘密基地扱いされてるからなー。いいんだけどさ」
「ふふ、だが御主が来てからは私も随分と楽をさせてもらっておるぞ」
そう言いながら、隣に腰掛けた巫女さんが肩に頭を預けてきた。
彼女の笑顔が得られるならどんな苦労もいとわない。
昔々、山の神だった俺様を祓おうとした人間がいた。
血を絶やし恨みを晴らすべく奴に取り憑いた俺様。
それから数百年経ったとある昼下がり。
「わんたん」
『誰がじゃ』
凄んで見せるがいつも喜ぶ幼児。
『俺様は取り憑いとるんだぞ!?祟っとるんだぞ!?』
「ああ、そうだったねー」
けーたいでんわ片手にまったり空気の母親。コラ俺様を撮るな!魂が吸い取られるだろうが!!
「こないだTVでやってたドッグフード買って来たよー」
『だから俺様を犬扱いするなと』
「今開けるねー」
『……ううう』
末代のこの男。
隔世遺伝か霊力が非常に強い割には制御がまるでなってない。生まれる前から他の悪霊妖魔に狙われる。
何で俺様がコイツを護っいや別に護っている訳じゃなく俺様が散々恐怖と屈辱を与えた上で殺さねば意味が無いから他の奴等を追い払っているだけであって(ry
「美味しい?」
『…まあまあ。偶になら喰ってやらんことも無い』
339 :
1/3:2009/02/15(日) 10:11:58 ID:AuaFShcg0
元々酒は好きじゃない。
なのに最近酒が飲みたくて仕方ない。
友人に言われた。お前は悪霊に取り憑かれている、と。
その悪霊の容姿を聞いて、思い当たる節があった。
いつかは忘れたが、居酒屋で飲んでいた時に怖い顔してこっちを睨んでいたオッサン。
思い出してみるとその出会い以降確かに酒量が増えている。
オッサンと俺とは霊的相性がいいらしく、友人の力では祓えないとか。このまま放置すると取り殺されると忠告を受けた。
ちゃんとした場所へ御祓いに行こうと思っていたが、酒を飲んでいるうちにどうでもよくなった。
深酒が増え、普段の生活での失敗も増えた。
340 :
2/3:2009/02/15(日) 10:13:10 ID:AuaFShcg0
その夜も随分と飲んだ。
気が付くとオッサンと肩を組んで歩いていた。オッサンは上機嫌に見えた。俺もとても楽しかった。
突然の強烈な光に目がくらんだ。
目を開けると病院だった。
人通りの少ない場所でひき逃げに遭い、そのまま朝まで放置されたらしい。生きていたのは奇跡だと医者にも警察にも言われた。
入院中、夢うつつの中人の気配を感じ、目をやる。
しょぼんとしたオッサンの姿がベッド脇に見えた。
事故以降、相変わらず酒を飲みたい衝動はあっても飲めなくなった。
注がれたはずの酒はいつのまにか無くなる――前述の友人曰く、不機嫌な顔したオッサンが片っ端から飲んでいるらしい。
購入しようとすると急にレジや自販機が動かなくなる――オッサンが邪魔しているらしい。
買えないようにって財布とか金運まで取り上げるのは勘弁してください。
341 :
3/3:2009/02/15(日) 10:14:40 ID:AuaFShcg0
彼女が出来た。オッサンの事を説明すると笑って受け入れてくれた器の大きい女性だ。
彼女に生活管理をしてもらえるようになって以来、徐々にオッサンの気配は消えた。
それに伴い飲酒欲求も消えた。
彼女との結婚式は内輪ではちょっとした伝説になった。
披露宴、そして二次会、三次会。
俺が参加している宴席全てで、酒と名のつくもの全て、瓶やグラスが倒れたり割れたり空になったりして、人の口に入る事がなかった。
視える人には、オッサンが上機嫌で会場内を飛び回っている姿が視えたそうだ。
今でも酒は消える。
見守ってくれているのかそれともただ飲み足りないだけなのか、まだオッサンは側に居るらしい。
元々酒好きじゃないし、仕事の付き合いで飲まなきゃいけない状況も増えたので結構ありがたい。
普段は人影が鏡に映りこむ程度。
偶に殺される夢を見たり部屋や自分が血まみれになる幻覚。
片付け苦手なんだが、いつもきれいな俺の部屋。
ごみや荷物を投げっぱなしにしていると、金縛りと家鳴りで眠れないほど。
羽目を外して大騒ぎした夜の帰宅時。それから二日酔いでグダグダしていた翌日。
バケツ一杯くらいの水をぶっかけられた。
風邪をこじらせ意識を失った。
次に目を覚ましたときは、湯たんぽに氷枕に暖かいお粥と至れり尽くせりだった。
チョコ貰ったことないなー…。TVCM見ながら独り言。
今年の2月14日、帰宅するとチロルチョコが一個机の上においてあった。
俺、事故物件で独り暮らし。
あ、あんたなんかあと100年は生きて苦しめばいいのよっ!
途中でこっちに来ないようにちゃんと見張ってるんだからねっ!!
344 :
本当にあった怖い名無し:2009/02/18(水) 03:39:59 ID:VkJ3zVFB0
しゃあない
hosyu
保守護霊
347 :
本当にあった怖い名無し:2009/02/25(水) 04:03:13 ID:w6+DCtLh0
nuko
俺の高校には悪霊団が棲んでいた。
『お前を殺す』を合言葉に、三年間散々な目に遭わされた。
今日ようやく卒業できる。散々な日々にもおさらばだ。
式を終え、校舎を出ると、黄色い物が降ってきた。菜の花だ。そういえば花壇に咲いていた。
見上げると顔なじみの悪霊たちがそっぽを向いたまま屋上や窓辺に立っていた。
『お前がいなくなってせいせいするぜ!』
『この花は、あれだ、塩の代わりに撒いてるだけだぞ!』
『その、変な勘違いするなよ!?別に見送ってるわけじゃないからな!』
何故か目から水が出た。
お目付け役などとぬかして勝手に棲みついている悪戯妖怪(自称座敷童子)が拗ねている。
『何か忘れてはおらぬか?』
「…んん?買出しはこないだしたし…?」
『…うつけ者!』
ここ数日こんな調子。
今日も深夜バイトを終えて、途中コンビニに寄って帰った。
いつもなら文句言いつつも出迎えに来る妖怪が、何故か奥に引き篭もったまま。
何してるのかと思ったら、白飯と海苔で雪だるま?作って遊んでたらしい。
「食い物で遊ぶなっていつも自分で言ってるくせに」
『遊んでおるわけではないわってコラ何をするーーー!?』
飯だるまを食おうとしたら腕を齧られ、蹴飛ばされた。
『乙女心も理解できぬ無粋者め』
涙目で飯だるまをガードする妖怪。乙女とか言える外見年齢&実年齢ですか?
「悪かったって。土産やるから機嫌直せ」
ぶんむくれている妖怪に、コンビニ袋を差し出す。
中身はケーキと桜餅と雛あられと500mlペットボトル入りカルピス。
「雛祭り用とかって売り場が作ってあったからてきとーに」
『…う、その…。…あ、ありがと…ぉ…』
コンビニ袋を抱きしめながら膨れっ面のまま半眼で見上げる妖怪。機嫌直ったかな?
「あ、そだ。腹減ったんでお礼代わりにその飯だるま食ってい」
『矢張り御主は大うつけじゃ!!!』
怒声と共に500mlカルピスが俺の顔面を直撃した。
飯だるまはどうやら雛人形の代わりだったらしい。
翌朝『厄は御主が喰らえ』とか言われて飯に出された。
焼きおにぎり風に手は加えてあったし普通に美味かった。
GJ
age
身動き取れない満員電車の中。
隣の男が妙な動きをしている気がする。
男が密着状態になっているのは女子高生。
ひょっとして。ちょっと気になってちらちら伺っていた。
何の前触れもなく、女の子の後頭部から女の顔が生えた。
一瞬間をおいて、男が悲鳴を上げ慌てふためいて逃げだした。
男を見送った後視線を戻すと、顔面血みどろの女幽霊と目があった。
『こっち見てんじゃないわよっ!』
声は聞こえなかったが、確かにそう言われた気がする。
血の苦手な俺は先に気絶してしまったが。
その路線のその区画で女の幽霊が出るのは有名らしい。
あの日以来アンテナが合ってしまったのかいつも見かけるようになった。
噂では血まみれだというが、初日以外そんな姿は見ない。
視界に入る位置に居る癖に『こっち見るな』とか言われる。
通勤路だけど仕方ないので先週からバスに変えてみた。
何故か今日彼女が真横に立っている…。
『偶々今日から道を変えただけ!べ、別に心配して探してたりしてないからねっ!』
明日からはどうしよう…。
353 :
本当にあった怖い名無し:2009/03/11(水) 21:50:49 ID:6+kYv2aF0
成仏せいやっ!!
w
355 :
本当にあった怖い名無し:2009/03/12(木) 12:32:17 ID:5pk7PuRy0
トンネルに夕日かかり 「龍の目、見えた」鹿児島県大島郡龍郷町円集落
龍郷町円(えん)集落の県道「かがんばなトンネル」で、夕日とトンネルが生み出す珍しい光景が人気を
集めている。トンネルのある岩が龍の形をし、夕日が龍の目のように見えることから、見物人が絶えない。
356 :
本当にあった怖い名無し:2009/03/14(土) 17:49:40 ID:UvRQ+lZs0
?
成仏なんて、してあげないんだから!
_
359 :
本当にあった怖い名無し:2009/03/20(金) 09:55:31 ID:WnFCKpUZ0
あげとくね
360 :
本当にあった怖い名無し:2009/03/21(土) 17:49:06 ID:mjDOaqYT0
落ちればよかったのに…
いや、でもほんと助かったよ
362 :
1/11:2009/03/24(火) 00:24:19 ID:nRl8sO5h0
1
仏師の修行中に各地を転々としていた頃、とある山里に逗留していた時。
春の日差しを受けて柔らかく色付き始めた山並みを眺めていると、一本の古木に目が留まった。
どうやら桜らしい。遠目でもわかる太い幹は良い材になるかもしれない。
そう考え近くの老人に尋ねてみた。
老人は渋面で答えた。
あの木は人を喰う。
疾の昔に立ち枯れておるが偶に四季を問わずに花を咲す。その時は必ず根元に骸が転がっておる。
昔あそこで殺された女の怨念が取り憑いており、近づいた者は皆殺される。
近づかん方がええ。
何度も何度も念を押され、仕方なく頷いた。
363 :
2/11:2009/03/24(火) 00:25:22 ID:nRl8sO5h0
2
像を作る為の材を求めて山の中を歩き回っていたが迷ってしまったらしい。
日は落ち周囲はすっかり闇に覆われた。
幸い野営には慣れている。そそくさと準備をしていると、闇の向こうに白い人影が見えた。
助かった、そう思い急ぎ人影の元へ歩み寄ったのだが。
山奥に似つかわしくない優美な女性。手入れの行き届いた艶やかな黒髪、白い肌、上質の衣は少なくとも平民では無い事を示していた。
そして彼女の後ろで静かに佇む、見覚えのある枝振りの古木。
老人の言葉を思い出し、全身にじわりと汗が浮くのを感じた。
何者か。ここで何をしておるのか。
問いかける声は怨霊が発しているにしては余りにも涼やかで、一瞬状況を忘れて惚けてしまった。
重ねて問われ、慌てて身上と迷っている事を正直に告げる。
里の者ではないのだな。
言葉と共に漏らした溜息は、やや安堵を帯びているように感じた。
今宵はその岩陰で休むが良い。獣が寄らぬように見ておいてやろう。
老人の話とは異なる展開だがむしろその方がありがたい。
丁寧に謝意を表すると、女性は表情を消した。
二度目は無い。里の者ではなくともな。
目を覚ました時には女性の姿は消えていた。
彼女の事は話さない方がいいだろう。そう判断して帰路についた。
364 :
3/11:2009/03/24(火) 00:26:52 ID:nRl8sO5h0
3
何体か像を作っている間に季節は一巡りしていた。
里の人たちともそれなりに親しくなった。
だが、桜の話は禁忌なのだろう、最初に老人に聞いた以上のものは聞けなかった。
非定期に里へ訪れる行商人と話す機会があった。
里の外だからこそ伝わっている昔話を知った。
曰く、戦乱の時代、国境だったこの辺りまで落ち延びた敵国の姫君が、領主の報復を恐れた地の者によって殺された。
あくまで昔話だと行商人は声を潜めた。
何体作っても得心の行く像とはならない。
だからこその修行中の身だが、この一年は特に酷い。
尤も心当たりはある。
望月に煌々と照らされた春の景色。その中にポツリと穿たれた黒い染み。
眺めていても仕方ない。
溜息を一つ吐き、足を踏み出した。
365 :
4/11:2009/03/24(火) 00:29:09 ID:nRl8sO5h0
4
一年振りの再会だ。
ここで何をしておるのか。
あの時と同じ問いかけだが、あの時とは状況はかなり異なる。
赤い燐光を放ち、古木の上からゆっくりと漂い降りてくる彼女。顔こそ無表情だが瞳は怒気に染まり、こちらを見下ろしている。
美しいがこそ逆に畏怖を抱かせるその姿は怨霊と呼ぶに相応しい。だが。
何しに参った。
その声は相変わらず凛と響く。
話をしたい。
話す事は何も無い。
みしり。古木が音を立てて揺れた。太い枝が、細い枝が、腕のように、髪のようにしなりうねっている。
妾はそなたを殺す。そう定められておる故。
逃れる隙は与えられなかった。
全身にすさまじい衝撃を感じた。
366 :
5/11:2009/03/24(火) 00:30:48 ID:nRl8sO5h0
5
巨人の手に似た太い枝に締め付けられ宙吊りになった身体のそこかしこで、時々鈍い音が響く。
何人殺した。
胸も喉も締め付けられ声どころか息すら出ないが、それでも必死に口を動かし彼女に問いかけた。
覚えておらぬ。
無表情のまま答える彼女。
何人殺す。
殺す理由がある限り何人でも。
彼女の声は微かに震えている。
理由など無いだろう。
朦朧とし始めた意識を必死に繋ぎ、言葉を重ねる。
一瞬締め付けが止んだ。
殺したくなどないんだろう。
彼女は黙ったままだ。
続けて語りかけようと口を開いたが、それを察したのか枝がぐうっと振り上げられ、そのまま身体が勢いよく放り投げられたのを感じ。
そこでとうとう意識を失った。
367 :
6/11:2009/03/24(火) 00:32:20 ID:nRl8sO5h0
6
殺されかけてから数ヶ月が経過した。頑健だけが取柄の身体は歩き回れる程に回復していた。
尤も偶々山菜取りに来ていた里の者に見つけられなければ確実に死んでいただろう。
里の人々には散々咎められたものの、既に腹は決めている。
彼女を救いたい。
だから、彼女の元へ再度向かった。
前回同様投げ飛ばされ近くの木の幹で右半身をしたたかに打ち付けたものの、幸い骨は折れていないようだ。
案外頑丈だな、などと妙な感想を抱きつつも目を開けた。痛みをこらえつつ立ち上がる。
奇妙なものを見るように眉を顰める彼女。自分でもかなり奇異だと自覚している。
妾はそなたを殺さねばならぬ。
彼女の瞳が揺れるのにあわせて太い枝が揺れている。
妾は人を喰わねばならぬ。
妾は人を喰わねば花をつけられぬ。
そのように定められておるが故。
苦しそうに、悲しそうに、憎憎しげに、息と共に吐き出された言葉。
だからこそ確信した。
まだ、彼女を救える。
結局その日も鞭の様にしなる枝に打ち据えられ目的は果たせなかった。
368 :
7/11:2009/03/24(火) 00:34:41 ID:nRl8sO5h0
7
禁忌の地へ何度も向かいその度に生きて戻る。
里の人から見れば迷惑極まりない話だろう。実際四度目の帰還時に里を追い出されてしまった。
尤もこちらが里の近く、正確には彼女の近くから離れるつもりがないのは理解しているらしい。
新たな塒の岩穴へ遠目に様子を伺いに来ているようだ。食料が置いてある事もある。
野垂れ死にされては困るというのもあるだろうが、それ以上に彼らも不思議なのだろう。
その日も雪をかいていつものように彼女の元へ向かった。
彼女は黙って立っている。最近はずっと黙ったままだ。
その背に負う桜はいつもと変わらず枝をうねらせ襲い掛かってきた。
初撃で地に叩きつけられる。
碌に食べていない痩せた身体は、その一撃だけで起き上がれない位重く感じた。
それでも必死に身を起こすと、再度枝に背を打たれ、彼女の足元に転がった。
何故果てぬ。
朦朧とした意識の中、呟きが耳に届いた。
何故恐れぬ。
目が合った。怒りは感じられず、戸惑いに揺れている。
彼女を安心させたくて、にっこりと笑ってみせた。
彼女の後ろから太い枝が幾本もまとめて雪崩るように襲い掛かってきたのが見えた。
何故殺せぬ。
微かな声は本当に不思議そうだった。
369 :
8/11:2009/03/24(火) 00:37:02 ID:nRl8sO5h0
8
枯れた枝の向こうに丸い月が昇っている。
どれほど意識を失っていたのかわからないが、まだ生きてはいるようだ。
身体は動かない。あちこちを枝に貫かれ、雪の積もる大地に磔にされていた。
あれほど激しくうねっていた枝は、今は全く動かない。
枝から血を吸い上げているのだろうか。身体に近い所では赤く染まった花を咲かせ始めている。
彼女の姿が枝と月の間に見えた。
桜は春に咲くものだ。
地脈から、陽光から、雨から養分を取り込んで、四季にあわせて枝葉を伸ばし生きるものだ。
それが自然の理だ。
話しかけてみたものの、彼女が聞いているかはわからない。かすれた声が届いているのかもわからない。
逆光で彼女の表情はうかがい知れない。
暫く間をおいてから、囁くような声で返事があった。
そのような理は知らぬ。
妾に科せられたのは、人を殺し、喰い、取り込んで花を咲かせる事。
妾が影を写し取った女が、女を殺した者達が、そうせよと妾に科した。
その声は震えている。怒りだろうか、悲しみだろうか。
ならば今から自然の理に戻ろう。
彼女の姿がゆらりと動いた。首を横に振っている。
出来るさ。俺を殺せなかったのがその証だ。
笑顔を浮かべて言葉を重ねた。
花びらが一片、涙のように舞い落ちてきた。
370 :
9/11:2009/03/24(火) 00:39:06 ID:nRl8sO5h0
9
実際の所、出来ることは何もない。
今迄木を倒し削って生きていた身、木を生かすには何をすればいいのかなど全く知らない。
兎に角毎日休むことなく彼女の元へ通い、古木の脇の岩に腰掛けていた。
彼女は彼女で木の根元に座したまま身じろぎしない。
古木は葉も花もつけることなく枯れたままの姿。
そうして季節だけが巡っていく。
何年目だろうか。
その年の春、古木の根元のひこばえに薄紅色の花が一つ咲いた。
それを確かめ、彼女と二人で静かに微笑んだ。
371 :
10/11:2009/03/24(火) 00:41:19 ID:nRl8sO5h0
10
夏に入る前に祟りを畏れる里の者を何とか説き伏せ、桜の古木を切り倒した。
掘り起こした根の下には人の骨が埋まっていた。これが怨念の源なのだろう。
今迄殺された者達と併せて改めて丁寧に供養する事になった。
それに関連して、桜の古木を使って仏像を作って欲しいと頼まれた。
桜に取り殺されなかった男の作る像ならば、怨念も心静かに眠れるだろうという理由だ。
何年か間隔があいていたので技術に不安はあったが、その場で引き受けた。
考えて造るな、元々内側にある姿を丁寧に削りだすのだと、仏師を志した時の師に言われた事を思い出しつつ無心で削った。
やがて古木の幹から現れたのは、何処と無く彼女に面差しが似た観音菩薩だった。
372 :
11/11:2009/03/24(火) 01:13:13 ID:nRl8sO5h0
11
長い放浪生活の末、終の棲家に決めた古寺で還暦を迎えた。
しかし何だ、無茶ばかりしていたが、案外長生きしたな。
昔話を終え、思わず苦笑交じりに呟くと、丁度半分だけ年下の寺の主に豪快に笑われた。
その坊主頭を細く白い手がぴしゃりと音を立てて叩く。
全くもって失礼な坊主よの。
不満げに唇を尖らせてみせてはいるものの、彼女の涼やかな声もどこか笑いを含んでいるように感じた。
さあお前様、昔話はそこまでにしてあちらへ参りましょう。
小さな子供がするように舌を出している若い住職の頭をもう一度はたいてから、彼女はこちらを満面の笑みで振り返った。
穏やかな春の日差しに満たされた庭には若い桜が植わっている。
昔、前住職に頼んで庭に挿し木してもらったあの頼りなげなひこばえが、すっかり人の背丈を越えていた。
その前に立ち、眺めていると、いつものように彼女がそっと胸に寄りかかってきた。
この春もまた共に花を愛でられるな。
お前様がそう望んでおられるのですもの。妾も力の限り咲きましょうぞ。
彼女の言葉通り、今年も枝一面についた蕾が膨らみ始めていた。
. , ´ ... -――--...、` .、
. / /´.. - ―― --、ヘ. ヽ
. / /´ | i :.ハ ',
. ,' | ! | | i| .:.:| :.
i i:.: ∧,-‐'  ̄ `ヽ! : :! .!
|: |/´ ノ ゝ `ヽ| ! |ヘ.
. .へ..|i ! |: |.| | >
. く || : | __、 ,_ |; | ノ ! / 名作じゃのぅ…
` ー|l_i N ,〃⌒ ´ ̄`メイハ、 i´
| {`ト! ::::::::::: ' ::::::::: / ノ |
|:.:.ヽ、_ 、__ ... __, ,'イ∧.|
|:.:.:.:i {ヘ / .!:.:.:.:|
|:.:.:.ハ__∨`ト... ..イ:::.]___|:.:.:.:.!
|:.:.:.ハ ∨.:.:) ` _ .{ !::.,' ,'.:.:.:.:|
/へ ̄`i {7´,.く`ー'。∨`7 / ̄ ̄ト、
. / ヽ ! /´三ミ、===彡三∨ ,' ヽ
{ ∨!| i´川メメメ7 / / !
| |.:i.! ノ:メメメメメメ{ .! ./ |
さすが読ませるね
375 :
本当にあった怖い名無し:2009/03/26(木) 05:41:39 ID:qzNuiAIQO
やるぅ!
376 :
1/2:2009/03/30(月) 20:36:13 ID:AEOhxLSx0
小学校からの親友グループの俺達は、特に約束したわけではないのだが毎年同じ日に同じ桜の木の下で集まっていた。
しかし進学、就職や結婚など各人の都合が合わない事も増えた。
今年はどうやら俺一人…。
肌寒い夕暮れの空を見上げていた。
「ちょっと邪魔よ」
他の花見客だろう、高校生くらいの女の子が半眼でこちらを見下ろしていた。
いつの間にかうたた寝していたらしい。声を掛けられあわてて起き上がる俺。
彼女は不機嫌なまま脇に抱えていたレジャーシートを広げ、後方の連れに呼びかけた。
俺はそこから少し離れたベンチに移動し、彼女達がわきあいあいと花見を始める様子を眺めていた。
しばらくそうしていると女の子がぶすっとした顔でこちらに近づいてきた。
「アンタもこっちに混ざる?」
唐突に言われたため理解が出来ず「はい?」と聞き返してしまう俺。
「嫌ならいいのよあたしは反対だったしけどおじさん達がどうしてもってうるさいから声かけただけで」
一気にまくし立てる彼女。
「ああ、いや」
断った方がいいだろうな、そう思って言いよどむと彼女の眉間の皺がさらに深くなった。
「断ったらあたしの立場がないでしょう?それとも何あたしの誘いは受けられないって?」
「喜んでご一緒させていただきます」
仕方なくついていく俺。
家族親戚一同だろうか、年齢性別てんでばらばらの一団は快く迎え入れてくれた。
勧められるままに酒をあおり、弁当をつまみ、歌を歌い、一緒に騒いでいると寂しさが薄れていくのを感じた。
あの女の子だけは不機嫌なままだったけど。
377 :
2/2:2009/03/30(月) 20:43:06 ID:AEOhxLSx0
「おい、起きろ!」
揺すり起こされ目を覚ました。
酷く寒い。
重い目蓋を何とか持ち上げるとそこには親友グループの全員がそろっていた。
「よ、良かった…」
全員が安堵の溜息をついている。俺は意味がわからずぼうっとしていた。
「お前このまま寝てたら死んでたぞ」
「え?」
周りを見回すがさっきの花見の一団はどこにも見当たらない。花見をしていた痕跡すらない。
さらに時間はとうに深夜を回っていた。
「変な夢見て心配になって来てみたけど正解だったな」
この場所に倒れている俺が幽霊に取り囲まれている、そんな夢を全員が見たらしい。
「女の子の声で『連れてってもいいの?いいのね?』とか念押しされるし不安になってさ」
で、連絡取り合ってみれば俺だけ連絡とれず、慌てて集まったとか。
「ま、こんな時間になっちまったけど、久しぶりに全員で花見だな」
そう明るく締めくくり、俺達は無事の再会を喜んだ。
翌々日、今度は昼間に一人花見。
お礼のつもりでジュースとお菓子を二人分準備して。
その夜の夢に出てきた彼女に「今日も一人で花見ってアンタ寂しい奴ね」とか言われて凹んだが。
でも夢の中で彼女はジュースとお菓子をしぶしぶっぽくもちょっと嬉恥ずかしそうにつまんでいた。
乙です。こう言う軽く読めるのも好きだな〜
GJ!
381 :
本当にあった怖い名無し:2009/04/06(月) 14:26:00 ID:3Yr6ailq0
ほ
し
い
も
た
べ
て
る
ツ
ン
デ
霊
萌へ〜
お後が宜しいようで.。
395 :
本当にあった怖い名無し:2009/04/11(土) 07:36:18 ID:rYlrzI4d0
おまいらの統率力に嫉妬
396 :
1/4:2009/04/14(火) 10:10:17 ID:NJRQ3Wso0
昔通っていた小学校がこの春で廃校になったと聞いたので行ってみた。
誰もいない校舎にひとり、足を踏み入れる。
懐かしい教室。
黒板には最後の卒業生達の別れの言葉が残されていた。
過去に思いを馳せながら、窓際の席に腰を下ろし、外をぼんやり眺めていた。
397 :
2/4:2009/04/14(火) 10:12:50 ID:NJRQ3Wso0
「まいちゃん…?」
声を掛けられ振り返る。そこに居たのはなんとなく見覚えのある男性。
「わかるかな、僕だよ」
「わ…たる…君?」
「うん!覚えててくれたんだ…!」
破顔する彼。その顔を見て、ああ、変わってないなと思った。
昔、一緒に過ごした友人だ。
両親が転勤族だったらしく、この学校に通っていたのは一年間だけだが、私と同じ理由でかつての母校を訪れたらしい。
上気した顔で色々話しかけてくる彼に適当に相槌を打ちつつ、校内を見て回る。
急におしゃべりが止まったと思ったら、苦笑交じりに溜息をつかれた。
むっとして睨むと、彼は少し慌てたように弁解した。
「変わらないなって思って。僕はずっとおしゃべり、まいちゃんはずっとだんまり。昔と一緒だなって」
「話す様な事何も無いし」
そっぽを向いて早足で進む。
この展開も昔と同じ。嫌ならついてこなければいいのに、昔の彼はいつもすぐ追いかけてきた。
そして今日も。
398 :
3/4:2009/04/14(火) 10:16:05 ID:NJRQ3Wso0
夕刻、そろそろ帰る時間。二人並んで校庭から校舎を眺めていた。
「僕ね、先生になったんだよ」
ちらりと彼を伺う。彼は校舎を寂しそうに見つめたままだ。
「まいちゃんに出会って、僕は先生になろうって思った。そうすればここにまた戻ってこられる…」
「……」
「そうすれば、さ。ずっと…ずっと一緒に居られる。そう、思ったから」
今度は私が溜息をつく。
「学校の怪談、誰も知らない同級生。私は同じ学年の子としか出逢えない。普通先生は私には気づかないのよ」
「そうだけどさ」
困ったように頭を掻く彼。笑っているのに泣いているようにみえた。
「も一つ言うなら、私、この学校に縛られてるわけじゃないから」
「…え」
「当たり前でしょ。私小学生なの。学校がちゃんと機能している所に居るの。今日は偶々ここを見に来ただけ」
なんともいえない微妙な表情で固まった彼。それが妙におかしくて、私は思わず噴出した。
彼の濡れた目尻に気付いていないフリをして。
彼の告白のせいでこぼれそうになった私の涙を誤魔化しながら。
彼の乗る電車がホームに入ってきた。
「まいちゃん、僕の学校においでよ」
「いや」
未練がましく話しかけてこようとする彼を追い立てるように電車に乗せる。
窓にへばりついてこちらに手を振る初恋の人のややみっともない姿に、思わず溜息がもれた。
399 :
4/4:2009/04/14(火) 10:28:54 ID:NJRQ3Wso0
ずっと仲良しだったのに、どうしても思い出せない友達。
確かに同じクラスに居た筈なのに、誰も覚えていない友達。
『幻の友達』、それが私。
私はずっと5年生。基本的に一年単位で学校を移る。
どれほど望んでも私の意志で学校を選ぶ事はできない。始業式の朝、目を開けた時には既に校門の内側に立っている。
全員に見えるわけじゃない。誰にも気付かれない時すらある。
それでも、何度経験しても楽しく不安で緊張する瞬間。
始業式。そしてクラス決定後の教室。
でも今年はちょっと複雑な心境。
私の事は無視しなさいという意味で睨みつけてみたのだが、新担任の彼は意に介することなく私に向けてにっこり笑顔を浮かべた。
いいねぇ。乙!
和んだ!乙。
明日は〆切だこの原稿だけは落とせない。
(コンコン)
おや、誰だろう…?
「か、金をだしぇ!」
ちっちゃな女の子が大ぶりな包丁を構えてヨタヨタと入ってきた。
足が透けている。幽霊のようだ。
「うん、いくらいるの?」
「ごひゃくえん」
「何を買うの?」
「ほしいも。いっぱいかう」
「はい、五百円」
包丁の重みでつんのめりそうな幽霊少女のちっちゃい手に500玉を握らす
「…ありがと…べ、べつにうれしくなんかないけどね!」
「一人で行ける?付いて行ってあげようか?」
「うん…あ、あんたがどうしてもっていうならついてきてもいいわよ」
「包丁は重いから置いていった方が良いよ。手、つないで行く?」
「ん…だっこがいいな」
―
…マムマム
「ほしいも、美味しい?」
…アムアム
「うん。おいひ…ゲホ!」
「ああ!ほら、お茶!」
↑
ほしいもかじっているツンで霊の文字で脳裏に浮かんだ妄想。
事後連絡で申し訳ありませんが、3スレ目の695までまとめwikiに保管いたしました。
今後ちょくちょくやって行く予定ですが、よろしいでしょうか
はい。
よろしゅうに。
是非頑張ってください。
407 :
本当にあった怖い名無し:2009/04/17(金) 12:13:24 ID:i+egry8E0
408 :
本当にあった怖い名無し:2009/04/17(金) 22:54:43 ID:fNjSYarBO
キチガイスレだな
410 :
本当にあった怖い名無し:2009/04/18(土) 00:29:41 ID:8UOSu9XN0
サガフロンティア裏解体新書が買だ、
バルザック?いい本の物語じゃないか、自分で探すんだな。
車のGTO?・は?何のことだ?あれは敵の本だ、少々お世話になったが
スーパーロボット大戦W売り出し
電気電気電気電気電気こたつ
逆) . . . ドラゴン桜
江川 ぱぁあーすんッたむさかーぬそぉい(ネタバレ可)
私の言いたいことは音楽の最初だけ聞いているということだ。
PS2分裂
凸って来ましたきつかったぜー、裏は菊2まいとうことで、
パソコン泊まりがけ突いって来ました。アキラさん情報に騙されてこう寝れなかった
分けですけどね。人なぐりました 最後の方はきついことされましたね。
鉄道ですが日本では上下どちらから見てもQになりましたね、
自分は槍にしりがついたネズミ型どらごんでしたね。ブラックボックス二つ
を荷物にすると乗り物のようですね。やらないかのお方ですがあれはA氏のしている事を無理やり合体させた物です。
英語の速読方法を教えます、単語集を買ってその言葉の物を想像します、文もその場面を想像します。
町の景色も自分の心の中で覚えておくだけです、 まともにやれば一日8時間やって三年くらいでできます。
この字の多さツンデレと全く関係ないなあ 最後の方ハメになっているが、
悪霊に取り憑かれた。
『死ね』
耳元で響いた囁き声に驚いた僕は逃げようとして車道へ飛び出し、原付に撥ねられた。
『死ね』
囁き声にひるんだ僕はバランスを崩し、階段から落ちた。
『死ね』
囁き声に怯えた僕は火をつけようとしていた七輪を蹴り倒してしまった。
『今回こそは死ねるかな?』
囁き声とついでに頭を叩かれ、思わず取り落とした包丁は深々と足の甲を貫いた。
「ぐゃああうぁぁぁぁっっ!!!」
激痛に転げまわる僕の斜め上、誰もいない空間から溜息交じりの声が響く。
『はいはい心配しなくてももう救急車呼んであるから』
「余計な事するなって痛いいぃぃぅぅ」
今回も失敗。
奴に殺されるんじゃない、僕は自殺したいんだ。
何だいい話しじゃないか!
413 :
本当にあった怖い名無し:2009/04/19(日) 22:22:07 ID:CRBQ+Vne0
他の板は童貞なので(怖くて板すら見にいけません)オカ板の皆さんに伺いたいのですが、
ツンデレっていうか
女「うぜー!!!てめー!!てめーがそんなんだからだろ!!ボケぇ!!」
とか言ってたのに、本当は好きでゴロゴロ懐いてくるっていうのは
ツンデレ?
度がすぎたツンデレでいいの?
415 :
本当にあった怖い名無し:2009/04/24(金) 09:34:58 ID:bVDqaj9SO
裸女霊「呪い殺す」
くさなぎ「……!居酒屋で六時間はマズかったか…幻覚が」
裸女霊「でもクイズに当たれば助けてやろう、勘違いするな来週のぷっすまが見れないと嫌なだけだ」
くさなぎ「…」
裸女霊「赤くなったり黄色くなったり青くなったりするのはなーんだ?」
くさなぎ「信号!しんごー!」
裸女霊「!見事だ、…ふんいいんだいいんだ私なんか………死んじゃおッかな…裸だし…クイズ弱いし」
くさなぎ「バカー!」
バシィン!
裸女霊「いた!何すんのよ!」
ヌギヌギ
くさなぎ「裸で何が悪い!裸で何が悪い!」
警官「………」
ほ
し
柿
う
ま
〜
と
ッ
て
ち
ょ
?
286 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/05/02(土) 20:49:24 ID:ddXr3zpM0
>>285 多分耳の肥えた霊だったのさ。
坊さんたくさん呼んでフルコーラスの念仏でも聞かせて差し上げろ。
ついでに。
俺の部屋に女の自縛霊が住んでいるんだが、
自 縛 霊 の 縛 ら れ て い る 範 囲 を 特 定 し た ぞ !
見破ってなんもしないのも癪なんで、とりあえず裸でヒゲダンスしといたんだが、
舐めてたわ。自縛霊って根性で縛り範囲伸ばせるのね。ばっちり呪われた。
負け犬の遠吠え的に「その根性をどうして生前に活かせなかったの!」と叫んだら
なんか部屋の隅でずっと泣いているんだが、今のうちに坊さん呼んだ方がいいのだろうか。
泣き終わった後が怖いんですけど。
287 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/05/02(土) 21:02:42 ID:SwgSMansO
ごめん
もう死んでるのに活かせって言うことほどひどいことはないよな。
で、ちょいと言い訳をさせてくれ。。
俺はさ、その領域を伸ばす根性を生きていた頃に使えっていう意味で言ったわけじゃないんだ。
…その、ほら、…別に死んでいようが生活はできるだろ?
…俺と一緒に暮らさないか?その生活の為に、根性使おうぜ。
って言いながらおっぱい揉んどけ
288 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/05/02(土) 21:12:50 ID:WzCYFaam0
>>286 自縛霊って自分で行動範囲を狭めてるだけだろ。
いわば幽霊の引きこもり。
289 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/05/02(土) 21:14:58 ID:ddXr3zpM0
>>288 そのアドバイスをもっと早めに聞いておきたかったorz
>>287 なんという逆転ホムーラン的な発想;;全俺が感動した;;
正直、次に彼女の領域に踏み込んだら最後な気がするが、
縛られた彼女の心を俺がほぐしてみせる!
(おっぱい的な意味で)
ただ・・その、ano、ダメだったら祟ってもいい?(´・ω・`)
年末年始や大型連休中は鬱になる。
「…うち、給湯室でもトイレでもエレベーターでも地階資料室でもないんですが…」
ぼそりと独り言ちるといっせいにじろりと睨まれた。
『彼女も友達もいない寂しい引き篭もりにうだうだ言われたくないわね』
いや引き篭もりにならざるを得ないのは貴女方が話しかけてくるのについ答えてしまうせいで。
『新人の癖に生意気ね』
いや新人ってもう入社して10年経ってます。
『誰も来ないから暇なのよ別に寂しいとかじゃなくて』
そうですか、僕ん家以外に皆さんで遊びに行けばどうかと以前提案してみたんですが却下ですか。
『アンタが孤独死してようがこっちはどうでもいいんだけど』
ならちょっとした風邪で熱出したくらいで通りすがりの死霊死神に喧嘩売るのはやめて欲しいです、逆に目を付けられて怖いです。
入社初年度にそれと気づかず声を掛けてしまって以来何故か、僕の部屋はお局様方のたまり場になっている。
そろそろホシュ
同居人が幽霊に取り憑かれた。
当人は霊感ゼロだから取り憑かれた感じがしない、と思っている。
「暑いよなぁ。まだ五月なのにさー」
ぶつぶつ文句を言っているそいつの袖を、幽霊がそぉっとつまんだ。
「…なんか涼しくなった…?」
不思議そうに首を捻ったものの、快適になったと機嫌良くなる同居人。
それを見て嬉しそうにしていたくせに、こっちの視線に気が付いた途端ズササーっっと距離を開け、必死にそ知らぬ顔をする幽霊。
俺に実害ないし放っとこうと思う。
h
e
n
d
家の猫がね、死んじゃったんですよ。
まぁ、死んだのは去年の話なんですけどね。
なぜだか私にだけは懐かない猫でしてね。
私が近づくと威嚇することがしょっちゅうありました。
なぜそんな話をするのかって?
なぜならこの前私が体験した出来事に関係があるからですよ。
簡単に言うと事故にあいましてね、死に掛けたんです。
臨死体験と言うんですっけ?三途の川が見えたんですよ。
なぜだか足が勝手に進んでしまったんです。川の向こうに向かって。
向こう岸には私の爺さんや婆さんがいて、おいでおいでをしていたんです。
家の猫もいました。たしか、私の真正面にいたと思います。
私と猫の距離が2メートルくらいになったとき
いきなり猫が威嚇しだしたんです。
とっさに「引っ掻かれる!」と思いましてね、一目散に逃げ帰りましたよ。
気が付いたら病院のベッドでした。
あの世に行くことを拒否されるほど私は嫌われていたんですかね?
441 :
本当にあった怖い名無し:2009/05/19(火) 16:42:24 ID:iIe6TFt30
ho<フシャーッッ
舗
装
道
で
ま
447 :
本当にあった怖い名無し:2009/05/24(日) 16:15:22 ID:mFtLWEgd0
き
448 :
本当にあった怖い名無し:2009/05/24(日) 16:18:10 ID:Z7cpJ3uiO
ぐ
そ
450 :
本当にあった怖い名無し:2009/05/24(日) 17:33:20 ID:ubK5nwy0O
霊
公私共に色々あってむしゃくしゃしたので、仕事帰りに偶々見かけたカラオケ店で歌って帰る事にした。
時間的に割と込んでいたんだが運良く一部屋空いていた。
何故か店員は渋っている様子だったが忙しい時間帯に一人で来たせいだろう。
曲を入力する時ふと過去の履歴を見てみようと思った。
同じ曲がずらーっと並んでいる。
余程人気なんだろうな、とは思ったものの、流行歌にはほぼ興味無し。
今日はアニソンオンリーで持ち時間全て潰す。
途中、機械の調子が悪くなったが、アカペラ上等で歌った。
冷房が効きすぎていると感じたが、時には踊りながら熱唱する間に身体は火照り、最終的には丁度いい感じになった。
ドアを何度かノックされた気がするが、最初に開けた時誰も居なかったし、酒も入っていたので気のせいだろう。
なんとなく気分が悪くなった気がするが、酒のせいだろうし歌っている間に忘れた。
ちらちらと影が躍っているような気がするが、飛蚊症ってやつだろう。
「…無視してんじゃないわよ…」
トイレから帰ると部屋の片隅に制服姿の女の子がやや俯き加減に座っていた。
長い黒髪で顔ははっきり見えないが、見たことある気もしないでもないがどう考えても知らない顔。
部屋間違えたのかと焦ったがそうでもない。
「部屋間違えてません?」
思いっきり不機嫌だったのが出てたのだろう、女の子は一瞬怯えた表情を浮かべて目をそらせる。
「ほらさっさと出てってくださいよ」
「そ、…そんなわけには行かないわ…大体ここはアタシが先に入ってたんだから…」
「はぁ?」
自分でも怖くなるくらい不機嫌な声。
だが女の子も怯みつつ食いついてくる。
「私はずっとここに居たわ…!居たって言ったら居ーたーのー!!」
何故か涙目。
「じゃあ勝手にどうぞ」
「…え…?」
だんだん面倒臭くなったので彼女は放置する。
まだ横で何だかんだ言っているが意識からシャットアウト、次の曲を予約しようとして――
「おいこら何勝手に予約やりかえてやがる!?」
予約していた曲をオールリセット、さらにさっき履歴で見た曲で全て埋めている。
「あ、あんな変てこな歌よりこっちの方が断然いいからよ!」
「ほっほぉう」
何気にマイクを握り締めていただけではなく歌い始めた彼女の姿に俺の中で何かが切れた。
傍から見ればかなーり怪しかっただろうというのは認める。
まぁ見てる人なんていないが。
件の歌は暗めの曲調。
それを哀感を漂わせて囁くように歌う彼女。
歌唱力はあるのだろう。まともに聞いていないのでなんともいえないが。
こっちは曲無し。
馬鹿みたいにお気楽な某アニメ主題歌を、腹の底から声を出して歌う。
多少外そうが歌詞を間違えようが気にしない。
デーブルを挟んで向かい合わせる位置に立ち。
途中延長し、お互い同じ歌を歌い続けること3時間。
こちらが間奏に入ったのと同タイミングだったので、彼女が音を大きく外したのがわかった。
流石に気に障って彼女の方を伺うと、彼女は彼女で黙って俯き震えている。
と思ったらこちらをキッと睨んできた上マイクを投げつけてきやがった。慌てて避ける。
文句を言おうとしたが、ほんのちょっと目を離した隙に部屋から出て行っていたのか、居なくなっていた。
忍者か。
こっちも疲れたのでその日はそれで切り上げた。
それ以来だ。
店自体はそこそこ雰囲気が良かったのでそれなりに通うようになったのだが、
大抵空いているあの部屋で一人カラオケの時に限り、奴が勝手に部屋に入り込んでいる。
で、いつもそのまま歌勝負という流れに。
先日はいつも同じBGMも正直飽きたので、デュエットできる歌、まあアニソンなんだが、それをiPodで聞かせてやった。
「変な歌」とか抜かしやがったのでその日は奴を完全無視してイヤホンしたままその曲をリフレイン。
かなりムカついたし仕事が忙しくなった事もあり、しばらく一人カラオケはやめた。
今日は久しぶりに例の店で一人カラオケ。
例のごとく奴も出現。
だが少しは反省したらしい。
奴から入力機を奪い取ったついでに履歴を見ると、奴のお気に入り以外にそのアニソンが何回か入っていた。
本人は意地張って「他の人が」とか慌てて言い訳した末に部屋から遁走。
放っといて歌っていたら、何時の間にか戻ってきて黙って座りちらちらこちらを伺っている。
まぁなんだ、奴の歌も一回くらいはまともに聞いてやってもいいか。
いつも投下した後で誤字に気付くのは何故なんだぜ。
or2
仕様です
保守なんかじゃないんだから
いっそ連れ帰れよ
今更だがこのスレは寮スレだ
460 :
1/2:2009/06/01(月) 17:24:05 ID:qOYH8mpV0
衣替えのため、押入れの中をひっくり返していた。
奥のほうから古い熊のぬいぐるみが出てきた。
何か嫌な感じがしたので戻そうと思ったが間に合わなかった。
ぬいぐるみの顔がぐにゃりとゆがんだ。まるで本物の生き物のように。
「みつかっちゃったぁ」
スロー再生しているテープのような野太い男の声でそう言い笑いだした。
忘れていた記憶がフラッシュバックした。
大事にしていた熊のぬいぐるみ。
一人っ子で且つ人見知りが激しかったので、小学校に上がるまでは唯一の友達だった。
ある日彼とかくれんぼをしようと思った。
熊を部屋の真ん中に置き、「10数えるから隠れてね」と言ってベッドに頭を伏せて数え。
振り返ると熊のぬいぐるみは本当に姿を消していた。
家中探しても見つからず、両親にはどこか外でなくしたのに嘘をついていると思われて散々叱られ、
暫くは怯えていた嫌な記憶と重なって、すっかり忘れてしまっていた。
なのに20年以上経った今、何故何度も出し入れでひっくり返している場所から出てきたのか。
461 :
2/2:2009/06/01(月) 17:26:37 ID:qOYH8mpV0
くすくすと笑う熊を見おろす。
子供の頃は両手で抱きかかえるくらい大きかったのにな。
さらに色はくすみ埃で汚れ、ところどころほころんでいる。
「つぎはぁ、きみのばんだよぉ」
「先ずは風呂」
「えっ」
じたばた暴れるぬいぐるみを片手でぶら下げ洗濯ネットに押し込み洗濯機に放り込みスイッチオン。
悲鳴が聞こえたが無視。すぐに静かになる。
脱水が終わり明らかに目を回している熊をネットのまま吊るして陰干し。
衣替えの続きをしていたら目を覚ましたのだろう「だせーだしてー」と野太い声でわめき出した。
「なら乾燥機に入る?」と訊いたらおとなしくなった。
で、乾いた所でほころびの補修。
色あせはどうしようもないが、それ以外は完璧に仕上がった。
「さあかくれんぼしよう。こんどはきみがかくれるばん」
仕切りなおしだという感じでソファーの上で偉そうに仁王立ちする熊。オッサン声も耳になじんできた。
「何で今頃出てきたの?」
「え?い、いや?そんなことないよ?じぶんからでてったらかくれんぼにならないじゃないかわすれられちゃったのかなぁとふあんになったとかそんなわけじゃないからな」
早口になっても声が高くなるわけじゃないのか。そりゃまあそうだ。
「そうか、そうだよね。実際熊さん上手に隠れすぎたから忘れちゃってたけどね」
「!!!」
シビアな現実にショックを受けてがっくりと崩れ落ちる熊。
ぬいぐるみの癖に喜怒哀楽の表現が豊かで見ていて楽しい。
「私は家事とかで結構忙しいけど、娘がそろそろ幼稚園から帰ってくるから、かくれんぼ以外で相手してくれるとありがたいな」
「なんでそんなこt…むすめ!?」
浦島状態でプチパニックの熊さん。
娘とも良い友人になってくれると信じている。
「娘の相手をしてくれないならこのゴm…えっとビニール袋の中にはいtt」
「かくれんぼいがいであそぶというとままごととかおにごっことかかたのしそうだなはっはっはぁー!」
幽霊に取り憑かれた。
中略
冥界の門の前は思ったよりも混んでいる。
「はぐれちゃいそうだね。手、握ろうか?」
「なっ、なれなれしいわよバカっ!死んじゃえっ!!」
そう言ってそっぽを向きつつこちらに差し出されてる白く細い手を以下省略保守
ワッフルワッフ(ry
464 :
本当にあった怖い名無し:2009/06/06(土) 07:27:45 ID:yeNE4f0J0
こんなに下がっててどうすんのよ、
あんた馬鹿ぁ?
465 :
1/7:2009/06/08(月) 15:28:49 ID:Hp0h2cZd0
1
昔の夢を見た。
幼い頃に親の都合で二週間だけ田舎の親戚の家に預けられた時の事。
そこで出会った同い年の女の子とささやかな約束を交わした。
何故そんな夢を見たかというと、その時出来た男友達から会おうと連絡があったから。
女の子との約束はずっと覚えていたけれどなかなか実現出来ずもやもやしていたから。
で、現在山の中を迷走中。夜の山道は歩くものじゃない。
約束の場所への道案内を買って出た旧友は「大丈夫」を繰り返すだけで今一信用ならない。
「迷ってないか?」と問うても「タバコは標準装備だし線香も持って来たから大丈夫」と訳のわからない返答するし。
そもそもお前まだ未成年では。
466 :
2/7:2009/06/08(月) 15:31:20 ID:Hp0h2cZd0
2
どの位彷徨っただろうか。
闇の中を蛙の声がこだましている。
木々の間をすぅっと光が抜けていく。
光を追いかけるとすぐに目的地にたどり着いた。
渓流を中心に、地上に降りた星のように乱舞する無数の光。
そして清流のほとりには、あの子が立っていた。
心得ているといわんばかりに黙って少し上流側へ離れる友達。
俺は女の子の元へ近寄っていった。
「何か用?」
つっけんどんな態度の彼女。視線は渓流の方を向いている。
「うん」
俺も彼女と並んで光の舞を眺めた。
沈黙が蛙の合唱で埋められる。
「約束、忘れた事は無かったよ」
ぽつりと口にする。
「ウソつき」
彼女の声は冷たい。
言い訳はしない。実際俺は、約束を守れなかったから。
記憶の中の彼女の姿は、背丈は今の俺の腰より少し高いくらい、色白で、柔らかに波打つ長い黒髪と、くっきりとした顔立ち。
誰の目から見ても愛らしいと思える少女は、大人になればとびきりの美人になった筈だ。
すっかり約束を忘れてしまった彼女に昔話だと笑われる事をずっと夢見ていた。
けれど。
今目の前に立つ彼女の姿は、昔と何一つ変わっていなかった。
467 :
3/7:2009/06/08(月) 15:33:43 ID:Hp0h2cZd0
3
『待っていたの、ずっと』
囁く声が耳に届いた。
顔をあげると、清流の対岸に影が見えた。
横に居た筈の彼女が何時の間にか移動したのか。
『寂しかった』
違う。彼女はまだ横に立ち、唇を結んだまま水面を眺めている。
何時の間にか蛙の合唱は止まっていた。木々のざわめきも、水のせせらぎも聞こえない。
『寂しい』『ずっと待ってた』『ウソつき』『裏切り者』
緑を帯びた蛍のものとは違う、赤く暗い仄かな光が何時の間にか混ざっていた。
それらが囁きながらまとわりついてくる。
『苦しい』『苦しい』『苦しい』『クルシイ』
光はぺたりと身体にくっつくと、ゲル状のものに変化した。
そうしてあっという間に全身が覆われていく。
『ヒトリハイヤ』
突然足元の感触がなくなった。
渓流に落ちた、訳ではないだろう。
流れは感じない。水面も底も見えないほど深く、岸の見えない広く暗い水の中。
ぷちぷちぷちぷち、音を立てて大小さまざまな大きさの泡が周りを取り囲む。
その一つ一つの泡の中に顔が見えた。
苦悶、哀惜、憤怒、後悔、そして絶望に染まった顔。
『クルシイクルシイクルシイクルシイクルシイ』
泡が俺の口から鼻から身体の内へ入ろうとしてくる。
必死にもがき、泳ぎ、手で振り払った。
けれど水を掻く水流によって若干離れるだけで、泡はまたすぐに迫ってくる。
こんな状況の中で、俺は無意識に泡の中に彼女を探していた。
泡を振り切れないでいた。
468 :
4/7:2009/06/08(月) 15:35:59 ID:Hp0h2cZd0
横の方からすぅっと光が流れて来るのが見えた。
蛍のようだが、こんな異質な水底でそんなものが飛ぶ筈はない。
思わず身を硬くして構えたが、光は俺をやり過ごし通り過ぎた。
そして、泡に触れ。
閃光と強い衝撃を伴って弾けた。
闇の向こうで無数の光が舞っている。
どんどんこちらへ近づいてくる。それを見た泡の中の顔が怯んだように感じた。
俺は殆どやけくそ気味に光の群れの方へ泳いでいった。
次々とすれ違う光。
そして後ろから水を伝わって続け様に襲ってくる衝撃。
巻き込まれないように必死に泳ぎ続けた。
ほんの少し水が苦く感じた。
次の瞬間には突然巻き起こったすさまじいうねりに飲み込まれた。
469 :
5/7:2009/06/08(月) 15:37:24 ID:Hp0h2cZd0
4
蛙の合唱と渓流のせせらぎが耳に届いた。
目を開けると、元の沢のほとりに立っていた。
何も無かったように。
いや、若干の違和感を残して。
独特の煙りの臭いが鼻を突く。
上流側でタバコを吸っている奴がいるようだ。
彼女もそちらを半眼で睨みつけている。
その指先に止まっていた小さな光が視線の先にすぅっと流れて行ったかと思うと、ぱちんと弾ける音と小さな悲鳴が聞こえてきた。
俺は漸く違和感の理由に気が付いた。
渓流中を乱舞していた光が全て消え失せていた。
470 :
6/7:2009/06/08(月) 15:39:02 ID:Hp0h2cZd0
「あーあ、嫌になっちゃう。何でこうなるのかしら」
彼女は背中を向けたままだった。
「頑張って集めたのよ、鬼火。
その、そう、全部貴方にぶつけるつもりだったんだから。
なのに人の復讐に勝手に乗っかろうとする邪魔な奴等が目障りだったからってそっちにぶつけてたら思ったより多くって」
だんだん尻すぼみに小さくなる声。
「取っておいた最後の一つもあの変な奴に使っちゃった…」
寂しそうにうなだれ、小さな両手はきゅっと拳を握っている。
そんな彼女を思わず抱きしめようとしたが、無情にも俺の両手は何の抵抗もなく彼女の身体をすり抜けていった。
戸惑っている間に彼女がこちらに向き直っていた。
無表情で押し黙ったまま俺を見上げていた。
右手をすっと持ち上げ、後ろにくっと引く。
そして俺の頬目掛けて打ち付けられた小さな掌は、矢張り俺の身体を突き抜けた。
「触れるわけ無いわ。私は幽霊なんだから」
今にも泣き出しそうに瞳が揺れていた。
彼女が亡くなったのは俺が居なくなって一ヵ月もしない頃だったらしい。
それから十数年。
彼女はずっと待っていてくれたのか。
「約束、覚えていたよ」
彼女と視線を合わせるために膝をつき、まっすぐ顔を覗き込む。
「…嘘」
「会いに来れなかったのは謝るよ。でも、約束はちゃんと覚えてた」
きゅっと唇をかむ彼女。
「誕生日、おめでとう」
こらえきれなくなったのだろう、涙が、白い頬を伝い落ちた。
471 :
7/7:2009/06/08(月) 15:40:41 ID:Hp0h2cZd0
5
途中ではぐれた友達が「チビブスツルペタ」だの毒吐きながら数時間遅れて現れる意味不明なハプニングもあったが。
小高い場所で朝を待つ。
やがて朝日に照らされ輝く、谷間をなみなみと満たす水。
彼女と出会ったあの渓流は、今はダムの底に沈んでしまっている。
『彼女の誕生日にあの渓流で一緒に蛍を見る』という約束は、二度と叶えられない筈だった。
あの幻のような不思議な時間を、俺は一生忘れないだろう。
それはそれでいいんだが。
「とっとと離れろツルペタ」
「五月蝿いわよロリコン。貴方は黙って私の乗り物に徹していればいいの」
夜になり、飯を一緒にと誘いに行った友達の肩に乗っかっている彼女が、しっかりはっきりばっちり見えた。
「会いたいってのは叶っただろうが!あ、真逆前に言ってたコイツとデートとかキスし」
「わー、わー、わー!!」
良くわからないが、どうも取り憑かれているのは友達らしい。
取り敢えず、コブ付きではあるが今後も彼女とちょくちょく会えるらしいという事は理解した。
gj
私はいつの間にか死んでいた。トラックが目の前に迫ってくるのが最後に見た光景。
あまりのインパクトにそれ以外のことは思い出せない。
それから、私はここにいる。ガードレール脇のかれそうな老木の根元に。
いつも私が死んだ場所に花を添えてくれる人がいる。
誰なのかしら。彼は。
晴れの日も、雨の日も、雪の日も。
そんな姿に興味をもって声をかけた。
「だれ、あなた」
彼は驚いて逃げ出した。もうこないだろう。寂しくなんかない。
けれど次の日も彼はきた。どうやら私を探しているようだった。
仕方なく声をかける。
「こわくないの?」
彼はなにかをしゃべる。私には聞き取れない。霊とはそういうものかと納得する。
「私に声は届かないの」
彼は寂しそうな表情をした。それから、花をそえ、私に一礼して帰っていった。
次の日も彼は来た。
私はまた、彼に姿を見せる。別に彼に興味があるわけじゃない。ひまだから。
彼は何か私に語りかけ、花と一緒にケーキを供えた。
「私は食べれないのよ」
彼はバツが悪そうな顔をして、線香をたくと供えたケーキを平らげた。
そしてまた一礼して去っていく。
彼はいったい誰なんだろう。私はそれから彼のことが気にかかり始めた。
いや、別に彼のこと自体を気にかけているわけじゃない。なぜ、毎日来るのかが気になるだけだ。
きっと生前の私は探偵並みの好奇心を持っていたんだろう。
しかし、その日から彼はぱったりと来なくなった。
夏の暑い日だった。
なぜこないのかしら? なにかあったのかしら?
体調を崩していたの? 仕事が大変なの? 引っ越したのかしら?
時を追うごとに気になってくる。
次、あったら飛び切りの笑顔でも見せてあげようか。
きっとびっくりするな。もしかしたら照れて顔を上げれなくなるかも。
べ、別に彼を喜ばせようとしてるわけじゃないんだから。驚かせたいだけなの。
時は一巡りし、暑い夏が来た。
彼が花をもってやってきた。私は驚いた。
もう、びっくりさせたかったのは私の方なのに。
私は彼の前に現れようとして気がついた。
彼の横には女性がいた。
すべてわかった。わかってしまった。
彼には好きな女性ができたのだ。
私を必要としなくなったのだ。あの夏の日。
そしてきっと、今日私に別れを告げに来たのだろう。
彼は女性と幸せそうな顔で花を手向けている。
キモチワルイ・・・。幸せそうな顔で私を見下している。
死んだ私にはできない、幸せそうな笑顔。
私は先月その寿命を終えた老木に手を添えた。倒れろと思いを込めて。
老木は難なく倒れ男女を下敷きにした。
それから、ここには霊が出るようになった。
姉と妹と弟の霊が。
「お姉ちゃん、なんてことすんのよ」
「ひどいよ、せっかく妹を連れてきたのに、嫉妬で殺すなんて」
「ば、馬鹿っ、私は記憶を失ってたんだからしょうがないでしょ!!」
夜な夜な三人で喧嘩をしているそうだ。
夜な夜な壁がなる。
ゴッゴッゴッ。入居したその夜から怪異は続いていた。
3LDKで家賃8万。どっかの田舎なら当たり前だろうが、ここは都心だ。
ありえない値段。だが、飛びついた。
だから、後悔はしていない。もともと、仕事が忙しくあまり家にも帰らなかったから。
だが、リストラで家に長い時間いるようになり、この音に次第にいらだち始めた。
最初はヘッドフォンして寝ていた。だが、ゴッゴッゴッの異音が耳につき目覚めるとヘッドフォンはいつの間にか外れてベッド脇にある。
だったら音には音だということで、バスの聞いたメタルをかけながら寝ているといつの間にかデッキの電源が切れていて、異音で目が覚める。
異音は俺がおきたら止む。
畜生、こん畜生。無職だからって馬鹿にしやがって。
だったら原因を探ってやる。
そう考えるのは当たり前だろ?
俺は景気付けにビールを煽り、一服して気持ちを落ち着けて眠りについた。
正確には寝た振りをした。
ゴッゴッゴッ。薄目で音の出所を探す。ゴッゴッゴッ。耳を澄ます。
「そぉこだぁっ!!」勢いよく飛び上がり音の出所に隠し持ったトンカチを振り下ろした。
ボスっ。という鈍い音がして穴が開いた。
穴をのぞくと白いものがのぞいて…
「変態!!」思い切り頬を張られた。
「変態変態大変態!」トンカチで作られた小さな穴は内側から大きく押し広げられ白骨が現れた。
「エッチスケッチワンタッチ!!」と勢いよく叫んで出て行った。
放心状態の俺はそれをどうしようもなく、見送っていた。
と気がつくと、部屋の中がなんだか焦げ臭い。
「馬鹿っ!!早く消しなさいよ、変態!!」見ると白骨がバスタオルをまとってバケツを持ってきていた。
一緒に消火活動をいそしむ。
なんとか小火ですんだ。
「まったくあんたは、私がいないとだめなんだから」ぷいっと白骨はそっぽ向いてはき捨てる。
「え」
「ヘッドフォンしたままで寝てて首に絡ませたり、大音量の音楽で隣家の住民に迷惑かけたり、火を消し忘れたり」
「え」
「別にあんたのためじゃないのよ。周りの住民に被害がいくでしょ」とかいいながら白骨は両指をくねらせている。
「そのくせ、いきなり私の裸をみるなんて」そりゃ、一糸まとっていなかったけど…。
「仕方ないわ。これからきちんとあなたを躾けてあげる。」ズイッと顔を近づけてくる。
「勘違いするんじゃないわよ、壁から出してくれたお礼なんだから、あんたのことが好きなんじゃないから!!」
ずびしっと指を突きつけられる。
はらりとバスタオルが落ちた。
「へんたぁああああいい!!」バシッと大きな音がこだました。
その日から、俺の生活は規則正しくなった。
いま、俺はハローワークに通っている。やけに手の込んだ手作り弁当をもって。
(・∀・)イイ!!
かわいいなあ。でも白骨死体
タマネギ氏、久し振りだねー
軒下に、女がぶら下がっている。
時々ぶらぶらと揺れている。
「いやそこ違うから」
『五月蝿いわね、私の勝手でしょ』
普段は裏庭の木にぶら下がっているのだが、
梅雨時は傘、夏になれば風鈴、秋には干し柿、冬には大根と一緒に並ぶ。
嫌な人も泥棒も、そして何故か害虫も入らない。
女の一人暮らしで、冷房無し且つ建付け悪い古い家なんで、
ありがたいと言えばありがたいのだが。
ぶらさがり健康法だな
482 :
本当にあった怖い名無し:2009/06/18(木) 02:03:01 ID:eobXqO0JO
つんつんちんちん
ほ
ろ
酔
い
ツ
ン
やたら……ばっかでマジキチっぽいツンデ霊の話が好きだった
男の首絞めたり風呂覗いたりしてたんだけど誰かタイトル知らない?
まとめにあるのかな
レイポンの話久しぶりに見て思い出したんだ
突然の大雨に家路を急いでいた時の事。
人のいないほぼ真っ暗な神社脇の道を駆けていると、道の真ん中に立派な和傘が開いたまま落ちていた。
あたりを見回しても持ち主らしき人物はいない。
借りようか迷っていると、風も無いのに傘が転がりながら近づいてきた。
そして俺の目前まで来ると、すうっと傘が浮き上がる。
まるで見えない誰かが持ち上げたように。
その時偶然稲光で辺りが明るく照らされた。立て続けに雷鳴が轟く。
同時に傘が飛び跳ねた。
「キャー!キャー!!嫌ー!!」
悲鳴を上げ、傘は再び地面に転がった。
見なかったことにして迂回しようとしたんだが、
「置いて行ったら怨みます!絶対絶対祟りますから!!」
と震える声で言われたので仕方なく傘を差して帰宅した。
なんとなく重く感じた左腕は、傘の下だったにも関わらず何故かびっしょり濡れていた。
傘は今でも家に居る。
雨の日には強制的に同行させられる。朝晴れている日でも事前にわかるらしい。
雷雨の時は「和服美女に腕をとられて相合傘」をしている様に周囲には見えるらしい。
いや、俺には傘しか見えません。
そして冷やかされる度に「そ、そんな破廉恥な事する筈ありません!!」と、
ばっさばっさ開いたり閉じたりされる。
それより何より最初に冷やかされて以来、和傘の手入れを調べている俺が居る…。
>>489 お、『寂しいな…』じゃないかな?
確か四人目だから、まだwikiには無いね。まとめサイトの方へドゾ。
wiki、見たら凄く懐かしかった。管理人さん、お疲れ様。
いらないかもしれないけど保守
494 :
本当にあった怖い名無し:2009/06/28(日) 02:48:41 ID:LgELYOQL0
一応保守
ほ
496 :
本当にあった怖い名無し:2009/07/01(水) 21:47:04 ID:YTKvHgvm0
け
きょ
何故『ほけきょ』w
保守だろ、保守w
海の沖で、女が一人、あれは溺れているんじゃなかろうか。
周囲には俺以外誰もいない。
仕方ない。意を決して俺は飛び込んだ。
のはいいが、元々泳ぎは苦手な俺。
さらに服着たままだと泳ぎにくいのな。うを、足つった!ぐほ、水飲んだ!
誰か助けて!
目を覚ますと、ドアップの女の顔が目の前にあった。
白い頬に張り付いた濡れ髪がとても色っぽい。
彼女は安堵の笑みを浮かべていたが、直ぐに慌ててのけぞるように離れてそっぽを向かれた。
彼女の頬が赤いし、何だかちらちら見られてるし、微妙な空気。
「えっと…ひょっとして人工呼k」
「あ、あくまで人命救助よ勘違いしないでね!!」
きっと睨まれる。
「あ、後、泳げないくせに他人を助けようなんて無茶もいいとこよ!」
うねうねとくねる蛇状の下半身。
「危な、じゃなくて泳げない奴は溺れさせる前に自分で沈んじゃうんだから、た、楽しくないでしょ!」
言い捨てると逃げるような勢いで海に向かう彼女。
「泳げるようになったらまた来てもいい?」
一応たずねてみたら、きょとんとした顔で振り返られた後、「馬鹿?」と言われた。
「じゃあ、泳げなくても会いに来ていい?」
と聞いたら一瞬考え込んだ後真っ赤になって、また「馬鹿」と言われた。
その辺りの海は、遊泳禁止になっている。
何でも女の妖怪によって溺死させられるかららしい。
実際には離岸流が何とからしいけど。
500 :
.んはあ〜:2009/07/07(火) 11:23:07 ID:pmmjQkAs0
__ 。。 。
/ `ヽ|ノ_ノ
l ,-、 / ゚ w゚) < 500
( ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)
\_|_____○/
ちょっと海行って溺れてくるノシ
いってらノシ
俺は孤高の錬金術師。
某エルリ○ク兄弟のように徒党を組んだりはしない、一匹狼だ。
なぜなら独りだからだ。ていうか、なぜだか独りだからだ。
俺の崇高な理念を理解できる人間がいないせいだろう。だから悔しくなどない。
……ほんとうだからな。
例の某兄弟は俺に雷鳴の如き閃きを与えてくれた。
先に言っておくが、パクリではない。オマージュっていうかつまりそのアレだ。
とにかく天才の俺だからこそ、こんなアイデアを思いつくことができたのだ。
「さてイキナリだが、そこの名も知らぬ亡霊よ」
「まったくもっていきなりね」
「できれば1レスに収めたい主義なんだ」
「わけわかんない。アタマ沸いてんの?バカみたいな顔してバカなの?」
ムカつく女だ。俺の理想とする被検体の適性には程遠い性格をしてやがる。
だが、まあいいだろう。どうせヤることはいっしょだ。
俺は持参した人形のうなじの辺りに錬成陣――印を描きいれた。
「いまからおまえをこの人形に定着させる」
「なにそれキモイ ヤだ」
「キモイ!? キサマァ! 俺のアリスをバカにするな!」
自らモデリングした3DCGを基に、かのオリエン○ト工業に作っていただいた精巧な人形、
イヤ理想の女、アリスへのあんまりすぎる評価に、俺は思わず声を荒げた。
くそ落ちけつ俺。冷静に事を運ぶのだ。
「それで私がソレに乗り移ったとして、なにするつもり」
「なにっ…て。いや? タダの…好奇心?」
「なんで疑問系なの」
「…………」
「変態」
「なんでだよ?! まだなにもいってねーだろ!!」
「変態!変態!変態!」
「チクショウもういいや! おとなしくしろっ!」
俺は裂帛の気合とともに印に力を送りこんだ。
女の姿が魔封波よろしく螺旋を描いて人形へと吸いこまれてゆく。
「や、やめ―――」
中空から響いていた叫び声が、アリスの喉もとへと移動したのを確認し、俺は歓喜した。成功だ。
「気分はどうだ」
「……最悪…身体って、こんなに重かった…?」
生身? は久しぶりなのだろう、アリスの姿をしたそれは、つらそうに背中を丸めて立ち上がった。
「でも、この地面の硬い感触。生きてるって感じがする」
「そうかそれはよかったところでだ」
「イ・ヤ」
凄まじい形相で睨まれた。
くそう。なまじっか理想の外見にしてしまっただけに、拒まれると弱いな。
しかもなにやらなにからなにまでバレバレらしい。……まだなにも言ってないのに。
「アテが外れて残念ね。だけど、おもしろそうだからこのカラダは貰ってあげる」
「ちょ、それは特注の…! 高かったんだぞ! 」
『アリス』は小首を傾げて少し考えたのち、悪戯っ子のような、無邪気で残酷な笑みを浮かべてこう言った。
「そうだ。『私の』カラダを作ってくれたら考えてあげる」
―――くそったれ。
それから。
俺はそのクソ生意気な女の身体を再現するために働くこととなった。
女の注文は細かく、俺のモデリングにいろいろと口を出してきた。
どうやら俺の見た姿と、本人が思いこんでいる容姿との間には相当の差異があるらしく、作業は難航した。
まったくうるさいやつだ。化粧なしでそんなアイラインの人間がいるはずがねー。
乳はそんなに垂れてないだと? 直で見たことないから、自己申告のバストサイズにしたらこーなったんだよ。
リアルの人間なら絶対にこーなる。わかったか垂れチチ野郎。
ああ?そこは作らなくていいって? そういうわけにいくか俺は完璧主義なんだよ。
てゆーか最も重要なぐはっっ!?
万事そんな調子だから、調整に手間取ってしかたなかった。
俺が頭を悩ませているというのに、あいつは手に入れた身体でふらふらと出歩いては現世を満喫しているようだった。
金がないから気に入った服が買えないと言っては、自分で裁縫したりした。見事に生地が全滅した。カンベンしてくれ。
仔犬を拾ってきたりもしてくれやがった。錬金術師たるもの、アトリエ、いや、家で動物を飼うわけにはいかない。
一歩間違えばザ・フライだ。
そう告げたところ、庭に勝手に犬小屋を建て始めた。俺はまったく手伝わなかったのでだいぶ苦労したようだが、
一応のところ、完成したようだった。不恰好極まるシロモノで、まるで木でできたカマクラだったが、本人は満足気だった。
肝心の仔犬はどこかへ行ってしまったけれども。
急に夕食を作ると言い出し、買出しに連行されたりもした。
……食える食材を使ってなぜこんなにも体に害のありそうな物体を生み出せるのか、不思議だった。
つーかてメーは食う必要ねーじゃん? とんでもねぇイヤがらせだ。なに笑ってんだこのサドめ。
納入の日。
完成した人形を、ふたりで眺めていた。
長かった。疲れた。ケンカばっかりしてたし。退屈はしなかったが。
女はさすがに感慨深いのか、妙にしおらしかった。
「こんなふうに人と話したり、いっしょにお出かけしたりとか、もう、ないと思ってた」
「死人だからなあ」
「ありがと」
「おう。おまえはもっと感謝するべきだ」
「うん」
「…………」
「なによ」
調子狂うな。背中が痒くてしかたない。さっさと仕事するか。
「じゃあ、そっち移すぞ」
「あ。さいごに」
「なんだよ」
「へ、ヘンなことしたら承知しないからね!」
「? するもなにもねーだろ」
させてくれねーんだから。
動かないうちに縄で縛っておこうかと考えていたのはヒミツだ。
さあ、仕上げだ。
俺は印を新たな人形に描きこんだ。慎重に、力を送りこむ。前回と同じように。
その人形が、動くことはなかった。
俺は孤高の錬金術師。
いま、錬成に失敗したもえないゴミを中和剤にすべきか、それともロードするかで悩んでいる。
いやあ、扱いが難しい+3が従属してたのを見逃してたよ。
あのとき。
霊の存在は、術のさなかに掻き消えた。くだらない捨て台詞を遺して。
まったくなんて勝手な女だ。
文句ばかりで、無愛想で、不器用で。どうしようもないやつだった。
(アンタに言われたくないわよ!)
部屋の隅の人形が、そういう目で見ている気がした。
コレは新しい!!
新し過ぎるだろw
510 :
本当にあった怖い名無し:2009/07/18(土) 15:49:27 ID:PQ8qAdY30
はげます
511 :
本当にあった怖い名無し:2009/07/18(土) 16:03:34 ID:fau/FMaL0
日本の夏
ツンデ霊の夏
「虫がうるせー。蝉か」
「お前がうるせーよ」
「なんだとこの野郎」
「幽霊が喋んなよチッ」
「舌打ち。なんて女々しい野郎だ」
「除霊祭開催すんぞコラ」
「フハハやってみろ。できるんならな」
「……」
「無能が。寝れ」
「……俺はおばあちゃんに会いたかったのに」
「ババコンかよ。きめぇ」
「…うるせぇ」
「へこみやがった。降霊祭もこなせない腑抜けが」
「……うるせぇ」
「無能が。寝れ」
「……」
「腑抜けが」
「……」
「無能め」
「……」
「寝やがった」
「……」
「……半月もしたら連れて来てやるから心配すんな」
ばぁちゃん・・・・・
ほ
し
519 :
本当にあった怖い名無し:2009/07/29(水) 22:48:40 ID:UapEWHUN0
の
カ
ー
ビ
ィ
. ____
, ´ `ヽ ◯
/ (_) (__\
/) , -―― ――--、
/ _ / \ O
/ (_/ , -―――――- 、r{ o
/ / / V
ト、) / / ‐―― ―‐- i
, ´ ̄i i / "" r~i ""ト、
l .! V i__l / i
ヽ__,く__ (__ハ i / /
`⌒``ー‐ ゝ-- ―――――――' --- ′
何故こんな形で癒されなきゃならないんだwwwwww
ほしゅ
528 :
タイプA:2009/08/10(月) 22:53:14 ID:Pn+fa1yK0
予備校に幽霊が出るという噂は聞いていた。
初めて見かけた時、彼女はとても寂しそうに見えた。
だからつい声を掛けた。
『こんな問題もわからないの。本格的にどうにもならないわね』
「やーめーてー」
河川敷の木陰に設置されたベンチで広げた参考書。
彼女は僕の左側に座り、僕のノートをチェックする。ここ最近の日課だ。
清楚なお嬢様タイプの彼女。見た目どおり成績はかなり良かったようだが。
幽霊だからだろうか、どうも無表情というか、冷淡というか。
『何故この程度の問題で悩むのかしら』
「どうせ僕は頭悪いです」
『そうね』
にべもないい物言いに落ち込む一方の僕。先日の模試の結果も最悪だった。
「ああ、受験なんてもうやめちゃおうかな」
『貴方の勝手になさいな』
「うぅ」
がっくり肩を落としながら彼女を上目遣いに見上げる。
ちらりとこちらを伺ったのだろう彼女と目があった。慌てたように目をそらす彼女。
強めの風が吹いてきて参考書が飛ばされそうになった。
慌てて押さえる僕と彼女。
尤も彼女の手は、参考書も重なる筈の僕の手も突き抜けてしまったけど。
一瞬浮かんだ寂しそうな表情を見て、何故か悪い事をしてしまった気になる僕。
「うーん。もうちょっと頑張ってみようかな」
『そう。悪あがきだと思うけど、私も暇だし貴方の気が済むまで付き合ってあげてもいいわ』
口調は相変わらずだが、何故だろう、彼女の横顔は心なしか楽しそうに見えた。
529 :
タイプB−1:2009/08/10(月) 22:56:20 ID:Pn+fa1yK0
予備校に幽霊が出るというのは聞いていた。
ただの噂だと思っていた。
『あったま悪ー。こんな問題もわかんないんだー』
「うるせー!」
こないだまで俺は霊感無しのはずだったのに。
何ですかこれは。俺の頭の高さでふわふわ宙に浮いている半透明の女子は。
しかも何で俺にずっとくっついてきやがりますか?
見た目はかなり可愛いのだが、性格は…。
『参考書の後ろにエロ本はっけーん』
「うわやめれー!」
くっそう、壁抜けが出来るからって机の中も本棚の裏もチェックされまくる。
「つかお前そもそもなんで俺について回るんだよ!?」
『っ…それは、…面白そうだから、よ!』
一瞬戸惑ったように見えたが、やや逆切れ風味に大声を上げつつ奴はパンチを繰り出した。
当然の事ながら何の抵抗なく突き抜けたのだが、奴はそのまま身体ごと俺を突き抜けていくと、『ばーか』と悪態を吐いて出て行った。
その後も予備校で奴の姿はちょくちょく見かけたが、俺を見ると逃げるように居なくなる。
俺が気にする必要はないんだが。
気にしていたら成績に反映した。
530 :
タイプB−2:2009/08/10(月) 22:57:59 ID:Pn+fa1yK0
『本当にあったま悪ー』
模試の結果が出た日。久しぶりに奴が俺の前に現れたと思ったら、即それですか。
「誰のせいだと…」
『誰のせいよ?』
「…俺のせいです」
マジ落ち込み気味の俺だったが、けらけら笑う奴を見て、何だかどうでも良くなってきた。
ついでにもう一つ解った事。
「俺、お前が好きなのかもしれん」
奴は何を言われたのかわからなかったのだろう、暫くほうけた顔をしていた。
『…ぇ?え!?いやあの、アタシ、えっと』
しどろもどろになる奴。
「まああれだ、受験終わるまでそういうのあれだけど、第一志望合格したら付き合ってくれ」
『あ、あ、頭悪い男子は嫌いって言うかそれって今のアンタの成績だと絶対付き合えないって言ってるのと同じだから!』
うを、クリティカルヒット!ダメージ三倍!
床にがっくり崩れ落ちている間に奴は姿を消した。
最近の奴は最初そうしていたように、いつも俺の頭の高さでふわふわ浮いている。
『アンタの本気度を確かめてるだけだから』とか言っている。
普段参考書の問題を解いている時、間違えていると溜息つかれる。時々具体的に指摘もしてくれる。
そういう時には必ず『頭悪すぎて見てられないだけだから』と注釈がつくが。
おかげで成績は上向き、第一志望も希望圏に入りそうだ。
531 :
タイプC?:2009/08/12(水) 00:27:17 ID:c4rN7M/h0
左京区の自宅に幽霊が出るという噂は聞いていた。
初めて見かけた時、彼はとても暇そうに見えた。
だからつい声を掛けた。
『このような問題もわからないのですか。本格的にどうしようもないと言うしかありませんね』
「やっやめてください!」
河川敷の木陰に設置されたベンチで広げた参考書。
彼は僕の左側に座り、僕のノートをチェックする。ここ最近の日課だ。
典型的な学者タイプの彼、というか先生。見た目どおり成績はいいどころの騒ぎじゃない。中間子理論だし。
幽霊だからだろうか、どうも無表情というか、冷静というか。生前のままというか。
『なにゆえこの程度の問題で悩むのでしょうか』
「どうせ僕は頭悪いです」
『良い悪いを評価できる水準では…』
にべもないい物言いに落ち込む一方の僕。先日の模試の結果も最悪だった。
「ああ、受験なんてもうやめちゃおうかな」
『悪いことはいいません。その方があなたのためです』
「うぅ」
がっくり肩を落としながら先生を上目遣いに見上げる。
ちらりとこちらを伺ったのだろう先生と目があった。慌てたように目をそらす先生。
強めの風が吹いてきて参考書が飛ばされそうになった。
慌てて押さえる僕と先生。
尤も先生の手は、参考書も重なる筈の僕の手も突き抜けてしまったけど。
一瞬浮かんだ寂しそうな表情を見て、何故か悪い事をしてしまった気になる僕。
「うーん。もうちょっと頑張ってみようかな」
『確かに帝大も力が落ちたと聞いていますが、しかしいくら何でもあなたの実力では。尤も私も暇ですから付き合うのは吝かではありませんが』
口調も相変わらずだし、何故だろう、先生の横顔は心なしかやるせなさそうに見えた。
532 :
本当にあった怖い名無し:2009/08/12(水) 01:51:32 ID:HoHDqZ2+0
生前学者だった幽霊って幸せだろうな
生きていたら観測できない謎の現象だらけだし
海洋や宇宙も行き放題だし幼女のパンツ見放題だし
ちょっと死んでくるノシ