証書の裏にはこまかい字でいろいろと書いてあった。それを読むと、だんだん事情がわかってきた。ちょっとした衝撃を他人から受けると、記憶喪失のごとき外見を示し、ばったりと倒れて気絶する。その術を身につけたということなのだ。
すなわち、それ以上の被害を受けることがない。犯人だって、記憶喪失の人間を殺しはしない。無抵抗こそ最大の防御。しかも、気の毒な被害者として、関係者からは同情される。
訓練を重ねれば、条件反射として身につき、正確に気絶できる。ひとに襲われる危険性のある職業の人は、ぜひこの術の習得を。職務のために命を捨てるぐらいばかげたことはない。
この特殊護身術で平穏と長生きをどうぞ。
「いや、ひどいもんですな。無抵抗主義者のガードマンとは」
私が感心すると、芝原もうなずく。
「けしからんことではあるが、うまいことを考え出しやがった。気絶してしまえば、責任を問われることもないものな。なんとか他人をだしぬいて、
自己の利益と安泰をはかろうとの欲求が世にみちている。それを利用し、こんな訓練所を作ってもうけるやつが出る。人間の頭脳はつきることのない泉。かくして文明は進歩してゆくのだな」
「ゆっくりと感慨にひたっている時じゃありませんよ。早いところ目的の仕事を片づけましょう」
「そうだったな」
芝原は倉庫の扉に近づき、鍵をがちゃがちゃいじりまわした。すると、扉はあっけないほど簡単に開いた。芝原は慨嘆する。
「これは驚いた。鍵のかけかたがいいかげんだ。警報ベルも鳴らないとくる。なんというルーズなこと。装置の欠陥というべきか、点検の怠慢というべきか。あまりにもひどすぎる。きみの意見はどうだ」
「さあね、わたしは社会評論家じゃありませんよ。いまは悪事の手伝い役です。さっそくなかへ入ってみましょう」
ともどもなかに入る。なにを持ち出すことになるのだろう。芝原は懐中電灯であたりを照らしている。私はその命令を待った。
そのとたん、うしろで扉が閉まった。
あわてて飛びつき、二人がかりで押したり引いたりしたが、さびかけている錠はびくともしない。
やけをおこして勢いよくたたくと、非常ベルが鳴り出しやがった。芝原は言う。
「どうやら、もうだめらしいぞ。装置の欠陥と点検の怠慢との競合脱線で、われわれはここへとじこめられた形になった」
「冗談じゃありませんよ。ひどいことになった。ああ、せっかく証言屋までやとい、万全の計画だったというのに。想像が悪いほうへとむかいます。
あの証言屋、かえって悪い結果をもたらすんじゃないんですか。このままだと、われわれは買収して証人を作ろうとした罪までかぶってしまう」
「いや、待てよ。いま思い出したが、あの証言屋は酒乱だそうだ。その点に気をつけて使えと推薦者から注意されていた。
ウィスキーのびんをそばにおいてきたから、われわれの帰るのがおそければ、大あばれしてめちゃくちゃになっているだろう」
「そうだといいですね。やつが大酒を飲んでいるよう祈るとしましょう。いまとなっては、それぐらいしかできることはない」
「祈るのは待て。酒乱は酒乱でも、どんなたぐいかわからないぞ。酒がきれるとあばれだす酒乱かもしれない。
それだったら酒を飲まないよう祈らなければならない。いずれにせよ、こんどやつを使う時には、その点をよくたしかめてからにしよう」
「そんなのんきなことを言っていて、どうするんです。ベルが、大きな音をたてています。いまにパトカーがやってくるでしょう。つかまってしまうんですよ。あなたの人生はそれで終りでしょう」
と私がせきたてたにもかかわらず、芝原は意外に平然たる顔。
「まあ、落着きなさい。じたばたすることない」
「よくまあ、そんなことが言えますね。われわれはこのままだと、現行犯でつかまってしまいますよ。事態がわかっているんですか。わかっていながら平然としているのなら、あなたは大変な大人物か、ばかか、それとも……」
「もうひとつ、正解なさったら賞金をさしあげます」
「ええと、そうだ、この倉庫会社の社長」
「残念でした。いいところまではいったんですがね。わたしは防犯状況秘密調査うけおい会社を経営しているのです。各企業の防犯設備は、たいてい自己満足におちいっています。
へたな将棋さしや碁打ちのようなものです。敵がこうきたら、こう受ければ安心というぐあいにね。しかし、それでは強い敵があらわれたらひとたまりもない。
たまにはわたしのような情容赦のない専門家の教えをこわなければだめなのです」
芝原の説明で、私はいくらかほっとした。
「これまた初耳のお仕事ですね。どんなふうに運営なさっているのですか」
「大会社をまわり、社長から内密に注文を受ける。社内に知らせては意味がありませんからね。何日の何時に防犯状況点検のための泥棒が入ると掲示しては、なんの役にも立たない。
抜き打ち検査です。ごらんの通り、おかげでガードマンのだらしなさが判明したでしょう。また鍵と防犯ベルの不備もわかった。
しかし、鍵とベルのうすのろさは面白い。これを改良すれば、侵入者をいけどりにする新設備が開発できそうだ。量産すればひともうけできるかもしれない」
「そうだったのですか。わけがわかってやっと安心しました。それならそうと、先におっしゃって下さればいいのに。わたしもつまらない緊張をしなくてすんだでしょう」
「それでは真に迫らないさ。きみだって手を抜いただろう。ぶつぶつ言いなさんな。はらはらして楽しかったろう。テレビなんかより、ずっと面白かったはずだ。お礼を言ってもらいたいくらいだぜ」
やがてパトカーが到着し、私たちは倉庫のそとへ出ることができた。芝原は警官に事情を話す。警官はふしぎがりながらも、倉庫会社の社長宅へ電話をした。
たしかに侵入を依頼したとの返事をたしかめ、あっけなく幕となった。
958 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/15(日) 23:30:00 ID:P23oXIA0O
なんだこのチラシの裏
959 :
飛廉:2007/07/15(日) 23:36:26 ID:SShx13pSO
ショートショートじゃない星新一って感じだね。
しかし、その時、倒れていたさっきのガードマンが起きあがり、私を指さして大声で叫びはじめた。
「あいつです。さっきわたしをなぐったのはあいつです。つかまえて下さい。暴行傷害の凶悪犯人です」
こんな時になって、大声でわめきたてる。なにいってやがる。ひどい目にあったのはこっちのほうだ。
しかし、こう訴えがあっては見のがしてくれない。いちおう取調べるというわけで、私は警察に連行されることになった。
芝原は口をきいてあげると言ってくれたが、私は自分のことは自分でしますとことわった。
961 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 01:28:24 ID:b0GSX2bH0
テスト
963 :
座敷わらし:2007/07/16(月) 09:21:31 ID:z96wuAUd0
ねぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あ〜〜〜そ〜〜〜ぼ〜〜〜〜〜
ヒマだよ〜〜〜〜〜〜〜
あ〜〜〜〜〜そ〜〜〜〜〜ぼ〜〜〜〜〜
あたいとあそぶといいことあるよ〜〜〜〜〜〜〜〜
あそぼ〜〜〜〜〜〜〜
964 :
魔法使い:2007/07/16(月) 09:25:20 ID:z96wuAUd0
うん?誰だ?
………え?取材?私の?
へぇ〜
でも、今眠いんだ、後にしてくれる?
もう布団敷いちゃったし。
ん?一つだけ?ならいいよ
ん?魔法?出来るよw
例えば催眠術ね。今からやってあげるよ
じゃ、おやすみw
965 :
陰陽師:2007/07/16(月) 09:32:25 ID:z96wuAUd0
ウンコぶりぶりソワカ…
ブルマァァァァァァァァァァア!!!!!!
966 :
語り部:2007/07/16(月) 09:40:59 ID:z96wuAUd0
昔々、ある所に、人と人ならざる者が共に暮らす村がありました。
そこには色んな者がすんでいました。
物の怪・妖怪・霊・神・鬼・半人半妖・異端者などなど…
皆、仲良く…うん、仲良く暮らしていました。
助けて。自分のくびをしめそう。死にたくない。早く助けて。お願い。
968 :
語り部:2007/07/16(月) 09:48:07 ID:z96wuAUd0
そんなある日、村に一人の男がやってきました。
彼はどうやらこの村に引越そうと思っているみたいでした。
まぁ、この村に来る者は大体が住みかを無くした物の怪や妖怪・霊や神
異端者狩りから逃れた魔女や魔法使い・はたまた狼男からハクタクまで
中には、そういった人外や異端者との交流を持ちたがる変わり者の人間もいました
皆、彼はそのどちらかだろうと、そう思っていました。
969 :
語り部:2007/07/16(月) 09:57:11 ID:z96wuAUd0
すると、その男は一人の村人にこう尋ねました
「この村に引っ越そうと思ってる吸血鬼ですけど、空き家ってあります?」
やっぱり村人の勘は当たっていました。
とりあえず、村長の家へ案内し、その吸血鬼の事を村長に話しました。
村長は空き家を一つ紹介し、吸血鬼をその家まで案内しました。
「どうだい?こんな感じの家でいいかい?」
「えぇwこんな感じの家がいいですw」
吸血鬼は身なりは西洋人なのに中身は東洋寄りのようでした。
この吸血鬼、髪は金髪、深い青色の瞳を持ち、身長は180…もしかしたら200cmあるかもしれないという巨体
でも、そんなに筋肉質ではなく、むしろ痩せている方でした。
970 :
語り部:2007/07/16(月) 10:03:32 ID:z96wuAUd0
ここで村長は少し危ない質問をしました
「で、キミはどうしてこの村に来たのかな?」
この質問は、場合によっては命を失う可能性を秘めていました。
しかし、吸血鬼は苦笑いをし、こう話出しました。
「実は…祖国に彼女が居ましてwその彼女とケンカをしてしまったんですwそれで…」
「怒ってその子の血を吸ったんか?」
「いえいえwそんな事はwただ、思いっきりビンタされました。」
「あれ、痛いよね…妻によく叩かれるから、その気持ちわかるよ!」
「………はぁ、ど、どうも…」
この後、吸血鬼は村人に聞きました。
村長はよく浮気をするようです。
971 :
語り部:2007/07/16(月) 10:11:58 ID:z96wuAUd0
「話、続けてもいいですか?」
「あぁ、どうぞどうぞ」
意外と腰の低い吸血鬼のようです。
「それで、彼女に自分が吸血鬼だって事を勢いで言っちゃったんです」
「死亡フラグ発生だね」
「…。で、それに驚いた彼女は猛スピードで私から逃げだしたんです」
「あちゃ〜…死亡フラグまた立ったよ」
「……。まぁ、その時、私も『あぁ、なんて事を言ってしまったんだ!』って思いまして、謝ろうと追いかけたんですよ」
「彼女から見たら、吸血鬼が殺しに来た〜くらいにしか見えてないね」
余談ですが、村長の合いの手がウザイ
皆、そう思っていました。
972 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 10:16:55 ID:4pmql+J80
973 :
語り部:2007/07/16(月) 10:20:36 ID:z96wuAUd0
「その時、たまたま通り掛かった馬車に」
「彼女が轢かれたんか!?」
「いえ、私が轢かれました。」
この吸血鬼、少し天然が入っているようです
「……それで?どうなさった」
「で、私が轢かれて、彼女が心配したのか戻って来たんです。そこで彼女にこう言われたんです。
『やっぱり死なないのね!この変態!』って…」
周りで聞いていた野次馬も村長も悲しみの混じったため息をしました。
「…この変態!はないですよね…。一応英国紳士気取ってたのに…」
周りで聞いていた野次馬も村長もえぇ?そっちかよ!と思いました。絶対。
974 :
語り部:2007/07/16(月) 10:33:23 ID:z96wuAUd0
やはり、この吸血鬼は少し天然が入っているようです。
「…うん、それで、どうしてココに住もうと思ったんだい?」
村長も少し疲れてきました。私も疲れてきました。
「実は、そのことがショックで、あの彼女との思い出いっぱいの町から逃げ出してきたんです」
なんと言う青春。 これ以上のコメントを差し控えさせていただきます。
「そんだけ?理由そんだけ?」
「えぇ、これがココに来た理由です」
いつの間にか、野次馬が消え、村長と二人だけになっていました。
流石の村長もこりゃね〜な〜と思っていました。
「まぁ、理由は兎も角、良く来てくれたwこの村はキミを歓迎するよ」
「ありがとうございます!」
「まずは、そうだな。神社にでも行って、土地神様に引越しの挨拶でもして来なさい」
「解りましたw…で、神社はどっちに?」「あっち」
そっけない返事の村長さん。あまり関わりたく無いのか、逃げる様に帰って行きました。
多分、今回が最初で最後の出番の村長さん。
本当にありがとうございました
975 :
語り部:2007/07/16(月) 10:45:38 ID:z96wuAUd0
吸血鬼は村長に言われた方向を見ました。
そこには壁しかありません。
と言うかぬり壁、お前邪魔だ。どけ。
吸血鬼は村長に言われた方向を見ました。
その先には、確かに神社らしい建物が山の中腹に存在しました。
吸血鬼は神社という所に行った事が一度もありません。
新天地の未知なる建造物にドキがムネムネです。
が、引っ越してきたばかりで疲れていたのもあり
「明日でいいか、別に。」
と、行く気0の発言を残し、
今日から住むことになった新しい家にノロノロと入っていきました。
この吸血鬼の、のんびりライフが始まったのです…
第一話 完
976 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:18:36 ID:AnkTlCB80
977 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:18:51 ID:MAAp0xAY0
978 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:19:41 ID:kd30evXU0
979 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:19:54 ID:6DgZI3440
980 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:20:08 ID:q8XcskQk0
981 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:20:43 ID:oI8l2E6d0
982 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:20:57 ID:9oFxnKOk0
983 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:21:23 ID:OxJwnhpE0
984 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:21:38 ID:5dOOpZ7Z0
985 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:22:26 ID:fMREFD/Z0
986 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:22:39 ID:pzls6O0f0
987 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:23:41 ID:nOhOZXid0
988 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:24:01 ID:qsfnARPj0
989 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:24:17 ID:wFADWu7J0
990 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:24:34 ID:MN4r0ILi0
991 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:24:56 ID:11C5/5tZ0
992 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:25:49 ID:6MYPOxiG0
993 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:26:02 ID:VujnP7rL0
994 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:26:14 ID:wbL4Zhcc0
995 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:26:40 ID:gTRdLyTn0
996 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:26:56 ID:jmMlp7v90
997 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:28:49 ID:DN1QFYlf0
998 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:28:59 ID:Yu8H33h+O
\(^o^)/
999 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:29:14 ID:nQOo3eOR0
1000 :
本当にあった怖い名無し:2007/07/16(月) 12:29:30 ID:mVXOfUN80
1001 :
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千本目の蝋燭が消えますた・・・
新しい蝋燭を立ててくださいです・・・