友人の話。
山中の高速道路を走っていた時のこと。
腹の具合が悪くなった彼は、最寄りのサービスエリアでトイレに行くことにした。
無事にトイレに駆け込み、ホッと一息吐いていると。
しょりっ しょりっ しょりっ
すぐ近くから、何かを混ぜるような音が聞こえてきた。
ゆっくりと米か何かを研いでいるかのような音。
自分の他には、誰も居なかった筈だけど。後から誰か入ってきたのかな。
それにしても妙な音を立てるな、何をしているんだろう?
個室のドアを開けて出ると、音はパタッと止んだ。
トイレには人っ子一人居なかった。背筋が冷えた。
思わず個室を一つ一つ覗き込んでみた。
どの個室も、白い和便器が座っているだけ。