最初に断っておく。これは作り話だ。あくまでも。其処の所宜しく。
俺の家系はとても古くからの血筋で、とあるド田舎の山の中の集落の長だ。
この現代でも、その集落では家の関係者に逆らう事なんて出来ないし、
逆らった家は住めなくなり出て行くしかなくなる。出て行けなければ、
村八分で苛め抜かれる。そんな土地はまだまだこの日本に多く存在している。
俺の家は本家から分かれ、とある地方都市に居を構えている。
お陰で、俺はそのドロドロした地方の呪縛からは逃れられ、
子供の頃は親に連れられて田舎に行くと蝶よ花よと可愛がられて田舎が好きだった。
今でも、日本の原風景を絵に描いたような本家の有る田舎は嫌いではない。
そんな家だから、本家は驚くほど広い。建坪で優に400坪はある。土塀で囲まれた家自体の敷地は1000坪ほどか。
もちろん、立派な土蔵も三軒有る。庭には小川と池もあり、
そこにはヤマメ・岩魚等が棲んでおり、ちょっとしたプールくらいある池に小川は流れ込み、
秋口には岩魚やヤマメが池に下って産卵する姿も見られた。
子供の頃遊びに行くと、本家の従兄弟たちと野原や家の敷地内を転げまわって遊んだものだ。