しかたがない。ここらで怖い話でもするか。
山形先生自殺事件…。偶然重なった国際的無差別テロの報道に隠れた事件。
それでも事件関係者たちに戦慄が走ったことは言うまでもあるまい。
精神病院の隔離病棟で過ごした山形アカネは妊娠中であることが発覚した。
死んだ兄によってはらまされた子である。
精神病院から産婦人科へ移り、出産。と、山形アカネはけろりと精神疾患など
なかったかのような振舞いを見せた。
一応、精神安定剤や、抗鬱剤、睡眠薬などが処方されたが、「調子がいい時は
飲まなくてもいいよ」と担当の老齢の精神科医は言った。
アカネは関わってくれた病院のスタッフらにきちんと礼を述べて病院を去っていった。
つづく