実話恐怖体験談 参談目

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697本当にあった怖い名無し
 2つの市の間を結ぶとは名ばかりでいつ廃線になってもおかしくない田舎のローカル線での話です。
それは御盆も過ぎた夏の夜の出来事でした。星空が見えてはいるが湿度が高く、蒸し暑い夜でした。
日付も替わり、幽霊が現れる丑三つ時までもう少しという時間でした。

 私は1人 風を入れるために軽自動車の窓を開け、暗い田舎道を走っていました。
遅い時間で私の軽自動車の前後には1台の車もありませんでした。
踏切に掛かると突然警報機が鳴り出しまし、遮断機が下り始めました。
わたしは不思議に思いました。田舎のローカル線でこんな時間に列車などありません。
線路の左右を見回しても列車のヘッドライトの明かりも見えません。
暗闇の中で警報機のライトだけが交互に点滅を繰り返していました。
30秒法ほど経ったでしょうか。やがて遠くのほうからレールの継ぎ目の音がガタンゴトンと聞こえてきました。
そちらの方に顔を向けても暗闇が広がるばかりです。次第にガタンゴトンと音は大きくなってきました。
不意に軽自動車のヘッドライトにてらせれて白いディーゼルカーが1両、目の前を通り過ぎました。
ディーゼルカーはヘッドライトも点けなければ、客室の明かりもありませんでした。
それどころかエンジン音すらさせず、すべる様に私の目前を過ぎ去ったのです。
客室の窓には私の軽自動車のヘッドライトに照らされたのか、はっきりとはしませんが何か白いものが移っていました。
白いディーゼルカーが通り過ぎてしばらくすると、踏み切りの遮断機は何も無かったかのようにすうーと元の位置まで棒をあげました。

 あたりは再び、静寂に包まれ、ただ秋の虫の声が鳴り響いていました。
暗闇の中で私の軽自動車のヘッドライトが踏み切りを照らしていました。
私は頭の先から足の先まで汗でびっしょりとなっていました。
私があわてて軽自動車のアクセルを踏み、その場から走り去ったのは言うまでもありません。