952 :
サンタナ ◆H8yA7h3n0U :2006/09/26(火) 20:42:51 ID:7FPB5hWZ0
前の晩は夜更かしをしたのだと思う。
その頃、僕たちは少ない財布の中身を出し合って、月に1度か2度のペースで宴会を開いていた。
宴会といってもささやかなものだ。アルコールを嗜む者はいなかったし、近所の中華料理屋から、一人につき一品か二品出前を取って、卓を囲んで食事をするだけだ。
寺で供される食事は、食べ盛りの若者の空腹を満たすには、あまりに御粗末だった。それも修行のうちだったのだろうか。三度の食事は当然のごとく精進だった。
いや、はっきり精進料理と名前で呼べるような代物ではなかった。
参拝客に出した食事の残りであることが多く、時にはそれ自体がなかった。白飯だけは事欠かなかったものの、おかずに困って、沢庵のしっぽや味噌で食べたこともあった。
宴会は昼寝と同様に、僕らにとって必要不可欠だった。生臭が僧職にあるまじきという考えは僕らにはなかったし、おそらく師僧である住職にもなかったろうと思う。
げんに夕食時になると、庫裏から蛋白質の焦げるなんともいえない香ばしい香りが漂ってきものだ。
そして、僕らはたまにしか食べることのできない鶏のから揚げや海老のチリソースに舌鼓をうち、やがて腹がくちくなると、夜遅くまで語り明かすのが常だった。
953 :
サンタナ ◆H8yA7h3n0U :2006/09/26(火) 20:44:56 ID:7FPB5hWZ0
鼻を抓まれる痛みに身をよじった。
振り払った手が空を切った。
まるで水の中でもがいているように、意思に反して四肢が緩慢にしか動かなかった。
男性の指だ、直感的に思った。
涙で滲む視界を通して、相手の姿を見極めようとしたその時だった。万力のように締め付けて動かなかった指が、煮えたぎる湯に投げ込んだ雪のように、跡形もなく緩んだ。
慌てて飛び起き、周囲を見回した。誰もいなかった。
周りには身を隠すものなどない。足早に立ち去る足音も、畳と足袋が擦れ合う微かな物音も聞こえなかった。
呆然と立ち尽くし、狐につままれたような気分で、ふと腕時計に視線を落とした。もう少しで夕方の勤行が始まる時間だった。
その指が誰のものなのか、考えている暇はなかった。
僕は慌てて本堂を飛び出した。
結局、僕がそのことについてゆっくり考える時間を得たのは、夜もとっぷりと暮れた頃だった。
過去帳に新しい永代供養の戒名を記入して、その日の仕事の締めくくりに、毎朝供える仏飯を回収して回る。
僕は本堂へ続く暗い廊下を歩きながら、思案に暮れた。
954 :
サンタナ ◆H8yA7h3n0U :2006/09/26(火) 20:46:34 ID:7FPB5hWZ0
師僧ではない。
夕勤が始まるまでの数時間は、日課である昼寝の時間だ。現に今日も最後に現れて、読経の間中、気持良さそうに寝ていた。
もし師僧に見つかったら、鼻を抓まれるくらいでは済まないだろう。およそ僧侶らしからぬ直情径行と、特攻帰りが口癖の、口より先に手が出る凶状持ちだ。
その場で張り倒され、罵倒された上で、場合によっては師弟関係にまで及ぶかもしれない。
学生二人はどうだろう。二人とも加行を済ませていないから、夕の勤行には加わらない。従ってあの時間に割と時間があった。
その点、役僧の彼は時間的に無理だ。僕が慌てて空衣と袈裟に着替えに戻る途中で、丁度本堂へ向かう彼とすれ違った。
だとしたら、やはり学生か。僕は屈託のない笑顔で、一心に飯をかきこむ二人の様子を思い浮かべた。あの二人にそんな芸当ができるだろうか。
消去法で一人ずつ消していくと、ついには疑わしきがいなくなった。最後に残った可能性は、全てが錯覚だったというオチだ。
僕には無頼を気取り、周囲に対して無神経に振る舞う者がえてしてそうであるように、実は非常に気が弱いところがある。常に人の目を気にしながら、それを隠す為に素行を悪くしたりする。
要するに、さぼっているという後ろめたさと、起きなくてはという強迫観念が、僕にありもしない幻覚を齎したのではなかろうか。
955 :
サンタナ ◆H8yA7h3n0U :2006/09/26(火) 20:48:38 ID:7FPB5hWZ0
しかし、本当にそうだろうか。
僕は鼻を抓まれた時の指の感覚を覚えている。指紋のざらつきまで感じた。焼けるように熱かった。
夢で済ませるには、あまりにも生々しい痛みだった。今一つ釈然としない思いを抱えながら、本堂の敷居を跨いだ。
鎧戸に閉ざされた空間は、電気灯篭の淡い光で照らされてはいても、なお暗かった。
僕は子供の頃から暗がりが苦手なのだが、この本堂だけは違った。それどころか、電気を消されて真っ暗になっていても、少しも恐いとは思わなかった。
僕は仏飯を盛った小皿を集めながら、ゆっくりと本堂の中を巡った。
そして裏堂の前を通りかかった時、ふと誰かの気配を感じた。
不思議と怖くはなかった。丁度目に入ったそれを見て、僕は胸をなでおろした。目の前の靄が晴れて、ようやく合点がいったような気がした。
僕が眠りこけていた場所の真正面には、金箔で飾られた一際大きい位牌と遺影が立てかけてあった。
ふと目があったような気がした。
先代の住職は写真の中で、悪戯が見つかった子供のようにわらっていた。
956 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/26(火) 21:01:09 ID:Tw7KpWpdO
一昨日の実話。
今個室に入院中で眠る前には睡眠薬を飲み、耳栓をするのが当たり前なんだが…
えらく耳元で女の声がして目を覚まし、辺りを見回すが見回りの時間でも何でもない。
ドアも閉まっていた。
とりあえずまた眠りに落ち、翌朝隣が騒がしい事に気付いた。
そして数時間後には名札が変わっていた。
それとなくナースに訊いてみたら…
自分が声に起こされた時間に隣の女性が亡くなっていたそうだ。
長文お疲れ様出した。
感想:普通に語れ。
以上
長文お疲れ様出した。
感想:漏れは結構すき。
以上
959 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/26(火) 21:16:09 ID:/V6QHe0cO
長文お疲れさまでした。
ちっとも怖くないね。
以上
坊さんの端くれの僕ですが、たまにさぼって人目を盗んで昼寝しちゃいます。
あるときそうやってうとうとしていたら、誰かにこっぴどく鼻を抓まれて起こされました。
驚いて目を覚ましましたが、周りには誰もいません。
首を傾げながら、以下
>>955の後半
……1〜2レスで済む話じゃね?
要点が十万億土の彼方にすっとんでるつーの。
いいと思うけどな。凝ってて。
962 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/26(火) 21:23:18 ID:/V6QHe0cO
久々に読み応えがあったよ。
でも、掲示板むけじゃないな。
夢レスパトロールは何してやがる
母親の実家が神岡町だったから、乗鞍岳エコーラインとスカイラインは、
毎年夏に帰省ついでにいろいろな手段で走ったなぁ。
小学生の頃は自家用車の助手席、中学生の頃は自転車でも走った。
高校生になって原付(スーパーカブ)で走ったし、中免取って二輪車でも走った。
大学生になって車の免許を取ってからは父ちゃんや母ちゃん、じいちゃんやばぁちゃん、
田舎の小学生だった従兄弟を乗っけて走ったりもしたけど、
じいちゃんの550cc軽自動車で4人乗ってスカイラインを登ったのが2002年。
なんか書き込んでて、久しぶりに飛騨に行きたくなった。
今度の3連休は、一人ドライブのついでに田舎に寄って、
じいちゃんとばぁちゃんを乗っけて、有峰の紅葉でも見に行こうかな。
965 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/26(火) 22:11:36 ID:aJaHpI5g0
↑
どこが怖いんだ?
怖さよりほのぼのした雰囲気をたのしんでみた。
じいちゃんばあちゃん孝行もたまにはよろしかろう。
968 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/26(火) 23:18:15 ID:TKQiMvhl0
スレも終わりかけているのに、話を投下。
8日前の話なんだが、地元の友達が遊びに来た。
そいつが俺の住んでるところに来るのは初めてだったから、
なんのかんのと観光したりして、俺のマンションに帰ったのが夜の21時。
友達を連れて3階奥の俺の部屋に向かう途中、
そいつが1階と2階の間にある踊り場で固まってた。
声をかけても、そいつは何も答えずに2階の廊下の奥をじっと見てる。
管理会社がいい加減なのか、1ヶ月くらい前から
2階の一番奥の廊下の蛍光灯が切れたままになってる。
元々明かりの少ない廊下だから、2階の奥はかなり暗い。
もう一回声をかけると、そいつがボソッと
「男がいる」
って答えた。
怖くなったので、近くのファミレスに避難。
詳しい話を聞くと、2階の廊下の奥に男が座っていて、
一番奥の部屋を無表情でじっと見ていたらしい。俺には見えなかった。
いつまでもファミレスに居座るわけにもいかないんで、
嫌々ながら戻ったが、そんな男はいなかった。
友人もホッとした様子で、予定通り3泊して帰っていった。
そいつが帰ったその日のうちに、俺は管理会社に連絡して、
廊下の蛍光灯を全て一新してもらった。交換されたのが一昨昨日。
昨日、俺の部屋の前の蛍光灯が切れた。
いやあぁぁぁぁぁぁ
こわっ!!!
シャレにならねぇぇぇぇ
怖すぎる。。。
怖すぎる。。。。
「青い三角定規」元メンバー 自殺か
26日午後4時ごろ、埼玉県入間市豊岡の12階建てマンションで、男性住民が
「ドスン」という音を聞きつけ、敷地内の鉄製ポール(直径約10センチ、高さ約1.3
メートル)に男性がうつぶせの状態で胸から突き刺さっているのを発見した。
男性は死亡しており、狭山署はマンションから飛び降り自殺を図ったとみている。
免許証などからフォークグループ「青い三角定規」の元メンバーで無職、高田真理さん
(59)=同市=とみられる。
高田さんは今月11日午後4時40分ごろ、市内の市道交差点をバイクで酒気帯び運転
していて、自転車の女性(48)をはね、頭の骨を折る重傷を負わせたとして、業務上過失
傷害と道交法違反(酒気帯び運転)の現行犯で逮捕。処分保留のまま釈放されていた。
青い三角定規は、昭和40年代に「太陽がくれた季節」をヒットさせた。
ソース : SankeiWeb (09/26 21:25)
http://www.sankei.co.jp/news/060926/sha028.htm
>>968 話の持っていき方が上手い・・・
つーか、コワッ
ほんのりと次スレ乙
977 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/27(水) 12:42:37 ID:kQMLMn0+O
978 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/27(水) 14:31:42 ID:ZfzahC1nO
埋立
ほんのりっち
君はなにをいま、見つめているの・・・・・
・・・・・・幽霊
981 :
968:2006/09/27(水) 15:04:17 ID:bxJwDxiW0
機械的に埋め立てるのもなんなので、調子に乗ってもう一話投下。
霊道だかなんだか知らないが、俺のマンションはよく出る。
大学に入ってしばらく経ったある夜のことだ。
ベランダの方から「ドガッ!!」って何かがぶつかる音が聞こえた。
鳥かなんかがぶつかったか、と思いながら、カーテンを開けた。
鳥じゃなかった。手だった。
ベランダの縁、手すりの部分に巻きつくように手がかかってる。
ベランダの壁はコンクリだから、手の甲から手首にかけてしか見えない。
俺の部屋は3階。人がよじ登れる場所じゃない。
だが、不思議なもので、叫んだりはしなかった。
もし、何かしらの事情で生きている人間がぶら下がっていたら・・・。
放っておいたらそいつは確実に落ちる。逃げるのは確かめてからでも遅くない。
そんな考えが浮かんだからだろう。
俺はベランダに出て、ぶら下がっている奴を確かめてみることにした。
恐る恐る、手のかかっている部分から下を覗き込む。
982 :
968:2006/09/27(水) 15:04:52 ID:bxJwDxiW0
結論から言うと、やっぱり人間じゃなかった。そもそも、ぶら下がっていなかった。
そいつは地面にしっかりと足を付けて、伸びた手だけが俺のベランダを掴んでいた。
ずっと下の方で見上げている顔と目があった。
ニヤニヤと笑っている気がした。
ここで限界が来た。
ありえない。ありえない。ありえない。
パニックになりながら、家を飛び出た。転がるように近くのファミレスに逃げ込む。
友達に電話し、助けを求めた。友達はすぐ来てくれた。
恐怖も薄らいできたので、友達と連れ立ってマンションに戻る。
外からベランダを見てみる。あいつはいない。
ホッとしながら部屋に戻った。
友人がいるのは心強い。俺は部屋のドアを開けた。
ふと違和感を感じて、自分の掴んでいるノブを見る。
暗い部屋の奥から伸びた手が、玄関のドアノブを掴んでいた。
あいつ、入ってきてる。
悪魔の実の能力者だな
984 :
968:2006/09/27(水) 15:08:27 ID:bxJwDxiW0
+ +
∧_∧ +
(0゚・∀・) ワクワクテカテカ
(0゚∪ ∪ +
と__)__) +
986 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/27(水) 15:23:44 ID:kQMLMn0+O
今日の夜まとめて読も。
俺の部屋にでもそんなことあったぞ
物音するからカーテン開けてみたら赤と青の
全身タイツの怪人がいたんでとりあえず握手してもらった
なんかネトネトしてた
何年か前に家族で海水浴に出かけた時の事です。
初めての海にはしゃぐ息子を私はビデオで撮影していました。
しばらくして少し離れた波打ち際に人だかりができているのに気付きました。
人々の視線をカメラ越しに辿っていくとちょうど息子と同い年位の男の子が溺れています。
なぜあんな浅瀬で?と思いつつ撮影し続けました。
帰宅後、ビデオを編集していると問題のシーンにさしかかりました。
私はゾッとしました。
そこには男の子を引きずり込もうとする無数の手が写っていたのです。
次の瞬間私は家を飛び出しあの海水浴場へと車を走らせました。
海に着くとすぐに車を降り浅瀬に飛び込みます。
すぐにワラワラと無数の手が伸びてきましたが一匹ずつ倒し続けました。
倒しても倒してもキリがないほど出てくる手をもう数千匹は倒したでしょうか・・・
「そろそろいいかな・・・」
最後は全体攻撃魔法で一挙に方をつけると莫大な経験値が。
高らかに鳴り響くファンファーレはいつまでも鳴り止みませんでした。
>>982 自分だったらガチ失禁
160氏、次スレで待ってるよ〜
991 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/27(水) 17:08:09 ID:x2jPa3w0O
>>988 んなことより、見つけた段階で子供助けてやれや。
それでは、みなさん982を待ちながらユーレイの歌を。
サン、はい↓
お化けの救急車〜♪
994 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/27(水) 17:18:17 ID:x2jPa3w0O
>>993 おいっ、何やってんだよっ
違うだ…
お化けの救急車〜♪
995 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/27(水) 17:21:33 ID:2P3ZjUH00
>>994 おいおい・・・なに一緒になって・・・
お化けの救急車〜♪
>>995 おまえこそ何やってんだ!
いい加減まじめに・・・
お化けの救急車〜♪
いつでもまじめに
おばけの救急車〜♪
ここを埋めればいいのですね
お化けの救急車〜♪
999 :
968:2006/09/27(水) 17:43:30 ID:bxJwDxiW0
すまん、客の応対をしていた…orz
俺は呆然とその手を見てた。
「閉めれ!!馬鹿!!」
友達の大声で我に返って、大急ぎで扉を閉める。
ノブが狂ったようにガチャガチャ動いた。
俺と友達は身体でドアを押さえつけながら、鍵をかけた。
しばらく叩いたり引っ掻いたりするような音が響いていたが、それも止んだ。
二人で顔を見合わせる。もう部屋に入る気にはならない。
友達が泊めてくれるらしいので、そいつの部屋に移動した。
1泊して、気分が落ち着いた。昼間って事もあるから、強気に出れる。
俺は部屋に戻ることにした。毒を食らわば皿までだ、と友達もついて来てくれた。
扉を開ける。部屋の中には誰もいなかった。
友達は一泊してくれるらしい。ありがたい。正直、一人で夜を過ごすのは無理だ。
結局、何も起きなかった。
ただ最近、気になることがある。
あんなことがあったから、無理矢理結びつけて考えてるだけだとは分かっている。
でも、不安は拭えない。
たとえば、換気扇のダクト。水道管の中。排水溝の奥。
そんな人の入れない隙間。
そこから、引っ掻くような音がする。
その音があの時ドアを引っ掻いていた音に聞こえて仕方ない。
もしかして、俺はあの手に囲まれて生活しているんだろうか。
僕はマジメです!だからこうして…
オバケの救急車〜♪
1001 :
1001:
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千本目の蝋燭が消えますた・・・
新しい蝋燭を立ててくださいです・・・