「それでも戦って、勝ってくれ。僕らの、ヒストリアの自由のために」
「……承知しました」
「パルスタ兵がケンジュにまでやって来ていたことから考えると、もう一刻の猶予もないだろう。
できるだけ早くケンジュに進軍してくれ。それから先の軍の指揮権はタカベに預ける。
使える物や人は全部持っていってくれてかまわない。残った者には、後方で負傷兵の手当てをさせる」
国王の言葉にタカベが無言で敬礼すると、くるりと回れ右をして会議室のドアに向かった。その背中に国王が声を掛ける。
「……死なないでね」
その言葉にタカベは足を止めたが、それも一瞬のことで、大声で「失礼します!」と言うとそのまま足早に会議室を後にした。
-続-