)【小説】ZOMBIE ゾンビ そのX【創作】

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180リア厨ー。 ◆OfaKVcaBmU
―僕15―
僕達の主張が折れそうになった時だった。
加藤が突然、立ち上がった。 それと共にしゅんと議論の声が止む。 助太刀をしてくれるのだろうか?
「少し落ち着いて、話を聞いて貰えないでしょうか?」
加藤が指摘した通り、議論は活発になりすぎ、少人数の罵り合いも始まっていた。 皆の目が加藤に注いでいる。
「この議論には関係ありませんが、ここ数日間、外のゾンビ達を観察した結果、推察に過ぎませんが、原因が判ったような気がしました。」
十数秒、皆がざわめいた。
「本当か?」 真田が僕に問いかけた。 正直判らなかった。 この場を借りる、という手は加藤らしい。
「一ヶ月と十数日前のニュース番組を見たでしょうか?」
また皆がざわめく。 一ヶ月前…というと丁度インフルエンザが流行りだした頃だろうか?
「ニュースはタミフルの子供への服用について一色だった様な気がします。」
長谷川が声を上げた。 その通り、と加藤が頷く。
「子供がタミフルを服用すると、幻覚を見て、異常行動を起こすようです。
 中には狂乱し、親を傷つけた子供も居るとか。 キーなのは、ココです。 外のゾンビ達を見る限り、子供のゾンビは多く、更に大人のゾンビは至る所に噛み傷があるが、子供は全く外傷が無い。
勿論、腐敗が進んでいない者を見る限り、ですが。」
「つまり…、何が言いたいんだ?!」
町長が不機嫌な声を上げた。 だがその他の人達は興味がある様だ。
「つまり、タミフルが原因ではないか、と言ってるんです。」
そんな馬鹿な…という声が漏れた。 当然僕も思った。
「タミフルが原因なら、子供達に外傷が殆ど無い事も頷けます。 何故なら子供達は内部からタミフルでゾンビ化したんですから。
また大人に噛み跡が多いのも頷けます。 あくまで仮説ですが。」

集まりは自然消滅し、皆、家路についた。
僕も途方も無い考えに少々、疑いと呆れを感じていたが、だが論自体には間違いは無かった。