お前は、まだ目も開いていなかった。一緒に居たのは短かったけど、あの時、お前を放っておかないで本当に良かったと思ってる。
猫を飼うのは生まれて初めてだった。動物病院に行って、子猫の育て方を聞いた。
お前は夜中、何度も起きて鳴いたな。おかげで、俺は眠りながらミルクを作り、排泄させる事が出来るようになった。
朝は早起きして世話して、大学に行き、昼休みになったら家に飛んで帰って世話して。
昼飯抜きの生活で、俺は少し痩せたけど、お前は日に日に大きくなっていった。
お前とばっかり居たから、人間の友達が減ったよ。
目が開いてからは、いつも一緒に遊んだな。お前の噛み癖を直すのに、俺はかなり苦労したぞ。
「親猫ならどう叱るか」って考えて、お前が噛む度に尻尾の付け根を俺も噛んだ。
でも、それでちゃんと収まったんだから、面白いよな。
お前は大人になれずに死んじゃったけど、今でも思い出すよ。
布団に潜り込んできて、俺の身体に頭をくっつけて寝た。お前だけかと思ってたけど、子猫はそうして眠るんだな。
今でも、俺は寝相がいいぞ。お前と一緒に暮らしてた癖だ。
お前を土に埋める時、来た時よりも大きくなってたんだってわかって、俺は泣いたぞ。
たぶん、これからも死ぬまで思い出すぞ。
お前はずっとちっちゃいままだ。
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