2 :
本当にあった怖い名無し:2006/10/23(月) 15:42:26 ID:YuNQW5UvO
2げっつ
きゃぁぁぁ〜
3なんてとったの初めてw
で、リュウジの話、乙でした!リクエストしたもんですw
哀しい話しだなぁ。
哀しいの意味が確かに違ったけどw
過去の話でリュウジが彼女をとんでもないところに連れて行くから
長続きしない・・っていうようなくだりがあって
具体的にどんなエピソードなんだろうとか思ったんでリクしたんですが
全然違ってましたがめっちゃ良かったです!!!
TVで難病の子供の夢をかなえるっていうのがあって
NGOの人等の協力で難病の僕が頑張って電車の車掌さんに一日なるんです、
前日まですごく具合が悪かったですが僕も頑張って
生き生きと電車に乗ってましたが数日後に亡くなったそうです。
その話を思い出して泣けてしまいました。。
リュウジの話はバカ話というか面白い話が多いけど
リュウジ自体は私はシリアスな印象なんですけど・・、皆さんはどうなのかな?
だからリュウジ=バカ話って感じじゃないですね^^
でもまた面白いリュウジの話も待ってます!
前にあったけど銃器の説明とか面白いんでやってもらいたいです。
それがないと私は銃器に詳しくないから
「なんでそんなん持ってるんだ〜ww」
とか笑えないし、イメージも掴めないので、お願いします^^
あ、ごめんなさい、忘れてました。
>>1様、スレ立てありがとうございます^^
すんません、私の説明不足でしたorz
とりあえずは前スレを使い切りましょう。
>>1乙!
とりあえずこっちは保守で、向こう使い切ろう!
前みたいに急に書き込めなくてバタバタすることないから
安心だしな^^
日曜日に鳴子のほうに紅葉を観に行ったけれど、
夕方になってみみずく山の近くでUFOらしきものを目撃。
車に乗っている時で青白い物体でスーッとはるか前方を横切っていった。
近くには田代峠というUFOで有名な所があることを後になって地元の旅館のおばさんから聞き、
その時に初めて背筋が凍った思いをしました。
>>11 怖くなったんだ〜。私が始めてUFOらしき物を見たときは
すごく興奮したけどw
見たのは長野県でした。
最近UFO話もないからまた作者さんにお願いしようかなww
13 :
まとめ人:2006/10/25(水) 16:48:30 ID:aCHThyI/0
シーズン2のまとめサイト作ってます。
ウィキで作成してるんですが、早速どなたかが気付いてくださったようで
百二話以降を更新してくださってました。
ありがとう、助かります〜!
http://www19.atwiki.jp/yamagatasensei/ メニューのほうだけ百二十話まで作成していますので、
暇なので更新してやろうという方がおられましたら作成おねがいします。
誰だかわからないけど、ほんとにありがとう。
感想書き込もうとしたら、ちょうど容量オーバーだったよ。
いよいよ新スレに突入だぁ!
ベトラ君、レギュラー入りなるか???
>>13 まとめ人さん乙です!
完璧!ぴったり収めた!俺天才!
>>1おつです!
まとめ人さんありがとです!!早速活用します!
あとUFOのリクくれた人感謝!
まとめのキャラ紹介、用務員の鈴木さん(生きてる方)巨根ってなってるけど
俺そんな話書いたっけ?
wwwウケたwww
>>16 ウケタww
いやでも、鈴木さんはすごくなかったっけ?最近出てないけど
影ながらみんなの為に頑張ってくれてるんだろうなぁ^^
あ、違うわ、死んでる方の鈴木さんがすごいんだっけ??
シーズン2に突入し、スレもパート5まできて本当すごいw
これからも楽しみにしてます!!
とりあえず日本ハムですか。野球は全然分からないのですが、ファンの
方々おめでとうございます。えー相手は…中日…ですか?いや野球は
本当、一般常識以下の知識しかないんで…。負けた方のファンの方は
残念でした。
あの、プロ野球っていうのはやっぱり、企業の宣伝媒体というか、
広報として機能しているわけですよね?一種の広告費としてかなりの
お金を使っていらっしゃる。
日本ハム、結構です。ファイターズですか。いいじゃないですか。優勝。
頑張った。ファイターズはいいです。ただ、日本ハム。商品はいいです。
伊藤ハム。プリマハム。丸大。大手ハムソーセージメーカーと比べても
商品は大変いい。シャウエッセン。茹でてよし焼いてよし。美味い。
ただし。ハムリンズ。あれ。何よ。可愛くない。かつ安易。もうちょっと工夫
が必要。耳がハム。耳がソーセージ。ヘッドホン型チャーシュー。
頭にアスパラのベーコン巻き突き刺してるだけってあり得ない。日本ハムが
あんな頑張ったんだ。ちゃんとしろハムリンズ。
ところで、某出版社主催の小説賞向けの作品が完成したのはいいのですが、
誤字や文法的におかしい部分の見直しに本一冊読む分だけの時間が必要な
上、印刷をしなければならないのです。(280枚分)
(書くのはいいけど読み直しは苦痛でしかない…自分で内容全部知ってんだ
もんな…しかも丁寧に読み返さないとならないし…。ワープロ原稿が許される
ようになってから誤変換が多いらしいです。作品の質はともかく、少なくとも、
誤字、脱字は絶対あってはならないと思うのです。投稿者の姿勢として。きちん
と気をつければ直せる部分なわけですから)
そんなわけで、今日、もしかしたら明日もちょっとお休み頂きます。
よろしくお願いします。急ですいません。昨日お知らせしておくの忘れました。
了解です^^
近所だったら手伝いに(単に読みたいだけともいう)行きたいくらいですよ。
21 :
11:2006/10/27(金) 01:26:37 ID:qltdl/3Z0
トホホ・・・予想はしてたけれど、誰も信じてくれないね。。
疲労困パイである。面白くはあるがネタは分かってるからな…。
集中せんといかんから音楽とか聴きながらもできないし。
やっと半分読んだかな…。時間に余裕があれば3回は読み返し
するんだけど本当に苦痛だ。直す場所が結構あればいいんだけど、
さすがにライブじゃなくてゆっくり書いてるからあんまり誤字はない。
(パソコン原稿を作りなれて来たというのもある)
それにATOKはやはり優秀だ。IMEとは全く違う。誤変換率が。前後の
文脈で適切に変換してくれる。だから余計読み返しは退屈なのだ。
それでも『始めて』『始めて』とか、微妙な誤変換というか誤用みたいな
部分に気を使う。間違っているわけではないが例えば『気遣い』、『気使い』
などもそうだ。『気使い』とはあまり書かない。ただ『気を使う』という時には
『気を遣う』とは余り言わない。『気使い』なんていうとなんかドラゴンボール
みたいな、気孔師みたいな、そんな感じだけど。
あと『同士』と『同志』とかね。ほとんどニュアンス?みたいな。
>>20 アシスタントしてー料理何でも作るからー。ただし徹夜です(笑)
>>21 信じてるよ!俺は見たことないから羨ましい。ただ亀っぽいからレスしにくくて…。
ただ、私としては『みみずく山』という異様にカワイイ名前にビンビンきてしまって
勃起。(嘘) 田代峠と聞いて、覗きの神様の神社があるのかなって思ったり。(嘘)
何県の話かなーなんて思って時間空いたら検索しようと思ってたぐらい。クルマで
行けそうなら行ってみたい。UFOの名所。とりあえず、心霊スポットと、幾つかの
古戦場やら城跡みたいな所と、カッパが出る川ってのは行った事あるんだ。でも
UFOの名所だけはなくて。見れなくてもいいから行くだけ行きたいんだよね。そういう
所。これでもオカルト板住民ですから(笑)
24 :
11:2006/10/27(金) 07:51:11 ID:qltdl/3Z0
>>21 面白いレスアリガト。┏○ペコリ
田代峠自体は車で通れる田代林道があります。
自衛隊機が遭難したという碑もこの林道のうち。
実はそれとは別に田代峠にはもうひとつ、旧道というのがある。
手元にある平成になってから発行された地図には載っていません。
多分、国土地理院の地図でも消えていると思います。
山形側から行けるけれど付近は笹に覆われて分かり難いと思う。
車で行ける田代林道とは違って、旧道のほうは笹に覆われて廃道に近い状態の上、
クルマやバイクでは通れません。
かつてUFO調査隊が訪れた時に謎の老婆が現れたという現場は、
赤倉温泉側からこの峠道に入った峠の頂より手前の地点。
興味半分で行くと遭難する可能性も高いから、
冗談半分でも行かないほうがいい場所です。
25 :
12:2006/10/27(金) 08:59:31 ID:fY4IUCH80
>>11さん、いや、私は信じてるよ。レスもしたし^^
実際それらしきものも見ことあるし。
>>24地図から消えた道ってなんか怖いね・・。自宅近くにもそういう道が
あるんだけど(普通の道)なんで消えたんか謎・・。
でも、その田代峠の旧道はなんかありそうだね。
>作者さん
きちんとリクする前にすでに書いてもらっててありがとうございます!
面白かった〜。なんかベトラ君の淡々としていて変なあたりが
宇宙人ぽくて面白かった。いや、宇宙人にあったことはないけど・・。
また、いいネタがあったらリクしますね!
乙でした!
>>25 ベトラが男版サヨリにならないように気をつけないとね…。
どっちも全く新しいキャラクターだから…。
リクありがとう。またよろしく。
地図にない道ってのがミステリアスでそんな話が書きたいけど
どうすれば面白くなるかなぁ…なんて考えながらやってると誤字
見逃すんだよな…^^;
スペルチェックみたいのはあるんだから誤字自動検索するソフト
というか機能つけてくれ…>一太郎
文法が変なところも今回多いな…。
『…とはいえ彼がやったとははっきりと断言はできないのだが、
彼にはそう思われて仕方ないのだが、どう調べてもその証拠は
得ることができず、困りあぐねていたのだが…』
みたいな…もう…。〜だが〜だが〜だが、みたいな(笑) 相当
眠かったんだろう(苦笑)
>>24 東北…?自衛隊機が落っこったって何か聞いたことある。
雫石の?ってか自衛隊機って割りと落ちてるよな…。
田代峠で検索したけどよく分からなかった。UFOの目撃談って
なんで北に集中するんだろう。
北海道ってよく出るでしょ?でも沖縄でUFOってあんまり聞かない。
米軍がいるからかな。←多分関係ない。
でも東北にも三沢があるし…。プラズマでも何でもいいから不思議な
飛行物体見たい!なんか綺麗そう!
今朝ご飯食べてんだけどさ。目玉焼き作ったんだ。でさ、しょうゆ派、
ソース派っているでしょ。目玉焼きに。俺絶対、塩なんだけど。
議論に参加させてよ。塩派いないの?うまいよ。塩。
>>27 誰ものってこない…
作者さんカワイソス(´・ω・`)
俺、基本、塩派ですよ。ごはんのおかずの時は目玉焼きは醤油ですね。
>>28 あ、いや、多分俺いつも一人で喋ってるからみんな分かって
るんだと思う…(笑) 単に過疎ってきてるんじゃないかな。何と
なく勘だけど、読んでる人少しずつ減ってると思うよ。前みたいに
滅茶苦茶な方が好きだった人の方が多いんだと思う。
単にばーっとユウジロウが滅茶苦茶やって全裸になってお化け
出ておしまいみたいな。だんだんストーリー重視になってきてる
からな。。。
飽きてしまった人も多いのだと思うよ。逆にリュウジとか出てきた
ことでエロ分なくなったり、キャラクターの個性っていうのかな。
そういうのが出てきて嫌になる人もいるのではと。何だろう。作品
自体が馴れ合ってるっていうの?そういう。
今日も書かないよみたいなこと書いたし。見てる人もいないんじゃ
ない?それに書いたの今朝だし。
みんなお仕事なさってる方はまだ帰ってきてないでしょう。金曜日
だしさ。気にしないで。可哀想じゃないよ。ありがとう^^
えー散々しといて何ですが、雑談しちゃってすいませんでした。
スレ違いですね。雑談スレあるのに…。
とりあえず、書けそうなので、投下します。
(ってか同情されてふと思ったけど…引き時、考えたほうがいいの
かなぁ…。合いの手も感想もシーズン2になってから多分減ってる
よね…。ROMでも読者さんがいればいいんだけど確認のしようが
ないね…)
徹夜でちゃんとした文体の長編を読み込んでいたので、いつもと
雰囲気違ったらごめんなさい。
さてここらで怖い話でもするか。
草壁アヤは見知らぬ町を歩いていた。彼女は中学卒業後、大手芸能
プロダクション、モンロービルプロモーションからのデビューが決定している。
つづく
ノシ
それまで、歌やらダンスやら演技などの練習を日々こなしているのだが、
いつものダンスの講師が交通事故で骨を折ってしまい、急遽別のダンス
スタジオで練習することになった。
全てモンロービルプロモーションからの指示で動いているので、彼女が
そこを選んだわけではなく、ただ、今日はそこに行って練習しなさいという
ファックスが送られてきた。
地図に印がつけられている。駅から近いのが救いである。厳しい先生だったら
少しいやだなあと思いつつ、アヤは印に向かって歩く。
フランクミュラーの時計を見ると午後十二時前だった。レッスンは十二時半から
なので少し早い。
薬局のすぐ隣にコンビニエンスストアがあり、そのコンビニエンスストアの入って
いるビルの三階がダンススタジオだった。
『ここかな…あれ?』
不思議なことに気付く。地図では、薬局とコンビニエンスストアはぴったりと隣
合っているはずなのに、見ると間に細い道がある。
つづく
ありゃ
>>28はそんなに深い意味で書いたわけじゃないんだが…深く考えさせてしまったみたいで、申し訳ないっす。m(__)m
>前みたいに無茶苦茶… 俺は今の感じ好きですよ〜。キャラもナイスキャラばかりですし、なによりこのスレ覗くのはライフワークなんでまだまだ作者さんにがんばっていただきたいですね。
これからどんどん寒くなるので、お体に気をつけてください。本業の方も応援しとります。
長々失礼しましたm(__)m
空き地か駐車場か何かであれば、新しく道を作ったのかと思う
ばかりだろうが、まさか建物をずらしてまで道は作るまい。
地図は手書きのものではなく、ちゃんと出版されている精密な地図だ。
こんなこともあるのかと興味を惹かれて、少し時間もあるし、奥に何が
あるか入ってみようという気になった。
地面を見るが、最近になって舗装されたような新しい感じでもない。
また隣の薬局も、コンビニエンスストアの入っているビルも同様に新しい
ふうでもない。
地図にない道をアヤは引き込まれるように進んだ。
比較的賑やかな駅前の通りから一本入ったその路地は、人気のない
静かな住宅地だった。様々な色の屋根の家屋が並んでいるが、新興
住宅地ではなく、いずれの建物も、恐らくアヤが生まれるより前に建て
られたものであろうことは分かる。
どこか、懐かしいような風景だった。子供の頃はよくこんな住宅街で
遊んだ。
つづく
それにしても閑散としていて、昼時だというのに、料理の匂いが
漂ってくるようなこともない。
誰もいない。
ただ似たような家屋が並んでいる。一軒ぐらい建て直すか改築
するかして、新しそうな建物が一軒ぐらいあってもいいのに、それ
もない。
面白くもないので戻って、コンビニエンスストアで雑誌でも物色
しようかとまっすぐ来た道をそのまままっすぐ戻ったが、道に
迷ってしまった。
どこまでも住宅地が続いている。
似たような建物ばかりなので、何だか一度来た道にまた戻っている
ような、また違う場所に出てしまったような、不思議な感覚に襲われた。
地図を見るが、そもそも地図に存在しない道を歩いてきたのだから、
それがどの道と接続して、今自分がどこにいるのかなど分かるはずも
ない。
つづく
人に尋ねるのが早いが誰もいない。わざわざ家に押しかけて
聞くのも気が引ける。
しばらく歩いていると、ぼさぼさとひげを生やしたホームレス風の
男が地面に座ってじっとしていた。
何となく、話しかけづらく、他に誰かいないかとうろうろ探し回って
いると、どこか一周してしまったらしく、またそのホームレス風の
男が同じ恰好で座っている。
「あれ…」
思わず小さく口に出して、今度は彼の前を素通りして、そのまま
直進したが、二、三分歩くとまた同じ男がいる。
わけも分からず、時計を見るが電池が切れたか止まっていて、
携帯電話を取り出すも液晶画面は消えていて、何度電源を
入れようとしても無駄だった。
そろそろいい時間である。早く戻らなければ。いつもの先生ならば
いいが、初めてでいきなり遅刻は相手にいい印象も与えまい。
仕方なくアヤはホームレス風の男に声をかけた。
「あの、すいません」
つづく
「…道だろ?」
「え?」
「道の話だろ?」
「あ、はい…」
そうか。やはり何かこの住宅街は独特な造りになっていて、よく
人が迷うのか。アヤはそう思った。
「…出れねぇよ…」
「…はい?」
「薬局とコンビニの間から入って来たろ。お嬢ちゃん地元の人間?」
「…あ、いえ、初めてで…」
「じゃあ運が悪かったね。ここからは、もう出れねぇよ」
意味が分からなかった。男は何か疲れた様子で溜息一つついて立ち
上がると、突然逃げるようにダッシュして、やがて見えなくなった。と、
今度は背後からドタドタと音が聞こえて、正反対の方向から男が走って
やって来る。
つづく
回り込んで来るには速すぎる。まっすぐな道を走って、背中が
見えなくなったと思ったらもう遠く背後に見えた。
男は息を切らしながら背をコンクリートの壁に押し付けて、
そのままずるずると地面に座り込んだ。
「閉じてんだ。デカい球の上にいるようなもんだ」
「…球…」
「あっちに行けばこっちから出てくる。こっちに行けばあっちから出てくる」
「え…じゃあ…」
「出れない。俺はもう10年。ここにいる」
「!」
余りに現実離れした話でついていけない。すると男が言う。
「やめなやめな。どうせお嬢ちゃん、次にするのは、一軒一軒家回って、ピンポン
押して、ここが何処か、聞こうってんだろ。誰も出てこねぇよ。次は無理矢理にでも
ドアを開けようとする。開かねぇよ。次はもうヤケクソだ。窓割ろうとする。みぃんな
同じだ。でも、どうやっても、どの家の窓もドアも、傷一つつけらんねぇ」
つづく
「もう面倒臭ぇから、全部言うぞ。いいかいお嬢ちゃん。俺は十年ここに
いる。色んな奴が来たよ。みぃんなすること、聞くこと一緒だ。まずさっき
言ったことだ。家はあるけど、住んでる奴ぁいねぇ。入ることもできねぇ。
次。携帯電話ってやつもだめだ。電気が入らなくなる。それから飯の心配
だろ?大丈夫。ここでは腹が空かねぇ。時間もねぇ。季節も。暑くも、寒くも
ねぇ。お嬢ちゃんの恰好からすると、『外』は今冬か…?暑いだろ。その恰好
じゃ。
夜もねぇ。ずっと昼間だ。
あと女は便所の心配かなぁ。したくもならねぇよ。何も食ってねぇんだから。
生理もねぇから楽だぜ」
ゆっくり男は説明すると下品に笑った。アヤは男のぼさぼさと生えたひげを
じっと見ていた。
「これはこっちに来てから生えたんじゃねぇ。元々だ。服がボロボロなのは、
家のドアに体当たりしたり、やけになって地面転がりまわったり、色々やった
からだ…。おとなしくしてりゃ汚れることもねぇよ…。
あと何か、決まって飲まなきゃいけない薬とかはあるか?そんなのも必要
ねぇよ。病気にもならねぇ。バイキンっていうのか。そういうのも止まっちまうの
かなぁ。ただ、歳だけは取る…。時間はねぇのに、歳だけは取るんだ…。これは
十年かかってやっと気付いた最新情報…ははは」
乾いた皮肉っぽい笑い声を出すと男は黙った。
つづく
「…色んな人が来たっていうけど…その人たちは…?」
「みぃんなおっちんだ。自殺しちまったよ。死ぬと、何処に
行くんだか、消えちまう。ここでできることは二つしかねぇ。
死ぬか、寝るか。どっちかだ。寝れば夢が見れる。小さい
テレビ持ってた奴もいたが、テレビもラジオも、全部ダメに
なっちゃうからな」
そんな状況でなんでこの男は生きているのだろうとアヤは思った。
いつか出られると信じているのだろうか。
男の話ぶりから、信じないわけでもなかったが、アヤは一通りの
ことはやってみた。
彼の言うことは正しかった。どの家のドアも開かず、窓も開かない。
ただ窓から覗くその屋内はごく普通の台所であったり、居間だったり
する。ただし、人はいない。
すぐ快適に生活できるような設備があるのに誰も住んでおらず、また
入ることもできない。
彼は信頼できる人物だろうか。寝込みを襲われはしないか。しかし幾ら
心配してもこの閉じた世界では逃げようがない。
つづく
(´・ω・`)どうなっちゃうの…
とりあえず目の届くところで確かめるだけ確かめてみるかと、
アヤは敢えて彼の近くの地面に座り込んで、膝を立てて、
両膝の間に顔を埋めた。
髪がすだれのように彼女の横顔を隠したが、彼女はその間から
横目で男の行動を見張った。
彼はうつむいて、起きているのか寝ているのか分からない。
何分経ったか。時間がないらしいので何分という概念もないのだろうが、
体感の時間はある。男は、
「…お嬢ちゃん…」
と確かに言った。こちらが寝たかどうか確認しているのか、返事をしないでも
起こすわけでもなくしばらくまた黙っている。
男はやおら立ち上がるとポケットから折りたたみ式のナイフを取り出した。
なるほど。そういうことか。
「…おじさん。見えてるよ…。どういうこと?」
「…起きてんのか…まぁいいや…」
つづく
「…殺してやるんだよ。感謝してほしいね。『外』に出る方法はそれしか
ねぇんだ…」
「そんなの頼んでない!」
「頼まれてなくてもヤるんだよ!」
アヤは立ち上がって、ナイフの男と対峙した。
「みんな自殺したって、嘘でしょ?」
「そうだ。俺が殺した。ここは俺の世界だ。俺が作った理想郷だ!暑くもない。
寒くもない。腹も減らない。ただ俺が望んだ人間だけがノコノコ入ってくる…。
それを俺は殺す。それだけの世界だ!安心しな…殺すだけだ…犯したりは
しねぇ…」
「くくく…えへへ…あは…あははははは…!」
突然狂ったように笑い出したアヤに男は狼狽した様子を見せた。
「…何だ?怖くなって狂っちまったのか…?」
つづく
「あははは…違ぇよおっさん…ここはあんただけの理想郷じゃない…
あたしの理想郷だ…」
上目遣いで、男を睨み付けるようにしてアヤは言った。
「…あぁ?」
「…この世界、あたしにちょうだい…」
「何言ってんだ…?」
「おっさん殺して、ここはあたしがもらう…。あたしもあんたと同じだよ。たった
二人しかヤったことないけどね。ダチにも言えないことだけどさ。あはははは。
一人はさ、動けないように縛り付けてね、全身にガビョウ刺したんだ。びっしり。
顔もだよ。どうなったと思う?全身キンピカ人間になったよ。でも生きてる…。
そんなんじゃ死なない…。そういうの大好き」
「…ど…どうやって殺したんだよ…」
「知らないよ。全身ガビョウだらけにしてさ、ほっといたら死んだ。二週間ぐらいで」
「もう一人は…」
つづく
「肌の綺麗な女の子でね。直接身体に刺繍してやったの。
すっげぇ痛がったけど。楽しかったよ。あとタバスコってあるじゃん?
あれ、ポタポタ出るから目薬にしてやったりね。ギャーギャー言ってた。
うるせぇからさ、テレビ見ながら髪の毛一本ずつ抜いてやったの。
ツルッパゲになるまで。時間かかったなぁ。
あと口の中と、ほっぺにホチキスしたりね。フランケンみたいになんだよ。
すっげぇ楽しい。そういうこともっとやりたいからさ。ここちょうだい!」
「…そんなことする道具ねぇよここには…」
「道具なんかどうにでもなるじゃん。フデ箱持ってるし。カッターとかハサミも
あるよ。あとソーイングセットもある。色々できるじゃん。まずおっさん、あんた
だ。あ!ベロ。ベロにホッチキスする?それともベロの先爪切りで、ちょこっと
切ってみようか?結構血って出るのかな?あはははははは」
草壁アヤの誰も知らない狂気である。彼女は求めていたのだ。求めたから
こそ、この世界へ参入することを許されたのだ。
「…世代交代だおっさん。十年楽しんだんだろ?次はあたしの番…あはっ。
楽しい!」
つづく
「ふざけるな!ここは俺の世界だ!俺が創ったんだ!」
「誰が創ったっていいよ。よこせっつってんだオッサン」
言いながらバッグからハサミとカッターナイフをアヤは取り出した。
ハサミをしゃきしゃきいわせ恍惚の表情を浮かべて天を仰ぐと、
彼女は自分の野望に涙した。
「鼻の穴と鼻の穴の間の壁、ちょん切ってみようよ…」
「狂ってる!出て行け!俺の世界だ!お前は出て行け!出て行け!!」
ずるりと世界が滑って、気付けば薬局とコンビニエンスストアの間の壁に
向かって草壁アヤは立っていた。ハサミとカッターナイフを持っている。
時計を見るとちょうど十二時頃だった。彼女はいそいそとハサミとナイフを
バッグにしまい、あたしの演技もそこそこいけるようになったもんだと喜んで
コンビニエンスストアへ入っていった。
終
なんかジョジョみたいだな…町全体がスタンド、みたいな。
ところで今日オカ板動かねぇな…あれかテレビでデスノート
やってるからか。早いよなぁ、こないだTUTAYAでまだ新作
扱いだったのに。劇場公開→地上波の最短記録じゃないか?
ずっと前WOWOWで全編流してから劇場公開した馬鹿な映画が
あったけど(笑)
アヤ怖かったよ。
グロ描写注意って書いとかなきゃ恐いじゃん。
デスノートやってたんだ、忘れてた。
途中から見るの嫌いだから、もう寝ちゃお。
>>49 勢いで書いてるのであらかじめ予告できないのです…
すまんです…>不快な思いをされた方々
グロ大好き。
デスノは確かに早すぎ…
>>51 お楽しみ頂けましたか?実は、明かすと山形先生のネタ絞る時って
オカルト板の他のスレを参考にすることがあったり、とにかくせっかく
『オカルト板』なので、すべからくオカルト全体を包括できる作品に
なったらなぁ、と思うのです。
私なんかは一番好きなのは心霊系の稲川さんの怪談や心霊写真
みたいな、オカルトといえばそれが一番なんですけど、他にも超能力や
UFO、魔術、妖怪、UMA、都市伝説、色々ありますよね。そうすると
どうしてもグロ、純粋なスプラッタホラー的なもの、というのも避けられなく
なるんですね。
先に予告できればいいんですけど、本当にぶっつけでやっちゃう場合も
あるんで…。直前になれば当然頭にはあるんですけど、本文と本文の
間に『この後グロくなります』って書くのも何かネタバレというか、何かねぇ。
変じゃないですか。ホラー映画なら『この後大きい音出ます』とか字幕
出すみたいなもんですから。
でも生理的にダメな人も、いるでしょうから、書き手としては気をつけないと
いけないですよね。
合いの手、感想、ありがとうでした^^
53 :
本当にあった怖い名無し:2006/10/28(土) 11:13:24 ID:68p48c0wO
一気に一話から全部読んじゃった!
ほんとにおもしろくて常に新作が気になる〜
サヨリがカエルのように這いつくばって…ってとこなんか声出して笑っちゃったよ
これからも期待してます!
>>53 ありがとうございます。これからもよかったら是非
よろしくお願いします^^
メール欄に『sage』と入れて頂けるとありがたいです。別に
メルアドが公開される罠などはないので御安心下さい(笑)
御面倒おかけしますが掲示板の性質上、どうぞよろしくm(__)m
>>53 もちつけ!まずsageだ!
同士よ歓迎するぞww
さてここらで変な話でもするか。
埼玉県奥秩父の山深い森の中に山形ユウジロウはいた。
あばら屋といっても差し支えのない古寺。そこが目的地である。
つづく
久々ユウジロウキタ―――(゚∀゚)―――!!
鎮満寺。山門にはそうあった。祭壇もない本堂に、和尚が一人、背を
向けて座っていた。
「…ユウジロウか…」
「お久しぶりです。和尚」
珍々和尚。山形ユウジロウとは切っても切れない関係にある僧侶である。
「…何用かな?」
「技を見せて頂こうかと思いまして」
「技…。『行』、だ…」
肌のつやはいいが、恐らくもう八十近い高齢である。他に坊主もおらず、和尚
一人、この寺にこもっているようだが、余りに貧相で貧しい。
広々とした本堂には仏像の一つもなく、ただ、空気で膨らませるタイプのダッチ
ワイフが遠く、転がっている。
「さて、ユウジロウ。本尊様があそこにおられる。如何とすればよいか?」
どうもそのダッチワイフが『本尊様』らしい。
つづく
「…服を脱ぎ、近づいて、挑みかかります」
「否!」
和尚が立ち上がると全裸であった。今までは袈裟を来た、僧侶の
装束だったはずだが。
「!?全裸!」
「初めから何も来ておらぬ…。お前に袈裟が見えていただけだ…」
全裸の和尚が気合を入れると、突然イチモツがむっくりと起き上がり、
若々しいその先端からたちまち精液がほとばしった。
しかし精液は床に垂れ落ちることもなく、十メートル近く離れている
ダッチワイフの足と足の間の穴、オナホールに一滴残らず飛び込んで
いった。
「…なんと!」
「今のでおよそ半分…」
「半分!」
つづく
「通常、一度の射精で放出される精子の数は三億個…。今
出したのはそのうちの役半分。半分はまだキンタマに残っておる」
「…そんなことが…」
手も使わずに射精し、更に精液を十メートル性格に飛ばし、更に精子の
数さえコントロールする。さすがのユウジロウにもできない芸当である。
手を使わない射精は不可能ではない。実際に、夢精というものがある。
寝ている間に自然に射精してしまう現象。
和尚は瞬時に自己催眠の状態に入り、夢幻の中で射精を果たしたのだ。
しかし後のことはとても説明できない。どんな修練を積んだのかさえ謎だ。
「…目には見えん。精子を一粒ずつ出すこともできる」
「一粒ずつ!」
「もしもキンタマに三億の精子がおれば、日に三億回の射精ができる。そして
それを今のように飛ばし、確実に相手を妊娠させることも不可能ではない」
つづく
恐るべし和尚。日に三億度の射精。更にその一度の射精で女を一人、
確実に孕ませることができるという。
彼一人で、一日で三億人の子が作れるということだ。
「奥義!『精子一粒』、『必着床』!」
三億連発の男。それが鎮満寺住職、珍々和尚である。技もすごいが
名前もすごい。
ユウジロウが珍々和尚を訊ねるのは十何年ぶりだ。そろそろ勝てるかと
挑むつもりで来たが、その十何年で衰えを見せているかと思われた
和尚は更なる進化を遂げていた。
それも超絶な進化である。
「ユウジロウよ…心が乱れておる…。勝つつもりで来たか…」
「…まさに…しかし驚くべき『行』の数々…。参りました…是非、『行』の数々
御伝授下さい!」
土下座をして頼み込んでいるが、そんなに羨ましいことなのだろうか。
「矜高居傲(キョウコウキョゴウ)は、客気にあらざるはなし。客気を降伏し得下して、
後に正気伸ぶ。情欲意識は、ことごとく妄心に属す。妄心を消殺し得尽くして、後に
真心現わる」
つづく
「…どういう意味ですか?」
「思い上がりを捨て去り、謙虚に自分を見つめてこそ、本来の
自信が出てくる。堅苦しい常識を捨て虚心になって初めて、真の
心をつかめる、ということだ…。ユウジロウ。お前からは驕りが
見える…」
見抜かれてユウジロウは反省した。
「…御教授下さい!」
「うむ。たまには下界に降りてみるか…」
和尚全裸で下山。真昼間である。更にそのままバスに揺られ、
電車に乗る。イチモツが揺れているが、誰も何も言ってこない。
改札で止められもしなかった。
恐らくは、寺を訪れた際、ユウジロウには袈裟が見えた。そのような
何か技があるのだろう。
電車に合わせて巨根がぶらんぶらんと揺れ、腿に当たってぺちんぺちんと
音を立てるがやはり気にする者はない。チンコをぺちぺちいわせながら和尚は
言った。
「ユウジロウ。そなたは不射の射、不触の触を知らぬ」
つづく
哲学めいた小難しいことを言うが、全裸の老人である。
「こんな物語がある。ある弓の名人がいた。百歩も離れた柳の葉に
百発百中の腕前だ。そこに弟子が入った。
修練を積み、弟子の実力はその師匠を凌ぐほどとなり、その師匠の
力量を更に上回るとされる老師の元に出向いた。
そして、己の技を見てもらおうと天高く舞う五羽の鳥を見事、射落とした。
ところが老師曰く、それは『射の射』だと言う。そして老師は弓も持たず
矢もつがえず、ただ弓を放つような真似をして見せた。するとどうだろう。
空からまるで矢に射られたかのように鳶が落ちてきた。
これが、『不射の射』だ」
話は分かったがそれとセックスがどう結びつくのか。
「羞恥の心を捨て、平常で堂々と望めば、それが自然となる。自然とは
即ち木や草に同じ。当たり前の存在となることで己を無とする。
更に無の境地とは、己を無にすることにあらず。己でないものを無くす。
全てが己と化し、己の届かぬものはなくなる」
「…申し訳ありません。意味が分からないです…」
つづく
やべぇ、秩父に鎮満寺探しに行きたくなってきた
「こういうことだよ。ユウジロウ」
次の瞬間電車に乗り合わせていた女達の息遣いが荒くなったかと
思うと、全員があんあんと喘ぎ声をあげよがり出した。
男は男で苦しげにしたと思えば精液をほとばしらせ、中には快感の
余り小便を漏らす者もいる。
「全ては己。人が求めるものが、己が求めるが如く全て分かる。
そして触らずとも、性感を自在に操れるようになる」
「あぁっ何なの…気持ちいいっ!」
「もっと…もっとぉ…」
「あんっ!からだが…からだが勝手に…!」
やがて女達はオーガズムに達し、次々と腰砕けに倒れた。同時に
電車は終点に到着する。
降りてきたのは珍々和尚とユウジロウの二人だけである。その車両だけ
かと思えば、八両全ての客車の男女が動けないほどの快楽を味わって
いたのだ。
不思議に思い車内を覗き込んだ駅員が、呻いている乗客たちを見て
てっきりテロ事件か何かかと思い込んで騒いでいる。
つづく
ユウジロウは完敗した。そしてその上で感動を覚えた。
その極意を学びたい。真剣にそう思った。
「和尚!まず何をすべきですか!」
「全裸になることだ。全裸が自然とならば、道は開かれる。
後は応用みたいなものだ」
早速ユウジロウは全裸になった。
捕まった。
「未熟者め」
珍々和尚は穏やかに笑いながら帰りの電車に乗り込んだ。
果たしてこの珍々和尚とは何者なのか。
鎮満寺住職。珍々和尚。七十九歳。
本名、山形ゲンタロウ。ツネコの父。ユウジロウの祖父である。
終
>捕まった
クソワロタw
また強烈なキャラが現れたね。しかも珍々。
さらに鎮満寺。脱帽wwwwww
すげぇwwwww
和尚カコイイ!(・∀・*)
さてここらで怖い話でもするか。
リャウドヌゥスルヴィェットラゥトゥル。敢えて文字で書けばそうなるが、
日本語の発音では表記しきれない部分もある。彼は宇宙人である。
つづく
既に、光り輝くメリーゴーラウンドのようだと、岡崎リョウコに確認されて
しまっているので、既に未確認飛行物体ではないのだが、彼の乗る
UFOは的場リュウジによって狙撃され、完全に故障し、自身の星へ
帰れなくなった。
彼は、野球のボール大の金属の球体に、自分の星で使われている言葉で
何やらメッセージを吹き込むと、それを天高く放り投げた。
それは落ちてくることがなかった。
電波や光による通信だと、速度に限界があり、惑星間同士の通信には
不向きである。一光年離れただけで、一年かかる。
よって、何か連絡がある場合は、例の金属ボールにメッセージを吹き込み、
宛先を入力して放り投げると、ワープの様な作用で一瞬にして送り先に
届く仕組みになっているらしい。
手紙のようなものだ。原始的だが彼の星の技術では、惑星間の連絡に
関してはそれが限界なのだそうだ。
無論彼のUFOもそのような機能を持っていて、一瞬で地球と他の星に
行き来できる。
しばらく待っていると、すとんと金属ボールが帰ってきた。返事らしい。
「…修理、来てくれるけどちょっと時間かかるみたい…」
つづく
両親と同居しているのでまさかいきなり泊めることもできず、
困っていると、リャウドヌゥスルヴィェットラゥトゥル、通称ベトラは
何を困っているのか聞いてきた。
彼は日本の風習や習慣を余り知らない。だからリョウコは丁寧に
説明してやった。
通常、出会ったばかりの異性をいきなり自分の家に泊めたりする
ことは難しいことだと。
ベトラは了解して、とりあえず自分のUFOの中で泊まることになった。
運良く、姿をカモフラージュし、完全に消え去る機能に関しては無事
だった。ベトラが円盤にはいると、円盤は霞のように消え、どういう仕組みか
そこにあるはずなのに触ることすらできない。
ただ風景に溶け込んで見えないだけではなく、その場から完全に消えて
しまうらしい。
もう夜になっている。ふと気付けば一人。冷たい風が頬を撫でた。ブランコの
金具が寂しく鳴いている。
急に心細くなって、彼の名を呼ぶと、たちまち円盤が現れ彼が出てきた。
「呼んだ?」
「あ、いや、別に…えへへ…」
なんだ声は聞こえるのか。触れもしないから、こちらの声も届かないものだと
思った。彼女は安心して、家に戻ると、何となく彼のことを考えながら、勉強した。
つづく
翌日、放課後に公園に行くと、やはり誰もいなかった。
「ベトラ?」
円盤が現れて彼が降りてくる。何度見ても慣れない。不思議な
光景だ。
「大丈夫だった?」
「…寝にくい…」
UFOといっても小型のもので、それなり大きく見えるが中は色々な
装置が詰まっていて、人がいるスペースなど猫の額程度のもので、
言うなれば、軽乗用車の中で寝るようなもののようだ。
そもそもワープ機能があり、長時間快適に過ごすなどということを
考えて作られていないそうだ。彼の星は『ユニーダ』と言うそうだが、
ユニーダから地球まででさえ、UFOを使えば片道二分程度らしい。
リョウコは思い立った。快適なベッド提供者がいることを思い出した。
霧原トオル。ほとんど両親はいない。いたとしても同性なら何とか
なるかもしれない。
彼女は携帯電話のアドレス帳でトオルの名を探し、電話をしようと
思ったが躊躇した。一応彼女である木下サエにも先に連絡して
おいた方がいいだろう。
つづく
宇宙人と聞いて彼女は飛んできた。
「うおっ!」
いきなりベトラを見るなり声を上げたが、それは彼が余りに
美しいからだ。宇宙人というので彼女はてっきり頭ばかりが
大きくて手足の細い、いわゆるグレイタイプのものを想像
していた。
「どう見ても人間だね」
「…どちら様でござるか?」
「ベトラ、そんな言い方今はしないよ。『どちら様ですか?』」
「どちら様ですか?」
「御丁寧にどうも。木下サエです。そちらはどなた様ですか?」
「…リャウドヌゥスルヴィェットラゥトゥルです」
「リャウドヌゥスルヴィェットラゥトゥルさんね。よろしく!」
「…サエあんたすごいね…」
つづく
木下サエは、耳から入ってきた音をそのまま素直に発音することに
長ける。英語の歌なども、単語の意味も何も分からないが、完璧な
発音で歌いこなし、また実はモノマネが上手かったりする。
通常日本人であれば、英語でも何でも聞き慣れない言葉に接した時は
何とか頭の中で日本語の発音、即ちあくまで『あいうえお』の文字で捉え
ようとする。
しかし彼女は『あいうえお』に捉われず、純粋な『音』として考えるのだ。
「でも言いにくいね。長いし。どこからどこまでが苗字なんですか?」
「苗字…うーん…。リャウドゥが住んでる地域。ゥヌゥが…村?それから
スルヴィが、昔から続く一族の名前で、ェットラゥがお母さんの名前。
トゥルが僕の名前」
「…住所まで名前に入ってるんだ?」
「そう。名前だけ言えば全部分かる。その名前は僕一人だけ」
「へぇ…便利かもね」
「中途半端だけどベトラって呼んでるの」
「ベトラね。分かった。それで、何だっけ?」
つづく
リョウコは事情を話し、サエの彼氏であるトオルの協力を
仰げないかと申し出た。
サエは快諾した。
「ただ霧原、人見知りっつーか…。その辺が心配だけど…」
「やなら全然断っていいからさ」
「聞いてみるね」
電話で尋ねるととりあえず来いと言う。三人は霧原家に向かった。
案の定両親は今日もいないらしい。
意外とまめなトオルは大体時間を見越して、四人分のコーヒーを
沸かしていた。
「ごめんね。霧原君」
「いいですよ」
機嫌がいいのか、いつもより明るい表情だった。理由は分からない。
とにかく何もなくとも機嫌がいい日ぐらい人にはあるだろう。
つづく
「こちら、ベトラさん。本当はリャウドヌゥスルヴィェットラゥトゥルさん」
「…こんにちわ」
「夜は『こんばんわ』だよ」
「…あぁ、こんばんわ」
「こんばんわ」
「…あの、すいません。御迷惑おかけして…」
「全然構わないです。一人で寂しいし」
居間でテレビでも、というのでテレビを見る。ベトラは日本が好きで、色々と
勉強しているらしく、芸能人やテレビ番組、スポーツのこともある程度は
知っていて、タカアンドトシを見た途端
「欧米か!?」
と言った時にはサエは思わず吹き出した。リョウコは余りテレビを見ないので
何のことやら分からなかった。
「すごいね。そんなことまで知ってるんだ?」
「うん。どこが面白いかまでは、まだ分からないけど…。バカ殿が一番面白い」
「あー分かりやすいかもね」
つづく
トオルがコーヒーを持ってくると、ベトラは、コーヒーかどうか
確認した。
「そう。コーヒーです。苦手ですか?」
「ごめんなさい。せっかくだけど、僕たちユニーダ人はコーヒーを
飲むと即死します」
「即死!」
「…ごめん。知らなかったから…」
「いいですいいです。せっかく入れてくれたのに、ごめんなさい。他にも
紅茶を飲むと昏睡して、日本茶を飲むと下痢をします」
「…カフェインが駄目なのかな…」
「何なら飲めますか?お酒とかもありますよ?」
「あー…お水でいいです。あと敬語じゃなくていいです。気を使って下さい」
「そういう時は『気を使わないで下さい』、ね?」
「うん。そう。気を使わないで。普通がいい。僕も普通にしてやっからよ」
「それ乱暴すぎ」
「難しい…」
つづく
「歳、聞いてもいい?」
「十歳」
「じゅ…十歳!」
「あぁ、でも、地球の時間とユニーダの時間違うから。ユニーダ人の寿命
大体四十歳。地球の人はどのぐらい?」
「…八十歳ぐらいかな。だったらちょうど倍にすればいいのかな?だとしたら
ベトラは地球でいう二十歳…で、いいのかな?」
「駄目だ。あたし計算駄目」
「…すごい簡単だと思うけど…」
「霧原は黙っとけ」
「…」
しかし生物学的にはともかく単純に見た目からしても、地球人でいえば二十歳
程度に見える。大人っぽいリョウコとはちょうど同じぐらいか、それより少し、
上ぐらいか。
つづく
ベトラ キテタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
岡崎リョウコは恋愛感情は抜きにして単に美しいものが好きだ。
今机を挟んで正面に二人の美男子が座っている。
トオルはどこか憂愁な、雨のそぼ降る都会の夜景のような、無機質で、
どこが寂しげな美しさがあり、対してベトラは朝もやに包まれた、明るい
木漏れ日の差し込む北欧の森のような、爽やかな美しさがあった。
色でいうならトオルはダーク系でベトラはライト系。どちらも捨てがたく、
味わい深い。
ついつい見惚れているリョウコの横顔をサエはちらりと見た。サエには
そういった審美眼には優れないので、何をじろじろ見ているのかよく
分からなかった。
リョウコは改めて本題を切り出して、こういうわけだから修理が来るまで
ベトラを泊めてやってはもらえないかと頼み、ベトラも頭を下げたが、
ユニーダの習慣にはないのかぎこちのない、どこか違う不自然な頭の
下げ方だった。もっともこれは欧米人などにもいえる。
日本とタイかどこかを勘違いしているのか、挨拶代わりにいきなり合掌
してくる欧米人よりも理解はあるのだろう。トオルは快諾した。
少し話すと、遠慮がちにリョウコは帰ると言い出した。勉強もあるのだろう。
トオルは充分に分かっていたので、あとは任せて、とリョウコを返した。
サエもそれに従って帰っていった。
つづく
帰り道、サエはリョウコに、先ほどのことを聞いた。
「すごい見てたよね」
「あ、ごめん…」
「何で謝んのよ」
「いや、そういうわけじゃないけど、二人ともカッコイイっていうか、
綺麗だなーとか思って」
「そうかなぁ?」
「二人でデビューとかしたら人気出ると思うよ」
「ふーん…」
「あ、別に霧原くんのこと好きとかそういうんじゃないからね!」
「分かってるよ。大体リョウコ今彼氏どこじゃないでしょ」
「そうなんだよね…」
「あれ?なに、やっぱ寂しいの?」
「…ちょっと。でも寂しいと思って付き合うと失敗するから。いつも。
先に好きな人ができないと、だめ」
つづく
「…そかぁ。…じゃあたし、こっちだから。勉強がんばって」
「あぁ、うん。ありがとう。おやすみ。また明日ね」
「んー。ばいばー」
「またね」
霧原家。ベトラは遠慮深い性格だったが、次第にトオルと打ち
解けつつあった。トオルも気を使ってテレビゲームやら、パソコン
やら色々と見せたが、ベトラは直接話を聞くことを好んだ。
トオルは口下手でおとなしいが、それはあくまで自分から話題を
持ち掛けないというだけで、話しかけられれば話すし、質問すれば
答える。
ベトラは次々に色々と質問してくるので飽きることはなかった。
何よりベトラは謙虚で思いやりをもって接してくれるのが嬉しかった。
質問に答えられなくても嫌な顔をするわけでもなく、答えに窮して
しどろもどろになっても一生懸命に真意を受け取ろうとし、それは
こういうこと?と適切な質問で返してきてくれる。
つづく
晩の食事にはピザを頼んだ。ベトラは地球の食べ物で食べても
大丈夫なもの、食べてはいけないものをリストアップした小型の
電子辞書のようなものをもっていて、それを見た結果、ピザは
大丈夫と判断された。
ラーメンや、うどん、そばなどはネギに注意しなければならないらしい。
ネギを食べるとかなりの確率で腹痛を起こし、また魚介類は火を通さな
ければ湿疹が出るという。
ピザは初めて食べると彼は喜んで食べたが、たったの二切れしか食べ
なかった。
「…美味しくなかった?」
「ううん。とても美味い。でももうお腹すいた」
「え?」
「うん?」
「お腹いっぱいってこと?」
「えぇと…もう、たくさん食べた」
意外と胃は小さいらしい。
つづく
「ところでトオル、悪いんだけど身体を洗いたいんだ」
「あぁそうだよね。昨日もUFOの中だったんでしょ?」
「そう。シャワーとかないから」
「いいよ。もう沸いてるから」
「地球のお風呂初めて入るよ。嬉しいな」
かなりはしゃいだ様子のベトラが少し可愛かった。
「入り方教えて」
ユニーダ星にも風呂はあるがカプセル状のもので、裸で入るだけで
あとは勝手に全身くまなく洗ってくれ、更に乾燥までしてくれる。
立っているだけでいい。トオルはシャワーの出し方から、ボディソープの
泡立て方まで丁寧に教えてやった。
「この、大きいのは?」
「温まるために入るの。入ってじっとしてる」
「入るだけ?」
「そう。入るだけ。入って考え事したり」
「へー…」
つづく
ベトラが入っている間、着替えがいるだろうと思ったが、小柄な
自分の下着が長身のベトラに合うとは思えない。
父親の下着をとりあえず拝借することにした。
脱衣所でベトラの衣服を一応確認したが下着に至るまでいずれも
地球のものを
使用している。
ならばこれでいいだろうと、父親のパンツとシャツ、それに身軽な
ズボンを用意した。
居間で待っていると、ベトラはちゃんとタオルで身体を拭いて、用意した
着替えを着て出てきた。
「どうだった?」
「うん。面白い」
「面白いの?」
「あぁ…うん。気持ちがいい」
「ああそういうことね」
ただ、いつもは湯に全身を浸けるなどという習慣がないせいか、のぼせた
らしく、しばらくぐったりして、そのままソファで寝入ってしまった。
つづく
可愛いwwww
朝になるとトオルがかけてくれたのだろう、布団がかかっていた。
トオルは朝食は食べない。というか低血圧気味で食べるとどうも
気分が悪くなるのだ。
昨晩のピザがだいぶ残っているので、それを食べるように言い残すと
トオルは学校へ向かった。
ベトラはもう少し休ませてもらうことにして、布団にくるまった。
軽子沢中学校。電算室。情報倫理学の授業を終えると、担当の山形
ユウジロウがトオルを呼び止めた。
「霧原。宇宙人の世話してやってるんだって?木下から聞いたぞ」
「うん。いい人だよ」
「今夜ウチに連れて来い。家庭料理でも食わせてやろうと思ってな。
それにお前の家が日本人の平均だと思われたら適わん」
ユウジロウは笑った。確かに霧原家はかなり裕福な部類に入る。
山形家も貧しいわけではないが、ごくごく平均的な家庭といえる。
「じゃあ夜行くよ。七時ぐらいならいる?」
「ああ。待ってるよ」
つづく
急いで帰宅したユウジロウはアカネにいった。
「宇宙人が来るぞ!」
「ムック!」
「違う!何でも美男子らしいぞ」
「…」
懐疑的であった。確かにアカネは直接宇宙人を見ていない。
「霧原も来るから。飯四人分だ」
「えー!メールでもしてよー!もう炊いちゃったよ…」
「じゃあ俺の分はいいや」
「それにしたって一人分足りないし…」
「ちょっとずつ食べる」
「まぁ御付けと肉じゃがはたくさんあるけど…。それだけじゃ
ビンボーくさいよね…。あじの干物焼くかな…食べるのかな?」
つづく
「汚くて小さい家!」
「そういうことは言っちゃだめだよ」
「知ってる。本人の前では言わない」
妙に人間くさい部分もある。宇宙共通のものなのだろうか。
とりあえず、味噌汁、肉じゃが、あじの干物は全く問題がなく、
更に緊急に湯豆腐が用意されたがそれも食べられるようだ。
「…あの、失礼ですけど…本当に宇宙からいらっしゃったんですか?」
「よく言われます。ユニーダ人と地球人そっくり。区別つかないから、
宇宙人っていうとみんな変な顔をします」
「…そうですよね…。すごい素敵な方だけど…どう見ても地球…日本人に
見えます」
「地球人と違うところがあります」
おもむろにパンツごとズボンを下ろす。運が良かったのはここが山形家で
あったことだ。ユウジロウもアカネも全く動じない。全裸ぐらいなんだという
のだ。アダルトビデオを見ながら食事ができる兄妹である。
むしろ目を反らしたのはトオルだった。
つづく
「…お前さん、女か!」
「違う。男」
「だって…」
ベトラの下腹部には陰毛がなくつるんとしていて、へそが縦に並んで二つあった。
やはり人間とは全く違う。
「ベトラ、食事中にパンツ脱いだらだめ!」
「…?山形さんたち平気だよ」
「この人たちはおかしいから…」
「おかしいとはなんだ」
「ひっどーい」
「でも確かに駄目と言えば駄目だな」
「…そうね」
「ごめんなさい。知らなかった。だからみんな逃げるのか」
つづく
だからみんな逃げるのか。みんな。
聞けば宇宙人だと言って信じてもらえない場合、今までは
手当たり次第にパンツを脱いだらしい。しかし相手は確認する
までもなく逃げていく。
縦に並んでいたへその上のへそは人間にとってのへそと同じもの
だが、下のへそは性器らしい。人間のように外に飛び出しているの
ではなく、勃起するとそこからペニスが生えてくるのだ。
普段は腹部にイチモツごと収納されている形になっているらしい。
尿はまた別の排泄器官があるようだ。
しかしユウジロウは気になった。なぜそう簡単に、パンツを脱いだのか。
聞くと答えは明瞭だった。ユニーダでは、セックスが全く恥ずかしい行為
ではなく、そこら中でセックスをしている人間や、全裸の人間を見かけるの
だという。
とにかく性欲が昂ぶれば、その場で相手を探し、交渉して、了解されれば
その場でセックス。特定の恋人、妻、夫、という概念そのものがないらしい。
「え、ちょっと待って。妊娠したらどうするの?」
つづく
そんな状況であるから、妊娠すると産んだ女性が一人で子を
育てる。経済的に大変かといえば、驚くべきことにユニーダには
もう一万年以上、金銭というものが存在しないらしい。
ユニーダ星は全てが機械化され、食料も工場で栽培、飼育される。
肉は食べるが動物を殺すわけではなく、動物の細胞を使った人口肉を
やはり完全に機械化された工場で生産する。
食料は全て無料で、地球でいうスーパーマーケットのようなところに
置かれているものを勝手に持ち帰ってよい。家も自動化された建設
機械が必要に応じて勝手に建てる。機械のメンテナンスも機械が行う。
犯罪もほとんどなく、収入の差がないので必死で勉強することもなく
学校も完全に自由制。行きたい者だけが行き、やはりコンピューターから
学びたいことだけを学ぶ。
仕事をしている人もいるがボランティアの上、全てがオートメーションで
簡素化されている為職業訓練などもいらず、町内会のような単位でで持ち
回りでやる。それでも一日何度か機械のスイッチを押す程度の仕事である。
電力ばかりはどうしても必要な気がするが、電気は恒星近くに設置された
恒星の熱を利用する発電所から直接ケーブルを伝ってやってくる。
UFOも個人所有ではなく、相当数が確保され、乗りたいと思えば勝手に
乗っていけばよい。UFOの動力はちょうど高速増殖炉のようなもので、
クルマに例えれば排気ガスがそのまま百パーセント以上の効率で燃料に
なる。よって燃料代はいらない。
今回修理を頼んだが、やはり機械がやってきて機械が直してくれる。だから
もちろん無料だ。
つづく
「…でもその機械とかロボットを作る人は必要なんじゃない?」
「でももう一万年、壊れないでロボットは動いてます。壊れても
それを直すロボットがいる。動力は地球でいえば太陽から供給
されます。発電所に務める人間もいません。病気の治療も全部
コンピューターとロボットと機械がやってくれます」
そこまで説明を聞きながら、ユウジロウの頭はあることで一杯だった。
「ベトラくん、君の星の女性はどんな姿をしているの?」
「…地球の女の人と一緒です。そっくり。女性は性器も同じです」
「ほほう。そうかそうか。勉強になるなぁ」
ちなみに何故人間の性器の形までベトラが知っているか。地球の
女性と交わったわけではない。医学書で確認したのだ。彼は、
ユニーダの性的に奔放過ぎるほど奔放な部分がどうも好きに
なれず、一人の相手を愛し続けると聞いた日本に憧れて、こうして
訪れている。
一方で真逆の男がいた。ユウジロウである。一人の相手を愛し続ける
ことは不可能ではないが肉体だけは別の男。下半身に支配された男。
『俺の下半身にイチモツがくっついているんじゃない。イチモツに俺が
くっついているんだ!』
公然猥褻罪にとわれ裁判で述べたこの名言は余りに有名である。
この一言で無罪となった。
つづく
ユニーダ星のセックスに基本的にタブーはなく、唯一の禁忌は人種間で
性交することである。ユニーダ星には大きくわけて四の人種があるが、
人種内でセックスをすることは自由だが、違う人種とセックスをしては
ならない。
これは差別的な意味合いや、宗教的なものではない。そもそもユニーダ星に
国境はなく、言語も星全体で一つの言語しかない。
恐れているのは混血に混血を重ね、人種が一つになってしまうことだった。
例えばAという人種は、ある細菌に弱くすぐに感染して死んでしまうが、
Bという人種はそれに強く、感染することもなければ発症することもない。
そういったことがあるので、人種が一つにまとまってしまうと何か一つの要因で
一気にユニーダ人が絶滅してしまう恐れがある為禁じている、というだけの
話だ。
その日も四人で楽しく会話をし、遅くなったのでトオルとベトラは山形家に
泊まった。
アカネが、トオルの家は日本の家にしては立派だけど、平均は多分うちぐらい
だと思うと教えてやると、ベトラは興味深そうに台所や風呂場を観察していた。
つづく
翌日、やっと修理完了の連絡を受けたベトラは、帰ろうと思えば
昼にでも帰れたのだが、みんなに別れの挨拶をしようと公園で
待っていた。
UFOが直ったことは山形アカネに伝えてある。アカネはすぐに
ユウジロウへメールを送ったので、既にそれぞれに連絡は
ついているはずだ。
別れを告げようとリョウコとトオル、サエ、そしてユウジロウは公園に
向かった。ユウジロウは仕事があったのだが、家に持って帰ることに
して、早めに学校を出た。
公園までの道すがら。
「…お腹痛い!」
「大丈夫?」
「駄目だ!霧原…家で休ませろ!」
「だってベトラが…」
「き〜り〜は〜ら〜…」
「…わ…分かったよ」
つづく
ユウジロウはその唐突で不自然なサエの行動を眺めていた。
サエはトオルの肩を借りるようにしながらも、無理矢理に連れ去ろうと
している感じがする。
一瞬サエは振り返って、ユウジロウを見た。目が合った。
なるほど。そういうことか。
「しまった!学校に期末テストのアレ忘れた!アレないと大変だ!
リョウコ、よろしく言っといてくれ!」
ユウジロウは立ち去ったが自宅の方に向かっている。リョウコは不審がり
ながらも公園に向かった。
ユウジロウは途中、やはり公園に向かうアカネと鉢合わせした。
「あれ?お兄ちゃん…」
「どうも野暮らしい…、リョウコが、な…」
「あぁ、そういうこと…」
「まぁまた会えるさ」
「そうだね」
つづく
一人、リョウコは公園に来た。ベトラは他のみんなは?とは聞かなかった。
「リョウコ、色々ありがとう。楽しかった」
リョウコはそっとベトラに近づいて、彼の胸に額をくっつけて泣いた。
「…直って、よかったね…」
「…うん」
「やっぱり、ユニーダがいい?」
「…僕の星だ」
「そうね…」
「そんなに泣かないで」
「泣いてないもん」
「泣いてる」
リョウコの声は完全に震えていた。
つづく
「…次はいつ会えるかな…一年後?五年後?」
「…」
「…ベトラ…」
「うん?」
「…好き」
「好きって?」
「…わかんないか…」
「…ごめん…まだ…よく…」
「そっか…じゃあたくさん勉強してね…」
「うん。ありがとう。リョウコも」
「がんばる。ありがと…」
「最後に、UFO見せて?」
「…わかった」
つづく
例のリモコンのような装置で、UFOは現れた。きらびやかで荘厳な、
それは光り輝く神殿に見えた。
「…行って。ベトラ」
「うん。それじゃ。また。楽しかったよ」
「…」
ぼろぼろと涙が出た。泣くまい泣くまいとすればする程泣けた。
「泣かないで」
「だから…泣いてないよ…」
どう見ても泣いている。しかしベトラは笑ってうなずいた。
「じゃあ、また来週」
「…は?」
「ん?また来週って日本語変?」
「え、来週って?」
「七日後?地球の時間で」
「なにそれ?」
「毎週来てるよ」
つづく
よく考えれば片道二分程度なのだ。しかも燃料代もいらない。
「え、じゃあまたすぐ会えるの?」
「会いたくない?嫌い?」
「会いたい!」
「うん。また来るから」
何と呆気ない。また来るとは。しかも連絡用の金属ボールを一つくれた。
「何かあったらいつでも呼んで」
仕事も学校もない星だから呼べばすぐ来る。二分で。先ほどまでの、
何年会えない日々が続くかという寂しさの余韻やら、呆気なさやら、
嬉しさやらで、わんわん泣くリョウコをベトラは優しく抱いてくれた。
やっと落ち着くと唇を重ねて、何も言わずUFOに乗り、それは飛んでいった。
珍しくリョウコは浮かれて、えへらえへらしながら帰ると、気持ちを切り替えて
勉強に励んだ。
つづく
しかしもっとえへらえへらしている奴がいた。ミスター下半身。
山形ユウジロウinUFO。
「ちょっと!山形さん何やってるの!」
「連れて行ってくれたまえ。夢のパラダイスへ!」
着替えも何も全裸勃起の状態でいつの間にやらUFOの中に
忍びこんでいたのである。
惑星ユニーダ。それは美しい星。素晴らしいユートピア。
全裸勃起でも誰にもとがめられず。しかもユニーダ人と同様に
陰毛は剃ってきた。これで立派な勃起ユニーダ人。
つづく
セックスに言葉はいらない。適当に襲い掛かるとなんと四人に
一人は応じてくれる。してもベトラが美しいように、美人揃いの
粒揃い。
喘ぎ声が地球人のそれと違うのが気になったが性感帯はほぼ
一緒。ユウジロウもてもて。
やりにやりまくって無断欠勤一週間。百人以上の美女を相手に
大奮闘。
これ以上の満足は味わったことがないと帰ってみれば。
「…おみやげは…?」
「はい?」
「ユニーダ星の、おみやげは?」
お金がないので逆に言えばユニーダ星には無駄なものがない。
みやげ物などあろうはずもない。そもそも何でバレたのか。
「誰でも分かるよバカ兄貴!」
全裸はやはりまずかった。
今日はユタカのおうちにお泊りです。
終
作者さんこんばんは〜^^
いや〜、今夜のお話は読み応えがありました!
今回も面白かったーー!!
ユニーダ星やベトラ自身の話がとても興味深かったです。
さりげなくサエの凄い特技を知ることも出来たしw
どうやったらそんなの(設定とか)思いつくんですかね?
作者さんは天才だああぁぁー!!
と、改めて思いましたよ。
リョウコとベトラ、いいですねぇ・・・。
とてもいい感じ。素敵です。
悲しい別れかと思いきや・・・毎週会えるという事がわかって、
これからの二人の関係がどうなっていくのかが楽しみ!^^
しかし最後にユウジロウやってくれましたねwwwwww
まさかここでUFOに忍び込んでいるとは思っていませんでしたwww
もしユニーダ星の女性がユウジロウの子供を妊娠、
なんて事があったらどうなってしまうのか、なんて考えてしまいました^^;
まぁ、そこはユウジロウ!性のプロフェッショナルですから、
そんな失敗はしないのでしょうね^^
いつもは携帯で書き込みしているのですが、今夜はPCからの書き込みです。
なんだか長文になってしまい、スイマセンでした^^;
>>80 >>87 合いの手どうもです^^
>>104 ユニーダ星の設定は、以前、21世紀の日本はこうなっている!みたいな
小学館の学習雑誌(『小学○年生』みたいな)の記事の記憶と、あったら
いいな、という単純なアイデアを元にしました。
恐らく前回のムックの出てくる星と違い、ベトラはレギュラー化、もしくは
みんなでベトラの星へ遊びに行くというネタもそのうちできるかなと思ったので、
次書く時に楽ですから、ちゃんと設定しとこうと。。書きながらですけど…。
それは以前雑談スレで『みんなで海外に行く』というネタを提供して頂いたのです
が、私自身海外に行った経験がなく、リアリティの全くない話は書きたくなかった
ので、いっそ別の星に行くぐらいブッ飛んでしまおうかという企みは前シリーズの
頃から頭にはありました。(笑)
あとよく、ライブだと、説明すべき部分を書き忘れてしまうことがあるのですが、
地球人とユニーダ人は配合できないのです。エッチはできるけど、失礼な
言い方をすれば『獣姦』のようなもので、妊娠はしません。ただユウジロウが
病気なんかを持ち込む可能性、またはもらってきちゃう可能性はありますが、
そういう話は書かないかな(笑) 似てるけど別の生物という設定です。
いや長文嬉しいですよ。細かい部分まで読み込んでくれてありがとう^^
お褒め頂いて光栄です。それについてもありがとうございました^^
作者さん乙です!
今回も面白かった〜wwやはりユウジロウはそうくるかとw
ベトラってきっと真面目な顔してとんでもない事を言うんだろうなぁ。
リュウジやマサト達と是非仲良くなって頂きたいww
見かけが20歳くらいだから無理かもしれないけど
中学校に転入してきたらいいのにw
↑あ、見かけが30前くらいの中学生いたわな・・リュウジw
>>106 あ…気付かなかった…そうか。ベトラとリュウジって比べたら
リュウジの方が上に見えるんだ…。意外な発見ww
ちょっと混乱してきた。以下メモ
---------------------------------------------------------
ベトラの存在を知っている=リョウコ、サエ、トオル、ユウジロウ、
アカネ
校長と的場ママの交際を知っている=リュウジ、マサト、カエデ、
サヨリ、トオル
---------------------------------------------------------
これ忘れたらだめだ。あってるよね?両方知ってるのはトオルか…。
校長のことサエに喋ってるかな…。多分一応秘密にしてるだろうな…。
さてここらで怖い話でもするか。
須藤アリサはまだ左腕のギプスが取れず、三角巾で吊っていた。電車に
ぶち当たってこの程度だったのだから幸運というべきかもしれない。
つづく
いきなりの自殺未遂。彼女をからかい半分でいじめていた者たちも
さすがに驚いたようで、彼女に対する嫌がらせは完全に沈静化して
いた。
その上、彼女はプライドの高さがそうさせたのか、みんなの前で
謝罪することはなかったが、謝るべき相手が一人でいるところを
見計らっては、丁寧に謝罪した。特に自分が受けた嫌がらせの
ことは何も言わずに。
まさか向こうから謝ってくるなど想像もしていなかったのだろう。
ほとんどの者は面食らったような表情をして見せながらも、その
言葉を受けた。
周囲に誰もいない、というのが功を奏したのかもしれない。集団で
いるところを、のこのこと謝罪に来れば何を今更ということもあった
かも知れないが、面と向かって二人きりで謝られると、やはり気が
そがれる。
以前のようにちやほやとされるわけではなかったが、嫌な思いも
せずに済むようになった。
静かな日常だった。携帯もおとなしくなり、嫌がらせのメールも来ない。
つづく
いつも賑やかだったテニス部の頃に比べれば退屈で、刺激もない
日々だったが、彼女なりに自戒して、今の自分はそうあるべきなのだと
静かでいることを心に決めていた。
化粧もせず髪も染めず、それでも彼女は美しかったが、以前のように
派手に目立つことはない。
彼女は余り成績がいい方ではなかったので、これを期に少し真面目に
勉強してみようという気になっている。
左手が使えないのは不便で、例えば前からプリントから回ってきて、後ろの
席の者に回さなければならない時など、もたついたものだが、ある日、ふと
一人の女子生徒が近づくと、何も声は掛けてくれなかったが、彼女の分、
一枚のプリントを机に置いて、後を後ろに回してくれた。
彼女は小さい声で礼を言うのが精一杯だった。人知れず、泣く。
そんなことがあった後、話しかけてきてくれる者も現れるようになった。
初めは簡単な挨拶程度だったが、アリサが丁寧に対応するごとにその言葉は
増え、いつになったらギプスは取れるのか、痛くないかと色々と気を使って
くれる。
何となく彼女をいじめたことに対する申し訳なさが向こうにはあったし、アリサ
にはテニス部時代やそれ以降の悪行に対する自責の念があった。
つづく
しかしそれらは言いっこなし、というような暗黙のルールが
できつつあった。過去のことは水に流れる。
お互いの悪い部分が相殺された。
友達と呼ぶにはまだ遠いが、一緒に昼食を食べてくれる者も
いて、アリサは幸せだった。
気を張って強がり、自分が一番でなければ気が済まず、その為に
金を使い、その金を稼ぐ為に身体を使い、ある意味で彼女は戦い
続けていた。それが悪い意味だとしても。
それからの開放。無理をすることもなく、静かに、ただ中学生らしく
誰がどれだけ美人であるとか、誰の彼氏が一番素敵だとか、
そんなこととは無縁の落ち着いた生活。
むしろそんな生活を望み、そちらの方がむいていたのではないかと
思うほど彼女はその生活に順応した。
とはいえプライドを失ったわけではない。ただ、そのかりそめのプライドを
維持することに恥を覚えた。所詮は自分に鞭打って、人を傷つけ、蹴落とし
無理矢理に手に入れたものだ。
そんなものは今のアリサに必要なかった。
納得ができなければ、人を蹴落とすのではなく、自分が駆け上がるべきだ、
アリサはそう思うようになった。
つづく
元々は弱い人間ではない。彼女はもっと自分らしい魅力を
模索している。
ただ自分の犯した過ちは、もう犯すまいと、真摯に反省しても
いた。
そんな彼女に嫌がらせをする理由もなく、それでも遺恨が残って
いるのか、友達になろうという者も現れなかったが、彼女は一人で
あることをいいことに、今までの生活を振り返り、これからどうすべきか
ゆっくりと考えていた。
休み時間、退屈な時、彼女は一人、トイレの手洗い場に掛けられた
鏡をよく見るようになった。素顔の自分。これが、須藤アリサ。気取る者が
本来の自分を受け入れることは困難であり、また恐怖でもあった。
鎧を脱ぐこと。しかしそれに恐怖を感じるのはまだ自分が戦場にいると
思い込んでいるからだ。今、自分がいる場所は戦場ではない。戦う必要は
もうない。
何か、現役を引退して隠居するような寂しさがある。
しかし引退もなにも、初めから大した戦いはしていないのだ。全ては錯覚。
凄まじい戦をさも勝ち抜いてきたようなふうをして、実際のところ、ちょっと
した小競り合いに参加した程度だ。何もない。鎧を脱いだところで何も
変わらない。強いのではない。ただ臆病なだけだ。
彼女は鏡にそう言い聞かせた。
つづく
と、鏡に何か別の顔が映りこんだ。
「…怪我はどう?」
若山ユイ。余り会いたくない相手だった。元テニス部員。部にいた頃から
折り合いが悪い相手だ。まして、テニス部だった頃の記憶はできれば
消したい。今は思い出したくはなかった。
しかし自分も嫌がらせを受けていた頃は、当時のテニス部の仲間を
訪ねたものだ。それぞれがそこそこ上手くやっていて、孤独感を感じた。
その時の自分の気持ちを振り返るとむげにするわけにもいかなかった。
「…わか…」
わか。若山ユイのあだ名である。
「イジメられてたんでしょ?」
「…」
「自殺したぐらいだもんね」
「…ちょっとね。テンバっただけだよ」
つづく
なんか自分に対してもぐっとくる言葉だな・・・
「アリサ、覚えてる?一年の時のこと」
「え?」
「テニス部に入ろうって誘ってくれたの、アリサだったよね」
「…」
懐かしいいい思い出を語ろうという目つきではない。どこか怨みが
こもっているのをアリサは感じた。
「…そうだね」
「テニス部…。評判悪かったんだね。やめてから知った」
「そう…」
「死ぬ時ってどんな気分だった?」
「悪いけど、思い出したくないの」
「へー…。自殺未遂したらみんなビビってイジメなくなったんでしょ?」
「…そんなこと…」
ユイが何を言いたいのか、全く分からなかった。
つづく
「…あたしも死のうと思ってさ」
「…え?」
「アリサと同じなの。最低ね」
ポケットから携帯電話を出すと何やら操作して、液晶画面をアリサに彼女は
突きつけた。そこには、ユイを非難する言葉が並んでいた。
「ね。アリサもそうだったんでしょ?分かるよ…」
何と言っていいのか分からないうちにユイはトイレから出て行った。
午後の授業、アリサ派若山ユイのことが気がかりだった。自分と同じ道を
歩むつもりではないか。自分はたまたまサヨリという人間が何の気まぐれか
救ってくれた。
放課後、ホームルームが終わるなり須藤アリサは隣のC組に向かった。
窓辺の席で、ユイは外をぼうと眺めている。
「わか…」
振り返りもせず、ユイは答えた。
「アリサ…?何?」
つづく
「何って…わか、死ぬって…」
「そうだよ。でもあたしはちゃんと死ぬ。おめぇみたいに卑怯なことは
しない」
「卑怯?」
「分かってやったんでしょ。助かるって。自殺未遂すればみんなビビって
優しくしてくれるって」
「…そんなことない!」
「アリサっていつもそう。何でも利用するの。自分の命まで利用するんだね。
すごいと思うよ。尊敬する。あたしには無理。そんな汚いこと」
全くこちらを見ようともせず、ずっと窓を向いている。シルエットだけが夕日に
縁取られて浮いている。
「あたしはたまたま助かっただけで…」
「じゃああたしと死んでよ」
「!」
「できないんでしょ。どうせ…。無責任。口だけ。自分さえよけりゃいいんだ。
おめぇはいつもそうだ。あんなくっだらねぇ部活に誘いやがってよぉ!」
つづく
椅子を後ろに吹き飛ばす勢いで立ち上がった若山ユイの瞳には
憤怒の色があった。それも尋常ではない。まるで修羅か夜叉のような、
凄まじい形相である。
「たまたま助かったなら…まだ死にたいだろ…?責任とろうよ。ね?
寂しいんだ。一緒に死んでよアリサ…。アリサがテニス部誘った時、
あたしちゃんとついてったじゃん。あたしの言うことも聞いてよ…」
そっと、ユイの手がアリサの首にかかった。恐怖にすくんで動けずに
いると、ユイはその手に力を込めた。床に押し倒され、全体重をかけて
首を圧迫される。
アリサは抵抗したがユイの力は尋常ではない。
「…や…やめ…」
ユイはにこにこと笑いながら容赦なく首を絞めてくる。アリサに残された
抵抗は、心の中で必死で念じることだった。
テニス部に誘ったのは事実だが、あんな所だとは知らなかった。それに
やめる気になればいつだってやめられたはずだ。残ったのはユイの意思
ではないか。責められる筋合いはない。
それでも自分のせいにするならば、謝罪しよう。ただ、自分はまだ生きたい。
自殺は本気だった。でも今は違う。助かって、反省して、みんなに謝って、
やっと素顔で生きられそうなんだ。今は死にたくない。
わかだって少し考えたら分かるはず。大丈夫生きられる。ここはもう戦場じゃ
ない。虚勢を張らなくていいんだよ、わか…。
つづく
力になるから…何とかなるよ。あたしも死にたくないし、わかも
殺したくないんだよ。生きたいんだ。生かせてよ!生きようよ!
意識を失う寸前、喉の圧迫感が消えて、若山ユイの姿が消えた。
たった今まで首をぐいぐいと絞めていたはずなのに。どこ行ったの?
頭を少し上げると窓が見えた。そこに、逆さになって落ちていくユイの
姿が見えた。ほんの一瞬のはずだ。落ちているのだから。どこから
落ちてきたのか。今までここにいたのに。
そのほんの一瞬、落ちていく何者かの姿が窓に見えた刹那、アリサは
それが若山ユイのものであることをはっきりと見て、彼女が落下しつつ
窓越しに、自分の目をじいと見ながら、
「根性なし」
と言ったのを確かに聞いた。
遺書は屋上から見つかった。不思議なことにアリサの首を絞めている時間、
彼女は屋上にいたのだ。
数日後、須藤アリサは放課後の二年A組の教室を訪ねた。雪野カエデ、
霧原トオル、そしてサヨリが退屈そうに座っている。サヨリはアリサを紅い
瞳で見据えると言った。
「来たわね」
終
ごめん。調子悪かった。
作者さん乙。
今回はまた深いな…。人間だからいくら気をつけても間違うことは絶対ある。
大事なのはそれに気付いた後どうするかなんだよな…。
アリサはそういう点ではすごいよな。尊敬する。
作者さん乙です!
今回はジワジワくる怖さだったなぁ。
なんだか今、ちょっとニュースになってるいじめ問題と絡めて
怖いモンがあったよ。
本当は生きる事を決めたアリサのほうが根性があるんだろうけど
ユイも気づいていたような気がするなぁ。
深く潜ったね・・、次回は爆笑話を待ってます!
>>121 感想どうもです^^ アリサも『軽子沢調査隊』入りみたいですね。
かなり濃い連中が揃っているのでどんな活躍をしてくれるのでし
ょうか…。男をたぶらかす、取り入るってのは得意だろうけど、今
作を見る限り、もう封印されてるだろうし…。
>>122 そうですね。そんな感じがします。>ユイについて
(実は今作、久しぶりに書いた記憶がないです…。酒飲んでた
わけでなく、ちょっと風邪をこじらせまして…ぼけぇぇっと書いて
しまったので^^;;)
次回爆笑話。そうだね。ローテーションからいっても今日は面白い
ネタになるかな。ただ爆笑できるかどうかは分からないけど…。
よく考えたらそれぞれ好みもあるから、日替わりでできたらいいなぁ。
実力的に無理だけど…月曜日は怖い話、火曜日はしんみり系、
水曜日は面白い話、みたいな。そしたら無理に自分の苦手な話を
読む必要もなくなる。
今まで面白担当はユウジロウ、ケンシロウ、リュウジだったから
ちょっと変化球投げたい気もするけどもうキャラクターいっぱい
いっぱいで…。ドラゴンボールなんかはいいなぁ。キャラクターは
たくさん出てくるけど役目終わったら死ぬから(笑)
感想ありがとう^^
熱が上がるばかりで、それほどダルいなど肉体に負担はないの
だけれど、起きていても集中力に欠けます。
今から少し休みます。ネタはないですが、今夜中に起きたら書きたいです。
精神安定剤を服用して寝るのでもしかしたら明日の朝まで爆睡してる
かもしれんです。そうなると今夜の投下はできません。
そうなったら申し訳ないです。すいません。
身体が資本。無理しないで!
さてここらで怖い話でもするか。
まだ片付けの終わっていない岩倉家は玄関まで段ボール箱に
占拠されていた。
つづく
やっと引越しが済んで、片付ける間もなく出勤。身長一四四センチの
幼な妻、トモミが玄関で、革靴を履く夫、ヒョウゴの背中を見ている。
「じゃ、行ってくるよ。ごめんね。片付け任せちゃって…」
「いいよいいよ。気にしないで。それより頑張ってね」
慣れた動作でくちづけを交わす。長身のヒョウゴはだいぶかがむ必要が
あった。
「今日も可愛いよ。トモちゃん」
「何言ってんのー?」
岩倉トモミ。何とまだ十七歳である。十五の頃から交際を始め、十六の誕生日に
即結婚した。
一方の夫岩倉ヒョウゴは三十四歳。妻との歳の差はちょうど倍である。教師であった。
「暮れぇなずむ、町のぉ光と影の中、去りぃゆく、あなたへぇ〜」
小さく口で歌いながらマンションを出て、向かう先は軽子沢中学である。
つづく
なんだってー! ΩΩ Ω
幼な妻ハァハァ(*´Д`)
朝の全校集会が体育館で行われていた。校長鬼塚ケンシロウが、
不景気とはいえ、どれだけ諸外国に対して日本が豊かであるか、
そしてその未来は君たちの手に委ねられていると一説ぶっている。
退屈な話の最後、ケンシロウは付け加えた。
「今日は新しい先生に来てもらいました。東大理工学部を卒業なさった
優秀な先生です」
生徒の間からどよめきが起こった。
「では、紹介しましょう。岩倉ヒョウゴ先生です」
舞台袖から現れた彼、いや『それ』は、人体と呼ぶには余りにふさわしくなく、
また獣でもない。むしろ、言うならば肉の塊。肉塊。
身長三メートル超。推定体重三百キロの怪物である。
遠近法が狂ったような光景。余りに巨大。六十近くにしてはそこそこ長身の
ケンシロウでさえ、彼の胸ほどの高さしかない。
彼は壇上のマイクをつまむように持つと、体育館を揺るがす声で話し始めた。
「岩倉ヒョウゴ!三十四歳!地理を担当する!」
東大理工学部卒で担当が地理。
つづく
投下キテター
新キャラ、山のフドウかよw
「元気ですかあああぁぁぁぁ!元気があれば、何でもできる!」
おっぱじまった。余りの光景に静まり返った生徒内で、最初にざわつき
始めたのは、プロレスファンの者達である。
その言葉はアントニオ猪木のそれであったからだ。
「この道を行けば、どうなるものか。
危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。
踏み出せば、その一足が道となり、その一足が道となる。
迷わず行けよ!行けばわかるさ!」
アントニオ猪木、引退時に本人によって朗読された詩、『道』である。
ちなみに作者は一休和尚であるとよく言われるが、実は正確な根拠は
ない。
「いくぞおぉぉぉぉぉっ!!」
一部プロレスファンの生徒達は握りこぶしを作り待つ。その後に続くは、
間違いなく、お馴染み、『一、二、三、ダー!』であることは分かりきっている。
「どんなもんじゃああぁぁぁぁぁぁぁい!!」
ここまで来て亀田興毅。何を考えているのか。
つづく
いや、教師的には掴みはおっけぇだろw
恐ろしい教師が来た。生徒内はその話題で持ちきりである。
あの迫力は前シリーズ、悪魔化したケンシロウを超えている。
「やべぇ俺たちまた虐殺されるのかよ…」
「俺なんかグロ見るだけで駄目なのに自分がグロになるなんて…」
一時間目。三年B組の授業はこともあろうに地理だった。
「卒業間近で死にたくねぇよぉ…」
ずしんずしんと校舎を震わせ岩倉ヒョウゴがやって来る。出席を取り、
授業であるが、今日からなのでどこから始めていいのか分からず、
生徒に聞いた。
「うぬ!授業はどこまで進んでいるか?」
「あ、…はい、ロシアの…ロシアの気候についてです…」
「ツンドラ!寒い!針葉樹林!愛媛のみかんは世界一ぃぃぃぃぃ!」
あとは生徒とヒョウゴの睨み合いが続き授業は終わってしまった。
的確といえば的確だが辛い一時限であった。ちなみに最後の愛媛に
ついては何故言ったのかよく分からない。
つづく
睨み合いで終わっちゃうのかよ!www
昼休み。彼に与えられた机は福岡ユウコの隣。山形ユウジロウの
真正面である。
両手の親指と中指で、円をつくってみてほしい。
それが岩倉ヒョウゴの弁当箱である。二段重ねなどではない。一段だ。
開けると、半分が白米。ポークビッツ三本に玉子焼きが入っている。
隣の福岡ユウコが遠慮がちに聞いた。
「…愛妻弁当ですか…?」
「いいや。自分で作りました。あーもうお腹一杯!ごちそうさま」
一口である。一口で、三メートルの巨体が、ポークビッツ三本と玉子焼きだけで
満腹とは。どういう仕組みになっているのか。
一方新聞委員会編集部員、長野シュウイチは編集室に急いでいた。
編集室では、的場リュウジが咥え煙草で稲川淳二の怪談本を読んでいる。
『…確かに怖いがそろそろ大丈夫だ…だいぶ慣れたぞ…克服できそうだ…』
つづく
また虐殺されるって〜ww
役者さん達の裏話みたいでワロタwww
その時バタンと編集室のドアが開いた。リュウジは失神した。
昼休み終了まであと十五分。長野シュウイチは校内新聞の
校内担当だけあって、各クラスの時間割が全て頭に入っている。
的場リュウジのいる二年C組、昼休み明けの五時限目の授業は
地理。担当は岩倉ヒョウゴ。
基本的に授業に出ていない的場であるが、さすがにヒョウゴの
授業だけは出ておいた方がいいと忠告にやってきたのだ。
失神するリュウジを何とか叩き起こし、事情を説明するが、簡単に
リュウジは動かない。彼は当然ながら全校集会にも参加せず、
岩倉ヒョウゴを知らないのだ。
「編集長!出ないと大変なことになりますよ!」
「断る!いつ事件が起こるか分からんのだ。授業なんぞ出ていられるか!」
仕方なくシュウイチは最終手段に出た。全ては編集長の為である。
フェーザー・モデル・ガーディアンエンジェル。リュウジに授かった二連発の
小型拳銃。はなくそ程度の威力とは言え、当たれば当然相当な怪我を負う。
シュウイチはそれをリュウジに向けた。
「出て下さい!地理だけは!」
つづく
「…貴様に撃てるのか…」
「どうせ殺されるなら…僕の手で!」
「…分かった…こいつを吸い終わったらな…」
銃を向けられたまま、リュウジはセブンスターを吸った。
チャイムがなった。これで遅刻は確定である。リュウジは
それでもゆったりと煙草をふかしている。
「…的場あぁっ!早く!早く教室に行けえぇぇぇっ!!」
一発の銃声が響いた。威嚇射撃である。しかしシュウイチの
今までに見せたことのない剣幕はリュウジを動かした。
「…分かった。行けばいいんだろ。行くよ…」
ぶつくさ言いながら、リュウジは校舎に向かって歩き始めた。
つづく
二年C組。
「出席をとる!石川レイカ!」
「はい」
「…面倒だ」
出欠を確認するのに飽きた岩倉ヒョウゴはじろりと教室を見渡す。一つだけ
空席があった。
「うぬ!あの席は誰の席か!」
「…はい!ま…的場…的場リュウジくんの席であります!」
普段そんな自衛隊みたいな喋り方をする生徒ではない。しかし身長三メートルを
目前にすればどうしてもこうなってしまう。
「的場…リュウジ…。休みか!?」
「いいえ!学校には来ていると思われますが、彼は新聞委員で特例として…」
「特例は認めん!」
「は…はい!失礼しました!」
つづく
がらりと戸が開く。的場リュウジが立っていた。
「うぬ!貴様あぁ!」
その巨体!どれ程のものかと思えば今は亡き兄リュウイチを
恐らく超えている。幾ら何でもでか過ぎる。
「俺の…名前を…言ってみろ…」
「…!」
「俺の、名前を、言ってみろ」
知るわけがない。全校集会に出ていないのだ。
「…わ…わかりません…」
デコピン一発。たったそれだけの攻撃で百戦錬磨のつわもの、的場リュウジが
軽く五メートルは吹き飛んでそのまま昏倒した。
「喰うぞ!」
吐き捨てるようにいうと、そのまま授業を再開した。
つづく
と、突然、何者かの着信メロディが鳴った。
黒板に、『愛媛のみかんは世界一』と書いていた岩倉が怒りの
形相で振り向く。
「誰だ…携帯なんぞ持ってきているウツケは…?」
しかし生徒はその音が前方に聞いていた。
「誰か、と聞いている…。答えなければ、全員、喰う!」
「ひぃぃぃ…」
「…せ、先生の携帯では…ななな…ないですか…?」
「なぁにぃ…?俺の携帯が鳴ったと申すのか…」
ヒョウゴは携帯を開いた。
『新着メールあり』
『ヒョウゴちん、片付け大変!疲れたよぅ('A`)マンドクセ』
妻、トモミからのメールであった。
「トモミたん!今帰るヨ!」
岩倉ヒョウゴ、授業ほったらかしで帰宅。
終
どうしようコイツ…
またコッテリ濃いなぁ…
『喰うぞ!』って。
そしてトモミたんマンドクセって…
ちょwwwww
と言う言葉が今回ぴったりだw
イヤ…ホントにどうするんですかコイツw
これ勢いで書いたけど大変だぞ。リュウジの自由が利かなくなるし。
リュウイチ同様心霊写真って殺すってもトモミタン未亡人になっちゃうし
心霊写真サヨリが破いちゃったし…。
せめてデコピンシーンがなければな。デカいだけで普通の人間より非力
とか設定つけられたんだけど。
やっぱ熱あると駄目な。滅茶苦茶だよ(笑) まぁどうにでもなります。転任
させるのも面白くないんで、切り札キャラかな。
実は中に人が入ってたり、リモコンで動かしてて本体は・・・とかw
っていうかどんどんつおいキャラ増えてってリュウジが天津飯みたいになったら嫌だな…
(実はゴーレム)
>>147 ないないww いざとなればアンチマテリアルライフルが…(笑) そもそも
誰が強いって物語じゃないから(笑) 新キャラ続出でレギュラーが目立たなく
なるのって寂しいですよね。鳥山先生も辛かったろうなぁ…。ヤムチャなんて
ネタにされてたしね…。そういうことは基本的にしません。
>>148 正にオカルト。いいかもね。水かけたら溶けるとかw
乙でした!
いやはやすごい先生wwでも、リュウジには今までどおりのリュウジで
いて欲しいなw
そのうちヒョウゴとリュウジ仲良くなっちゃったりしてw
意外に弱点が一緒とかwww
でも、自分の中学の時もとんでもない先生たくさんいた。
今みたいに体罰が駄目だという風潮もなかったからしょっちゅう叩かれてる
生徒もいたし、あと先生同士のオフィスラブが多くて思春期の
生徒たちは困ったw
さてここらで怖い話でもするか。
二年ほど前の話である。奈良トモミは某県の中学に通っていた。
おとなしい、娘だった。
つづく
彼女の住む小さい町では何年か前からある噂があった。
町の北側にある森に入ってはならない、と。
その森の中には、明治の頃の貴族だか華族の建てた、西洋風の
建物が建っていて、深い森の向こうにその、城のような建物の尖塔が
ちらちらと見えたものである。
それを何者かが買い取るか引き継ぐかして、住んでいるらしいのだ。
森は深く、その洋館に向かう道の一本もない。森に入れば、その木々の
深さに洋館は見失われ、たどり着くことも困難であるとされた。
万に一つ、そこへ立ち入ったとしても、そこには何か得体の知れない
狂人が住み着いていて、来た者を殺すというのである。
奈良トモミはある日、何の躊躇いもなくその森へと入って行った。
半ば死ぬ気であった。おとなしく、真面目そうであるのに、頭も悪く、また
運動神経もない。
一方で、呪いや、魔術といったオカルトに興味を持ち、彼女は自身の死に
よってそれを立証することはできないかと思うようになった。
彼女は近隣の、行けば祟られる、触れれば呪われる、といった場所や、
いわくつきの『モノ』に近づいてはタブーとされる行為を繰り返した。
しかし何事も起こらない。
つづく
そして彼女はその城へ近づくことを決めた。
森は深く静かで、この先に件の中世ヨーロッパ風の建物が
あるなど信じられもしなかったが、一日がかりでやっとその
建物を見ることができた。
広々とした庭に一人の美しい男がいた。褐色の肌をした、健康
そうな男である。年齢は二十歳程度見えるし、もっとだいぶ上の
ようにも見えた。
彼は庭の芝を刈っていた。彼が狂人には見えない。
「こんにちわ」
声をかけると彼は不思議そうに首をかしげた。
トモミは一目で彼に恋をした。しかし彼は何も喋らず、彼女が声を
かけるといそいそと洋館に引き込んでしまうのだった。
それから毎日のようにトモミは彼の所へ出かけた。彼の態度も次第に
変わり、挨拶をすれば、微笑むほどになった。口を聞けない人かとも
思ったが、彼が最初に言った言葉は、
「見つかったら怒られるから」
であった。
つづく
見つかったら怒られる。やはり誰か別の人が洋館の中に
住んでいるのだろうか。それが狂人なのだろうか。
トモミは構わず彼の元へ通い続けた。
いつの頃からか、彼も彼で、トモミの来訪を待っているかの
ような素振りを見せるようになった。
二人は自然と愛し合っていた。
それを洋館の窓から覗く目があることに二人は気付かない。
洋館の主、岩倉ケンゾウである。
ある雨の日、トモミはどうしても心寂しくなって、森に潜った。
さすがに雨とあってか、彼の姿はなかったが、玄関の巨大なドアの
前に、一人の老人が立っていた。
彼は館の中へ彼女を招き入れた。
彼は、男の父親だという。
つづく
トモミは遠慮もなく、息子を愛していることを告げた。
ケンゾウは困った顔をした。
トモミはわけをしつこく聞いた。彼の口から出た言葉は信じがたい
ものだった。
彼の息子の名はヒョウゴといった。岩倉ヒョウゴ。そしてその父ケンゾウは
彫刻家だった。
ヒョウゴは幼い頃から天才肌で、頭がよく、また運動神経もよく、正にトモミとは
正反対の少年時代を過ごす。そして東大へ入学。ロケット技師を目指した。
しかし、大学を卒業したある日、悲劇が起こる。自宅前で、母ヨウコもろとも、
突っ込んできた自動車と門柱の間に挟まれ、死んでしまったのだ。
余りに突然の死。同時に愛する二人の存在を失ったケンゾウは絶望し、その死を
受け入れることもできず、遺体とともに暮らした。
そして狂ったように彫刻を作っては売り、今まで売る気がなかった傑作までもを
売り払い、金を作ってこの洋館を買い取った。
そこでケンゾウは魔術を一から独学で学ぶ。二人を蘇生させる方法を研究するに
没頭した。
つづく
そして腐乱が進むに進み、単なる白骨と化した二人の遺体と、ある特殊な
土と、細かく砕いた鉱石を混ぜ、更に様々な魔術的な手法を用いて、遂に
『生ける土』と呼ばれる土を作り出すことに成功する。
元は彫刻家である。彼はその土を、息子そっくりの人形に仕上げたが、土が
足りず、遂に妻の人形を作ることはかなわなかった。
そしてまた魔術的な手段を踏むとどうだろう、その息子の形をした単なる土
人形が動き出し、言葉まで喋るではないか。
ケンゾウは喜んだが、息子ヒョウゴそっくりに作られたその人形には、全く
当時の記憶がなかったのである。
彼は再び絶望しつつも、形だけの彼との生活を続けていた。
ヒョウゴはケンゾウの言うことならば何でも聞いた。しかし聞くだけだった。
彼が自分で何かわがままを言ってくるようなことはない。ケンゾウはそれが
たまらなく寂しかったのである。
何度かの訪問の後、トモミはヒョウゴとの結婚を考えているとケンゾウに
切り出した。ケンゾウはしばらく考えさせて欲しいといったきり、何ヶ月も
悩んだ。
ケンゾウは長年の絶望と無理が祟って身体を壊している。彼はトモミとヒョウゴの
結婚を許した。ヒョウゴは死亡届もだしておらず、戸籍上は生きた人間そのまま
であるから、結婚も問題はない。
つづく
トモミは、彼女に冷たくあたる義理の母と父の家を抜け出し、
駆け落ちのような形で結婚式に望んだ。
彼女も幼い頃、父と母を亡くし、叔父と叔母に育てられた
孤独な少女だった。
新郎、ヒョウゴと新婦トモミ。そして岩倉ケンゾウだけが出席する
慎ましい結婚式が執り行われた。
二人が永遠の愛を誓ったその時、ケンゾウは静かに死んだ。
彼はヒョウゴ、即ち『生ける土』の扱いを自らまとめた一冊のノートを
抱えていた。
皮肉にも、そんなケンゾウの命日と結婚記念日は同じ日となった。
複雑な初夜、彼女はヒョウゴに風呂を勧めた。
彼が風呂に入っている間、彼女はケンゾウの書き残したノートを眺める。
『ヒョウゴは主の命令にのみよく従う。今までは私が主であってが、結婚に
あたり、トモミさんが主となるように、変えておいた。ヒョウゴはトモミさんの
言うことなら何でも聞く。ただし幾つかやってはならないことがある』
ページをめくると、最もやってはいけないこととして、
『水に当てること』
とあった。
つづく
慌てて風呂を覗くと果たしてヒョウゴは浴槽で溶け、単なる泥と
化していた。トモミは泣きながらその土をこね、新たにヒョウゴ
らしいものを作ったが、それでもプロの彫刻家であったケンゾウに
及ぶはずもなく、二度と、あの褐色の美男に出会うことはない。
更にノートには『生ける土』はまだ少し残っている、とあったので、
洋館に戻り、土を足したり削ったり何とか恰好を整えようとしている
うち、ヒョウゴの身長は三メートルを越す巨体になってしまった。
そして、年月は経ち、軽子沢中学への赴任が決まった日、つい
うっかり、トモミは、
「生徒にナメられないようにしっかりね」
と言ってしまったのだ。そしてまたうっかり、疲れたというメールを
出せば引越しを手伝う為に仕事そっちのけで帰ってきてしまった。
「もう…ちゃんと先生の仕事しなきゃだめでしょ!」
怒られて落ち込むのはいいが、それにしても三メートルの巨体は
マンションには邪魔だった。トモミは彼を風呂場で溶かして、今度は
小さく仕上げた。大きさと知能は特に比例しないので問題はない。
岩倉ヒョウゴ。十七歳の幼な妻の手でこねこねと、身長四十センチの
異様に可愛いくまさんとして再生。生徒さんにに優しく、丁寧に、分かり
やすい授業をしてあげるんだよ、と告げられすっかり人格も変わり
翌日、軽子沢中学で大ブレイク。
終
なんじゃそりゃwwwwwww
ヒョウゴ!ありえなさすぎw
とにかくトモミ早く彫刻の技術を上げてくれw
>>148 勝手ながら正式採用させて頂きました。
本当にありがとうございます。
(以下の話は実験作です。まとめサイト掲載はしなくても結構です)
さてたのしいおはなしでもしましょうか。
いわくらヒョウゴは、かるこざわ中学校の先生です。
とても大きいからだで、そのすがたはまるでおそろしい、おにのようでした。
www.younganimal.com/berserk/world/old/img/zod01.jpg
つづく
でも、いわくら先生はにんげんではないのです。ほんとうは、
土からつくられたにんぎょうなのでした。
先生はけっこんしていて、なかのいいおよめさんがいました。
およめさんのいうことを先生はよくききます。先生はとても大きいので、
家の中でも、じゃまです。そこでおよめさんは、お水で先生のからだを
とかして、小さい小さいくまさんに作りかえました。
ttp://img04.shop-pro.jp/PA01012/814/product/2160954_o2.jpg こころもやさしいくまさんになったいわくら先生は小さいからだで
いっしょうけんめい学校にいきます。
学校では、またあのおそろしいおにのようないわくら先生が来るのか
とみんなびくびくしていました。
ところがやってきたのは、小さくかわいいくまさんだったのです。
女の子はかわいいかわいいとさわぎはじめました。
しかし、くまさんといっても先生です。いわくら先生は、
「じゅぎょうをはじめます」
と言って、こくばんを見上げています。小さくて、こくばんに手が
とどかないのです。
つづく
「だれか、だっこして」
女の子は、わたしがだっこする、わたしがだっこするとさわいで、
いわくら先生をみんなでだっこしたがりました。
いわくら先生はふかふかで、とてもかわいいからです。
いわくら先生をだっこするととてもしあわせなきぶんになれるのです。
おひるになりました。いわくら先生はじっとしています。
となりのせきのふくおか先生が、
「おひるごはんは、たべないのですか?」
とききました。するといわくら先生はさびしそうに言いました。
「からだが小さくておべんとう、もってこれなかった」
ふくおか先生はかわいそうになって、じぶんのおべんとうにはいって
いた、小さいコロッケをあげました。
「ありがとう!」
小さいコロッケをもらっていわくら先生はごきげんです。
でも、コロッケのあぶらで手がベタベタになってしまいました。
ふくおか先生は、ティッシュでその手をやさしくふいてあげました。
つづく
それをみていたのは、やまがた先生です。やまがた先生は、ふくおか
先生のことが、ほんとうはすきだったのです。
すきなふくおか先生から、コロッケをもらったり、やさしくして
もらえるいわくら先生が、やまがた先生はだんだんいやになって
きました。
やまがた先生は、なかのいいせいと、まとばリュウジにおねがいして、
いわくら先生をころしてもらうことにしました。
まとばりゅうじは、
「やってみよう」
といって、アンチマテリアルライフルをもちだしました。これは、
ヘリコプターでもうちおとす、つよいつよいてっぽうです。
まとばリュウジは、たかいたかいビルの上から、ねらいました。
てっぽうにはぼうえんきょうがついていて、とおくのものもよく
みえます。そこに見えたものは、かわいいかわいいくまさんでした。
まとばリュウジはびっくりしました。いわくら先生があんなかわいい
くまさんになったことをしらなかったのです。
あまりにかわいいので、まとばリュウジはてっぽうをうつことが
できませんでした。かわいいものが本当はだいすきなのです。
まいしゅうないしょで、ドラえもんやクレヨンしんちゃんを見ています。
つづく
なにもしらないいわくら先生は、一日のしごとをおわらせてかえろうと
したところをつかまってしまいました。
つかまえたのは、サヨリといういろの白い女の子です。
「あら、ゴーレムなんてひさしぶりに見るわ」
土からできたいわくら先生はゴーレムというようかいなのです。
サヨリが、いわくら先生を水につけると、先生はとけて、どろに
なってしまいました。
こねこねとこねてサヨリはかわいいくまさんだったいわくら先生を
にくまんのようなへんなかたちに作りかえてしまいました。
サヨリはにくまんになったいわくら先生をあたまにのせて、家に
かえろうとしました。
いわくら先生は、いやだなあ、こまったなあとおもって、いきおいよく
サヨリのあたまからとびおりると、ぴょんぴょんととびはねてバスに
のりました。これでじぶんの家までかえれるはずです。
「にげられた」
サヨリはちょっとざんねんそうでした。
バスのうんてんしゅはふしぎでした。なんでにくまんがのっているのか
わからなかったからです。
終
ちょwwwwwwwすごいことになっとるwwwwwww
167 :
148:2006/11/01(水) 20:51:15 ID:ZetEKOHp0
うひょー
採用されてるww
作者様、お疲れ様です
わたくしめの思いつきを採り入れていただき
たいへん光栄に思います
普段はロム専のわたくしですけれども
いつも楽しみに読ませていただいておりますので
これからもがんばってくださいね
>>166 すごい…こんな中途半端な時間でしかも下打ちコピペなのに即レス…
読んでくれてありがとう^^
>>167 いや、助かりました。おかげで楽しいキャラクターがまた一人増えました。
便利です(笑) スピンオフにしなくても、日常の中で、ちょっと、『今日の
岩倉ヒョウゴはガチャピンだった』とか入れることで存在をアピールできる
ので、いいです(笑)
わざわざROMなのにレスどうもです。これからもよかったら読んでください。
ありがとうございました^^
ちょwwwwwwww
肉まんになってる!
なんちゅうナイスキャラだw
変身するんはいいけど時間が経ったら
一応元のイケメンに戻るとかだったら
ヒョウゴ苦労しなくていいだろうにな。
さあ!美術教師の出番だ!
ヒョウゴをコネてやってくれ〜!
久々に来れたと思ったらすごいことにw
ゴーレムってwww
>>148超GJ!
そして、それを採用できてしまう作者さんの力業に脱帽ですwww
おーまとめサイトに『おまけ』として掲載されてる!
ただ画像は適当に探したもので無断転載にあたるので、あると面白いんだけど
消させて頂きました。
わざわざ載せてくれたのにすまんです。
まとめサイト更新してくれてる人って何人もいるの?仕事早いよなぁ…。
びっくりする…。。
さてここらで怖い話でもするか。
福岡ユウコは髪を後ろにくくって、ジャージ姿で疾走していた。ジャージと
いっても最新の、スタイリッシュなものである。
つづく
右手に折れれば自宅のマンションへ向かうところを彼女は
一瞬スピードを緩めて左に向かった。
駅の方向である。
軽子沢中学から止まることなく、かなりの速度である。吐く
息が白い。
しかし目的の『枡や』の赤提灯はその光を消していた。しかし、
入り口の戸の擦りガラスからは暖かな灯が漏れている。
何となく様子を伺うと、中に客はいるようで、赤提灯の電球が
切れたか、付け忘れたかしたのだろうと彼女は引き戸を開いた。
「いらっしゃーい」
いつもの店長とは違う声で出迎えられる。アルバイトの青年が
厨房に入って、焼き鳥を焼いていた。客もいつもより少ない。
店長の具合でも悪いのだろうかと思っていると、見覚えのある
背中がカウンターにあった。
山形ユウジロウである。彼女は、ユウジロウの隣に腰を降ろした。
つづく
「お疲れ様です」
「萌え…」
「いきなりですか」
悪戯っぽくユウジロウが笑うと、ユウコも笑った。
「お飲み物は?」
「あー…カルピスサワー。氷抜きで。あとししゃも焼いてくれる?それからタコわさ!」
「はーい」
いつもの店長の調子と違うので何か別の店に来てしまったような違和感が
ある。それは、店長が不在だからというだけではなく、店全体の雰囲気もどこと
なくおかしいのだ。
「…」
ユウジロウはカウンターに肘をついて、左手にグラスを持ち、手首だけ動かして、
ちびちびとよく冷えたチャミスルをやっている。竹炭で濾過されたそれは、くせの
少ない韓国焼酎である。
つづく
つまみはない。ただちびりちびりと酒だけを飲んでいる。
何人か常連の姿もあったが、みんなそれぞれ飲み方も、
食べ方も遠慮がちで、もう肴を食べ尽くしているのに何も
追加するふうでもなく、手酌でやっている者もいる。
それでも、新しい客や、あまり見かけない客からは色々と
注文が出て賑やかではある。
少ないアルバイトの子たちが世話しなく働いていた。
なるほど、とユウコは思う。店長がいないので、今日はアルバイト
店員だけで切り盛りせねばならず、不慣れであれやこれや色々と
注文すると、店員が手一杯になってしまうので常連たちはそれを
気遣って遠慮しているのだ。
それにしてもどこかおとなしい風情はどうだろう。店長がいないだけで
こんなにも空気が変わるものだろうか。
少しぬるいカルピスサワーを一口飲むと、ユウジロウを見た。
さっきの『萌え』は何だったのだろう。何となく、無理矢理、いつも通りの
自分をアピールする為にいったような気がする。
つづく
久しぶりの枡や。雰囲気が違うのはどうしたことか・・・
「今日、店長は…?」
遠慮がちに聞くとユウジロウはちらりとユウコを一瞥して、カウンターに
置いたままの右手で、ちょいちょいと店の奥を指差した。
見るとそちらは奥座敷だ。(第四十九夜 『現実態』 参照)
敗北者の席。今日の負け犬の座。そして明日は負けまいと誓うところ。
驚いたことに、そこに店長はいた。こげ茶色のスーツに身を包んでいるが
間違いなく店長だ。
彼の向かいには、ガーゼ地の浴衣を着た、いかにも不健康そうな女がいて、
酒の相手をしている。
店長はたまにふと笑ったり、ひどく哀しそうな顔をしたりしながら、酒を飲んで
いた。身体をこわしているのか、女は酒も飲まずただ、少し疲れたように身を
斜めにして、小さく微笑んでいる。
歳の頃からすれば店長と同い年程度、直感で、店長の妻ではないかと思った。
ますますもって異常である。店長がアルバイトに店を任せきりにして、奥座敷で
寂しく酒を飲んでいるのだ。
常連達がおとなしくしているのは彼のせいでもあったのか。
つづく
福岡ユウコは、少しさっぱりしているというか、女性らしくないというか、
人の気持ちに疎い部分がある。その点では木下サエに少し似ている
かもしれない。
株か何かで大損でもしたのだろうと、鼻につんとくるタコわさを口にした。
店長の作るそれよりわさびがきつかった。
「国士無双ある?」
「冷で?」
「思いっきり熱くして」
「はーい」
グラスの底に残った何滴かのチャミスルを、思い切りあごを上げて、グラスを
真っ逆さまにして飲み干すユウジロウにユウコはししゃもを勧めた。
「一本食べます?」
「あぁ、どうも」
「今日はみんなおとなしいですね」
「うん」
「店長、何かあったんですか?」
つづく
小声で聞くユウコにユウジロウは苦く焦げたししゃもの頭を
かじりながら言った。
「キスしてくれたら教えるよ」
頬にユウコのくちびるがが触れた。ユウジロウは特に驚いた様子も見せず、
ただしてやられたというように、苦笑いをした。
「約束ですよ」
「お待ち!」
持てないほど熱い国士無双がカウンターに置かれると、ユウジロウは、店員に
手があいた時でいいから、と告げておでんを適当に二人分頼んだ。
「店長がもともと赤坂の料亭で職人やってたのは知ってる?」
「腕がよかったみたいね」
「まだ店長が赤坂で働いているとき、奥さんが妊娠した」
ちらりとユウコは奥座敷を見た。やはりあれが店長の妻なのか。
つづく
「聞いた話だから、正確じゃないかもしれないけどさ、料亭ってのは
予約制だろ?」
「へー…そうなんだ。行ったことないからわかんないや」
「俺だって行ったことないよ」
熱い国士無双のおちょうしを、おしぼりで包むようにして上品に持ち上げると
ユウコは酌をしてやる。ユウジロウは少し照れくさかった。
「だから時間が読みやすいというか…しにかくまぁ、奥さんが出産する時には
ちゃんと立ち会えるように、料亭の方で配慮してくれたみたいなんだよ」
「うんうん」
二人が会話をしているので、気を使ったのか、店員は何も言わずおでんの器と
取り皿をそっとカウンターに置いた。ユウジロウは喋りながら礼をするように右手を
軽く上げた。
「早産らしくてね。急に陣痛が始まった。あ、おでん適当に食べて」
「あ…ありがとう頂きます」
つづく
「奥さん自分で救急車呼んで、病院に行ったんだ」
「店長は?」
「まさか早産だとは思わないから働いてたんだと。ところがトラブルが起こった」
「トラブル…?」
よく味の沁みた大根に少しからしをつけて、ユウコは口に運んだ。
「何でも大事な常連さんの予約が入ってたらしいんだけど、食材が入って
こなかったとか…」
国士無双を煽り、半分溶けてしまったような昆布を頬張る。ユウコはまた一杯
注いでやった。自分の酒がなくなったので、レモンサワーを追加すると、
ユウジロウが何やら落ち着かない。
多分煙草が吸いたいのだろうと思いユウコは何も言わずそっと灰皿を滑らせた。
「あぁ、すいません」
「どぞ…」
ラッキーストライクの煙をこれでもかと吸い込み、一気に吐き出す。煙は厨房まで
届いて、換気扇に吸い込まれた。
つづく
「店長は目が利くから、慌てて食材を探しに行った。高級料亭だからね。
それなりの素材じゃなきゃだめだ」
「でも赤坂ってそんなにお店ないよね…?」
「うん。ホテルの厨房に駆け込んでまで食材探したらしい」
「すご…」
「そんな時だよ。料亭に電話があった。奥さんが病人に運ばれて、産まれ
そうだって」
「えー!」
「携帯もポケベルもなくて、連絡の取りようがない…」
また氷抜きと頼むのを忘れてしまったと、思いつつ、ユウコは汗をかいたグラスの
冷えたレモンサワーを喉をこくんと鳴らして一口飲んだ。
「随分経ってから店長は戻ってきた。食材を持ってね。魚だか何だったか。ところが
もう時間はぎりぎりだった」
「ぎりぎりってどっちが?」
どっち。料亭の客の予約か、妻の出産か。
つづく
「どっちも…かな。仲間はみんな病院に行ってやれと言ってくれた
そうだよ。でも職人が一人減ればそれだけ準備も遅くなる」
「…」
「どうせ間に合わないと思ったんだろうな。店長は仕事を選んだ」
「…仕事…」
「きっちり仕事を終わらせた店長は、慌てて病院に行った」
そこまで言うと、ユウジロウはそろそろ程よくぬるくなった国士無双を
手酌で、三杯、連続で飲み、おでんのこんにゃくを口に放り込んだ。
咀嚼の時間がまどろっこしい。
ユウコは次の言葉を待った。
「死産だった」
「!」
つづく
「別に誰が悪いわけじゃない。悪いとすれば運が悪かっただけだ。
だけどそういうわけにもいかんのかな。店長は自分を責めて、
奥さんも自分を責めた」
「奥さんは心労で病気がちになって、寝たきりってわけではないけど、
床を蒸す、っていうのかな…」
「『床に伏す』です」
「ああ、そうか。さすが国語の先生」
少し酔ったのか赤くなった顔でユウジロウは恥ずかしそうに乾いた笑顔を
見せた。
「それで店長、決めたんだ。料亭をやめて、ここに店を出そうってね。ここなら
通勤しないで済む」
枡やは一階が店舗スペースだが二階は居住スペースになっていて、店長は
この店の二階で暮らしている。それは福岡ユウコも知っていた。
つづく
「奥さんの面倒を見ながらってことね?」
「うん。そう。一時は奥さんも店を手伝えるぐらいになったんだけど
やっぱり調子は良くなかったみたいで」
国士無双の最後の一杯をちびちびやっているユウジロウから目を
反らし、奥座敷の店長を見る。相手の女性。ガーゼ地の浴衣。
まだ奥さんの調子はよくないんだ。だからあんな恰好で…。
もう熟年夫婦といって差し支えない年齢に至っている。もう子は求められ
ないだろう。二人の寂しげな様子はそういうことか。
ユウコはレモンサワーを少し多めに飲んだ。いつもよりすっぱく感じた。
「だから、毎年今日になると、店長、奥座敷に引っ込んで一人で呑むんだよ。
奥さんの、命日にね」
終
しんみりしちゃった…(´・ω・`)
『枡や』にいるつもりで、ちびりちびりやりながら読みましたよ…。
飲んだのはココアだけどw
あ〜、やっぱり、そうじゃないかと思いながら
違いますようにと願ったけど悲しい・・、店長・・頑張れ。
>>186 最近バカ話ばかりだからね…。こういうのもやっとかんと…。
書いててちょっと辛いですけどね。もともと悲劇は苦手です。
>>187 かなりごまかしたつもりなんだけどなぁ。悔しいね。俺が
推理小説書けないのもそのへん。構成下手なのかな…。
バレるのよね^^;; 読んでくれてありがとう。
何も気付かず普通に読んでて、最後の一行見た瞬間かなりゾクっとした…(´;ω;`)
しんみり系なお話なのに怖いと思ってしまった…
夜中に読んでるからなおさら…
>>189 いい読者さんだ…ありがとう。・゚・(ノД`)・゚・
哀しいお話ですが、一応怪談なので、やはりオチが重要です。
さてここらで怖い話でもするか。
軽子沢中学は、二学期の期末テスト期間に入っていた。
いつもの朝と同じ朝ではあるが、どことなく緊張感が漂っている。
つづく
もう全てやることを済ませ、これ以上は単なる悪あがきだと言わんばかりに
いつものように雑談をし合う者。
その悪あがきの為に必死でノートを見返す者。
記憶していることが正しいかどうか、一度天井を見上げて何やら口の中で
ぶつぶつ言ったかと思うと、視線を下げ、机の上の教科書を見て小さくガッツ
ポーズをとる者。
二年B組である。
テスト期間とはいえ、やってくる教師はいつもと変わりない。今日は金曜日で
あるから、普段の一時限目は歴史だが、テスト日程では、化学のテストに
なっている。しかしやってくる教師は普段通り、歴史担当の青木マサヤ
(第二十三話 『寄る辺無き者の罠』 参照)だ。
彼がテストの監視員を勤めるわけである。
チャイムが鳴ると同時に彼は教室に現れ、問題用紙と解答用紙を手早く配る。
プリントは前席の者から順に後ろへ送られる。よって公平をきす為、問題用紙は
裏返しで配布された。
つづく
化学のテストは悪評が高い。化学教師、山口ミチオの意地が悪いのだ。
彼はおとなしい教師で、授業中も生徒を叱ることなど滅多にない。騒がしく
していても、私語をしていても、淡々と授業を進める。
しかしそれがテストになると牙を剥く。彼は授業中、生徒が騒がしかったり
授業を余り聞いていなかった時、何を教えていたか記憶している。
敢えてそこがテストに出るのだ。しかも、これはテストにでるかもしれないから
よく聞いておくように、といった部分に関しては、まず出ない。
テストに出る、と断言しているわけではなく、あくまで、かもしれないと言って
いるので文句は言えない。
しかしそう油断していると、今度はきちんとテストに出してきたりする。
基本的にテストは記号問題である。『穴埋め』というものだ。色々と長い文章が
あり、ところどころが虫食いのように空いている。下の欄には様々な単語に記号が
つけられ並んでいて、当てはまる単語の記号を解答用紙に書いていく。
一見、一から思い出すよりも簡単そうだが、その辺りも絶妙で、かえって記憶を混乱
させるような選択肢が並ぶ。しかも全ての単語がきれいに埋まるわけではない。
使用しない選択肢もあるのだ。
ついたあだ名は、『サドミチオ』。これを『佐渡ミチオ』という本名だと思っている生徒も
実は少なくない。サディストのサド、である。
つづく
「よし、みんなに渡ったかぁ?はーい。問題用紙ひっくり返して。
はじめぇー」
がさがさと紙を裏返す騒がしさが教室を支配する。と、数名の生徒が
無言で手を上げた。
「ん?どうした?」
「問題が印刷されてません」
そんなこともあるだろうと余計に印刷してある。青木は慌ててきちんと
印刷された問題用紙を手に、生徒らの間を回った。何度かに一人程度
なら分かるが一度のテストで五枚のミスプリント。コピー機の故障だろうか。
いずれにせよ、青木は、生徒が印刷されていないといったプリントと、
新しいプリントを交換し、教卓に戻った。
しかし妙だった。その生徒がおかしいといった問題用紙がおかしいのだ。
印刷がかすれていたり、薄かったり、全くの白紙であったりするならば分かる。
しかし、それら五枚の問題用紙にはそれぞれ、
『ム』、『ナ』、『ラ』、『ウ』、『ミ』
と一字ずつ小さい文字ではあるがはっきりと、印字されているのだ。
つづく
テストの監視。重要ながら退屈な仕事である。一時間近く、無言で
かつ生徒達には注意を向けていなければならない。
退屈しのぎに、教室の席の間を行ったり来たりする教師がいるが、
学生時代そういった教師の行動に随分と鬱陶しさを覚えた彼は、
自分が教師になった際にはそういうことはしないでおこうと決めていた。
生徒らに注意を向けつつ、先ほどのプリントをちらちらと見ている。
『ム』、『ナ』、『ラ』、『ウ』、『ミ』
彼は何となくそこに意味がある気がして、頭の中で文字を並べ替えて
いた。
『ウミナムラ…ムラナウミ…村な海?…なら…奈良?』
つい集中力がそちらにいってしまい、じっと教卓を見つめていると、突然
横から
『…マサやん…』
か細い女の声がした。驚いて声のした方を向くが誰もいない。急にびくんと
動いた青木に気付いた生徒の何人かが怪訝そうにこちらを見ていた。
彼は何でもないからテストに集中しなさいと言わんばかりに、咳払いをした。
つづく
そして彼は五枚のプリントの意味を知る。
『ム』、『ナ』、『ラ』、『ウ』、『ミ』
『ナ』、『ミ』、『ウ』、『ラ』、『ム』
『…ナミ怨む…!』
まさか、こんな所で、こんな形で、明らかな狼狽を見せ、その様子を
生徒に気取られはしないかと視線を上げるが、やはり難問の化学の
テストとあって、誰もがテストに集中している。
ほっとしていると、教室の後ろの席の女子がすうと手を上げた。
今度は何だろう。ペンか消しゴムでも落としたか。テスト中はカンニング
防止の為、何か拾う際には自分で取りに行かず、教師に取ってもらう
ことになっていた。
他の生徒の邪魔にならないよう、静かに無言で彼女に近づき、耳元で、
『どうした?』
と訊ねた。女子は言った。
『すいません。先生、さっきから女の人が覗いてて気になるんですけど…』
つづく
女子は教室前方のドアを指差した。振り返ってみるが誰もいない。
『若い女の人なんです。小池栄子さんに似た感じの…』
『!…わかった。わかったからテストに集中しなさい』
声が震えていた。『ナミ怨む』、『教室を覗く小池栄子似の女』…。
心当たりがあり過ぎた。つい先日ふった恋人、関口ナミだ。
ちゃんと話し合ったつもりだが、少々強引に別れた気がしないでも
ない。
青木は教室をそっと出て、携帯電話を取り出し、まだアドレスに残っている
富山ナミに電話をかけた。
先生はいなくなったが、どうせすぐに戻ってくるだろうと皆、そのまま真面目に
テストを続けていた。
ただ一人、不真面目な者がいた。赤いくちびるを歪め、そっと立ち上がると、
化学の成績のよい男子生徒の背後に回り、彼の答案を堂々と見た。
誰も彼女に気付かない。
二年B組生徒。サヨリは人の死角に入ることができる。
答案に並んだ記号を丸覚えすると、彼女は視線の隙間をかいくぐり、次の
瞬間には、同級生、霧原トオルの机の下に潜り込んでいた。
つづく
驚いたのはトオルである。話には聞いていたがまさか
いきなり机の下、股の間から現れるとは。
サヨリは悪戯に微笑むと長く白い、人差し指を一本立てて、
唇に当てた。
トオルが無言でうなずくと、彼女はそっと右腕を伸ばしてきた。
トオルは周囲を気にしながら、彼女の右手を素手で軽く握った。
テストの解答が流れ込んでくる。そして、最後に、つきあわせちゃって
ごめんね、という彼女の意思が飛び込んできた。
気付けば彼女はもうおらず、ややあって、ほっとした面持ちの青木が
クラスに戻ってくる頃には自分の席に戻っていた。
全てはサヨリの計画だった。彼女はテストの数日前、トオルに言った。
青木マサヤの記憶を探ってほしいと。時間割通りに教師が来るのだから、
化学のテストの際に監視員としてやってくる教師は既に青木だと分かっていた。
渋々トオルは引き受け、廊下ですれ違い様、青木の記憶を右手の力で
読み取ると、最近どうも女をふったらしいことが分かった。
関口ナミ。よく、小池栄子に似てるね、言われる女らしい。
つづく
サヨリはそれだけ聞くと、
『ナ』、『ミ』、『ウ』、『ラ』、『ム』
のプリントを自ら作り、更にテスト直前、教室に向かおうとする青木の
机の上にのった化学のテストの問題用紙にそれらの紙を紛れ込ませた。
無論死角に入って。そっと。
テストの問題自体を前もって入手するのが手っ取り早いが彼女の能力は
消えることではなく、あくまで死角に入ることだ。探し物をするには適さない。
近づけないものには近づけない。第一、テストは直前まで化学なら化学の
山口ミチオが管理していて、教師の間でもどこに保管されているかの情報
交換はされない。
その後、テストが始まり頃合を見計らって、また死角に入って青木に近づき、
彼が元恋人、関口ナミから呼ばれていたように『マサやん』と声をかける。
更に慌てる彼の様子を楽しんだ後、手を上げて彼を呼び出し、窓の外に女が
いると告げた。
つづく
もしや関口ナミは別れを悲観して自殺してしたんではないだろうかと気が気で
ない青木はクラスをそっと出て、携帯電話で彼女の無事を確認する。
その間がアタックチャンスである。カンニングをし、更に情報提供の礼として
霧原トオルに解答を伝える。
トオルは断ったが、彼女は来てしまった。
テストの結果はまだ出ないが、どうも青木マサヤは、関口ナミと復縁したそうで
ある。例の電話がきっかけだった。ナミは仕事中なのに心配して電話をくれた
ことに感激し、青木自身も、何故そこまで心配したのかと考えた結果、単に
祟りが恐ろしいなどというものではなく、まだ彼女のことが好きだったらしいことに
気付いた。少しやきもち焼きの彼女が、煙たかっただけなのである。
霧原トオルは不思議だった。自分の能力を利用するならば、いっそテストを作った
張本人である山口先生の記憶を読めばそれで済んだのではないか。何でそんな
回りくどいことをするのか。
何となく二人きりになった時に聞いてみると彼女は、一瞬うぅんと困ったような顔を
して見せると、ぽつりと答えた。
「回りくどい方が楽しいでしょ?」
終
便利・・・・・
確かに便利w
サヨリって、自由奔放だけど憎めないなぁ〜。
さてここらで怖い話でもするか。
軽子沢中学校校長鬼塚ケンシロウと、同じく二年C組生徒、的場リュウジの母、
ケイコとの結婚が決まった。
つづく
まだ婚姻届出していないが、日の吉凶を見て提出。的場ケイコは
鬼塚姓を名乗ることにしたが、息子リュウジは反対の姿勢を見せた。
エチオピア−エリトリア紛争で死んだ戦場カメラマンの父。彼はその
姓を失いたくはなかった。彼は父に憧れ、父の後を追い、あくまで、
『的場』として死にたかった。
再婚の際、ただ婚姻届を出しただけでは、義理の親と子の間に法的な
親子関係は発生しない。別に養子縁組届が必要となる。
彼はそれを拒否した。鬼塚ケンシロウの子となることを認めなかったのだ。
よってやや複雑な家庭となる。鬼塚ケンシロウと、的場ケイコは正式に
夫婦となり、夫、鬼塚ケンシロウと、妻、鬼塚ケイコになるが、ケイコの
息子であるリュウジは、あくまで『ケイコの子』という扱いで、『ケンシロウの
子』ではない。
よって、例えばケンシロウの遺産を相続する権利などをリュウジは放棄した
形になる。
母ケイコもそんな息子や、元の夫を気遣ってか、一度は結婚式などは行わない
姿勢を見せたが、鬼塚ケンシロウの社会的立場上、また彼女は再婚であるが、
ケンシロウは初婚であることなどから、結婚式は執り行われることとなった。
リュウジはその出席も拒否した。
つづく
立場上、円満な結婚を迎えたかったが、リュウジの気持ちも
分からなくはない。まだ十四歳。そして本来の父に熱烈な、
崇拝にも似た憧れを持っている。
ケンシロウは何も言えなかった。何となく、彼や死んだ彼の夫から
ケイコを奪ってしまったような、罪悪感めいたものを感じていた。
結婚式場の予約だか、下見だかを二人がしに行った日、
的場リュウジは駅前いた。『枡や』とは反対の方向へしばらく歩くと
その店はある。『ビラール・ペロサ』
時折訪れるカウンターバーである。
店内はひどく暗い。カウンターの上をぽつんぽつんと薄暗いスポット
ライトが照らしているだけで、バーテンの顔すらはっきりとは見えない。
レニートリスターノのピアノが静かに流れている。
背もたれもない、高い丸椅子に腰かけ、クレメンタインをダブルロックで
頼んだ。
聞いているのかいないのか、返事もしないバーテンは、しばらく経って
から緩慢に動き出すと、注文通りのものをカウンターにことりと置いた。
つづく
氷が解けるか解けないか、リュウジは一息に飲んで、また同じもの
を頼んだ。
「どうした。小僧」
一つ椅子を挟んで更に向こうの席から声がした。暗がりで、顔は見えない。
ただ、彼のカウンターに置かれた、節くれ立った手がぼんやり見えた。
リュウジはクレメンタインが来るのを待って、返事をした。
「母親が再婚するそうだ」
「…そうかい。まだママが恋しいか?」
「…そんなんじゃない」
かぶりと一息でまた飲み干す。
「ヤケになるのはいいが下品な飲み方はするな。みっともないだけだ」
「…」
三杯目のクレメンタインを、リュウジはゆっくり氷を溶かしつつ味わうように
して飲んだ。
つづく
中学生が、時折バーを訪れちゃいかんよwww
誰も何も喋らず無言でレニートリスターノのピアノだけが響いていた。
そして時折グラスの中の氷の崩れる音。
リュウジはゆっくりと余りくせのないバーボン、クレメンタインを飲みながら、
ちらちらと奥に見える男のごつごつとした手を見ていた。
「そろそろ遅い。坊主は帰る時間だ。おふくろさんを大事にな」
その手と、カウンターの間に一万円札が挟まれて、ずずっとこちらに
滑ってきた。
「…すまない」
リュウジはそのまま立ち上がると、ほんの少し体重が軽くなったような、微酔感を
味わいながら、『ビラール・ペロサ』の安っぽいドアをあけ、冷たい風に身を晒した。
どうも彼は、ケイコの再婚を何とも思ってはいないようだ。少し自分もこだわりが
過ぎたか。彼がいいならいい。何も言うまい。ただし、『的場』の名と血は守る。
奥にいた男の拳。声。それは亡き父のそれだった。
咥えたセブンスターの紫煙は、強い風に吹かれて。
終
短くてすいません。手を抜いたわけではないです。今回はこういう
お話です。御了承下さい。
>>207 短い間に合いの手サンクスでした^^
給食をつまみにしながら酒飲んでるぐらいだからなぁ…(笑)
親父カッコヨス(#ToT#)
給食つまみかよwワロス(#ToT#)
雑談の方までサイズオーバーとは…
スゴス
さてここらで怖い話でもするか。
朝から暗雲が立ち込めていた。鳥のさえずりさえ聞こえない。
枯れた木の葉が風に煽られ、かさかさと鳴る音だけがしていた。
つづく
山形家。
「お兄ちゃん。朝だよー」
揺り起こすアカネに、ユウジロウはかったるそうに答えた。
「今日は休み」
「うそ。平日だよ?」
「でも今日は休みなの。いいからお前も寝ろ」
「だって朝ご飯…」
布団から突然出てきたユウジロウの片腕に抱き寄せられ、そのまま
布団ごと包まるように抱きすくめられたアカネはそのまま暖かい布団と
兄ユウジロウの腕の中でとろけるようにまどろんだ。
岡崎家。
リョウコは母に試験勉強で疲れ、体調が悪いので学校を休みたいと申し出た。
見れば確かに目の下に隈ができている。彼女は試験中から具合が悪いと
言っていた。
「…そう。わかった。じゃあ学校に電話しておくから休んでなさい」
「ごめんね。お母さん。そうさせてもらう」
つづく
鬼塚ケンシロウも同様であった。いつもならぱそろそろ着替える
時間であるのに、寝巻きのまま、ワイドショーのスポーツコーナーに
見入っている。
徳島剛三。52歳。彼は誰より早く学校に行く。そして今日一日の仕事を
確認する。そしてゆっくり茶を飲み、必ずやってくる職員一人一人に
丁寧な挨拶をすることを心がけていた。
八時前から電話がぼつぼつと鳴り始める。普段ならやってくる教員が
まだこない。
彼は電話の対応に追われた。
「はい。軽子沢中学ですが…。はい。三年B組の岡崎さん?はい…はぁ。
そうですか。お大事になさって下さい。はい。失礼します…もしもし。はい。
あ、校長!休まれるんですか?体調が…はぁ。お大事にして下さいね。
…もしもし。はいそうです。一年A組の佐藤くんですか?…はい…はい。
では今日はお休みということで…。えぇ。わかりました。お大事に…」
朝からその調子である。受話器を置く暇もなく、彼は電話に出ては名簿を
広げ、休む生徒達の名にチェックを入れた。
電話は始業のチャイムの後も鳴り続け、結局教師で出勤してくる物は徳島
教頭ただ一人。
生徒に至るも登校してくる物は全体の二十パーセント程度。教師がいないので
朝のホームルームもできない。
つづく
始業時間が過ぎても教師が来ないので、当然それぞれの教室は
騒がしかった。教師どころか、仲間の生徒さえ異様に少ないのだ。
「なんで今日こんな人いないんだ?」
「開校記念日じゃねぇよな…?」
「都民の日じゃね?」
「帰ろうか?」
「おい、ちょっと待てよ、今日って…」
「!」
何人かの生徒はあることに気が付くと、教師がいないのをいいことに、
走って学校を出て行った。
やっと電話の対応が終わった徳島教頭は独り言を呟いている。
「…これじゃあもう今日は授業にならんな…」
彼は職員室にある放送装置のスイッチを入れ、全校に向け、話し出した。
「えぇ全校生徒の皆さんおはようございます。教頭の徳島です。緊急集会を
行いますので、体育館に集合して下さい。繰り返します。生徒の皆さん、
体育館へ移動して下さい」
つづく
何事?
ぼつぼつと体育館へ移動する生徒達。余りに少ない。体育館に
集合すれど閑散としている。
その数は百人もいない。四百人以上の生徒を抱える軽子沢中学に
しては異例の少なさである。
普段なら放送委員会が用意してくれるのだが、その放送委員もおらず、
仕方なく徳島教頭は自分でワイヤレスマイクと、放送機材のセットをした。
何度かマイクはハウリングを起こし、嫌な音が響く。
「あーあー、マイクテストマイクテスト。あーあー」
彼は体育館に集まった生徒を見て唖然とした。まだこれからぞろぞろと
集まってくるのかと思えば、これで全員なのか。
舞台上から見る百人は余りに少なかった。
「これで、全員ですか?」
返事する者などいない。
「…そうですか…。おはようございます」
あちらこちらで、返事が聞こえたが、やはり人数が少ないせいか、妙に
寂しい。
つづく
みんな死角に入ってるんじゃね?
「…えぇ、非常に申し上げにくいのですが、ご覧になれば
お分かりの通り、本日は病欠される生徒さんが非常に多く、
また、教員に至っては私、一人しかおりません」
少しざわついた生徒達は普段なら教員が並んでいるはずの
体育館の奥に目を向けたが確かにそこには誰一人教師の姿は
見えなかった。
「授業なんねぇじゃん」
「学級閉鎖だ学級閉鎖!」
「はい。皆さんお静かに。えー病欠の理由は、風邪、腹痛など
様々で、感染症などの可能性はきわめて低く単なる偶然と見て、
学級閉鎖実施の予定はありませんが、明日になっても同様の
状況が続くようであれば検討いたします」
生徒の間で不満の声が漏れた。
「えーちなみに、本日予定されておりました、避難訓練について
ですが…」
「ひいぃぃぃ!!」
「ひ…避難訓練…そういうことか!そういうことかあぁぁぁ!」
「お母さんごめんなさいお母さんごめんなさい…」
つづく
突如騒がしくなる体育館。しかし教頭は少し声を高めて
続けた。
「避難訓練は、再度検討し、延期致ししま…」
「おらあぁぁぁぁぁぁぁ!」
突然何か炸裂音がした。生徒の中から三名の男子が立ち上がると、
彼らはたちまち壇上に駆け上がる。いずれも覆面を被っている。
「またあいつら!」
「黙れ!おとなしくしろ!これから避難訓練を始める!」
三人は銃で武装していた。AK47。通称カラシニコフ。扱いやすく、故障の
少ないロシア製の三十連発のアサルトライフルである。
「ひ…避難訓練は延期だ…」
「うるさい!学校だよりでは今日が避難訓練だ!何としても避難訓練を
実行する。我々は『軽子沢の赤い旅団』 テロリストだ!本日ただいまより
軽子沢中学を占拠した!逆らう者は殺す!」
教頭は後ろ手に縛られ、壇上から突き落とされた。
「我が校名物!最も本格的な避難訓練だ。訓練でも気を抜けば死ぬことに
なる!覚悟しろ!」
つづく
「…やっぱりアイツらだ…」
「新聞…委員会…」
半年に一度行われる避難訓練。的場リュウジが入学するまではごく
普通の、言ってしまえば随分と緊張感のないだらけたものだった。
サイレンが鳴り、机の下に隠れ、放送と担当の教師に従い校庭に出、
校長の話を聞いてまた授業に戻る。
むしろ短時間にしろ授業をサボれる嬉しい時間であった。
しかし的場リュウジが全てを変えた。だらけた訓練など許されないと
ばかりに、一定時間以内に全員校庭に出なければ校舎を爆破、実際に
校舎に放火、校庭に地雷を設置、想定が地震や火災ではなく核ミサイルが
落ちてきたとして、ヨウ素剤を配布するなど数々の滅茶苦茶な訓練を
実施してきた。
死者こそ出てはいないが、軽症者多数、重傷者も出すそれこそ決死の『訓練』
である。
それに気付いた者は皆休み、また帰っていった。
ここに残った者は不幸にもそれを忘れていた者たちである。
つづく
「今回の訓練は全校集会中にテロリストに体育館が占拠されたことを
想定している。要求は日本国政府へ対し三十億円。しかし政府は
要求を飲まず、犯人がいら立っている、というところから始める」
「滅茶苦茶だ!避難できねぇだろ!」
カラシニコフが火を噴いた。体育館天井の鉄骨に弾丸が当たって火花を
散らす。
「黙れ!いかなる緊急事態にも対応できるようにしておくこと。それが
訓練だ!」
「俺たちどうすりゃいいんだよ!」
「これより飲まず食わずの四十八時間を体験してもらう。当然糞尿も
垂れ流しだ。武装したテロリストに占拠された時、中学生にできること
などただおとなしくしていることだけだ。つまりこれは、どれだけおとなしく
辛抱できるかの訓練だ!」
「…四十八時間飲まず食わず…」
「ふ…糞尿垂れ流し…」
「おい…フンニョウって何だ?」
「馬鹿かお前。ウンコとションベンだよ」
「垂れ流しって…えー!」
つづく
wwwww
今更ながら、どんな中学校だよw
「まずは全員の携帯電話を預からせてもらう」
恐らく長野シュウイチであろう男が生徒の間を回り、ゴミ袋に
携帯電話を集めていく。
「全部集めたか?」
「うん」
「よし。しかし、こういった際に、『私は携帯電話を持っていません』などと
言い逃れ、こっそり外部と連絡をつける者がいる!やれ!」
恐らく志賀マサトらしき男が何やらトランシーバーのような機械を生徒らに
向けた。定期的に電子音がする。その電子音の間隔がある方向へ向けると
短くなった。
「これは携帯電話やPHSの電波を拾う装置だ。今アンテナが向いている
方向にどうやら携帯電話があるらしい。今のうちに正直に出せば痛い目に
合わずに済む」
「おい、誰だよ、出せよ!」
「…」
「早くしろ。出さないと、適当に一人殺す」
「…ごめんなさい!僕です!」
「よし。いい判断だ。最初から出すべきだったがな」
つづく
「当然、こういった、テロリストに何とかして逆らおうという者が
現れた場合、テロリストは罰を与える。通常であれば、誰か
一人を傷つける、または殺す、といった具合になるがこれは
訓練である。よって実際に人を傷つけるようなことはしない。
ただし…」
的場リュウジらしい男は、手榴弾のピンを抜くとそれを生徒達の
携帯電話の詰まった袋に放り込み、袋を遠くへ投げた。
爆発とともに携帯電話が粉微塵に吹き飛ぶ。
「あー!俺の携帯が!」
「ワンセグ対応だったのに…」
「こうなるわけだ!責任は携帯電話を隠し持っていたあの男にある!」
「…そ、そんな…」
生徒らの非難の眼差しを一身に受け彼は縮みこんだ。
「このように、テロリストは人質の心理をついてくる。人質が結束し立ち
向かって来ないよう、心理的なトラップを使う。これでもう人質諸君の
団結はなくなった!」
「人質の中に俺たちの仲間がいるかもしれねぇんだぜ…」
つづく
昼、給食をたらふく食い、夜にはピザを注文。配達の者に怪しまれない
よう、長野シュウイチが体育館前で一人で受け取った。
「部活で遅くなっちゃって。みんなでピザ食べようってことになったんです」
テロリスト一人に対しLサイズ一枚である。しかも美味そうに食う。これには
さすがの生徒達もこたえた。
「…腹が減った…俺たちにも何か食わせてくれ…」
「口の聞き方がなってないな…」
「おめぇ二年のくせに!俺三年だぞ調子に…」
カラシニコフの銃口が向いた。
「死んだぞ。先輩。テロリストが老人ホームに立て篭もる可能性だって
あるんだぜ…?」
「…」
「トイレに行きたいんです。行かせて下さい…」
「垂れ流しだ」
「そんな…お願いします」
つづく
「うむ。低姿勢なのはいいことだ。合格だ。帰ってよし」
「…え」
「帰っていいよ。お疲れ様」
女子はすごすごと帰っていった。
次々に下手に出る者が現れたが有効なのは一度きりらしい。
「おいリュウジ…俺も何か、催してきちまったぜ…」
ピザを食うのに邪魔な覆面を取っているので完全に志賀マサト丸出しで
ある。
「…好きにしろ」
「いや、便所じゃねぇんだ…」
「…?…なるほど。しかし確かに想定できることだな。認めよう」
志賀マサトは生徒の間を練り歩き始めた。
つづく
「テロリストも興奮状態にある。それが性的なものに転化され、
人質が性的虐待を受けることは想像に難くない。訓練としては
行き過ぎかもしれないが、敢えて実行する」
「…性的虐待って…」
「…レイプ…されるの…?」
「へへ…上玉が揃ってやがる…」
いやらしい視線に晒された女子は皆顔を背けた。
「…ガキばっかだな、よし、コイツに決めた!」
選ばれたのは徳島剛三。52歳。座右の銘は『質実剛健』
「ちょ!なんで私が…」
「たまにはふけ顔もいい!」
縛られて抵抗できない彼のズボンを下げ、勃起したイチモツを肛門に
突き立てる。
「アッー!」
「こいつはいいぜ。緩んだジジイの肛門も悪かねぇ!!」
つづく
アッ―――――――!
生徒と教頭。男性の教頭が女子生徒に何か悪戯をすることは
あるかもしれない。
しかし男性の教頭が、男子生徒に犯される。
「痛い!痛い!痛い!勘弁してくれ!」
「勘弁ならねぇもっと締め付けやがれ!」
「くぅ〜!」
情けない。余りの情けなさに教頭は泣いた。自分がろくにセックスも
していないのに犯されるとは。しかし生徒達が見ている前で。
「…なんとおぞましい…」
ほとんどの生徒は目を伏せていた。見てはいけない気もしたし、第一
見たくなかった。
用務員鈴木ヒデヨシは校内を見回って、体育館にまだ灯りがあるのが
気になった。
「…こんな時間まで部活かな…。一応見ておくか…」
つづく
校舎と体育館は渡り廊下でつながっている。西棟一階、端の扉を
開けると、そのまま体育館へつながる。
的場リュウジ率いる『軽子沢の赤い旅団』は、そのドアにセンサーを
仕掛けた。何者かがそのドアを開けたらことらで分かるように。
その頃には徳島教頭はぐったりと全裸で冷たい体育館の床に寝そ
べっていた。
「…誰か来る!用務員か!」
「どうする!?」
「撤収!」
三人は窓からすたこらさっさと逃げていった。体育館の鉄扉が開く。溶けた
チーズの香りと、全裸の徳島。そして呆気に取られている生徒。
「教頭、今度はあんたが全裸かね!」
何か不審なものを見ればことごとく全裸。しかも男。
彼は自分の仕事に疑問を感じつつ、何が起こったのかは知らないが、生徒らを
帰し、徳島教頭に服を着るよう勧めると用務員室に招いて茶を勧めた。
つづく
「何があったんです…?」
「…」
何も答えないなら答えたくもないのだろうとヒデヨシはそれ以上何も
聞かなかった。
「ごちそうさま。お世話になりました」
「もうお帰りですか?」
「ちょっとトイレへ…」
「あぁトイレなら教員用のトイレより、二階のトイレを使ったほうがいい。
階段を上がってすぐですよ」
「あぁどうも」
言われた通り階段を上がるとすぐにトイレだった。
したいのは大きい方だったが、あろうことか男子トイレの個室は全て
故障していた。そうだ水漏れがひどいので、一度水を止めてあるの
だっけ。
誰もいないからいいだろうと彼は女子便所に入った。
つづく
ズボンを下げ、和式便器に屈むと何か気配を感じた。
「ん…」
狭い個室に、もう一人の男がいた。用務員である。ひどく
驚く。いつの間に入ってきたのか。
「お、おい、鈴木さ…アッー!」
また尻穴を掘られる。鈴木マサムネ。(第二十一話 『六尺降臨』 参照)
およそ百話ぶりの再登場にはりきって教頭を、犯す犯す。
「ひょほほ…たまらんわい…久しぶりの獲物…」
「さ…裂ける!腸が…腸があぁぁぁぁ!」
徳島剛三の中で、何かが弾けそして目覚めた。
終
終
52歳辛すぎw
つか、六尺弟もワルよのぅwww
>彼は自分の仕事に疑問を感じつつ
ワロスw
新聞委員会やり放題だなw
うほっw教頭はどこにいっちゃうの!?www
アッーー!!
軽子沢中学校恐ろしや…w
さてここらで怖い話でもするか。
草壁アヤは体力作りの為、学校から一度帰宅すると、十キロほど
早足で歩くようにしている。足が太くなるのを気にして走ることはしない。
つづく
ビンゴ――――――!!
243 :
にゃ:2006/11/06(月) 22:29:49 ID:D5AvErU90
しばらくは、川沿いの遊歩道を歩いていたのだが、なにぶん、同じ
コースを毎日歩いていては飽きる。
彼女は大体自分の早歩きの速度を時速五キロと計算して、そうで
あるなら、二時間で十キロ、一時間とにかく好き勝手歩いて、また
引き返してくればおおよそ十キロになるだろうと飽きては度々歩く
コースを変えていた。
ただ両親から余り人気のない道には行くなと警告されている。彼女も
度々痴漢などの被害にあっているので、その辺りは承知していた。
(第六十二話 『障壁』 参照)
随分と使い込んでいるソニーのウォークマン。彼女はカセットテープに
音楽などは入れず、好きな深夜ラジオ番組を入れては出かけた。
番組はちょうど二時間。歩く時間と一緒なので都合がいい。
深夜一時から三時までの放送を毎晩録る。そして、カセットをウォークマンに
入れ、二時の時報が鳴ったら引き返す。毎晩彼女はそれを繰り返していた。
今日は何となく知らない道を行くたくなって、とことこと歩いていくと国道に出た。
つづく
少しつまらない気分になる。
子供の頃は知らない道を行くと必ず知らない場所に出て、そこに
駄菓子屋を見つけたり、奇妙な建物を見つけたり、見知らぬ公園を
発見したりして、それだけで好奇心と冒険心は満たされた物だが、
そんなことを繰り返しているうち、知らない道などというのは近所では
ほとんどなくなっていく。
いざ知らない道を見つけても、しばらく歩けば、何てことはないいつも
見知った場所に出る。
それでも彼女は、ウォークマンから聞こえる若手お笑い芸人の声を
聞きつつ歩き続けた。
深夜ラジオとはいえ、大体コーナーごとに時間は決まっている。
今流れているのは、誰もが必ずやってしまう失敗、といったテーマで
このコーナーが終わると二時の時報になるはずだった。
つづく
『えー杉並区の…パンチョ大好きさんからのお手紙です』
『誰やねん。パンチョ』
『知らんがな。知らんけどパンチョさんが好きなんですって!この子は』
『まぁええわ。んでどんな失敗なんやろ?』
『えーみんなが必ずする失敗…。寝ながら食べようとして、持ってきた
マンジュウをつぶしてしまう』
『あはは。あるある。あるね。そんなん』
『何故か尻でつぶさへん?』
『そうそう。探すねんな。めっちゃ探すねん。あれ?マンジュウどこ?
みたいな』
『尻の下にあんねんな…』
『探しながら尻ぐりぐりしよるから、ペチャンコになっとんねや』
『あんこハミ出しとる』
『でも捨てへんよな?』
『そう。意地でも食べるね』
つづく
つい先日自分もやってしまった同様の失敗に思わず口もとが
緩む。
気付けば滝乃城跡公園(第五話 『ホームレスの花嫁』 参照)の
前を歩いていた。
以前は随分とたちの悪い犯罪者紛いのホームレスがいたらしいが
今は改善されている。(第六十五話 『真偽』 参照)
それでも暗がりの中に幾つか、段ボールや青いビニールシートを
巧みに組み合わせた簡易住居が何軒か見受けられた。
入り口に初老の男がいる。何か考え事でもしているのか、彼は憂鬱
そうに、頬のひげを撫でながら落ち着かない様子だった。
一見、ホームレスのようだったが、悪い人のようではない。アヤは特に
気にするわけでもなくそのまま通り過ぎようとした。
ところが、声をかけられた。その初老の男からである。
「あの、すいません」
音楽を聴いているわけではないからウォークマンのボリュームはそれ
ほど高くない。その声は充分に聞こえた。
つづく
彼女はあわてて耳からインナーイヤーヘッドホンを取ると、
初老の男のほうにその大きな目を向けた。
「あぁごめんね」
「何か用ですか?」
「いや、その…」
男は妙に照れくさがって頭をぼりぼりとかくばかりで何を
言いたいのかはっきりしない。しかし悪意があるふうではない。
アヤは気になってもう一度聞いた。
「どうしたんですか?」
「いや、ミヨに随分似てるものだから…」
「…ミヨ…さん?」
「私の娘なんですよ。ミヨコというんですが…すいません。余りに
似てるのでまさかと思ったんですが、声も違うし、人違いでした。
すいません。ごめんなさい。申し訳ないです」
こんな子供相手に随分と腰の低い彼がアヤには憐れに見えた。
つづく
「そうですか…」
「よく考えたら、私はこっちに来てもう十年、ミヨコとも十年会ってないです。
ミヨコが十年経っても同じ形なんてあり得ねぇですよね。あはは…」
そう言って男は自分を馬鹿にするように笑うのだ。アヤは何となく気になって、
二言三言話すうち、寒くて落ち着かなくなってきた。
歩いている間、かなり厚くなるので、季節の割りに薄着なのだ。なので大人しく
していると途端に寒さか身に沁みる。
男はよかったら、部屋に入らないかという。少し考えたが、少しでも暴れれば
そのまま壁ごと破壊して逃げられそうな住居である。どんな生活をしているのか
興味もあって、アヤは彼の家に入った。
旨そうな匂いがする。カセットコンロの上で鍋が煮えていた。
嬉しそうだった。娘に瓜二つの娘と一緒に話ができる。
「いやぁすいませんね。暖まっていって下さい」
実際ただ段ボールとビニールシートで作られた室内は暖かだった。しかしもっと
意外だったのは、かなり清潔に保たれていることだ。それは彼の人柄を伺わせた。
「よかったら適当に座って下さい」
「あ…どうも…」
つづく
「そろそろ煮えたかな…」
鍋の蓋を上げると湯気が立った。おでんというか煮物というか、
適当な素材を煮た、鍋料理である。具は白菜からこんにゃく、
ちくわ、じゃがいもと適当である。
「美味しそうですね」
「あ!よかったら食べますか?美味しいですよ」
割り箸を渡し、余り清潔な食器がないので鍋から直接食べることを
勧める。
何となく食べてみると確かに美味だった。
「私はね、これでも秋田で中華料理屋やってたんです。味にも自信が
あった。でも客が来なくてね…場所が悪かったんです…」
少し訛りのある言葉だった。出稼ぎに来て十年。必死で働いて、稼いだ
額のほとんどを家に送った。そうこうしているうちに自分の生活は立ち
行かなくなり、ホームレスに。それでも月に二十万は稼いだという。
つづく
「ほとんど全部家に送って。私は住むところもなくて…」
秋田に残った妻子はいつの間にか他の男を作って逃げてしまった
そうだ。帰る場所もなくなり、失意の中仕事もやめてしまい、ぶらぶら
しているうちに、いよいよ本格的なホームレスになってしまったらしい。
その娘ミヨコにアヤがよく似ていると彼は目を細めた。
しかし、草壁アヤ、指折りの美少女である。恐らく彼の思い出の中で
ミヨコの残像は誇張され、多少美化されている部分もあるのだろう。
ちょうど十年前、彼が東京にやってきた際のミヨコの年齢は十五歳。
ちょうどアヤと同い年であった。
であるから、本来のミヨコはもう二十五歳になっているはずだ。
しかし、彼の中でミヨコは永遠に十五歳だった。彼は取っておきの酒を
奥から出してきた。
秋田県産、高清水大吟醸。『和兆』 何かめでたいことがあれば飲もうと
思い買ってはおいたが、めでたいことなどありもせず、一年近く放ったらかしに
していた酒らしい。
「これが旨いんです。もしよかったらほんの少しつきあってくれませんか?」
つづく
アヤは酌をしてやった。自分の父にもしたことがない。
生まれて初めての酌だと告げると、彼は嬉しそうに笑った。
「ミヨコは十五歳で高校生だったけど…草壁さんは…」
「あ、あたしはまだ中学生です」
「あぁそうですか…このへんだと、どの中学になりますか?」
「軽子沢中学…少し遠いんですけど」
小一時間も歩けばもう、別の中学の通学圏になる。しかし、彼は
軽小沢中学のことを知っていた。ちなみに、『軽小沢』という名は
地名に全く由来していない。学校関係者の間でも何故そんな名が
ついたのか、不思議がる者が多いほどだった。
「あれ、軽小沢…聞いたことがあるな。そうだ。軽小沢新聞」
「…?」
軽小沢新聞。間違いなく軽小沢中学の学校新聞である。
「取材に来たなぁ。いつだったか…」
つづく
的場リュウジか志賀マサトのことか、とすぐに思い立ったが、
別に言っても仕方がないのでそのまま黙っていた。
アヤはさすがに酒こそ飲まなかったが、彼の作ったおでんのような
煮物のようなオリジナルの鍋料理を食べ、酌をしてやり、会話を
楽しんだ。兄弟が多く、父や母はもう五十五歳なので、彼ほどの
年齢の者との会話も慣れている。年配者と話すことは苦痛ではなかった。
「おや、草壁さん、そろそろ帰った方がいい。遅いよ。おうちまで、
随分かかるんだろう?」
「…そうですね。じゃあまた来ますね」
「いやいや、もうこんな所に来るもんじゃないよ。物騒だから。誰かに
見られてたら、変な目で見られてしまうよ。今日はありがとう。楽しかったよ」
彼は顔を皺だらけにして笑うとアヤを返した。アヤは彼の名を聞いておきた
がったが、もう話すこともないからと、彼は名乗らなかった。
つづく
翌々日。
また夜の散歩に出かける。どうにもあの初老の男が気になった。
自然と足は滝乃城跡公園に向かう。もし、また見かけたら話しかけよう。
もし、彼が家の中に引っ込んでいて、姿がなかったらそのまま通り過ぎよう。
彼女はそう思いながらいつもより速いペースでそこにたどりついた。
パトカーと人だかり。ホームレスが一人死んだらしい。
野次馬の人だかりで近くに行くこともできず、彼女は家に戻り、まんじりとも
せず朝を迎えた。
新聞に小さく載っていた。滝乃城跡公園のホームレスが死んだと。どうも
酒を飲んで泥酔した挙句、水をかぶってそのまま眠ったらしい。凍死。
変わった方法だが自殺の可能性が高いとある。
死んだ男の名は宮木ジュンゾウ。しかし、アヤは、また別のホームレスが
死んだのかと、不謹慎ながら胸を撫で下ろした。
その晩、また彼の住処へ行くと、彼はいなかった。アヤが宮木ジュンゾウが
かの男ではないと確信した理由。それは宮木が死後一週間経って発見された
と記事にあったからだ。
しかし、一昨日話した初老の男はいない。彼の住んでいた手作りの住居は、
立ち入り禁止のテープでぐるぐると巻かれていた。
終
せつないなあ…(´:ω;)
さてここらで怖い話でもするか。
岡崎リョウコはたまたま廊下で出会った草壁アヤと、話していた。
最近寒くなって、一番大事な時期だというのに勉強に身が入らないという。
つづく
今日もビンゴォォォォ―――――――!!
アヤとリョウコの付き合いは長い。もう小学生の低学年の頃からの
つきあいだ。
リョウコは寒いのがひどく苦手で、暖房で部屋を暖めれば済むとか、
そういう問題ではなく、単に冬という季節が嫌いなのだった。
「ベトラさんのこともあるんじゃないのぉ?」
「そんなことないよ!」
冷やかすようなアヤの視線に、リョウコは反論した。もうリョウコが
ベトラに恋心を抱いているらしいことは、知っている者の中では
知れ渡っていた。否定すればする程、そのむきになる口調に疑惑は
深まるのである。
しばらく話して、アヤは深夜に面白いラジオがあるから、勉強に集中
できないようであればちょっと聞いてみたら、と提案した。
「ラジオかぁ…。ラジオなんて聞いたことないよ」
「面白いよ。テレビより」
「そうなんだ?」
始業のチャイムが鳴り二人は別れた。
つづく
授業が終わって夜。何となく彼女は勉強机の上のラジオに
手を伸ばした。普段は時計としてしか使っていないが、ラジオも
ついている。
アヤに教えられた周波数に合わせると誰やら分からない人物が
喋っている。コマーシャルに入る前のジングルで、はじめてそれが
最近売り出し中の芸人と知る。
『…こんな声だったかな…』
少し音を下げ聞いていると、わけもなく眠くなり、少しだけ仮眠を
とろうと机に突っ伏す。かすかに聞こえるラジオの声が妙に眠りを
誘った。
「おい、司会誰がやるんだ?」
「やっぱりホークさんだろ?慣れてるし。こういうの」
「じゃあホークさんで」
「勘弁してよ。座談会形式で」
「そいじゃ適当に始めましょうか」
『地獄!天国!大!反省会〜!!」
つづく
「はい。と、いうわけでいよいよ初まりました!」
「おい、結局ホークさんかよ!」
「冗談冗談」
「えーこの番組はですね。信じられないかもしれないですが、
あの世から放送されているわけですね。私、ちなみに高村ヒロシ
(第六話 『静かなる助走』 参照)です」
「絶対誰も覚えてないよね。弟のタカシでーす」
「兄弟でやっちゃった刑事って言えば思いだすんじゃないの?呪いの
ビデオの時のだよね?お兄さんはダッチワイフとやった」
「アレ滅茶苦茶だよ。『リング』のパクりでしょ?んでヤリながら見れば
助かるって」
「んで、兄弟でやっちゃう(笑)」
「しかも死んでるし(笑)」
「一番悲惨なのって誰だろ?高村さん?」
「いや、俺だろう」
つづく
「おでん屋!(笑)(第二十八話 『桃源郷』 参照)」
「そういう意味では、同じ回の『山の老人』も悲惨だよね」
「スープ奪うだけの目的で…」
「僕のこと忘れてません?どうも盛岡ユウタ(第二十二話 『泡沫』 参照)
です…」
「ヤラハタ恐怖症!(笑)」
「勘弁してほしいっすよ。なんでか知らないけど死んだ(苦笑)」
「あの頃は無闇に人が死んでたもんねぇ。アカネさんと初体験して、また
してもらおうとして無視され続けて自殺したんだっけ?」
「そう。たった四日無視されただけで」
「四日!(笑)」
「喋れないみたいだから代弁するけど、このバリゴンもかなり悲惨だよ?」
「バリゴンはなぁ…。(第九十一話 『真剣勝負』 参照) 新聞委員会に食われた(笑)」
「ツキノワグマと間違われたんだっけ?」
「出ねぇだろ多摩地区にクマは!(笑)」
つづく
「インパクト強かったのはやっぱりホークさんかな?」
「それは間違いないね。タイトルの中の人から詩まで贈られた」
「いやぁ本当あの時はどうも。御挨拶が遅れまして…」
「羨ましいね。あと岩手ノリオさんも」
「あの人ははじめから死んでる。あの人は今も地獄?」
「いや、もう生まれ変わってるね」
「ちょっと説明しないとわからないんじゃないかな?」
「そうですね。説明するとですね、善人…というか普通の人間は大概
天国に来るんです。それがここですね。んで一般にいう悪人の人は
地獄に行く。でも刑務所みたいなもんで、罪の度合いに応じて一定期間で。
それが終わるといい人になって一度天国に入る。で、適当にここでまったり
して、その後生まれ変わる、そういうコースなんですね」
「そうそう。だから『モイライ』の皆さんとか『静岡組』の皆さん
(第八十五話 『かぎろひ』 参照)なんかはまだ地獄にいるね」
「地獄は厳しいぞ…」
「地獄上がりの痴漢!(第七十三話 『忘れ物』 参照)」
つづく
「設定資料上も『痴漢』なんだね。カエデちゃん痴漢した人」
「そうです。もう地獄上がりなんで何であんなことしちゃったんだろうって
感じですけど。反省してます」
「親指も戻って(笑)」
「笑い事じゃない」
「ってか『ゴドウィン』さん(第百二夜、第百八夜、第百九夜 参照)はなんで
天国にいるの?」
「だって私何も悪いことしてないですもん!ちょっとしつこかったかなって
思うけど…」
「しつこいっていえば、現世に残っちゃってる人は何なの?」
「未練が残ってる人は選べるんだよ。無理に来ることないの。ただ凶悪犯罪者
とかは地獄に強制連行だけどね。コッチ来てない人っている?」
「あの、樹海のお姉ちゃん(第十一話 『白い樹海』 参照)と、『枡や』のマキさん
(第五十二話 『切符』 参照)とか…割といるよね?」
「堂坂公園でノゾキやってるおじちゃん(第六十二話 『障壁』 参照)も来てない」
つづく
「あはは。ユウジロウにフェラチオされた人か」
「そうそう。福井さんはやっと来たね」
「誰?」
「私だよ。忘れてもらっちゃ困る!」
「あーアヤちゃんの才能を見抜いた芸能プロの!」
「しばらく留まってたけどいい子が見つかったからね。成仏して
きた(第七十八話 『才能』 参照)」
「そうか。福井さんがいなかったらアヤちゃんデビューなかった
んだね」
「そうだ」
「あと留まってる人といえば…」
「もう最強はマサムネさんでしょ」
「(笑)そこだね。中学校二階女子トイレの悪魔(笑)」
「何年残ってんだよって感じで(笑)」
つづく
「徳島教頭までヤッちゃってこれからどうなるんだろうかな、と」
「だいぶ死んでるんだねぇ」
「途中から可哀想な人も出てきちゃったから。それはちょっとね」
「あぁ藤谷ユミちゃんは泣いた」
「あたしですか?確かに…自分でも可哀想かなって(第百六夜 参照)」
「でも的場くん、デスクに写真飾ってるんでしょ?羨ましいなぁ。あたし
悪魔に焼き殺されてハイおしまい。オカルト同好会創設メンバーなのに…」
「井上マユちゃん(第三十六話 『紅蓮栄華』 参照)ね。その後、サッカー部の
尾藤ケンサクくんとの話しがあったじゃない?」
「あぁ元カノだったっていう…(第六十八話 『真白』 参照)」
「あれは…何だったんでしょうね…」
「内緒!?」
「一応…そういうことに…」
つづく
「謎の人もいるよね。一条マイちゃん(第九十二話 『文車妖妃』 参照)とか」
「あぁあたしですか…」
「あれだ、クリックだけしてリンクたどるゲームの!」
「結局自殺、他殺?」
「あれは『ゴドウィン』が…」
「ないない(笑)」
「あれ、ちょっと思い出したんだけど命日だけ復活するタイプの人がいるよね?」
「岩手ノリオさんと、トオルのお姉ちゃん、あと『枡や』の店長の奥さんだね」
「でもノリオさんって生まれ変わったんでしょ?」
「なんかその辺りは曖昧な部分らしい。魂ってのがあって、それがそのまま
丸ごと新しい肉体に行くわけじゃないみたいよ。分裂したり、二つが一つに
なったりする」
「へー…おでん屋とは一緒になりたくないな」
「うるせぇよ!」
つづく
「で、一話で語り部になってその後悪役になっちゃった福島トオル君って
何してるの?」
「つまり『黒ずくめの男』だよね?」
「まだ地獄。あと死体処理してたホームレスの連中も」
「悪どいっちゃあ悪どいんだけど、きっかけは山形さんなんだよね」
「あの人は特別だから…。血筋からして一種の悪魔だね(笑)」
「もう一人の被害者清水コウタロウ親子は?
(第十六話 『猩血帝母(せいけつていも)』 参照)」
「もう早々に生まれ変わった」
「そうなんだ…微妙に地味だったよね…」
「生まれ変わった人は多いよ」
「他に誰かいたっけ?」
つづく
「俺たちがこっち来る前にもう何か別の人になったのは
ムネノリくん(第六十話 『純真』 参照)だね」
「ドーナツ池の!管理人さんは?」
「まだ生きてる生きてる(笑)」
「あともう『スナックあざみ』のママも無事転生済み。
(第七十四話 『夜の花』 参照)」
「え!あの人もういないの!?」
「ユウジロウに会って満足しちゃったみたいね」
「ゆっくりしてきゃいいのに…」
「今度はちゃんとした教師になると言ってましたよ」
「あぁ不倫でおかしくなっちゃったんだもんなぁ…」
つづく
なんとかライブ間に合った〜
こんなラジオ聞いてみてwwww
「ユウジロウに救われた人もいるからねぇ」
「あたしあたし!」
「うん松本ユキさんね(第二十夜 『経る時と幽世』 参照)」
「見つけてもらってよかったよぉ…」
「見つけてほしかったらもっと人目につく場所で自殺しなさいよ(笑)」
「だって…」
「で、まだ生まれ変わらないの?」
「もう少し天国ライフ…って感じかな?」
「山岡シズエさん(第三十五話 『閉じたいのちと血のねがい』 参照)も
そんな感じで?」
「そうですね…もう少し。傷を癒したいかな、と…」
「ひどい目にあったもんねぇ…」
「でもそのひどい目に合わせた連中そろそろ地獄から上がってくるよ」
「罪を償って、きれいになって出てくるなら、いいかなって思います」
つづく
「あの、あたしのこと忘れてないですか?」
「覚えてるよ。福島ユミコさん(第五話 『ホームレスの花嫁』 参照)
でしょ?」
「あたしの方がひどくないですか?犯された上にバラバラにされて
煮込まれて犬に食べられたんですよ!」
「新聞委員会に食われるよりいいかも(笑)」
「バリゴン扱いですか(笑)」
「新聞記者っていうところも的場君と共通点あるし(笑)」
「的場くんっていえばもうお化け大丈夫なのかな?」
「こないだお父さんの幽霊とは平気で話してたよね」
「なんだ、息子の話か…」
「でた!的場パパ!渋い!」
「リュウジがもう少ししっかりするまで見守ってやらんとな…」
「奥さんの再婚については?」
「勝手にするがいいさ…俺はもう死んでいる…」
つづく
「ところであそこにいる人って、滝乃城跡公園の古株さんじゃないの?」
「あれ!そうかも。おーい。どうしたの?死んじゃったの?」
「あぁどうも…新入りです…」
「えー!いい人だったのに!どうしてまた!?」
「酒飲んで酔っ払って…記憶にねぇんですが…水かぶっちまったみたいで…」
「水?」
「飲み水、ペットボトルに入れて、棚の上に置いておいたんです。それが
崩れて、寝てる間にびしょびしょになっちまって…凍死というわけで…」
「あちゃあ…」
「まぁホームレスよりこっちの方が楽しいかもしんないよ」
「最後に娘そっくりの娘さんに会えたんで…。アヤちゃんといったかなぁ…」
「…草壁アヤ?」
「あぁそうそう。その人だ…」
つづく
「じじい、アヤちゃんに何か変なことしなかっただろうな!」
「ちょ!福井さん!」
「な…何にもしてねぇです!飯くわせただけで」
「福井さんアヤちゃんのことになると…」
「最後に見つけた原石だからな…」
「じじいってあんたも充分じじいだよ(笑)」
「へへへ…どうも失礼しました…」
「でももう新シリーズも始まって随分経つよね」
「うん。また出れるのは嬉しいね」
「関係なさそうな人もいるけどね(笑)」
「え、誰?」
「あそこの二人」
「ああ…」
つづく
「的場くんが山の中でみつけた老夫婦ね。
(第八十三話 『二つの骸(むくろ)』 参照)あの人たちはいいんじゃない?
ああして二人で仲良くしてれば」
「生まれ変わるつもりもない(笑)」
「こないだ自殺しちゃったテニス部の女の子は?」
「若山ユイさん(第百十四夜 参照)?あの人はまだあっち」
「成仏できてないのかぁ…早くくりゃあいいのに」
「ホークさん相変わらず女好きだね」
「そんなんじゃなくて(笑)」
「岩倉さん(第百十六夜 参照)も下ばっか見てないでこっちおいでよ。
お話しましょう」
「いや…私はまだ息子が心配で…成仏しなきゃよかった…」
「勢いできちゃう人いるからな…息子さん今どんな形です?」
「何か…あざらしみたいな恰好で…」
「あざらし…(笑)」
つづく
「あれ、地獄から上がってきた連中が来ましたね」
「あれ、あの人たちって…」
「シズエさんレイプした犯人だね…
(第三十五話 『閉じたいのちと血のねがい』 参照)」
「…大丈夫?」
「はい…」
「あの、今地獄で色々と反省させられて、やっとこっち上がることが
できました。お詫びの言葉もありませんが…」
「いえ、もういいですよ。生まれ変わったら女性に優しくしてあげて
下さいね」
「すいません。すいません」
「まぁまぁ、とりあえず、ね。ここは天国だから楽しくやりましょう」
「すいません」
「地獄はどんな状況ですか?」
「はぁ…なんかスゴいのが入りまして…もうだいぶ前になりますが…」
つづく
「鬼は叩き殺すわ、閻魔大王ぶん殴るわすごい奴なんです…
しっちゃかめっちゃかですよ…」
「それって…的場リュウイチ…」
「そうですそうです。そいつです」
「的場さん。あんたの息子揃いも揃ってすごいねー!」
「…俺の…息子だからな…」
「えぇではそろそろ、『地獄!天国!大反省会』 また次回まで
さようなら、というわけでメインパーソナリティは私、第六夜、
『静かなる助走』 で呪いのビデオを見ていきなり死んだ元刑事
甲本ケンイチと!」
「ホーク有吉がお送りしました」
『今後もよろしくおねがいしまーす。じゃーねー』
岡崎リョウコが目覚めるとラジオは早朝のニュース番組であった。
「やば…一晩寝ちゃったよ…」
ずっと同じ姿勢で凝り固まった腰を伸ばすとリョウコはラジオの電源を
落としてあわててバスルームへ向かった。
終
>>257 合いの手サンクスでした。昨晩ビンゴしたのも?昨夜は書いた後
具合悪くてウツラウツラしてしまってレスできなくてごめんなさい。
読んでくれてありがとう^^
>>269 ありがとう。最近合いの手が少ない(投下タイミングが悪いのかな)
ので嬉しいです。励みになりました^^
やべぇ無闇に参照つけまくったけどまとめ編集する人大変!?
今回はリンク張らないでいいですよ…自分でできればいいんだけど
いまいち編集の仕方が分からない…ごめんなさい…(;´д⊂ヽ
作者さん乙でぇす!
すっごいわかりやすくて懐かしくて楽しかったです。
今日はなんだかイライラしてたんだけど、気分よく眠れそうです。
ありがとうございますm(__)m
次回はライブ遭遇出来るようにがんばりまーす!
作者さん乙!
ゲリラ時代を思い出したw
面白かった〜
懐かしいよ、刑事の兄弟w
合いの手とかは人の多さとか以外にも
タイミングもあるだろうし
作者さんは作者さんなりでガンバレ!
>>277 そうです!ふと思いたって覗くと丁度ライブって時が多いですwwwww
お疲れさまでした!
>>279 いや頑張るったってタイミングの問題だから(笑)
何かいやなことあったの?大丈夫?携帯からか…面倒かも
しれんけど何か吐き出したいことあったら雑談の方にでも
寄って下さいな。
ゆっくり休んでね。また元気の出るような楽しいお話頑張って
書きますんでよろしくです。感想ありがとう^^
>>280 もう読み手が減ってるんだか増えてるんだか合いの手ないな
感想ないなと思うと、まとめて読んで来ました!みたいな人が
現れたり、みんな本当丁寧にsageてくれるんで沈下してる時って
逆に目立つんだよね。下から10番目以内とかにいるから(笑)
だからそんなの見つけて読んでくれる人もいるんだろうなぁ。
まぁ分からんのでおっしゃる通り私なり頑張ります。どうもでした^^
>>281 ありがとう。ちょうどよく合う人は合うみたいね。でも時折ド深夜とか、
真昼間に投下しても誰かしらいるんで驚くことがあります。
結構携帯から読まれてる人多いんだなぁ。確かにだらだら小説が
続いてるだけだから携帯向きなのかな。また読んでね^^
久々に来たら面白いラジオで懐かしかった〜。
すごい一気に読んだ。中でも避難訓練は大爆笑w
教頭・・目覚めたのか・・?キャラも変わりつつあったりしてw
今日はライブあるかな?参加できないから朝に来ますよ〜
さてここらで怖い話でもするか。
新生オカルト同好会。通称『軽子沢調査隊』は元テニス部主将、
須藤アリサを迎え、四名となった。
つづく
四名となっても学校からは正式な同好会とは認可されない。
須藤アリサはどうもそこが気に入らないようだった。三人ぐらい
適当に勧誘できないものかとも思ったが、残る三名が別に
どうでもいいような感じなのでそれにならっている。
以前のオカルト同好会と同じく活動日は月、水、金の週三日。
しかし何をするわけでもなく、隊長、雪野カエデはやっと買って
もらった携帯電話をいじり回し、霧原トオルは灰色の外をぼけえと
眺め、サヨリは黙って座っているかと思えば突然優雅に踊りだしたり
ボールペンの先端を不思議そうに見つめていたり、それだけ。
須藤アリサは適当に雑誌を読んでいた。
四人、固まるわけでもなく、離れるわけでもなく。
しかし今日は違った。隊長、雪野カエデの姿がないと思ったら、
突然二年A組のドアがぴしゃりと開き、カエデが息急ききって
現れた。
「ついに出ました!」
「何が?」
「お化け!」
ああそうだ。オカルト同好会なんだったなと須藤アリサは改めて
思うのである。
つづく
「どんなお化け?」
「超キョーレツなやつですよ。噂を聞きました」
「…どんな噂?」
「死んだレイプ魔の怨霊です…」
聞けば、北方公園(第三十九話 『炉火純青』 参照)の公衆便所付近に、
死んだ強姦魔の怨霊が現れるという。毎夜というわけではないらしいが、
『犯したい…犯したい…』と無念そうに呟くかすれた男の声をかなりの数の
人間が聞いているらしい。
北方公園は緑豊かな、都内最大級の緑地公園である。夜ともなると、暗く、
かなり物騒だ。
しかしカエデは今夜あたり、行ってみないかという。意外と肝が据わって
いるのが彼女である。
「でもウチらだけじゃ危ないよ。幽霊以前の問題で」
「山形先生についてきてもらおうか?」
四人はトオルについて職員室に向かった。本来ならばトオルが守ってやる
べきなのだろうが腕っぷしにはとんと自信がない。
つづく
「ダメだ。冗談じゃないぞ」
「えー先生らしくない!強姦魔の怨霊ですよ!」
「どういう意味だいそりゃあ?」
「…同類ってこと?」
「教師をからかうのもいい加減にしなさい」
「全裸の痴女の怨霊だったら?」
「行く」
「ほら!」
「でも一人で行く!お前らは連れて行かん!」
「何でですかー?」
「何かあってみろ。今度こそクビが飛ぶ。四人も面倒見切れるか。
ましてや夜の北方公園なんて」
「ケチ」
「ばか」
「何とでも言え。絶対に行かんぞ」
つづく
ところで、須藤アリサをこんな身体にしたのは山形ユウジロウで
ある。(第五十七話 『陰の宴』 参照)
何か遺恨がありそうだが意外と二人、口裏を合わせたかのように
その辺りの事情については黙として語らず、反目し合うこともない。
それどころか、『情報倫理学』の授業では仲良く語らったりもして
いる。しかしそれも、彼女の自殺騒動があった頃からだ。それまでは
彼女はユウジロウに対して強い恨みを抱いていたし、その忌々しげな
視線をユウジロウは知りつつも甘んじて受けていた。
ちなみに、サヨリとアリサの怪我の具合であるが、当然のように完治
しておらず、お互いまだギプスも取れていない状態である。
須藤アリサは左腕をまだ三角巾で吊っていて、サヨリも首にコルセットを
していた。
いずれにせよユウジロウは動きそうにないので四人は諦めた。
「…どうする?」
「軽子沢警備隊を臨時召集。再結成します」
「新聞委員!」
「え、軽子沢警備隊って何?」
つづく
『軽子沢警備隊』(第百一夜参照)悪魔化したケンシロウの
大殺戮を見事食い止めた、預言者ダマクルス率いる、
軽子沢中学最強メンバー。
岩倉ヒョウゴがかのままであれば彼を入れるべきかも
しれないが、今やかれはゴマフアザラシの赤ちゃんのような
姿になっている。
地理の授業も大人気だが何故か愛媛のことしか教えない。
ちなみに岩倉ヒョウゴと愛媛を結ぶ線は全くない。出身も、
育ちも、立ち入ったことすらない。
ただ彼はミカンが大好きなのだ。お昼、福岡先生にむいて
もらって、もしゃもしゃとミカンを食べる愛らしい姿を見るため、
お昼休みの職員室は生徒だらけになる。
度々誘拐されかかるのがたまにきずだ。
クラブハウス端。新聞委員会編集室。
「…国内担当はマサトだが…」
「…相変わらず幽霊は苦手?」
「いいや。克服したつもりだ」
「じゃ、ついてきて」
つづく
今回はフルメンバーである。前回、長野シュウイチは参加しなかった。
何故なら彼には『内調』であるという疑いが持たれていたからだ。
しかし実は『素晴らしき子供たち計画』は、単なるスポーツ少年育成
計画であり、同様に『内調』とは名ばかりで、単にスポーツに長ける
生徒を十二名集めた、体育会系生徒の集団である。
何を調査していたかといえば、運動部に所属していないながらも、
運動能力の高い生徒の捜索、発見、そして運動部への勧誘などを
行っていた。
実は長野シュウイチ、今では新聞委員が多忙でほとんど活動して
いないが、所属は陸上部で、短距離では全国クラスの俊足を誇る。
そのように疑惑が解消されているので今回は『軽子沢警備隊』に
正式メンバーとして加わった。
雪野カエデ隊長を筆頭に、部隊長的場リュウジ、特攻隊長志賀マサト、
斬込み隊長霧原トオル、女番長須藤アリサ、裏番長サヨリ、そして
係長長野シュウイチ。以上七名である。
「やっぱり一番かっこいいのは係長ね」
「あぁ。係長を取られたのは悔しいな」
「係長いいなー」
つづく
「…あの、特命係長とかじゃダメですか?」
「だめだ。普通の係長だ」
「…」
とりあえず身の安全は新聞委員会によって保障される。カエデ、トオル、
サヨリ、アリサは幽霊に対して強い抵抗はないから、仮に何か恐ろしい
幽霊が出て、リュウジやマサト、シュウイチが逃げ出したとしても特に
それは問題ではない。
オカルト同好会にとって怖いのは幽霊ではなく、人間の方である。対人と
ならば新聞委員会が完璧にバックアップできる。
須藤アリサは新聞委員会が本物の銃器を携行していることにひどく
驚いたようだった。これについては厳しい口止めがされる。
「…わかった…言わない…」
一方で、トオルやサヨリ、カエデにとってそれは当たり前のことで、何と
エキサイティングな連中なのかとアリサは心の底から、沸き立つ好奇心に
歓喜した。
こんな面白い連中がいて、こんな楽しい世界があるなんて!
つづく
新聞委員会は取材車、つまり自転車で、オカルト同好会はバスで
現地に向かう。着いた時間は七時。
「…少し早ぇんじゃねぇか?」
「…いえ、暗くなり次第出るそうですよ…」
「…大丈夫?」
トオルがそっと的場を気遣った。前髪から覗く瞳。彼は一瞬あの夜を
思い出すのだ。(第八十七話 『荒療治』 参照)
長野の山中。霧原家所有の洋館で彼はトオルの口を犯した。あの
潤んだ瞳。少しからむ舌。
「ハウっ!!」
「どうしたリュウジ!」
「…いや…何でもない…」
「すごい汗ですよ…」
「帰った方がいいんじゃねぇか?俺一人で何とかなるぜ?」
恐らく幽霊に恐れを抱いているのだろうとマサトが気にかけた。しかし
リュウジは首を振った。
「…いや、大丈夫だ。行こう…」
つづく
「カエデちゃん、ところでトイレってどのトイレ…?」
「…それが分からないんですよね…」
「全部で六つもあるよ」
「…全部回るとバスがなくなるわ…」
「ちょっと待て」
公園の案内板をしばらくリュウジは眺めていた。
「…強姦魔の怨霊だといったな…?」
「そうです」
「…」
頭の中で思い描く。自分だったらどうするか。広い道路に面した
二つのトイレは強姦に向かない。また、裏口近くにあるトイレも同様だ。
最も人目につきにくく、また悲鳴を上げられたとしても周囲に聞こえづらい。
かといってターゲットが全く立ち入らないほど奥まっていてはならない。
怨霊が、自分がいつも獲物を求め身を潜めていたトイレに死後も現れると
仮定すれば、最も適切なトイレは南東のトイレだった。
つづく
「…公園内には太い散策ルートがあり、ここから細い散策ルートに
分岐している。恐らく公園を一周する際、最短ルートになるのが
太い散策ルートだ。そして細い散策ルートは林の中を通る」
「どういう意味?」
係長が聞いた。
「…。手っ取り早く公園を一周したい者は太い散策ルートを行く。
そのルート上にはベンチなどもある。当然そこでいちゃつくカップル
などもいるだろう。
一方で、本格的に長距離のランニングをしたいが為にこの公園を夜
訪れる者はここから分岐する細いルートを選択する可能性がある。
こちらの方が距離が長い」
「なるほど」
「ここに便所がある。運動目的でやってきた女を捕らえるにはいい位置だ。
しかも周りは林になっている。悲鳴が漏れにくい。そして暗い。周囲にベンチ
などもないから、タムロする者も少ないだろう。強姦魔が出るとすれば、
ここだ!」
リュウジの推理した公衆トイレに向かう。街路灯は立っているが林の枝に
光は遮られ、尚暗い。
「…なるほど…犯すにゃいいな…」
つづく
「…でもこんな所女一人で来る?」
「慣れの問題だ。初めは恐らく明るく人もいる太い散策ルートを
選択する。しかしそこで何事もなければ、公園全体が安全だと
人は錯覚を起こしやすい…」
繁華街などでもそれはいえる。治安が悪い、物騒、暴力団事務所が
ある、などと伝え聞いて、初めて行く際にはおどおどと遠慮がちに、
なるべく人の多い、安全そうな道を行くのでどうということはないが、
いざ慣れてしまうとそこに落とし穴が待っている。油断して、大丈夫
だろうと一本路地を入ればそここそが危険地帯ということはよくある話だ。
いよいよトイレが見えた。コンクリートの冷たい壁のそれは、小さな
牢獄のような冷たさがある。中から漏れる明かりがぼんやりとしていて
かえって不気味だ。
「…間違いない感じ…」
「何か聞こえるか?」
「…もう少し近づいてみましょう…」
サヨリを先頭に近づいていく。リュウジはベレッタ9ミリピストルを出した。
「…待って。何か聞こえる」
つづく
『…してぇ……してぇ……』
確かに公衆トイレの方向から聞こえる。それは全員が聞いた。
「…聞こえるが…幽霊なのか…?」
更にゆっくり近づく。
「……犯してぇ……犯してぇ……」
「!」
『リュウジ…大丈夫か?』
『…何とかな』
『入ってみます?』
『ここまで来たんだから…』
薄暗い公衆トイレの中。男子用トイレの個室の扉が一つだけ閉じている。
どうやら声はそこから聞こえるようだった。かすれた男の声。
『…一発撃ち込んでみるか…』
リュウジが個室のドアにベレッタを向けた。
つづく
瞬間である。
「犯してぇっ!!」
ばたんと激しい音を立て個室のドアが開いたかと思うと全裸の
中年男が飛び出してきた。
「デタ━━━━━(゚Д゚;)━━━━━━!!!!!」
一目散に逃げ出す軽子沢警備隊。しかしサヨリは背中で感じた。
「!」
サヨリは逃げ走るカエデとアリサの手首をつかんで立ち止まった。
「サヨリさんっ!離してっ!」
「サヨリ!」
「お待ちなさい!」
「犯してぇっ!」
全裸男は叫びながら三人の横を素通りしていった。
「…え?」
「…視線、あんまり感じなかったから…」
「どういうこと?」
つづく
「…あたしたちを見てなかった。視線が薄かったの」
「?」
「じゃあ…」
「でもあの人、生きてますよね?」
「生きてるどころか…」
「おい!なんだアイツ女無視してこっち来るぞ!」
俊足シュウイチはたちまち見えなくなるほど遠くまで逃げている。
マサトとリュウジは振り返る余裕もない。
つづく
山形ユウジロウは、まさか軽子沢調査隊だけで公園に
行ってしまったのではないかと心配で、見に来ていた。
案内板で自分がレイプするに待ち伏せるとすればあの
トイレだと南東のトイレを目指す。
するとと向こうから物凄い速さで新聞委員会、長野シュウイチが
やって来てたちまち通り過ぎていった。
次に走ってきたのは志賀マサトと的場リュウジである。
必死の形相だ。
問題は次だった。
「犯して犯して」
と懇願しながら全力疾走する五十二歳。全裸の徳島剛三が二人を
追って駆け抜けていった。
終
トオルは?
>>301 別方向に逃げますた。(忘れてたwww)
逃げ切れててよかったww
それにしても徳島剛三w
マサトが責任とらなきゃね。
ちょwww教頭wwwww
え?ゲイの霊!?とか思ったら…www
教頭も生きがいが見つかってよかったね
あ!今気付いた!
教頭、名前が漢字だ!
名前の漢字が明らかになったのは教頭だけ…??
連投スイマセン。
今気付いたとか言って、気付くの遅すぎでしたね…orz
>>303 御指摘どうも。でもマサトいい加減そうだからなぁ…。。
多分取らないと思う(笑)
>>304 そうです。なぜか徳島教頭だけは名前の漢字が明らかになっています。
しかし名前の漢字が明らかになっているキャラクターは何とあと四人
もいます。さて、誰でしょう…?一人はかなりインパクトの強い人です。
名前がカタカナなのは、キャラクターのイメージを固定されたくないから
なんです。例えば『草壁あや』と書くと何となく、松浦あやさんのような
イメージに近くなりますし、『草壁彩』と書くと上戸彩さんのようなイメージ
に近くなる。更には身近に『綾』さんだとか『彩』さんだとがいれば、同じ
『アヤ』でもその人のイメージに近くなる気がするんですね。
それがいやなんです。ただ、逆に、イメージを漢字で完全に表現できる
キャラクターに関しては敢えて漢字を使っています。『剛三』ってもう何か
堅苦しい感じじゃないですか。もっとも読み手の方の身近に『剛三』という
名の、気の弱い方や不真面目な方がいたりすると逆効果なんですけど。
逆に今まで指摘がなかったのはそれだけシックリいってたからだろうな
とは思ってましたが、気付いてくれてどうもです^^
>>305 生き甲斐なんだろうかwww
でも軽子沢…まともな教師がどんどん減っていく…。
あーあと漢字が明らかになっている四名は…
ホーク有吉こと、有吉健二、あとアヤが所属するモンロービル
プロモーションの福井宗一郎と福井幸之助。これはもう
ホンダ創業者の本田宗一郎さんとナショナルの松下幸之助さん
ですね。とにかくすごい経営者だぞ、という。もう逆にイメージを
固定化したかった。
あとは『枡や』の鉄工所所長、てっチャンこと群馬泰蔵です。
ホークとてっちゃんはもうニックネームの方が先行しているので
そっちで見てくるだろうと漢字を出しています。
多分それ以上漢字がはっきり出てくる人物はいないのではない
かと…。
むしろはっきりした苗字も名前も分からないキャラクターが多すぎ
です(笑)
ええええええええ〜!!!
おそらくホモの幽霊かと思いきや!ここで教頭が出てくるなんて
夢にも思わなかった!
だっていつも渋く地道に毎日を積み重ねているタイプの
人だし、目覚めたとしてもこうなるとはww
そりゃ問題だ!www
こりゃぁマサト責任取らなくっちゃw
関係ないけど教頭は犯してくれる相手が欲しいわけでしょ。
ホモの人って攻めと受けとではどちらの方が相手を見つけやすいんかなぁとか
ヘンな疑問を持ってしまいますた。。。。
女には分からん世界だけに謎だらけw
仕方ないからまたマサムネさんのトコに行くしかないかww
>>306-307 私も漢字なのは気づいていたけど教頭だけとは今気づいたorz
なんか下の名前がカタカナのこの作者さんワールドで
「徳島剛三」って堅くてなんか真面目の代名詞みたいな四字熟語みたいな
感じだったんだけどえらいこっちゃww
面白かったっす!!作者さん乙でした!!
311 :
310:2006/11/09(木) 10:26:13 ID:g7daK7wl0
ありゃ、書き込んだら作者さんのレスがあったw
漢字だけなのは教頭だけじゃなかったのね、またまたorz
>>310 ごめんタイミング悪かったかな(笑)
漢字名については上にあるようなところで。
ホモの人…うーん。そこにレスするかって感じだけど…
俺は入れられたい方!(なんか今自分で自分がすごく
嫌いになったorz)
>>312 >俺は入れられたい方!
・・・・、「!」まで付けて断言してしまってwww
大丈夫か!作者氏もどこへ行くんだwww
さてここらで怖い話でもするか。
五十嵐ヒトミ(第五十七話 『陰の宴』 参照)は焦れていた。
完全に出遅れたのだ。
つづく
ビンゴパート3
高校受験である。何となく意識はして勉強していたが、それでも
友人と遊んだり恋人と過ごす時間が多かった。
勉強机に向かっていても携帯電話が気になり、メールが来れば
即返信する。
同じ学年の者からもしばしばメールや電話があるので、なんだみんな
大して勉強なんかしてないのだと思っていたが、相手は複数だという
ことを愚かなことに気付かなかった。
みんなそれぞれに勉強をし、受験対策をして、その合間合間、彼女へ
メールを送るなり電話するなりしていた。
それが続くものだから、何となく自分と同じように、誰もがろくに勉強も
せずメールやら電話やらしているのだろうと錯覚を起こしていた。
ある日そのことに気付き愕然とする。メールはちょくちょくあるが、いざ
遊びに誘うと、塾の集中講義があるとか、今は勉強に集中したいと
断られる。
その点、彼は何があっても付き合ってくれた。前バスケットボール部
主将の近藤ユウキである。
ただし、会えば必ず肉体を求めてくる。そしてかなり乱暴なセックスを
するのだった。
つづく
両親が共働きでいない彼の部屋で、毛布にくるまりながら、荒く
上下する胸を抑えて、それとなく聞いた。
「ねぇ、受験ってどうするの?」
「受験?しねぇよ」
「中卒?」
「っなわけねぇじゃん。推薦だよ推薦」
「え…推薦って…?」
「バスケでスポーツ推薦。僅翔高校」
「…そんなの初めて聞いた」
「言ってねぇもん。来る?僅翔?」
私立僅翔高校。スポーツ全般で有名で、一昨年は野球部が甲子園に出た。
学業ではそれほどレベルの高い高校ではないが、学費の関係で、ヒトミの
親は都立を希望している。
しかし驚いたのは既に彼が進学先を決めていることだった。決まっているなら
遊び呆けていても問題はない。彼女は裏切られた気分だった。
つづく
近藤ユウキは確かにキャプテンとしては短気で、ワンマンと
かなり問題があったが、プレイヤーとしては確かにかなり
優秀だった。
ちなみにこれは本人と近藤校長しか知らないことだが『内調』の
『三』である。
「…そろそろ親帰ってくるから。行けよ」
いつもこの調子である。彼は玄関まで送ってくれることもない。
ただ裸で、激しいセックスの余韻を楽しんでいるわけでもない
だろうが、ただもう事を済ませば面倒だとばかりに追い出そうと
する。
ヒトミは一人ベッドからはい出て、下着を着け。靴下を履いて、
服を着る。面倒な身支度が終わる頃には、彼は腕で目を覆って
軽い寝息を立てていた。
自宅に着くと、母が晩の食事を作っていた。台所で母の背中がいう。
「ヒトミ、来週三者面談でしょ?もう行く高校は決まってるの?都立じゃ
なきゃだめだからね」
「わかってっよ!うっさいなぁ!」
「またそんな口聞いて…。ちゃんと勉強してるの?」
つづく
無視して二階へ上がり、ベッドへ身を放り投げ、しばらく天井を
見つめる。木目が多くの人の顔のようで怖かった幼い頃を思い出す。
古い一戸建てだった。金があれば適当な私立に潜りこめるのに…。
なんで貧乏なんだよ。働け。くそ親父。
貧乏というほどのことはなかった。一般的な収入の家庭である。
ただ私立に行かれるのは厳しかった。ましてや両親は彼女のことを
知っている。私立でいいといえば彼女はいくらでもレベルを下げてくる。
最終的にはほとんど何もせず、金さえ払えば受け入れてくれるような
学校を選ぶだろうことは目に見えていた。親としてそれだけは許せな
かった。
仕方なく、起き上がり机に向かうが、数学、英語に関しては、もう二年生の
問題でさえよく分からない。
だんだんといらいらしてきて、今日が月曜日だということに気付くと、
テレビをつける。人気お笑いコンビが司会を務める音楽番組だ。初めは
BGMかわりに何となくつけたつもりだったが、気付けば完全にテレビの方を
向いていた。
そのまま同じチャンネルのドラマを見て、更にそのあとのアイドル番組を
見る。勉強しているのはCMの間だけ。そのわずかなCMの間でさえメールが
くればそちらが優先だった。
つづく
もうテニス部で金だ男だと遊び、また退部してからも似たような
ことをしているうち、全く勉学に興味がなくなり、更には勉強の仕方
そのものも忘れてしまったようだった。
何から手をつけていいのかすら分からない。また今の自分のレベルが
どれ程のものかすら分からなくなっていた。
かといって、必死さというか、真剣味もない。何か受験というものが遠く
感じる。まるで自分とは無関係なことのように。
家庭教師を雇う、塾に行く、方法はあるだろうに、何か具体的な打開策を
考える頭さえ持ち合わせてはいなかった。
言ってしまえば、何もかもが面倒で、自分の思い通りにならない現実に
嫌気が差していた。とはいえ厭世感と呼べるような高尚なものではない。
純粋な怒りだ。もっと分かりやすくいえば、彼女は現状にムカついていた。
しかしその腹立たしさは自分には決して向かない。悪いのはあくまで
周囲と自分を取り巻く環境なのである。
親がもっと金持ちなら、通っている中学が付属中学だったら、誰かコネの
ある者が親戚にでもいれば。
いつの間にか彼女は机を離れ、またベッドに寝転がっていた。
つづく
電話が鳴る。二つ上の男からだった。高校生だが合コンで
知り合った。特に恋愛感情とか肉体関係があるわけではないが、
向こうはこちらに気があるのか、それとも色々と付き合いがある
らしいのでそれを利用としているのか、まめに電話をよこす。
「もぃもぃ〜?」
発音しにくいが、これが彼女独特の電話の出方だ。可愛いと
思っているらしいが、男子はともかく女子にはかなり不評である
ことをヒトミは知らない。
『あ、ヒトミ?俺俺』
「あーマー君。嬉しい〜ちょうど電話しようと思ってたのぉ」
『うっそ?マジで?』
「マジマジ。声聞きたくてさー。もう何かストレスたまりまくりで」
『そっかそっかぁ。受験生だもんねぇ?』
「もぉ〜受験とか聞きたくないし!」
『はは…ごめんごめん』
「都立行けってうるさくってさ。親が」
つづく
『何で?いいじゃん都立』
「やだよ。あたしアッタマ悪いからさぁ。都立の悪いトコって
ただのヤンキー校みたいじゃん!」
『でも今年はなんかスゴいね。都立』
「え?何が?」
『試験問題が出回ってるんでしょ?ウワサだけど』
「うそ!?」
『いや、ウワサだから知らないけどさ。聞かない?』
「うん。聞いてない聞いてない。そんな話があるの?」
『何か色々言われてるみたいだよ。オークションで売ってたとか。
ありえねぇ〜って感じだけど』
「でも出回ったら試験問題変わるでしょ?」
『そうだよね。普通。でも実際あるのかなあ。センターの問題が先に
掲示板に書きこまれてたとかあるけど…』
「センター?」
『センター試験』
つづく
「ふぅん…」
その後ね何か話したがほとんど上の空だった。
そうか。先に試験問題が分かってれば受験なんて余裕だ。どうにかして
手に入れる方法はないか。そもそも都立試験の問題って誰が作って
るんだろう?
頭の中はそれでいっぱいだった。
彼女は普段は余り使わないパソコンに噛り付いて、それほどの熱意が
どこにあったのか、そのことばかりを調べ始めた。結果、都立高校の
入試試験問題は東京都の教育委員会が作成、管理していることが
すぐに分かった。
どうにかその職員に取り入ることはできないか。彼女は八方手を尽くした。
人脈だけはある。同じ中学の仲間から大学生まで。聞けば、今年の都立入試
試験の問題が流出しているというのは一部でかなり信憑性の高い噂として
語られているようだった。
彼女なりに考える。もし、インターネット上にその情報が開示されていたとすれば
ただちに削除、そして問題は新しい物に作りかえられるだろう。
大っぴらにはできないはずだ。オークションで売買などというのは論外である。
だとすれば、個人の直接のやりとり。
つづく
彼女は、何となしに出会い系サイトを覗いてみた。
それも、中学生同士の友達募集という健全な出会い系サイト。
「…やっぱ…」
そこには幾つか、都立高校入試試験に関する書き込みがなされ、
はっきりと、売ります、試験問題を持っていますとは書かれていないが
それを匂わせ、中学生を釣ろうとしているようなものがあった。
そのサイトは登録制で、メールアドレスは公開されてはいないが、
サイト上で直接書きこんだ本人宛てにメッセージを送ることができる。
五十嵐ヒトミはその者たちに片っ端からメッセージを送った。
返事はたちまち来る。デマや、偽の情報はいらない。欲しいのは
真実だけだ。そういった意味で場数を踏んでいる彼女の勘は鋭かった。
入試試験問題を管理しているぐらいだから、それなりの重要な役職、
ポスト、年齢に至っている者が真の情報提供者だ。
しかし来るメッセージはいずれも軽い。大学生か、高校生か。そんな
連中はどうでもよかった。
そんな中で、異質なものが一つだけ見受けられた。
つづく
『メッセージありがとうございます。影と申します。都立高校試験問題を
管理している教育委員会の人間です。もう五十歳ですが、直接お会い
することを条件に問題をお渡しします』
携帯電話番号まで書かれている。そして確認の為、彼の掲示板の
書き込みを見ると、
『投稿者本人によってこの書込は削除されました』
とある。どうやら『影』と名乗る人物が自ら消したらしい。そうなってしまうと
もうメッセージも送れない。
連絡手段は電話のみだ。
一応相手に番号を知られないよう、非通知で電話をしてみる。ところが
相手が非通知設定の電話を受けないように設定しているらしい。
意を決して彼女は自分の番号を通知して電話をかけた。
「…もしもし…」
相手の声は確かに年配者のそれだ。彼女は掲示板の名とそこで使用した
自分のハンドルネームを名乗った。
彼は都内のあるラブホテル前を待ち合わせ場所に指定する。何の遠慮もない。
報酬は肉体で、と言わんばかりである。
つづく
待ち合わせ当日。ホテルの前にいた男はスーツ姿に銀縁メガネの
かなり痩せた男だった。
よれたコート。余り清潔そうではないその様子は妻帯者らしくない。
一流のビジネスマンが持っているような、アルミのアタッシェケースだけが
妙に浮いている。
「…あの、こんにちわ…五十嵐ヒトミです…」
本名は既に明かしてある。入試問題を渡すにあたり、住所と氏名を明らかに
することが条件だった。
『影』はひげの青々とした剃り跡を歪ませて嫌らしく笑うと、彼女の肩を抱いて
ホテルに誘い込んだ。異臭がする。頭髪は脂っぽく、ふけがこびりついて、
メガネのレンズもそれでよく平気だなと思うほどに汚れ、指紋だらけである。
部屋に入ると『影』はアタッシェケースから、問題用紙を取り出した。確かに
それらしい問題が並んでいて、いかにもといった感じで、丸秘のスタンプが
押されている。
解答は手書きだった。問題を管理する者と解答を管理する者は保安上の
理由から別で、彼は解答は自分で作成したといった。しかし間違いはないと
自信たっぷりに言い切る。
つづく
彼はヒトミに入浴もさせず、自分も入浴しなかった。
それが趣味らしい。
ヒトミは将来の為、その不潔な男に抱かれた。
そして、異臭を放つイチモツをも口に含んだ。
「なぁ…臭いだろ?臭いって言ってくれよ…なぁ、ねぇ…」
「…くさい…」
「もっと言ってくれよ…どこが臭いの?どんなふうに臭いの?」
「…おちんちん…すごい臭い…気持ち悪い臭いがする…」
「あぁ…いいね…もっと…もっとそういうこといって…ほら、ねぇ…」
「おじさんのちんちん臭い…やだ…」
「そうか…臭いか…ねぇ。ふふふ…」
本当に胃から何かがはい上がってくるのをこらえながら、彼女は
イチモツをしゃぶり、更にそんな男を舌を絡め、乳首を吸われ、
身体中を臭い唾液まみれにされながら犯された。
経験したことがないほど冷たいペニスだった。まるでそれは氷の
ナイフのようだった。
つづく
そのホテルでは自動会計システムで、退室する際には
入り口ドア付近の壁に埋め込まれた自動支払機で料金を
支払う。
普通のホテルのようにカウンターなど人に会わずに出られる
システムだ。
ただし、犯罪などに利用されたりしないよう、部屋の中には
さすがにないが、廊下には監視カメラが設置され、アルバイトの
青年が絶えず見張っている。
何となく次々に切り替わる監視カメラの映像を見ていると男が
一人で部屋から出て行くのが映った。青年はスイッチを切り替え、
モニターにそのカメラの映像だけが出るようにした。
やはり一人だ。連れの女が出てこない。映像は録画されている。
何か犯罪かもしれない。しかし一応男は客だ。まだ何か問題があると
決まったわけではない。彼は上司に事を告げた。
青年と上司は彼の利用した部屋に立ち入った。しかしそこには何も
なかった。シャワーも洗面所も使った形跡はなく、ベッドもきれいに
整えてある。まるで使われてない部屋のようだったがゴミ箱の中には
使用済みのコンドームだけが捨てられていた。
都立高校入試試験の問題が漏洩しているという噂だけが流れ続けている。
五十嵐ヒトミは、今日も学校に来ない。
終
>>315 今宵も見事なビンゴでした(笑) ありがとう。合いの手一つ
入るだけでも全然気分が違うので嬉しいです^^
ヒトミ…どうなっちゃったの??
この男は何者なんだろう…。冷たいペニスって…。
なんだかゴルゴ13の「芹沢家殺人事件」を思い出して余計に怖くなった〜((((((;゚Д゚))))))
>>330 「芹沢家殺人事件」!あれは屈指の名作!ゴルゴ誕生譚(?)の
一つですね。代々続く殺人一族。姉は果たして…
ホテルの部屋で一人業黙々と作業をしたであろう少年…
嗚呼おそろしや…。比べていただけるとは…身に余ります。
今回の話は遊びが大きいね。伏線かい?
作者さん乙!でした。
恐いというより気持ち悪くなった。
本当に気持ち悪い男がイメージに浮かんだ。
いかんいかん、簡単に体を売るような事をしちゃ。戒めだな。
肉を砕いてトイレに…
>>332 アソビの部分は読者さんの想像の中で楽しんで頂く部分です。
はっきりと明示されない部分において伏線を張ることは余り
好きではありません。
何となく、例えば密室モノの推理小説で、オチが『実は秘密の
通路があった』という元も子もないものだった、というのと同じ
ような気がするのです。
伏線がある際には後で見返せばはっきりと書いてある部分に
ほぼ限られるので、アソビの部分に関しては、思うように想像
して頂いて結構です。正解も不正解もないです。
>>333 前シリーズの話に続くものなのでどうしたものかまよったの
ですが、『お留め』をくらって改心したアリサが出てきてしまった
ので、一方で改心するきっかけがなかった者がどうなるものか、
書いてみました。かなり自分でも書きながら不快だったので、
ある意味狙い通りなのですが、気持ち悪くさせてしまってすまん
です。感想ありがとうでした^^
>>334 そういう考えもアリですね。ただヒトミがどうなったのかは敢えて
明示しておりません。消失したのか、食べられたのか、殺された
のか、生きている可能性もゼロではないです。その後登校してくる
かも知れんです。それは私にも分からない部分で…。
>>335 >気持ち悪くさせてしまってすまん
です。感想ありがとうでした^^
いえいえ、作者さんの描写が細かく伝わってるって事ですから
そんな謝らないで下さいね^^
私はこれを機会に改心するというか、あまりの気持ち悪い体験によって
愚かさを気づくことが出来たヒトミがまた見たいな。
実はオヤジに拉致されてたりして。
気づくことは難しいけど気づけたら大丈夫だろうから気づいて欲しいな。
今日こそは!ライブ!
…と思って来てみたら、、またハズした(T^T)
連荘さんウラヤマシス…
>>337 今宵はまだネタが全くでない…。金曜日なのでまぁ遅くてもよいかと。
でも一日のうち2時間は書いてるからそれでも1/12か…。でも朝の
7時から夜の7時の間に投下することは滅多にないから、1/6程度の
確率で遭遇するはずなのだけれどなぁ…。ライブの際には合いの手
お願いするです。
作者さんアリガトゥ…
がんばるです(ρ__ー)o
雑談でゴメンナサイ
さてここらで変な話でもするか。
リャウドヌゥスルヴィェットラゥトゥルは今日も地球を訪れていた。
岡崎リョウコに会いたい気もするが、彼女が受験で忙しいことも知っている。
つづく
キタキタキター!
久々にビンゴォォォ!(゚∀゚)
彼は彼女の状況をよく理解していた。だから彼は邪魔をしないよう、
いつもの第二子供広場にUFOを隠し、山形家ほ訪れる。
ここで彼は山形アカネに様々なことを学んでいた。政治や経済のこと。
一度は教師を目指し、その上さまざまな世界の人間と付き合いのある
アカネである。教える内容の密度、教え方、やはり十五歳の岡崎リョウコ
とは雲泥の差である。
しかしベトラの心はどちらかといえばリョウコにあった。何となく彼女に
会えないことが寂しい。
性に奔放で、結婚という概念がなく、同時に愛や恋というものをユニーダの
者は知らない。しかし度々地球を訪れ、リョウコや他の人間と接するうち、
何となくその辺りの感情を理解しつつあった。
少なくとも、山形アカネと岡崎リョウコは等価値ではない。同時に呼ばれて
どちらに行くかと問うならば彼は迷わず岡崎リョウコを選ぶだろう。
しかし、好き、嫌いの感情や、その度合いは何となく分かったが、果たして
それが恋愛かどうかは理解できなかった。
しかしアカネいわく、それは地球人にとっても難しい問題、らしい。悩んで
当然のことだといわれ、ベトラは悩みを知る。
つづく
変な話キテター!!
「お昼、何か食べたいものある?」
「うなぎが食べてみたいです」
「うなぎは高いんだよ」
「遠いですか?」
「あぁその高いじゃなくて、値段。お金がかかるの」
「お金。あぁよくわかる。そうかうなぎは高いんだ…」
ユニーダには金銭が存在しない。なので値段の高い安いという
ことを理解するのにだいぶかかったが今は大体理解できている。
とにかく人間は安いものが好きだ。
「じゃあ四角いのがいいな」
「四角いの?」
「白い。柔らかい」
「豆腐?」
「うん。それ。とうふ」
「うなぎの次に出てくるのが豆腐か…随分差があるね」
つづく
「…じゃ買ってくるか」
「僕が行くよ。買い物」
「行けるの?」
「うん。たいして大丈夫!」
「たいして大丈夫…。全然オッケーってこと?それとも危なっかしいってこと?」
「モウマンタイ!」
「なんで中国語になるのよ…。問題ないってことね?じゃあ任せる。どこで
売ってるか知ってる?」
「うぅん…豆腐屋さんってある?」
「うん。豆腐屋さんっていう職業はあるよ。でも近所にはないの」
「豆腐屋さんいない…」
「うん。いない」
つづく
「じゃあスーパー?」
「うん!そう。スーパーに行けばあるよ」
「じゃあ行って来る!」
「お金は?」
「持ってる。偽札だけど」
アカネは彼に千円札を渡した。
「おー本物のお金!偽札とそっくり!」
「偽札が本物のお金に似てるのね」
「もう一枚よこせ」
「何でよ!」
「記念に持って帰る」
「…」
千円札をもう一枚アカネは渡した。そっくりな偽札を持っているなら
別にいらないだろうと思いつつ。
つづく
玄関で靴を履いていると、外からきゃんきゃんとうるさい声が
する。ユタカだ。散歩に行きたいらしい。
「ケダモノが騒いでるね」
「ユタカだよ」
「ユタカ。いつも思ってたけど変な名前」
「そう?犬らしくはないけど…」
「ユニーダの言葉で『ユタカ』ってトイレのこと」
「そうなんだ!?それじゃ変な名前だね」
「ケダモノは何で鳴いてるの?一生懸命鳴いてるよ」
「多分お散歩に行きたいんだと思うよ」
「おさんぽって?」
「歩くこと。適当に」
「運動だね。一緒に連れて行こうか?」
「大丈夫?」
「たいして大丈夫。たいしていい」
つづく
ユタカを連れてベトラは歩く。スーパーまでの道のりは
教えてもらった。あとスーパーの店内にユタカを連れて
入ってはいけないことも習った。
基本的にユタカは何度か見かけた人間ならすぐに慣れる。
ベトラとも何度か庭で遊んだことがあるので安心だった。
散歩している間、ベトラはユタカに言葉が通じるものだと思い
何度も話しかけていた。しかしユタカは振り返りはするが首を
かしげるばかりで何を言っているか理解できない。
そのうちベトラは、ユタカが母星語のトイレと区別できなくなり、
ユタカの名前がよく分からなくなった。
「あれ。トイレだっけ?ユタカだっけ?日本語でトイレ?ん?」
やはり母星語の方の印象が強いので、余り街中で『ユタカ』とは
いいにくい。むしろトイレの方が口当たりはよかった。
そんなことを繰り返しているうちにいつの間にかユタカの名前は
『お便所』になっていた。
「オベンジョ、何か返事してよ。さっきからたくさん話してる」
基本的にユタカは余り鳴かない。返事しろといっても無理だ。
つづく
寝れなくて開いたら・・・
お便所wwwww
「オベンジョここで待っててねー」
スーパーの自転車置き場の鉄柵に、ユタカのリードを結びつける。
ユタカは慣れているのでおとなしく座って待っていた。
さてベトラは困っていた。豆腐がどのようにして売られているか、
検討がつかなかった。
あんなに柔らかいものをどうやって持って帰るのだろう。気をつけて
持って帰らないとぐずぐずになってしまいそうだ。
何か入れ物に入っているのか。果たしてその入れ物はどんなものか。
ベトラは適当な人間に豆腐の売り場を尋ねた。店員でもないその中年の
婦人は、親切に売り場まで案内してくれた。
「ありがとう。本当だ。とうふだ」
彼は無事豆腐一丁を購入し、スーパーを出る。ユタカが嬉しそうに立ち上がった。
「オベンジョ。豆腐買ったよ」
隣の若い女が犬の名を聞いて吹き出したが、ベトラは自分とは関係のないこと
だろうと思った。
つづく
オベンジョwwwww
帰り道、何となく違う道を通る。ベトラの方向感覚は鋭かった。
知らない道でも問題はない。
何となくユタカに引っ張られるまま歩いていたらそちらの道へ
入ってしまったという感じ。
その道はユタカのいつもの散歩道だった。
ユタカは電柱を見かけると、足を上げた。
「バカなことしないよー」
構わずベトラは歩く。リードが突っ張りユタカは引っ張られた。ユタカは
抵抗する。あの電柱でおしっこをすることがお気に入りなのだ。
「オベンジョいうこと聞いて。帰ってとうふを食べよう」
しかしユタカもかなりおしっこがしたい。するには止まりたい。止まって
しないと足がびしょびしょになる。しかし止まるとベトラが引っ張る。
『何なんだこの鬱陶しい人間は!小便もさせないつもりか!』
ユタカ必死の抵抗。遂には唸り声を上げた。
「オベンジョ怒ってるの?」
つづく
するとユタカは足を高々とあげ、おしっこをした。
しかしそれがまずかった。ユニーダ人、いや、ベトラの所属する
ゥヌゥという集落では、他人の前で小便をすることは決闘の申し込み
なのである。非常に無礼な行為でもある。
「!」
ベトラは温厚な青年だが、元は誇り高き戦士の一族である。とはいえ
もう何万年も昔の話だが、その誇りだけは失っていない。
「おのれオベンジョ!」
ベトラ、柴犬ユタカと大決闘。ちなみにユタカはまだ生後半年程度である。
ユタカは何が起こったか分からないが、とりあえず身を守る為に戦う。
しかしベトラ、余りにも弱い。揉みあっているうちに上に乗られ鼻をかじられ
顔中ひっかかれた。
「オベンジョさま!参りました参りました!」
決闘に敗北した者は勝者に絶対服従である。しかし当然だがユタカは別に
何も命令してこない。
「オベンジョさまー」
つづく
ユタカもすこぶる機嫌が悪そうだったが、もう引っ張られることは
ない。
邪魔されず安心しておしっこをすることができる。
その度にベトラは大変な屈辱を味わうわけだが、今さっき敗北した
ばかりだ。どうせ今やっても勝ち目はない。
何ていやな奴なのだろうと思いつつ黙認する。
そのうちユタカは大きい方もした。しかし大きい方はベトラにとって
別にどうということはない。問題はおしっこの方だけだ。
そのまま行こうとすると、ユタカが動かない。
「オベンジョさまどうしたの?」
ユタカは知っているのだ。大きい方をした時はいつも御主人が片付けて
くれる。その間、待つことが習慣になっていた。
しかし何もしないベトラにユタカは首をかしげた。
『うんち、ホッタラカシでいいの?』
オベンジョさまが何か訴えている!その大きい方をどうしろというのか…。
つづく
片付ければいいのかな。でも直接手で触るのはいやだ。
スーパーの袋でいいかな。
ベトラは袋から豆腐を出し、左手に持つと、右手にスーパーの袋を
手袋のようにかぶせて、ユタカのした大きいのをつかむと、袋を
ひっくり返して中に収めた。
ユタカは満足そうに歩いていく。山形家は目前だった。
さすがに豆腐だけでは昼食にならないとアカネは適当にありあわせの
ものを炒めて、野菜炒めのようなものを作っていた。
ベトラが食べられないものは大体分かっている。
やがて玄関のチャイムが鳴った。
「お帰り」
「いってきます」
「ただいま、ね」
「ただいま」
「あれ?ユタカ連れてきちゃったの?」
つづく
「あぁそうだ。ユタカさまだった…勘違い…」
ユタカは玄関に上がろうとしている。雨の日などは家の中に
入れることもあったので、アカネは慌てて脱衣所から雑巾を
持ってくるとユタカの足を拭いてやった。
それが上がってよし、の合図である。ユタカは居間にかけて
行った。
アカネは豆腐と買い物袋を別々に受け取った。何だろうとは
思ったが疑問も持たず台所へ。
一方、ベトラは居間でユタカの相手をしていた。ユタカはもう機嫌も
直って、はしゃいでいる。家の中に入れることが嬉しいのだ。
そのうちユタカはベトラとじゃれはじめた。ベトラはあることに気付いた。
「あれ…」
台所でこの買い物袋はなんだろうと、しっかり縛られている袋を開け
アカネはひどく驚いた。当然だ。そこに入っているのはユタカの大きいの
である。
こういう時は日本の常識を叩き込んでやることにしている。アカネがダイニング
キッチンで振り返るとカウンター向こうの居間では全裸になったベトラの腰に
ユタカがしがみついて、今にも挿入直前であった。
アカネが慌てて豆腐をパックごとぶん投げるとユタカに命中。ユタカは失神した。
ベトラ危機一髪。昼食はぐずぐずの豆腐。
終
ベトラwwwww
国が違うだけでも習慣が違って大変なのに星が違えば尚更ですね。
面白いなぁこういうのw
それにしてもベトラとユタカどうしちゃったのさwww
それにしても、アカネはみんなの面倒見なくちゃいけないから大変だよなぁw
それにしてもそれにしてもって二回も書いちゃったorz
>>357 決闘に敗北→絶対服従→じゃれているうちにユタカ勃起
→お相手しなければ、ということですね。
ユニーダはフリーセックスの星なので。って動物ぐらい
いるだろし、動物とはしないだろうけど(笑)
それにしても×2 は俺もよくやっちゃうんですよね…。
まとめwikiで何回か直したことある。。こっそりと…(笑)
しかし〜しかし〜とか、だが〜だが〜とかやりがちです。
感想ありがとでした^^
作者さん乙でした!
それにしてもベトラ可愛い〜!おのれオベンジョから
オベンジョさま〜だもんなぁww
爆笑w
ところどころ言葉使いが急に変になるのがすごく面白い。
すごく美少年でヘンチクリンな少年の姿が思い浮かびました。
しかし、アカネは世話をする人が多くて大変だwww
さてここらで怖い話でもするか。
サヨリは朝から気分が悪く、自分の部屋のドアを開けると、百メートル程
離れたコンビニエンスストアの公衆電話に、十円玉を三枚入れた。
つづく
気分が悪いといっても体調ではない。あくまで精神的なものだ。
力なく、数字をプッシュすると、しばらくしてから、徳島教頭の声が
受話口から聞こえた。
『もしもし。軽子沢中学校ですが』
「二年B組のサヨ…山田サユリです…」
自ら本名を名乗るのは彼女にとって一種の屈辱である。更に気分が
悪くなったが、普段接触のない教頭に、『サヨリ』とだけ名乗っても
誰かは分かるまい。あくまで名簿の上では彼女は『山田サユリ』なのである。
『二年B組の…山田…サユリさん…。はい。どうかされましたか?』
メモでも取りながら話しているのか、教頭の声がおぼつかない。
「すいません。気分が悪いので今日は休ませてもらおうかと」
『そうですか。分かりました。伝えておきます。お大事にして下さいね』
「…はい…」
お大事に。サヨリはそういう問題ではないのにな、と思いながら、身体を
引きずって自室に戻る。家賃二万四千円のアパート。
彼女は久しぶりに、鍵をかけた。
つづく
一応風呂とトイレはついている。彼女は風呂に入り、傷だらけの
肉体を冷水にさらした。
ガス代、電気代は払っていない。
突き刺さるような水の束を受けながら、彼女は昨夜の悪夢を思い出していた。
時折見る悪夢。見始めた瞬間、それがいつもの悪夢だと気付き目を覚ました。
彼女はその記憶を振り払うように、頭に上から水をかぶった。
冷たい。冷たすぎる水を頭からかぶると息が苦しいような具合になる。
それでも悪夢のイメージは彼女から離れない。
震えている。それが恐怖なのか、冷たい水を長い時間浴びたせいなのかは
分からない。
彼女は繊維がほつれて、がさがさとした、肌当たりの悪いタオルで身体を
拭くと、もう一度ドアの鍵を確かめた。確かにかかっている。
部屋着や普段着というものを彼女は持たない。着るものといえば、学校の
制服と、どういうわけか持っている白い着物、それだけだった。
制服も夏服は持っていない。顔意外の全身に目立つ傷があり、彼女はそれを
隠す意味でも一年中長袖にロングスカートだった。
つづく
下着も彼女は持たない。生理もどういう理由かなく、彼女の陰部は
絶えず乾いていた。
全裸のままベッドの上で体育座りをして、頭の上から掛け布団を
被る。震えは止まらなかった。
悪夢に追われ、夜中、起きている。身体が暖まるとまどろんで、
また悪夢に追いつかれる。
脈打つように飛び起きて、ドアを見る。何も変わらない部屋。
フローリングといえば聞こえはいいが、六畳の木の床の部屋。
台所はあるがコンロもない。部屋にあるものといえば、古いラジカセと、
教科書、ノート、通学用のカバン。いくつか学校で必要なもの。聖書。
それだけ。
制服と着物はハンガーにかかって壁に吊るしてある。体操着は学校に
置き放しだ。
天井から、やはり古い照明器具がぶら下がっているが、これが点灯
することはない。夜になると、アパートの際に立っている電柱についている
街路灯の灯りだけになる。それでも本を読めるほどの明るさはあった。
彼女はじっとして、悪夢から逃げ、そして待ってもいた。
悪夢。それから逃げられないことを知っていたから。
ただ必死で抗っていた。
つづく
見開かれた眼球の、紅い瞳も時に力を失う。
重力に負けたまぶたが下りてきて、瞳を覆うと、暗い中に
灯りが見える。悪夢だ。
もう諦めよう。逃げ切れない。
首の力が抜け、がくんと頭を垂れると彼女の紅い瞳はまた
力を取り戻す。
まだ昼頃だろうか。空腹。じっとドアを見て何時間経ったか。
そのドアのすぐ向こう側で悪夢が待っている。
頬を冷たい涙が伝っていた。一人になると何故こうも泣きたくなるのか。
助けて。助けて。助けて。悪夢が来るよ。誰か。助けて。
彼女は泣きながらまた震えて、けれども心のどこかで笑っていた。
つづく
サヨリキター!!
ktkrktkrktkrwktkwktkwktk・・・
目を閉じる。ドアが開く。
目を開く。ドアは閉まっている。
彼女の最大の矛盾。恐れながら、待ち望み、待ち望みながら、逃げる。
聖書の一説を思い出す。ローマ人への手紙。 第六章二十三節。
『罪から来る報酬は死である。しかし、神の下さる賜物は、私たちの主イエス
にある永遠の命である』
彼女はその皮肉を笑い、自らを呪った。そしてそれは祝福でもあった。
「もう許して…許して…」
彼女は泣いて、泣き疲れて、許しを乞うたまま。次第に。
つづく
ドアが開かれる。現れたのは紛れもない。自分だ。これこそが悪夢の本体である。
何度繰り返されたか。彼女は彼女に殺される。
深々と、氷のナイフを胸に突きたてられて、白い肌を朱に染めて、これ以上ない
苦痛の中で、失った意識を更に失わせて、それは無限に続く地獄の責め苦。
左胸。ろっ骨。あばらとあばらの間を容易にすり抜けた刃は、彼女を苦しめるだけ
苦しめ、白い肌をえぐる。
壮絶な痛み。死の恐怖。彼女は自分に殺された。
ひどく疲れて、冷たく、ベタついた汗にまみれて、何日経ったか、朝、目覚める。
カレンダーも時計もない。ただ裸の自分がいる。
そっと手を乱れ打つ胸に這わせる。左胸。ろっ骨の脇にまた新しい傷が増えていた。
悪夢は終わる。彼女の紅い瞳に再び力が戻り、その赤は炎のように燃え立った。
そして彼女は部屋で踊りながら笑う。散々笑って笑って、踊りながら疲れてばたりと
ベッドに突っ伏すと、これ以上ない程の涙をこぼすのだ。
泣きながらいつしか眠る。しかし彼女の白い寝顔は安らかだった。
終
ドッペルゲンガーと予知夢って話を雑談スレの方でしてて、そしたら
サヨリが出たがった…。何だか短い話ですが、何か奇妙で、全部
サヨリの一晩の夢の様でもあるし…。
こんなのができました。ちょっと自分的にはかなり好き。
合いの手くれた方どうもでした。
ただ短くなっちゃってごめんね。これ以上やると、何か逆に余計な
感じがしました。
やっとサヨリが見えてきたかな。自分の中で。
作者さん乙です!これは超短編としてはかなりの傑作なのではないでしょうか?
まさにオカルト、不思議な読後感があっていいです!つい初レスしてしまいました!
でもずっと読んでます。これからもがんばってください!
>>370 初レス!ありがとう^^ 自分も好きな作品なので
褒めていただけると嬉すぃです。さんくすでした^^
アク禁くらいました。携帯でもなぜか書き込めません。と
いうわけで、漫画喫茶にやってきましたが、金もないので
この書き込みで退出します。
あまり長く続くようならまとめサイトに直接投下します。
雰囲気がよければここ(漫画喫茶)ででもと思ったのですが、
思いのほかうるさいのです^^;;
スレの保守等よろしくお願いします。
>>372 ええええ〜!!!
ついに作者さんまでアク禁!!!なんてこったぁ〜。
携帯でも書き込めない事があるって初めて知った。
保守は任しといてください!!
携帯アク禁は永久規制じゃなかった?
なんにしてもショック・・・
>>374 そうなん?それは自分も知らなかった。
どれくらいでアク禁あけるかなぁ・・。自分の場合は
2〜3日で明けたけど。
みんなで保守するから!明けた時の為にネタ溜めといて!
もう解除かよ!!
何のためのアク禁…漫画喫茶で1000円も使ってしまった…。。。
解除要請スレがすごいことになってたからな…。
というわけで復活でーす。。
携帯はそもそもネットに使わないので多分設定を
間違ったか何かしていたんだと思います。。。串の設定
なんかしてないのにプロクシ扱いで弾かれますた。
復活おめ!!
ソフトバンクだと串扱いかな?よくわからんw
>>379 そそ。ソフトバンク。どうすりゃいいんだか。別にいいけど。。
連絡用のブログまで作ったのにさ…。ブログどうしよ。
だぁぁぁぁwwwwwもう復活かよ!!
いやまぁ、おめ!
しかしこれから保守に気をつけんといかんと燃えとったのに^^
心配したんだから〜んもうw
っーわけでアク禁明け記念話頼むよ(笑)
>>380 連絡用ブログってなぁに?(・∀・)wktk
>>380 なぁに?なぁに?
(・ω・)wkwktktkwktkwktk
>>381 今考え中〜気ぃ使わせてすまんかったね。ありがとう^^しかし
なんのためのアク禁だったんだか…。数日はかかると思って
たのに…。
>>382-383 いや、まとめwikiに本編いきなり投下するのはそれでいいんだけど、
感想とかを本スレにされちゃうと、つながらないっていうか始めてくる
人わけわからんでしょ?合いの手とかさ。だからってないのも寂しい
し、wikiも米欄つけられるみたいなんだけどやり方よくわかってないし…。
その上、雑談スレにも書きこめないから、いつも暇なときに書いてる
駄文の数々も書けなくなって、さびしいなぁと。んでブログ作った。
んだけの話。そういえば、ブログってまぁ今はSNSとかの方が流行っと
るのかも次世代の何か俺の知らん物が来つつあるのかしらんけど、
声優さんとか、タレントさんのって大変盛り上がったよね?
んで、アニメでも小説でもその『作中キャラクターが立てたブログ』と
いう設定のブログって誰かやってないの?もちろんオフィシャルで。
例えば、あいつパソコン持ってないけど『サヨリが立てたブログ』とか、
『ユウジロウのブログ』とかそういうの。登場回の日だったらもちろん、
その日の出来事について書かれて、出ない回もその日自分は何を
していたかが書かれる。勿論これは作中時間とリアルタイムが同時
進行していないと無理なわけだけど。面白いと思うんだけどな。原作
漫画とかDVDのアフィ張ったりして。
やりやすいキャラクターではあまり漫画は読まないけどこち亀の
両さんのブログとかあったら楽しそう。最近は流行解説漫画みたいに
なってるから色々アフィも繁盛しそうだし…んでもないか。
あってはならないのはゴルゴ。。。コメント欄に依頼来たりしてね(笑)
さてここらで変な話でもするか。
その日は、天気が昼頃一変し、突然の雨となった。予報では、天気は
夜まで崩れないだろうとのことだった。
つづく
開いたらキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
これが噂のビンゴってやつか!
準備よく置き傘をしていた生徒はそれを使い、その傘に入れてもらい
帰る者もいた。
またかばんを頭に、逃げ走るように帰る者もあった。
冷たい雨である。
教師達も一日の仕事を終えて帰路につく。クルマで来る者は問題なく、
また他の教師もバスを使うなど特に雨だからといって騒ぎになることは
なかった。
ただ一人大変困った者がいた。
岩倉ヒョウゴである。
現在彼は体長一メートルほどのあざらし型である。傘はあるが持てない。
持てたとしても、地面を這うようにして移動するので、どうしても濡れてしまう。
濡れると彼の体は基本的に溶けるのだ。(第百十六夜参照)
しかし帰るしかない。彼はもぞもぞとゴミ袋の中に入り、視界を確保する為の
穴をあけ、ぼいんぼいんと飛んで帰った。
つづく
しかし、途中で袋は破れ、飛び跳ねる勢いで潰れるわ雨で溶けるわ
散々な目にあって何とか自宅マンションにたどり着いた。
帰宅途中の道に点々と彼の破片である『生ける土』が転がっている。
岩倉ヒョウゴを構成する『生ける土』はその全体で一つの意識を持つことも
できるが、あくまで本体は、決まった一つである。
かつて彼は三メートルの巨体であったが、その『生ける土』の大部分は、
彼ら夫婦の寝室の押入れの中に保管されている。それは確かに『生ける土』
なのだが、妻トモミが、ある魔術的な手順を踏まなければただの土である。
トモミは新たに土を足したり減らしたりして新しい形にする度にその魔術的な
作法を施して、やっとヒョウゴは動くことができる。
ただ一度形が決まってしまえば、その意識や思考を持つのは一体のみで、
二体、三体と増やしたところで別々の個性を持つことはない。余った土は、
何をしてもただの土だ。
要するに、ヒョウゴが教師として出勤している間寂しいので、余った『生ける土』で
自宅用のヒョウゴを製造しても、動いたり喋ったりするのは最初に作った一体である。
つづく
ではその一体を水で溶かし、二体に分けたらどうなるか。
全く同じ量の二体に分けると活動を停止するが、どちらか
一方が少しでも大きいと、小さいほうは大きいほうの意思に
よってのみ動く。
よって基本的に一体に戻ろうとする。
この辺りは人間には全く理解できない部分である。
とにかくヒョウゴは離れてしまった破片を取り戻そうと考える。
すると小さい破片もぴょんぴょんと跳ねて本体に再びくっつこうと
して動く。しかし本体が破片を無視すれば破片はそのままだ。
その辺りは、映画『ターミネーター2』のT−1000に似ている。
今はぼいんぼいんと跳ねるアザラシを、小さい土がぴょんぴょん
追っかけている状態である。そして濡れとけて、アザラシの形も
かなり怪しいものになりつつある。
それを傘に隠れてじっと見ている者がいた。
山梨レイである。
「…岩倉…ヒョウゴ…」
つづく
部員数七名。ぎりぎり公式に同好会と認められているマンガ同好会
会長にして同人作家。女性名のようだが男である。
彼は家に帰るなり、パソコンを立ち上げ、一部のレポートを作成した。
タイトルは
『ストーンエイジプロジェクト』
とある。
リズミカルなキーボードの音は深夜までやむことがなかった。
翌日。軽子沢中学東棟三階。美術室。
放課後にはここがマンガ同好会の部室となる。
山梨レイは集まった部員にコピーしたレポートを配布した。
そこには岩倉ヒョウゴの生態についての詳細な情報と、更にある
作戦の主旨、目標と、目標に至る為の細かい手順が書かれていた。
「さすが部長でござる!」
つづく
「これは完璧でしょうワラ」
ワラというのは『(笑)』のことであるから、笑えばいいと思うのだが、
その辺りの表現が微妙に彼らを浮いた存在にしていた。
「『ストーンエイジプロジェクト』を本日一七〇〇より実施!」
一七〇〇。『ヒトナナマルマル』と読む。聞き違いがないよう、また
騒がしい中でも正確に時刻を伝えるための言い方である。これで
十七時ちょうど。つまり午後五時を表す。
『ストーンエイジプロジェクト』それは余りに恐ろしい作戦であった。
彼らは岩倉ヒョウゴを拉致。美術室に監禁したのである。
「ぶほっ!成功!プギャー!」
「テラ余裕!」
「こらー出せー!」
一応岩倉ヒョウゴは教師である。いきなり背後から襲われゴミ袋に
詰められた上、監禁されれば怒るのは当然である。しかし容姿は
ほとんど二頭身のネコで声にも迫力がない。
つづく
ちなみに声に関して言えば、岩倉ヒョウゴどんな声でも出すことが
できる。自分の容姿に合わせて適当な声を選択している。
しかし、声の大きさは体の大きさに比例し、体が小さいと声も小さい。
ゴミ袋から開放されると、あやしいオタク集団にヒョウゴは囲まれていた。
「なんだ君たちは!」
「我々はマンガ同好会。通称ホス!」
ホス。HOSと記し、彼らのロゴマークにもデザインされている。本来は
あるアニメに登場する『ハイパーオペレーティングシステム』の略称なの
だが、彼らはこれを『変態オタク集団』の略とする。
自ら変態を名乗る本格派の変態集団。それがマンガ同好会。HOSである。
「…そのマンガ同好会が何か用なの?」
「先生。先生の体は毎日微妙に違う上…どう見ても人間には見えない…」
「!」
「我々は何か秘密があるのではないかと研究を重ね、ある結論に至った」
「…」
つづく
「岩倉先生!あなたは人間ではない!泥人形だ!」
「!」
「プギャー!」
なんでばれてしまったのか岩倉ヒョウゴは必死で考えた。しかし
ネコになったりアザラシになったりすれば人間ではないと誰もが
気付きそうなものだが、その重要な点に気付いたのは彼らだけ
だった。
「しかも水に溶ける…」
「ワクテカ!」
「これがどういう意味か…お分かりですね?先生…」
「…わ…わからん…」
「こういうことだ!」
頭から水をかぶり、こねられたヒョウゴは、ただの土団子と化した。
こうなると喋ることもできない。しかしころころと動いている。
「やはり泥だ!」
「キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!」
つづく
スベリコミ≡つ゜O゜)つセーフ!
久しぶりのビンゴ…
‖;_;)ヒョウゴ…
395 :
本当にあった怖い名無し:2006/11/13(月) 01:05:00 ID:v5Ff+owCO
可哀想すぎて涙が出る。。。
「…俺の出番だな…」
「頼むぞ。イカデビル」
基本的にマンガ同好会は本名では呼び合わない。本木タツヤは
イカデビルとなぜか呼ばれている。
彼はモデラーだった。ガレージキットフィギュアの製作者だ。
パテを盛り、削り、人形の造形を作る作家である。
これこそが『ストーンエイジプロジェクト』の根幹だった。
ガレージキットフィギュア。彼らのいうそれは二次元の三次元化である。
アニメのキャラクターなど基本的に平面にしか存在しない者を立体化し、
精密な『人形』とする。
しかしあくまでそれは人形に過ぎない。アニメの中のように喋ったり、
元気に動き回ることはない。
しかし岩倉ヒョウゴを形成する『生ける土』を用いれば、立体化した上、
喋り、動く、夢の人形が完成するのだ。
つづく
本木タツヤ。通称イカデビルはある程度名のある作家だった。ただし
表に出ることを嫌い、自らが製作したフィギュアを細々とオークション
などで販売していた。
その名の由来は、その製作時間の速さにあった。瞬く間に仕上げていく。
「…この土は硬化しないのか…かといって柔らかすぎるわけでもない。
作りやすいな…」
彼が作っているのは人気アニメ『無限世紀おとめ組』の主人公、『土方カシメ』
である。もう一方の人気キャラクターに『望月ハトメ』がいるが、多数決の結果
カシメが選ばれた。
「か…かしめタンのオパーイ…」
深夜近くになっても製作は続く。しかし用務員、鈴木ヒデヨシも彼らだけは無視
していた。頻繁に遅くなるのだ。学校に寝泊りしているといっても過言ではない。
「…よし。着色だ…」
「щ(゚Д゚щ)カモーン!!」
「(*^ー゚)b グッジョブ!!」
そして着色されたそれは、まぎれもなく土方カシメであった。
つづく
「萌え!」
「キタコレ!」
「…」
なるほどそういうことだったのかとヒョウゴはかなり不満げだった。
一応男である自覚はある。しかしアニメなぞほとんど見ない。
目がでかい。目にすぐごみが入る。
「あのなぁ」
しかし声は男のそれであった。
「むむ…先生、声って変えられないの?」
散々やるだけやっておいて先生呼ばわりもおかしいが、岩倉ヒョウゴは
岩倉ヒョウゴである。
「声?変えられるけど…」
もうどうでもいい。こんな姿にされたんだ。どうにでもなれという気持ちが
強い。
ちなみに大きさは身長三十センチほどである。
つづく
「じゃあこの声でお願いします」
何をお願いされるのか分かった物ではないが、彼らはキャラクターの
声を携帯電話の着信音に利用していた。土方カシメの声である。
「こんな感じ?」
「(;゚∀゚)=3」
「…先生、おちんちん大好きって言って!」
「言えるかばか!」
「ツンデレ萌え!」
「叱って叱って!」
「大体お前らな、先生に対してこんな…」
怒るが姿は美少女フィギュアだ。全く説得力がない上に、マンガ同好会
総勃起。
しかしイカデビルは不満そうだった。
「…そうか。服はたなびかないのか…」
つづく
服。問題である。服も完全な造形物として削りだしてしまったので、
肉体の一部になっている。座っても立っても風が吹いてもしわも
よらなければ、ひるがえることもない。
無論、いわゆるパンチラもない。
こうなれば、全裸のモデルを作り、服は別途着せる方が良さそうだ。
「…うぅむ」
部長山梨レイは考えた。そして凄まじい結論を出した。
「先生はそこで待ってて」
七人を集め提案された新たな作戦。それは『リッジモントハイプロジェクト』
と呼称された。
驚くべき大作戦である。
「先生、先生の土ってまだあるの?」
時折大きさが違う。第一初めて来た際には三メートルはあったのだ。まだまだ
土があることは目に見えていた。
「家に行けばあるけど?」
「キタコレ!」
つづく
「詳細キボンヌ」
「詳細も何もないけど…まだまだだいぶ残ってるよ。ただ土だけ
あっても動けないけど」
『リッジモントハイプロジェクト』それは等身大、全裸の土方カシメを
作り上げ、更にコスプレ用の衣装を着せ、更に犯すというとんでもない
ものだった。
ちなみに同好会、揃いも揃って童貞だ。まだ十四歳なので当然といえば
当然だが。
彼らは言葉巧みに明日は身長百六十センチほどになって来るよう頼んだ。
断ればててものを人のいい岩倉ヒョウゴはそのまま了解して家に帰った。
「トモミたん、明日は身長百六十センチ」
「でかっ!」
「生徒に頼まれて…」
「そんな大きいの作れないよー」
つづく
カシメにハトメがキテタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
ところで、マンガ同好会は帰宅する際、ヒョウゴの体を元のネコ型に
戻していた。だからトモミは特に何を疑うわけでもなく、彼を百六十センチに
仕上げた。
何とかできた岩倉ヒョウゴはひどい不細工なもので、この世の物とは
思えないかなり強烈な物体になっていた。
「それで出かけたら捕まるよー」
「いいよとりあえず」
「変だってー。作り直すよー」
「いいよ。遅刻するから。いってきまーす」
みんなが笑ってる。みんなが振り返る。今日もいい天気。
子供の作る粘土人形のような姿で地理の授業。いつものかわいい姿を
期待していた女子生徒たちにはすこぶる不評だったが、なぜか誰も
になんでそんな形をしているのか、そもそもどうして毎日違う形になって
しまうのか疑問に持つ者はいない。
つづく
あ!ヒョウゴだ〜
寒いんで布団の中からライブ楽しんでます!
放課後。美術室。
またも水をかけられこねられるヒョウゴ。犯されるなど想像もしていない。
「…等身大を作るのは初めてだ…」
イカデビルの戦いが始まる。コスプレ用の衣装は部長が自費で購入していた。
次第に望月ハトメの姿が仕上がっていく。昨日はカシメだったので今日はハトメ
だった。
「もう我慢ならねぇ!」
これから起きるであろう酒池肉林の宴を想像して早々に射精する者が現れた。
何せ単なる土の塔が削られ撫でられて次第に柔らかなカープを描く、理想的な
プロポーションの女体に仕上がっていくのであるから堪らない。いずれも女性の
裸といえば、家族のものぐらいした生で見たことがない連中だ。
豊満な乳房ができ、乳首ができ、腰のくびれがついて、丸い尻からありえない程
長く伸びる足へつながる。顔の造形はやはりそのままだと目が巨大すぎてやや
奇怪なのでイカデビルが何とか修正する。実際にハトメがいるとすれば、こんな
少女になるだろうという顔が仕上がった。かなりの出来だ。
いよいよ仕上げという段階でイカデビルこと本木タツヤはぽつりと誰となく訊ねた。
「ところで、オマムコってどんな形してるの?」
マンガ同好会一同 ( ゚д゚ ) … 致命的情報不足で作戦終了。
終
合いの手サンクス!なんか本当に変な話になった…。今日はアク禁で
ライブはないと思ってたから何か変なテンションだった…。
つまらんかったらごめんです。
OTL
OTL OTL
OTL OTL
OTL
OTL
ラストシーン、HOSのこんな図が目に浮かぶようであったわw
乙でした!
作者さん乙です!
面白かったですよwwww
ヒョウゴはしばらく美少女の姿を堪能してもらいましょうw
ユウジロウの反応が見たい!
襲うにも襲えないしw
男子生徒の人気もんになるだろうな〜
>>407 感想ありがとうです。そうですね。そんな感じだったと
思います(笑)夜遅くに読んでくれてありがとう^^
>>408 どうだろう…帰った時奥さんいるんだよね…(笑)
一応本人には男だって自覚があるみたいだし…。
色々想像して読んでもらえると嬉しいです^^
作者さん乙!
これは面白かった!マンガ同好会の面々の若さゆえのバカバカしさと
ヒョウゴの教師としての「も〜しょうがないなぁ」って感じが
伝わってきてやりとりが良かったっす!
トモミはきっと女の格好でもヒョウゴを愛しく可愛がってくれるでしょう・・って
ほとんどペットに近いぞw
ヒョウゴ今まで分けワカンネーキャラだったけどなんだか見えた。
是非、続編が読みたい!
ちらっと思ったけどアソコが何もないままの状態だとベトラの女版みたいだw
>>410 感想ありがとう。確かにヒョウゴに関して、ゴーレムで姿形が
濡らせば変わるという程度で、かなり説明不足なキャラクター
ですね。
実は、『主』である。奥さん、トモミたんの命令により人格も
簡単に変わってしまうんです。今は割と安定した教師としての
人格を持っていますが、トモミが『厳しく』といっただけで、初期の
ラオウのようなキャラクターにもなってしまうという…。そのへんで
遊べるかなとも思ったんですが、形も変わる、性格も変わるだと
なんだか分からなくなってしまうので途中で設定を変更して、
普通の教師キャラクターを維持するようになっています。
ただし、戸籍上彼は34歳ですが、22歳の時に死んでいるので、
本当は12歳なんですね。だから授業なんかできるわけがない。
だもんで愛媛のことしか教えない。実は生徒より年下の設定という
あり得ない教師なんです。
ただ精神年齢は22歳程度に引き上げています。ヒョウゴ本人が
死んだ年齢です。
続編希望というわけで、私も書きたいし、ヒョウゴも出たがっているの
で本日は続編とします。今ネタ考え中です。
(今日は単に気分ですがまったり書きます。途中で風呂とか行っちまったら
ごめんなさい。そん時はまたお知らせします)
さて、ここらで続きでも書くか。
とりあえず、形だけは『無限世紀おとめ組』の望月ハトメになった、
岩倉ヒョウゴである。あり得ないプロポーションの美少女と化した。
つづく
豊満なバストからウエストのくびれのラインは急激で、さらに
急角度で丸い尻へとつながり、すうと長い脚が伸びている。
まんが同好会やはり総勃起だ。完全に下腹部が膨らんでいた。
特に、岩倉ヒョウゴが全裸で恥ずかしそうにしているのが堪らない。
彼らの目に映るのはあくまで全裸の望月ハトメなのだ。
「ヌキたいでござる!」
「待て待て!教師の前だぞ!」
敢えてヒョウゴは声を戻して言った。
「萎えー」
「声戻して」
「やだ!とりあえず服を着せろ!」
男子生徒に欲情される男性教師の気持ちを想像して頂きたい。
今日、岩倉ヒョウゴは百六十センチの奇妙な体でやってきたが、
全裸だった。形がいびつ過ぎて、どの服も斬れなかったのだ。
だからこんな美しい肉体にしてもらってもありがた迷惑である。
服がなければ帰るにも全裸で帰るしかない。
つづく
しかし服はまんが同好会部長、山梨レイの用意した、望月ハトメの
コスプレ用の服しかない。
「えらい派手だな…」
「アニメですから」
着ればまさに望月ハトメであった。
「キタコレ!」
「ハトメタン…(´Д` )ハァハァ…」
「しゃ…写真撮らせて頂いてよろしいですか…?」
「勝手に撮ればいいだろ…」
ヒョウゴの諦めである。まあ生徒が喜ぶならそれはそれでいいかと
思った。
しかし余りに卑猥である。下着までは容易されていないので、パンチラ
どころかモロチラだ。短いスカートの裾から丸い尻が覗いている。
胸を見れば精密に作られた乳首がぷくりと浮き出していた。隆起したわけ
ではない。そう作られたのだから、そうでしかないのだ。
つづく
ちなみに、毛髪であるが、これも不思議なことだが、ヒョウゴが、
これは毛髪だあると自覚すれば、それは人の毛と同じような、
さらさらとした毛になる。
アザラシになった際もネコになった際も同様だ。本人が全身は
毛で覆われているのだろうなと思えば勝手にそのようになる。
仕組みは誰にも分からない。とにかくそうなっている。
なので、アニメのキャラクターだが毛髪だけは違った。どうしても
あの不自然なボリュームは出せない。
やはり望月ハトメがいるとすれば、こんな少女になるだろうという
具合で、アニメで見るハトメ本人とはだいぶ違っていた。
写真を撮る度、大喜びする生徒らに気をよくして、かなり過激な
ポーズを要求されても応えるヒョウゴ。
割と気分がいいものだと思い始めていた。何せ
「先生いいです!」
「先生萌え!」
「先生最高!」
の連発なのである。
つづく
部長は思っていた。これは素晴らしいと。これほどのコスプレイヤーは
いるまい。何せ当のキャラクターがモデルなのだ。
その上、本人は自在に形を変えられる。幼女キャラクターから、大人の
キャラクターまで変幻自在。ヒョウゴ一人で何冊でも写真集が作れる。
しかもモデラー、イカデビルこと本木タツヤがいれば、いずれの形も
作れる。これはビジネスだ。幾ら儲かるか計り知れない。
もうヴァギナと童貞のことはどうでもよくなっていた。しかし岩倉ヒョウゴは
釘を刺した。
「もうこんなことこりれっきりなんだからね!」
「ツンデレ萌え!」
「先生〜先生いいよ〜」
まんが同好会の男たちは泣きながらシャッターを押し続けた。
しかしやはり性教育的にはどうかと思う。これっきりにしよう。ヒョウゴは思った。
胸を寄せるだけ寄せて上目遣いで写真を撮られる。これでいいのか岩倉ヒョウゴ。
「さぁそろそろ帰る時間だぞ」
何枚撮られたか、何時間かかかってやっと撮影会は終了した。
つづく
「ただいまー」
「おか…誰!?」
「ヒョウゴだよう」
「…」
妻トモミは警戒している。当然だ。今朝は自分が作った体長百六十センチの
人間だか何だか分からないような、幼稚園児が書いた人の絵みたいなデザイン
だったはずだ。
「それって…ハトメちゃんだよねぇ…?」
「あれ、トモミたん知ってるの?」
「毎週見てるから…何でそんなになったのー?」
岩倉トモミ。ヒョウゴの妻は十七歳である。主婦業をしながら高校に通っていた。
聞けば、望月ハトメの登場する『無限世紀おとめ組』は土曜日の朝に放映されている
アニメで、ごく普通に人気が高い。オタクだけにターゲットを絞ったものではないらしい。
「お腹すいた。みかんちょうだい。南柑20号じゃなきゃやだからね」
「ちゃんと買ってあるよー。はい。その体なら自分でむけるねー」
つづく
おとめ組ってホントにあるアニメなの?
知識ナッシング(´・ω・`)
奇面組しか知らないが
大好きなみかんを食べながらトモミに『無限世紀おとめ組』について
聞いた。
ストーリーは単純だ。一応子供向けでもある。主人公は美少女二人。
土方カシメと望月ハトメ。二人が世界侵略の陰謀を企むダークラビリンスの
一味と戦うものらしい。
「へー…戦うだけ?」
「戦うだけだけど色々あってさー」
土方カシメは実は未来から来たサイボーグであることが最近明らかになった。
性格がきつく、言葉使いも乱暴である。
一方今日のヒョウゴの姿である望月ハトメはごく普通の高校生だが、カシメに
超能力があることを知られ、戦いに巻き込まれる。性格はおとなしくおっとり型。
ただ、『お約束』としてピンチの際に
「ヘタレのハトメ」
とカシメに言われると、耳がぴくぴくと動いて突然凶暴化するらしい。
つづく
(
>>418 ないです。オリジナルです。最近のマンガしらないので^^;;)
トモミは相当見込んでいるらしく、一度だけ、カシメがピンチの際に、
ハトメが逆に
「ヘタレのカシメ」
と叫んだことがあったが全く逆効果でカシメが泣くというエピソードも
あったらしい。
ヒョウゴは次々に出る妻の意外な知識にぼおと聞き入っていた。
必殺技はハトメの超能力をカシメの腕部に装着された『サイコブースター』で
増強し撃ち出す『ハイパーサイコブラスター』らしい。
「んでね、決まり文句があるんだよ。あ。ビデオ見た方が早いかなー」
たまに朝起きれない時などはビデオまで撮っているらしい。
見れば確かに望月ハトメ、自分に似ている。
普段は学生服か私服だが変身すると今のヒョウゴの姿になる。かえって露出度は
あがり危険な気がするが、そこは突っ込んではならないところだそうだ。
つづく
>>421 ありゃ、作者さん。
即レスすまんです。
『ぜんまいざむらい』くらいしか知らんもんで…
今夜はまったりお付き合いさせていただきます。
ハトメ 『地獄極楽ぶらり旅!』
カシメ 『許せぬ悪を何とする!』
ハトメ 『あーしてそーしてこーしちゃえ!』
カシメ 『我らさすらい助け人!』
二人 『無限戦隊おとめ組!』
変身直後は必ずその台詞が入る。そして最後『ハイパーサイコブラスター』
発射の際には、
『冥土の旅への餞別よ!』
が決め台詞だ。
トモミは説明を終えて満足そうだったが、ヒョウゴにはああそうですか、という
感想しかない。今ひとつ魅力が分からなかった。
しかしトモミも悪乗りなのか、ヒョウゴの姿をいたく気に入ってしまったようで、
そのままでいいという。
「だったトモミたん、女の子のかっこだよ?」
「いいよいいよーかわいいよー」
つづく
岩倉トモミには複雑な女心がないわけでなかった。
普段、まともな人の形が作れないので、どうしても
可愛らしいぬいぐるみのような形にしてしまう。
アザラシやネコやクマなどだ。しかし、それが彼の
勤め先の女子の人気を得ていることは知っている。
岩倉トモミ十七歳。ヒョウゴの教え子たちと大して年齢が
変わらないのだ。少なからず嫉妬の心がないわけでない。
しかしこの肉体なら、少なくとも女子からの人気を集める
ことはないだろう。
逆に男子から絶大な支持を受けるかもしれないが、それは
やきもちの範疇の外だった。
ところで、岩倉ヒョウゴは眠らない。ゴーレムという性質上、
眠ることをしらない。
彼は幼い妻を優しく寝かしつけると、置きだして何となく、
『無限世紀おとめ組』のビデオを見ていた。
つづく
しばらく見ているうち、男性に人気があるのは分かった。
特に戦闘シーンは激しくパンツが見え、更に、声がやらしいのだ。
敵に首を絞められる、胴を締め上げられるなどのシーンが多く、
その際の声優の演技が何かセックスの喘ぎ声を連想させる。
そうかそうかとヒョウゴは一人何となく納得できた。子供からすれば
美人でかっこいいお姉さんが二人出てきて悪者を退治する物語で
あり、一方では、底知れぬやらしさと助平心満載のドラマなのだ。
翌朝、ヒョウゴは着るものに困っていた。果たして何を着て出勤する
べきか。
望月ハトメの身長は設定上一五四センチ。驚いたことに身長はぴったり
設定通りになっている。対して妻トモミは一四四センチ。妻の服も合わない。
自分の服では尚更だ。
仕方なく望月ハトメの格好のまま学校へ。
突然現れた美少女戦士。高校生のトモミでさえ見ているのだ。中学生にも
視聴者は多かった。
一応下着だけは妻のを借りたがパンチラしまくりである。
その上生徒の大部分は彼が何者かしらない。中には変なコスプレをした
女が学校に勝手に入ってきたと思っている者もいた。
つづく
職員室でも浮いている。誰も声を掛けてこない。
しかし山形ユウジロウの正面にいる。岩倉ヒョウゴの席だ。
ユウジロウは特に欲情しなかった。何故かは分からない。
通常であれば即勃起から全裸になるところである。
しかしさすがというかユウジロウ、彼から女の匂いを感じな
かった。
「…岩倉先生ですか…?」
「あはは…どうも…おはようです…」
やはり。毎日違う姿で来るが今日は随分と手が込んでいる。
勃起しなくて正解だった。
職員会議。明らかにヒョウゴは異物だが、いつものことといえば
いつものことで、何となく誰も聞かない。聞いてはいけない気が
した。
つづく
一時間目。一年B組。一年生だけあって『無限世紀おとめ組』を
見ている者も多い。雪野カエデもファンの一人だった。
彼が入ってくるなり教室中大騒ぎ。体育会系の男子まで便乗して
騒いでいるところを見るとかなり浸透しているらしい。
「かわいい〜ハトメちゃんだー!」
「先生写真撮っていい!?」
「だめだめ。授業だからね。はいはい。今日は愛媛の方言についてだよー」
何となくヒョウゴとしてもサービス精神というか、声は望月ハトメそのものだ。
カエデが叫んだ。
「許せぬ悪を何とする!」
反射的にヒョウゴが反応する。何せ一晩かけて十話以上見続けたのだ。
「あーしてそーしてこーしちゃえ!」
教室大絶叫。萌えの嵐である。
つづく
普段から授業は愛媛のことばかりで授業としては退屈なのだ。
よっぽどこの方が楽しい。
ヒョウゴも余りに騒がれるので嬉しくなった。
「冥土の旅への餞別よ!ハイパー!サイコっブラスターっ!」
「カッコイイ!」
「声が同じだ!」
大サービスである。一部男子はトイレに向かった。
噂はたちまち広がり、今日、地理の授業がないクラスでは暴動が
起き、更に地理があっても担当が岩倉ではないクラスでもブーイングの
嵐だった。
「もっと地理を!岩倉先生を!」
昼休み。みかんも食べず校庭で一人『無限世紀おとめ組ショー』をする
岩倉。そうするしか事態を鎮圧する方法がなかった。まさに絶大な人気。
女子はそのプロポーションと整った顔立ちに憧れ賛辞を叫び、男子は
パンチラに萌え狂った。軽子沢中学始まって以来、男子便所の個室が
大混雑。校舎全体からイカの匂いを漂わせた。
つづく
ヒョウゴ可愛い〜!最高!
ヒョウゴの純真さがすごく伝わってくる。
なんかほのぼのしてて暖かくなった。
続編ライブ間に合ってよかった!
そんな彼を冷静に見ている者がいた。美術教師、天堂ツカサである。
「一体アレは何なのだ…」
日によって姿が変わるという、最もな疑問を、彼は素直に感じていた。
放課後。岩倉ヒョウゴのサイン会が開かれ、終わる頃には陽がすっかり
落ちていた。そんなヒョウゴの背に、天堂は立った。
「岩倉先生、つかぬことをお聞きしますが…」
別に隠し事ではない。岩倉ヒョウゴは自分のことを語る。土でできていること。
水を使えばいかようにも形を変えられること。隠したくても隠しきれない状態
まできている。
奇しくも美術室である。まんが同好会の部室として利用されているが今日は
活動日ではない。美術室に併設された、教員用の小さい部屋で、二人は
語り合った。
少々異様な光景である。見た目は方やいかにも芸術家といった風体の、白髪
交じりの長髪の美術教師。かたやコスプレの美少女だ。
つづく
「…お父様のお名前を今何と…?」
「ケンゾウです。岩倉ケンゾウ」
「岩倉先生の…なるほどぉ…」
「父を知っているんですか?」
「はい。息子さんを事故で亡くされたのも知っています」
岩倉ヒョウゴは死んでいる。父ケンゾウは息子と最愛の妻を同時に
失った。そのショックから魔術にのめり込み、『生ける土』を作りあげた
のだ。
美術教師、天堂は、岩倉ケンゾウから少なからず影響を受けたという。
その作風はリアルで、あくまで人間本来の美しさと、そして同時に醜さをも
彫刻で表現した。決してデフォルメせず、モデルの醜さは醜さとして、
ケンゾウはそのあるがままに彫刻を彫った。その姿勢に打たれたという。
岩倉ヒョウゴは芸術のことはよく分からなかったが、父のことが聞けて
嬉しかった。
つづく
天堂先生普通だ…なんかすごく感じるw
「しかし…」
じっとヒョウゴの肉体を天堂は観察した。美しい。確かに美しい完成
されたプロポーションでモデリングされている。
しかし彼の父は人の醜さを彫刻に表現した。これは彼の求める形では
ないのではないか。
しばらく彼は思案した様子だった。その思案が何なのか、ヒョウゴに
理解できるはずもない。
「煙草、吸ってもよろしいですか?」
「どうぞどうぞ」
ショートホープの煙を吸いながら、天堂はやはりいかにも芸術家といった
苦悩の表情で何か考え込んでいた。
思うは尊敬する岩倉ケンゾウの彫刻である。
あの人間本来の美しさ醜さ、そして内面すらも表現した見事な彫刻。岩倉
ケンゾウ作。『悩ましき幻想』 そう題された彫刻を彼はありありと思い浮かべて
いた。
つづく
翌日も軽子沢中学は盛り上がっていた。昨日、地理の授業は
なかったが、今日はある。そういったクラスの連中がまさに、
わくわくと心を躍らせ待ち望んでいたのである。
「ハトメっハトメっ!」
「楽しみだなぁ。冥土の旅への餞別よ!」
「お前がやんな。キモい」
チャイムがなり、ドアが開く、現れたのは旗だった。旗には書かれている。
『 風 林 火 山 』
期待したものとは明らかに違う。そこにいたのは武田信玄だった。
「待たせたな皆の者!授業じゃ!愛媛の授業じゃあ!!」
理由は全く不明。天堂ツカサは一晩で望月ハトメを、武田信玄に作り変えて
しまった。もうあの萌えるハトメはいない。いるのは『甲斐の虎』、武田信玄。
しかも甲斐(山梨県)とは全く関係のない愛媛の授業をしてくれる。
後の職員会議で決定した。校内風紀の維持の為、教師、岩倉ヒョウゴの形に
ついては生徒からアンケートをとり、順次変更のこと。
ヒョウゴの形は生徒の希望にあわせて次々形が変わるようになった。
愛媛以外の授業もちゃんとできるように、ヒョウゴは現役高校生のトモミから
色々と教わる。今日の姿は、意外と投票の多かった志村けん。(作:天堂ツカサ)
終
合いの手たくさんありがとねー^^
何か今日も自信がないよぉ。どうだろか。つまらんかったら
ごめんねー。『無限世紀おとめ組』の設定考えるのに全力を
注いでしまった…。(苦笑)
面白かったよぉ〜
志村けんのどのキャラなのかが気になるけど。
乙でした〜。
昨日途中で寝ちゃったから朝から読んでます。
面白い!織田信長じゃなくて武田信玄が出るあたりは作者さんの
好みかな?何にしても生徒たちの( ゚д゚ ) …の顔がありありと浮かんだww
天堂ツカサ先生は意外にまともなんかと思いきゃ風林火山だもんなぁ。
生前のヒョウゴの姿に戻すのかと思ったけどビックリだww
ヒョウゴの活躍期待してます!
>>437 基本的に、裸体を作る→服を着るといった感じなので、普通の状態の
志村けんさんですね。バカ殿とか変なおじさんは衣装が必要なので(笑)
ただサービスでアイーンするぐらいのことはするんでしょうけど。そんな
先生いたらいいなって憧れですね。モノマネじゃなくてそっくりの形と同じ
声…愛媛のことしか教えてくれないけど(笑) 感想ありがとう。昨夜は
>>437さんだけだったので助かりました。やはり感想ゼロはちょっと寂しい
です。
>>438 おはようです^^歴史は全然分からないのです。本によって信長さんなんか
お坊さん何万人も焼き殺した悪魔みたいに書かれていることもあるし、
日本の近代化を推し進めたり、何のとりえもなさそうな秀吉召抱えたり、
ちょっと悪ガキっぽいけど優秀!みたいな捉え方があったり。。馬鹿なもんで
結局『いい者』なのか『悪者』なのかどっちなの!?みたいな(笑)
まぁとにかく歴史苦手なんで、単にビジュアルだけ考えて、萌えキャラを期待
してたらぬっと戦国時代の旗(のぼり?)が出てくるってインパクトあるなって
思っただけの話で。『戦国時代の旗』といえば『風林火山』なんですよ。それしか
知らない(笑)
ツカサ先生はまともなんですが、芸術家独特の変な所、を表現したかったん
です。ちょっと世間ズレしてるみたいな。美術の先生ってちょっと他の先生と
違くないですか?多分ケンゾウの人間の醜い部分も内面も表現というテーマ
を彫る、といった時パッと思いついたのが本能むき出しに我武者羅に生きてた
『戦国時代』というのが頭に浮かんで、そのまま創った、という…。むしろ私と
いうより天堂先生が武田信玄ファンだったか、手近に資料があったか、そんな
ところかもしれんですね(笑) 一応キャラクターに合わせて喋り方を変えてる
ヒョウゴも注目です。意外と本人楽しむすべを覚えてきたな、と。甲斐の人は
『〜じゃあ!』なんて言わないと思いますけど(笑) 感想ありがとうございました^^
>「ヘタレのハトメ」
>とカシメに言われると、耳がぴくぴくと動いて突然凶暴化するらしい。
「トミーとマツ」かよwww
久々にこちらに書き込みの白米です
相変わらず随所に見られる発想のセンスが堪りません!
>>440 こちらではお久しぶりですね^^
何かパクりとか、オマージュとかインスパイアとかね。色々とアニメ
なんかではすぐに過去の作品を持ち出してきてそんな議論がされる
そうですが、いっそ全く別の刑事ドラマとか時代劇(それも相当古い
やつ)からまんまもらっちゃった方が潔くていいかなと(笑)
もう議論の余地がない程の丸パクりというか。でも古すぎて知らない
奴は全くしらない。下手すればDVD化もされてない。そんなところから
もらってきちゃった方が何かと楽しいのではないかと思ってやってみま
した。Gパン刑事の『なんじゃあこりゃあぁ!』なんかはメジャー過ぎて、
若い人も知ってる。なんか超世代的でありたかった。おっさんも萌える、
みたいな(笑)
そう考えるとやはり秀逸なのは『オトコオンナのトミコー!』辺りでした。
微妙に忘れられてる。ただある年代以上の人間には一撃。でも、
『オトコオンナ』に相当する台詞を考えるのに苦労しました(笑)『オンナ
オトコ』はちょっとやりすぎかな、と。
いやさすが白米さま。気付いて頂けるとは。光栄です♪
ありがとうございました^^
続きリクしたもんです!今さっきやっと読めました!
面白かったですww突如現れた風林火山には生徒達も凍っただろうなぁw
カシメとハトメの話は面白そうですね。
ふたりはプリキュァより面白いかもw
なんとなくヒョウゴは癒し系キャラになりつつある。今後も期待してます!
>>442 おぉ。呼んで頂けてよかった。何となく本人としては不調なのですが
楽しんでいただけたようで何よりです^^
ヒョウゴとベトラは割りとそうですね。癒し系かな。二人が出る話を
考えたいのですが、なかなかいい案が出ないです(笑)
読んでくれてありがとでした^^
さてここらで怖い話でもするか。
的場リュウジは、自室にこもって今日の装備を検討していた。そろそろ
手入れが必要な銃器も増えてきている。メンテナンスの必要性を感じながら。
つづく
ベレッタ9ミリピストルは持っていくとして。後はどうしたものか。
使用するのは屋内。
『…ナガモノは必要あるまい…』
ナガモノ。長物。厳密に決まったわけではないがある一定以上の長さを持つ
銃器類だ。屋外であればそれなりの威力と命中精度が要求される。
基本的に、銃のバレル(銃身)が長ければ長いほど弾丸は安定し、命中精度は
上がる。
しかし屋内において、それほどの命中精度は必要なく、むしろその長さが邪魔に
さえなる。移動時壁に当たり余計な音を立て敵に気付かれる、壁や建造物、設置物に
ひっかかる、本人は隠れているつもりなのにその長い銃身がはみだしてしまい敵に
発見される等不利な点がいくつかある。
まずメインの火器として選択したのはH&K社製のMP5A4。短機関銃である。
一分間に八百発の連射速度をほこり、世界各国の特殊部隊や対テロ部隊に配備
されている三十連発のサブマシンガンだ。映画『ダイハード』において、敵テロリスト達が
所持していた。
ちなみにいえば、ベレッタ9ミリピストルは『ダイハード』ではブルースウィリス演じる
主人公が装備している。
つづく
リュウジ登場!
あ〜でも眠い。頑張って眠気を覚ましてくれ!リュウジ!
リュウジはH&K社製のMP5A4の銃身下に強力なライトを装着した。
深夜、無灯の屋内である。ライトが必要だ。額につけるライトもあるが、
銃身下にライトが取り付けられていればライトに敵が照らされた瞬間
発砲することができる。
『…ドアの破壊と見物人の鎮圧…』
イタリア、ベネリ社製M3ショットガン。連射性に優れている。散弾銃だ。
撃ち出すとカートリッジに詰め込まれた多数の細かい弾丸が四散する。
近距離での攻撃力は凄まじいが、距離が離れてしまうとその威力は急激に
落ちる。多数の弾丸とはいえ、一発一発の威力は大したものではない。
映画などで、一発一発銃身下部の握りをポンプのようにがしゃんと前後させて
撃つタイプの銃を見たことがないだろうか。あれがショットガンである。
ベネリM3はそのポンプアクションの他に、セミオートでの速射も可能である。
引き金を引きだけで次々に弾丸を発射できるのである。
そしてお馴染みXM84閃光音響手榴弾。さらにアルマーのコンバットデザート
ストームナイフで今日の装備は決まった。
結局ほとんどSWATやSATなどの対テロ部隊と同じ兵装になった。
つづく
向かう先は彼の家から自転車で五十分ほど走った所にある
建設途中の廃ビルである。
建設途中なのに廃ビル。奇妙な感じだが実際にそうなのだ。
主に事務所などが入るビルとして建設され、テナントの募集もされ、
入居する者たちもある程度決まっていた。
あと何週間かすれば建設終了という時、事件が起きた。このビルの
建設にアルバイトとして携わっていた青年の一人が友人数人と共謀し
このビルに女子大生を連れ込み犯したのだ。
月のない晩だった。
建設途中とはいえ勿論施錠はしてあった。しかし働いている人間から
すればいくらでも忍びこむ余地はあったのだ。
青年らは事を済ませると満足気に帰っていった。
残された女がどうなったか、知る者はいない。しかし彼女は翌日、その
ビルから死体となって発見された。死因は脳挫傷。
恐らく電気も来ておらず漆黒の闇の中で、茫然自失となった彼女は、
足を滑らせたか、建設機材に足を取られ転倒し、打ち所が悪く死んだの
だろう。
つづく
やがて警察の懸命の捜査もあって、すぐに一人の青年が逮捕された。
あとは芋づる式である。犯行に関わった少年も含む青年らは全員
逮捕された。
その直後からである。事件現場となったビルで度々怪奇な現象が起き、
事故が多発した。
更にビルのオーナーを勤めるはずだった業者が倒産。更に入る予定
だったテナントたちも様々な理由で契約を破棄、立ち行かなくなり建設は
途中で頓挫した。
そしてそのまま誰にも利用されることなく、ほぼ完成の姿を見せながら
そのビルは廃墟となったのだ。
地元に噂が広がり、犯された女子大生の霊が出る、事故死した職人の
断末魔の悲鳴が聞こえるといった話を聞きつけ、数多くの人間が現場を
訪れたが、更にそこで悲劇が起きる。
行ったきり、帰らない者が現れたのだ。
遺体が発見されるわけでもなく、忽然と消える。
その噂も広まった。暴力団が関与していて、拉致されたのではないか、
某国が裏で手を引いている、噂が噂を呼んだ。
つづく
久々のライブ参加!
リュウジktkr!
数時間前、的場リュウジは、編集部で志賀マサトに聞いた。
何かこの辺りで適当な心霊スポットはないかと。
幽霊嫌いのリュウジの言葉とは思えなかったが、彼が常日頃、
その弱点を克服したがっていたのは知っている。
彼は記憶に留めていたその廃ビルの話をした。
リュウジはその場で挑戦を決めた。
寒風吹きすさぶ中、彼は立っていた。暗い。街路灯が立ち並ぶ
国道沿いにあって、確かにそのビルは妖しく暗かった。まるで
周囲の光を吸い込んで闇と化すような不気味な雰囲気が漂っている。
やはり、月のない晩だった。
八階建て。この辺りではそこそこの高さだ。リュウジはセブンスターを
咥えながらビルを見上げていた。
時折、窓にちらちらと光が映る。以前の彼ならもう失神していたことだろう。
しかし、今の彼は冷静だった。
『…やはり先客がいるのか…』
つづく
あるよね…葉山かそこらへんに。
建築中なのに放置された廃マンション( ̄□ ̄;)
思い出したら怖くなっちゃったよぅ。。
話題のスポットである。毎晩のように人が訪れていても不思議では
ない。
恐らく今の光は、ひとだまや、鬼火のたぐいではなく、単に既に
潜入している者がもっていた懐中電灯か何かの明かりだろう。
耳を澄ますと闇の中から小さい悲鳴も聞こえる。正確には分からないが
生きている人間のそれだ。仲間同士脅かしあいでもして楽しんでいるのか。
だいぶ冷静に判断できるようになった自分にリュウジは満足だった。
以前は幽霊と聞いただけで泣いたものだが、稲川淳二の怪談本を読破し、
更に心霊写真集、ホラービデオと少しずつレベルを上げてやっと今に至る。
セブンスターの味は格別だった。
『…よし。行くか…』
携帯灰皿に吸殻を押し込んでビル内に入る。入り口は完全に木の板で塞がれて
いるが、裏口はガラスドアで、そのガラスは乱暴に破られていた。
皆、そこから入るのだとマサトから聞いている。
MP5サブマシンガンに取り付けられたライトのスイッチはグリップ、握りの部分に
ついている。自然にグリップを握れば、ライトが点灯するように工夫されていた。
逆に握る力を弱めればライトは即座に消える。
つづく
中はひどいありさまだった。ジュースの缶やペットボトル、雑誌。
よく見ると使用済みのコンドームまで捨てられている。こんな場所で
セックスに挑むなどよほど趣味の悪い人間だろう。
割れたガラス窓の破片などもあって危険であるが軍用ブーツを
履いているリュウジにはほとんど関係がない。
壁にもスプレーで落書きがなされている。
暴走族の名称らしきものや、誰かの悪口。更に意味ありげに、
『助けて』や『呪』などの文字、矢印などが散見された。
向こうから複数の光がやって来る。懐中電灯だ。相手は騒ぎながら
リュウジの横をすり抜けていく。もう人に会うことなどここでは当たり前
なのだ。
リュウジは一階を一通り見ると二階へ進んだ。
そこでも何か、余り態度のよくない連中に出会う。来慣れているのだろうか。
単にたむろして何やらごそごそと話している。シンナーの匂いがした。
ちらりと見ると向こうもこちらを警戒しているのか暗い視線を向けている。
電池式のランタンを床に置き、漫画雑誌を読みながらシンナー遊びに興じて
いるようだ。
つづく
リュウジ頑張って克服するんだぞwwwww
・・・でも、ちょっといつものオバケ恐いリュウジも大好きかもw
456 :
白米:2006/11/14(火) 23:42:13 ID:Jlspj0SW0
>>452 あったねぇ〜
葉山じゃなくて横須賀の林の近くだったと思う。
ワタシが高校生のころからあった気がしますが、まだあるんでしょうか…
高校生だろうが、リュウジは二十台半ばに見えるので無視された。
恐らく年下と分かれば何か因縁をつけられたかもしれない。
もっともこの武装に丸腰で勝てる相手などいるはずもないだろうが。
多くの人間を見かけるが、誰もいないフロアもあり、さすがに不気味で
あった。
UFOキャッチャーの景品のような、可愛らしいぬいぐるみなども
捨てられていて、逆にその可愛らしさと、あるべき場所の不自然さが
おそろしい。
更にどう運んできたのか、また目的は何なのか、五階のある一室には
原付バイクが打ち捨てられていた。マフラーなどは外されてフレーム
ばかりになっているが、エレベーターも使用できないこのビルで、
どうやって運び上げたのか。
「おたくもサバイバルゲーム?」
突然声を掛けられ振り返る。いきなり銃口を突きつけるわけにもいかないので、
銃口を少し下げると、自然とライトも下を向いてしまい、相手の靴しか見えない。
やはり軍用のブーツを履いている。
「ダメだね。これだけ人がいたんじゃ。廃ビルっていうから期待して来たんだけど」
六名ほどのグループだった。
つづく
つか、幽霊と対峙するのにMP5とM3かよ、リュウジwww
>>452 俺は金剛山に行く途中にあった山の中の谷底?にある
洋館の廃屋を思い出した。
人が住まないだけでなんであんなに建物って恐くなるんだろう・・。
幽霊はいるんだろうか、
それともこれから登場するんだろうか、それとも・・つか
一番恐ろしそうなのはリュウジだけどwwww
それぞれ本格的な兵装をしている。ただ持っている銃はM16であったり
AKであったり様々だった。
『…エアガンか…』
相手もまさかリュウジが実銃を持っているとは思わないで話している。銃の
扱いに油断がありすぎる。腰に構えて思い切り仲間に銃口を向けている者も
いる。殺傷能力がないと知ってのことだろう。どこかのサバイバルゲーム
サークルらしい。
「おたく一人なの?もうゲーム中?」
「…いや、下見に来ただけだ…。気分を出すために何となく武装して来たんだが…」
リュウジは最も苦手な愛想笑いをして見せた。
「あぁそうなんだ。いい所、ありました?今上から降りてきたんだけど…」
「下から上がってきたが、人だらけだな…。サバゲーは無理ですよ」
「残念だなぁ。平日ならイケると思ったのに…」
「そうですね」
温厚そうなサバイバルゲーム愛好者たちは残念がって階段の方へ歩いていった。
リュウジは溜息をつく。自分が持っている銃を偽物と思ってくれて助かった。
つづく
>>456白米さん
林でしたっけー。
今はどうなってるかわかんないです(?д?)
てか近寄りたくないし。
横須賀って何気に不気味ゾーン多いですよね…
ところでリュウジよ…
ゾンビならともかく幽霊に対人用の武器は有効なのか?
気を取り直して、上へ。サバイバルゲーム愛好者たちは上から来たと言った。
一気に最上階まで上がり順に降りてきたのだろう。
その連中は特に何もなさそうだった。
やはり何もないのか。それにしても雰囲気は充分に恐ろしい。幽霊など信じない
という者でも闇は恐ろしいだろう。それは別に幽霊が出るからとか、そういう問題
とは別である。幽霊の存在の有無は抜きにして闇は恐ろしい。
その点リュウジは闇への恐怖は既に克服している。ここで仮に照明が切れたと
してもパニックにはならないだろう。
それでいて幽霊が怖かったというのだから信じられない話だ。
七階、八階はかなりの人口密度だった。これでは幽霊克服にならないではないかと
思われるかもしれないが、リュウジは真性である。人がいようといまいととにかく
お化けは駄目なのだ。それが今、克服されつつある。
問題は最上階。その噂の発端となった女子大生が犯された部屋は最上階にあり、
赤いスプレーで大きく『×』の印がしてあるという。
しかしその噂が広がったせいか、七階、八階のドアにはどれも『×』印がつけられ、
果たして本当の部屋はどれなのか分からない。いちいち開けると、中に既に人が
いたりして肝を冷やした。それは幽霊嫌いとは別に単なる驚きである。
つづく
昔はリングとか一人じゃ見れなかったなぁ俺も。
今じゃ呪怨を笑いながら観るんだよなぁ…
同刻。志賀家。
マサトはインターネットで国内の事件を漁っていた。
『また自殺かよ…どうしちまったんだ…』
本人も小学校卒業まで六年間いじめられ続けた経験がある。
いじめ自殺事件に関してはどうも他人事とは思えず、何か
自分なりに解決できるアプローチはないかとマサトは頭を
悩ませていた。
まず『いじめをなくす』というのが大きな間違いで、差別もいじめも
決してなくなりはしない。ただ自殺を食い止める方法は何かあるの
ではないか。いじめをなくすというよりも、そちらを考えるべきでは
ないかと彼は考えていた。
何となく、行き詰って、そういえばリュウジはどうしているだろうと
思いを馳せる。ネット上では例の廃ビルがどの程度の知名度を
持つか気になった。
意外と地元では当たり前で誰でも知っていることがいくら検索しても
出てこなかったり、逆に地元の人間は誰も知らないのに、検索すると
いやに幾つも情報が出ていたりするケースがある。
『…どういうワケだこりゃ…』
つづく
廃ビル。最上階。いっそ一部屋ずつドアをM3ショットガンで吹き飛ばしたい
気持ちに駆られながら、リュウジは一部屋一部屋丁寧に回っていた。
全部で何部屋あるのか。
中で誰かの騒ぐ声が聞こえれば何かしているのだろうと無視した。
そしてある部屋にたどりついた。誰もいない。窓は割られ、容赦なく地上三十
メートルの冷たい風が吹き込む部屋。
彼はそこに異様な気配を察した。
『…』
ひどく散らかっている。菓子の袋。ペットボトル。雑誌。落書き。今まで
回ってきた部屋と同じだ。ただ気配が違う。
感じたことがある気配だ。そう。左耳が疼く。彼の左耳の一部は欠損している。
南米で撃たれた。撃たれる直前何かを感じた。視線というべきか。何かが
狙っている。何かに見られている。リュウジはゆっくりMP5の銃口を下げた。
「ここか…」
つづく
467 :
白米:2006/11/15(水) 00:22:47 ID:84GqANCs0
>>462 確か林から荒崎の交差点に向かう辺りだったかと。
燈明崎、千代ケ崎の辺りもなんかイヤな感じが…
リュウジ、ワタシならスペクトラ、ザウエルP230、M1897で装備するぞ。
幽霊退治は身軽さが一番だ。
思い切ってFN Minimiを担いでいくのもいいな。
痛いほど分かった。ここで何かが起き、見えない誰かがいる。
噂通りだとすれぱ、犯された女子大生か。
リュウジは恐怖を感じなかった。ただ、憐れだった。犯される。
ただごとではない。
(実際犯された教頭はあんなふうになってしまった)
その無念か。漂っている。恐ろしいものだが、恐れてはならない
気がした。無論、冷やかしで訪れることもならない気がした。
リュウジは部屋を片付けた。暗い中で。ゴミ袋など持っていなかったが
それでもひどく散らかっている部屋を整理し、ゴミは隣の部屋に放り
こんだ。
結局部屋には何もなくなってしまった。夜明けが近い。その部屋で
リュウジは片膝を立て、胸に手を当てて、犯された女子大生の冥福を
祈った。戦場などで死体を見る度、彼はいつもそうする。
そして一度下に降りると途中で見かけた、UFOキャッチャーの景品の
ようなぬいぐるみを持ってくると、部屋にぽつりと備えた。
つづく
そのまま登校し、編集室へ。デスクに足を乗せて考える。
幽霊とは何か。恐ろしいものだが、単にそれだけだろうか。
日本人は死んだ者を『仏』と言う。
あの部屋で感じた違和感。あの散らかり様。それは『仏』の
冒涜に他ならない。
恐怖を克服する、といった目的のみであそこに近づいたことを
リュウジは恥じた。そういうものではない気がした。
何を望んでいるのかは分からない。しかし、無念の余りに化けて
出て、散々部屋を散らかされ荒らされる。そんなことを望むわけが
ない。
リュウジは今一度、自分の『幽霊感』について考えることにした。
しばらくすると志賀マサトがやってきて、しきりに謝る。
「…何を謝っている…?」
「いや、悪ぃ…。あのビル、先々週取り壊されちまったって…行っても
なかっただろ。ビル」
リュウジは失神した。
終
なんだ今日の合いの手の多さは(笑)
嬉しくて泣きそうだよー。ありがとうみんなーT_T
ちなみに武器は対幽霊用ではなくて、対人用です。
心霊スポット=何か変な奴がいるかもしれない、という
判断で武装して行きました。
リュウジは基本的に『物理攻撃が効かない=怖い』ですので(笑)
えええええええwwwwwwww
じゃぁ、みんなオバケかよ!
行ったきり還ってこなかったやつらか???
>リュウジは失神した。 ←やっぱこれがないとww
乙でした!
作者さん乙!リュウジ乙!
またえらい目にあって幽霊感考えられるんだろうか^^
オバケがめちゃくちゃ恐いくせに見えちゃうんだからなぁw
473 :
白米:2006/11/15(水) 00:44:46 ID:84GqANCs0
っていうかすっごく格好良く決めたのに、オチで失神かwww
さすがだな、リュウジ。
人気投票トップなだけはある
もしかして白米さん心霊スポット詳しい?
凸したりしてたの?
白米さんも武装して欲しいな〜ww
んもう、私、めちゃくちゃ恐がりだから未だにリングも一人じゃ見れないorz
作者サンお疲れ様でした!リュウジやっぱ最高!
リュウジはシリアスなんだけど笑ってしまう。ゴメンよ。
475 :
白米:2006/11/15(水) 00:58:48 ID:84GqANCs0
>>474 いえ、ワタシも怖がりなので心霊スポットと呼ばれるところへは行けません…
遊園地のお化け屋敷すらキライだったりしますw
件の廃マンションとかは実家が横浜と鎌倉の堺近くなので良く走ったことがあるのです。
さてここらで怖い話でもするか。
女がいた。女には夫がいる。今日は夫の誕生日だった。しかし特に
プレゼントをするものもなかった。
つづく
彼女は考える。そうだ自分をプレゼントしよう。夫が日頃から、
看護婦の服装、いわゆるナース服に、変質的な興味を持っている
ことを思い出した。
彼女はどこからか、ナース服を仕入れてくると、会社勤めから帰宅
する夫を待った。
玄関のチャイムが鳴る。
時間的に夫で間違いない。彼女はカメラ付きインターホンのモニターも
確認せずに、玄関にナース服のまま飛び出していった。
しかしドアの向こうにいたのは、宅配便の配達夫だった。
こんな時間にとも思ったが、仕方がない。彼女は下駄箱の上の小箱から
判子を出すと、印鑑を押した。
しかしそのまま配達夫は帰らなかった。
照れもあって、ろくに顔も見ていないが、見上げると好色な視線をこちらに
向けている。
ナース服といっても本格的なものではなく、いわゆるコスチュームプレイ用の
丈が短い物で、白く、見るからに柔らかなももが大きく覗いている。
配達夫は後ろ手にドアを閉めると、そのまま彼女を押すように室内へ入ってきた。
つづく
「や…ちょ…何ですか?」
「重いですから。奥まで運びますよ」
「結構です。自分で…」
「サービスですから」
有無を言わさず配達夫は強引に押し入ってくる。それを押し返そうと彼女が
踏ん張ると、ずるりとスリッパが滑り、そのまま押し倒されるような形になった。
裾はめくれ、今日の為の黒い性欲を煽り立てるような下着が一瞬、見えた。
無論、夫へのプレゼントの『一部』である。
慌てて裾を正し、立ち上がろうとすると、配達夫は荷物を乱暴に投げ出し、
挑みかかってきた。
「きゃあっ!やめて下さい!」
「…そんな恰好してるお前が悪いんだよ…」
息も荒々しく彼は首筋に、荒れたくちびるを滑らせた。無精ひげがちくちくと痛い。
「やめてっ!いやっ!」
つづく
ももに硬いものが当たる。配達夫は既に勃起しているようだった。
彼女は夫の帰宅を願ったが、そうタイミングが合うものではない。
配達夫は短い丈の裾から手を入れ、用意に陰部をもてあそんだ。
口を吸われ、乳房を揉みしだかれる。
「あれ…奥さんノーブラなんだ…?」
「お願い…もうやめて…やだぁ…」
夫の為と思ってしたことが全て裏目に出た。しかも彼女なりに今日は
夫との濃厚なセックスをする為、自分なりに気分を盛り上げていもいた。
力強い配達夫に蹂躙されながら、彼女は次第に女になっていく。
「あっ!そこだめ…だめなのぉっ!」
女としての欲情と、妻としての貞淑の戦い。それでも夫は戻ってこない。
「へへ…奥さんは、乳首が弱いんだな…」
薄いナース服の上から、男のおぞましい舌の感触が襲う。敏感な乳首の上に
なにか奇妙な生き物が這い回っているような快感に、彼女は全身総毛立った。
「はっ…あぁん…」
つづく
次第に心が折れる。頭のどこかに、このまま犯されてしまいたい自分が
いる。
「そんなの…こんなのいやぁ…っ…」
泣いているのは男に屈したからではない。自分に屈したのだ。彼女は
もがき抵抗しながら求めていた。力強い横暴を。快楽による侵略を。
「濡れてるぜ奥さん…」
「や…言わないで…」
「ほら、こんなに…」
配達夫の人差し指と親指の間に、粘液が糸を引いている。彼はそれを
女に見せ付けた。恥ずかしげに顔を背ける女を満足そうに見下ろしながら、
自ら全裸になる。
下腹部には巨大に膨れ上がった肉茎がそびえ立っている。
「おら、これが欲しいんだろ?」
恐怖に何もいえず、ただ首を激しく横に振る。
「しゃぶれ…おら、舐めるんだよ!」
つづく
髪の毛を乱暴につかまれ、口に肉棒を押し付けられる。
彼女は恐る恐る口を開いて、それを口に含んだ。
「そうだ。それでいい…うまいだろ?うまいって言えよ」
彼女は何も言わなかった。配達夫は彼女の頭を抑えて、前後させながら
自分も腰を振る。ねっとりと暖かい若妻の口が、彼に快楽をもたらす。
「…んっ…んっ…」
ただ苦しげにペニスを口でしごく女。配達夫は一瞬絶頂を迎えそうになり、
ペニスを口から抜いた。女はぐったりと床に突っ伏す。
彼女の下着を剥ぎ取ると、彼は彼女のふっくらと盛り上がった陰部に舌を
這わせた。
「…!…あっあぁ!だめっ!許してっ!だめぇ!だめぇぇっ!」
「こんなに濡らして何言ってんだ?」
女の匂い立つ茂みに顔を埋め、彼は深く舌を差し入れた。谷間を指で広げ
ながら。
のけぞりながら女は抵抗とも歓喜もいえない声をあげる。
つづく
「い…いやぁ…あっあぁん…はぁ…らめ…あっ…そこ…」
「そこがなんだ…ん?」
「んっ…あぁ!そこっ!そこがいいの…いいのぉっ!」
小さく隆起したクリトリスに、硬くした舌先を押し付ける。彼女は抵抗する
つもりで男の頭に添えていた手に力を入れた。押し返すのとは逆に。
自分に引きつける方向に。
「はぁっんっ…そこっ…もっと…もっとぉ…」
「どこがいいんだ?」
「おまんこ…」
「聞こえないな…」
舌の力を弱める。
「あぁ…やめないで…もっとおまんこ舐めてっ!おまんこいいのぉ…」
再び快感が襲った。
つづく
「もう…もうがまんできない…ほしい…ほしい…」
もう自分が何を言っているのかすら女には理解できなかった。
「あ?何が欲しいんだ?」
してやったりという表情で男は茂みから顔を上げる。口の周りは
愛液で濡れていた。
「…おちんちん…おちんちんほしい…」
「へへ…こりゃいいや…。もっと言ってみな。どこに何が欲しいんだ?」
「…やぁ…おま…おまんこにおちんちん欲しい…やらしいおまんこに、
おっきいおちんちん下さい…」
はしたなく、股を開いて、夫以外の、出会ったばかりでろくな会話をしたことも
ない男を求める。夫にさえ見せたことのない痴態である。自らももの下に手を
入れ、胸の方に引き寄せて、ぱっくりと女性自身を見せている。
そこを男の肉棒が貫いた。
「…ぁああっ…もっと…もっと優しく…」
つづく
しかし男は乱暴だった。肉打つ音を響かせながら、腰を振る。
膣の奥を叩かれる度、彼女は大きな喘ぎを漏らした。
「…あっ…あぁっ…いっ、いぃ…いいのっ…ちんちんすごぉい…」
男は無言のまま、息も絶え絶えに腰を振り続ける。冷たく、硬い床の
上で、心地よさなど一つもないはずなのに、女は今までにない快感を
覚え、自ら腰を振っていた。
もう抵抗することもないだろうと起き上がらされ、後ろから、犬のように
犯される。
深々と男の陰茎がヴァギナをほじった。
「あぁっ!すごっ…すごいの…奥まで…奥までぇっ…!おまんこ…
こわれる…こわれちゃうよぉっ!」
腕に力が入らず、ぐったりと上半身を床に落とす。乳房が横にはみでる
ようにつぶれ、高々と持ち上がった腰に、更に男は容赦なく喰らいつく。
「…あっ…く…あぁ…ああっ!」
つづく
女を引き起こし今度は上にして、下から責める。
快感に彼女は嗚咽をもらし、自らの乳房を強くにぎった。
「やらしいな奥さん…だんながうらやましいぜ…」
「あっ…あっ…いやぁ…」
旦那。そう夫がいた。まだ帰らない。今は帰ってこなくていい。
こんな自分は見せられない。見せられないし、邪魔もされたくは
なかった。
もう彼女は一人の女に堕ちていた。
更に体位を変えて、上からのしかかるように責められ、深く、鋭く
何度もえぐられて、絶頂を迎える。
「あぁ…らめ…いっちゃ…ぅ…いっちゃ…あっ…あ!…あぁ!」
気付けば一人、廊下に寝ていた。ふと、手を伸ばすとへその辺りに
ねばついた大量の液体がこぼれている。
精液だ。配達夫は消え、夫もまだ戻らない。
女は荒い息をしながら、また、目を閉じた。
つづく
山形アカネは、頬杖をついて煎餅をかじりながら、面倒くさそうに机に
置かれたDVDプレーヤーのリモコンを操作した。
トレイがゆっくりと飛び出す。
布巾で軽く手を拭くと、彼女はDVDを丁寧に取り出し、パッケージに
収めた。
横には緩衝材の入った封筒がある。兄、ユウジロウ宛てである。
他に二枚のDVDが入っていた。
『狙われた病棟 看護婦陵辱24時』
『ナース20連発 得々パック』
今、見ていたのが
『若妻ナース 濡れた白衣の上で…』
丁寧に封筒へDVD三本を収めると、元通りに梱包しなおし、彼女は
出かけていった。
つづく
彼女が戻って、夕食の支度をしていると、ユウジロウが帰宅した。
「ただいまー」
「おかえりお兄ちゃん。何か荷物来てるよ?」
「あぁ。うん」
「机の上にあるから」
「今日、飯は?」
「ごめん。時間なくて。やきそばにしちゃった」
「ああいいよ簡単で。やきそばか。ビールあるかな?」
「あるある。一番絞り!」
「やっぱり一番絞りだよな!」
「…広告料ってもらえないのかな?」
「…スポンサーがつく小説って聞いたことないな…。ベレッタあたりは
かなりいい宣伝になってるんじゃないか?的場のおかげで」
「…そんなもんどこで買うの…?」
つづく
なんかエロいのキテタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
夕食食べながら一番搾り。食前酒も一番搾り。夕食を済ませ、テレビを見つつ
二人でキリン一番搾り。キリンの一番搾りを少しやりながら、一番搾りを飲み
終わって、一番搾りの缶を片付け、一番搾りのほろ酔いを感じながら、やはり
キリンの一番搾りだよな、と一番搾りに思いを馳せつつ、また明日も一番搾りが
飲みたいなと、少ししつこいぐらいに一番搾りのことを考えながら、ユウジロウは
大事そうに、封筒を抱えて自室にこもった。
『…えへへ…お兄ちゃんが今ハマってるのはナース服なのか…』
山形アカネは入浴を済ますと、先ほどアダルトグッズも扱っているディスカウント
ストアで購入したコスチュームプレイ用のピンク色のナース服を来て、兄の部屋を
ノックした。
ユウジロウ、慌てて鑑賞中のDVDを止め、イチモツをしまう。
「なんだー?
(ごめん。途中で送信しちゃった…)
「ちょっと入っていい?」
「…ん…」
ユウジロウ、身の回りに何か証拠が残っていないかと確認する。
とっくに変態であることはばれているのだが、それでも何となく
気恥ずかしい。
「いいよー」
そこにいたのはナース服のアカネだった。
「( ゚д゚)…ミラレテタノカ!」
ユウジロウ情けない気持ちでいっぱいになりながらも勃起。泣きながら
アカネを抱いた。
自己嫌悪の重圧に苦しみつつ。ユウジロウ、果てる。
終
なんだこの話ww
ちょwwwww
一番搾りwwwwwwww
>>493 一部縦読みしても『一番搾り』が出てくるのもポイントです(笑)
変な話ですいませんでした。
何というか、もう少し女の怖さ+恥の怖さみたいな、ちょうど
トオルとサエのプレイを父親に見られたみたいな感じですかね。
あれに、郵便物を知らないうちにこっそり見られる恐怖、というの
ですか。メールや着信履歴なんかでもそうですよね。なんか
疑わしいことってあると思うんです。生きてれば。
そのへんをアカネは、特に怒るわけでもなく『研究材料』として
見て、兄を喜ばそうと思ってやったことなんだけど、男の方から
すれば恥ずかしいことでしかない、という。あら見てたのね、的な。
そういう部分の恐怖をエロも交えて面白く書けるかなと思いましたが
ポカしました。
私には奥さんいないですけど、例えばいつの間にか自分のフェティ
シズムみたいな部分を見破られるのって怖い気がするんですよね。
『どこでその情報を!?』みたいな。
題材としては大変興味深いんですが失敗ですね…。ポカですよ。
駄目だな…。駄目だ。なってない。
せめて笑って頂けたのが幸いです。ありがとうございました。
いやはや、爆笑ww
一番搾りがポイントだったのか〜w
無邪気にユウジロウを喜ばそうとするアカネと
ちょっと情けないユウジロウが可愛いなぁ。
乙でした!
さてここらで怖い話でもするか。
軽子沢中学校、二年B組霧原トオルは家に帰っても両親はほとんどいない。
両親ともに別の会社の経営者で世界を飛び回っている。
つづく
幼い頃からそんな寂しい生活をしていた。家の清掃や洗濯、
炊事をしてくれる、いわゆる『お手伝いさん』を雇ってはいたが、
どういう契約になっているのか、午後五時頃には帰ってしまう。
夕食は一人寂しく、電子レンジで温めて食べる。
小学生の頃まではそんな『お手伝いさん』も毎日いてくれたもの
だが、今では三日に一度ほどしか来ない。来てもするのは掃除、
洗濯だけで、それが終われば午前中にも引き上げてしまう。
トオルが登校した後にやって来て、下校する頃にはいないので
全く存在を感じない。ただ選択かごに溜まっていた洗濯物はきれいに
片付き、部屋も同様なので、ああ来たのだなと分かる。
朝食や、夕食は、トオルが好きなものを自分で勝手に食べるように
していた。その為、両親は毎日五千円ずつの計算でトオルに食費を
与えていた。月三十日で十五万である。それとは別に月一万円の
小遣い。携帯代やインターネットにかかる代金などは親の銀行口座から
落ちるようになっている。
朝、晩食べても五千円などいくはずもなく、せいぜい千円いくかいかないかで、
毎月相当額が余るのだが、それでも毎月十五万は食費としてもらっていたので、
トオルの貯金は十四歳にして二百万以上ある。
つづく
ひゃっほーい、初ライブ
来てたっ!
今夜はトオルだ〜。
嬉しいな。
しかも食費として与えられているが、何に使っても自由なのだ。
ある意味トオルの留守番代である。
それでも毎日一人で食べる夕食は寂しかった。賑やかなテレビなどを
見ながら食べるが、楽しそうなブラウン管の向こうの世界と、こちらの
世界のギャップがかえって辛かった。
だからトオルはよく山形家に世話になることがある。アカネの作る夕食を
食べ、場合によっては泊めてもらう。その度トオルは一日の食費として
与えられた五千円を丸々山形家に納めていた。
高すぎる金額だが、トオルが是非というので、アカネは彼の心情を察して
何も言わず受け取るようにしている。孤独の寂しさを解消するということが
金銭では変えがたいものだということをアカネは知る。
彼女はトオルの気持ちとしてその五千円を受け取っていた。
そんな寂しい生活をしばらく続けていたものだから、霧原トオルはテレビ
ゲームの類が上手い。ハードもほとんど持ち合わせている。
食費の余りをゲーム代にあて、難解なゲームを解いては売り払うか、
友達に半ばあげるように貸し与えて自分はまた新しいゲームを購入する。
しかし、もともとおっとりとした性格が災いしてか、アクションゲームや
格闘ゲームは苦手だった。
つづく
もっぱらやるとすれば、ロールプレイイングゲームかパズルゲーム、
シミュレーション、アドベンチャー。しかし、何日か前、大作のロール
プレイイングゲームをクリアしてしまって以来、するゲームがなくなった。
ちょうどクリスマス商戦を前にして、各メーカー発売時期の調整に入った
のだ。
基本的に、終わらせたゲームは売るなり貸すなり処分してしまい、再び
遊ぶことができない。
保管しておけばいいのだが、彼の両親はゲームに否定的な上、原則として
十五万円はあくまで食費なのだ。それをゲームにあてていると知れれば
何かしらの罰がある。トオルはそれがいやだった。
あくまで自分が自由に使っていい小遣いとしてもらっているのは一万円なのだ。
しかも親は連絡もなしに突然帰宅する場合がある。
だから、部屋中ゲームソフトだらけにしておくわけにはいかなかった。
翌朝、トオルは、クリアしたばかりのロールプレイイングゲームをケースに
収め学校に持っていった。
つづく
お?初のゲームネタ?wktk!
あ、トオルだ。元気?
余り仲がいいわけではないが、ゲームの情報交換をする知人がいる。
同じB組の電算機同好会所属、富山ハジメだ。
ちなみに『富山』は、『トヤマ』ではない。『トミヤマ』と読む。
彼はゲームやパソコンなどに詳しく、トオルの持っているパソコンも
彼が作ってくれた。
富山ハジメはトオルとは正反対で、父がリストラにあい、母親のパートが
主な収入源という苦しい生活をしている。パソコン、ゲームマニアとしては
経済力がないというのはかなり苦しい。
その辺りでトオルと利害が一致していた。
トオルは彼にソフトを貸すことで事実上ソフトを処分し、彼は多少遅れ馳せ
ながらも人気ゲームを手に入れることができる。
その代償として新しいゲームの評判や、新作の情報をトオルに流して
やったり、経費最低限で自作パソコンを作ってやったり、不具合が出れば
修正、修理をしてやるなどしていた。
トオルは彼にロールプレイングゲームを渡し、何か面白いゲームはないかと
訊ねる。
(作者注:今まで『ロールプレイイングゲーム』と表記していましたが、
一般的に『イ』はダブらないようですね…。以後『ロールプレイングゲーム』で
統一します。まつめサイト掲載の方、よろしければ修正願います。そのままで
あれば後で私が修正します。すいませんでした)
つづく
(読者注:自分も『イ』だぶらしちゃいます)
「今はないねぇ…あと十日も待てば出るけど…」
「…そう…」
仲がいいというわけではない。話す内容といえばゲームの話だけ。
何もなければ一月近く何も話さないこともあった。
「ああ、ウチの部員の間でちょっとだけ流行ったゲームがあるな」
「何ゲーム?」
「パズル…アドベンチャー…かな?何か変なゲームでね。普通には
売ってない。裏ゲーム」
「裏…」
「エロゲじゃないよ。そういうのじゃなくて、なんか中国だか韓国だかで
作られたゲームを誰かが翻訳したとか、日本のゲーオタが一人で
作ったとか、なんかよく分かんないけどアキバにあったって」
「へぇ…面白いの?」
「面白いというば、ね。ただムズいし、イライラするよ。やってみる?」
「他にやるのないから…」
つづく
お!来てた!(・∀・)
「じゃああとで借りてくるよ」
帰り際になって、やっとそのゲームはトオルの手に渡った。
驚いたことに、まっさらなDVDソフトである。ただ虹色に輝くばかりで
何も印刷されていない。
「え、説明書とかないの?」
「なくてもやれば分かるよ」
聞けば、電算機同好会の誰もが解けず途中で投げ出しているという。
少しホラー要素があるから気をつけてとだけ言われた。
クリアしたくてもネット上にも攻略情報はなく、クリアした人間はいない、
もしくは元々クリアできないようになっているとの噂だそうだ。
「…」
心持ち、難しいだけでつまらなそうだとトオルは話だけ聞いて思った。
つづく
家に戻り、部屋着に着替えると、本体に入れる。本当に
こんな違法コピーのような製品が動くのかと思えば確かに
画面に文字が表示された。
『これはゲームである』
随分と長い間その画面を見させられる。適当にコントローラーの
ボタンをがちゃがちゃと押すが表示は変わらない。
「いきなりバグ…?」
そう呟く頃になって表示は唐突に変わった。
『Doors』
ゲームのタイトルらしい。スタートボタンを押す。
画面はドアが一つだけある狭い部屋だ。十字キーで、部屋の上下左右を
自由に見回すことができる。
ドアノブにカーソルを合わせて適当にボタンを押していると
『鍵がかかっているのか開かない』
と表示された。
つづく
部屋の至るところに、何か用途不明のアイテムが落ちている。
ラジカセ、乾電池、ガビョウ、クリップ、フロッピーディスク…。
ああ、とトオルは思った。要するに脱出ゲームだ。アイテムを
色々と組み合わせて道具を作ったり、ベッドの下や机の裏など
分かりにくい場所を探したりして、部屋を脱出するのが目的だ。
ラジカセと乾電池を組み合わせるとラジカセが動き出す。それに
カセットテープを入れ、再生すると、謎のキーワードを言う。
部屋にあるパソコンフロッピーを入れるとパスワードを要求されるので
先ほど聞いたキーワードをそのまま入力する。
するとフロッピーに入っていたデータは特殊な温度になった時だけ、
その色を現す不思議な染料についてのデータだった。
ベッドの上の枕の下から手に入れたエアコンのリモコンを操作し、
その温度に室温を上げると、壁にまた謎の文章が現れる…。
そんなことを繰り返しながら鍵を入手しドアを開ける。
ドアは次々に現れ、容易に鍵を入手できる部屋もあれば難解なものも
あった。
また記憶力を試すかのような仕掛けもある。
つづく
あるスイッチを押すと、壁に取り付けられた九つの電球が
ある順番に点灯する。その順番を正確に覚え、今度は、
部屋の壁に空いている穴の奥にある操作パネルで、先ほど
光った通りの順番でスイッチを押すのだ。
『…確か、右上、真ん中、左下、真ん中上、真ん中下…』
と順調に押したところで、突然今まで何の音もしなかったのに
男の叫び声が聞こえ、手首から先を失った男が床をのたうち
回る映像が出る。
これにはさすがに驚いた。心臓に悪い。
どうも順番どおりにスイッチを入れないと、壁の穴にはギロチン状の
仕掛けがしてあって、手首を切断されるらしい。
『少しグロがあるから気をつけろよ…』
富山ハジメの言葉が思い出された。
またその部屋からスタートである。何度か失敗したが、基本的に
完全なゲームエンドはないらしい。何度死んでもその部屋から
始められる。
ただ逆にセーブ機能もない。電源を落とせば最初の部屋からだ。
つづく
トオルはメモを取りながらゲームを進めた。
三十部屋目をクリアした頃には深夜三時を回っている。
さすがに寝たほうがいいと思い、彼は電源を入れたまま眠った。
翌朝、もしお手伝いさんが来て、電源を切られたら堪らないと、
ゲーム機本体に、
『さわらないで!コンセントもぬかないで!』
とメモを貼り付けて登校する。
教室に入ると、先に登校していた富山がにやにやとこちらを見ていた。
「どう降参?」
「いや。まだ。30部屋目。全部で何部屋あるの?」
「分からない。電源落とすたびに最初の部屋からスタートすると思ってる
でしょ?」
「?違うの?」
「ランダムなんだ。電源切る度別の部屋から始まる」
「…最低…」
つづく
すげーゲームだな…
自分なら絶対途中でぶち切れそうww
つまり、トオルが何時間かしてクリアし、たどりついた三十部屋目。
場合にによってはそこがスタート地点にもあり得るというわけだ。
「たまにドアが二つも三つもある部屋があるよね?」
「それもランダム。どの部屋がどの部屋につながってるかは関係ない。
だから最初の部屋にいきなり戻されることもあるし、でも次の部屋は
違う部屋かもしれない」
「…マップも作れない」
「そういうこと。ただ部屋ごとの攻略法は変わらない。アイテムの位置も
一緒。で、誰もクリアできない」
ばつが悪そうに彼は笑った。
山形ユウジロウの担当する『情報倫理学』の授業中、気になってトオルは
こっそりと『Doors』について検索してみた。確かに存在を示す情報は
いくつかあったが、評価は低く、『難しすぎ』、『二日で飽きた』、『クソゲー』と
いう扱いだった。ちなみに『クソゲー』とは『くそゲーム』即ち、つまらないゲームと
いうことだ。
部屋と部屋のつながりがランダムならば攻略法の書きようもないだろう。
やる度に状況は変わり、部屋が全部で何部屋あるのかさえ不明なのだ。
つづく
自分もブチ切れるw
トオルは他にすることもないので、自宅に戻ると、そのまんまの
状態で待ち受けている『Doors』に取り掛かった。
ジュースとスナック菓子を買い込んで。
『あれ…』
見覚えのある部屋に来る。
『戻されたか…』
しかし部屋の構造はそっくりだが仕掛けが違う。どうも扱いとしては
別の部屋のようだ。
何部屋、渡り歩いたか。攻略メモも乱雑になり、何が何だか分からない
ありさま。
深夜四時。早朝といってもいいだろう。しかしトオルはゲームを続けていた。
意地というか、負けず嫌いの性格がここで出てしまった。
『…日本のゲーオタが一人で作ったとか…』
一人で作ったとすれば一対一だ。相手が製作者集団であれば敗北も認めるが
一人で作り上げたものを一人でクリアできないのは悔しかった。
つづく
『これはゲームである』
最初に、しつこいぐらいの時間見せ付けられた文章。それが
挑戦状のように感じた。そうだ。ゲームだ。
トオルは暖房で完全にぬるくなり、単なる砂糖水のようになった
炭酸飲料を飲み干した。
何とも文章では説明しがたい仕掛け。ランダムに点灯している
ランプがある。しかし間違いなくそこに一定の法則がある。
その法則に従い、机の上にある碁石を並べる。
どのような法則か。単純ではない。
トオルはしばらく考えた。
ランプは点灯しているものと消灯しているものがある。
大して碁石は黒と白。
二進数か。トオルはそれを十進数に変換した。その手のパズルは
得意だ。
しかし上手くいかない。法則性が見出せない。
つづく
CUBEみたいで面白そう
ランプにだけ注目する。二進数。それを十進数に変換することに
手応えは感じていた。
何となく規則的な気がする。少なくとも、少しずつ数値は増している。
倍にした上に二を足す。次の数値を倍にした上更に四を足す。
次の数値でリセットされ、それを倍にした数に三を足す。次の数値は
それを倍にして六を足す…。
そういうことか。
ある数値×2+2 ある数値×2+(2×2)
ある数値×2+3 ある数値×2+(3×2)
ある数値×2+4 ある数値×2+(4×2)
その答えをまた二進数に戻して、碁石で表現する。
ドアの鍵が開く、かちゃりという音が聞こえた。
つづく
『これは最後のドア。開けますか? Yes or No 』
こんなことは今まで一度も訊ねられていない。
トオルはしばらく考えて、『No』 を選択した。
画面の表示。
『・・・You won・・・』
部屋のドアの外で、誰かが舌打ちをする音が聞こえた。
そう。
『これはゲームである』
このゲームをクリアした人間は、『いない』
霧原トオルはテレビゲームの類が上手い。
終
合いの手がたくさんで嬉しかった!
それぞれにレスは返せないけど本当にありがとう^^
面白かったらいいけど…。どうだろ。
こいつぁ普通に面白かったぜ!
思慮深いトオルならではって感じだね。
リュウジならきっと武装して、ドアの外を伺いつつ「yes」を選択して戦闘状態かなw
うお!こえぇぇ!((((((;゚Д゚))))))
そういうことか…。
自分なら喜んで開けてしまいそうだ…orz
>>522 おぅ!嬉しい感想だねぃ!(笑) リュウジならそこまで行く前に
ハードごと爆破しそうだけど…。しかも多分最後までいっても
勝てるし…。真の勝利者はリュウジか(笑)
>>523 感想ありがとう^^ 久しぶりにまともな怖い話がかけた気が
するよww 怖い話って難しいんだね…。特にキャラクターが
からむと、『その後彼を見た者はいません…』とか、『一週間後
死体となって発見されました』とか、『発見されたものの、狂って
いたのです…』って『オヤクソク』が使いにくいので…。
おはよ〜さんです!
ライブ途中で寝てもうたorz
今読んだけど面白かった。なるほどなるほど、真の勝者はリュウジかw
トオルはえらい!よく物事を考えるからこそだな^^
乙でした!
アドベンチャーゲーム好きなんで、wktkしながら読みましたw
トオルにちょっと親近感(´∀`*)
トオルすごいなぁ。その情熱でもうちょっと明るい性格になったら
いいのにww
恐いゲームだなぁ。でも、今ってゲームと現実の区別がつかない
子どもたちがいるからそういう意味でも恐かった。
関係ないけど
>>522さんの
>こいつぁ普通に面白かったぜ!
を読んだ時、リュウジが降臨したのかと思ったよw
さてここらで怖い話でもするか。
軽子沢中学三年D組、木下サエは下校中、何となくいつもと
違う道を通ってみたくなった。
つづく
529 :
白米:2006/11/17(金) 22:30:59 ID:Aq2qMLg80
>>527 なるほど、リュウジ口調な感じでしたかw
それはワタシの性格がリュウジに一番近いからかもしれませんねw
武器好きだし、お化け怖いし、時々ひげ生やしてるし…
うぉ、ダイレクトにライブキタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!
住宅と住宅の間に細い路地がある。見た感じ、行き止まりと
いうふうでもない。
何となくそちらに足が向いた。
ありきたりな住宅街。
少し歩くと、その風景に見覚えがあった。
小学校当時の通学路である。ああここへ出るのかと思いながら歩く。
遠くに小学校の校舎が見えた。
そうだそうだとサエは思う。
今でこそ活発な彼女だが、小学三年生の頃までは内気で恥ずかしがりで、
運動神経はよかったが、運動会などになるとなにより人前で走るということが
いやだった。
彼女がいやだなと思うと不思議なことに必ず天気が崩れた。
運動会の日は日曜日で、中止になれば学校に行く必要もない。そういった
場合は、普段なら校章の旗を掲げているポールに黄色い旗が昇る。
黄色い旗が見えれば運動会は中止。学校へ行かなくてもよいことになるの
だが、生憎、木下家からは学校が見えず、一応体操着に着替え、この辺りまで
黄色い旗が昇っていないか見に来たものである。
つづく
校章の旗がはためいていた。
そちらを背にして五分も歩けば、自宅に着く。
しかし彼女は小学校の方向へ歩いた。
懐かしい。単に住宅が連なるだけで用もないこの道を
卒業以来通ることはほとんどない。
ただ一軒だけ店舗があった。
住宅街からほんの少し、五十メートルほど横道に入ると
それはある。
春木屋。いわゆる駄菓子屋で、文房具屋も兼ねていた。
ただ小学校は原則として現金を持つことを禁じていたので、
帰り道に立ち寄ることなどはなかったが、一度家に戻り、
小遣いをせびっては、取って返して春木屋をよく訪れた。
『まだあるのかな』
当時でかなり高齢な、老婦人が一人で店をしていた。結婚していたか
どうかさえ知らない。ただ店のたたずまいは古く、木造でどこか陰気
だった。
つづく
十円二十円でちょっとした菓子が買える。百円も
あれば色々と買うことができた。
右へ曲がる。
果たして、自動販売機が見えた。当時からそれはあった。
二年ぶりに訪れた春木屋は、更に古ぼけた感がある。
有りていにいえば、時代に取り残されたような、木造の、少々
汚らしい店舗だ。
いつ頃からやっているのか、判断もつかない。
店の前には自動販売機と、氷菓子を売る冷凍庫がある。冷凍庫は
所々錆ついて、天井部が透けたガラス窓になっている。それを開けば
中の氷菓子やアイスクリームを取り出せるのだが、今は季節のせいか
ガラスの上に木の板が置かれ中が覗けないようになっている。
自動販売機ばかりが妙に新しく、コマーシャルに出ている人気女優が
コーヒー缶を持って微笑むポスターが貼ってあったりして、妙にミス
マッチだ。
店の戸はいつも開け放たれている。暖房も冷房もない。暑い夏の日も
寒い冬の日も、いつも開放されていた。
つづく
軒先まで菓子の並んだ台が飛び出している。
柱には、よく弾むゴムボールが袋に入って、ボール紙に
止められて売られている。
何も変わらない。
後輩だろう。ランドセルを背負った少年たちが店前にたむろ
していた。
何となくそこは、少年少女の聖域で、もう十五歳ともなると
入ってはいけない気がする。
サエは店の向かいに立って、じっと店の様子を伺っていた。
たったの三年。しかし、大人の感じる三年と、まだ十五歳の
彼女が感じる三年は、全く価値が違う。
彼女にとって三年は、既に『昔』といっていいほどかけ離れた
時間だった。
あめ。チョコレート。小袋に入ったスナック菓子。アイドルや
特撮ドラマの登場人物の写真が印刷されたカード。
まだあるんだなあと彼女は小学生が出入りする様子を見ていた。
つづく
そういえば、みんなランドセルを背負ったままだ。
自分がここで買い物をしていた頃はみんな一度家に戻って
ランドセルを置いて、また来たものだ。
今は現金を持ち歩くことが許可されているのだろうかと彼女は
思う。
懐かしい気分になって、彼女は少しずつ聖域に近づいていった。
匂いがあった。線香のような匂いだ。見上げれば照明もない。
薄暗い中に菓子が並んでいる。ふがしの横に何故かアルミの鍋が
売られている。その鍋は確か自分が小学生だった頃からあった。
短くなった鉛筆を無駄なく使えるように取り付けるキャップのようなもの。
今時百円均一に行けば三本セットで百円で売られているようなボールペンが
一本百円で売られている。
何もかもが安いわけじゃないのか。彼女ははじめて思う。ここにくれば、
全ての物が安く手に入るような錯覚を覚えていた。
つづく
小さなレジカウンター。レジカウンターというよりも、
土間から居間への上がり口にレジが備えられている。
そこに座る女主人は少し不健康さうに見えたが当時の
ままだ。
サエは、いつの間にか二十円に値上がりしたチョコレートを
五つ買って、店先のベンチで頬張った。
味が違う。もっと美味しい気がしたが、妙に甘い。こんなに
甘かったかなと思いつつ、彼女はキューブ状のチョコレートを
ころころと口の中で転がしていた。
横目に、プラスチックの容器に入った、菓子が見える。
イカをどう調理したのか、串にさして甘辛くしたものだ。少し
唐辛子が効いていて、今思えば菓子というより、酒の肴といった
代物。
一串十円だか二十円だか。好きでよく食べていたなと思い出す。
チョコレートの甘さに、その味が恋しくなった。
と、その辺りでわいわいと集まっていた少年達が、容器から、イカの
串を取り出すと走って逃げていった。
つづく
ライブきてたー!
『…ギッた…?』
どうやら万引きらしい。追おうと思ったが小学生の素ばしっこさは
半端ではなく、誰かの家の塀を乗り越えたちまち見えなくなった。
そういえば、ここは万引きの聖地でもあった。サエ自身はしたことが
ないが、男子児童たちはよくここで万引きをし、それを武勇伝のように
語っていた。
状況は変わっていないらしい。
店の中を覗くと、店主の老婆が悲しそうに外を見ていた。
「あの…」
思わず声をかける。
「…知ってるよ。みんなあぁして持っていっちゃうんだぁ…。あんたが
来てた頃は可愛げがあったけどね。最近はひどいもんだよ。あたしも
もう追いかけられない体だしね…」
あんた。言われて驚く。どうもこの老婆、自分を覚えているらしい。
信じられない気持ちだった。クラスのほとんどの人間が利用していた。
恐らく他のクラスの者もだ。
遠足で菓子を買うとなれば、随分と混雑した。おやつは幾らまでと制限が
あるのでやはり安い菓子を種類豊富に揃えた方が楽しい。
つづく
その客を覚えているというのか。自分など毎日来ていた
わけではないのに。それとも少しぼけているのか。
サエには分からなかった。
老婆はレジの横に置かれた湯飲みから、冷えた茶をすすり
ながら、誰ともなく語った。
以前は万引きを見れば声をかけるなり、追いかけるなりして
いたらしい。そして万引きする方もする方で、追いかけてくる
ことをわかってやっていた。一種のゲームだ。
それに、万引きの仕方も限度があった。小さい物、安い物を
遠慮がちに盗む。
しかしそれが最近は随分と悪質で、見ている前からランドセルに
チョコレートやガムを詰め込んだり、小分けにされたものが何十個
単位で収まっている大きなケースごと盗んでいったり、ひどい
ありさまらしい。
その上、老婆は膝を悪くして、走れない。それを知った上でやっている
ので更に悪質ともいえた。
だからそろそろ店を閉めるのだと言う。
気の毒になってサエは、先ほどの串に刺したイカを容器ごと買い取ると
申し出た。容器ごとといっても、五百円もしない。
つづく
「いやいやいいんだよ。別に儲けようと思ってやってるわけ
じゃないんだから。気持ちだけで。ありがとうね」
そういって老婆は悲しく微笑んだ。
また小学生がやってきて、当たり前のように商品を盗んでいく。
驚いたことにその場でガムを開封して、くちゃくちゃと噛みだす者も
あった。
「…ちょ…」
注意しようとしたサエを老婆が制した。そっと手をつかんでうなずいている。
「だっておばあちゃん…」
「いいんだよいいんだよ。もうしまいなんだから。あのねぇ、施設に入るんだよ」
「…施設…?」
「うん。このお店をやめてね。そう決めたんだよ」
老人ホームにでも行くことになっているらしい。だからもう商品も在庫も処分
したいらしいのだ。だから万引きされても構わないと彼女は言う。
つづく
>『…ギッた…?』
なんて懐かしい表現www
うわっ。ライブ遭遇!嬉しい。
うちの近くの駄菓子屋は一文店(いちもんみせ)って言ったっけ…
サエの倫理観はそれを許せなかったが、店主がそう言うの
だから仕方がない。サエは老婆と話し込み、万引きをする
者達を苦々しく見ていた。
もちろん、普通にレジに商品を持ってくる者もいる。当たり前の
ことだが、そんな当たり前のことさえ可愛く見えた。
そんな風景を見るうち、サエは不思議なことに気が付いた。
普通にお金を払い購入する子に対して、老婆は奇妙な行動を
見せたのだ。
なんでそんなことをする必要があるのか。そういえぱ、自分がさっき
チョコレートを購入した時も同じだった。
サエはその行動の意味が分からなかった。
そしてそのまま暗くなる前に自宅に戻る。
そうか。あのお店もなくなっちゃうんだ。サエは少し寂しい気持ちになったが
それでも最後になって偶然にせよ立ち寄ることができてよかったと思った。
彼女はまだ残っていたチョコレートを頬張ると、適当に受験勉強をはじめた。
つづく
懐かしいなぁ…。
情景が目に浮かぶよ。
何日かして、サエはまた春木屋を訪れた。
何となくあの甘ったるいチョコレートが食べたくなったのだ。
パトカーが止まっていた。
いよいよ万引き被害で届けを出したのかな…。
しかし一瞬見えた連行されている人物は、店主の老婆だった。
サエは直感的に思った。彼女の無意味で奇妙な行動。お金を
出して買う者に対しては、『おや、これはちょっと汚れてるね』などと
適当なことを言いつつ家の奥に引っ込んで、新しい商品と交換していた。
自分の買ったチョコレートもそうだった。
一方で万引きした者たちは、売られていた商品をそのまま持ち帰った
ことになる。
だとすれば、万引きしたものを食べた子供たちは…。
彼女は嬉しそうに語っていた。寂しいから、施設に入るのが楽しみだと。
施設。施設。施設。
サエの頭の中には 『毒』 という単語だけが浮かんでいた。ただ、小学生が
死んだという話は聞かない。
ただチョコレートを食べながら勉強をした晩、救急車の音がうるさかった。
終
>>529 白米さまだったのか…(笑)
>>541 懐かしいけど、こないだマックで現役高校生が使ってたんですよ(笑)
だもんでいいかな使ってみました。私達は『ブッチ』って言ってましたけど。。
>>542 駄菓子屋の呼称については色々あるみたいですね。私の愛する人は、
『10円店(じゅうえんみせ)』といってました
>>544 褒められた感じです♪ ネタとしては大したネタではないので情景描写に
こだわってみたです。
合いの手サンクスでした^^
内容は…ちょっと色々な問題が盛り込んであるのでそれぞれ色々な
ことを感じてみてほしいな、と。そんな思いがあります。
↑ごめん。名前忘れた。私です。
長閑なノスタルジー話に浸っていたら…
こわっ(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
ひぃ…
でもおばぁちゃんの唯一の手段だったんだろうなぁ、、
シジババ好きには切ないお話デシュ(/_;)
うちの近くは『角店かどみせ』って言ってたなぁ。
『春木屋』ってなんだっけ。AKIRAに出てくるんだっけ?
勿論駄菓子屋じゃないけど。
えええ〜!ばあちゃん恐いよぉぉ。
うちの小学校の向かいにあった駄菓子屋はゲンコツ屋って呼ばれていたけど
本当はなんて名前だったのかは不明。
しかし、すげー施設www
言葉遊びみたいなのがオチに来たんだ。気づかなかった。コェ〜…ばぁちゃん(((;゚д゚)))
ううっ切ない…。
>>549さんと同じく、ジジババ好きには恐いというより切ないお話でした。
作者さんがいろんな事を感じてほしいといった通り、色々な反応があるのでしょうね。
お婆ちゃんのとった行動はすごく切ないし、やってはいけない事だけれど、
万引きした子供たちにはいい制裁になったのでは?位に思ってしまいました。
>>548 感想ありがとう^^ いつも『一応オカルト板だからなぁ…』って
頭にあるんですよね。。怖くせざるを得ないというか。。でも
結構元オカルト同好会辺りがだらだら喋ってるだけの回も
それなり評判だったりして…。難しいです。
>>549 そうですね。。私もおじいちゃん子なので…。ただ、施設に
入ることを楽しみにしていたという部分をどう解釈するか何
ですね。施設に入ることそのものが楽しみだったのか、
それ以前の復讐が楽しみだったのか…。独居老人の孤独。
独りきりな上、自由に動き回る体力も経済力もない。どんな
気持ちなんだろうと想像しつつ書いてみました。ただ想像は
現実を超えません。計り知れない部分があります。春木屋は
近所にあったラーメン屋さんです(笑)
>>550 ゲンコツ屋。いいネーミングだなぁ。ちょっとおっかなそうで。
昔近所に、フリチンマンっていう、全裸で男子を追いかけまわし、
馬乗りになってボコボコにするオジサンがいたんですが今だったら
ニュースモノですよね。なのになんで変な愛着があったんだろう…。
怖かったけど…。朝校門の前に仁王立ちしてた時はどうしようかと
思った…。
>>551 いつもネタ明かしちゃいますから今日はちょっと頭使いました…。
130以上書いてもまだ開発の余地があるというのに驚きますね…。
今まで私が書いた作品の総数が今日で324ですからもう半分近く
山形先生絡みなんですよね(笑)
>>552 はい。色々受け取り方は自由だと思います。むしろ
考えてほしいです。救急車で運ばれたのは誰なのか。
サエの推理は正しいのか、という部分も含めて、かな。
仮に正しいとして、お婆さんのやったことは正しいのか、
悪なのか、またお婆さんの目的が復讐にあったのか、
それとも『施設』に入りたいが為のものだったのか。
その場合によって善悪もまた変わるのか。
色々ですね。善悪が単に合法、違法というわけではないです
から。特に今みたいな世の中だと。
その辺り、子供にばかり押し付けるのではなく、大人も
考えなくてはならんと思うのです。勿論正解なんてなくていい。
自分なりの基準、そして人の基準を知るということ。大事だと
思うんです。
感想ありがとうございました^^
あ、忘れてた。明日は休載でーす。よろしくです。
明日ってか明晩、ね。
作者さん乙!
ちゃんと休むときは休まないとだめよ〜!
さてここらで怖い話でもするか。
新生オカルト同好会、軽子沢調査隊は学校からは正式に認められていない
同好会である。
つづく
一応、山形ユウジロウの温情により、彼が担任する二年A組の
教室を部室として使用することを許可されているが、じつは隊長、
雪野カエデとサヨリは、同時に吹奏楽部でもある。
基本的に部や同好会の掛け持ちは認められていないが、何せ
軽子沢調査隊は非公認で、学校からすれば単なる集まりに過ぎない。
一応活動日は、旧オカルト同好会に従い、毎週月、水、金曜日と
決めていて、たまたま活動日が火、木曜日の吹奏楽部とは重ならない。
ただ発表会などが間近になると、吹奏楽部は活動日が増える。
そんなわけで、雪野カエデは今日は来ない。サヨリは今回の発表会には
出ないらしく、A組に来ていた。
D組から須藤アリサもやって来る。基本的に彼女がいつも遅く来る。しかし
今日はどうしたことか、サヨリの姿しかない。
「あれ…みんなは?」
「休みみたいね」
「霧原君も?」
霧原トオルはサヨリと同級生だ。休むとすれば何か彼女に言付けている
可能性はあった。
つづく
軽子沢調査隊キタキタキタ━━━━━━(゚∀゚≡゚∀゚)━━━━━━!!!!
久々ビンゴキタ―――(゚∀゚)―――!!
ん…?サヨリが…?
「なんかゲームがしたいみたいよ」
「ゲーム…」
小学生の頃から、アリサはサヨリを知っている。また命の恩人
でもある。(第百五夜 参照)
アリサは窓辺の席に腰かけるとかばんの中から、菓子と煙草を
取り出した。
「甘いのとしょっぱいのと、どっちがいい?」
「からいの」
「…ない」
「しょっぱいの」
トマトプリッツの小袋をサヨリに投げ渡す。しかしサヨリは手を出して
受け止めるわけでもなく、足元に落ちた袋をしばらく見下げると、
忘れたことに拾い上げて、開けて食べ始めた。
理解しがたい行動はいつものことである。アリサは別に何とも思わず、
アーモンドチョコレートを口の中で転がしていた。
つづく
(
>>562 え…何か設定間違ってる?)
「…窓開けていい?」
「校内よ?」
「吸いたいの」
何も言わないのでアリサは少し窓を開けた、教室の暖かい空気がたちまち
抜けて、代わりに冷えた空気が入ってくる。
チョコレートの甘さを一度茶で流すと、彼女はセーラムライトを咥えて細身の
角ばったジバンシーのライターで火を着けた。
大きく吸い込んで、細く煙を吐き出す。窓を抜けた途端、煙は風にかき消された。
手を使わず、舌とくちびると歯を器用に使ってサヨリは長いプリッツをこりこりと
食べ進めながら、その様子をじっと見ていた。
煙草一本吸い終わって、携帯灰皿に吸殻を収めて視線を戻すとサヨリはいつの
間にか、すぐ隣の席に移動してきていた。
赤い唇に挟まれたプリッツがにょっきりと伸びている。
つづく
>>564 (*´ω`).。oO(ううん、サヨリが好きなだけ…)
「ねぇ、サヨリ」
「はい」
「サヨリってさ、好きな人とかいんの?」
白い眉間にしわを寄せて、サヨリは考え込むような仕草をした。
プリッツを煙草のように人差し指と中指に挟んで口から離すと、
小さく笑った。
「誰?」
質問を質問で返したのはサヨリだった。
「…え?」
「時として、人に対する唐突な質問は、自分に対する質問でもある」
「…」
らしくもなく、アリサは恥ずかしそうに目を伏せた。
つづく
須藤アリサ。元女子テニス部主将。男を手玉に取り、
まるで自分を着飾るブランド品のように利用し、それどころか
金までむしりとっていた女。(第八十一夜 『衆合地獄』 参照)
そんなアリサが、好きな人は誰かと訪ねられ、顔を赤らめて
目を伏せる。
サヨリはゆっくりとプリッツ一本を食べ終えると言った。
「…初めてなんだ…?」
今まで男は自分を引き立てる為の道具でしかなかったアリサに
とって、恋は無縁といえた。魅力は男の持つブランド力以外には
ない。それを手練手管で手に入れる。それだけだった。
最低でも自分の心を乱すような恋愛はしてこなかったのである。
「ねぇ、誰よ?」
好奇心でいっぱいになった紅い瞳が、目の前わずか十センチに
近づく。その奥にある何かを覗くように、瞳が瞳を捉えている。
鼻同士が触れそうだった。
「…近いよ…」
少し濁った瞳がそう言った。
つづく
「深刻、みたいね」
サヨリは曲げていた腰を伸ばして、姿勢を正した。自然と
顔と顔が離れる。
「サヨリっていいよね。綺麗で」
綺麗。サヨリはその言葉に喜びを感じない。どうせ肌が単に
白いからとか、目が紅いからとか、そんなことを指して言っている
だけだろうと思うからだ。
結局、その好奇の視線が嫌で嫌で、いつの頃からか彼女は
人の死角に入ることを覚えた。(第八十九話 『観察』 参照)
「…あ、ごめん。気にしてるんだっけ…」
「別に…」
「でも色が白いとかそういうのじゃないよ。すごい顔も整ってるし、
髪も綺麗だし…」
少し考えて、一瞬目を見開いたサヨリは飛びのいた。
「…あ、あたしレズとかダメだからね!」
「わかってるよ!」
つづく
鋭いのだか、鈍いのだか、頭が悪いのだかいいのだか、
さっぱり分からない。
アリサは二つ目のアーモンドチョコレートを口に放り込んだ。
時間は静かに過ぎて、外は暗くなっていく。その間もアリサは
ずっとサヨリの視線を感じていた。
「自分のこと、嫌いなの」
アリサは言った。サヨリは黙って聞いている。
「…なんか、こういう顔でしょ?こういう顔の人はこうしなくちゃいけない
んだって、演じちゃうみたいな部分があって…。本当のあたしはこんな
じゃないのに。自分の顔とか身体の使い道は知ってるんだぁ。こうすれば
好かれるんじゃないかとか、こうすれば気に入ってもらえるんじゃないか
とか。でも全部、演技。本当のあたしじゃなくて。でもサヨリってなんか、
素直で、そんな綺麗なのに気取ったりしないし。そうそう。気取るって
言うの?あたしはどうしても気取っちゃうから…」
話を聞きながらサヨリは、あと三本しかないプリッツを気にしていた。
つづく
「…あげるよ」
箱ごと差し出されたプリッツをサヨリは嬉しそうに受け取ると、
かばんにしまいこんだ。
「サヨリ、素直になるってどういうこと?どういうふうにすれば
いいの?わかんない」
素直。あるがまま。自分のしたいようにすればいいのだろうが、
それと、身勝手、わがままの区別がつかない。同じことのようで
何か違う気がする。
アリサから見てサヨリは素直には見えるが、わがままには見えない。
むしろわがままといえば自分の方だ。でも自分が素直ともいえない。
「…今のあなたは、素直に悩んでるんではなくて?」
理解には及ばなかった。
「ダイヤの指輪が欲しいとするでしょ?でも高い。お金がない。買って
くれる人もいない。でも欲しい。じゃあどうしよっか?盗む?でも盗むって
気分悪い。気分悪いし、おっかない。後で捕まるかもしれない」
「うん」
「どっちもあるの。欲しいし、でも盗ったらいけないし」
つづく
「あたしならどうするかな。死角に入れば簡単に盗めるね。
じゃあ盗むかも。あなたなら、どうする?Cara o curz」
「…カラオクルス…?」
「どっち?っていうこと」
サヨリは片足で立って、両手を広げ、ヤジロベイのように
なった。
「…買えないし…盗ったら気分悪いし…あたしは死角に入れ
ないし…。じゃあ買ってくれる彼氏みつけるか、自分で一生懸命
働くか…」
「そう。じゃ、第二の選択。買ってくれる人を探すか、自分で働くか。
Cara o curz」
「…もう男の人に貢がせるとか嫌。また元に戻っちゃう気がする。
働いて買うよ」
「ファイナルアンサー?」
「…うん。ファイナルアンサー」
「それが素直。なんでも思った通りにすりゃーいいってもんじゃない。
素直は素直なりに熟考するもの」
「じゅっこう?」
「後先考えて自分のいいようにちゃんと考えることね」
つづく
思う様、その場で直感的に行動するのではなく、考える。
意外な答えだった。
「でもそれって素直なの?」
「あとで後悔したくなけりゃー考えるしかないでしょ?」
「…そっか…」
「慣れると考えるまでもなくなるわ。勝手に身体がそう動く。自分の
思い通りにならないことも嫌だし、人に迷惑かけるのも嫌だし。
じゃあどっちか少しでも嫌じゃない方、選ぶしかないでしょ?」
「…うん」
「で、好きな人誰?」
「言うのは恥ずかしいし、でも相談に乗ってほしい気もするし…。
相談に乗って欲しかったら、言わなきゃいけないよね…」
「そう。Cara o curz」
「相談に乗ってほしい。言ってすっきりしたい」
「おっしゃい」
「…的場くん…」
つづく
(((゚Α。)))
全くでたらめの誘導尋問。サヨリは単に興味でアリサの
意中の人を聞きだしたいだけだった。
素直の話も適当である。その割りにうまくいったとサヨリは
満足だった。
「…的場くんって…新聞委員の?」
「うん」
紅いくちびるがにいと広がった。これは面白くなりそうだ。
「あなたは的場くんがほしい。じゃあどうする?」
「…何もしなければ何も起こらないよね…」
「告白しないで密かに思い続けて自己完結するか、告白して
つきあうか。でも告白すれば失敗するかもしれない。動かなければ
何も変わらない。動けば何か変わる。良くも悪くも」
「…どっちがいいのかな?」
つづく
「気持ち次第ね。今の状況を五十とするでしょ?告白して
つきあえたら百。失敗したらゼロ」
「今が五十…成功で百、失敗でゼロ…」
「平均すれば全部同じ。後はあなたの気持ちの問題」
「…迷うよ…サヨリだったらどうする?」
「またそうやって人をあてにするの?」
「…」
「お頑張り」
サヨリは帰っていった。
つづく
クラブハウス。須藤アリサはその一番端のドアの前に
立っていた。既に暗いが、曇りガラスの窓からは灯りが
漏れている。
ずっと想い続けて、いつ告白しようかどうしようか悩むのは
いやだった。遅かれ早かれ告白するなら早いほうがいい。
彼女は考えた末告白することにした。
本物の銃を扱い、男らしく、野性的。今までつきあった男たちには
ないそのたくましさにアリサは完全に参っていた。
(第百二十三話 参照)
そっとドアを開ける。
「アッー!」
編集室内で全力で的場リュウジは志賀マサトの尻穴を犯していた。
須藤アリサの恋は終わった。
電気もガスもない暗い部屋。突然アリサが押しかけてきて、一晩中
しくしく泣いているのでサヨリは眠るわけにもいかずトマトプリッツを
食べていた。慰めの言葉もない。ただ紅い瞳は優しかった。
終
一日休むとなんか書き方分からなくなる…
連載モノって難しいんだな…
アリサ…(ノД`)
っていうかリュウジ…(ノ∀`)アチャー
サヨリ、いい!
今回でアリサのかわいい一面が見られた。
とくにラストシーンが好き。
アリサにとっては悲しい結末だけれども、心がホワッとあったかくなったよ。
サヨリの冷たく暗い部屋が暖かくやさしい空間になったのが見えた(´ー`)
↑訂正
× 今回でアリサのかわいい一面が見られた。
○ 今回でアリサのかわいい一面がまた見られた。
(´Д’)アイヤー…
すいません。来年頭に応募する予定の文学賞用の設定を日中仕上げる
つもりだったのですが、今だに全く完成せず、先にこちらを終わらせたいので
今晩も休載させて頂くと想います。(そちらを優先したいので場合によっては
明日も…)
何か突発的な事情で書くことがあるかもしれませんが、期待しないで
下さい。一昨日も休んだばかりですいません。
感想くれた方ありがとうございました。少しスランプです。肉体的にも
精神的にも。申し訳ありませんでした。
どうぞどうぞ!謝る事ないですよ。
こっちの事は気にしないで、文学賞の方を優先して下さいな。
文学賞期待なんだぜ
‖._.)サクシャサン…
がんばってくださいね。
こちらは気分転換する感じで。
文学賞の反動で物凄い山形シリーズが読めるかもしれないし。
あまり根を詰めぬよう、ご自愛ください。
作者サン乙!
文学賞のほう頑張ってね!
それにしてもリュウジはなんて罪作りなヤツwwww
サヨリ意外に普通にアドバイスしてるんかと思いきや、単に興味で
聞き出そうとしていたとは、やはりサヨリだったw
現在、件の文学賞にくわえ、更にその後の文学賞、また文学賞では
ないのですが、来月頭が締め切りのエッセイの賞のようなものがあり
そちらにも出してみようかと考えています(それは単に賞金目当てです)。
◆gby2MQSCmYもそれほど休むつもりはないのですが、オカルト系の
話や、オチが意外な話などは考えるのにかなりの時間を要します。
(一番楽なのは前回のようなただキャラクターがだらだらと喋っている
だけのような話)
なので、この板の何たるかは心得ているのですが、もしかすると、
前回のようなタイプの話がその間多くなるかもしれないです。
また、文学賞の方は書き始めるとかなり集中して書いてしまうので、
休載のお知らせなどせずに休載、また思い出したように深夜や日中に
投下、ということが増える可能性があります。その際は御了承下さい。
>>586 作者さん、ネタ募集してみてはいかがですか?
ネタ提供したいけど空気をみて遠慮してる人がいるんじゃないかな・・・
なんにせよ、文学賞の方をがっつりとがんばってください!みんな応援してるよ〜!
>>587 リクじゃなくてネタそのものを募集するの?
難しい気がする…だってここに下手するとオチまで
書かれちゃうんでしょ?
例えば、
『リュウジがお化け嫌い克服の為に、有名な心霊スポットの
廃屋に行って無事帰ってくるけど、実はその廃屋自体が
既に存在しなかったって話どうですか?』
ってことだよね?これは…書きにくい…。それに場合によっては
一つのネタでキャラクター変わっちゃうこともあるので。。だからと
いって募集しといて不採用というのもしたくないですし、リクは受け
付けますがネタ自体は私が考えたいです。
リクは随時受け付けてるです。遠慮なくどぞ^^
気を使ってくれてありがとです^^
(ちなみに、的場ママとケンシロウって最近全然出てこないけど…
と思ってる人多いかもだけどタイミング待ちです。冬休みに入って
からの話になります。
ついでですが、色々と調整した上、結局、作中世界と現実世界は
大体一ヶ月のズレが生じています。
また◆xDdCPf7i9gは基本的に時間は一定方向に流れていましたが、
実は◆gby2MQSCmYは、一定方向に流れていません。例えば、
150話より145話の方が時間的には以前の話、ということもあり得ます。
いつかお知らせしようと思って忘れていました。
それから、150話と160話が実は同じ日だったということもあり得ます。これは
気付いている方も多いかもしれませんが、例えば133話で霧原トオルは
ゲームを理由にオカルト同好会を休んでいますが、このゲームは131話の
『Doors』のことです。(もっともそういったことは裏話的な、一部マニア向けの
仕掛けのようなもので大した意味はないです)
例外的にそういうことはありますが、基本的には大体一ヶ月未来という設定に
なっています。
だから何さと言われると困ってしまうのですが、大体そういうことです^^;;
>>589 > 実は◆gby2MQSCmYは、一定方向に流れていません。例えば、
> 150話より145話の方が時間的には以前の話、ということもあり得ます。
あ。馬鹿。逆だ。145話より150話の方が、ね。
さてここらで話でもするか。
軽子沢中学校クラブハウス。それは校庭の東端、校舎から校門へと
伸びていた。その最も校門寄りの一室。新聞委員会編集室である。
つづく
志賀マサトは都内で起きた雑居ビル火災の取材を終え、
編集室に戻ってきて驚く。
編集長、的場リュウジがデスクに座ってセブンスターの煙を
くゆらせていた。
「…編集長…まだいたのか…」
今日は、朝から取材でインドネシアに行っているはずだった。
校内新聞であるが。
「取り止めだ。しばらく休む」
「らしくねぇな…」
最近リュウジの様子がおかしい。あれほど海外を飛び回っていた人間が
学校にいついている。だからといって何をするわけでもない。
当たり前のように授業に出て、放課後になると編集室で酒を飲み、煙草を
ふかしている。
母親と、校長のことかな、志賀マサトは思った。そうであるならば家庭の問題だ。
首を突っ込むわけにもいかない。
つづく
リュウジ(´Д`;)ハァハァ
そもそも、このような的場リュウジを見たことがない。
扱い方に困る。下手に声をかければ撃たれそうでもある。
マサトは自分のデスクに座るとノートパソコンにデジタルカメラから
引き抜いたメモリーカードを差し込み火災現場の写真をチェックし、
原稿を打ち始めた。
小気味いいブラインドタッチの音が響く中、的場リュウジは自分の
デスクの上にある写真を見つめていた。
動物園で撮られた藤谷ユミと自分との写真。(第百七話 参照)
いつもはぎらぎらとしている彼の瞳が今日ばかりはくすんでいた。
初恋といっていいだろう。自分とは正反対に余りにはかなく、余りに
か弱い女だった。しかし愛を語らうことももうできず、その名を一度も
呼べず、彼女はこの世を去った。
カティサークをグラスに一杯一息にのんで、灼熱の吐息を吐く。親指と
人差し指でつまんだセブンスターは短くなって、既にフィルターの一部を
溶かしていた。
何度も言うが、十四歳である。中学二年生だ。
つづく
やったぁ!久々のライブ遭遇!!
>都内で起きた雑居ビル火災の取材を終え、
いきなりココからしておかしいだろ、軽子沢新聞!
声上げて爆笑しちゃったよwww
『…許してくれるか…?』
写真に声を出さずに語りかける。写真の彼女は笑顔であった。
初恋とはいえ、二人が共にした時間は余りに短い。
彼はそっと、写真立てを伏せた。
「…女か」
全く気付かなかったが志賀マサトがこちらを見ていた。彼は
知っている。リュウジが倒した写真立ての誰の写真が収まって
いるか。そしてその意味も。
的場リュウジはバイセクシュアルであるが、それはあくまで
緊急避難的なもので、同性を愛したことはない。ただ、異性を
抱けない状況、環境において男性を抱くことに抵抗がないと
いうだけだ。
つづく
訊ねられて、リュウジはマサトの顔を一瞥して、視線を
窓の外にやった。
それだけで肯定していることは分かった。
「相手は?」
キャスターのついた椅子を転がし、リュウジの机の側に
寄るとマサトは更に聞いた。
「マサト、お前は誰か人を好きになったことがあるか?」
「…本気になったことは…ねぇな…」
まだ短い人生を振り返る。志賀マサトはホモセクシュアルだが、
そういえば、恋愛ということを考えたことは余りない。
ただ、自分よりたくましい相手に尻の穴を犯されたいという願望は
あるが、恋愛とは関係ない気がする。
単に巨乳好きが、胸のでかい女にパイズリをされたいと望むことと
変わらないだろうと思った。
つづく
まっまさかリュウジが新たな恋!!!???
それにしてもマサトww
「…厄介だぞ」
マサトは反論したくなる。厄介という意味では自分の方が
厄介だ。仮に誰かを好きになっても相手が同性愛者で
なければ成立しないのだ。
「まだいいじゃねぇか相手が女ならよ…」
リュウジは反論したくなる。ホモだったら男風呂にでも行けば
ハーレムではないか。生全裸の見放題である。
「体育の授業で柔道があるだろ?」
「あぁ」
「ホモからすればたまらんだろう?」
「相手によるがな」
「普通に考えれば女と寝技の掛け合いができるようなものだ」
「…相手による。男なら誰でもいいってわけじゃねぇぞ」
つづく
中学生同士の会話じゃねぇぞって思ったら
>>600が中学生らしかったのでホッとしたw
「便所に行くだけでもいい。普通に考えれば女便所に堂々と
入っていけるようなものだ」
「てめぇ!何が言いてぇんだ!」
「楽でいいなと言っている」
「ホモをナメんな!」
先にデトニクスの銃口がリュウジに向いた。コンマ何秒か遅れて
ベレッタの銃口がマサトに向く。お互い安全装置は外したが、
引き金に指はかかっていない。
「撃てるのか…?」
「…撃てるわけねぇだろ…くそったれ野郎が…」
「なら下ろせよ」
「おめぇが下ろせよ」
ベレッタの銃口が下がった。
「…悪かった」
デトニクスの銃口が下がる。マサトは大きく溜息をついて、椅子に
座りなおした。
つづく
「…確かに厄介そうだな…」
「あぁ」
「でも相手女なんだろ?」
「そうだ」
「ならいいじゃねぇか…脈は、あるぜ」
セブンスターの最後の一本を抜き出し、パッケージを潰すと、
リュウジは紙マッチで火をつけた。器用に片手だけ使って。
ちなみに、志賀マサトは喫煙、飲酒ともにしない。
「相手は…?シュウイチに聞きゃあ相手にオトコがいるかどうか
ぐらい一発で分かるだろうさ」
「…別にどうでもいいことだ。勝手に惚れているだけだからな…」
「勝手に惚れてるだけって…じゃあ何も動かねぇってことか!?」
「…動けない…」
つづく
リュウジ意外に普通の中学生に見えてきたかもw
「…フヌケ野郎…見損なうぜ…」
「何とでも言え」
こんなに頼りのないリュウジを見るのは初めてだった。
多少の幻滅もあったが、マサトは彼が気の毒になってきた。
「で、相手は?」
「…」
「だんまりかよ」
空になったグラスにカティサークを注いでやる。リュウジは
しばらく揺れる琥珀色を眺めていたが、また一息に飲み干した。
そして、伏せた写真立てを持ち上げ、藤谷ユミの笑顔を確認
すると、デスクの引き出しを開けて、仕舞い込んだ。
「…須藤。須藤アリサ…」
「!…テニス部のか!」
「『元』テニス部だ」
つづく
甘酸っぱい青春キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!
「ほとんど初対面だろ!?(第百二十三夜 参照)」
再結成された軽小沢警備隊。結局教頭の凄まじい姿を見るに
終わったがあの一日でこともあろうにリュウジは恋に落ちて
しまったらしい。
「…一目惚れかよ…」
「…すまん…」
「いや、謝ることじゃねぇけど…よりによって相手が相手だ…」
あの日、須藤アリサは初めて武装したリュウジらを見て、リュウジは
厳しく口止めをした。しかし彼女は今まで踏みこんだことのない未知の
領域に踏み込んだ好奇心一杯の目をして見せた。
その瞬間、悪名高き女子テニス部主将、須藤アリサのイメージは
崩れ去ってしまった。
あの形容しがたい目の輝きを的場リュウジは知っている。動物園でカバを
見た、藤谷ユミのそれと同じ印象を受けた。
だからといって、藤谷ユミのイメージを引きずったわけではない。区別は
しっかりとできている。単にあの素直な目をした女性が好きなだけである。
つづく
アリサー(ノ゜∀゜)ノ
脈アリアリよー!
「…よし。いいかリュウジ、よぉく聞いてくれよ」
「…?」
「ここにM1エイブラハム戦車がある」
「ああ」
「で、こっちに須藤アリサだ。くれるとしたらどっちをもらう?」
「須藤アリサだ…」
目の前が暗くなり志賀マサトは失神しかけた。
「も、もう一度聞く!アメリカ陸軍主力戦車だ!3.5世代戦車だぞ!
3.5世代!最新式だ!八億円だぞ!」
「…知っている。千五百馬力のガスタービンエンジンだ」
「そうだ。ディーゼルじゃない。ガスタービンエンジンだ!」
「あぁ」
「で、こっちに須藤アリサだ!どっちを取る?」
「須藤アリサだ」
つづく
‖●д●)リュウジ…
素敵ダワァ…
「…絶望的だ…本気なんだな…」
戦車と比較することで本気だと分かるのだから
分かりやすいといえば分かりやすい。
しかし取材にも行かないとなるとこれはもう鬱病に近い。
このまま編集長が動かないのでは委員会自体が立ち行かない。
彼がいないと海外ニュースを報じることができなくなる。
校内新聞だから海外ニュースはいらないという意見はこの際無視する。
志賀マサトは単純に考えた。告白させてしまえばいいだろうと。好きだの
どうだのぐたぐたやっていれば時間だけが過ぎていく。告白して玉砕されれば
ショックではあるだろうが、立ち直ることはできる。また告白が成功すれば
万々歳だ。
今の段階で五十。成功すれば百。失敗すればゼロ。五十でもたもたしている
なら、白黒つけた方がいい。
「よし。告白しろ」
「…」
まさか的場リュウジが決断を迷うとは。
つづく
「…クリスマスまでに告白しなければ…須藤アリサは、
俺が殺す!」
「!」
「本気だからな…これ以上今のあんたを見たくねぇ…
アタックあるのみだ!このブタ野郎!」
志賀マサトは何を思ったか服を脱ぎ出し全裸になった。
「さぁ来い。オチンポ野郎!予行演習だ!」
何の予行演習なのだろうか。志賀マサトは尻穴拡げて待っている。
尻の穴を目の前で拡げられて黙っている的場リュウジじゃあない。
いつ死ぬか分からない死線をさまよい歩くうち、性欲と食欲を満たす
ものだけは全て無駄にしたことはない。
飯があれば喰う!穴があれば入れる!それが的場リュウジだ!
「アッー!」
何か一瞬編集室のドアが開いて、愛する須藤アリサのあの好奇心に
満ちた瞳が見えた気がしたがすぐにドアは閉まった。
気にしない。的場リュウジは気にしない。今は全力で尻穴を犯す。
終
そんなリュウジは嫌だ〜
いつものリュウジのままでいてくれい!
俺はオカ板で何をやっているのだろう…
あっ!しまった!レスがずれてスミマセン。
リュウジやっぱりリュウジなのか〜www
アリサには悪いがリュウジは熱烈なファンの俺達のモンだww
そうか…あの日アリサが見てしまった光景はコレだったのか…
どうなる?!アリサとリュウジ!(゚Д゚;)
てか、リュウジって恋すると普通の人になっちゃうんだねw
いつものワイルドな感じとのギャップがたまらんよ(*゚∀゚)=3ハァハァ
最近合いの手がたくさんあって嬉しいです。
一つずつレスは返せないけどありがとうみんな…。
オカルト分なくてごめんね…。こんなんでも許して
頂けるのかが少し心配です。
軽小沢新聞の取材費用がどこから捻出されるのかがオカルトなのでオケーd
>>618 個人的にはツッコミ入れて楽しんでいるのでOK
>>618 許すも許さないも…
嫌なら見ないし、カキコもしないっしょ。
んもぅ、作者さん気にしすぎ!
そんな謙虚な作者さんの人柄も好きなんだけどね( ´∀`)σ)∀`)
>>616 すげぇww俺たちのモンだってww 愛されてるんだなぁ
リュウジ…。羨ましいよ…。一番適当に書いてるキャラクター
なんだけどな(笑) 感想(?)ありがとう^^
>>617 あー嬉しいですね。そういう細かい部分ちゃんと伝わってるな、と。
一応中学2年生の男の子だよ、という一種の軌道修正かな。たまに
しないと暴走するので。でもちょっとリュウジだけじゃなく全体に
精神年齢高いよね。。高校生にしとけばよかったって後悔がちょっと。
そしたらヒョウゴが先生でトモミタン生徒とかできたんだけどね。って
もう完全に俺書こうとしてるの学園モノだな…。オカルト入れ込める
ように頑張るです。感想ありがとう^^
>>619 そこなぁ。海外行ってる…。でも自衛隊とか米軍に顔利いてるみたい
だから、乗せていってもらってるんじゃないかと。銃器に関しては、
設定資料では、死体から奪う、戦地に落ちてるのを拾うとなっています(笑)
>>620 合いの手もたくさん…。ありがとです。『語り部』ってのになんかすごく納得
しました。素敵な肩書きをどうもです。
>>621 そうか!なんか嫌々読んでる人の姿ばかり想像してしまう…。マイナス
思考なんだなぁ…。2ちゃんのスレ嫌々読んでるってどんだけMなんだよって
話ですよね…。ほっとしました。ありがとう^^ あと好きってドキってした。
ときめきをありがとう(笑)
なんだこのもどかしさ・・・。
連ドラ10話目くらいで、いい感じだった主人公とヒロインがすれ違いしちゃった
のを見る位もどかしいなw
作者さんが書き下ろした連ドラとか見てみたい。絶対映像にしたらおもしろいよw
>>623 ありがとう^^ テレビの脚本かぁ。舞台脚本なら何本か
書いてるんだけどテレビとか映画のってどう書くんだろう…。
シーンとかカットがあるよね…。カット割りは監督さんが
するのかな?そういえば映像作品のシナリオってどこまで
書いてあるんだろう?
ちなみに舞台脚本は『ト書き』といって、台詞だけではなく
鳴らす効果音や場合によってはBGM、ある程度の役者の動きまで
台本に書いてあります。(演出家によっては平気で無視る(笑))
ドラマだと、単に渋谷だよって表現する為にハチ公周辺とかスクランブル
交差点を別にナレーションが入るわけでも何でもなくバッと映すじゃない
ですか。あれは脚本に書いてあるのかなぁ…。
テレビ番組の製作会社も全部落ちましたからね。就職活動の時。
機会があったら面白いの書いて見返してやりたいですね。本当に。
さて、ここらで怖い話でもするわけだが、その前に今回の作品は
実験作であることを伝えておかなくてはならない。
エロとオカルトの融合を目指し、一応オカルト板にあるスレッドと
いうことを意識しつつ、私こと、作者はいままで百三十余りの作品群を
残してきた。
しかし、ここにきて、いよいよネタ切れの感が否めなくなった。
私はごく普通に語られる怪談話が好きである。オカルトといえば真っ先に
幽霊、心霊といった言葉が頭に浮かぶ。しかしそういった話も書き尽した。
むしろ、そいった話を望むならば、他のスレッドに幾らでも秀逸な作品が
掲載されている。
その上で私は召還魔術や悪魔、UFO、宇宙人、UMA、妖怪、呪い、また
四次元世界のような摩訶不思議な話を色々と綴ってきた。
しかしながら、いずれも他に専門のスレッドがありそれらに投稿される
優秀な作品にかなうはずもなく、一種キャラクター頼りというか、少々
オカルトとは逸脱した物語が散見されるようになってしまったことは事実で
ある。
私の苦悩はこの二ヶ月ほど続いていた。そしてつい先ほど、私はあることを
思い立った。
つづく
それは、心霊写真や心霊ビデオと称されるものである。
もしくは、CDなどの音源にたまたま入り込んでしまった謎の音声
などもその範疇に入るかもしれない。
心霊写真を見たことはあるだろうか?
一枚の写真がある。一見何の変哲もない。何も告げられず見せられれば
ほうと思うしかないような写真である。
しかし、校舎の窓に、水の底に、木の幹に、何か異様なものが映りこんで
いる。
これは心霊写真だと提示され、見て色々と探してみるが何も見えず、
果たして、ほら、ここに…と説明されぞおとした覚えはないだろうか。
自分がさり気なく聞いていた音楽、何も考えずに見ていた映画、それらに
実はあり得ない声、あり得ないものが映りこんでいると説明され、改めて
見てみて恐怖を覚えたことはないだろうか。
それを小説で行うのである。
どういうことか。
つづく
はっきりと、ほら、ここに心霊がいました、ここが怖い部分です、
というのが書き示されないのである。
読みながら気付いてあっとなる人もあるだろうし、結局何事も
なく読み終えて、あれと思う人もあるだろう。
私は今回の作品にそんな仕掛けを施してみようと思うのだ。
推理小説のようなものだが、推理をする材料などというものは
ない。リアルに心霊を見た人がいたとしよう。その人には何か
前後情報が与えられただろうか。
心霊スポットに行って体験した、というなら話は別である。あそこで
こういう事件がかつてあって、それ以来こういったことが度々起こる。
その出来事を期待して出向く。
ところが、全くの偶然、日常で恐怖に遭遇してしまう体験談も多い。
何も知らず歩いていて、血まみれの女に追われる。充分恐ろしい。
しかし怪談にはそれに通常後日談などが加わる。実はそここ事故現場
だったとか、事件現場であったとか。
しかしながら、そんな情報が簡単に入手できるものだろうか。
つづく
不動産屋に聞いたらアパートは墓地のあとに建てられたものだった。
ありそうな話だが、不動産屋が話すだろうか。
また、体験した人は知りたいと思うだろうか。知りたいと思っても、
いちいちそれを近所の人や不動産屋に尋ねるだろうか。
前置きが長くなった。
よって私はこれを『推理怪談』と呼称しようとしたが、やめた。推理の
材料は全く与えられない。気付くか。気付かないか。これを心霊写真に
なぞらえて、『心霊小説』とする。
よって、今回は合いの手を御遠慮頂きたい。妙な点に気付いた、あ、
そこがおかしい、と思われた方は、自分は気付いた、ととりあえず
自己満足してくれれば幸いである。
また感想にも具体的に、あそこがおかしかったとか、それですよね、と
いった質問も記さないでほしい。
ただ上手く恐怖を感じたら、怖かった、いや気付いたが怖くなかったと
いうことはできれば教えていただきたい。前者ならば成功。後者ならば
この実験は失敗である。
つづく
休日を前に福岡ユウコはいつもの『枡や』に向かっていた。
クリスマスが近い。通りすがる店舗もそれなりの飾り付けが
してあり、町は華やいでいた。
都内にでも出たら賑やかなんだろうな。あとで単車かクルマを
飛ばして一走り行ってみようか。でもいい歳して一人で、ちょっと
寂しいかな。運転してくれる人でもいればいいけど。
息が白い。空に星はなく、天気予報ではホワイトクリスマスの
可能性も告げられていた。
自分よりも少し若いぐらいのカップルがもう酔っているのか変に
じゃれあって、遠く奇妙なシルエットに見えた。
前にする女性を、男が後ろから腰を抱いて背中に貼りつきながら
よたよたと歩いているものだから、一見足が四本ある恐ろしい妖怪
に見える。
馬鹿みたい、とちょっと厳しい視線を向けつつ、嫉妬を感じている
自分が嫌になる。
つづく
面食い、というわけではないがそれでも好みのタイプは
ある。『枡や』の隣の牛丼チェーン、松屋のカウンターに、
俳優の寺島進に似た、ややもすれば少々強面の男が
丼飯をかきこんでいる。
福岡ユウコ、元が暴走族(第五十五話 『彼岸峠』 参照)
だから、ということもないだろうが、その手の顔が好きだった。
凝視するわけでもなく、何となく歩きながら憧れの眼差しで
見ていると、彼は顔をしわだらけにして笑った。笑うと途端に
優しそうな顔になる。
何を笑っているのだろうと思えば彼に隠れて向こうの席に
連れの女性がいた。
別に声をかけようなどと思ったわけではないが、それでも
なんとなく気抜けした。
なに。クリスマス。何てことはないただの日だ。別にその日だけ
一日が三十時間あるとか、その日は夜中まで明るいとか、特別な
ことがあるわけでもなんでもない。十一月二十四日も、
十二月二十四日も同じだ。何にもない、ただの日だ。
寂しいと思うのは何かの錯覚ということにして、彼女は『枡や』の
暖簾をくぐった。
つづく
途端に蒸し暑い程の熱気に包まれる。旨そうな焼き物の香りが
充満している。
「らっしぇーい」
クリスマスの雰囲気はほとんどない。ただ、女性であることを
気遣ってか、カウンター端のマキさんの席
(第三十七話 『悔悟の神酒』 参照)にだけは、小さく、ぽつんと
クリスマスツリーの模型が置かれていた。
店長がやったのだろうが、案外かわいいところもあるんだなと
ユウコは微笑んだ。
そろそろ年末も押し迫って『枡や』はいつもより空いていた。
のべつ幕なし、人が入ってくるいつもの晩とは違う。水商売の女だ
ろうか。賑やかな一団がカウンターを占拠していた。
わいわいと店長相手にはしゃいでいる。しかし時間からすれば書き入
れ時で、一番忙しい時間だろうにどうして、水商売の女性たちが客とし
て『枡や』に来ているのかは不明だが、彼女たちも常連らしく、店長と親
しく話している。商売上の癖なのか、それとも店長をからかっているのか
ネコ撫で声で店長に甘えては、照れる店長を冷やかしていた。
店長も店が空いているので客の相手をする余裕があるのだろう。
つづく
テーブル席が空いていて、そこに案内される。混んできたら
相席になるかもしれないが、今夜はそういったこともなさそうだ。
いつもアルバイトでいる顔見知りの店員の女の子が、暇なのか
珍しく声を掛けてきた。
「クリスマスをお一人ですか?」
「意地悪だなー。一人で悪い?」
笑ってユウコは返す。
「あたしも一人でイブもバイトですよ」
冗談めかして、指を目の下に添えて、ほろほろと泣くような仕草を
して見せる。ユウコは適当に、今度合コンか何かあったら誘ってよ
などと軽口を叩きながら、焼酎のお湯わりを頼んだ。
何となくユウコは、奥座敷が気になる。(第四十九話 『現実態』 参照)
今日はあっちへ行くべきだったか。そんなことを思ううち、湯で割った
暖かい焼酎が運ばれてきて、ユウコは筑前煮と、サバの味噌煮、
そして白米を頼んだ。
福岡ユウコは『枡や』を、居酒屋というより、単なる定食屋として利用する
ことが多い。誰か知り合いでもいれば別だか、基本的には食事に来ている。
つづく
ただ、入るなり、先に飲み物の注文を訊ねられるので酒を
頼んでいるだけで、特にのんべえというわけではない。
ただ、寂しさもあって今日は飲む気満々だった。
筑前煮がやって来る頃には既に焼酎は半分なくなっていた。
カウンターの騒がしい連中は店長に何かせがんでいる。
何となく、ユウコはそちらに耳をやった。退屈しのぎである。
「ねぇねぇ店長やってやってー」
「へへ…参ったなこりゃ。こんな寒いのに…」
「中暖かいじゃーん。聞きたーい」
「じゃあ一つ、やりましょうか」
「やったー店長イケてる!」
「イケてる!」
何をするんだろうと思っていると店長は、突然怪談話を始めた。
しかも声がタレントの稲川淳二とそっくりである。
どうも店長の特技らしい。この店に通うようになってしばらく経つが
そんなことは知らなかった。
つづく
『枡や』は客層が広い。午後六時に開店し、閉店時間は
適当である。適当に客足が途絶えたら閉めているらしい。
だからユウコが知っているのはせいぜい開店直後から、
午後十時ぐらいまでの間である。
その後も下手をすれば明け方まで店は開いている。その間に
客層も変わるのだろう。仕事を終えたホストやホステスといった
水商売の客が訪れることもあるし、深夜のアルバイトを終えた
コンビニエンスストアの店員仲間、終電で帰ってきた者たちが
来ることもあるだろう。
そんな様々な客を相手にしているから店長は様々な情報を
持っているし、色々と客に合わせて対応も変えているようだ。
いつもの寡黙な店長とは違い、完全に客にかまわれている。
ちょうどいいやと福岡ユウコはラジオでも聞くかのように店長の
季節外れの怪談話を聞いていた。
彼女自身は肝が太いというか、怪談話を聞いて夜眠れなくなる
などといったことはない。むしろ聞いて楽しみタイプだ。
つづく
「ぴっちゃしっちゃぴっちゃしっちゃ…何だか音がする。
水滴が落ちるような音。
辺りは暗ぁい。だぁれもいない。あれ、なんだろなー。
ぴっちゃしっちゃぴっちゃしっちゃ。
あれ?違う。
違うんだ。
水なんて落ちてくるわきゃあないんだ。外、晴れてる。
月が見えてる。雨漏り、じゃあない。
ん〜?なんかいやぁな気分になってくる。
気持ち悪い。
しっちゃぴっちゃしっちゃぴっちゃ。
汗がスー。おぅわっ。なぁんだか寒い」
上手いもんだな、稲川淳二そんまんまだ。福岡ユウコは
感心していた。もう一杯お湯割りを頼んで、サバの味噌煮で
白米を食べる。実に美味い。店長の怪談話を聞きながら。
つづく
自然と店全体が店長の話術に聞き入っているようになって、
変に静かだった。
きゃぴきゃぴとしていた水商売風の女性たちも真剣に聞き入って
いる。
何本レパートリーがあるのか、それとも即興で適当に話しているのか、
店長は乗りに乗って誰かが止めるまで話し続けている。
「…ねぇ淳ちゃん。あれなんだったんだろう…って。彼。えぇ。言って
ましたよ…」
「やぁん怖い!何だったのー?」
「店長さんもう勘弁!」
「これは…私のね、ずいぶん古い友達なんだけどなぁ。名前、出すと、
怒られちゃうんで、仮に…Yさんとしときましょうか。彼、テレビ関係の…」
「もういいよぉ」
店長は止まらず、結局また一本丸々話し終えた。
「へへ…じゃあこのへんで…」
「すごい!怖かった!」
女性たちから拍手をもらい、店長は照れくさそうに笑った。
つづく
何となく聞き入りながら、ほとんど食べている意識もなく
食べ終えてしまったからだろうか、気付けば筑前煮も
サバの味噌煮も白米もなく、ただ焼酎のお湯割りだけが
三分の一ほど残っている。
しかし全く満足感がない。いつの間にか食べ終えてしまった。
何となく物足りない。
割りとグラマーな体型だが、理想的なプロポーションである。
しかし彼女は結構な大喰らいだった。しかし食べても食べても
太らないというわけではなく、食べれば食べた分だけ太る。
それが悩みの種だった。
しばらく考えていたが、結局野菜スティックとキンピラゴボウを
頼んでいる。更に四杯目のお湯割り。彼女にしてはだいぶ
飲んだ方である。
頬が熱く、身体がふわふわとする感じがある。味噌をもらい、
キュウリやニンジンといった野菜スティックに塗りつけてかじる。
そのうち彼女は机に突っ伏して居眠りを始めてしまった。
普段なら起こされるところだが、空いていたし、明日は休日という
ことでそのまま放っておかれた。
つづく
水商売の女性たちがかえると、いよいよ『枡や』は寂しくなった。
十時と十一時に、ユウコは揺り起こされたが、店の温度と酔いが
心地よく、一度は起きるのだがまた寝てしまう。
端から見ると憐れである。若い女が一人飲んだくれて寝ているのだ。
クリスマスを目前にして彼氏にふられでもしたかのように見える。
零時になって、いよいよ店長が彼女を起こす。これ以上遅くなるのは
物騒だ。
「二代目、起きて下さいよ!」
「…ん?あぁ?」
目が据わっている上に、目が完全に暴走紅天女のそれになっている。
見るものを恐怖に陥れる鋭い眼光だ。さすがの店長も一瞬ひるんだ。
「…あ…そか…飲んでたんだっけ…」
「もう十二時ですよ。帰らないと!」
「…十二時…十二時!」
つづく
確かに深夜十二時だった。四杯目のお湯割りと野菜スティック、
キンピラゴボウはほとんど手付かずに残っている。
その分の代金はいいから、帰ったほうがいいよと店長は言ったが、
彼女は急いでそれらを完食した。ただ酒だけは飲めなかった。
「ごめんなさい。残しちゃって…」
「いいからいいから。気をつけて帰っておくんなさいよ」
「うん。らいじょうぶ」
店を出るとたちまち冬の乾いた空気に体温を奪われた。
「寒…」
彼女はすこしふらついてはいたが、意識はしっかりしていた。自宅
マンションまで歩く。こんな時間に出歩いたことなど最近あった
だろうか。
いつもより暗く感じるのは、しまった店が多いからだろう。普段なら
開いている店がもうしまっている。
狭い割りに交通量の多い道。足元がふらつくので少し注意がいった。
赤い郵便配達のスーパーカブが、横すれすれに走り抜けていく。
よけてよろけたついでに、ブロック塀にもたれて、また睡魔が襲う。
つづく
待て待てさすがに外はだめだ。下手すれば死ぬ。
「…っと…」
ユウコは姿勢を戻すとまた歩き出した。
「彼氏…欲しいな…」
口の中で呟く。そろそろ一人暮らしが寂しい二十五歳である。
ぼちぼち大学時代の友人が婚約したとか、結婚したという話を
風の便りに聞く。
何とかマンションたどり着いて、おぼつかない手付きで鍵を
開ける。セキュリティがしっかりしている分色々と面倒だ。
一人、暗い部屋。何となく店長の稲川淳二の物真似怪談を
思い出し、怖くなって急いで電気を点けた。
あまり片付いているとはいえない寒い部屋。蛍光灯の青白い
光が尚更寒々しい。
コートとジャケットとタイトスカートを乱暴に脱ぎ捨てて、そのまま
ベッドに入り込んだ。
クリスマスプレゼントは寺島進の夢でいいやと思いながら彼女は
寝入った。
終
641 :
白米:2006/11/22(水) 22:00:44 ID:EJ8wtE+f0
乙!
新機軸だなw
怖くは無かったけど試みは面白い。いいアイデアだと思うよ。
どこにどういう心霊要素を持ってくるかで作品の質は変わると思う。
俺は怖くなかったが
>>628に在るように決して失敗だとは思わないな。
また思いついたら書いてみてね。
642 :
そぼろ御飯:2006/11/22(水) 22:14:43 ID:zY/tTi++O
寺島進と聞いて飛んできました!
読み終わって、感想としては…
「あれ?これっておかしいぞ」と思ったとこはあったんですけど
私が疑問に思った箇所が、何を意味するのかわからなかった(´;ω;`)
間違ってるのかなぁ…
でも、新しい試み面白いですよ!
いろいろ考えながら何回も読み直せるし(・∀・)
>>641 おぉ!これはこれは白米さま!ありがたいお言葉です。
そうですね。自分でも知って読み返しましたが怖くはない。
しかし余り怖くしようと思えば、どうしてもそこだけ密度が
変わってしまいバレてしまいそうですし、ちょっと練習が
いるようですね。また書いてみますんで、その際もよろしく
お願いします。ありがとう^^
>>642 これはこれは…そぼろ殿。こちらで名乗って頂けるとは…。
寺島進で釣れるかなと思えば見事な釣られっぷり。エサが
よかったですかな(笑) いや冗談です。すいません。
感想読んで更に進化系を思いつくことができました。折を見て
正解は発表しますので、それまでアレかなコレかなと色々
考えてみて下さい。ただ今回はそんなに曖昧な部分ではない
です。明らかにおかしい点があります。(…多分…でもそういう
こともあるのかなぁ…?あったら成立しないww)
早速の感想ありがとうでした^^
新しい試みですね!ドキドキしながら読んだけど・・・よくわからないw
これかなってとこはあったですけど、どうなのかな・・・もうちょっと考えてみよう。
正解が楽しみですwww
おっといけない。
>>587は俺です。ネタって書いたけど、リクのことです・・・スマソ。
リクは随時受け付け中なんですね!了解しましたー
っあー!わかったー!!ぜって違いねぇ!
なんか偶然1upキノコを見つけた気分だwww
647 :
白米:2006/11/23(木) 01:12:02 ID:NH8w5XlR0
>>643 >しかし余り怖くしようと思えば、どうしてもそこだけ密度が
>変わってしまいバレてしまいそうですし
あ〜なんとなく分かりますよ、それ。
心霊写真なんかで、例えばガラス面や木の間とか、
いかにもってところに3つ点があって「人の顔に見えるでしょ?」って言うより、
ぱっと見、全然どこに写っているのか分からないんだけど、
ちょっと見方を変えたり、離して全体を見渡すと浮かんでくるほうがゾクッとするとか。
さりげないところや、気づきにくいところに潜んでるほうが怖さは増しますね。
少しプロット考えてみましたが、コレはかなり難しいですね。思い浮かびませんw
逆に、巧く表現できたら新ジャンルとして開拓できそうですね。
ところで、わざわざ白米と記述している辺り、私が福岡先生に食われているのかと思いましたわw
>>644-646 はい。リクはいつでも歓迎します。もっともリクとネタの境界線が
曖昧ですけど、丸投げで私に任せてくれるようなのがリクです。
希望通りにならないかもしれないけど御了承下さい的な。
『天文部のその後の話を書いて下さい』とか、『最近サエとトオルが
余り一緒にいませんね。書かないんですか?』とかその程度で
リクと判断しています。
1upキノコwwwむしろ怖いっていうか、あったー!みたいな。怖くは
なさそうですね(笑) 楽しかったならそれはそれでいいかな。でも
少し研究して、ゾッとするようなのを書いてみたいですね。頑張るです。
感想サンクス^^
>>647 巧く表現したいなぁ。色々研究してみます。自分では知って書いてる
からなかなか難しいけど…。また投下してみて様子を見て…という
ことを何度かするかもしれんです。ってかするでしょう。手ごたえは
あったかな。
先日一番搾りさんを出したんで、白米さん、いっとこうかなと(笑)
コテハンさんは順番に食われます(笑) 他意はないですよ。読者
サービス?食われてるのにww
乙です〜。で、答えは何?
自分もあれ?ってトコは何箇所かあったんだけど
恐くなかったし、意味する物も分からなかった〜。
ただ、試みとしてはいいと思うよ!
松屋で丼飯かきこんでた、あの人に食べてもらえますように…(人∀・)
某コテより
さてここらで怖い話でもするか。
岡崎リョウコは、同じクラスの広島コイを伴って、都内に繰り出していた。
祝日の上、クリスマスを目前にして都内は賑わっていた。
つづく
広島コイは苗字の通り広島出身で、父親は大の広島カープファン。
名前のコイは、カープの『鯉』を明らかに表していた。
その為彼女は自身の名前がひどく嫌いで、インターネットなどを通じて
どうにか名前を変える方法はないものかと調べるほどであった。
なので、名で呼ばれることを嫌い、友人たちからは苗字の頭を取って
『ヒロ』と呼ばれている。
受験で忙しい時期だが、息抜きの意味合いも兼ねて、買い物に誘った
リョウコについてきてくれた。
「すごい人だね」
コイはごく普通に、デニムのパンツに、ダウンジャケットを羽織った活動的な
恰好をしていたが、岡崎リョウコは膝丈のスカートにレザーブーツ、ファーの
ついた毛皮風のコートとかなりゴージャスなファッションである。
実は岡崎リョウコ、美人ではあるが、ファッションについては疑問符がつくことが
多い。今日のファッションも何か、どことなく浮いている感じだが本人は気にして
いない。
待ち合わせた駅で会うなり、すごいかっこだねと言われたが、そう?の一言で
終わってしまった。コートは一見高そうだが安物らしく、ファーの毛が抜ける。
それが顔に絡むようで、リョウコはしょっちゅう頬の辺りを手ではたいていた。
つづく
「何してんの?」
「抜けるの。毛が。くすぐったくて
(ごめん途中で送信した…頭からいきます)
「何してんの?」
「抜けるの。毛が。くすぐったくて」
「あぁ…」
リョウコの目的は、ベトラへのプレゼントだった。十二月二十四日が
クリスマスだということはベトラも知っていて、地球に来ると言っていた。
その時に何かプレゼントしようと考えていた。
できればその勢いで再度改めて告白してみようかという魂胆もある。
そう考えるだけで、少し心拍数が上がる。
どんなものをあげたら喜ぶだろう。もちろんリョウコはベトラの住む家や
部屋を知らない。ユニーダでのファッションさえよく知らなかった。
ベトラが地球に来る際には地球人としておかしくない恰好をしてくる。
しかしそれが彼にとってどんな服装なのかは聞いたことがなかった。
素敵だと思って着ているのか、それとも変だと思いつつ仕方なく着ている
のか。
つづく
とりあえず、部屋に置いておけるものか、さり気なく身に
つけてもらえるような物が良かった。
指輪はサイズが分からないし、リョウコにとって指輪は
かなり特別なもので、まだ恋人と決まったわけでもない
彼にあげるべきものではない気がする。
ペンダントかチョーカーのようなものがいいかなと漠然と
考えていた。
「つき合わせちゃってごめんね。お昼おごるよ」
「えーそぉ?じゃあ何か適当に食べようか?」
彼女の遠慮のないところがリョウコは好きだった。気を使われるのは
嫌いだし、自分も気遣いが少し苦手である。
「何食べようか?」
「和食がいいな。ごはんもの」
てきぱきとしている。リョウコは相手に遠慮してそういった時に、何でもいいと
言いがちだ。その点コイは違う。きっぱりと主張する。その為よく学校では
男女問わず色々な人間と言い争いをするが、本人いわく喧嘩をしているわけ
ではないと言う。彼女自身がさっぱりしているせいか、確かにその割りに特に
嫌われているふうでもなかった。多少恐れを抱いている者はいるようだが。
つづく
コイはずんずんと先を歩いて、適当に見つけた『和定食 大木屋』
という看板を見て、ビルに入っていく。
店の雰囲気も知らずよく入っていけるものだとリョウコは感心した。
大人っぽく見えるとはいえまだ中学生の女子である。店の雰囲気に
よってはなかなか立ち入る勇気がない。例えばリョウコは松屋や
吉野家といった牛丼チェーンに一人で入れない。何となくあそこは
男性が行く場所という偏見ではないが、イメージがあり、何となく
入ることがはばかられる。
果たして、大木屋は入ってしまえば何と言うことはない清潔な定食屋
だった。女性客も多い。
気になったのは、店の窓辺の角に小さい人だかりができていること
だった。
テレビカメラのようなものが見える。
「何か撮影してるんだ」
「なんだろう?」
美味しいと評判で、そういったグルメ番組の取材か何かとも思ったが
どうも違うらしい。
つづく
「あ、あの人みたことあるよ。踊る大捜査線の人だ」
コイが言うがリョウコはテレビを余り見ないのでよく
分からない。コイも名前まで知らないようだったが、
強面の暴力団員風の役者である。何かのロケーションを
しているようだった。
店員が遠慮がちに、すいませんドラマの撮影をしている
んですがそれでもよろしければと告げた。コイとリョウコは
それを了解して、そろそろと店の奥へと入っていく。音を
立ててはいけない気がした。
どういうシーンなのか、暴力団員風の男が演技を始める。
「あぁ?仕事。バカヤロウ飯ぐらい喰わせろ!…わぁったよ。
行くよ。すぐ行くから。…うん。…あぁ。じゃあな」
まなじり吊り上げて携帯電話を乱暴に切ると、そこへ店員が
トレイに乗せた食事を持ってくる。
「そぼろ御飯お待たせ致しました」
「へへ…悪ぃね。サンキュサンキュ」
暴力団風の俳優は笑うと愛嬌がある。彼はどんぶりに入った
そぼろと御飯を軽く割り箸で嬉しそうに和えると、実に美味そうに
食べ始めた。
つづく
カットが入り、その場で監督らしい人物が映像を
チェックして、オーケーが出たらしい。
「寺島さんオッケーです」
「おぅ。これマジでウマいよ。箸止まんねぇ」
がつがつと食べる必要もないそぼろ御飯を寺島と
呼ばれた俳優はがっついている。
「ははは…全部食べちゃいますか?」
「食いモンはよ、残しちゃだめだなんだ。あー美味いな」
本当に美味そうにそぼろ御飯を食べている。ここで撮影する
シーンはされだけなのか、スタッフが色々と片付けをしている
間も彼はそぼろ御飯を食べ続けた。
結局、リョウコとコイもそぼろ御飯を頼んだ。
「ほいじゃ皆さん、どうも御迷惑おかけしました!」
妙に律儀なその俳優は店の客にそう挨拶して腰を折って店を
出て行った。
つづく
あー、いいなぁ、食べられてるぅww
キタキタキタ━━━━━━(゚∀゚≡゚∀゚)━━━━━━!!!!
私、食べられてるーー!
そぼろwww
確かにそぽろ御飯は美味しかった。その上安い。
量もかなりあったが二人は米一粒残さず食べて、
大木屋を後にした。
「ちょっと得したね」
ドラマのロケーションに出くわしたことである。二人とも
初めての経験だった。
「テラシマさんって言ってたね」
「そうそう寺島…ススムさんだったかな」
「怖そうだけどいい人だったね。普通あんな挨拶するのかな?」
「どうだろね」
他愛のない話。二人の会話は雑踏に解けていく。クリスマスソング。
サンタクロースの恰好をして店のビラを配る者。
いやでもクリスマスが近いことを見せ付けられる。
一緒に過ごす人がない人はやはり寂しいのだろうかと思いつつ、
リョウコはコイの横顔を見た。
つづく
彼女とはほとんど恋愛の話をしたことがない。
こざっぱりしているので恋愛などくだらないと断じられそうだった。
今回の目的も特に告げてはおらず、ただ息抜きに買い物でも、と
誘った。
コイはクリスマスソングにもサンタクロースにも心を奪われる
ふうでもなく、ただショーウインドウに飾られた服や物を見て、
興味があれば何か一言二言言ってくる。
やはり彼氏はいないのかな。気が強いけどやっぱり好きな人の前だと
違うんだろうか。
リョウコはそんなことを思いながら、友達といっても自分がコイの何を
知っているわけでもないことに気付く。
リョウコはコイと話を合わせつつ友達とはなんぞやと色々と考えていた。
木下サエ。草壁アヤ。広島コイ。雪野カエデ。友達と言って挙げれば
きりがないが、高校に行ったらどうなるのだろう。みんなばらばらだ。
特にアヤなどは遠い遠い世界。そうさっきの俳優さんがいたような世界に
行くんだ。カメラがあって、ライトが当たって。あの俳優さんと、アヤが
競演するようなことがあるかもしれない。
そうなってもメールしたら返事とかしてくれるのかな。
リョウコは少しさびしい気分になった。
つづく
「ね、ヒロ」
「んー?」
「高校行ったら離れちゃうね」
「うん。あたしはリョウコみたいに頭よくないから」
「どうなるんだろ?」
「え?」
「高校に行ったら高校で友達ができるよね」
「うん」
「そうなったら、クラスのみんなとか」
「あんま会ったりはしなくなるだろうねぇ」
こともなげに言う。リョウコはやはりそうか、そうだよなと、少し
気落ちした。しかし高校に入れば高校に入ったで、そちらの
新しい友達と楽しくやっている自分も想像できる。
そんなものなのかな。
つづく
自分の父や母。両親にも中学時代があったはずだ。
しかし、親の中学時代の友人が家にやって来たことはないし、
存在自体を知らない。
同窓会の案内が来たがどうしようなどという話は食卓でする
ことがあったが、特に嬉しそうというわけでもない。参加すると
いっても何となく義理というか、そのような感じで、行けば楽しんで
いるのかもしれないが、それきりだ。
自分もそうなってしまうのだろうか。
リョウコはそれはいやだなあと思った。両親は言った。友達は大事に
しなさい。友達はたくさん作りなさい。友達に嫌われないようにしなさい。
しかし当の親に友達の影が見えない。母は一緒に買い物などに行くと、
近所の人とさも仲がよさそうに話している。
しかし家に帰ってくれば、その人を余り快く思っていないような素振りを
見せる。
どこの旦那さんがリストラにあったとか、どこの奥さんは不倫してるとか。
話といえばそんなことばかりで、褒める時は父親をたきつける時ぐらいだ。
誰々さんの家は毎年海外に旅行に行く、誰々さんは家を改築するらしい。
気分良く褒めているとか憧れているわけではない。何か陰湿な感情を
感じる。そんな話をすると決まって父も嫌な顔をするのだ。
つづく
「ねぇリョウコ、聞いてる?」
我に返る。そうだそうだ。ベトラのプレゼントだっけ。
クリスマスなんだから変なことばかり考えちゃだめだ。
「え?なんだっけ?」
「やっぱ聞いてねーのかよ!」
「ごめごめ…ちょっと考え事してて…」
「ほらあのお店。可愛くない?」
「あー」
何か変わった雑貨屋がある。『ラムタラ』とあり、アクセサリーやら
天然石を扱っているようだ。細長い雑居ビルの一階にぽつんとある。
両隣を派手なショーウィンドウに挟まれて、申し訳なさそうにぽつんと
あって、皆から全く無視されているような店だった。
「へー。アメジストって持ってるといいんだって」
「うん。アメジストは割りと万能のお守りって感じ。昔っからパワー
ストーンとしてはメジャーだったみたい」
つづく
「あぁ、リョウコってオカルト部作ったんだっけ?」
「同好会ね」
「こういうの詳しいの?」
「石はちょっと専門外かな…」
「へー…色々あるんだぁ…」
色々と自分の意見を主張する割り、コイは人を尊重もする。
だから人の趣味や行動をあからさまに否定し馬鹿にするような
こともなかった。嫌われない秘訣はその辺りにあるのかもしれない。
「アメジストは枕の下に置いて寝るといい夢が見れたりするって」
「へー…」
「で、あたしも持ってて。実際やったんだけどさ」
「どうだった?」
「寝てる間に枕がずれたみたいで、寝返り打った時に思い切りアメジストに
おでこぶつけちゃって起きちゃった」
「だめじゃん」
二人は笑いながら、店の外にちょこんと出ている天然石コーナーに見入って
いた。
つづく
「あ、これこれ。あるよ」
石売り場の横にクリアファイルに入った石の説明書きが
あった。どの石はどんな効力を持つかが書かれている。
「魔術グッズのお店なのかなぁ?」
何となく、入りにくい雰囲気があり、リョウコは言った。入りにくいが
オカルト好きとしては気になる。
「入ってみようよ」
頼り甲斐があるというか傍若無人というか、コイは何の遠慮もなく
店に入っていく。
狭い店だが、護符やパワーストーンを加工したアクセサリー、魔術用の
短剣、タロットカード、水晶玉などが所狭しと展示されている。
「すげ…」
髑髏をかたどったキャンドルなどもある。悪趣味といえば悪趣味だ。
リョウコは西洋魔術の知識が多少ある。タリズマンを模したペンダント
などにも意味が分かるものが幾つかあった。
つづく
オカルティック!そういう店、思わず入ってみたくなる!
一応、店の人が書いたのだろう簡単な説明書きがある。
と、リョウコは気になった。
真っ先にコイが手にしたペンダント。そこには『浮気防止』と
説明がされている。人気商品らしい。
浮気防止。浮気ということはコイには彼氏がいるのか。
「浮気防止だって」
それとなくリョウコは言った。コイはそれでもペンダントに
見入っている。
「うん。彼氏にあげようかな?」
もう話したつもりで言っているのだろうか。しかしリョウコはコイの
口から一度も彼氏の存在を聞いたことがない。口が滑ったのか。
それとも別に内緒にするつもりもないのか。
「え、ヒロ、彼氏いるの?」
はと我に返る様に彼女はペンダントを元の場所に戻した。まさに
我に返ったという感じだった。
「え、あ、いやいや。うん。はは…。できたらいいなとか」
あのペンダントに見入っている時のコイの目が気になった。魅入られた、
という印象。
つづく
そのペンダントは太陽のような形をしていて、左半分の顔は
笑顔で右半分の顔が泣いている奇妙なデザインだった。
「それ人気なんですよ」
真っ黒い髪を腰まで伸ばした若い不健康そうな店員が声を
かけてきた。
「彼氏いるの?浮気防止なの」
「あ…そうなんですか。いや、今はいないんで」
「そう。こっちのは恋人ができるよ。ほら、デザインもいいでしょう?」
主に店員はリョウコに話しかけてくる。その間もコイは何かに
憑かれたように店内を行ったり来たりしている。
意外とそういうものに敏感な体質なのか。そういうのもあるのかも
しれない。リョウコは胸が騒いだのでその直感に従うことにした。
「行こう」
半ば無理矢理コイを連れ出す。店を一歩出てしまえばいつもの彼女
だった。
つづく
「大丈夫?」
「何が?」
けろりとしている。気になってリョウコは訊ねた。
「もう一回さっきのお店戻ってみようか?」
もし彼女が仮にいるとする妙なこの世のものではない何かに
憑かれたか魅入られたかすれば、戻りたがるような気がした。
しかし彼女の応えは
「何で?もう全部見たじゃん」
だった。リョウコは安心した。悪魔や魔術に関しては、信じざるを
得ない体験をしている。(第三十六話 『紅蓮栄華』 参照)
二人は買い物を続けた。
つづく
結局、暗くなってきたがめぼしいものはなく、リョウコはベトラに
少しずつ編んでいたマフラーをあげることにした。
なんとなくいきなり手作りの物では相手が引いてしまうような気が
して、編みはしたもののあげるのはやめようと思っていた。第一から
こちらは冬だがユニーダの気温が分からない。
進んだ星だから年がら年中快適そうだ。防寒具など必要ないかも
しれない。
しかし色々と見るうち、やはり自分の気持ちの入ったものをあげたく
なってきた。
つづく
帰り道、都心のスクランブル交差点。隣の若いOL風の女性が携帯電話で
何やら話しているのをリョウコは何となく聞いていた。
「え?合コン?いきなり?十一時ぐらいからだったらいいよ。遅くなるけど」
見れば彼女の胸元に太陽のデザインのペンダントがあった。左半分の顔は
笑顔で右半分の顔が泣いている。
「…うん。いいのいいの。どうせ遅くまでいないから。適当に追い返すからさ。
プレゼントだけもらって。あはは……わかった行く行く」
そんな話をしながら、その女性は何を思ったか当たり前のように歩き出した。
信号はまだ赤だ。彼女は巨大な車輪に踏み潰されて恐らく死んだ。
目撃した者達は騒然とするが、その声は都会の雑踏に消える。
浮気は、防止された。
終
い、未だ興奮冷めやらず…(´Д`;)ハァハァ
ワガママ聞いてくれてありがとうございました!
今日というこの日は忘れません・゚・(ノД`)・゚・。
今回の話し、怖っ!オカルトですね〜((((;゚Д゚))))
しかも広島コイってw
676 :
本当にあった怖い名無し:2006/11/23(木) 22:51:54 ID:0WQ+B7KeO
広島コイwww
広島出身としては名前が出た途端ツッコミ入れさせていただきました。
それにしてもそぼろさんウラヤマシス…
アゲちった…
‖_;)。о〇(ゴメンナサイ)
>>675 やっぱ変か…>広島コイ 何当てはめてもしっくりいかなくて
悩んでたら本人がコイでいいって言うから…。(笑)
なんか最後恐ろしい話にしてしまって申し訳なかったです…。
合コンに行けなくなるぐらいの怪我でよかったんだなぁ…。
合いの手感想ありがとう。ちなみにオカルトなお店のイメージは
池袋サンシャイン通りにあるお店です。本当ちっこいけどその
まんまそんな感じのお店があるですよ。占いもやってくれます。
あと入りにくいけど渋谷のトライアングル?だっけ。あそこもいい。
ただ本当に入りにくい…。ビームスの向かいだったかな…。
>>676 コテハンさんはどんどん食べられます(笑) そろそろ最下層だった
のでage時だったと思うです。俺も今夜遅くになったらageようと
思ってたので。やっぱ広島コイ変かぁ…。
だって本人が面白いからそれでって言ったんだよ確かに!俺
悪くないよー悪くないからねー(笑)
ででーんと正解発表〜。
>>625-640 の実験作の答え(?)でーす。←なぜかテンション↑↑
実は二つ、あったんですよ。えぇ。一つ目は
>>639 ですね。郵便配達の赤いスーパーカブ。いるわきゃあないんだ。
深夜12時過ぎですよ。そんな時間に配達なんて…ねぇ。普通、
しないですよ。公務員ですよ?
何かぁ、そこで事故で亡くなったか、そんな郵便配達の方が、
いらっしゃったのかも、しれない。この話聞くとねぇ。なんか寂しい
ような、妙〜な気分になるんですよ…。
ところがね、違う。違うんだよ。そこだけじゃあないんだ…。
>>631 ゆ〜っくり、行の一文字目を見ていくとね。全部ってわけじゃない。
途中。奇怪な、何か、メッセージが浮かび上がってくる。そんな気が
するんですよ。えぇ…。
ageフォローありがとデスー(/Д`)
実はチョコワなんです…
リョウコが出てきてキタ━━(●∀●)━━!!かと思えば洋服センス微妙だし、、
コイちゃん…かわいいといえば…かわいい?
私は海上自衛官で海好きのダディに『ナミ』と命名されそうになりましたよ。
『奈美』とか『那美』ならまだキレイだけど…
『波』、、
リョウコで良かった(;_;)
アリガトゥ、ママン…
681 :
白米:2006/11/23(木) 23:29:34 ID:NH8w5XlR0
>>679 おお、郵便配達気づかなかったwww
言われてみればそうですよね。
立てヨミの方が改行が変だったので、そっちだとばかり思っていたのですが、
その後にもあったのですね。
唐突に立て読みが出てきたので怖くないと書いたのですが、
なるほど、郵便屋さんの霊か。福岡先生を轢こうとしたのかな?
私が気付いたのは郵便配達です。縦読み気付かなかったー!
途熱そが充らクはだを気タ席だつク模。
店うととユそ迫つ。
の入晩のろ団拠わにしばれ時てちてる彼くし売れっネ甘長。
店るるう。
…どなたか心優しい方。
携帯の私にこの暗号の意味を!!
避難所で教えてください、、m(TT)m
私がバカなだけ?
>>680 リョウコは私の中で完璧になりすぎて、何か欠点欠点と
探した末に、ちょっと服が微妙という。微妙というか似合ってる
んだけどね。やや場違い。ただ美人だからそれなりハマる。
ハマってて誰も突っ込まないからそのまんまみたいな(笑)
ちょっと中3にしてはゴージャス系なんですね。それは彼女の
大人びて見えるコンプレックスの現われでもあります。
同世代の子と同じ服を着ても似合わない。自分の顔に合うように
大人っぽくしなくちゃと思った結果、ゴージャスになってしまったと
いう。
でもそれはそれで俺的には萌えポインツで欠点にするつもりが
欠点にならなかった…リョウコ…ハァハァ…一人パリコレみたいな
中3…で見た目大学生…ちょっといいかも…。だいぶいい…。
携帯から長文サンクス。たまには顔出してね。心配だから。
誰かに食わすけど。チョコワ(笑)
>>681 悪意はないです。ただ先生の方が酔っ払ってフラフラしてた
だけで誠実な配達のおじちゃんです。次回の『天国!地獄!
大反省会』に出るかも(笑) 実は白米さまを一番警戒してました(笑)
結果二つ仕掛けるというちょっと反則を…。だって鋭いんだもん。
フェアじゃなかったかな。すまんでした。謝ることでもないけどww
>>682 二つ仕掛けといたのは正解だったな…しめしめ(笑)
今度進化系をお見せしますのでまたその時も感想
お願いするです^^
>>683 怖ぇ!荒らしかと思った…怖いよ…
今から解読してみるけど…あーびっくりした…
はじめ普通に読もうと思ったよ…自分が日本語
読めなくなったかと思って頭くらっとした…。。
>>683 携帯で縦読みしたらこうなったの…
でもある意味今日一番のオカルト?
本スレ、避難所毎日覗いてるよー
昨日唯一覗くスレ発言はチョコワでした(^-^)ノ~~
さて、も一回謎解きがんばってみますね。
>>683 私は普通に見れるけど…
びっくりした。自分の携帯ぶっ壊れたかと思ったw
>>684 あぁん、作者さんの思う壷じゃんw
次は進化系か…また作者さんの術中にはまるんだろうなぁw
ちょwチョコワさん、全部縦読みしちゃダメ。
一部よ、一部!携帯だから縦読みしづらいけど、改行してあるところをうまく見分けるべし!
689 :
白米:2006/11/24(金) 00:09:03 ID:sISXH+lt0
>>684 縦読みする癖がつきそうだwww
確かに謝る必要ないですよw
例えば、
>待て待てさすがに外はだめだ。下手すれば死ぬ。
「ちっ」
何か舌打ちするような声が聞こえた。
すれ違いざまに覗き込んでいった酔っ払いの中年だろうか?
「介抱する振りして寝込みでも襲うつもりだったのかしら…」
>「…っと…」
ってな感じだと、ほんとに中年のつぶやきだったかもしれないし、
郵便のおじさん撥ねようとした→福岡先生無意識によろけて助かった
みたいな、さとるの化け物と「死ねばよかったのに」のお話みたいになりませんか?
なんてねwww
しくじった!!なんてこった…!!
携帯から見てる読者さんのことを全く忘れていた…
すまん…これは元も子もないぞ…そうか…そういうことか…。
無念…無念だ…。これは深刻に謝罪しなければならない。
申し訳ありませんでした…。
クリスマス
気遣ってか、
(第三十七話
クリスマス
店長がやっ
ユウコは微
そろそろ年
のべつ幕な
ろうか。賑や
わいわいと
れ時で、一
て『枡や』に
しく話してい
ネコ撫で声
店長も店が
とりあえず頭らへんでぶった切った。こうすれば読めるの?
どう見えてるんだ…俺携帯でネットせんから…。
>>688 なるほど、それかw
ステキなボケですね、これはwww
>>689 いや縦読みは自重します。携帯から読んでる人の
ことを完全に頭から抜いてました…。いかんいかん。
おじさんテラコワス…((((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
ってか『さとるの化け物』ってなんじゃらほいと思って
やふったら頭にPDFがヒット。クリックしたら何故か
やふーのトップページに飛ばされる。仕方ないから
htmlで読んだらなんか文字位置微妙でテラコワス!
大体なんでやふートップに飛ぶんだ…。。
怖いよ…怖いよぉ…
>>688 (´・ω・`)にゃふ〜ん…
>>690 (`・ω・´)ハッ
怖いです!
断る!!
(ノд<)ゥェーン
695 :
チョコワ:2006/11/24(金) 00:45:06 ID:59B1wCV/O
いやはや…
作者さん!
>>613で縦読み出来たよぅ(/□T)
>>688タン ラブーεεε
だから縦読み自重しないでー
本スレでご迷惑おかけいたしました。
皆さまゴメンナサイ…
696 :
チョコワ:2006/11/24(金) 00:48:50 ID:59B1wCV/O
縦読みか!!郵便配達しかわからなかった!
でもまとめサイト行く時の都合もあるし、やっぱり縦読みは
違うよ。自重というか単に間違ってるから、やめる。
求めているのはそういうのじゃない。
もっと、本当に心霊写真見て何だか分からなくて…そうそう、
ほら、普通に見たら何か変だけどなんかよく分かんない。
じゃあ横にして見て下さい、みたいな。拡大して見たらとか、
逆に写真いっぱいに目玉がぼんやり映ってて何だか
分からず言われてゾクー!ってあるでしょ。あれ。あの感じ。
あれを文章で表現したい。できる気がする…んだけどな…。
あともう一つ。映画だと、単にデカい音とか、突然バーンと
大きく映って、怖いというか、ただ『驚かす』ってあるでしょ?
あれも文章でできないかなと。音も映像もないメディアで、
『驚かす』ことができるのかどうか試してみたい。
少なくとも、チョコワさんの謎の書き込みで俺は一瞬『驚いた』
その時可能性を見た。
何かに手が届きそうだ。チョコワさんありがとう。あと素直に
『怖くはなかった』と感想をくれた人たちにもありがとう。
さてここらで楽しい話でもするか。
クリスマス会in霧原家。十二月二十四日である。基本的に、二十四日は
クリスマス前夜に過ぎないのだが、二十五日より遥かに盛り上がる。
つづく
クリスマスパーチーキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
むしろ二十五日にクリスマスだと盛り上がっている人がいたら
何かおかしい人に思われるのではないだろうか。
日曜日である。翌二十五日、軽子沢中学校は終業式があるだけで、
そのあとはもう冬休みに入る。
当初は霧原トオルと木下サエが二人きりで迎えるはずだったのだが、
あろうことか木下サエが岡崎リョウコと草壁アヤ、雪野カエデを誘い
旧オカルト同好会メンバーを集めてしまった。
それならば顧問も呼ぶべきだと山形ユウジロウに声をかけると彼も
来るという。その際、彼に声をかけた草壁アヤが冗談で
「女性同伴ですよ」
と言ったのがきっかけで、ユウジロウは福岡ユウコを誘った。それを
聞いて黙っていなかったのが妹アカネである。兄に同伴する女性と
いえば自分しかいないだろう無理矢理家庭教師をしている木下サエに
直接電話して参加表明。
更に雪野カエデがじゃあ新生オカルト同好会も誘うべきだろうと考え
サヨリ、須藤アリサ両名を誘い、どうせ福岡ユウコ、即ち預言者
ダマクルス(第百一夜参照)が来るのであれば、軽子沢警備隊を
揃えるべきだろうと新聞委員会に話を持ちかけた。
つづく
パーチー!!
新聞委員会はむしろ渋ると思われたが、問題は須藤アリサの
存在である。彼女は命を狙われている。
クリスマスまでに的場リュウジが告白しなければ志賀マサトに
殺されるのだ(第百三十四話 参照)冗談かと思えば本気らしい。
その為マサトがリュウジをたきつけて長野シュウイチも含めて参加。
一人困った者がいる。岡崎リョウコだ。今日はベトラと過ごすつもり
だったが、みんな集まるのであれば仕方ないし、ベトラにもクリスマスの
雰囲気を味あわせてやろうと、ベトラを連れて行くことに。
更に当日になって、的場リュウジが出かけるタイミングと、クリスマス
デートに向かう母ツネコ、鬼塚ケンシロウが合ってしまい、迎えに来た
ユウジロウ、アカネと出くわして、何故かそのまま連れてきてしまった。
人数はそれだけに留まらない、実は岩倉ヒョウゴを誘拐しまたも肉まん形に
して頭に乗せていたサヨリをヒョウゴを探していた妻トモミが発見。尾行して
きた。
どうも、サヨリにとって頭にヒョウゴを乗せるのはファッションらしい。彼女は
白い着物を着てきた。完全に頭に肉まんを乗せた雪女である。
肉まんといっても直径三十センチ以上はある。
しかもそこまで人数が膨れ上がっていることを、当の主催者であり会場提供者
霧原トオルは全く知らなかったのである。彼はぎりぎりまで木下サエと二人きりに
なれるものとばかり思っていた。
つづく
(間違った…ツネコはユウジロウのママンだ…リュウジのママ…誰だっけ…
ケイコだケイコ。ごめん)
肉まんヒョウゴ萌え(´Д`;)
ところが来るわ来るわ総勢十七名。更にベトラはユタカまで
連れてきた。
ベトラにとってユタカは御主人さまである。(第百二十五夜 参照)
御主人様を抜きに一人で楽しむことなどできない。
相変わらず『おべんじょ』と呼んでいるがユタカを連れてきた。
十七名に一匹。ただユタカは外だ。多分もう今回は出てこない。
『な…何の為に…』
十七回のお邪魔しますを聞いてトオルはあきれ返った。そもそも
よく知らない人までいる。
それはみんな謎だった。背の低い若い女性だが一体誰か。
「岩倉トモミです。ヒョウゴの妻です…」
「え━━(゚Д゚;)━━━!!!!!」
何という若さ。まだほとんど子供である。サヨリは観念して肉まんを
返却した。もちろんトモミはヒョウゴさえ返してくれれば帰るつもり
だったが、せっかくだからとユウジロウに誘われそのまま残った。
つづく
とりあえず肉まんヒョウゴは喋れない。
霧原家の洗面台を借りて、とりあえずクリスマスなので
雪だるま形になった。手足がないのでぼいんぼいん跳ねている。
「あの…失礼ですけど…お幾つなんですか?」
気になってユウコが聞いた。トモミはまだ十七歳だと言う。アカネと
ユウコはショックだったらしい。二人とも結婚願望がないわけでは
なく、ユウコは彼氏がいないことに、アカネは好きな人が兄なことに
悩みを抱いていた。二人は広い居間の隅で座り込んでいる。
しかも聞けば、岩倉トモミは現役高校生でその上、岡崎リョウコの
志望校に通っているらしい。
「えー!じゃあ先輩かもですね!」
「そうだねー」
霧原トオルはとりあえず忙しいから無理だというピザ屋にどれだけ時間が
かかっていいらと二十人前の注文を出している。何せ人ばかりで食べる物も
飲むものもない。
一応差し入れらしいものはあったが、物量が圧倒的に足りない。
つづく
志賀マサトはデトニクスの弾倉を確認している。十二時ジャストに
須藤アリサを本気で殺すつもりらしい。
「…分かってんだろうな…リュウジ…」
「…」
「とりあえず、須藤アリサに現在決まった恋人はいません…」
いつの間にかシュウイチも計画に加わったようだ。
「おい、誰が仕切るんだよ」
ユウジロウが言い出した。
単に十八人の人間が一つの部屋に集まって勝手放題している
だけで、パーティとはとてもではないがいえない状況だ。
独身女二人は部屋の隅で窓の外を見ながらぶつぶつと何かを
言っているし、新聞委員会は銃を片手に何か物騒な話し合いを
しているし、ベトラはヒョウゴ(雪だるま)を蹴ったり殴ったりしていて
それをトモミが必死で止めているし、ケンシロウとケイコは何で
来てしまったのか分からず二人で戸惑っている。
しかも会場提供者のトオルがいない。余りに騒がしいので別室で
ピザ屋と交渉している。
滅茶苦茶である。正直作者も困っている。やはり全員集めたのは
無謀以外の何者でもない。シリーズ始まって以来の、『仕切りなおし』を
考え始めていた。
つづく
「とりあえず校長仕切って下さい」
「よ…よし、みんな、プレゼント交換会だ」
しかしプレゼントを持ってきた者などいない。リョウコは
持っているがあげる相手が決まっている。
これはいよいよやばい。
さすがに十八人を台詞だけで切り回せる自信が作者には
なかった。
とりあえずやるだけやってみよう。
「ベトラ、それ蹴っちゃだめ。それ、先生」
「これ人間?全然形違うね?」
「人間じゃないんです…ゴーレム…」
「え!やっぱり岩倉先生って人間じゃなかったの…」
「今まで何だと思ってたんだよ…」
「なんか…変身する人…」
「ゴーレムって何ですか?」
つづく
「えー…と…」
「岩倉君、やはり人間じゃないというのは教師としてマズいよ」
「えーお仕事できなくなっちゃうんですか!?」
「戸籍上は人間です。教員免許も持っています」
「これ何?何これ?」
「だから蹴っちゃダメ!」
「…雪、降りそうですね…」
「振るかな…」
「降ったらいいな…」
「雪、好き?」
「はい…」
「きれいよね…」
「結婚したいな…」
「したいね…」
つづく
なにこの混沌とした世界はwwwwwww
「…あなた…何者?」
「あぁ、紹介しないとね。ベトラ。宇宙人なんだ」
「…宇宙人…」
「信じられないかもしれないけど…」
「信じるわ…視野が人間と全然違うもの…面白いわね」
「よし!アタックチャンス!」
「どこがだよ!やだからな。みんながいる前でなんて…」
「連れ出せよ」
「…方法がない」
「スタングレネードは?」
「持ってない」
「持っとけよ間抜け野郎」
「…口に気をつけな」
「ちょ…」
「何それ?おもちゃ?」
つづく
リュウジ!がんがれ!!
アタックチャアアァァァンス!
‖;_;)ユウコ…アカネ…
「おい!ばか!」
パアアアン!
「ぐあああぁぁぁぁ!」
「誰が撃たれた!衛生兵を呼べ!えーせーへー!!」
「痛いよ痛いよー!」
「何これ…本物なの!?」
「だから触るなと言っただろう!」
「ちょっと待て!撃ったの誰だ!?」
ここでクイズです。撃ったのは誰で、撃たれたのは誰でしょう。
「待て待ておかしいぞ。撃ったのは女だ。口調からして。しかし須藤は
俺が本物の銃を持っているのは知っているし…大体の人間が知って
るんじゃないか?」
「ってか撃たれた奴の方が問題だろ!」
「お前は誰だ?」
「お前こそ誰だ?」
「えー皆さん、私、鬼塚ケンシロウはこの度的場リュウジ君のお母さん、
ケイコさんと結婚することに相成りました」
つづく
「だから人が撃たれて…」
「誰が撃たれたの?」
「痛い痛い言ってた奴だよ」
「そんな奴などいない」
「いいや撃たれたの作者」
「一番撃たれちゃマズいんじゃないの?」
「おーこれ強く揉んだら形変わるよー」
「あーん可愛くなくなったー」
「あの、結婚…」
「先生岩倉先生の形が変です」
「いいの…あたしはどうせ負け犬…」
「ちょ…」
「これはかなり作品として問題があるな」
「とりあえずまとめたいです」
つづく
「ちょっと待て人数が増えてる気がするぞ!」
「あ!それいい!オカルトじゃん!」
「あ?」
「ほら、気付いたら一人増えてるでも誰が増えたか分からない…」
「私です」
「店長かよ!」
「…ねぇ、淳ちゃん、そんなこともあるのかなって…彼、言ってましたよ…」
「いいから帰れ」
「だってなんかスペシャルっぽい雰囲気だし」
「ホーク有吉とか死人までいるのかよ!」
「おぅ有吉。どうだ天国は?」
「ユウジロウ!」
「で、誰か撃たれた件はどうなった?」
「ってかほとんど荒れてる雑談スレッドみたいになってますが」
「むしろ実況板」
つづく
結婚話しをスルーされる校長バロスwww
というか人数増えすぎて収拾がwwwwwww
「電算機同好会とか出てけ」
「よし。ここまでだ」
とりあえずおとなしくなった。店長や有吉は帰った。クリスマスの
賑やかな雰囲気は堪能して頂けたと思う。
撃たれたのは多分おでん屋だ。
とりあえず今の混乱の中でお互いの自己紹介などは済んで
しまった。
料理も届いて、やっとそれらしくなってきた。
とりあえず、鬼塚校長と、的場ケイコが正式に結婚し、近々結婚式も
開かれることが発表された。
しかしその辺りは教師の間では知れ渡っていることだった。
校内事情に詳しい長野シュウイチも当然知っているが記事には
しなかった。
「おめでとうございます」
「これでとりあえず生徒を虐殺することはないかな、とか言っちゃって!」
洒落になっていない。岡崎リョウコは吐き気を催した。
(第九十九話 『死んだ男の残したものは』 参照)
つづく
とか言っちゃって!www
「預言者ダマクルス!」
福岡ユウコ=預言者ダマクルス=暴走紅天女のハイキック炸裂。
鬼塚ケンシロウ失神。
「ケンシロウさん!」
「何が結婚ら…バーロー。いい歳コキやがって。マスでもコイてろ」
酔った上に怒った福岡ユウコは凄まじい。さすが関東一円に名を
轟かせていただけのことはある。(第五十五話 『彼岸峠』 参照)
「…なるほど…そうやって登場人物を少しずつ削って行くつもりか…」
「…」
「…」
「…」
喋れ。
「…だって失神とかやだし…」
「そもそもネタらしいネタ今日ないんだよね…あたしたちが馬鹿騒ぎ
するってだけの話で…」
「後先考えない馬鹿作者」
つづく
こうしているうちに
こんなになって
にんげんは
おろかで
ばかな
けだものに
がおー!
いい感じで
マッチョな
すどうアリサ。
「…無理矢理心霊小説に…」
「バレバレの縦読み…」
「あたしマッチョじゃないし!」
騒いでいるすき、岡崎リョウコはベトラの腕をつついて、手で
こっちに来てと合図をした。
「…なに?」
何も疑わず、ベトラはついてくる。そっと今を出て、冷たく長い
廊下。
彼女は自分が巻いていたマフラーをベトラにかけた。
つづく
携帯部隊にも優しい縦読み乙!ww
「プレゼントって分かる?」
「知ってる。誕生日とか、クリスマスとか、お父さんが
こどもにあげる」
リョウコは首をゆっくり横に振った。
「それもあるけど、大事な人にあげるの」
「大事…大切…」
「うん。それ、あたしが編んだの」
「あんだ…ヒット?野球?」
「あは…違くて…えと…作った。あたしが作ったの」
「…手作り?」
「そう。プレゼント…。メリークリスマス…へへ…」
しばらくベトラは考えていた。その様子が何か困っているようで、
その間リョウコは不安でたまらなかった。気に食わなかったの
かな…。
「リョウコは、僕のことが大事なの?」
リョウコは笑って言った。
「うん…すごく。大切…」
つづく
>あんだ…ヒット?野球?
難しい単語知ってるな、おいwww
「ああ、僕勉強したよ。こないだ、リョウコ、好きって
言ってくれたでしょう?分かったんだ。リョウコいないと
寂しい。さよならした後すぐに会いたくなる。変な気持ち」
「…うん?」
「僕の星は、決まった奥さんとかいないよ。でも僕は
リョウコを奥さんにしたい」
リョウコは額をベトラの胸に押し当てて泣いた。したしたと
木の廊下に雫が落ちた。
「…あ、ごめん。また僕勘違い…変なこと言った…」
「…ううん。いいの。嬉しくて…」
「泣いてるよ」
「…泣いていいことも…ある…の…」
「そう…」
何となくベトラはリョウコの肩を抱いて、頭を撫でてやった。
視線の外で赤い瞳がその様子を見ていた。
…くだらないわね。でも、くだらないから、素敵だわ。
そっと居間に戻るとサヨリはアポロを割って食べた。少し、
寂しかった。
つづく
アポロさん食われたw
ちゃんと割ってるし!ww
「?…サヨリさん、どうしたの?」
「…なにが?」
「ん…何となく、いつもと違うかなって」
すうとサヨリは消えた。何となくカエデにはサヨリが
消えた理由が分かった気がした。彼女の感情を初めて
悟れた気がする。
「…照れてるんですか?」
横を見るとサヨリが驚いたような目でこちらを見ている。
「あたり?」
「…センスあるわね…」
誉められた気がしてカエデは気分がよかった。サヨリは
少し嬉しそうに笑って、さっき割ったアポロの下の部分を
カエデに渡した。
「呪った相手の誕生日を祝福するのもしゃくだけど…。
メリークリスマス」
そう言ったきり、サヨリは姿を現さなかった。カエデはどうせ
なら上の方がよかったなと思いつつ、アポロを食べた。
つづく
「なぁ、アカネ、知らないか?」
ユウジロウはトオルに訊ねた。
「ああ、飲みに行ったよ。二人で。ついさっき」
「二人!誰と!」
「男じゃないよ…福岡先生と」
「なに!?」
どうやらあのまますっかり意気投合して出て行って
しまったらしい。確かに二人はかなり年齢が近い。
確かに二人して男なんかいらないだの、一生独身で通すだの
何やら酒瓶片手に盛り上がっていた。
「あのばか…」
その頃、山形アカネと福岡ユウコは二人駅前にいた。福岡ユウコは
片手に一升瓶を持っている。しかし二人美人である。それが何やら
喚いているので、ふられたか何かでやけになっているなと愚かなことに
声をかけた男のグループがあった。
「おねーさん、イブなのに暇なの?よかったら遊ぼうよ」
つづく
六人。しかも割りと男前で身なりもいい。本末転倒というべきか。
せっかく誘ってくれたのに。『お留め』と暴走族流喧嘩術炸裂。
六人がどうなったかは敢えて書かない。
とりあえず報告を済ませたケイコとケンシロウも何となくフェード
アウトしていた。年甲斐もなく二人は熱い。
食べ物もなくなり、トモミをヒョウゴを抱きかかえて帰っていった。
何となく霧原家をそれぞれ荒らすだけ荒らして帰っていっている
ようだが、それなりみんな気を使っている。ただトオルが気遣い
無用の態度を示しているだけだ。彼も彼なりに充分楽しんだ。
こんなに賑やかなクリスマスイブは生まれて始めてだった。
須藤アリサと雪野カエデは帰る方向が一緒だったので連れ立って
帰ることにした。一応明日も登校日である。
「ありがとう。楽しかったです」
「うん。俺も楽しかった」
「また明日ね」
「気をつけて」
つづく
「あー楽しかったよ」
「でも須藤先輩はテニス部の頃の方が楽しかったんじゃないですか?」
「そんなことないよ。何か。うん。楽しかったけど、疲れてた」
須藤アリサは薄く笑った。少し雪がちらついている。
「疲れる…?」
「なんか馬鹿みたいね。必死だったな。あの頃は」
あの頃。中学生風情がいう台詞でもないが彼女には彼女なりの経験が
ある。彼女にとっては、昔は昔、当時は当時なのだ。
返事がないので見るとカエデはいなくなっていた。
「あれ…カエデちゃん…?」
気になってうろうろと探していると
「よお…」
突然声をかけられた。電信柱のふもとに男が立っている。
「的場くん…」
「…須藤。こいつをくれてやる」
つづく
唐突に渡された物。冷たい感触だった。外灯に照らして見る。
それは拳銃だった。
「え…なにこれ…?」
「フリーダムアームスミニリボルバー22LR…」
「綺麗…」
そのわずか百グラム程度全長十センチ程の小さな拳銃はシルバーに
輝いて、銃全体に見事な彫刻が施してある。
「やる」
「…あ、ありがと…」
「やるから、つきあえ」
「え?どこに?」
余りに唐突過ぎて、つきあうの意味が交錯した。
「俺と、つきあえ」
「…他に…なんか、言い方ないの…?」
「…好きになっちまった…お前が…」
つづく
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
wktkwktk
「…このピストルは…?」
「銃言葉は…愛…」
花言葉ならぬ銃言葉!あり得ない!そんなものは世に
存在しない。遂に的場流口説き術が開眼した!
「つきあわないって言ったら…?」
「その銃はやらん」
「欲しいからつきあってあげるって言ったら?」
「それはそれで構わん」
「…じゃ、欲しい…ちょうだい。もらっていい?」
「…くれてやる。冬休みに入ったら、撃ち方を教えよう…」
「…うん」
「じゃあな…」
「ちょっと」
「なんだ?」
「送ってってよ」
「ついて来い」
つづく
あーー!間に合った!やっと割って食べてもらってるよぉw
やった!今日は眠らんぞ!(でも、明日夜勤なの・・寝たら許してw)
俺も間に合った〜!
銃言葉って・・・バロスwww
セブンスターの煙を吹き流して先を歩く的場リュウジの
背を須藤アリサは追った。
ところでカエデは口をサヨリに押さえられ、もがもがと住宅街の
塀の影でもがいていた。
世話が焼ける…。サヨリはカエデを開放するとまた消えて、一人
暗いアパートへ戻る。
カエデは何だったんだろう、きっと妖怪、『口封じ』が出たんだと思った。
そんな妖怪はいないが。
「おい…ありゃ何だ上手くいったのか…?」
「一緒に歩いてるんだから…成功したんじゃないの…?」
「…無駄な殺生をせずに済んだ…か…シュウイチ、記事にすんなよ」
「しないよ」
志賀マサトと長野シュウイチは共に闇の中に消えた。
木下サエとトオルを二人きりにしてやりたくて、ユウジロウはアカネが
いないので仕方なく、一人帰る。
「あ、じゃああたしも帰るね!」
「もうちょっといればいいじゃん」
「いいのいいの!ありがとう楽しかった!じゃあね!」
つづく
あら〜。書き込んでるうちに私のリュウジが
私以外のオンナに告白してるぅ。。
くそー!今日は飲んでやる!
妖怪口封じwwww
なんかサヨリのような可愛い妖怪を想像したw
慌てて草壁アヤも帰る。
サエとトオルは二人、台風のように去っていったイブの夜の内、
何とかキスを間に合わせて、身を重ねた。
「先生…」
「…草壁…」
「もうちょっと早く帰ればよかった…邪魔しちゃったかな…」
「…かもな」
「…それじゃあたし、こっちですから…」
「待て。草壁」
「…はい?」
「何か、言うことがあるだろう?」
「…」
薄暗い外灯、ちらつく雪の中、草壁アヤは戸惑っていた。
つづく
マサトとサヨリがカップルになる夢を見た。
何故か恐ろしかった。目が覚めてしまってライブ中かなと思って携帯で見たら
出演者が多くて思わず起きてきてPC開いてしまった。
「…メ…メリークリスマス…」
「そうじゃないだろ…」
「…はい?」
更に戸惑う。一体何が言いたいのだ。
ユウジロウは思う。展開からいって、アヤが告白しないと
おかしい。最後二人きりでそのままサヨナラはないだろう。
「え…何ですか?」
「抱いてやる」
「いいです」
「遠慮するな」
イブの夜。全裸の教師に草壁アヤは町中追いかけ回された。
ところで、ユタカは誰にも連れて帰ってもらえず一人、何で
こんなところにいるのだろう捨てられたのだろうかと思いつつ
霧原家の庭につながれて一晩中寂しそうにしていた。
終
メリークリスマスって言う準備していたら
>イブの夜。全裸の教師に草壁アヤは町中追いかけ回された。
ってかwwww
みんなそれぞれ好き勝手してバロスw
何よりリュウジ…おめでとう!どんなデートするのか楽しみだよ
合いの手たくさんありがとう…。。収集ついたのか
なんなんだか…。長々とありがとうございました。
これから文学賞用の作品にすぐに取り掛かりますので
今夜は感想などにレスできないかもしれんです。
ごめんなさい。
今日は読んでる方も疲れたと思います。一日で色々
片付けすぎたかな…。これから冬休み編、スキー合宿編
などを企画してはおりますがどうなるかは分からんです。
本当読んでくれてありがとう^^
この強引さが好きだww
ちょっと早めのクリスマス気分を味わうことができました!
楽しい話でした!作者さん超乙です!!
リュウジwww中学生らしいのからしくないのかよくわからんぞwww
ユウジロウ風邪引くなよ…
こんばんは〜。
上下に分かれる茶色とピンクの甘いヤツです。
やっと食べてもらえたよぉw
作者サンありがとう!
前にサヨリがプリッツ食べてるのを見て、おいおい、サヨリは
チョコだろと勝手に突っ込んでました。^^
最近ROM専だけど、寝るときに携帯で必ず見てるから
作者サンも無理せず頑張ってね!
こんなクリスマスをいつかここのみんなと過ごせたらいいなぁ。
メリークリスマス!
ふーちょっと休憩…お風呂入ってきたです。
感想…っても今回の話はないですよね。滅茶苦茶で^^;;
携帯で読んでいる方は読みにくくないですか?何か注文が
あったら言って下さい。改行しない方がかえって読みやすいとか…。
私は自分の専ブラで読みやすいように(幅は自由に変えられるから
本当に自分だけが読みやすいように)書いているので…。
専ブラでなくIEやその他普通のブラウザ使ってる人も読みにくい
とかあったら言って下さいね。
特に携帯で見てる方とか、合いの手、感想大変じゃないですか?
無理せんで下さいね。読んでくれるだけで嬉しいので。本当いつも
ありがとうです。
なんか作中時間を気にしているので、は!と思ったらまだ11月
なんですね…。来週にはお正月書かないといけないのか。
次スレは770〜780辺りが丁度良いかと存じ上げます…
>>749アポロさんのカキコ見て思った…
>こんなクリスマスをいつかここのみんなと過ごせたらいいなぁ。
特別企画で、コテハンさん達が山形先生達とからむ話しがあったら面白いかなって。
食われるんじゃなくて、キャラクターとして。
作者さんが話しの中に登場してるみたいに。
あ、いや、別に独り言だからスルーしてくれて構わないです。
ちょっと妄想しただけだから。
文学賞、頑張ってくださいね。
もしも、心の底から山形先生シリーズを愛する者があると
するならば、ID:ajZSMiPl0 に感謝するが良い。
私は密かにPart5をもって、連載を終了するつもりであった
からだ。
原因があれば結果がある。そこに理由や選択は介在しない。
いずれにせよ原因の時点で結果は決まっている。
スレッドがあるから書くこと、それは理由に過ぎないが、新たな
スレッドが立ったことは結果である。結果であり原因である。
まだ結果が出ていないらしい。新たなスレッドが立ったから
続けるのではない。
私が続けるべくして新しいスレッドが立ったのだ。
最高のものを求める人は、常に我が道を行く。
人間は最高のものを決して共存しない。
幸福になろうとする人はまず孤独であれ。
>>753 乙! あなたは私の光であり神だ!
755 :
753:2006/11/25(土) 19:30:01 ID:ajZSMiPl0
あまりの事に言葉もありません・・・
俺、超乙!!!!
(まだ今夜は全然大丈夫よね…またピッタリに収めたい気はする…)
さてここらで怖い話でもするか。
軽子沢中学校の二学期が終わった。しかし校舎内はまだ人で溢れている。
通知表を見せ合う者、冬休みの予定などについて友人同士相談する者。
つづく
特に夜更かしや夜遊びが禁止されている者も、正月深夜の
初詣だけは許されていたりするので、盛り上がって当然である。
男子だけで行く者、女子だけで行く者、そんな近くで話し合って
いるグループが何となく一つになって、男女混合のグループと
なり、一緒に行こうかなどと言っている。
女子にも男子にも色々と思惑はあって、照れや恥ずかしさが
優先するのか、それとも気を使うのがいやなのか、頑なに
同性だけのグループで行きたがる者もいれば、女子などは
やはの男子と一緒に行動したほうが安全と、半ばボディガード
代わりに男子グループを見ている者もいる。
当然ながら、その中には密かに恋心を抱いていたり、あわよくば
何かあるのではないかと密かな期待を胸に抱く者もいた。
いずれにしても余り夜みんなで出歩く機会のない者たちにとって、
大晦日の夜はロマンチック過ぎるほどロマンチックだった。
方や、誰に誘われるわけでもなく、かといって孤独に耐えている
わけでもなく、ただ何となくみんなが教室から出て行かないので
とりあえず、いる、といった連中もいる。
霧原トオルやサヨリもそうだった。友人は最近確実に増えつつあるが
相変わらず基本的に消極的なのは変わらない。サヨリは消極的と
いうわけではないが、変わり者として扱われているので誰もあまり
からんではこない。
つづく
山形先生終わっちゃ嫌っ(>_<)
>>753 GJ!!!
すらりと立ち上がると、長いスカートをひるがえして、トオルの
横で、
「よいお年を」
とだけ呟いてサヨリは教室を出て行った。いつもあの調子である。
霧原トオルも特にすることがないので帰ることにした。ちなみに
成績は悪くはなかった。むしろ想像以上に良かった。
富山ハジメ(第百三十一夜 参照)はそんなトオルの背中を
見送った。二人、ゲームを貸し借りしたり、ハジメがトオルの
パソコンを組んでやったりと仲が悪いわけではないが、利害が
一致するのでお互いがお互いを利用しているという具合で、
友人と呼ぶには余りに乾いた関係だった。ろくに挨拶も交わさない。
必要がある時だけ話す。その程度だった。だからトオルがこうして、
一人でふらりと何の声もかけずに教室を出て行ってしまっても
どうとも思わない。
ただ彼は退屈だった。特に友人がいるわけでもなく、夏休みや
冬休みは、むしろ無意味で寂しい。
頻繁に電話やメールをする相手もいないし、いざ電話をしたり、
直接会ったところで今度は会話がもたない。
もっぱら彼はインターネットの世界を遊び歩いていた。
つづく
しかし最近はそのインターネットにも飽きてきた。何か刺激が
足りない。
しかしテレビや映画などは彼にはもっと退屈なものだった。
特に持ち帰るものもないので、軽いかばんを背負うと彼は
初詣の話で盛り上がっている一団の横を通ってクラスを出た。
やはり誰一人として彼を気に止める者はいない。
もっともそこで話しかけられたり、誘われたりしても戸惑うだけ
なのだが。
一つ大きなあくびをして、何となく今年最後だと意識しつつ、
トイレで小便をする。
自宅にある、インターネットを介して拾い集めた画像や動画、
音楽といった膨大な量のデータの整理でもすれば二週間
足らずの冬休みなど終わってしまうだろうとも思ったが、
それも何となく面倒だった。
そういえばこないだ拾った動画はなかなか面白かったな。
保存したと思ったがどこに入れたろう。DVDに焼いた気も
する。いやCD−Rだったか…いやいやそもそも保存自体
しなかったかな。
つづく
何だか最近頭がぼうとして記憶力が低下している
気がする。頭に、ネット廃人という言葉が浮かんだ。
確かに色々と無気力だ。こんなことではいけないかも
しれないな。しかし他に何をしろというのだ。
本を読むのもネット上のテキストを読むのも同じことじゃ
ないか。家の中でこもっているのがいけないのかな。
秋葉原には行きたいところがあるにはあるが、いかんせん
金がない。
そう。彼には先立つものがないのである。とりあえず、
アルバイトができるよう、高校生になるまでは蝉の幼虫の
如くこもっているしかない。
彼はそう、結論付けた。
その頃にはとっくに校舎を出て、道を歩いている。小便を
したあとの記憶が既にない。
いよいよこれはまずいかもしれない。
彼は少し生活を改めようと思うだけ思った。
つづく
コンビニエンスストアを通りすがって何となく見やると、
同じ電算機同好会の愛知バンパクが雑誌を物色して
いるのが見えた。
いや、愛知バンパクは広島コイよりひどい。ちょっと
やめよう。
同じ電算機同好会の杉浦シュンスケが雑誌を物色して
いるのが見えた。
いつもなら無視するところだが、ハジメは店内に入って
行った。
「よ」
「あ、先輩。どうしたんすか?」
「いや、ただ、何となく」
二人は何も買わずコンビニエンスストアを出て一緒に歩き
出した。
「先輩も家こっちなんすね」
「山金町だよ」
「ああ。いいなぁ近くて。清水台なんです」
つづく
愛知…バンパク!!www
「チャリ通できればいいんだけど…」
「うちは禁止だからね」
「先輩、休みはなんかあるんすか?」
「何にもないよ。お前は?」
「マザーボード譲ってもらったんで適当に自作機作ろうかなと…」
「いいなぁ」
「MMOの専用機にするつもりで」
MMO。MMORPGのことである。ネットを通じて複数のプレイヤーと
行うオンラインのロールプレイングゲームだ。
「学校行きながらだと厳しくない?」
「お遊び程度ですよ。本気でハマるとヤバいっすね」
MMORPGの場合、プレイヤーがプレイしていなくても絶えずネット上で
時間は進んでいる。仲間がいたとしても、その仲間が時間を惜しんで
一人黙々とプレイを続けているとすれば、次にその仲間と出会った際に、
全く自分とその仲間のレベルがかけ離れてしまうことしばしばである。
故に余り入れ込みすぎると、その恐れから延々とゲームを続けなければ
ならなくなる。
つづく
「なんかMMO以外で何か面白いの最近ある?」
「…YouTubeとかですかね?」
「やっぱそこらへんかぁ」
YouTube。アメリカの動画共有サイト。様々な動画が連日アップロード
されている。日本人ユーザーも多く、基本的に十分程度の動画しか
アップロードできない弱点はあるものの、三十分物のアニメを三つに
分割したり、場合によっては二時間の映画を二十のファイルに分割し
丸々アップロードしてしまうなど、著作権の問題も取り沙汰されている。
しかしながら、DVD化やビデオ化されていない映像資料などもあり、
貴重な動画を目にすることもできる。
タレントの失言や、生放送中のハプニングなどもたちまちアップロード
され、あらゆる所からリンクが張られてしまうのである意味では恐ろしい
サイトだ。
しかし無論ハジメもそのサイトの存在は知っているし、既にアップロード
されていて、それなりに話題になった動画はあらかた見尽くしていた。
「なんか祭りでも起こんねぇかなぁ。退屈だよ」
「2ちゃんに面白いスレッドがありますよ?」
つづく
2ちゃんねる。山形先生シリーズは知っているけど、
2ちゃんねるなんて聞いたことがないという人は、
ちょっと、病院の先生に相談してみた方がいいだろう。
どうしても分かりません、という人がいたら、雑談スレで
丁寧に教える。病院も紹介しよう。悪いようにはしない。
「何板?」
「オカルト板」
「…そんな板あるんだ…」
「あれ。割とメジャーな方かと思いましたけど」
「コンピューターとゲーム関係の板しか見ないからさ」
「あぁ。興味ないとキツいっすよね」
「板って全部で幾つあるの?」
「…さぁ…結構なくなったり増えたり…」
「オカルトかぁあんま興味ないなぁ」
「あーでも内容は全然オカルトじゃないんです」
つづく
バンパクの改名後が激しく気になる・・・
道すがらそこまで話したところで、富山家にたどりついてしまった。
「ここ、俺んち」
「あぁここなんすか。いつも前通ってたんだあ」
「うん。それじゃ」
「あとでスレッドのアドレス、メールしときますよ」
「…いいよ。読まないかもしれないし」
「いやとりあえず送りますよ。じゃあ。また今度」
そういうと、杉浦シュンスケは軽快にスニーカーを鳴らして駆けて
行った。何となく気のいい奴で、冬休みに一緒に遊びにでも
誘おうかと思いながら、結局誘えなかった。
家には誰もいない。リストラにあった父は、この年の瀬ぎりぎりまで
職探しに出歩いているし、母はパートである。
家の中が外より寒い気がした。かばんから通知表を出して居間の
机の上において、Oを食べる。Oとはカップラドンカルメのような
謎のお菓子だ。カップラドンカルメを知らない人は…いるかな。若い
人は知らない。あ、そ。とにかく謎のとてもとても美味しいお菓子なの
だ。甘くてふわふわで、かりかりのとろとろなのだ。
うな重を食べさせてやりたいが、貧乏臭さが全くなくなってしまうので
富山ハジメには無理。
つづく
Oはとても腹持ちがいい。美味しい上に安く、食べるとお腹が
いっばいになる。
実は同じく貧しいサヨリも大好物だ。ちなみにOはOであり、
発音できない。『まる』でも『おー』でも『ぜろ』でもない。Oなのだ。
しばらくテレビを眺めて、自分の部屋にこもるとパソコンを立ち上げる。
最近ハードディスクの音がやけに気になる。彼の経験上、そろそろ
壊れる気がする。
シュンスケから早速メールが届いていた。
アドレスが記されている。というよりそれしか記されていない。
見るだけ見てみるかとクリックするが、
『削除されたかURL間違ってますよ』
と表示された。その後もそのアドレスを検索にかけたり色々としてみたが
やはり存在しないらしい。
シュンスケが間違ったのか。いや普通メールにアドレスを書きこむときは
コピーして貼り付けるだろう。まさか一文字ずつ手打ちする奴がいるものか。
貼り付けただけなら間違っていることなどあり得ない。おかしいな。おかしいぞ。
つづく
シュンスケかwwww普通やねwwwww
一応、クリックしてみたが間違っているらしいと返信する。
一時間もしないうちにまたションスケから返信があった。
『削除されたかURL間違ってますよ』
シュンスケはちゃんと今現在もそのスレッドを見た上で
確認してメールしていると言う。しかし送られてきたアドレスと
先ほどのメールにあったアドレスを照らし合わせてみると、
一文字の違いもないのだ。
杉浦シュンスケは一人部屋で笑っていた。そのスレッドを見て。
「あは…面白ぇ…」
画面には
『削除されたかURL間違ってますよ』
と表示されている。しかし、杉浦シュンスケはマウスのホイールを
さも画面をスクロールさせるようにこりこりと音をさせて、また、
にやついている。
あなたの今見ているこのスレッド、
チャント アナタ イガイ ノ ヒトニモ ミエテイマスカ・・・?
終
合いの手ありがとう。なんか…ありがち?(笑)
カップラドンカルメ、検索したらパップラドンカルメだって。
昔ポンキッキで流れてた、クダンとか、ズンドコベロンチョ
みたいな、噂の中でしか存在しない、相当美味しいお菓子です。
多分30前後の人には直撃だったと思うけど…。
なんか今回は遊びすぎちゃったかな。ごめんなさい。
パップラドンカルメ知らない…( ´・ω・)
ホネホネロックは知ってるよ…
>>773 あれ…あ、そうそうレスするの忘れてたっけね。
あの、コテさんたちを登場させてしまうという話。あれね、
キャラクター的に無理なんです。直接顔知ってるような
人物だったらできるんですけど、知らないことが多すぎる。
出して、私こんなじゃない…ってガッカリされるのいやだし、
名前も変えなきゃならんくなる。アンパンマンみたいな
話だったらできるんだけど。
あとお話の質かなぁ。楽しい話の方が好きなのに、怖い目に
合わされてしまったり、リュウジとからみたかったのに、話が
ちがかったり…。
考えたんだけどね…。一時は。ただ無茶かなぁと。私は、
度々言うけど、頭の中でキャラクターが好き勝手やってるのを
実況中継するみたいに書いてるんで、まずその人の人格と
いうのかなぁ。キャラクターみたいのを一度頭の中にすっぽり
完全にインストールしないと台詞とか出ないんですよ。こんな
キャラの人なら、こういう場合こんなこと言うはずっていうのが
分からないんです。
だから何というか、ガッカリさせたくない方が強いんです。
何度か直接お話しする機会でもあれば可能なんですけどね。
そんなわけで、御理解下さい。
>>774 いえいえ、ちょっとした独り言ですからいいんですよ^^
てか、ホント、連載が終わらなくて良かった…
>>754 >もしも、心の底から山形先生シリーズを愛する者があるとするならば
↑『もしも』って…
ここの皆は山形先生シリーズを愛してるに決まってるよバッキャロオォォ!・゚・(ノД`)・゚・。
776 :
白米:2006/11/26(日) 01:28:25 ID:YGdpmCZY0
>>774 なに!リュウジと絡み?
アニキщ(゚Д゚щ)カモーン!!
>パップラドンカルメ
知らないです…
パップラドンカルメビンゴオォ!!(*゚∀゚)=3
今の今までその存在を忘れていたけれどw
当時食べたくて仕方なかった記憶が…www
数字上は合いの手込みで810前後まではいける感じです…
(
>>778 承知)
さて、ここらで怖い話でもするか。
冬休みに入り、的場リュウジと、須藤アリサの交際が始まったが、
それは果たして、通常の男女交際とは全く形の違うものであった。
つづく
まず最初にリュウジが彼女にさせたこと。
腕を伸ばし顔の正面に人差し指を立てさせ、左右片目ずつ、つむらせた。
「え…何これ?」
「両目で見た時とどちらかの目で見た方が、同じ位置に見えるはずだ」
「…?よく分かんないよ…」
占いだろうと須藤アリサは思った。そういうこともする人なのかと。
「両目で見た時の指の位置を気にしろ。まず左目をつむれ」
「うん」
「指の位置は?」
「変わらないよ」
「左目を開けて右目をつむれ」
「あ、ちょっとズレた…」
「利き目は右か…視力は?」
「両方とも1.8」
つづく
なにレクチャーしてんだリュウジwww
更に出かけようというのでデートかと思えば人気のない埼玉県
某所の採石場に連れて行かれた。
そこで拳銃を渡される。38口径。コルトディテクティブスペシャル。
「何これ…」
「利き腕は右だな?右手で握って。肩の力を抜け。…そうだ。腕は
まっすぐ。突っ張れ。腕を一本の棒にしろ。…左手を添えて。よし。
右腕は向こうに向けて突っ張らせる。対して沿えた左手は向こうに
いこうとする右手をこちらに引きつけるように。…いいだろう。まだ
引き金に指はかけるな。ハンマーを起こす。ダブルアクションでは
極力撃つな。正確に狙う時間がある場合はシングルアクションで
撃て」
「…え、ちょ、何…シングルとかダブルとか…」
「あとで説明する。腕の力を抜くな。足は肩幅。膝は軽く曲げろ。
引き金はスイッチじゃない。絞り込むように引け。銃をブラすな」
採石場に銃声が響いた。
「…バランスがいい…銃を撃ったことは?」
「あるわけないじゃん!」
「膝の使い方がいい。よし。的に向けて撃ってみよう」
つづく
的場リュウジの目的。それは須藤アリサに自分のバックアップを
させることにあった。
恐ろしい男である。自分はカメラを、そして撮影の際脅威となるものは
須藤アリサに排除させる。その為には訓練が必要であった。
デート=訓練
しかし須藤アリサは凄まじい速度でその頭角を見せる。しかし当の
本人はかなり嫌そうであった。
「ねぇ普通にデートとかしないの?」
「何故お前にリボルバー拳銃を持たせたか分かるか?」
リボルバー拳銃。銃の真ん中にレンコン形のシリンダーがあり、そこに
弾丸を詰め、シリンダーが回転することによって弾丸の装填を行うタイプの
銃である。アニメ、ルパン三世では次元大介が主に使用しているタイプのもの、
あれがリボルバー拳銃だ。
一方でルパン三世本人が使用しているワルサーP38のように、銃倉に弾丸を
込め、主にグリップ、握りの中にそれを収めて使用するものをオートマチック
拳銃という。
スピードロッダーなどの器具はあるが、基本的にオートマチック拳銃の方が、
装弾数を多く取ることができ、また撃ちつくした際にも弾倉、マガジンを差し込む
だけでいいので、明らかにオートマチック拳銃の方が簡便であるように思える。
つづく
「…何だっけ…ジャム?ジャムとかしたら不便だから」
「正解だ」
ジャム。基本的に弾丸は弾頭と薬きょうから成る。一度撃つと
弾頭のみが飛んで行き、薬きょうは残る。
オートマチック拳銃の場合、遊底、スライドと呼ばれる部分が
発砲した際の反作用で後退し、同時に空になった薬きょうを
機械的に弾き出す。
映画などでマシンガンや拳銃を連射するシーンで、金色の何かが
銃の横から弾き出されているシーンを見たことはないだろうか。
あれが薬きょうである。
一方で、リボルバー拳銃の場合、薬きょうはシリンダーに完全に
残る。それは、弾丸をまた込めなおす際に、射手が自分で薬きょうを
落とさなくてはならない。そしてまた新たに弾丸を込めるのだ。
こちらも映画などでよく見かける。撃ち終わった後、シリンダーを
横に出し、エキストラクターを押してからからと薬きょうを落とす。
ジャムとは弾詰まりのことである。また不発や薬きょうを排除する際の
動作不良の際、オートマチック拳銃は面倒だ。
遊底を自分で引いて強制的に次弾を装填するか、場合によっては一度
分解しなくては次の弾丸が撃てなくなる場合がある。
つづく
その点、機構そのものが単純なリボルバー拳銃は有利である。
ハンマー(撃鉄。銃を撃つ際、親指でかちりと起こす部分)を起こす
動作をすれば、シリンダーが回転し、次弾へ移る。
不発弾が混入していたとしても、ハンマーを起こせばただちに次の
弾丸へ移行できる。
またダブルアクションの場合であれば引き金を引くだけでよい。
シングルアクションとは、引き金とハンマーが連動しない拳銃の事だ。
ハンマーを起こす、引き金を引く、という二つの動作で発砲に至る。
一方でダブルアクションとは、引き金とハンマーが連動し、引き金を
引くだけでハンマーが自動的に起きて発砲する。
ダブルアクションの方が便利ではあるが、正確性を考えると、引き金を
引く際に、どうしても重いハンマーを起き上がらせる力も必要な為に、
銃全体がぶれやすい。
よって正確な射撃をする場合は、ダブルアクションの機能を持つ銃に
しても、一度射手がハンマーを起こし、シングルアクションと同じ手間を
かける分だけ精度を上げることが望ましい。
的場リュウジは、アリサがまだ銃の扱いに不慣れな点、また確実性から
彼女にリボルバーを託した。
つづく
また、手の大きさの問題もある。リュウジの持つベレッタ
などは、弾倉に十五発もの弾丸が入っている。それを
グリップ部分に収めなくてはならない。弾丸は互い違い、
ジグザグのような形で詰まっているため、弾倉はその分
どうしても厚くなり、それを挿入するグリップ部分も肥大化
する。
手の小さい者には扱いにくいのだ。その点リボルバーは
グリップが小ぶで握りやすさを追求できる。
更にリュウジは半ばアリサを監禁し、世界中のテロ組織、
軍事事情、政治情勢、経済状態を彼女に叩き込んだ。
更に志賀マサトを講師にロシア格闘術システマを学ばせる。
あれやこれや寝技らしいものもありアリサはかなり嫌悪感を
示したが、マサトはガチガチのホモであるから女などに興味は
ない。
その点で全くやらしさはなかった。
アリサはかなり嫌々ながらあらゆる訓練をこなしていたが、
成長は目を見張るものがあった。
つづく
須藤アリサは性的快感を得られない身体だ。(第五十七夜 『陰の宴』 参照)
その点、セックスなどを全く求めてこないリュウジについては
ありがたかった。
しかし一体何故こんなことをさせられなければならないのか、全く
わけがわからない。ただ、自分でも成長を感じていた。
また面白いレクチャーもなきにしもあらずであった。
特に、拳銃の本当の有効射程などせいぜい五メートル程度、などという
リュウジの実践に基づいた知識には驚かされる。
そして、ある日、リュウジから驚きの告白を受けるのである。
「俺を守れ」
何とも頼りない話ではあるが、リュウジの目的はそれである。アリサに
バックアップをさせ、自分は取材に専念する。
アリサはむしろリュウジに守って欲しかった。しかし彼の目的もその頃には
理解できていた。自分の役割。
いつの頃からか、二人の間に恋愛感情はなくなっていた。須藤アリサは
何の委員会にも属していなかったので、新聞委員会に所属することになる。
訓練はほぼ終了に近づいていた。
つづく
的場リュウジは悩んでいた。須藤アリサのことである。
色々と教えては来たが実際に何者かの命を奪うという作業を
させていない。いざ本番という際彼女に人が撃てるのか。
ちなみに的場リュウジと志賀マサトは殺人経験が実はある。
リュウジは自分の耳を欠けさせた麻薬シンジケートの人間など
十数名を自己防衛ながら射殺しているし、おなじく防衛と、犯罪の
予防という目的で志賀マサトも八人の人間を射殺及び撲殺
している。
しかしリュウジもマサトも初めて人間に向けて銃を放った際は、
非常に強いストレスを感じ、引き金をなかなか引くことができなかった。
ただ一人でも殺してしまえば割りと後は大丈夫である。
その点、初めて扱った銃でいとも簡単に人に向け発砲した木下サエ
(第八十七話 『荒療治』 参照)を彼は高く評価していた。
とはいえ、いきなり人を殺すわけにもいかない。どうしても発砲
せざるを得ない状況を作る必要があった。ところが、アリサは、
人に向けて銃を撃つなど絶対にできないと言う。
試しに動物への発砲を命じたが彼女はそれすら拒否した。
つづく
「…グエン・ホアン・ロンが日本に来ている…」
「ベトナム人?」
国際情勢などを叩き込まれて名前を聞けば大体何処の国の
人間か判断できるほどの知識をアリサはもっている。
グエンはベトナム人に多い姓だ。
「…そうだ。ベトナム人の殺し屋だ…」
「殺し屋?何しに来たんだろう?」
「…分からんが…間違いなく観光ではないな」
「…暗殺…」
「それを取材する」
「待って。国内なら志賀君じゃないの?」
「危険すぎる。グエン・ホアン・ロンは超A級スナイパーだ」
「…遠距離射撃…」
「目標が誰かは分からんが撃たれた瞬間を収める」
「…」
つづく
志賀マサトならば、事前に狙撃を食い止める手段を
講じるはずだが、的場リュウジは違う。
リュウジにとってジャーナリストとは影に過ぎない。
誰が誰を暗殺すると知っていても、リュウジはそれを
阻止したり、当局に情報を流すようなことはしない。
事の成り行きをただフィルムに収めるだけだ。仮にそれで
誰か政府の重要人物などが死んだとしても、一介のジャーナリストで
さえ入手できた情報を入手できなかったその国の情報機関の怠慢と
彼は考える。
「…援護を頼みたい」
誰かが狙撃する瞬間をカメラで押さえる。その際その行動をスナイパーに
悟られれば、スナイパーはターゲットの暗殺の次に、ジャーナリストを
消すことを考えるはずだ。
そうなればジャーナリストは二つのことを考えなければならない。
誰が狙撃されるのか。そして自分の身の保全。
「…分かった」
アリサの顔つきが変わった。
つづく
都内。高層ビルの屋上から、須藤アリサは怪しい人物の
姿を見た。
「…リュウジ。あそこ」
「…」
そっとケンコー社製の単眼鏡で確認する。
「グエン・ホアン・ロンだ…」
「随分おじいちゃんだね」
「ベトナム戦争当時から現役だからな…」
「ターゲットは?」
「アメリカの国務長官が日本に来ている…。狙い通りだ」
父の形見のニコンに望遠レンズをリュウジはセットした。
「…俺はあくまで狙撃される瞬間に集中したい」
「じゃああたしはグエン・ホアン・ロンを見てればいいの?」
「そういうことだ…だが…」
つづく
「?」
「グエン・ホアン・ロンがもしこちらに気付いて、攻撃してくるような
ことがあれば…」
「…あたしが…?」
「できるか?」
しばらくアリサは考えて、ゆっくり頷いた。
「ドラグノフを持ってきている…組み立てろ」
既に分解された銃の組み立てなどは相当な速さでできるように
なっていた。全く手間取ることもなく、アリサはドラグノフスナイパー
ライフルを組み上げた。
「風が強いね…」
「…そうか?」
「グエン・ホアン・ロンのいる辺り。ビル風が立ち上がってる」
「…なぜ分かる?」
「音」
リュウジには全く分からなかったが、アリサは確かに吹き上がる風の音を
聞いていた。
つづく
ほんと何してるんですか…
しかもアリサかっこいいし(●д●)
「任せてもいいんだな…?」
「…撮るもの、ちゃんと撮って」
リュウジは屋上の端まで這っていって、カメラを下に構えた。
「…見えるよ。PGM URコマンド2…」
「御フランス製か…」
「こっちには気付いていないみたいだけど」
「狙いは?」
「…まだ…分からない…」
リュウジ、アリサは二十六階建てのビルに伏せた恰好でいる。対して
グエン・ホアン・ロンは三十階建てのビルの屋上に堂々と立っている。
「立ち撃ち…!」
「まさか…」
通常であれば長距離のスナイピングに最も適した姿勢は伏せた姿勢で
ある。最も安定する。今のアリサの状態がそれである。彼女の構える
ドラグノフには、更に二脚(最もぶれやすい銃先端に取れつけられた脚)が
取り付けてあるので更に安定する。
つづく
対してグエン・ホアン・ロンは伏せもせず屈みもせずに
立っている。最も不安定な姿勢である。
しかしながら、外敵に急襲された場合、最も対処しやすい
恰好ともいえる。
伏せていては上からの攻撃、または横、後方からの攻撃に
すぐ対処することが困難である。
「…立ったままだよ…狙いは下方。十時の方向」
「…」
「待って。下方だけど地面じゃない。高いよ。何かある?」
「…レストランか…!」
十時の方向のビルの十階に高級和食レストランが入っている。
狙いはどうもそこらしい。
「…構えた…」
「しくじった…」
「え?」
「ここからではレストランの中は撮れない…手前のビルが邪魔だ…」
「中止?」
つづく
「伏せて!」
アリサが無理矢理リュウジの頭を押さえつけた。
「…どうした!?」
「こっち見た…」
「…グエン・ホアン・ロンが、か…?」
「気付かれたっぽい…」
「まさか!あの距離から…」
グエン・ホアン・ロンのいるビルから、リュウジらがいるビルまで
距離およそ二五〇メートル。
「…こっちを…見てるんだな…?」
「…?」
「正面からグエン・ホアン・ロンを撮る…」
「無茶だよ!」
つづく
ニコンをかまえたリュウジが膝立ちになった。
ファインダーから覗くグエン・ホアン・ロンは確かにこちらに
銃口を向けている。
遠い炸裂音と共にリュウジが倒れた。
「…速ぇ…」
胸部に被弾。出血量はされほどでもなく、血に気泡が混じっている
わけでもない。
「…心臓も肺も無事。ただ弾が抜けてない…」
「…冷静だな…」
絶えず冷静でいろ。リュウジの申しつけをアリサは忠実に守った。
さんざん血みどろになった無残な遺体や戦死者の映像も見せつけ
られた。
ただ、怒りはあった。パートナーを撃った者に対する怒りだ。
グエン・ホアン・ロンは完全に攻撃目標をこちらに移しているらしい。
少しでも目を上げるとこちらに狙いをつけているのが見えた。
つづく
「…須藤…撃て…奴を、殺れ…」
「…了解」
ただ相手はこちらの位置をかなり正確につかんだはずだ。
アリサは這ったまま屋上を東へ移動した。
風の音が聞こえる。
『…距離二五〇…目標手前で風が吹き上がってる…
二五〇メートルで7.62ミリ弾丸ってどれだけ落ちるっけ…』
狙撃。弾丸は当然ながら重力の影響を受ける。同時に風の
影響も受ける。狙撃手はそれらを全て計算しなければならない。
ましてや、ターゲット付近でどう風が吹いているのかは幾ら
視力がよくても判断できるものではない。聴力や視力を超えた
経験とセンスが必要である。
須藤アリサは立ち上がり様、適当に一発をグエン・ホアン・ロンに
向けて放った。
直後、あちらからも発砲音が聞こえた。
『…気温〇度の状態で音は毎秒約三三一メートル、温度が一度
上がるごとに毎秒約一メートルずつ速くなる…今の気温何度?
あたしが撃ったすぐ後に向こうの銃声が聞こえたってことは、相手の
方が早く撃ったってことか…。あたしが適当に撃つより向こうが撃つ
方が早い…』
つづく
アリサは適当ながらかなり正確に相手を狙った。
着弾点は自分が狙って位置より若干右下にずれたことを
瞬時に見ていた。
『…右下にズレた…少し左上を狙えば当たる…少し左上…』
しかしそこまで考えて震えて動くことができなくなった。
もし相手に当たったらどうしよう。相手を殺してしまったらどう
しよう。人殺しになってしまうではないか。
しばらく躊躇しているとまたリュウジの悲鳴が聞こえた。
更に出血が増している。
『…まさか!』
屋上の縁に完全に隠れた恰好でリュウジはいる。当たるはずが
ない。しかし彼は二発目の弾丸を受けていた。
「…いやぁっ!どうして!」
リュウジは苦しみながら空を指差した。そうか。そういうことか。
つづく
空に向かって弾丸を放つ。すると弾丸は放物線を描いて、
射出された時と同じ速度で落下してくる。
幾ら隠れていても遮蔽物を越えて飛んでくることはできるのだ。
ただ、それを狙って行えるかどうかは別として。
選択する時間はなかった。隠れても空から弾丸が降ってくる。
相手を始末するより抗う術はない。
アリサはドラグノフを抱えて立ち上がるとグエン・ホアン・ロンの
やや左上へ向けて引き金を引いた。
スコープを調整する時間などなかった。スコープを望遠鏡がわりに
確認する。
相手は少しうろたえたようだがまたURコマンド2を構えなおす。
アリサはもう一度引き金を引いた。
グエン・ホアン・ロンがよろめいて、ビルの柵の向こうに消えた。
しばらく震える手でスコープを覗いていたが、もうグエン・ホアン・ロンが
現れることはなかった。
『…こ…殺しちゃった…』
つづく
ドラグノフを屋上に置いた後も彼女は震えていた。当たった瞬間、
確かに何か手応えがあった。
弾丸は遠く、飛んでいって、こちらとはもう離れているのに、確かに
当たったことが分かった気がした。
「…須藤、退避だ…」
震え恐れても時間は待ってはくれない。ドラグノフを分解し、ケースに
収めて、リュウジに手を貸し、屋上から姿を消す。
人の命を奪ったことについて色々と落ち着いて考えることができたのは、
やっとその晩になってからだった。
しかもリュウジは一緒にいない。彼は怪我を癒す為そばにはいてくれ
なかった。
罪悪感とも満足感とも違う何かと、アリサは一人で戦わなくてはならなかった。
つづく
その頃的場リュウジは現金五十万円を持って、
岩倉ヒョウゴのマンションを訪れていた。
「いや、いいよ、別に何ともないし」
「…約束だ…金は置いていく。いらなければ捨てろ」
額に絆創膏を貼ったグエン・ホアン・ロンの姿形をした
岩倉ヒョウゴは少し困った様子で金を受け取った。
勿論彼に狙撃などできない。彼が撃ったのは空砲である。
リュウジは無傷だ。タイミングを合わせて血糊の入った
袋を適当に潰しただけだ。
リュウジはリュウジで、すまないことをしたという罪悪感としばらく
戦わなければならなかった。ちょうど傷が癒えたと思われる頃
まで。
つづく
十年後…。
都内。遊園地。メリーゴーラウンド前。ベンチに落ち着かない様子で
座っている男は、ある人物を待っていた。
「…そのまま。こちらを振り向くな…」
男はその声に驚いた。
「…あなたは…」
「…約束したはずだが…?」
「…すいません…まさか女性の方だとは…」
「…女では不満か…?」
「いや、とんでもない…」
「用件を…聞こうか…」
「…アメリカの国務大臣をスナイプして欲しいのです…」
話し終わると、了解した、とだけ言って女は消えた。煙草の
匂いだけを残して。
終
すげーー!!スナイパーになったのか!カコ(・∀・)イイ!
ダメだー失敗。これ以上もたねぇwww
でもあと一話書けるほどの残量はない…。たくさんの感想を
お待ちしています…ってこの話じゃなぁ…。
完全に趣味に走ってしまいますた(笑)
俺は楽しかったけどね。ただグエン・ホアン・ロン狙撃事件が
一体いつの話なのか想像できねぇww
多分もうアリサとかリュウジが中学卒業した後の話な気が…。
ほとんど外伝ですね。これは。
何だ国務大臣って…国務長官。間違った。最後のとこ。
ア、アリサ…?
(゜д゜;)アワワワワ…
十年後ってパターンは初?ですよね?
これがどんな伏線になるのか楽しみ。
>>807 伏線ってわけじゃないけど…^^;
ただ一つちょっと言わせてもらえば(スレ使い切るという意味も含めて)
ちょーっとだけ心霊小説的というか推理小説的というか、まずなんで
アリサらしき女スナイパーは一人で仕事を請け負うようになって
しまったのか。
『リュウジのバックアップ』という仕事(?)はどうなってしまったのか。
また妙にアリサらしきスナイパーがクール(ゴルゴばり(笑))になって
しまったのはなぜか。
そこを見てもらえると、一つの事実がぼんやりと浮かび上がって
こないですか…。とても哀しいことですが…。
ただ、それが何かははっきり書いてない。はっきり書いてないので
正解なんてないんですがね。
十年もあれば色々あるよ、ということかな。
ちなみに12/26の出来事は
>>780 までで、後のことは全て
作中時間でも未来です。だから仮に明日、アリサが出てきても
まだ銃の扱いも何も知らない状態です。
彼女が新聞委員会に入ったのも3年生になってから。だから
このシリーズがあと3ヶ月続いたらそのエピソードもまた出て
くるかもしれんですね。
今日はちょっと未来を覗いてもらいました。
残り1536文字書き込めるぞ!
ああ、もう残り1507文字しかないっ
そんなわけで、あくまでパートナーとして須藤アリサと
的場リュウジは出てきますが、恋愛要素は一切省いて
あります。
いつ別れるか分からないので(笑)
なので、リュウジのバックアップをしている=恋愛が
続いている、とは思わないで下さい。
語られなかった訓練期間中にもしかすると恋愛としては
終わっているのかもしれない。
だからキスもセックスも出てきません。
明日には別れちゃうかもしれんです。恋愛的には(笑)
ただ仕事上のパートナーとしては少なくともグエン・ホアン・ロン
射殺事件までは続いているわけですな。その頃にはアリサには
別の彼氏がいるのかもしれない。もちろんリュウジにも。
それもはっきりとは明記してありません。
>>809 そんなに!? あと一話ぐらいいけるのか…あーでも
原稿用紙4枚分?微妙www
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( ´・ω・) .| ・ \ノ
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ジャー ____
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(´・ω・`) ζ
( )つ □ どうぞ
>>811 残り2KBなんで大体1000文字程度と思われまする。
えーしょうがないから面白い話でもするか。
こないだ病院行ったんです。病院。
んで待合室にソファがあるんですね。ソファっていうか
長椅子?でもちゃんとクッションの効いたヤツです。
そしたらね、もう破れてバネか飛び出してる。
びょいーん。
哀しい話でもするか。
あのね、本当のこといいます。私、仮性包茎です。
本当なんですよ。
えー…と…明日、だれか、回転寿司に行かないか?クルマ
出すよ!おごれないよ!女性限定!お昼に。
こんなんじゃ1000文字稼げない。;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン
次スレはこちら
【エロ】山形先生Part6【オカルト】
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1164445736/ __,.-i _,.-,
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ト' f ヾ, i |: : ::i i ゙'i
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i_,i_゙u `ー'-'′ |. i | └-.,
i__i__),) `'-ー'ー゙
ユ タ カ