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里中美子 ◆UIiQ5N7wO6 :
二十閲月の征戦すでに往時と過ぎ、我が連合艦隊は今やその隊務を結了してここに解散する事となれり。
然れども我等海軍軍人の責務は決して之が為に軽減せるものにあらず、
此の戦役の収果を永遠に全くし、尚益々国運の隆昌を扶持せんには、時の平戦を問はず、
先ず外衝に立つべき海軍が常に其の武力を海洋に保全し、一朝緩急に応ずるの覚悟あるを要す。
(中略)
我等戦後の軍人は、深く此等の実例に鑑み、既有の練磨に加ふるに戦役の実験を以てし、
更に将来の進歩を図りて時勢の発展に後れざるを期せざる可らず。
若しそれ常に、聖諭を奉体して、孜々奮励し実力の満を持して放つべき時節を待たば、
こいねがわくば以て永遠に護国の大任を全うする事を得ん。
神明は唯平素の鍛錬に力め戦はずして既に勝てる者に勝利の栄冠を授くると同時に、
一勝に満足して治平に安んずる者より直ちに之を奪ふ。古人曰く勝って兜の緒を締めよと。