98 :
本当にあった怖い名無し:
幼い頃からずっとこの記憶があり、折に触れてふと思い出す。
ひょっとしたら幼い頃見た夢があまりにも印象的で記憶に残っているだけかもしれないが…。
私はとても美しいところで、気の合う人たちととても仲良く幸せに暮らしている。
争いごとも揉め事もなければ、なんの悩みもなく、毎日が楽しくて楽しくてしょうがない。
あたり一面いい香りが漂い、まさに天国にいるような気分だ。
このままずっとここで暮らしていたい。
でも、さらなる自身の向上のため修行の旅に出なければならない。
その修行の内容は、無数にあるシナリオの中から自分で自由に選ぶことができる。
男がいいか女がいいか、どういう境遇がいいかなど、かなり細かい条件で絞り込むことができる。
より厳しい条件のシナリオを選べば、それだけ自分も向上できるし、
楽なシナリオは、それなりの向上しか望めない。
私はかなりハードなシナリオを選んだ。
そんな私をみんな誇りに思い、称賛し、応援してくれた。
指導者のような人に連れられて旅立つ日、仲間全員が私を心から祝福してくれた。
私は“しばらくお別れだが、立派に成長して帰ってくる”とみんなに誓った。
みんなは私の姿が見えなくなるまで手を振り見送ってくれた。(つづく)
99 :
本当にあった怖い名無し:2006/11/04(土) 23:08:53 ID:EriwQqKk0
道すがら、これから待ち受けている辛い修行のことを考えるととても心が重かった。
「これがこれからキミが生まれていく家庭だ」と指導者に案内される。
両親が生活している様子を上からのぞき込むようにして見ている私がいる。
「それでは健闘を祈ります。くれぐれも途中で投げ出し、自分から戻ってきたりしないように。」と言い残し、
指導者は去って行き、私はひとりポツンと薄暗いところにとり残された。
それからどれほど時間が経っただろう?目も開けられない眩しい光の中に入っていくところでこの記憶は途切れる。
この記憶のポイントは、今送っている人生が例えどんな不遇なものであったとしても、それは自分で選んだものであるということ。
この記憶のせいで私は物心着いた頃(幼稚園入園前くらい)から、
この人生は自分で選んだものなんだから…、と無意識に思っていた。
今でも、辛い人生を送っている人を見ると、あんな人生を選ぶなんて勇気があるなとふと考えることがある。
これは私の妄想だろうか?
幼い子供が見た夢にしては少々込み入っているような気がする。
私と似たような記憶を持つ人はいるだろうか?