有名な怖い話をクールに反撃する話に改変しよう 9

このエントリーをはてなブックマークに追加
9本当にあった怖い名無し
「私、メリーさん。今、あなたのうしろに……って、あれ?間に誰か……」

青年の後ろには、同じように艶やかな袴姿の少女がぴったりと張りついている。
少女はメリーさんがどんなに追っても、必ず青年とメリーさんの間に入ってくるのだ。
 メリーさんが歯噛みしていると、後ろから今風の若者に肩を叩かれる。
「ちゃんと順番守れよ」
「あなたは?」
「あの子についてまわっている者です」
 どうやら若者は、少女の元恋人らしかった。青年に嫉妬して少女を付け回しているという。
 少年の後ろには少女の後釜らしき水商売風の女が、
さらに女の後ろにはその客らしきくたびれたサラリーマンが、
さらにさらにその後ろには彼の妻らしき若妻が、
さらにさらにさらにその後ろにはなにやら怪しげな太ったクリーニング屋の店員が……
ぞろぞろと、メリーさんがターゲットにした青年に続いて、
いかにもやっかいなメンバーによる、長い長い行列が出来ているのだった。
それはまるで、ハーメルンの笛吹き男のような有様であった。
メリーさんが先頭の青年に同情を込めた視線をやると、
彼は眼鏡の奥の大きな瞳に涙を滲ませて叫んだ。

「絶望した!怪奇現象にすら同情される自分に絶望した!!」