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「小学生の純愛物」「田舎の情緒的な風景描写がすごい」という評判を聞いて読んでみた
「溺れるナイフ」っていう少女漫画。表紙と裏腹にエグかった。
美少女小学生のナツメは、父に反対されつつも母に応援され、雑誌モデルとして活動中。
しかし、父が実家の旅館を継ぐためにいきなり田舎暮らしになってしまう。
不満だったナツメだが、夜の海で少年と劇的な出会いを果たし、
「まるで神さんのよう」と少年に感激し、古びた田舎が急に神秘的なものに思えてきた。
夜の海であった少年はコウといって、ナツメが入ったのと同じ小学校の児童だった。
コウは田舎では有名な宗教的な事も担う名家の跡取息子だった。大切に育てられたコウはかなり好き勝手に暮らしている。
コウは粗暴なところもあるが、なにをしていてもはじめて出会った時のように
キラキラしていて、ナツメは初対面時の「神さん」という印象とは別に恋愛対象としても惹かれていく。
だがコウからすると恋愛にぽーっとしている今のナツメよりも、田舎に来た当初の
「田舎なんかくそくらえ 意地でも都会に帰るぞ」と熱意を燃やしていたナツメの方が見ていて面白かったという。
コウに振り向いてほしいからというよりも、コウを見返したいからと、
ナツメは父に内緒で母に協力を仰ぎ、たまに都会に戻ってはモデル活動を続ける事に。
やがてロリコンらしいが善人の有名カメラマンに見初められて写真集を出したり、
全国ネットで放送されるCMに出演するまでになる。
その段階になると父にもバレたが、遊びではなく真面目な活動だからと許されるようになった。
中学生になったナツメ。狭い田舎なのでナツメの事は中学の先輩の間でも最初から有名だった。
その頃には旅館の周りにかぎつけてきたナツメファンがやたらうろついたり、
誰かに制服を盗まれたりと芸能人故の弊害もあったが、コウとは更に仲良くなれた。
二人は男女交際をスタートするようにもなった。
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2/3:2007/07/18(水) 00:23:13 ID:amCuYjTl0
夏になり、毎年恒例の祭が行われた。屋台を出したりという一般的なもの以外にも祭には村独特の行事があり、
それは火のついた棒を持った男衆が二組に分かれてぶつかりあい戦うというもので、
毎年怪我人も出るので子供の参加は禁止されているが、度胸試しにとこっそり参加する子供も多い。
人でもみくちゃになる上にお面をつけての参加なのでバレにくく、コウも小学生の時から参加していた。
コウは人気のないところでナツメにはじめてキスをした後に行事に参加に行った。
同じく参加しに行こうとしている友人に「ナツメの制服を盗んだのは先輩だ」と聞かされ、
行事に参加していた先輩たちを、行事の喧騒に紛れてコウはフルボッコにする。
先輩は、ナツメの家の旅館に泊まっている客に高く買うと言われ雇われただけだと泣きながら弁解した。
祭をうろついていたナツメは旅館の客の男に「お父さんが倒れた」と言われ、急いで男の車に乗りこんだ。
が、それは嘘で、男はナツメファンのロリコンだった。拘束され、車の中で唇をむさぼられるナツメ。
抵抗もかなわず、このままあっさりヤられてしまうのかと呆然とするが、コウとキスしたばかりなのだからと再び抵抗する。
なんとか車から逃げ出し、手を縛られたままの状態で必死に走る。
だが男に追いつかれ、頭を石で殴られた上に、ぬかるんだ山道なのでかなりの高さを滑り落ち気を失う。
浴衣を脱がされ下着姿にされたところで、コウが助けに現れた。
コウは殴りかかるものの、大人の男相手にはかなわずボコボコにされる。
朦朧としながらコウは「死ね」と連呼する男の声を、同じ事を言っていた母親の姿と重ねて泣いた。
(詳しく描写されてないが母親は封建的な家柄に馴染めずノイローゼになってたっぽい)
やがて目覚めたナツメが見たのは、争いの声で駆けつけた人々と、自分を抱きかかえる父の姿。
そしてはじめて会った時の神々しさなど嘘のように、傷だらけで涙を流す惨めなコウの姿。
「コウちゃんならいつもみたいにかっこよく、あんな奴から私を助け出してくれると思ってた。コウちゃんは神さんなんかじゃなかった」
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3/3:2007/07/18(水) 00:27:42 ID:amCuYjTl0
男は逮捕された。ナツメは殴られたためか、片耳が聞こえ難くなった。
でもその事は隠していた。
「だってあんな奴のせいで私の日常は変わったりなんかしないもの」
しかし周りの態度は明らかに変わった。
入院している間、母はナツメを産婦人科に連れて行こうとした。
実際にはレイプはされていないのだが、下着姿で発見された事や、
殴られたために一部の記憶がない事からレイプされたと疑われていたのだった。
周りからそう言われるうちに、ナツメ自身そうだったのではないかと記憶が揺らぐ。キス以上のえげつない事をいっぱいされたのではと。
「俺がもっとちゃんと止めていれば」「お母さんが舞いあがったりしないでモデルなんかさせなければ」両親はそう言って泣き続ける。
外傷はいつかは治る程度のものだったが、モデルの仕事や、決まっていた映画の主演はなしになった。
下世話な雑誌にはこう報道された。「ロリコン写真家のコネで主演に抜擢された愛人少女、犯されて愛人契約解除」
中学校でも面と向かって言って来る者はいなくとも、レイプされた少女という目で見られ話の種にされた。
三年生になった頃には「もうあいつ有名人じゃないしその話飽きたわ」と影で言われるほど、
ナツメは普通の少女の一人として皆の中に埋没していった。
転校した頃は雑誌モデルの美少女ともてはやされたが、今ではイモっぽかった他の少女たちもそれなりに綺麗になってきた。
スレンダーで背が高いと憧れられていたが、いつのまにか何人もの少女がナツメの背を抜いて行った。
事件の日からナツメはコウとは疎遠になった。
コウは先輩に対して行ったような暴力性を益々燃え盛らせ、今では大した理由もなく
「あいつ気に入らないからしめてやって」と仲間に言われただけでリンチを行うようになっていた。
そんなコウだが、今でもキラキラ見える時がたまにあった。それでも今はもう神さんだとは思えなかった。
「ああ、私もコウちゃんもピーク≠ェすぎてしまったんだな」とナツメはぼんやりと思うのだった。
まだ連載中だしハッピーエンドになる可能性もあるんだが、一気読みした今の段階では後味がゲロゲロに悪い。
ナツメは悪い奴ではないんだが厨1男子に期待しすぎだし、
粗暴でも仁義は通してる感じだったコウがいきなりDQNになっててショッキングだった