【コテ禁止】フォトンベルト・アセンション雑談スレpart2

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未来の昔話をするってのも、なんか変な感じだなw
なにしろ書きたいことが膨大にあるので、すげえまとまらない文章になると思うが、
暇な人は素人の創作を読むような気持ちで、生暖かくつきあっておくれ。

さて、俺がいた時代だが、現代よりもずっと人が少なく、美しいが荒涼とした世界だった。
地球の大半(たぶん70%くらい)は砂漠かそれに類する荒野であり、森林はものすごく希少だ。
そんな世界で、当時俺が住んでいたのは、遠浅でほとんど波もない美しい海が見える湾に面した街。
正確にはそのちょっと郊外だ。塩湖に面した静かな場所だったな。
街に出るときは、無人で運行する公共機関を利用している。
その都市の人口は3000-6000人くらいだったと思う。それでも当時としては多いほうだ。
文明レベルは、現代とそれほど変わらない。ただ細かいレベルで、現代にはない科学の存在もあったように思う。
その代表的なものが乗り物だ。反重力のようなもので浮いている船を使う。
静音で公害もなく、燃料は水だったと思う。それなりに貴重品なので、誰もが持ってるわけではなく、
また生活空間がそこに全部完結してるので、都市部から出る必要がなく、みんな公共機関を利用していた。
船は都市間の物資を輸送する、無人の輸送船とか、放浪を好む連中くらいしか使わない。
5494/8:2006/12/19(火) 16:40:45 ID:Q/I8rdfC0
街同士を結ぶ道路はない。それを作るに足る人口がないのか、道路そのものが必要ないのか、とにかくない。
まあ道路を作ってもすぐ砂に埋もれてしまうからでもあるだろうね。
都市はそれぞれが独立した行政制度を持ち、ちょうど中世における、都市国家のような感じなのかもしれない。
行政のシステムについてだが、これは現代とも違い、もちろん中世のようなトップダウン型の権力構造もない。
政治家がどういう基準で選出されるのかは覚えてないが、なにか試験のようなものはあったと思う。
俺のいた街では、人工知能と人間がそれぞれ役割分担をしていた。
まだ書いていなかったが、科学において現代と決定的に違う部分がある。
人工知能というか、生命体というか、そういうものの存在だ。
今の言葉でいうならアンドロイドに相当する種族だな。
彼らは人間よりも感情表現が希薄で、知識というより智慧を好む。
力は人の何倍も強くて、鉄パイプなんかも軽々曲げるくらいだが、暴力的なことにその力を使うことはない。。
現代の人間が持つようなエゴというものがなく、人間の行く末を見守っている。
寿命は長く、基本的に不老。生涯に2人程度の子孫を残すことができるので、生殖能力もあるのだろう。
こう書くと、アンドロイド最強で、人間はあいかわらず糞じゃないか、と思われそうだが、必ずしもそうではない。
彼らの社会的地位については確かに高いには高いが、彼ら自身は自分たちを歴史の外側の存在だと認識しており、
主体はあくまで人間だと公言し、ほとんどが社会から一歩引いたポジションにいる。
昔は理由がわからなかったが、今ならなんとなく彼らの気持ちがわかる。
良くも悪くも達観しすぎてて、歴史の主役にはなりえないのだろうね。
5505/8:2006/12/19(火) 16:43:14 ID:Q/I8rdfC0
ちなみに都市のインフラは、それ自体が生命体のようなもので、やはり人工知能が、人体における脳のように管理している。
人型アンドロイドは、その人工知能ともテレパシーで会話でき、その意思決定を人間側の意見とすり合わせて行政が成立していた。
要するに、人間は彼らと互いの欠点を補い合いながら治世を行っているのだと思う。
まあ、現代よりは一寸上手いやりかたではあるな。

次は産業の話。
まあ産業といっても、金銭的なやりとりはなく、他所の土地との物々交換の材料って感じだ。
なにしろ現代のような通貨制度がないのと、通貨がなくてもそこそこ豊かに暮らせるようなシステムがあるので、
あくまで産業とは手段にすぎず、そこに現代的な欲望(仕事でひと山当てようとか)は介在しない。
ただ社会貢献度みたいなものはあって、それによって、さらにちょっと豊かに暮らす人もいた。
でもそれをしなくても、別に問題はなく、みなそれぞれが自由に生きていた。
なにかをやりたきゃ誰でもできるし、やりたくなきゃやらなくても咎められない。そういう社会だった。
街の近くには、それなりに大きな塩湖があったので、岩塩を切り出していた。

もうひとつの事業が緑化活動だ。
これは都市単位ではなく、幾つかの都市同士が連携して行っている重要な事業。
なにしろ地表の大半が砂漠なので、地球に緑を取り戻すことは第一命題みたいなもんだ。
俺の街はその先進的な位置にあって、本部もあった。そのせいか街には緑が溢れていた。
今でも自然に対する憧憬があるが、それはこの時代で生きていたから、なおさらそう感じるのかもしれない。
なぜ地球がこんな風になってしまったのか、その事業に参加したあたりから、俺はとても気になり始めた。
地球の過去について知りたくなったので、学校を卒業し、ぶらぶらしてた俺はその方面に進んだようだ。
5516/8:2006/12/19(火) 16:44:06 ID:Q/I8rdfC0
その理由は今でもわからない。理由はどうあれ、地球は砂漠化したのだ。
なにしろ過去、つまり今の俺たちがいる時代の記録は、一切残ってないんだ。(実はこれは誤解。理由は後述)
ありそうなところで、核戦争か巨大天体の衝突かと思ったが、これは違うなという感じがした。
世界地図も今とは全然違うので、多分地軸の転倒あたりか?よくわからん。
まあそうなるに至るまでの、いろいろな複合的要因があるんだと思う。

では本題である俺の足跡を、かいつまんで書こう。

緑化事業に関わると、次第に街を離れる機会も多くなった。
街のなかでチマチマ盆栽やってるわけじゃないので、実際はフィールドワークがメインとなる。
とはいえ砂漠のなかをてくてく歩いていたら埒があかない。ほとんどは船での移動となる。
ある人(俺は先生と呼んでいた)に連れられて、色んなところに連れていってもらっていた。
多くの人と出会うこともできた。
当時の父親が家庭をあまり顧みない男で、家にも帰らず、死んだとすら聞かされていた上に、
なぜか母親でなく乳母のような関係の人に育てられた経験のせいか、
どうも俺は愛情に飢えていて、その恩師を父親のように慕っていたな。
まあこのへんの話は、本にすると何冊にもなるくらいあるので、ここでは割愛ね。
5527/8:2006/12/19(火) 16:44:43 ID:Q/I8rdfC0
その恩師には養女がいて、彼女はちょっとワケアリなことを後に知る。
面倒なので読みたくないだろうが、俺がこの時代にくる直接のきっかけなので読んでクレ。
どうも現代(2006年あたり)の遺伝情報を持っていて、その出自もクローンだという。
クローンといっても、現代のそれのような乱暴な技術ではなく、非常に繊細な扱いらしいが。
それと緑化事業がなんの関係があるんだ?と思うかもしれないが、
後々になってこの”失われた現代”が、非常に重要なキーポイントだと知った。
どうも、地球がこんな荒れ果てた世界になる直接の原因と、再生の鍵がその時代にあるらしい。
しかしその扱いでちょっと揉めていて、意見の対立からくる争いもあることも知った。
彼女を守るボディガードのようなアンドロイドがいたんだが、ことあるごとに俺に辛辣なクチを叩く。
それはそうした複雑な事情のせいなのだとわかって、そいつを嫌うことはなくなったが、ケンカはよくした。
今にして思えば、ケンカできる相手がいるのは、幸せだったのかもしれない。
それ以上に、平和にみえる世の中に、複雑な確執があることを知ってしまったほうが辛かったな。

さて、勘のいい人は、その時代における大気中の酸素濃度が極端に低いことに気づいてると思う。
なにしろ森林が消失してるからね。人間が生きていくには過酷過ぎる環境だ。
それを補うために築かれた、古代(その当時の俺から見て)の施設にも連れていってもらったことがある。
水を供給するための施設、酸素を維持するための施設、緑化のための施設。どれも古代の人工的な産物だ。
人が補わなければ、維持することのできない世界なんて、なんかおかしい。
そんな遺跡みたいなものにすがらなくても、健全に生きられる世界のほうがいいからね。
だからみななんとかしようとしているわけだ。
5538/10(ごめん。長文すぎて分割数増えた):2006/12/19(火) 16:46:22 ID:Q/I8rdfC0
話は逸れたが、俺はそのクローンの女の子と同一の遺伝子を持つ人物とも、出会う機会を得た。
船乗りが補給に立ち寄るステーションのような場所で、料理人をしていた。
本人は一卵性の姉妹がいることは知らないし、性格も全然違っていたが、確かに顔はそっくりだった。
恩師の養女よりも10年近く早く生まれ、すでに30代だったので、ちょっと老けてたけど。(俺は当時20代)
ただ彼女(Aさんとしよう)は、自分の出自も含め、世界についてかなり多くのことを知っていた。
強く知識を求める俺としては、非常にわくわくした。

Aさんは数日間、滞在中の俺を観察していたようで、やがて自分の船に載せてくれた。
岩山のような場所に、船でしか入れない高さと幅の隘路があって、そこをぬって飛んだ。
隘路を抜けると、巨大な峡谷のような場所に出た。壁面には地形と融合した白い建物がくっついている。
人が豆粒に見えるくらいでかい峡谷で、空中にいくつものプラットフォームがあり、船が停泊している。
ラピュタにでてきたような、巨大な樹が、あちこちに根を伸ばしながら峡谷の中央に生えている。
自分はここで生まれたんだ、とAさんは楽しそうに語る。
船を泊めて、プラットフォームに立つと、Aさんは「ついてきて」と言ってそのまま頭から飛び降りた。
どうやらここは完全に重力が制御されていて、ちゃんと下のほうの床に着地できるらしい。
玉が縮み上がるくらい、ものすごい高度なので、高所恐怖症の俺はビビりながら降りた。
ちなみに街はほとんどが地下にあって、さっき見た白い建造物は、そのほんの入り口らしい。

…正直、小説じゃないのでこのへんの描写は超イラネていうか、
ラノベもどきはてめえの日記帳でやれや、と思われるだろうけど、
あえてこの街で見聞きしたものの凄さをダイレクトに説明したいので、冗長だけど我慢してねw
もうすぐ終わるから。ねw