「おまえ、あれを見たのか!?」
俺はいったいなにに怒鳴られてるんだろうと思った。
老犬・ワン太の散歩中、俺が振り向いた先、目のまえの足元には、
五十センチはないであろう身長の、『人』がいた。
口調からして、男の人だと思った。
「うひっ」
驚いた俺は、変な悲鳴を上げてしまった。
だってそいつは、どう見ても人間としか思えない表情で、
人形にはできない感情を表していたから。
「あれを見たのか!?」
小さい男性は、質問を繰り返した。口調には合わない、やたらと甲高い声で。
俺はなにを訊かれているのかまでは頭が回らず、ふいにワン太のほうを見てしまった。
すると彼はいつのまにか座ったままおもらしをしていた。
「あ〜、見たのはこっちか!」
小さい男性が叫んだ。こっち、とはワン太のことか?
ワン太がなにかを見た。
小さい男性のインパクトに、金縛りになったように動けないでいた俺は、それだけを納得していた。
すると小さい男性は、ポケットだろうか? 服にその小さな腕を突っ込み、なにかを取り出したのだ。
時空のおっさんスレへ続く