1 :
本当にあった怖い名無し:
「またなの?」
彼女はあきれた顔で僕の顔を見ていった。
「もう2回も落ちてるのよ?しかもその1つを立てたのはあなたじゃない」
「わかってるよ」僕は言った。
「でも立てなきゃ行けないような気がしたんだ」
「どうせまた落とすに決まってるじゃない」
「わからないよ」
そうなのだ僕はこのスレを愛してるし長く続けようと思っている。
少なくとも今は。
やれやれ、また2ゲットは酋長なのか。
「そうか酋長は春樹が何物か知ってるんだね?」
そう言った後僕は自分がのどが乾いてるのに気づいた。
オーケー今からビールを買いに行こう。
「あなた何もわかってないのね」と彼女は言った。「どうせまたすぐ落ちるんでしょ?」
「僕にはわからないよ」僕は肩をすくめる。
「なにしろスレを立てたのは僕じゃあないし、レスがつくかどうかなんて誰にも予測できやしないからね」
「大事なのはね」僕はビールを飲みながら彼女に言った。
「レスがつくかどうかよりも、このスレがオカルト板にあるということなんだ」
彼女は微笑んで僕にキスをした。ミントの味がした。
「そうじゃないんだ」
そう言って僕は2本目の煙草に火をつけた。
「1番の問題はね僕が春樹の本を一冊も持っていないということなんだ。」
「あッ。」
良子ちゃんはその返信を見付けて声を漏らした。
「ほしたら、誰の文体でもええわッ。」
彼女は顎の肉を震わせながら叫んだのだった。
私はそれを聴いて恐ろしく思うた。このようなものでも糧と成っていく、返信の力と謂う物のおぞましさを思うたのである。
OK。はっきり言おう。
僕は・分かり・ません。
「風の唄を聞け」から読んで出直してきなさい
10 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/03(水) 14:42:26 ID:/bwrHdls0
直子を倒したのも私だ
やれやれと僕は思った。やれやれ。
もってはないが、読んでないとは言ってない。
でも持ってないとやっぱきつい。
そうだ。
明日古本屋に行こう。
彼女は礼を言って、手のひらに載せた小銭をじっと見る。
「ニイハオ」と僕らは言った。
そして彼女をその物静かなみずたまりのような
哀しみのなかにそっと置き去りにした。
まだ読んだことがないという人に対して
お節介ながらも・・・
個人的にだが「ねじまき鳥クロニクル」
3部作あたりから読んでみることをお勧めしてみる
かなりの長編だけどはまること請け合い
「そういえば僕は『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』しか読んでいないな」
「あら、でもあなた昨日言ってたじゃない。『海の向こうで戦争が始まるを読んだ時、ペニスが震えた』って」
「やれやれ」
16 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/06(土) 03:36:12 ID:DiH6n3Vo0
>>14 ねじまきは2部まで読んで現在停止中・・・・・・・・
しかし井戸の部分で貞子のパロディが作れないか・・・・・・
まあすべては本を買ってからだが。
17 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/06(土) 21:32:19 ID:Mex+cwpj0
海辺のカフカ 面白いよ。
村上はオカルト沢山書いてるよな。
オカルトというよりカオスを文章にしてるんだな。
かえるくんとかね。
まぁあのどこか歯車が抜け落ちているような
といえばいいのかな 独特の世界観が空き
難しい言葉を多用したがる傾向があるので
少し敷居が高い気もするけど
世界観が気に入れば問題なし
21 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/08(月) 01:40:36 ID:X9UTAXfV0
密かにグロい表現もあるし・・・・・・
ねじまきのモンゴル人が人の皮をはぐとことか・・・・・・・・・
好むと好まざるにかかわらず
この手のスレは伸びていく
23 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/08(月) 02:15:36 ID:OhoiFIdnO
やれやれ。スレの趣旨が違うことから説明しなければならないなんて。
本当にやれやれだ。
24 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/08(月) 02:19:37 ID:3HGL0DDx0
またでぉったかーっ!
ぶぅぅぅんんん
お兄様!?お兄様なの!?
すぐにまた落ちるのに立てるとは片腹痛いわ。
オカ板住人はおれのスレでも立てればいいのだ。
うは、うはは、うははははははははははははははははははははははははははははははははは。
やれやれまたGW厨か・・・・・・
そうつぶやくと僕はレモンドロップをポケットに入れて猫を探しに出かけた。
28 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/08(月) 04:02:08 ID:8SxtDwp/0
昨日夢を見た、熱せられた鉄板の上でただパティがジリジリと音を立てて焼けている
唯それだけの夢だ、カフカだったらどう解釈するだろうね?
僕だったら、僕はハンバーガーが食べたいのだと解釈するけどね
そうだ、うまいハンバーガーを食べに行かないかい?
パン屋を襲撃するほうがよいだろう
どうにもおなかが空きすぎた
でもこんな時間にやっているパン屋はない
仕方がないのでどこか24時間営業のマクドナルドを襲撃しよう
うん うまいハンバーガーを強奪しにいこう
30 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/09(火) 05:44:38 ID:RIqlr7L+0
それはどうかしら?妻は静かに、しかしきっぱりと宣言した
そしてそれは、日本最大の食品コングロマリットに対して、いくら死ぬほどの
空腹を感じているとはいえ、敵対的襲撃計画を口走った夫に対する
妻の当然の抗議の様に思えた
僕は妻の常識的発言に好意を覚えはしたが、あえて反論を試みることにした
日常的なカップルの会話にも、ときに非日常的なサブジェクトがあった方が
良いに違いないと何故か僕は其の時思ってしまったのだ
なにが?僕は聖人フォレスト=ガンプの様に聞き返してみた
31 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/10(水) 00:56:50 ID:HGe8O+kW0
昔履いていたことのあるスニーカーを
再び手にいれた。
今はもう造られていないモデルだ。れあれあ
「こんなに暑くなるとは思わなかったわ。まるで地獄ね。」
「地獄はもっと暑い。」
「見てきたみたいね。」
「人に聞いたんだ。あんまり暑いんで気が狂いそうになるともう少し涼しいところにやられるんだ。
そしてそこで少し持ち直すと、またもとの場所に戻される。」
「そんな人はどうするの?」
「天国に連れてかれるのさ。そしてそこで壁のペンキ塗りをやらされるんだ。つまりね、
天国の壁はいつも真白でなくちゃならないんだ。シミひとつあっちゃ困るのさ。イメージ
が悪くなるからね。そんなわけで毎日朝から晩までペンキ塗りばかりしてるんで大抵の奴
は気管を悪くする。」
どうやら彼女は僕が死んだ事に気づいていないらし。
村上春樹って文庫本はあるんでしょうか?
ハードカバーしか見たことないんですけど・・・・・
34 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/12(金) 18:32:27 ID:4/QWpH+/0
「オカルト板のあるスレについてお話をお伺いしたいのですが。」僕は名前を名乗ってからそう切り出した。
少しの間電話の向うで全てが沈黙した。
「どのようなスレでしょうか?」と男が言った。テレビの音が小さく下げられていた。
「2005年頃の村上春樹的オカルトというスレです。」男は考え込むように唸った。
「オカルト板に春樹的な僕とか彼女が話すレスが描かれた・・・・・、」「よく知ってます。」と彼は僕の話を遮った。
そして咳払いした。まるで大学院を出たての講師のようなしゃべり方だった。
「2ちゃんねるのオカルト板春樹的オカルトの2005年の秋モデルです。悲運のスレとして少々知られたものでしてね。」
「悲運のスレ?」彼は肯きながら何度か鼻を鳴らした。
「私が悲運のスレと呼ぶのには理由があります。第一に春樹的な書き込み方が十全に理解されなかったこと。
書き込もうと思った頃はもう遅すぎた。第二にスレが落ちてしまったこと。あまりに春樹的に拘り過ぎたんですな。静かなレスが4ヵ月ばかり続きました。
そして2005年の冬、村上春樹的オカルトはオカルト板から落ちました。」
「落ちたんですか?」彼は肯いた。
「ええ、DAT落ちしたわけです。『暗渠=あんきょ』という書き込みを最後にね。
・・・・結局春樹的レスの書き込み方のノウハウはひどく複雑なのですよ。熟読すべき本が何冊も要るし、
それを模倣する書き込みが要る。でも彼らは春樹的オカルトをあきらめはしなかった。」彼はそこで口をつぐんだ。
「あきらめなかったんです。彼らにはプライドがあったんですな。秘密工場で研究は進められた。
そして第3回目の村上春樹的スレは予定どおり2006年5月に完成しました。それがここなのです。」
「いかがでしょう。」と彼は言った。
「もっと書き込みをして貰う訳にはいかんでしょうか?」驚いたことに彼は大学の講師ではなく高卒の営業マンだった。
>>33 僕が初めて彼という作家に出会ったのは、文庫版『ノルェイの森』上・下巻だった。
図書館なんかには置いてあるけれど、そうだね、本屋ではあまり見かけないかも知れない。
作家五十音順に置いてあれば分かりやすいんだけどね。全部が全部そう都合良くはいかないものさ。
……ゴメ、村上春樹よく知らないから、あんまり村上春樹的な文じゃないわ('A`)
「ねえ、ちよっといいかな」
僕は双子に向かって言った。
「君達はこのスレッドにおける、おそらく一番重要な作品を見落としているんだよ」
「ふうん。そうかしら」208が言った。
「ぜんぜん気がつかなかったわ」209が続けた。
「やれやれ」
僕はそこでビールを一口飲んで大きく息をつくと、囁くようにこう言った。
「それはね『レキシントンの幽霊』さ」
春樹文体ムズカシス(´・ω・`)
37 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/14(日) 21:08:10 ID:3iN4roEEO
>33「き、君は、し、書店に行かないの?ぶ、文庫版もたくさん出てるよ」
38 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/15(月) 00:34:02 ID:mYcrCEQY0
どちらかといえば行く方だと僕は行った
しかし、突撃隊はそれっきり黙りこんで何かを考え始めた
僕はそのまま黙って部屋を後にし、まずいコヒーを二杯飲んでから
窓の外を見た
「やれやれ」
外はいつの間にか雨が降っており先ほど干した洗濯物が雨にぬれていた
いつも、タイミングが悪いんだと僕は思った
39 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/15(月) 01:22:43 ID:mwj6EX0NO
僕はうなずく。僕はうなずく。僕はうなずく。
ハンバーガーとかコーヒーの話ばっかじゃねーかw
都市伝説とかユーマの話題とかやっちゃってよ
かなり期待してるっす
やれやれ。
まだ気づいてないのかい君もまた作者の一人なんだよ。
>>33 とりあえず講談社文庫の「む」の棚に逝け。
ただし春樹の本はブックオフに持っていっても値段がつかない。
逆に言えばブックオフの投げ売りの棚にたくさんあることだろう。
43 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/16(火) 23:02:21 ID:uARtVqtUO
やれやれ保守しておくとするか。
44 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/17(水) 05:04:10 ID:nQbQruqG0
>>33 余計なことかもしれませんが村上春樹は自著の文庫化にすごく積極的な人です。
ファンが高価な単行本買うよりリーズナブルに買って欲しいとの気持ちが強いそうです。
なんだか楽しそうなスレだ。
僕はそう思って煙草に火をつけた。
古い煙草の香が口に広がる。
読んだことも無いのに?
どこかで声が聞こえた気がした。
今日は本屋によってみよう。
村上作品は、エッセイにもオカルトっぽいものが多数ありますね。
飼い猫ミューズのエピソードや、ノモンハンへの取材旅行の話等
不思議でちょっと怖い(でも気味が悪いとは感じない)話が多くて好きです。
なんていうかさ、僕にとってすごくタイムリーだったわけだ。
このスレを今日見つけたことがね。本当の話。
The Catcher in the Rey の村上訳版を今日買ったばかりだからね。
本屋の店員がまたかわいい娘でさ、まったくの話、ものすごい美人てわけじゃないんだけど、
彼女の目の前にライ麦たちが平積みになっているとね、どうも手に取らずにはいられなかったわけだ。
真面目な話、僕はこの本のメジャーな訳者が誰だか知らないし、それも読んでないんだよね。
村上にも大して興味はなかった…分かるだろ?なんだか青臭いナーバスな感じがちょっと苦手でさ。
そういうのって、なんかめげちゃうじゃないか。
でもね、僕の言いたいのはさ、「村上的」ニュアンスがどういうものかまだ理解できてないんだけど、
彼の創作にちょっと興味をもったってことだよ。言いたいのはそれだけ。
49 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/18(木) 23:06:37 ID:dBdz+wufO
「よくわからないな」君が春樹的だと思えば春樹的だし、もしそう思わなければそうじゃないんだからね。
50 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/19(金) 00:54:08 ID:QqAkThub0
それにしたところで..ごく個人的なことなんだ。
51 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/19(金) 00:57:51 ID:QqAkThub0
だから、いいかい..
大事なのは 君自身の尺度をもつことなんだ。
おまいら文学板逝け
「ねじまき鳥」も河合隼雄との対談誌も何度も読んだが、未だに『壁抜け』は謎
考える程怖くなってくる・・・オカルトだ・・・
53 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/19(金) 12:57:44 ID:5yFPWhR2O
いるかホテルはオカルト
海辺のカフカも霊が出てくるよね
55 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/19(金) 13:42:11 ID:5yFPWhR2O
佐伯さん?
「村上朝日堂」に載ってた、月夜に民族大移動するナメクジの話には鳥肌立った。
もし自分がそんな場面に遭遇したら、多分泣きながら遠回りして帰る。
あと毛虫壷の話も怖かった。ホントにそんな拷問あったのかな・・・ブルブル
57 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/21(日) 19:46:27 ID:mw1Vi0Lh0
58 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/22(月) 03:23:16 ID:AtgriM0T0
そういえばここテンプレがないな。
また迷走を始める予感・・・・・・・・・・・・・・
59 :
44:2006/05/23(火) 04:13:32 ID:cf9Gx4ZS0
とりあえず“TVピープル”“神のこどもたちはみな踊る”“ねじまき3部”
を買ってきました。
まさかねじまきが文庫本になってるとは思わなかったからラッキーな気分です。
羊男も面白いべ
不思議なくせに、妙なとこリアル
61 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/23(火) 04:51:33 ID:m2Kf4OaU0
「もしもし、私リカちゃん」電話の中でその声は言った。「今、駅前にいるの」
そして電話は切れた。
僕は冷蔵庫からよく冷えた缶ビールを出し、ゆっくり飲んだ。
五月の日曜日の空は青く晴れ渡り、乾いた風が煙草の煙を溶かしてゆく。
さっきの電話を反芻しながらビールを飲み干した頃、また電話が鳴った。
「もしもし、私リカちゃん。今三丁目のコンビニの前にいるの」
それだけ言うと電話は切れた。僕は二本目のビールを出し、何本目かの煙草に火をつけた。
何が起こっているのかよく判らない。はっきりしているのは、リカと名乗る少女がこれまでに
二度、僕に電話をかけてきたこと、そしてどうやらリカは僕の部屋を目指しているらしいことだ。
それ以外には何一つ判らなかった。この出来事が何を意味しているのかも判らなかった。
だが、それはそんなに奇妙なことではない。この世界で正確に理解できていることなど、
一体どれほどあるだろう。
たぶんリカはまた電話をかけてくるのだろう。そうして彼女は少し僕の部屋に近づいている
だろう。僕は三本目のビールを飲みながら湯を沸かした。
三度目の電話は、スパゲッティをゆで上げた頃だった。
「もしもし、私リカちゃん。今あなたのマンションの前にいるの」
よかった。電話がもう少し早かったら、せっかくのスパゲッティが伸びてしまったに違いない。
今マンションの前なら、リカはもうすぐ部屋に辿り着くだろう。僕はフライパンにバターを溶かし、
スパゲッティを入れて軽く炒めた。すぐにオリーブ油を絡め、塩を振り、バジルをかける。
出来上がったスパゲッティを皿にあけた時、電話が鳴った。絶妙のタイミングだ。
「もしもし、私リカちゃん。今あなたの部屋の前に来たわ」
僕は湯気を立てているスパゲッティを眺めながら、次の電話を待った。そう、彼女はもう一度
電話をかけてくる。僕は確信していた。
ビールの残りを飲んだ時、最後の電話が鳴った。
>>60 タイトル思い出したんで補足。ダンス、ダンス、ダンスだた。
>>61 ねじまき鳥的都市伝説ww
台所でスパゲティーをゆでているときに、電話がかかってきた。
僕はレコードにあわせてジョニ−・B・グッドを口笛で吹いていた。
ここに来るとき列車の中で彼女が吹いていた曲だ。
スパゲティーをゆでているときに聴く曲として、それが果たして正しい選択なのかどうかは疑問だったが、
そんなことはどうでもよかった。
電話のベルが聞こえたとき、無視しようかとも思った。
スパゲティーはゆであがる寸前だったし、だいいち鼠が電話をかけてくるとは思えなかったのだ。
しかしやはり僕はガスの火を弱め、居間に行って受話器をとった。
「もしもし、わたしメリーよ。今駅に着いたところなの」、唐突に女が言った。
メリー?メリーっていったい誰だ?いずれにしても、その声には聞き覚えがなかった。
「失礼ですがどちらにおかけですか?」と僕は礼儀正しく尋ねてみた。
「もしもし、わたしメリーよ。い」
僕は静かに受話器をおろした。
まるで古い扇風機を持った乳牛とやっとこの取り引きをしているような会話だ。
どこにも行けない、出口のない迷路。
あるいは彼女も羊に関係した人物なのかもしれない。けれどそんなことはどうでもよかった。
僕は今現在において抱えているトラブルだけでめいっぱいなのだ。
ゆであがったスパゲティーをたいらげると、僕は冷蔵庫からビールを取り出して飲んだ。
やれやれ。
64 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/25(木) 03:08:47 ID:js1tHf+MO
春樹読むとスパゲティ茹でたくなるよな。
65 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/25(木) 04:12:55 ID:SMqs7O1BO
俺はレモンドロップ舐めたくなる
66 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/26(金) 00:20:29 ID:DiC/1cbmO
ウィスキーを飲みたくなるんだ。
毎日欠かさずね
「ニッカだ。」
枯井戸に入りたくなる。ないけど。
じゃあとりあえずドーナッツとコーヒーをもって街に行ってくるよ。
69 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/26(金) 11:59:11 ID:sVRJKwCb0
羊が食べたくナタ!
70 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/26(金) 12:45:45 ID:iKIpPeMDO
71 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/26(金) 19:24:32 ID:qVd8pT700
図書館の地下室で羊男が3時のおやつに焼いてくれたドーナッツ
と羊男が入れてくれたコーヒー。
73 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/26(金) 22:47:27 ID:IJPn80950
よく晴れた気持ちの良い日曜日で、僕はスレを眺めながら
ドーナッツを食べていた。
僕はその日だけでドーナッツを7個も食べていた。
7つも!?
75 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/27(土) 08:29:45 ID:UsrtVeX/0
「ドーナツ病にかかっちゃったんだよ」
村上春樹は照れくさそうに言うと8個目のドーナツを口に放り込んだ。
それはもう「放り込む」と言うにふさわしいしぐさと速度で放り込んだ。
「ドーナツ病というと、エルヴィス・プレスリーもなったというあの病気か」
僕は村上春樹につままれつつある9個目のドーナツを見つめながらたずねた。
「まさか、違うよ。もっと哲学的なものだ。村上春樹がかかるんだからね」
村上春樹はちょっぴり得意気に答えた。
「きみはドーナツという存在の不思議さを考えたことがあるかい」
「いや」
「穴さ」村上春樹は9個目のドーナツをかざして見せた。
「見たまえ。ドーナツにはこの通り穴がある。穴なくしてはドーナツではない。
しかし、ドーナツを食べると、穴は消えてしまう。一体穴はどこに行ってしまうんだろう?」
村上春樹は9個目のドーナツを、それをドーナツたらしめている穴とともに食べた。
「違う。僕はドーナツを食べるが決して穴は食べていない。しかしドーナツを食べると
穴はなくなる。その謎を解こうとして、いつの間にかドーナツをやめられなくなってしまったんだ」
話を聞きながら、僕は突如として脳内に出現した「ドーナツの穴」にとらわれていた。
そうして、やがて村上春樹に食べられるであろう10個目のドーナツの運命に思いを馳せた。
「おいおい何も穴が開いてるドーナツだけがドーナツじゃないんだぜ」
何故鼠がそんなことを言いだすのか僕には理解できなかった。
「そんなことを言ったらきっと傷つくよ」と僕は言った。
「でも僕が好きなのは餡ドーナツだからだ。」
77 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/28(日) 00:10:32 ID:fJDzR9ZWO
カフカのジョニー・ウォーカーVS中田さんのシーンはマジで震え上がった。
「あなたは何もわかってないのよ」と彼女が言った言葉が今も僕の心から離れない。
たしかに僕は何もわかってなかったのだと思う。
君はもうここへは来ないのか?
もし来たのなら少しはわかってるレスポンスが欲しいと思うんだ。
わかってるんだよね。
「だって・・・ドーナッツをいじくるあなたの掌が、限りなくこぐまちゃんに近いちんちくりんなんですもの。
なのにあなたが話すことといえば、隠微で理屈っぽくて少しだけ眠たくなってしまうのよ。
もっとやさしい言葉で話して欲しいの。」
グラスの中のブルーのソーダ水はすっかりと炭酸が抜けて、ただの甘ったるい砂糖水に変化していた。
80 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/29(月) 09:39:06 ID:2cpOViRHO
羊男にあいたい。
実際かなりコワイと思うけど。
>>80 「クリスマス」の佐々木マキさんの絵はとっても可愛いのにね。
“ひらひら動く耳”とか超カワイスなのに、
「冒険」の羊男の描写と挿絵怖すぎる…もろオッサンやん…
今日発売のAERA、春樹の特集だった。
なかなか面白かった。
83 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/31(水) 02:49:10 ID:YbIUBF+f0
TVピープルをみた。
ねじまきを読んだ後見ると、加納姉妹の性格がちがいすぎて萎える。
84 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/01(木) 14:11:04 ID:fzRWRENEO
「やれやれ、仕方ないな」
僕は過疎化の進んだスレッドを保守することにした。
しかし春樹の作品は落ちが曖昧なのが多いな。
86 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/04(日) 23:34:44 ID:m2aPjq/CO
いちいちすっきりした落ちがついたらイヤじゃないか!
「ヴィトゲンシュタインもムラカミ・ハルキも糞だ。結局連中は語ることを放棄することによって語り続けた。バタイユだってそうだ」
リュウはAK-47の銃身から立ち昇る硝煙を嗅ぎながら笑った。俺が女なら彼とセックスをして新たなDNA配列を生み出していただろう。そう思えるような笑顔だった。
「俺が信用するのはキューバ音楽とヘッジファンドと一人称の描写、これだけだ」
バン!。
その時オグマがリュウの股間を撃ち抜いた。
俺は咄嗟に腰のニューナンブに手をあてた。
「何をするんだオグマ」
「思い出せ。おれたちは母親を犯す欲望を回避し、父の生殖器への嫉妬を打ち消す為に銃を手に入れた。その為には武器商人の肝臓をブチ抜くことも躊躇しなかったし、一緒に闘ってきたリュウがあと1時間の生命であるという現実を受け入れることだって可能なんだ」
オグマは自分のこめかみに銃身をあてた。
「おれたちは狂ってる」
オグマは冷静だった。
「しかしジャネットはマイケルの妹であるということだけは永久に否定できないんだぜ」
そのとき俺はオグマを愛しはじめていることに気付いた。
じゃあ3回目に期待だ
90 :
1:2006/06/07(水) 02:54:59 ID:bs0HnL2V0
いや・・・・・・
名無しになっただけでまだ居るのだが・・・・・・・・・・・
彼女は、しかつめらしい顔をして話を続ける。
「あらあなた、この書き込みを見て御覧なさい。立て逃げしたと思っていた
>>1 が、
七誌の守護霊に生まれ変わってるわ」
「君も霊という言葉が好きだな」
「あらあなた、この板にいる時点で、皆霊好き人間と同類よ」
「そうだな、兄者」
92 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/07(水) 09:37:17 ID:HKCwDTlRO
さっさとテンプレ決めろやハゲ
村上春樹著「箪笥箪笥箪笥」。
「たしかに物腰は柔らかいわ。でも・・・悪寒が走るのよ。」
細いシルバーフォークでアプリコットパイを突つく女の指先は小さく震えている。
「愛なんて言葉はクサすぎるの。口に出すだけで背筋が凍りつくでしょ?
なのに臆面もなく愛を語り愛を声高に叫ぶの。信じられる?
ほんとうは・・・彼には微塵の愛もないはずよ。ただ愛に憧れてるだけだわ。わかる?」
ふと・・・・今、女は何度愛を口にしたのだろう?
そんな思いを巡らせながら男はカフェの窓硝子をせわしく叩く雨粒を見つめていた。
龍じゃだめなのか。
だめ
龍なんか全然だめ
99 :
1:2006/06/09(金) 03:48:15 ID:OLrnr//P0
だけどねぇかえるさん。
ほかのスレを見てもテンプレらしいテンプレが見つからないんだよ。
100 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/09(金) 05:14:10 ID:nWdjRAYbO
下痢
>>99 「そうね、確かにその通りだわ」
彼女はまるで新任の数学教師のように
しかつめらしい表情で言った。「でもね」
「ここがオカルト板である以上、このスレッドも
板の趣旨に沿ったものでなくちゃならない。そうでしょう?」
102 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/09(金) 05:31:10 ID:6dkXxYoW0
突然、ドアがノックされた。彼女がやってきた。
「ねえ、あなたのために、素敵なもの買ったのよ」と彼女は言った。
「DHCの化粧水以外ならどんなものでも僕はうれしいよ」
「あなたって森のふくろうみたいに意地悪ね」と言って
彼女は赤いバッグの中からDHCを取り出した。
魚が水から離れられないように、僕はDHCから離れることはできないらしい。
僕は彼女に言った。「とりあえず、ありがとう。」
103 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/09(金) 05:40:23 ID:XaF1Fqyz0
>>102 >「あなたって森のふくろうみたいに意地悪ね」
秀逸。どこかで使って良いかな?
104 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/10(土) 08:39:13 ID:Qc46DnwUO
女「私キレイ?」
大きなマスクをした、赤いコートの女が男に尋ねた。
男「よくわからないな」
よくわからない、この女は何故僕にそんなことを尋ねるのだろう。
105 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/10(土) 15:38:54 ID:0ZtTcOqY0
女「あら、昔は素直に、きれいって言ってくれたじゃない。
ああ、このコートね。真紅な色じゃ怪しいかしら。じゃぁ、脱ぐわ」
そうしてコートを脱いだ彼女を見た瞬間、僕はさっと目をそらした。
そこには、直視できぬくらいあでやかな、なまめかしい裸体が
たたずんでいたのである。
女「どうして私を見てくれないの」
男「君が露出狂になったからさ」
「耐えられない」
「なにが?」
「薔薇だったのよ」
「あれ?君は薔薇嫌いだった?」
「あの練っとりとした濃厚な香りを嗅ぐと噎せ返すわ。思い出すだけでめまいがするの。
好き嫌いの問題なんかじゃないの。生理的に受けつけないだけよ。
薔薇は伝染病に弱いの。それに肥料喰いで根腐れしやすいし手間がかかるから・・・苦手よ。
バルコニーの鉢植えは明日処分するつもりでいるわ」
「そこまで徹底しなくてもいいだろ」
「だめ。棄てるわ。ミッキーだと思ってたのにミニーだったなんて耐えられない。
あなただって、ショーウインドに映る自分の姿にうっとりしてる
ナルシスなんて耐えられないでしょ?リリィならまだ許せるのよ
だって私がほんとうに好きな花は透明感のある青い花だもの」
「ふうむ。今日の君はずいぶんとお喋りなんだね。
しかし何を言っているのか・・・さっぱりだ。困ったな。
アップルタイザーでも飲んでちょっと落ち着く?
それとも今からドライブに行く?海岸線はどう?
きっと爽やかな風が吹いてるはずさ
今夜は僕が運転するから」
107 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/12(月) 15:08:01 ID:n9KSiXnT0
「耐えられない」
「なにが?」
「ぬるぽしたらガッされるのが、たえられない」
「ガッ!」
「ほら、それよそれ。それがもう、耐えられないの」
「仕方ない、そういうお決まりなんだから」
「ペレをED呼ばわりするくらい耐えられないわ」
「EDじゃなかったのか?」
「あれはコマーシャルよ。サッカーの神様がEDだなんて、想像すること自体が愚かなことよ」
「しかし、あれは某世界的薬品メーカーのCMだろ。世界中に同様のCMが流れているなら、
それは非常な勇気を必要とするだろうに」
「そこは、サッカーの神様よ、そんな悪評、ミドルシュートで蹴飛ばすわ」
108 :
ねこまた:2006/06/12(月) 19:03:02 ID:cXDhp+eE0
カフカ=過負荷
オーケーはっきり言おう。
人面犬を・創ったのは・僕だ。
「別に紙なんか欲しくないな」と僕は言った。
「そしてなにより、君の台詞はトレンディーじゃないんだ。
流行性がなくては都市伝説から神秘性が大きく損なわれてしまう。
ねえ君、これは致命的なことだよ。
君にはウォシュレットと乾燥機能の価値がわからないのかい?」
僕はめんどうだったのできわめてストレートな答えを返した。
そう言ってから個室の隙間を覗き込む彼の顔をちらりと見ると、鍋敷きにされた新聞紙みたいに
くしゃくしゃになってしまっていた。 それを見て僕はたまらなく後悔した。
都市伝説という存在は、本来泣いたりするような存在ではないのだ。
やれやれ。
「逃げるんだよ」 猿は言った。
「夢が続いている間はとにかく逃げ続けるんだ。
おいらの言っている事は分かるかい?
逃げるんだ。逃げ続けるんだ。何故逃げるかなんて考えちゃいけない。
意味なんてもともとないんだ。そんなこと考え出したら列車は『活けづくり』に停まる。
あんたは確かに疲れている。疲れて、脅えている。
誰にでもそういう時がある。
何もかもが間違っているように感じられるんだ。
だから列車は『えぐり出し』に停まってしまう。」
僕は目を上げて、また網棚の上の小人をしばらく見つめた。
「でも逃げるしかないんだよ。」と猿は続けた。
「それもとびっきり上手く逃げるんだ。みんなが『挽肉』になる前くらいに。
――だから逃げるんだよ。この夢が続く限り」
112 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/12(月) 21:17:50 ID:F1SkO2J20
「通じ合えていると僕はずっと思っていた」と僕は言った。
「でも彼女はそう考えなかった。見解の相違。
だから何処かへ行っちゃったんだ。
たぶん見解の相違を訂正するよりは『エイズの世界へようこそ』と
言っちゃう方が早かったんだろうね」
「ねえ、君」
「なに、どうしたのよ、そんな博士ぶった語りで」
「SMプレイについてどう思う?」
「ハァ?」
「いやさ、もしこの世に、EDだろうがなんだろうが、射精しないと地獄へ落とすわよ!なんて
女王様に言われるSMプレイが存在したら、それはどんな感じだろうと思ってさ」
「変なこと考えるわねえ」
「あっ!そうだ…」
と、男は何かをひらめいた様子で、席をたった。
しばらくして、一枚のメモ用紙とともに戻ってきた。
「見てくれよ、これを。新しい公式を、またひとつ思いついたんだ!」
「へぇ〜、どれどれ」と除く女。だが、見たと思うと、繭間にしわを寄せている。
「何、この…… 団鬼六 + 杉本彩 = 花と蛇 って」
「原作団鬼六、主演杉本彩、すなわち映画版花と蛇」
「やれやれ……」と失笑する女に、男はこういった。
「花と蛇2の公式が、思い浮かばなくて困ってるんだ。今夜も、眠れそうにないよ」
114 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/16(金) 19:12:24 ID:fStXwd010
>>110-112 「驚いたよ。君は春樹的な文章が上手いな」と僕は言った。
「僕は他の板の春樹スレの常連だけど、
君みたいに素敵な文章を書く人にはあまりお目にかかれない」
お世辞でもなんでもなかった。
僕がいつもいる春樹スレは、このスレよりも整っている――
つまり、レスの全てがきちんと春樹を踏まえていると言う点でだが、
それでも
>>110-112のような文章に出会えると、
まるで春先の野兎のように胸が躍る。
「あなた、何を言っているの?」と彼女が言った。
「あなたの言っている事は、オカルトでもなんでもないわ。
それをなんて表現するか知ってる?――スレ違い、よ」
それから彼女は面倒臭そうに僕を一瞥して、付け足した。
「それに野兎の気分が味わいたかったら、あなたはまず野原へ行くべきなのよ」
やれやれ、正論だ。
僕は口を噤む事にしよう。
116 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/20(火) 13:35:43 ID:Cv/HZTvd0
保守。
117 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/21(水) 02:35:05 ID:4P7gjZOG0
>>115 「驚いたよ、君の言っていることは、まことに正論だ」
画面に向かって、そうタイプした。
それは、自分を戒めることにもなる。
ろくに村上春樹の作品を読まぬ、村上素人の自分が、無理して
このようなスレッドに参加したことが、そもそもの間違いなんだ。
ノーベル文学賞を受賞するかも知れぬ、日本を代表する作家でありながら、
それを容易に踏襲できないのは、もっともなことである。
でも、それは言い逃れでしかないのだ。
真にハルキを極めたものこそが、やがてはこのスレで、輝かしい才能を垣間見せるのである。
それは、ハルキだからこそ出せる持ち味だ。
別の言い方をすれば、村上ファンドだからこその高利回りであり、
闇雲にファンドに投資すればいいという話ではないのだ。
そう、お金が絡む話は、いつもドロドロしているんだ。
Key-Tee(ケイティ=スペルうろ覚え)の行動もかなりオカルトっぽい。
119 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/22(木) 12:45:14 ID:Hg90tNuj0
「ageるんだよ」羊男は言った。
「sageてみた。」
121 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/22(木) 19:47:14 ID:vZcQX4/L0
「ageなければならないんだ」
122 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/23(金) 02:00:28 ID:cO6NLItZO
よかった。スレまだあった。あげ。
123 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/24(土) 00:50:01 ID:AN4dNYpVO
「ageなければいけないんだ。」と僕はいってみた。
124 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/24(土) 01:07:32 ID:uR1Vp5nI0
「なんて、保守のみのレスが多いんだ」新着レスに期待して開いた僕の気持ちは、切ない。
無論、村上ハルキ的な表現が出来ないのは自分でも承知している。
でも、このスレが好きだから、こうして書いてみた。
「あら、何電波お花畑やってるの」
キツイ女だな、もっと愛想のいい言葉を話せないのだろうか。
「マア、そうやって猿真似のレスでもしてなさい。そのうち、
>>115 のような、
粋な本場の人がやってきてくれるから。それまで、
上げと似非で保守するのよ」
いい事いうじゃないか。そうだ、大事なのは、まず楽しむことだ。
このスレを楽しむことなんだ。今度は、お笑い小話板の一行リレーも伺うことにしよう。
最初の一撃が来たとき、どうやってももう不可能になってしまった事を知った。
それははじめての恐ろしい衝撃だった。
虚しいと知りつつも何かやってみざるを得なかった。
ああ、また村上なのか。
もうどこにも渇いた地面は残っていなかった。
何処に行っても希望はついてこなかった。
話しかけてくれる人がまだ居た事だけは嬉しかった。
なんて世界にいたのだろう。どうしてこんな事になるのだろう。
その事実が足をすくませる。
ヒツジの皮をかぶった羊はなにを期待しているのだろう。
言葉では動けない程しがらみの手は多い。
こちらの考えなどおかまいなしで.....。
世界よりも足下の鉢植えを守ると言ってくれればなにもいうことはなかったものの...
あげ。
127 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/27(火) 09:44:56 ID:Me4CFE/BO
あ
同じ人間なんているのかしら。かのじょは言った。
あなたが同じ人間ばかり求めているから皆がまねをするのよ...。
ああ、僕は三流ドラマでも見ているべきだったのだ。
これがそのことなの?
羊男は自分の事をどう思っているのだろう。
「なにこれ」という表現がどういう気持ちなのか、わりとつい最近知ったばかりだった。
存在の事実が新たな希望になり得るかもしれないと...。
それでも、人は、
いろんなものを汚して他人より得をすることばかり夢みている人たちですらも、
無くしてしまうよりは在ることだけでも希望であると認識せざるをえないのだろう。
だからこっそり大手をふって言えるのかもしれない。
完全なる絶望は来ませんように...。
それをもたらすのは羊男そのものだったかもしれないのだ。
それにしても羊男はかってに随分ときずついたものね。
ひどいわ...。
そうなのだ。
最近の日本人の奴らったら、美味しい事をヤバいなんて言うらしい。
..まったくもって困った事だ...。
まねをするという表現はどうやら似つかわしくない事にはとっくに気づいていた。
>>124 それはどうしようもない事なんだ。
僕はあちらこちらで、春樹スレの存在を確認する。
見つけるのはそう難しい事ではない。ガイドライン板に、その為のスレもある。
けれど、どうだろう。
それらのスレは、どれもこれもがまるで蜃気楼のようだ。
現れては消え、消えたと思うと出現し、ゆらゆらとほのかな希望を与え・・・
「僕はまるで、砂漠を旅する行商人のような眩暈に襲われる」
これが僕の本音だ。
「あなたのオアシスは、どこにあるの?」
先日の発言の厳しさを少し後悔したのだろうか。
彼女は穏やかな口調でそう語りかけてきた。
「あらゆる所に」と僕は答えた。
「蜃気楼でも構わないんだ。
かつてそこにオアシスを築こうとしたほかの旅人の足跡、それが僕のオアシスさ」
それから彼女は黙り込み、僕の頬に自分の頬を優しく当てた。
そして、耳元で微かにこう囁いた。
「またスレ違いね・・・?」
そうか......,,,滅亡のなぞがまたひとつ蜃気楼の彼方に浮かび上がってくる。
過去の足跡もあったかもしれない。
現実に見て回ったのかもしれない。
だが、それが旅人の致命的な落とし穴だったのだ。
過去ならなんとでも実証に基づき対話できる...。
それでも浮かんでいたのは、未来のビジョンではなかったのか。
旅人は、ごっちゃまぜを言葉通りに受け取り、未来を消費している事に気がつかなかった。
なにも権威は考古学だけではないのよ。
未来が悪趣味な機械文明だけだと決まっているわけでもないのよ。
そんなのはいんちき広告塔の宣伝文句に過ぎなかったのだ。
本人達も、よもや本気にする人物がいるとは思わなかったのだろうに....。
あなたは疲れているのよ。
だが、それすらも旅人の心には届かないようだった。
未来はね、こいびとたちの心の中に生まれるものなのよ。
見つめ合う相手によって、全く違った未来が見えるの。
そして何十億という人達が違う未来を見る事ができるのだわ。
やれやれ、そんなことはぞうりむしだって知っている...
やはり彼はつきあう相手がいやなことNo.1と
夫婦生活でがまんできないことNo.1を知らないようだった
彼女の未来ビジョンが少しだけ、いえ、かなりかもしれない部分、とても過去に似ている事に鼠は嫉妬していたのだ。
だが、それすらも、それが未来である事に気がつかないのよりはずっとマシだったのかもしれない。
そして、あした過去について書いてある本を一緒に探しに行こうと思いを馳せる事だって立派な、満足出来る未来にはちがいなかった。
おかしな人ね。ポットにお茶を注いだ後に、またポットを探すみたいに。
僕たちは過去を創り出さなければならなかった。
しかも、過去に戻ることなしに....。
ああそうだ、何十億だなんて、なんて忘れっぽいのだろう。
僕たちはダニの市街の上でしか生きられないのだった。
連中だって過去を紡ぎだしている。
136 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/28(水) 22:26:13 ID:J7x7c4Mo0
「村上ファンドの代表が、保釈ですってよ」
村上ファンドだろうが、憤怒だろうが、僕には関係がないんだ。
ただ、時事的なニュースとして、受け止めておけばいい。それだけのことなんだ。
「やぁねぇ、村上スレで村上ファンド、村上つながりってツッコミしてくれなきゃ」
ベタな話だ。
ところで、村上ファンドの高利回りで、一千万円が倍以上に膨らんだ話があった。
うらやましい。金は天下の回り物、人間は愚かにも、その物に振り回されているんだ。
まるで、風車に絡まったビニール袋のように。
「あら、あたしだって余裕があったら、もっとお金持ちと結婚していたわよ」
137 :
本当にあった怖い名無し:2006/06/28(水) 23:20:38 ID:RthLNjyv0
私小説乙
「彼女を呼ぶのはやめてくれ」羊男は言った。
「メリーさんとはずっと前に別れたんだ。僕がメリーさんの羊だったのは
ずっと昔のことなんだよ」
羊男の願いも空しく、電話はずっと鳴り止まなかった。
僕にとって、受話器を取らないで電話の向こう側にいる人に自分の意思を
伝えるのは、ほんとうにむつかしいことなのだ。
無理だ、と言い換えてもいい。
そういうわけだから、僕は受話器を取らざるを得なかった。
「私メリー。今あなたの……あ……ひ、羊男さんっ///」
たぶんそれは、とてもドラマチックな瞬間だったのだと思う。
やれやれ。
139 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/01(土) 19:04:38 ID:NFI6UySa0
「メリーさん、電話はありがたいんだが・・・」
言うか言うまいか、ここが事の正念場だ。
この対応のよしあしで、ストーカーにも、友情にもなるのだ。
苦渋の決断を以ってして、次の一声を発しようとしたとき、
受話器の向こうで、何かをしゃべっている。
「詳しいことはまた今度、話しましょう。それより、部屋の主に変わってくれる?」
メリーさんは、やっぱりメリーさんなんだ。その主らしい態度に、思わず恋心を募らせそうだ。
140 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/04(火) 15:11:57 ID:17KQ/aac0
「あげ」
スレッド倉庫に、危うく流れかけたスレを救出したその心は、複雑と言うべきものだった。
「僕はね、」
少しの沈黙が朝方の霧みたいに僕らを包んだ。
「一体全体、村上春樹の作品は好きじゃない」
大体、書き方がくどいじゃないか。現実味がない台詞たちは紙の上で生きてない。そう、生きてない。
インテリ臭い文体に僕はやれやれと思った。
「でも君は『海辺のカフカ』しか読んでいないだろう?」
「あるいは、たぶん。」
「やれやれ」
彼は心底やりきれないと言った表情で言った。
「昨日、」
言わなくちゃいけない。僕はオカルト板で一番タフな少年なんだから。
「昨日、廊下に変にくねくねしたものがいたんだよ。」
「もちろん、それは」
「そう、人間くらいの大きさだった」
「つまるところ君が言いたいのはそんなものがいるはずはないんだって事。そうだろう?」
142 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/05(水) 12:42:53 ID:3cSdVLVp0
羊男さんがこのスレに一言↓
143 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/05(水) 15:37:46 ID:AM2faHwF0
「つまりさ、おらが本当に怖いのは戦争なんだよ」
144 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/05(水) 17:44:33 ID:AM2faHwF0
僕は羊男を前にして言葉を失った。
それは今まさにこれから起きる未来の話しなんかではなく、もうすでに起こってるかもしれない未来の話しだったからだ。
「戦争って、この戦争?」しばらくして僕が言えたのはこの一言だけだった。
しかし、あたりを見回してみるとそこにはもう誰もいなかった。
辺り一面は目を開けていられないほどの光に包まれて、次の瞬間僕の肩にドロドロと滴り落ちてきたものが溶けた僕自身の皮膚であることに気がつくまでには、
そう時間はかからなかった。
「たしかに、オカルトより怖いのは戦争だね。」
僕はもうすでに溶け落ちた唇をかろうじて動かして言ってみたが、
たぶん誰にも聞こえていないようだ。
「だから隠れているんだ」
羊男がそう言うのが爆音の中から聞こえた気がした。
145 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/05(水) 18:01:01 ID:AM2faHwF0
「なんか、ひとりぼっちになってしまったようだな。」
と僕はつぶやいた。
今はテポドンのスレにしか誰も興味を持ったりはしない。
しかし、本当にそんなことでこのスレが消えてしまっていいのだろうか?
「ひとりでやってたら?」
彼女の言い分はいつも大抵正しいばかりでなく、あたかも普遍的なコモンセンスであると言わんばかりだ。
僕は勇気を出してこう言ってみる。
「だけど、みんなも好きなはずだよ」
そう、やめるなんていつでも出来る。誰にでも出来る。
自分が正しいと思うことを続けるということは、とても勇気がいることなんだ。
でも、彼女は笑ってこう言った。
「でも、それが正しいっていう証拠なんてどこにもないじゃない」
そしてそれが実際には正しい事だとはほとんど永遠に、誰にもわからない事だった。
「見てるよ」
147 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/05(水) 18:49:49 ID:AM2faHwF0
僕がその言葉を聞いたとき、僕の立っている場所が何か特別な異次元ではなく、
また形而上学的空間でも形而下学的歴史でもなく、
どこでもない、僕の部屋のパソコンの前だと言うことに気がついた。
「ありがとう」
僕はそう、つぶやく。
つぶやいてみたところで君には聞こえないかもしれない。
それでもいい。
僕はたったひとりの君のために書き続ける。
ここがオカルト的村上春樹でも、村上春樹的オカルトでも、
そんなことはどうでもいいのだ。
なぜならそこに君がいるから。
そこに君がいると言うことが世界のすべてであり、
世界はただそれだけのために存在していると言ってもいい。
ただ今は、無性にスパゲッティーが食べたかった。
「だれも止めやしないから食べてきたら?」
と彼女が言った。
148 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/05(水) 21:30:54 ID:AM2faHwF0
それは単なるスパゲティではなく、給食によく出てきたあのソフト麺に近い太さの物体だった。
それは絡み合い、バターの汗をかきながらまだ取り出されたばかりの子羊の腸のように絡み合っている。
ソースパンには、ミンチにされた牛肉の断末魔の悲鳴が聞こえてきそうな、鮮血のしたたる鮮度の高い牛挽肉に、
成長過程で変形したためか子猫の脳みそを輪切りにしたような、いびつな形のフレッシュトマトを一緒に煮込んだ、
ボロネーゼソースだ。
彼女がさも楽しそうに岩塩をおろし金で引いて味付けをしている。
「ねえ、月桂樹の葉を一枚取ってきてくれるかしら」
とまったく僕の方を見ずに彼女が言ったが、僕ははっきり言ってあじさいと月桂樹の見分けなんかつかない。
「今つかうの?」
と半分あきらめてくれないかという期待をこめて言ってみたが、
そのささやかな抵抗は沈黙という弾丸によって綺麗さっぱり銃殺され、
後には塵ひとつ残らなかった。
「やれやれ」
彼女は今、それがたとえ誰になんと言われたとしても本人が主張するところによれば、
ボロネーゼスパゲティである物体を完成させる事に、すべての神経を注いでいた。
それを妨げるいかなるテーゼも、もはや台風の前に転がる立て看板のごとく、
どのような種類の痕跡も残すことはできなかった。
僕はあきらめて庭に生えている月桂樹らしき葉っぱを2〜3枚むしり取り、
彼女に渡した。
「それ、椿よ」
と彼女が言った。
149 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/05(水) 21:43:11 ID:XBVt4AtAO
「せっかくだからシャンプーにしてよ」
150 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/05(水) 21:56:24 ID:3OLuLx3m0
電話の向こうで彼女はこう言った。
「海の向こうからミサイルがやってきて私たちの日常を潰すのよ」
それから唐突に電話は切れ、僕は再び真夜中の静けさに取り残された。
闇にかかる細い月。おとついの晩、引っ掻かれた頬の傷がちくちく痛む。
痛むのは頬だけじゃない、ふりむきざま彼女は確かにそうつぶやいた。
151 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/05(水) 22:22:14 ID:AM2faHwF0
スパゲティを食べ終わると当然のように僕らはベッドに入った。
美しい彼女のなんの施しもされていない黒髪からはシャンプーの匂いがした。
明かりを消すとすべての物体は光を失い、漆黒の闇の中にその不器用な存在を投げ出した。
アイロンが焼いたコットンの香りがシーツから漂い、僕はその冷ややかな感触とともに彼女の身体を彷徨った。
突然、テレビがタイマー仕掛けのように光りを取り戻し、なんの前触れもなくニュースショーを映し出した。
女性キャスターは冷静に振る舞うことを強制されて背中にナイフでも突き当てられながら話しているような声で、
こう言った。
「昨夜未明に新潟県沖に着弾したものと思われるミサイルの破片に、遺体の一部と思われる肉片が付着し、
共に新潟県の海岸に漂着したもようです。」
「新潟県警の発表によりますと、現在その遺体の身元を調査中ですが、その遺体の損傷は極めて激しく、
国籍、性別、年齢等、まだ何もわかっていないそうです。
しかし、左手と思われる部分が見つかっており、その薬指には結婚指輪と思われるものがはめてあり、
そこにはNAOKOと書かれていたことから、日本女性であるという見方を強めています。」
152 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/05(水) 22:37:50 ID:AM2faHwF0
僕はテレビが映し出されたことより、彼女の薬指にもまったく同じものがはめられていることに驚きを隠せなかった。
なぜなら、その指輪は僕らが結婚をして10年の記念として僕が買ったものであり、
それ以来片時も外さなかったのを僕はずっと知っていたからだ。
テレビ画面から彼女に目を移すと、まるでこうなることを予測していたような悲しげな目で、
彼女は言った。
「あれは、私の一部なのよ」
その途端に美しいシルクのような素肌が突然泡立ち始め、その薄い肌を突き破って小指ほどの太さもある蛆虫が次から次へと這い出した。
唇ははがれ落ち、歯茎から耐え難い異臭を放ちながら黄色い膿が滴り、変色した歯根と共に抜け落ちた。
眼球がころりと糸につるされたくす玉のように揺れ、黒い髪が一気に白髪になり、ばさりと音を立てて落ちた、。
全身から蛆が這い出した頃になってようやく我に返った僕は、あらん限りの声で叫んだ。
「ぎゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
しかし、夢は覚めない。これは夢ではないのだ。
153 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/05(水) 22:41:06 ID:AM2faHwF0
今になって思う。やっとオカルト的になってきたと。
154 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/05(水) 22:56:38 ID:AM2faHwF0
でも、ひとりで書いていると、本当にテポドンに女性が縛られて飛んでくる映像が、
僕のささやかな思考を占領し、ほぼ現実の事のように思われてくる。
だが、むろんこれはフィクションであり、実在するすべての人物・及び団体にも一切関係がない。
しかし、である。
もしここにそのようなニュースを見たという記憶が存在するならば、
一体誰にその記憶の存在を否定することが出来るのだろう。
僕が実際に見た妻の変死体はもしや、
このスレの中に永遠に生き続けていくかもしれないのだ。
そう、
今これを読んでいるあなたの心の中にも・・・・。
「ハァ・・・。あの事件のことはよーく覚えております。
死者が別の場所に現れて一緒に話をするなんて体験、めったにありませんからね。
・・・アッ、今先生私のことをキチガイだと思ったのではありませんか。いいえそんな事ありません。
私は全く持って正常ですよ。……アッハッハ。まだ疑ってらっしゃる。ではお話しましょう。」
チャカポコチャカポコ
似てない上にスレ違いごめん
ブー……ウウ……ウン……ンン……
157 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/06(木) 01:38:52 ID:Mh4PeAVA0
「とうとう、そのタブーに触れてしまったか」
>>153 のレスを見て、そう感じざるを得なかった。
なぜって、ここはオカルト板だ。お笑い小話板ではない。
かつて、お笑い小話板に出入りしていた僕には、
一行リレー小説も、このスレのような小説の雰囲気を取り込んだものも、
お笑いスレに見えてしまうのだ。
だが、そこに一石を投じたわけだ。オカルト板で展開されるスレッドなのに、
お笑い小話的な、いや、厨房と言われかねない話の流れに、
大きな影響を及ぼすだろう。
それはあたかも、テポドン発射で四面楚歌に陥る、某国のようだ。
「あら、ネタスレもなにも、2ちゃんねるの書き込み自体がネタなんだから」
それもまたタブーであり、2ちゃんねるなのだ。
158 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/06(木) 08:09:38 ID:QpuCmPhm0
おはようございます。オカルト的村上春樹(もちろん本人ではない)です。
初めてこのスレッドに出逢ったときの驚喜を、おそらくはここにおられる皆さんにも理解しては頂けなかったと思う。
なぜなら、オカルト的と謳われているにも関わらず、誰もその手の話しの展開をしないばかりか、
むしろ村上春樹的ユーモアに満ちた散文集的なスレと化していたからである。
その村上春樹的であるべき文体のずれ具合すらも・・・。
ここで、私は重大な任務を課せられた事を自覚しつつ、
いわば文化的雪かきのような逃避を許されない使命をここに見いだしたのである。
しかしながら、皆さんに問いたい。
僕が書き続けることは可能なのであろうか?
ここにそれを求める住人が多少なりともの好意を併せ持ちながら存在しているのだろうか?
それが今の僕の存在理由であることに、半ば人生の不思議な巡り合わせを後悔しつつ・・・。
159 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/06(木) 11:14:15 ID:mkybFQE60
「ここで、村上春樹的文章のレシピをご紹介いたします。
今日は、村上春樹歴20年という先生にお越しいただきました。
先生、よろしくお願いいたします。」
「はい、今日は参加しづらい雰囲気になってきたこのスレに、
新たな参加者を増やすためにも、ぜひおぼえていただきたいレシピをご紹介します。」
「さて、まずは材料です。
1、一人称「僕」・・・適宜
2、固有名詞を用いた比喩・・・多め
3、過去形の述語・・・全般
以上となっておりますのが、先生、各材料の詳しい説明をお願いします。」
160 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/06(木) 11:21:51 ID:WxYSOzw10
「はい、まずはこの一人称の僕についてですが、
必ず漢字の僕を用意してください。
カタカナや、ひらがなですと、大変に趣の違ったものになってしまいます。
ちなみにここを二人称の君に置換していただくと、
あ〜ら不思議、ジェイ・マキナニーに早代わり。
最近では柴田元幸デビュー小説風にもなります。」
「なるほど〜いろいろ楽しめますね。」
「はい。でも、本日のメニューはあくまでも村上春樹なので、
必ずここは僕を使用して下さいね。
万が一、文学的過疎地にお住まいの方で、僕の入手が困難なときには、
一時的な代用品として「私」を用いることも可能です。」
161 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/06(木) 11:29:29 ID:k+PT33IX0
「そうなんですか〜。ちなみに「俺」はどうでしょう?」
「もってのほかです。たとえ一人称といえども俺を使うくらいなら、
三人称の「彼」若しくは「彼女」を用いたほうがよいでしょう。
「俺」を使ってしまいますと、一気にコミックになってしまい、
独特の純文学的風味が損なわれてしまう恐れがありますので、
ご注意下さい。」
162 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/06(木) 11:38:37 ID:NgtaKIJr0
「わかりました。ご家庭で可能な範囲で、ご用意下さい。
それでは、次の「固有名詞を用いた比喩」についてですが、
これはどこにでもあるものでいいのでしょうか?」
「はい、確かに村上春樹は固有名詞をふんだんに用いて比喩を使いますが、
この固有名詞にはかなりの注意が必要なんです。」
「・・・と、申しますと?」
「はい、固有名詞は誰でも知っている企業名、または商品名に限られ、
氏名及び無名の固有名詞は全て架空のものを使用します。
しかも、その割合はきわめて少なめで、大企業ものを使われることを
お奨めいたします。
ただ、いくら有名でも赴きが若干、春樹的なものと、そうでないものに分かれるので、
これにも注意が必要です。」
「具体的にはどのようなものでしょうか?」
そうですね、例としてあげると・・・
163 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/06(木) 11:43:36 ID:YIKqFP/v0
「では、「時代遅れとなりつつあるたまごっちのように」ではなく、
「「時代遅れになりつつあるマッキントッシュのコンピューターのように」
といった感じですが、お分かりになりますね。」
「ハイ、確かに、たまごっちだと春樹っぽくないですね」
「でしょ?前後の言葉は同じなのに、使った固有名詞が違うだけで、
突然、春樹の独特な風味が損なわれてしまうんです。」
164 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/06(木) 11:55:41 ID:XF8Ji9c/0
「なるほど〜ディープですね〜。
それでは、この最後の「過去形の述語」についてなんですが、
これはいかがでしょうか?」
「そうですね。確かに1990年代後半までは、ほとんど完全にといっても
言い過ぎではないほど、過去形にしてあります。
ですが、最近では多少なりの現在形を用いて文章の流れを変化させていますが、
やはり初心者の方が村上春樹を作る場合には、無難に過去形で行きましょう。」
「わかりました。それでは作り方です。先生、お願いします。」
165 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/06(木) 12:06:05 ID:T5iKfkyj0
「まず、一人称僕に、適当な動詞を付け加え、そこにふんだんに比喩を用います。」
「はい。「僕は、降っているかいないか良くわからない雨のような曖昧な立場で、
そこに佇んで・・・」という感じでしょうか?」
「そうです。すばらしいです。そして最後に過去形に仕上げます。」
「はい、「僕は、降っているかいないかよくわからない雨のような曖昧な立場で、
そこに佇んでいた。」でよろしいですか?」
「そうです。とてもエクセレントです。
ちなみに「いた。」を「いる。」に変えるとなぜか春樹っぽくないですね。
そこが不思議なんです」
春樹って中毒性あるから注意
おらも昔そうだった…今思うとはずかしいぃ
春樹が読んだだろう作品を読んでるうちに
春樹のことは忘れていったな…
もっとよい作品はあるから、春樹で立ち止まらない方がいいお
167 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/06(木) 12:17:01 ID:fQM5VM4S0
「では先生固有名詞はいかが致しましょう?」
「はい、文章の大体中盤から用いるようにしましょう。
最初の一文はあくまでもシャープに、スマートに、
視覚に訴えることを目標にして作り上げ、中盤のリズムが乗ってきたころあいを
見計らって、固有名詞を投入してください。」
「わかりました。では、
「僕は、降っているかいないか良くわからない雨のような曖昧な立場で、
そこに佇んでいた。足元にコードレスの電話機とコカ・コーラのロゴが入ったメモ用紙が、
立場の曖昧さに拍車掛けているように投げ出されていた。」
こんな感じでいかがでしょうか?」
「はい、もう少しだけ内容を作り上げるともっとすばらしくなると思います。」
「ありがとうございました。
皆さんもぜひ、チャレンジしてみてくださいね」
ではこの辺で・・・。」
>>166 悲しいかな、そんなことは皆すでに承知の上なのだよ。
やめたくてもやめられない。
それでこそ中毒。
タバコをやめた人がやめない人に向かって
「僕も前に吸っていたけど、今思うとはずかしい」なんて言ったら、
なぐられっぞっ
やれやれ、君たちはほんとうに四角く区切りたいんだね。
まるで四角ければそこだけは影が追いつけないとでもいうように...。
170 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/06(木) 15:14:10 ID:Mh4PeAVA0
>>166 悲しいかな、ハルキスレへの中毒症状まで現れる始末だ。
オカルト板なのに、ネタの集合体のようなこのスレッドは、
時に癒しを与え、ほのぼのとさせる、オカルト板のIT革命ヤーと、
某グルメレポーターに指摘されかねない違和感、しかし快感を持ち合わせているんだ。
そのうえ、ハルキ初心者向けへの、ハルキ的書き方まで
教えていただけるなどとは、思っても見なかった。
このスレに対する、恐ろしいほどの魅力、執着。それこそ、オカルト的なのだ。
171 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/06(木) 15:57:52 ID:lxf4l20m0
さて、さてさてさてさてさてされ。
うおーーーーーーーーーーーーーー。
だれか、だれか早く、早く春樹をくれ〜〜〜〜〜〜!!!
「それはとても難しい注文なの。だって考えてみてよ。
ここのレスはまるで半島の北にあるミサイルみたいに
レスが来るのかと思っているとほとんどレスが無い日ばかり続くし、
もう誰もレスしないのかなって思っていると
突然7発もミサイルが飛んで来たみたいにレスが埋まるような
とんでもない日があるのよ。
だから求めすぎるときっと何も得られない物なの
だからそれまで靴箱の中で暮らせばいいのよ。」
僕は彼女が何を言いたいのかよく理解できなかった。
混乱しているみたいだ。
今まで保守の為だけにしかレスが無かったのにこの数日間でこんなにレスが
伸びたことが信じられなかったのかもしれない。
173 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/06(木) 22:14:10 ID:/LQHjdnO0
そのミサイルにはすでに何万人もの命を一度にではなく、
ゆっくりと時間をかけながら石臼に引くように殺すことの出来る猛毒
「ヒトラジン」をその冷たい体内に沸々と漲らせながら、
静かに、その海岸に着弾した。
たしかに、誰にも止められない事なのかもしれない。
だか、しかし、である。
「40kmしか飛ばないミサイルは我が国の驚異ではない」
などと平然と言い放つ原子炉の蓋を思わせるような厚顔の某国の高官に、
その被害に苦しむ人々の悲鳴を想像するような、
まともな神経を望むよりはるかに簡単なことのようにさえ、
思えてくるのだ。
友よ、平壌はあまりにも遠い・・・。
174 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/06(木) 22:30:02 ID:/LQHjdnO0
僕はもう止めて10年になるのに、無性にたばこが吸いたくなっていた。
それはフロイトなら体内回帰願望と呼ぶかもしれない。
唯物論者ならニコチンの体内記憶と言うかもしれにない。
でも、僕にはもう、それが何であるか分かり切っていた。
いつかは訪れるというときにはまったくもって意識の片鱗を彷徨うだけの、
漂流者のごとき死の存在を、
今、ミサイルの存在に直視することを強要されているために起きる、
恐怖から逃れるための手段に他ならない。
いいじゃないか、健康のために止めたのに、
死んでしまったらもう、吸えないじゃないか。
羊男がそう言った。
>>174 「値上がりした途端に吸い出すなんて、ばかみたい。」
176 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 01:01:26 ID:Zaw1fe4I0
>>175 いいことを言うじゃないか、しかし、そのレスを見て、悲しいニュースを思い出してしまった。
あの時、彼女が僕に語った話だ。
「ねぇねぇ、この新聞見てよ。増税直後に、数百カートンのタバコが盗難ですって」
なんということだ、増税の直後に、そういうおぞましい盗難事件がおきるなんて。
タバコは怖い。ニコチン、タール。中毒症状ばかりが著しい。
タバコが増税されるたびに、カートンごとに買い求める喫煙者たち。
増税という言葉の、購買意欲としての効果は、ニコチンよりも著しいのではないか。
そういえば、渋谷や池袋のギャルたちも、中毒症状があるって言うじゃないか。
「どんな?」
懇切丁寧に教えてあげよう。チンチン中毒だ。
「ばかみたい。アメリカなら、とっくにセクハラで訴訟沙汰よ。
やっぱり2ちゃんねるは、ネタで作られた虚構のサイトなのよ」
ネタをネタと見抜けないと、掲示板を使うのは難しい。かの管理人の言葉は、今日も心に染み渡る。
>>172-174 うまいなぁ。
>>175 そう言い放った彼女は、まるで家に置き忘れたミッキーマウス付きの鍵の事かの様に付け加えた。
「あ、さっき外から見たときに、あなたの車の助手席に誰か座ってたじゃない。」
「誰もいないよ。」
「ふふっ。」
彼女は僕に可愛らしい笑顔を向け、さっきの話題”北朝鮮やミサイルとか”を続けた。
せっかくのデートなのに僕の頭の中は助手席に座っていた”誰か”が頭から離れない。
まったく小学生の時のように、夜中に一人でトイレに行けるかどうか考えを巡らせている。
あるいは、一人で風呂場に入りシャンプーをし終わった時に、オバケがいるんじゃないかなんて考えている。
やれやれ。
178 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 08:22:08 ID:76weseF+0
>>177 確かに、書いているときはほとんど無意識に近いような、
トランス状態なのかキーボードを叩く指が自分のものとは思えなかった。
そして、その文章が板に載った瞬間にすでに、
僕の思考を離れた文章は、親を持たない捨て猫のように恨めしそうに、
僕の脳裏にビジュアルとして現れ、背筋を凍らせていくのだった。
「今夜一人でトイレに行けないかもしれなのは君だけじゃない」
僕は一人でそう、つぶやいた。
羊と別れた羊男はたしかにもう羊男ではなかったのかもしれない。
最初からそうだったかもしれないという思いは、多くのものにとってオカルトだろうが、
羊男にとっては二度と羊男として呼ばれないであろうこともまたオカルトには違いなかった。
なぜならば、世界は対話を求めることを止めはしないだろうし、体制を食いつぶす狼は検挙せざるを得ないからだ。
彼女はメリーという言葉に対していつも敏感に反発していた。
これはなんなのだろうかといつも感じていた。
しっと ? 女性的なるものへの嫌悪感 ?
彼も感じ、彼女もそうせざるをえなかった時代であったかもしれないことに少しは同情すべきなのだろうか...。
いずれにしても知らない人のことをどうこう言うのはよそう...。
ああ、またテポドンが降ってくるかもしれなかったのだった。
釣り糸を下げた男のやり方はすっかり研究され尽くされているというのに、釣り人は場所を変えて
自分のやり方に固執しつつ止めはしなかった。
水中で影色の潜水服を着た男達に引きずり込まれようとも....。
それともとっくに引きずり込まれ、人工的にしか生きてはいられなくなっていたのだろうか。
自分の姿を見ることも許されず、他人に投影することでかろうじてアイデンティティーを貰っている身には。
彼にとってはとっくにオカルトだったはずだ。
どうしようもないことであってはいけない....。それは多分内的世界の滅亡であることには違いなかった。
内的世界が崩壊しない為には外的世界がしっかりしている必要があるのは否定のしようも無かった。
羊男はまるでそれが新しい発見のように嬉しく目新しいものだったのだろう。
もしかすると彼こそ歴史そのものであるのかもしれない...。
彼女はそんなことをぼんやり考えながら、
九次元まで語ることが出来ながら彼そのものがほとんど二次元的であるのことの不思議に次の言葉のじしんが少しぐらつくのを覚えた。
そう。維持するという事は誰にとってもそう簡単ではなかったことなのだろう。
だからこそ個々の生命が自分自身の維持に終始してしまう。
コーディネーターは地球自身であったかもしれないし、有りてあるという何かの意思なのかもしれない。
だが、生まれてきた以上羊男も亦その法則の一員であったはずなのだ。
余分な事をいろいろと覚え過ぎていたのだろう。
生まれてきた時ですら死にきっていないようにすら見受けられる。
オカルトだから言っちゃうけど、ぶっ叩かれて痛みを感じるまでに、何十年かかるのだろう。
5分かかった恐竜は絶滅したというのに。
ふふっ。なんかおかしなIDなのね。
散髪屋の毒薬がよっぽど、最初だけにしろ効いたようなのね。
そんなにがたがたになるまで、よく放っといたものだとは思うわ。
でもまだ少し痛みは感じるようだから、致命的ではないと思いたい。
そう、彼女を置いて逝ってしまうのは、個人の裏切りだけではなく、もっと大きな裏切りである事には違いなかった。
しってるのよ、生きている間にとてもできないだろうと思っている事位。
この状況下では差し出す事は裏切りと悪に等しかった。
この状況下で、近くに居る事だけが愛ではなかった。
彼の方こそなぎ払ってでも確実性を確かめるべきだったのだ。
絶望的な努力の人に感心する程の指導力に、愛だけではどうしようもない責任者としての資質を
いぶかしがっているに過ぎなかった...。
それでも彼には、人には、物事をただす必要と義務があるのよ !!
この曇り空のしたでは非難めいた響きに聞こえるであろうことは容易に想像がついた。
彼女には聞こえなくとも、鼠どもがそう大合唱している事ぐらいは知っていた。
もし神がいるとしても、頭蓋骨の位置さえ分からない状態では復活のさせようもないでしょうね。
また他人事に置換しようとしていることぐらいは感じられた。
誰かが、護摩をすっているのだろう...。
本人自身がそう思えないのなら、幾度でも言ってあげる。
たぶん愛をこめて..............
羊男のことなのよ。他の人の事なんか考えてもいない。
そうね、たぶん彼女はもっとまわりの関係を観てみるべきだったのだ。
ラムとレイさんがだれであるかの確証などなかったのだけど。
究極のじこちゅーも、そろそろ新展開を迎えられるのかもしれない。
念のためにもいちど言っておくけど、彼女は所詮他人の事なんか分かる訳が無いという哲学の持ち主だったんだ...。
184 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 11:56:30 ID:dv2rg0pF0
>>179-183 「何かあったのかい?
はっきり言って君の文章は支離滅裂だよ。」
読んでいるのに疲れてしまった羊男は、相手の気持ちなんかお構いなしに
そう言い放った。
で、 ぼんっ! よ
186 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 13:14:58 ID:jEaCmYtr0
>>179-183 のような文章を書かれると、
せっかく戻りつつあった住人が逃げてしまう。
これは別な意味で嵐と考えていいのだろうか・・・。
187 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 14:27:21 ID:o3Vbfy0U0
支離滅裂という言葉の意味を初めて理解できた気さえする。
「この板ができたばかりの頃には楽しく、世界は愛に満ちていたのに・・・」
と彼女が言った。
「でも、もともとオカルトなんだから、楽しさや愛を求めたら、
それはスレ違いというものだよ。」
と、僕は今日のためにとっておいたあらん限りの勇気を振り絞って、
そう言ってみたが、もちろん黙殺された。
だれか、2ちゃんねる風、村上春樹的文章のレシピを下さい・・・。
>>188 自分で探すのさ、探すんだよ、みんながびっくりするくらいに上手にね
と、羊男は言った。
訂正
自分で探すのさ、羊男は言った
探すんだよ、みんながびっくりするくらいに上手にね
>>189 「見つけられるのかな・・・」
僕にはあまり自信が無かった。
羽根を全部むしられたムクドリよりもずっと疲れていた。
以前飼っていたムクドリが死んでしまってからというもの、
僕には何かを探すなんてとてもできなかった。
「大丈夫。君には僕がついてる」
羊男がムクドリの串焼きを旨そうに齧りながらそう言った。
>184〜188
やれやれ、いつまで君たちは支離滅裂という意味がわからないのだろう。
反語の詐欺には真実なんてどうでもいいさと言いたいのだろうが、
隠れてばかりいる羊男に、逆切れは似合わない。
何度も奇跡を起こしてきたであろうほんとの言葉をしんじないんだね。
彼は今の時代こそまともに論破すべきだったのに。
>>192 羊男は隠れてなんかいないのよ、それはアナタの頭の中に住んでいるの
それにね、さっきからずっと気になっていたのだけど、アナタのその「やれやれ」って
全然そぐわないと思うの
「ソ グ ワ ナ イ と オ モ ウ ノ」
それは僕の灰色の脳漿の中の何かを刺激し続けているような気がした
「ソ グ ワ ナ イ と オ モ ウ ノ」
そうなんだ、君は春樹スレにそぐわないんだ。論破とか奇跡とかを期待するよりも遥かに
194 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 15:15:13 ID:h4+NbHf+0
ageてみた。
195 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 15:16:35 ID:h4+NbHf+0
192は精神的にかなり危険な状態なのではないだろうか・・・?
196 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 15:23:41 ID:R/V7X+kr0
>>192 これ自体が文脈としてかなり支離滅裂。
まともな神経とは思えない。
ありていに言えば、自分がかなりおかしいことに気が付いていないんだ。
とりあえず出てってください。
なにを書こうが勝手じゃないか。
僕はそう言って虹色の背表紙のある本を取り上げた。
お互い自分の事を言われているように感じると感情的になるようだった。
そう、彼女はその本が望まない結末の可能性が見えたのだった。
彼女にはその十把一絡げの考え方がとても不思議だったんだ。
でも、ま、いいさ。
ここは専門版ではないからさ。
それにしても、みんななんて理論に弱いんだろう。
198 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 15:29:18 ID:7g+WxneI0
「テポドン」
「テポドン」
「テポドン?」
「テポドン」
やれやれ
>>197 君は疲れているんだ、もう考えることも嫌になっているはずだと思う
ちょっとこの黒いソファに座ってごらんよ、そう、そうして背もたれに体を預けて
「ガンッ」
この瞬間に目の前のシャッターがいきなり落ちてきた
そう、まるで灰色の巨大な猿が、ハンマーで後頭部を叩いたように、だ
きみたちにそぐうように やれやれを無理矢理入れてあげたのに しつれいねっ!
201 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 16:18:41 ID:4ERdYP8x0
「やれやれ」は禁句にしないか。
202 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 16:21:22 ID:Zaw1fe4I0
「あたし、思うのよ。もし、 ID:AJhrapNA0 が私たちと話が合うように配慮しているなら、
”胡麻すり” を ”護摩すり” と、あえて誤変換するのも理解できるの」
やれやれ、彼女の言うことはもっともだ。だが、それは仮定での話しなんだ。
もしも、の場合なんだ。
しかし、これ以上彼に説得をするというのは、まるで愚かしいように思う。
ネズミがネコに、どれだけ哀願しようと、結局は食べられてしまうだろう。
つまり、無駄な努力なんだ。
「あなたはそんなこと言える立場なの?それとも、それもオカルト的透視で見抜いたとでも言うの?」
そうカッカしなさんな。けれどもね、彼とは、住む世界が違うんだ。
いや、はっきりといおう。彼はネタをネタと見抜けないんだ。
つまり、2ちゃんねるなど、そもそもすべきではないタイプの人間なんだ。
203 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 16:26:47 ID:Zaw1fe4I0
頼む、前言の最後を撤回させてくれないか。
「つまり、2ちゃんねるなど、そもそもすべきではないタイプの人間」ではなく、そもそも、
ネタスレに出入りするようなタイプではなく、まともな小説同人サイトで、
小説を書くべき人間なんだ。
いや、もしかすれば、2ちゃんねるにいとどまるべきかもしれない。
電波お花畑、という板の中で。
「じゃぁ、これでファイナルアンサー?」
さぁ、もんたフォンに相談しなければいけないな。判断を仰ごう。
「ライフラインで、もんたフォンを使いたいです」 と、言うことにしよう。
そう。彼は鼠を喰うかもしれないわね。
提案するネコよりも、後をつけて証拠を残さないように齧りまくる鼠達。
鼠達は、未だにネコが、鼠を襲わずに済めばと思っている事を信じてはいないでしょうね。
でも、問題は社会なのよ。
ああ、そこまでも手を広げていたんだったわね。
で、なにをしたいんだっけ?
ID:Zaw1fe4I0の最後の一行についての考察と変更はどちらも正しいのだろう。
だけど、僕はこれからちょっとした買い物に行かなくてはならないんだ。
そして、申し訳ないがこちらからももう一言。
彼のそのぎこちなさは、ネコが鼠に頼んでいるようには見えないか・・・
207 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 17:32:57 ID:9IfB8pd00
>>149 今さらだが反応が悪くてごめん。
君の言っていることがしばらく理解し難かったのだが、
もしやそれは、椿シャンプーのことだったのだね?
その話に繋げられなかった僕が悪かった。
208 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 18:01:13 ID:9IfB8pd00
>>149 ではつづき。
僕は一瞬彼女が何を言っているのかわからなかった。
まさかつい最近資生堂が売り出した流行りのシャンプーの名前だなんて、
思いも寄らなかったからだ。
もちろん僕は全身白い石けんで頭からつま先まで隅々洗ってしまう。
いちいち頭や顔や身体で使うものを変えたりしていると、
必ずリンスで顔を洗ったり、シャンプーでひげを剃ったりしてしまう。
間違いにしばらく気が付きもしないかもしれない。
それでなくても、たまに彼女の洗顔用の石けんで、間違えて全身を洗ってしまっては、
「これ、すごく高い石けんなんだからね!」
なんて子どものように叱られるのだから。
「いいから、早く月桂樹もってきて!」
やれやれ。
^^「やれやれ」は、このようにつかうんでしゅよ!初心者さん。
209 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 19:59:35 ID:BKk4W9MD0
頬の傷はともかくとして、ミサイルなんかのことよりも
僕たちの間に横たわるこの暗闇のような問題をなんとか片付けるべきだった。
それは長い長い苦痛を伴う作業にも思われ、
または吸い終わる寸前の紙煙草の先っちょを思い出すくらいつまらないことなのかも知れない。
どちらにしろ、目の前の現実はまだ夜明け前の風前の灯なのだ。
汝、隣人をおそれることなかれ。そう、なにもおそれることはないのだ。少なくとも今この瞬間は。
210 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 20:33:29 ID:q/1x3Wam0
「もし君が言うようにこのままじゃ死んでしまうのだとしたら」と僕は言った。
「僕はいったいどうすればいいんだろう?」
「もう一度この話を忘れるのよ。それも今すぐにね」と彼女は断言した。
「それ以外に紫の鏡の呪いをとく方法はないわ」
「今すぐに?」と僕は聞き返した。
「ええ、今すぐによ。20歳の誕生日が来る前にね。思い出してしまった話を今忘れるのよ」
「もし君が雑誌編集者だとする」と彼が言った。
「そして人を不安にさせるのがすごく気持ちよくて好きだとする。でもいろんな事情で
たまにしか掲載できない。
そうだな、雑誌の売上だとか編集長の圧力だとかあるいはレジデントオブサンの
脅迫状だとかによって、掲載できたり掲載できなかったりするんだ。
でも人を不安にさせないと妄想力も余るし、苛々してくる。どうして掲載できないんだと
腹が立ったりする。
こういう感じわかる?」
「わかる」と彼女は言った。「いつもそんな風に感じてる」
「じゃあ話が早い。それが MMR(マガジン・ミステリー・ルポルタージュ) なんだ」
212 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 20:38:48 ID:q/1x3Wam0
僕は気持ちを整理するために、とりあえずシャワーを浴びた。
そして、髭を剃った。
さっぱりしたらなんとか気持ちは落ち着いてきた。
気持ちが落ち着くと、急にお腹が減ってきた。
僕はスパゲティを茹でた。冷蔵庫の中のあり合わせでソースを作った。
「うん。悪くない」そうつぶやいていた。
ふと机を見ると僕が使っているノートの表紙には「DEATH NOTE」と英語で書かれていた。
「デスノート?」声に出して言ってみたが何の事だか全く心当たりがない。
「そして、か、神になるんだ。
し、新世界の、か、神になるんだ。」
やれやれ。そんなしち面倒臭いことは頼まれたって願い下げだ。
僕はその悪趣味なノートを、最近買ってきたばかりのシュレッダーに差し込んでみた。
次に、出てきた紙チップをミキサーに――二万九千八百円もしたけれどまだ二回しか
使っていない――に掛けてみることにした。
まずコップ一杯半の水で120秒間回し、コップに残った水を注ぎ足して、また60秒間回す。
うん、悪くない。
そして、僕はそのどろどろした液体について色々考えを巡らせた末、
トイレに捨てることにした。これに相応しい捨て場所だと思ったのだ。
ようやく僕が一仕事を終えて部屋に戻ると、変な格好をした死神が正座していた。
やれやれ。
死神ネタがブリーチと被っていることくらい小学生でも知っている。
「悪いんだけどさ、『一人多い!』は怪談かなんかでやってくれないかな」と僕はきっぱりと言った。
「それやられるとキャンプする気なくなっちゃうんだ」
「でも何度数えても6人だよ」と彼は信じられないという顔をして言った。
「知ってるよ、それは。6人だろ?6人はまだ僕にとっては悲鳴を上げる人数じゃないんだ。
どうしてかは説明できないけどとにかく1人くらい増えたってキャンプは続けられるものなんだよ。」
「駄目だよ。1人増えたら怖がらないとオカ板住人から文句がくるんだ。いまなら夕方だから誰からも顔は見えないし」
「じゃあ歩み寄ろう」と僕は言った。
「悲鳴は上げても構わない。まあヤラセだけど。そのかわり誰がいたのか後から思い出せないってのだけはやめてくれよ。
つられて僕まで忘れちゃうからさ。それでいいだろ?」
「お、思い出せない?」と彼はびっくりとしたように訊きかえした。
「思い出せないってなんだい、それ?」
「思い出せないといえば思い出せないだよ。ぜんぜん記憶があいまいなやつだよ」
「そんなのないよ」
僕の頭は痛みはじめた。もうどうでもいいやという気もしたが、まあ言い出したことははっきりさせておこうと思って、
僕は実際にみんなの名前を言いながらメンバーを順に指差した。
「ほら、こいつだよ、思い出せないだろ?」
「そ、そうだな。たしかに思い出せないな。気がつ、つかなかった」
「だからさ」と僕はシートの上に腰を下ろして言った。
「そいつの存在だけは覚えていてほしいんだよ。他のところは全部我慢するから。」
「駄目だよ」と彼は実にあっさりと言った。
「一人多くなったのに気付いちゃうと、無意識に思い出せなくなっちゃうんだ。
十年も毎年毎年キャンプしてるからさ。」
僕はそれ以上何も言えなかった。いったい何が言えるんだろう?いちばんてっとり早いのはそのいまいましい幽霊?に
懐中電灯を向けてしまうことだったが、そんなことをしたらお約束好きのオカ板住人に半殺しにされるのは目に見えていた。
僕が言葉を失って空しくシートに座っていると『彼』はにこにこしながら僕を慰めてくれた。
『き、君もさ、一緒に悲鳴を上げるといいのにさ』と『彼』は言って、そこで僕の記憶は途切れてしまった。
216 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/07(金) 20:59:38 ID:5450K+yx0
おそれることは何もないと言ったのはつまり、僕の主観的、希望的観測で
その針先のようにちっちゃな確信を支えるものはなにもない。
「それがあなたの答えなのね」ベッド脇に彼女は立ち、僕を静かに見下ろした。
ノースリーブの赤いシャツに、おそろしく短いスカートをはいて。
髪は森の中を駆け回った鼠のようだった。それは彼女の幾分神経質な表情によく似合っていた。
「安全な地球儀のうえで踊ってるのよ、つまりは」
「たぶん」僕は言った。「くるくる」
おそれることは何もないと言ったのはつまり、僕の主観的、希望的観測で
その針先のようにちっちゃな確信を支えるものはなにもない。
「それがお兄ちゃんの答えなの?」あぜ道に弟は立ち、僕を静かに見下ろした。
タンクトップの白いシャツに、おそろしく短い半ズボンをはいて。
髪は南極の中を駆け回ったペンギンのようだった。それは弟の幾分SAN値をオーバーしそうな表情に
よく似合っていた。
「田舎な田んぼのうえで踊ってるのよ、つまりは」
「たぶん」僕は言った。「くねくね」
218 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/08(土) 06:58:57 ID:tDX7uAr6O
「スレが沈むのが早すぎるんだ」と僕は言った。
「これじゃ誰も見つけてくれないような気がする」
口に出してしまうと、本当にそうなんじゃないかと不安に思えてきた。
「でも、深海に漂うのも悪くないのじゃないかしら。村上春樹的なスレってきっとそういうものよ」
「そうかな。僕には村上春樹的なスレというのは、保守すること、ageることに通じると思っていたけど。
現実的にも、形而上学的にも。それに書き込まないと落ちちゃうから」
「つまり、ネタが無いってことよね」と彼女は言った。僕は聞こえないふりをしてスレをageた。
219 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/08(土) 07:37:48 ID:0UZHFlBY0
おはよう。
寝落ちしている間にこんなにスレが伸びているとは驚きだった。
しかも、例のつじつまの合わない支離滅裂なレスだけだったら、
絶対にお気に入りから外してやると意気込んですらいたというのに、
>>212-215あたりのかなりまともで村上春樹的な上にしっかりオカルトな
ストーリー展開には脱帽せざるをえなかった。
どんなに努力しても支離滅裂な文章しか書けない者もいるようだが、
今後そういった駄文は文学的マスターベーションと呼んではどうだろうか?
「カイている」つながりという意味合いも込めて・・・。
やあ、と僕は言った。・・・・・いや、言わなかったのかもしれない。
僕は液晶板に手を載せた。液晶は氷のように冷ややかであり
僕の手のぬくもりは白くくもった十本の指のあとをそこに残した。
彼女はやっと目覚めたようにおいらに微笑む。懐かしい微笑だった。
「なぜ来たの?」
「君が呼んだんだ。」
「呼んだ?」彼女は少し迷い、そしてはにかむように微笑んだ。
「そうね、そうかもしれない。でも本当は呼んでないかもしれないわ。」
と彼女が言った。
「そうだね、呼ばれてなんかいなかったのかもしれない。」
お互いにしばらく黙り込んだ。
「このスレッドの事はよく考えてたよ。」と僕は言った。
そしておそろしく惨めな気持ちになるんだ。
「自分の書いたことに?」
「そう、自分の書いたことにね。」と僕は繰り返す。
彼女はずっと微笑を絶やさなかった。
「あなたは悪くなんかないのよ、精いっぱいやったじゃない。」と彼女は言った。
「違う、違うんだよ。僕は何一つ出来なかったんだよ。
大切なことは何一つね。余計な事ばかりしかできなかった。
指一本動かせなかったんだ。でも、やろうと思えばできたんだ。」と僕は言った。
「終わったのよ、何もかも。」
「そうかもしれない、でも何一つ終わっちゃいない、いつまでも同じなんだよきっと。」
「寒くない?」と彼女が訊ねる。
「暑いさ、まるで真夏だ。」と僕は言った。
そして細かく震える手でタバコを引っ張り出し、火をつけて煙を吸い込んだ。
僕のことを快く思ってない人がどれだけいるのか少し不安だった。
「きっと誰も覚えてないわよ。」と彼女は言った。
「1以外はね。」
やれやれ
やれやれやれやれやれやれ。
やれ、やらぁ、やれすと
224 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/10(月) 22:49:41 ID:rg5UgKCh0
「まぁ、これで有終の美といえるの?」
そうなんだ、どうみても、ジダンの頭突きは、自らの経歴を汚すものでしかないんだ。
ジダンはがんばった。それでも、僕にも、彼がMVPを受賞したことが理解できないんだ。
「仕方ないじゃない、MVPの投票は、試合前に選定したんでしょうから」
225 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/10(月) 23:11:02 ID:JrMtKgFM0
「その春夫がね」と僕は言った。
「春樹」
と、彼女は訂正する。
「春樹よ。ハ・ル・キ」
「その春樹がね、オカルト板で・・・」
「また2ちゃんねる?」
「そう、2ちゃんねる」
彼女はまたかと言った顔で苦笑する。
「あなたはそればっかり。もう、飽きたでしょう?」
そうなんだ。僕はすっかり2chに飽きてしまい、そのくせ
また2chに来てしまう。
「その2ちゃんねるで春樹がどうしたの?」
「春樹がね、オカルトなんだよ」
「心霊写真?」
「そうじゃないんだ。違うんだったら」
知らず知らずにさ、僕の文章が「ライ麦畑でつかまえて」風に
なってやがるんだよ。
それをこの女は笑ってやがるんだぜ?頭にくるだろ?
「そうじゃないんだ」
僕は話し続けてやった。
「春夫がさ、オカルトというのは・・・」
「春樹」
また訂正しやがった!
226 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/11(火) 03:13:42 ID:15YwX2tQO
>>226 「なんじゃこれは?」
それが、僕の第一印象だった。何せ、馬のことしか書いていない。
だが、このレスは、どうみてもコピペではないし、ここに書かれている以上は、
ハルキに関連しているはずだ。
と思いながらスクロールすれば、あったあった。167番くらいから。
「あら、今度は競馬なの?」
横から彼女が突っ込んでくる。なんだかんだで、彼女もネットが好きみたいだ。
男は下劣とか、下半身だけの生き物とか言ってののしるくせに、
夜になると、みだらになる女のように。
「それで、結局そうやって、一日中2ちゃんねるにしがみつくのね」
まぁ、そんなことはどうでもいいじゃないか。それより何より、情報の鮮度が素晴らしいから、
おのずと吸い込まれてしまうんだ。
「とかいいながら、陰ではポルノサイトでも、見てるんでしょう」
地底湖の上には日常の光が差していた。
生まれたのは蛾だったのだろうか.....
いや、ちがうわね。そうであったならとんでもない変換がなされた事になる。
だって、と彼女は言った。
前に一度会っているもの。
ものごとは美しくおだやかに運んでいたし...。
でも、目の色が違っていたのが少し気になったけど、見間違えたのは私の方だったのかしら。
彼の餌はオカルトだって?
それはそうかもしれない....。
だけどもともとまともであるべきはずの人達がオカルトだったのよ。
彼にとってはオカルトが少し多すぎたのかもしれない。
だって、まだすこし日常に魔の光が残っている.....。
羊男はいなかったのだろうか。
そう見えるのはかぶり物のせいだったのだろうか。
それでも羊男は自分を見つけなければならなかった。
あるいは生み出さなければならなかった。
どんな人でもそうしなければならないように。
春樹は羊男を捜していたのよね。
そして見たのは世界の終わりだった。
羊男が探していたのは太古のロマンだけだったのかもしれない。
だけど、羊男を捜しに出かけた者はみな、とてつもないミステリーの世界に葦(足)を踏み入れてしまう。
彼はその世界を愛しているのか、出たいのか.....
でも、もっと恐ろしい事は、羊男の世界を現実として生きている人達が大勢いる事だった。
...違う。大勢なんてものではない。
現実の世界は羊男の世界よりももっと美しくミステリーでなければならなかった。
そうであれば、羊男は当たり前に見える現実に戻って来れたのだろう。
だけど現実は、すでに現実と呼べない程だった。
羊男には現実がどのように見えたのだろうか。
美しくない現実ばかりを選んだのは、羊男そのものではなかったのだろうか。
彼女にはそれでも美しくないとしか言えない何かがあった。
それでも、しかたなかったんだよと弁解するのだろうか。
もちろん羊男は現実の羊男ではなかった。
心の中にすまわしているそれだとしても、それ自体が意味を持っていた。
あなたの生き方はあなただけの世界なのよ。
理解は出来ても、あなたとは別の生き方を皆がしているのよ。
そう。かつては個人が自分の足で歩いているように見えたものだった。
支え合う為に自分を捜させ、見せたのではなかったのか。
これは僕だけのチラシの裏だってことはわかっているさ...
231 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/11(火) 12:53:30 ID:15YwX2tQO
「フォッ、フオッ、フオッ」
博士は1馬を片手に高らかに笑った。「最近は特注☆もなかなかどうして、ふんふん」と上機嫌に頷いた。
「あら、お祖父さま、今度は何をごらんになってるの?」太った娘が近付き1馬を覗きこんだ。
両耳の大きなピンクのイヤリングが古代の蝶のように揺れた。
「いや、いかんいかん。お前には競争馬などに関心を持ってはならん。おなじオスでも、人間の成人男性に興味を持たんとな、なあ君」
博士はドーナツを頬張りながら独特の笑い声をあげて僕に視線を移した。
太った娘は頬を赤くしながら僕の方を見た。
「嫌だわ、お祖父さんたら。お気になさないでね、いつもこうなんです」
「かまいませんよ」と僕は言った。
彼女はとてもチャーミングだったし何よりもドーナツを作るのがとても上手だった。
「でもね、競馬はもう辞めて欲しいんですよ、この間も単勝とかいう馬券を500万も買って、しかも当たっていたのになくしちゃったのよ」
「500万?」
500万、と僕は思った。
エアコンが故障した中古のフォルクスワーゲンに乗り、一張羅のよれよれのブルックスブラザースのジャケット、くたびれたスニーカーを履いてる僕にはまるで別世界だった。
「いやいや、年をとるとどうもいかんです。大事な事から順番に忘れていくんですな」
博士はドーナツの砂糖がついた口髭 を中指で擦りながら恥ずかしそうに笑った。
「それはそうと、そろそろ本題に入りますかな」
博士の目が鋭くなった。
「ええ」
私は身を乗り出した。
「1馬の特注☆の件ですね」
こうして僕の冒険が始まった。
『やれやれ、ひどく蒸し暑い夜だな。』
僕は汚れた窓に手をあて、ネオンが光る街を見つめた。
突然ばかばかしくなって、10年来のクーラーのリモコンを握り、僕は横になった。
妙に息苦しくなり、目の前は靄がかっていた。
『15年前の話なんて、至極どうでもいいことなんだ。』
僕は自分に言い聞かせた
「タレント志望が、放火魔で逮捕とは、やれやれよね」
彼女は苦笑しながら、なおもテレビを見つめる。
そうだ、自称熊田Y子似の二十歳の女が、逮捕されたニュースを見ているのだ。
でも、なるほど言われてみれば、似ていないこともないな。
「あたしだって、タレントになれるほどの美貌と体形を持ち合わせているのに、
こんな男と付き合ったばかりに、まるでグレードが下がった感じよ」
はははっ、逆に言えば、そういうグレードの低い男の掌中に収まったナンジは、
クモにかかったチョウチョのようだ。
「まぁ、憎たらしい。あたしが哀れなあなたのために、その身をゆだねてやったのに」
どうやら、チョウチョのような、蛾を捕まえてしまった様だ。
234 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/11(火) 20:20:11 ID:15YwX2tQO
ひどい頭痛で目が覚めた。僕は今いる場所がわからなかった。昼か夜かさえわからない。周りの音も全てこもって聞こえた。まるで耳栓をしてプールの底に沈んでいるようだった。
次の瞬間、激しい吐き気と目眩が僕を襲った。
頭の皮をベリベリと剥されるような痛みだった。
だめだ、一塁ベースまでも歩けない。
「気分はどう?」
気付くとベットの脇に見憶えのない女が立っていた。白のブラウスにベージュのカーディガン、コットンのパンツを履いていた。
どれも高価ではないが良い素材の物だった。そのまま通販カタログに載りそうなくらいシンプルで清楚だった。
視線は僕の顔に向けられていたが、まるでその下のマットレスまで透かして見ているかのように真っ直ぐで確固な視線だった。
「何か食べた方がスッキリすると思うわ」
女はクロワッサンとオレンジジュースが乗ったトレイを僕の膝のあたりに置いた。
僕は上半身だけ起こし、ためしにクロワッサンをひとくち囓ってみた。まるで新聞紙を丸めたような味がした。
「あんなに飲むからよ」
女が口元をほんの少しだけ曲げて言った。
おそらく微笑んだのだろう。
僕はしばらく考え込んだ末に女に尋ねた。
「ねぇ、こんな事訊くのはとても間違ってる事だと思うんだけど・・」言葉を遮って女が言った「競馬場。」
競馬場?
「昨日あなたと私は競馬場で出会ったの」
また僕が考え込む番だった。
競馬場?と僕は思った。
どうやら私の知らない世界で、ゼッケンをつけた馬が頭の中を走り回っているのだろう。先行逃げ切り、だのラストひとハロン、などと言いながら。
「やれやれ・・」僕はこれまで競馬場に行った事など一度もないのだ。馬とロバの区別さえ上手に出来ないだろう。
何かが狂いはじめていた。
やれやれ・・
もう考えるのはよそう。
テレビではジダンの頭突きのシーンを何度も繰り返し流していた。
235 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/12(水) 10:19:49 ID:3+Yu4lNP0
このようにそれぞれが思い思いの散文をただ載せて行くだけのスレが、
今まで存在しただろうか。
しかもオカルト版でありながら、オカルトであることよりも、
村上春樹的文章であることの方が優先されているのだ。
しかしながら、このように自己完結型の文章の寄せ集めにしか見えないこのスレにも、
それなりのコミュニケーションが成立していることに、
わずかな希望を捨て切れない自分がいる。
「それにしても熊えりって一体何考えてるのかしらね」
と彼女が例によってワイドショーを見ながら僕に見解を求める。
はっきり言ってそんなことは知ったことではないのだ。
でも、そういう風に突き放すことなどできないので、考える振りをする。
「たぶん、何も考えていないんじゃないかな。想像力というものが無いんだよ。きっと」
「そうよね。ブログのネタ集めのために火をつけて回るなんて」
「何も考えていない人間にしかできない」
僕はその日7個目になるリンゴを齧りながら言った。
236 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/12(水) 14:31:15 ID:Xq0GewK+0
村上春樹的な文章・書式が求められるにもかかわらず、当方のような、
似非ハルキストが出来るだけそれらしく書こうとするのだが、
すればするほど、墓穴を掘るように、そこらにある散文と同等の、
似通った書式になってしまう。これこそが、ハルキの魅力であり、難解さなのだ。
くまえりが、放火魔でありながらも、にわかに話題になっている。
そんな折も折、どうしてこうも、熊田Y子は、クマッタクマッタといわんばかりに
注目を集めるのだろうか。
某ナインティナインの岡村さんとのフライデー騒動とか、年初からにぎやかだった。
両者とも、フライデー騒動には一切を否定していたが。
ところで、かねてからこのようなスレが存在するのを認識していて、
これを機に、それを、ここにしたためることとし、これを以ってして、
このレスを終える所存なのである。
「国民的アイドルが潮吹きのオンパレード!」 7月に能田曜子がAVデビュー!!
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/dqnplus/1147284985/l50
237 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/13(木) 00:46:59 ID:ye+IDKleO
僕はその日7個目の林檎を囓りながらグリーンチャンネルの競馬中継を見ていた。
特に興味があったわけではない。
下品なバラエティ番組にうんざりしていたのだ。
黒いサングラスに裸同然のレザーを身にまとった男が1分間に何回腰を振ろうが僕にはどうでもよかったし、その回数を正確に知った所で何かの役に立つとは思えなかった。
もともと僕は競馬があまり好きではなかった。
あるいは嫌いだった。
妻は何度か僕を競馬場に誘った。
「ねぇ、今度の日曜は競馬場にいってみない?天気も良いみたいだし。馬券なんか買わなくてもいいのよ。客席の芝生で寝転んだら最高じゃない?」
その度に僕はいつも曖昧な言い訳を探しては引延ばして来た。
日曜は事務所にデジタル複合機が搬入されるとか、税理士の都合でどうしても日曜しか打ち合わせができないとか、そんなところだ。
他人が乗る馬にお金を賭けるなんて僕にはとても理解出来なかった。
馬券を買う馬には自らが乗るべきなのだ。JRAはそんなシステムにするべきだった。
そうすれば日曜の競馬場は手作りのサンドイッチやドーナッツや水筒に入れたコーヒーを持った家族連れやカップルで溢れていたに違いない。
「ほら、3番の太田さんの外側からややマクり加減にアガっていくのがパパよ」
とか「ノボル!そのまま二の足を使って逃げ切ったら結婚してあげるわ!」
とかね。
でもそれは所詮僕の身勝手な嗜好であり、JRAが僕の意見に賛同するとはとても思えなかった。
ギャンブルにはギャンブルの成り立ちというものがあるのだ。
グリーンチャンネルは函館競馬場の何レース目かの発走を映していた。1頭の馬がゲート入りにてこずり場内がざわめいていた。
「なかなか入ろうとしません、マチカネダンスダンス・・・係員がなんとか押し込もうとしますが・・・・後ずさり・・・」
アナウンサーが我慢強くその様子を実況していた。
解説者は他の馬への影響について語っていた。
カメラが係員を映した瞬間、僕の中で何かが震えた。緑色の制服を着て黄色の帽子を目深に被ってはいたがそれが誰なのか僕にはすぐにわかった。
何年か前に北海道に越したという事は彼の別れた彼女からの手紙で知ってはいた。
「鼠?」
頭が痛んだ。
僕は無意識に今日8個目の林檎に手を伸ばしていた。
238 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/13(木) 10:33:44 ID:KB/AP+fU0
しかし、僕が林檎をそんなに食べていたのは決してダイエットのためではない。
近くに食べられそうなものが林檎と玉葱くらいしかなかったのだ。
もちろん、玉葱をそのまま齧る人だっているかもしれない。
でもそれは所詮他人の嗜好であって、僕の胃袋は僕の胃袋である。
何をどう食べようと他人にとやかく言われる筋合いはないのだが、
8個目の林檎を齧ろうとした瞬間、彼女が僕の手から林檎をもぎ取った。
「あなたね、いくらお腹が空いてるからって、一体いくつ林檎食べれば気が済むのよ!」
確かに、食べすぎかもしれない。
「ちょっと、考え事していたんだ。」
僕は言い訳をしながらテレビ画面に目を移したが、もうそこに鼠の姿は無かった」
239 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/13(木) 11:53:48 ID:Lgj97PL10
鼠といえば、必ずとは言わないまでも、ミッキーを思い出すのは、
人間の悲しいサガだろうか。
そんなことを考えながら、馬乗りする女性を想像しつつ、
目の前の競馬中継を、目のやり場に困った挙句の苦渋の選択肢として、
見やっていた。
ところで、林檎といえば、アダムとイヴだ。
いや、老婆の魔女と言うべきか。いずれにしても、
どうしてこうも、林檎というと、悪いイメージにしか扱われないのか。
こんなに真っ赤で、人をひきつける不思議な魅力を持ち合わせているのに……
その魅力に取り付かれた彼女が、八個目の林檎をもぎ取ったので、
仕方なしに、九個目のそれを手に取った。
と思ったら、手のひらに収まるそれは、玉葱だった。
「林檎ばかり食べるなんて、エコヒイキだわ。玉葱にも目を向けるべきよ」
やれやれ、最だ。偏食程恐ろしい事は無い。
240 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/13(木) 12:47:50 ID:ye+IDKleO
『コミュニケーション』
僕は口に出して言ってみた。
顔も、名前さえも知らない誰かが僕のつたない文章をレスで繋いでくれたのだ。
しかも自分のテリトリーからはおそらく外れているだろう「競馬」というカデゴリーの中でだ。
僕はその『誰か』を想像してみた。
それは素敵な作業だった。ソファに深く身を沈め、ゆっくりと目を閉じた。まるで古いモノクロの無声映画のように様々な顔が映っては消えた。
遠くから今年一番の蝉の鳴き声が聞こえてきた。
彼らもまた鳴き声で『コミュニケーション』をとっているのだろうか。僕はその誰かを『蝉くん(あるいは蝉さん』と呼ぶ事に決めた。
僕がその事を話すと妻はとても喜んでくれた。
『素敵な名前ね。蝉のミンミンさん。』
『みんみん』
『みんみん』。
僕らはベッドに入りその日8回目のセックスをはじめた。
春樹の本は購入はするというのに最後まで読んだ試しがない。
このままではねじまき鳥は私の中でねじまがった鳥というイメージから脱することができないじゃないか。
やれやれ
「窓辺のアンスリウムは魔除けだから、食べてはいけないわ」
そんなことは口うるさく言われなくても、百年前から分かっていたけど
ちっとも悲しくなんかないのに、涙が溢れてくるんだよね
「やっぱり何も知らなかったのね」
君に言われるがまま、泣きながら
生玉葱を薄くスライスして、三十分後に軽く水洗いして
水気を切ってから、トマトと鰹節をのせて、酢醤油で食べてみた
「とてつもなく美味しいの・・・
まちがいなくあなたは病みつきになるはず・・・
毎日まいにち食べないと気が済まなくなるはずよ・・・
月曜も火曜も水曜の夜も・・・日曜の朝もよ・・・
あなたのドロドロの血液をサラサラにするためにね・・・」
そうさ
生の球根がこんなにも美味しいだなんて、今日はじめて知ったのさ
「あなたのハートの中がいつも満杯だからよ」
馬鈴薯でね
243 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/13(木) 14:40:48 ID:CabxYlrQ0
「馬鈴薯?」
僕はその何のつながりも無い言葉を繰り返してみた。
なんでここでいきなり馬鈴薯なんてものが出てくるんだ?
このままでは、林檎と蜂蜜とろーりとけてるバーモントカレーという風に、
もって行かざるをえないではないか。
「カレーでも作るの?」
「人参を忘れているわよ。人参が無きゃ、カレーとはいえないでしょ」
彼女が口をストローみたいに尖らせて言った。
ちょっと待ってくれ、人参が入ってないカレーはカレーではないのか?
そう言いかけて、どうせ彼女にまた言いくるめられてしまうところを想像し、
しゃべるのはやめた。
相変わらずテレビに映ってる競馬の中継が耳障りになり始めた。
「とにかく、馬鈴薯はどこから出てきたんだ?!」
「馬鈴薯はね、あなたの心の中に潜んでる嫉妬の象徴なのよ」
「じゃあ、僕は一体誰に嫉妬してるんだ?」
そこで玄関のチャイムが何かの象徴のように鳴り響いた。
244 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/13(木) 15:44:40 ID:mR0pNPaJ0
せわしそうに玄関へ行ったかと思えば、
大きい箱を抱えて戻ってきた彼女の姿は、
まるで魔女のような、陰気な何かが、影でうごめいているように感ぜられる。
「なんだなんだ、宅急便?」
「いいえ、宅配便よ。それも、私の親戚から、収穫されたばかりのたくさんの馬鈴薯を、よ」
なんてことだ。2ちゃんねる風に言えば、「また馬鈴薯か!」といわんばかりの事態だ。
彼女は果たして、何かを悟っていたのか、それとも、この品が届くことを、
あらかじめ聞き知っていたのだろうか。
だが、この小説でもありえない急転直下の展開に、悪寒を覚えずにはいられないのだ。
もしこれがお笑い小話板であれば、厨房の茶々で話が台無しになるが、
ここはオカルト板であり、今後の展開は、次レス以降の力量により、
怖くも、おかしくも、悲しくもなりうるのだ。
245 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/13(木) 23:33:35 ID:ye+IDKleO
「ねぇ、知ってる?北極熊の交尾は年に一度だけなのよ」
八回目のセックスの後、彼女はベッドに横たわったまま僕の胸のあたりを撫でながら言った。
「凍てついた大地で牡と牝の北極熊が偶発的に出会うの。そして交尾が終わると牡は走ってその場から逃げるのよ。後ろを振り返る事もしないの。そんなのって信じられる?」
僕は黙っていた。膨大な数の馬鈴薯の事で頭がいっぱいだった。
僕は子供の頃から馬鈴薯アレルギーなのだ。
最初は6歳の時だった。馬鈴薯のグラタンを食べた翌朝に40度の高熱と背中いっぱいの発疹に襲われた。小児科の医師は「あまり悲観しないでください。子供のアレルギーは成長に伴なって突然治るケースがほとんどです」
と母をなぐさめた。「1年置き位に試しに食べさせてみて下さい」
それから毎年、母は11月になると馬鈴薯の料理を作って僕に食べさせた。馬鈴薯入りコロッケ、馬鈴薯をガルニーにしたステーキ、馬鈴薯の冷製スープ・・・
しかしその度に母は翌朝電話で担任に僕の病欠を伝えなければならなかった。
「訊いてるの?」彼女が僕の目を覗き込んだ。
「訊いてるさ、北極熊の事だろ?」僕は慌てて答えた。
「悲しい生態だと思わない?」
「なら訊くけど」僕は少し苛立っていた。
「何故君は一日何度もセックスをするんだい?」
胸のあたりを撫でていた彼女の左手はいつのまにか僕のペニスをいじっていた。
僕は少し北極熊を羨ましく思った。やれやれ。
彼女はもう9回目を求めているのだ。
246 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/14(金) 00:48:05 ID:eCRxZfmY0
北極熊の生態と馬鈴薯の板ばさみというのは、名状しがたい、
不思議な心持にさせる。
そうした、一種特有の感情に浸っている間にも、
彼女の手が、下半身をまさぐるのだ。
一日に九回とは、いくらなんでも、多すぎやしないか。
若気の至りという言葉はあれど、これはもはや、依存症だ。セックス依存症ではないか。
そして、これまでの八回に加え、前日までの数多き交わりにも耐えてきた僕の体に対しても、
我れながら、不思議な気持ちがして仕方がない。
彼女の異常なまでのセックス依存を口でとがめながら、
それでいても、体を求められれば許してしまう僕は、われながら愚かしくある。
嫌なら嫌とはっきり言えばいいのに、それを一言も口に出来ないのは、
僕もこういう行為が好きということか、或いは、求めに応じることで、
彼女への偏った愛を体現しているのだろうか。
閑話休題。大事なことを言い忘れていたので、それを彼女に言うことにする。
「人参がないから、カレーを作るのはやめないか」
247 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/14(金) 04:00:15 ID:VuFkuD6mO
「ねぇ、人参を買って来てくれない!」
彼女はいつの間にか服を身につけて台所に立っていた。
僕はドストエフスキーの「悪霊」の続きを読んでいるうちに眠ってしまったらしい。
枕元の時計に目をやった。夜中の2時を少しまわっていた。
やれやれ、なんだって彼女はこんな真夜中にカレーを作ろうとしているんだ。
「ねぇ、近所のスーパーはとっくに閉店してるし、そもそもこんな夜中に・・」
「人参なんて24時間どこでも買えるわよ。何世紀だと思ってるの?」彼女は僕が喋り終えないうちにたたみかけた。
僕は諦めて中古のワーゲンに乗った。彼女は昔から思い付いた事はすぐに成し遂げないと気が済まない性格なのだ。
日曜の深夜とあって道路はとても空いていた。僕は野菜をおいてそうなコンビニの駐車場に車を停めた。店の前では数人の若者が地べたに座り込み、大声でワールドカップの話題で騒いでいた。
僕が脇を通る時、一人が一瞬顔を上げてこちらを見たがすぐに視線を戻した。
彼等にとって僕はウクライナの補欠の選手よりも興味がない存在なのだろう。
確かに僕はリフティングどころか自分の彼女を諭す事さえ出来ないのだ。「芝が長すぎるんだ」僕は心の中で行く当てのない言い訳をした。「こんなピッチじゃ実力を出し切れない」
運良くそのコンビニには数種類の野菜が二人分位にカットされ並んでいた。しかし人参は見あたらなかった。
僕は商品の補充をしていた店員に人参はないか尋ねてみた。
「ニン、ジン?」店員は困ったように眉をしかめた。名札にはモンゴル人らしい名前の上に《新人》と書いてあった。
僕は少し苛つき始めていた。
「そう、ニンジン!暗喩とか引用とかサンプリングとかじゃなく、実物のニ・ン・ジ・ン!!」
自分でもびっくりするくらい強い口調だった。
モンゴル人の店員は今にも泣きそうな顔でそれでも僕の目をしっかり見つめて立ち尽くしていた。まじめな留学生なのであろう。
頭の中でホーミーの歌声が静かに流れた。ゲルに住み羊を操る母国の祖父の顔が想像できた。
僕は体の力みが和らいで行くのを感じた。
「いや、いいんだ、済まなかった」
僕はかわりに牛蒡を2本買って店を出た。
彼女は果たして僕を責めるだろうか。
答えはわかっていた。
248 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/14(金) 10:53:48 ID:ZspBclYC0
「一体、誰が牛蒡なんてもの買ってきてって言ったのよ」
静かに語る彼女の口調には、怒鳴るよりさらに深く怒りを表現しようとする意図がありありと窺えた。
「仕方なかったんだよ。」
そもそも日曜の真夜中に人参が置いてないコンビニがあったからって、誰にそれを攻められるだろう。
「モンゴル留学生に泣かれてやむなく、人参の代わりに牛蒡選手にお出まし願ったというわけさ」
「私は、モンゴル留学生なんかじゃなく、あなたに聞いているのよ。
人参の入っていないカレーなんて、羊肉の無いモンゴル料理と同じよ!
いいから、そのモンゴル留学生をどやしつけて、今すぐ人参と取り替えてきて!!!」
僕に選択の余地など無かった。
でも、考えてみると、なぜ村上春樹の描く女性像はいつもこんなに理不尽で横柄なんだろう。
あるいは村上春樹がそういう女性しか知らないのかもしれない。
佐伯さんにしたところで、物腰は柔らかいけど、結構理不尽なことばかり言うし、
加納姉妹や、双子や、キキや、ユミヨシさんにしたところでそうだ。
ここに共通点を見つけようとするならば、オカルト的なまでの存在の理不尽さだ。
僕は考え事をしながら、マンションのエレベーターに乗って無意識に降りた。
しかしそこはマンションのエントランスではなく、見たことも無いほどの暗闇だった。
やれやれ、ここはあのいるかホテルの廊下じゃないか。
うなぎは好きであります
250 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/14(金) 12:52:40 ID:VuFkuD6mO
それは僕が今までに体験した事のない程の暗闇だった。
゛けれど゛も、゛しかし゛もない完璧な暗闇なのだ。僕はしばらく足を踏み出せずにいた。微かなに獣の体毛のような独特な匂いがした。
その匂いはますます僕を不安にさせた。
どの位の時間がたったのだろう、五分かもしれないし二日かもしれなかった。圧倒的な暗闇の世界では時間や空間の定義など意味をなくしてしまうのだ。
僕はためしに咳払いをしてみた。
まるでそれは肺炎の犬の鳴き声のようだった。
「どうして牛蒡なんて買ってしまったんだろう」と僕は思った。
こんな事になるなら何も買わずに店を出るべきだったのだ。次の店を探せば全てうまくいっていたのだ。
今頃僕と彼女は馬鈴薯がたっぷり入ったカレーを食べ、昨日から通算10回目のセックスをしていたに違いなかった。
「ゴボウならアルヨ!」モンゴル人留学生は言った。自分に与えられた職務をなんとか全うしようとしたのかも知れない。
その真っ直ぐな視線は何世紀もの間遊牧民族として生延びて来た彼等の自信に後押しされていた。
「北極熊の悲しい生態」と彼女は言った。
「みんみん」。
頭がぼんやりしてきた。
一瞬、暗闇を何かが通り過ぎた気がした。
251 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/14(金) 14:22:45 ID:ujxrILmj0
そこを通るのは、星か蛍か。いや、豆電球のような、小さい明かりがパッパと
明かりをともし始めた。
停電だったらしいホテルにさまよいこんだ僕は、
とにもかくにもここから脱するべく、エレベータに乗り込んだ。
しかし、直後に故障が発生したようで、動きが止まってしまった。
牛蒡のためにののしられ、機嫌取りもかねて、人参を買いに行こうとしたらば、この因果。
鬼のような彼女より、むしろ牛蒡に対し、そして、モンゴル人店員に対しても
憎しみがわくのは、自分勝手だろうか。
しかし、翻ってモンゴル人店員の泣きそうな顔に屈したことは、
正直に言うことの出来なんだ自分が原因なんだ、という
罪の意識にさいなまれる。
とりあえず、ブザーを押して、管理人に僕の存在を知らせた。
さらに、携帯電話で、彼女にこの顛末と、人参を交換しに行けぬ旨、
早急に伝えなければならない。
時間はないのだ。セックス依存症の彼女は、欲求不満も人一倍であり、
急がなければ、電話の向こうから、どのような雷が落ちんとも限らん。
252 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/14(金) 18:32:23 ID:UlNmYx/a0
しかし、僕は携帯電話を持ってこなかった。
そもそも、携帯を持っていたなら、あの時人参が売ってなかったことを、
その場で彼女に報告出来たのだ。
しかも、エレベーターの表示は気がついた時にはすでに死んでいた。
ただの故障だろうか。今度は僕自身が泣きそうだった。
こんなに一人になって不安を感じた事はなかった。
253 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/14(金) 18:59:06 ID:UlNmYx/a0
管理人には通じたし、確かに「すぐに駆けつけます」と言われたのだから、
大丈夫だろうと観念し、昨夜の彼女とのセックスを思い返して時間を潰すことにした。
彼女はいつもセックスをするときにアイマスクを付けるのだ。
目隠しをして真っ暗な中で僕に入られるのが好きなのだ。
僕はそっと目を閉じて彼女の乳房や白いうなじを思い出した。
そして、もちろん勃起した。
やれやれ、一人でエレベーターに閉じこめられているというのに、
なんで勃起なんかしなくちゃならないんだ?
目を開けると、エレベーターは開いていて、そこからは懐かしいマンションのエントランスが広がっていた。
254 :
羊男:2006/07/14(金) 19:11:18 ID:QVbvlrTG0
皆さんは村上春樹をどう思いますか?
255 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/14(金) 22:35:46 ID:eCRxZfmY0
>254 名前:羊男 投稿日:2006/07/14(金) 19:11 ID:QVbvlrTG0
>皆さんは村上春樹をどう思いますか?
などと羊男に問われたとき、僕は錯覚を見ているのかと、一瞬ハッとした。
なぜって、村上春樹が作り出した設定である羊男が、
己を生み出した作者に対する意見を、周りに求めているのだ。
これほど、君の悪いことがあるだろうか。
それはあたかも、ロボットを使っていた人間が、ロボットに使われるかの様だ。
256 :
馬:2006/07/14(金) 23:57:17 ID:VuFkuD6mO
「おいらを作り出した事を後悔してるんだね?」
ソファ・セットの中央に座った羊ロボが居心地悪そうに言った。
「ビールでも飲むかい」僕は羊ロボの質問には答えずに台所に行って冷蔵庫を開けた。
「うん。でもおいらは出来ればブランデーがいいな」
僕はビールと羊ロボのためのブランデーを用意し、ソーダクラッカーと一緒に居間に運んだ。その間、羊ロボはぼんやりと外の雪を眺めていた。
二人でささやかに乾杯した。「邪魔なら出直してくるけど」羊ロボはブランデーのグラスを口元で止めて言った。
「邪魔なもんか」僕は表情を殺して答えた。
「ちょうど退屈してたんだ」
沈黙が長く続いた。二人とも何も語らなかった。世界の全てが動きを止めてしまったようだった。
雪だけはかわらず降り続けていた。「さっきの話しだけど」羊ロボがきり出した。
「もう一杯飲むだろ?」僕は逃げるのように羊ロボのグラスを取り台所に向かった。
居間と台所のわずかな廊下を通った時、僕は不思議な違和感を覚えて足を止めた。
廊下には大きな鏡がある。
居間の様子が全て映っていた。ソファ・セット、大きめの本棚、額に入れて飾られた抽象画。しかしそこに羊ロボの姿はなかった。
僕はおそるおそる振り向いた。
羊ロボはソファに深く身を沈め相変わらず雪を眺めていた。
背骨が軋んだ気がした。
僕はもう一度鏡を見る事は出来なかった。
257 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/15(土) 00:49:15 ID:fvDHJs6l0
鏡に映らぬ物体が、僕には見ることが出来る。
それはつまり、僕だけが、羊ロボの存在を認めていることになる。
だが、そんなことがこの世にあってよいものだろうか。
大槻教授なら、ここですぐさま鏡を調べに行くだろうが、
僕には到底そんなことは出来なんだ。
何より、その戦慄すべき恐怖に、全身が凍りついたように動かないのだ。
羊ロボとは名ばかりで、いかついイメージも何のその、
羊のような愛くるしい笑顔を顔一面に浮かべる彼は、
果たして、今もまだ笑顔である。
だが、その目を見よ。今にも何かを起こそうとする、悪人のような、
妙にギョロっとした鈍い輝きを持っている。
ああ、この不可思議なる現実を悟ったとき、
そのことが羊ロボに確認されたとき、いったい何がおきようというのか。
第一、彼女はどこへ行ったのだ。
セックス依存症であるはずの彼女が、なぜこの部屋にいないのか。
もしや、彼女も、このロボットに遺憾なことをされたのではあるまいか……
それとも、彼女も共犯なのか?
僕の悪循環な思考回路は、とどまるところを知らない。
258 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/15(土) 01:51:43 ID:qja7N0TW0
彼女の性器は、触りもしないうちから、しっとり湿っていた。
僕は言った。
「君の性器は、触りもしないうちから、しっとり湿っている」
彼女は答えた。
「そうよ。私の性器は、触られてもいないのに、しっとり湿っているわ」
259 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/15(土) 07:27:37 ID:5uZPI9UH0
>>251,
>>257は、同一作者と思われるのだが、
『〜出来なんだ。』という表現は、どこかの方言なのだろうか?
まったく春樹的でないにもかかわらず、僕はその 『出来なんだ』
が頭から離れなくなりそうだ。
「これ以上春樹のふりなんて出来なんだ。」
・・・使用方法はこれで合っているのでしょうか?
260 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/15(土) 09:42:45 ID:5uZPI9UH0
羊ロボは、アイマスクを付けた彼女のブラウスのボタンを器用に外していた。
まるで人間の男性性器を思わせるぬらりと光る金属部品が股間に装着されている。
僕は玄関にたたずんで、その光景を理解出来ぬままに見つめていた。
ふと我に返り、無意識に手にしていた---やっと買い求めた人参が入っている---
スーパーの袋を羊ロボに投げつけた。
羊ロボは振り返り、ギロリと赤い目を光らせながらこちらを見た。
「どうしたの?」
彼女がそっとアイマスクを外した。
「何で羊ロボと寝たんだよ?」
僕は思わず彼女を責めてしまった。
「何を言っているの?これはあなたからのプレゼントでしょ?
昨日宅配便で届いたのよ。赤いリボンまでついてね。
メッセージカードには、『君の新しいセックスマシン羊ロボだよ。
僕とまったく同じ動きをするからアイマスクを付けて使ってね』
って書いてあるじゃない。」
僕はそのメッセージカードを拾って読むと、確かに僕の字で書かれた文章のようだ。
でも、僕はこんなロボットを買う金なんて持ってないし、第一記憶というものがない。
一体僕の知らないところで何が起きているというんだ?
「僕は羊ロボなんて買ってない。これは何かの罠だよ」
「いいのよ。あなたが帰ってきてくれたなら、羊ロボなんていらないわ。
それにしても3年も一体どこに行っていたの?」
「・・・3年?」
「そうよ、あなたが人参を買いに行ってから、もう、3年も経つわ。」
やれやれ、僕は3年もの間どこに行っていたんだ?これじゃ、本当の浦島太郎だ。
「じゃ、もう、人参は必要ないんだね?」
「そうね、羊ロボもね。さあ、セックスの続きを始めましょ。」
僕は3年ぶりのセックスを心ゆくまで味わった。
261 :
馬:2006/07/15(土) 12:46:00 ID:PGXy2JxTO
「つまり」
僕は出来るだけ感情を押し殺して訊ねた。
「つまりそれは僕のネジ曲がった深層心理、あるいは性的願望が生み出した虚像の世界だと言う事ですか?」
「まあまあ、そう結論を急がんでください」初老の医師は答えた。
羊ロボの一件以来、僕は市ヶ谷にあるメンタル・クリニックに通っていた。
今日が3日目の診察だった。
僕を担当した医師は、精神科医というよりはひと昔前の物理学者に見えた。僕に物理学者の知り合いがいるわけではない。ただそう感じただけだ。
「要するにアイデンティティの問題ですな。プラトンは読まれたしたか?」
「読んでない」
僕はソクラテスさえ読んでいないのだ。その弟子に興味を持つはずもなかった。野村克也が嫌いな人間は古田ヤクルトの中継など見ない。
「『理性によってのみ認識される実在』プラトンはイデアについてそう語っています。実在とは、観念、想像、幻覚など主観的なものに対し、客観的に存在するもの、またはその在り方の事です、おわかりになりますかな?」
「そこまではわかります」
「イデアへ至る道は、肉体を愛する事から始まるとプラトン自身は語っております。それは、正しい。しかし、肉体以外の何かを持ち出す考え方には、当時否定的な意見も多かったわけです」
僕は頭を横に振った。
「専門的なところは噛み砕いて簡単にすませてください。アウトラインと具体的な方策がわかればそれでいいんです」
僕には時間がなかった。彼女に羊ロボを贈った事を忘れ、しかも三年もの記憶が飛んでいるのだ。
「わかりました。結論をおはなしします」
医師は眼鏡をはずし、デスクに置いた。
「あなたの思考システム、特に性的なカテゴリについてはある物質の匂いによってジャンクションが切り替わってしまうのです」
「匂い?」
「牛蒡の匂いです」
ふりだしにもどった。
262 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/15(土) 21:39:25 ID:liAzbz7U0
「つまり、あのモンゴル人の店員に牛蒡を手渡され、そこから僕は今の僕ではなくなって、
3年という、途方もない時間を別人として過ごした。という事でしょうか?」
物理学者的な医師は頷いた。
「もちろん、確証があるというわけではないのですが、
あなたに様々な香料を使って行ったパッチテストでは、
牛蒡に対してだけ、異常な反応を示しました。
牛蒡は、大変に特殊な匂いを持っています。
しかしながら、それがどうして、あなたの性的な反応と記憶に関するデータを、
まるでシェーカーに入れて振ったように狂わせてしまうのか、
それは、私にもわかりません。」
医師はデスクの眼鏡をかけ直し、足を組み直した。
「出来ることなら、そのモンゴル人の店員をお捜しになり、事情を聞いたら、
あるいは何かがわかるかもしれませんが・・・」
クリニックを出てから僕は真っ直ぐにあの、人参の置いていなかったコンビニへ向かった。
263 :
馬:2006/07/16(日) 00:00:11 ID:PGXy2JxTO
コンビニに向かう途中、僕は電話ボックスから彼女に電話をかけた。そしてクリニックでの医師との会話をかいつまんで説明し、コンビニに行って再びあのモンゴル人のアルバイトと逢う事を告げた。
「そう」
彼女は短く答えた。
「ひとつ訊きたいんだけれど」
僕は言うべきか迷った末に彼女に訊ねた。
「君は最初から事情を全て知っていたんだろう?」
僕はひんやりとした受話器を耳に押しつけ彼女の言葉を待った。
「ええ、知っていたわ」
「どうして最初にそれを教えてくれなかったんだ?そうすればこんな馬鹿げた遠回りをする事はなかったはずだ」
「その必要があったからよ」彼女は言った。
「あのモンゴル人に会って事情を正確に理解して欲しかったの」
やれやれ、何も知らないのは自分だけらしい。
「これから何が起きるんだい」
「わらない。本当にわからないのよ。私が出来る事はここまでなの」
彼女が言った。
「あなただって自分で全てを確認したいでしょ?」
「たしかに」
羊ロボだのプラトンだの牛蒡だのといったキーワードがいったい何を意味するのか、自分で確認する必要があった。
「必要以上に恐れないで」彼女が言った。「受け入れるのよ。あなたが望む、望まないに関わらず」
僕は静かに電話を切った。
受け入れる?
僕はワーゲンのシートを倒し、しばらく彼女の言葉の意味を考えていた。しかし無駄な事だった。すでにカードは配られていたるのだ。上手く立ち回れるかは僕の技量でしかなかった。
僕はシートを戻し、キーを回した。「上手くやれるとも」僕はそう口に出して車を走らせた。
車を走らせること、すなわちドライブをすると、
ストレス発散になる人が、この世には多数いる。
僕もその一人でありたいが、孤島にたたずむ浦島太郎のような状況下、
到底安堵出来ぬどころか、未だ、歯がゆい感じだ。
僕の車にも、世間と同じように、いわゆる良い香りのするものを置いてはいるが、
それもまったく効果をなさない。
あの医師の言葉が、余計に繰り返されてしまう。
「パッチテストでは、牛蒡に対してだけ、異常な反応を示しました」
別に、この車内は牛蒡のにおいではないし、
牛蒡に極端な反応を示す時点で、
あのモンゴル人と牛蒡に、何らかの因果があると考えるのが適当なのだ。
あの時渡された牛蒡。人参の代品としての牛蒡。
それは、偶然か、それとも意図的なものか。
牛蒡に至る経緯が、自然でもあり、しかし作為的でもある。
とにもかくにも、僕は車を走らせ続けた。
あのモンゴル人にさえ会えれば、この孤島から、脱出できるのだ。
無論、今もなお、そのコンビニで働いていたらばの話だが……
266 :
アイマスク:2006/07/16(日) 07:21:53 ID:fYsFJLkT0
>265,
まあまあ。それもひとつの味ではないだろうか。
村上的であることをことさらに強要してしまうと、
レスが繋がらなくなってしまう。
267 :
アイマスク:2006/07/16(日) 08:24:43 ID:fYsFJLkT0
コンビニに入ると新鮮な野菜が沢山並び、そこにはもちろん野菜としての最も代表的な存在としての人参が置いてあった。
しかし、よく探してみても牛蒡はなかった。
モンゴル人店員を捜したが、いないようだった。
レジにいた女子高校生のような若い女性店員に、怪しまれないように話しかけてみた。
「ねえ、ここにモンゴル人の人が働いていないかな?」
女性店員は笑顔ですぐに応えてくれた。
「ああ、あの人なら、昨日お店を辞めましたよ。みんな、日本語でわかりやすく、
ルイさんって呼んでいたけど、本当の名前はなんていうのか知らないんです」
まったく期待していなかった彼が実在していたことに、少なからず驚きを隠せなかった。
「もしかして、住んでいるところ分からないかな?どうしても合って聞きたい事があるんだ」
彼女の表情から笑顔が急速に萎え、さも申し訳なさそうな皺を眉間に寄せた。
「申し訳ないんですが、私はよく知らないんです。店長に聞いてみてはいかがでしょうか?」
「ありがとう」
僕がそう言ってからふと思いついて女性店員に聞いてみた。
「ところで、牛蒡って置いてないの?」
すると彼女はさも、不思議そうにこう言った。
「そうですね、牛蒡は取り扱っていませんね」
「・・・取り扱っていない?」
まるで不当な責めを受けて心外とでも言いたげな表情で彼女が言った。
「ええ、だって牛蒡なんて下ごしらえの面倒な野菜はこういう店では売れないんです。
すぐに食べられる大根やキャベツはありますけど、牛蒡って若い人は買いませんからね」
「・・・3年前にも置いてなかった?」
彼女は少し考えてから言った。
「さあ、私は2年前にここに来たので、よく分かりませんが・・・」
やはり、何かが僕の知らないところで動いているとしか思えなかった。
「店長には今会えるかな?」
「分かりました。今お呼びします」
現れたのは、つるりとしたゆで卵のような顔の若い男だった。
268 :
馬:2006/07/16(日) 13:59:32 ID:8Q54kGxWO
「お待たせいたしました。店長の広山です」
ツルりとした茹で卵のような顔をした店長は僕が想像していたよりずっと若かった。
白のワイシャツに無地のネクタイをキチッとしめ、それとは不釣り合いなパステルカラーが組合わさった派手なエプロンをしていた。
「ルイの事で何か?お知り合いの方でいらっしゃいますか?」しっかりとしたサービス研修を受けたのであろう、話し終えると彼は笑顔の余韻を口元に残したまま、首を僅かに傾け僕の言葉を待っていた。
「いえ。ちょっとした友人なんですが」と僕が言った後も彼は首を傾けたままだった。
僕が喋る順番が続いているらしかった。
「彼、ルイ君とどうしても連絡をとりたいのですが、連絡先はおわかりですか?」
彼は首を垂直に戻し、僕の姿を上から下まで2度確認した。
そして「失礼ですが」と言った。
彼が正しかった。僕の外見からルイの友人と呼べるような接点を見出だせなかったのだろう。
「以前の学校で日本語を教えていた者です。通訳の派遣会社を経営している友人がモンゴル人の通訳を探していまして。彼に打診しようと思ったのですが」
出鱈目に言った割には彼は信用したようだった。
彼は、ここではなんですから、と僕をレジの裏にある倉庫とも呼べるような事務所に通した。
店長の話しではルイは、深夜にコンビニの前に座り込む地元の不良グループ数人と駐車場にゴミを捨てる事で口論となり、そのうち一人に顔を殴られ口の中を激しく切った。
かなりの血が溢れたが彼は決して彼等に暴力での抵抗はしなかったらしい。口元から血が流れる間も両方の拳をギュっと握り彼を襲った理不尽に耐えていた。
次の日ルイは店長に仕事を辞める事を告げた。
「とてもまじめに働いてくれていたので、なんとか店に残るように説得したのですが・・」
「今どこにいるか心当たりはありませんか?」
「一度モンゴルに帰ると言ってました。外国人学校もちょうど夏休みですから」
僕は履歴書に書いてあったモンゴルでの連絡先を紙に書いてもらい、丁寧にお礼をして店を出た。
選択肢はなかった。
「モンゴルは今どんな気候なんだろう」
僕は航空会社に電話をし片道チケットを予約した。
269 :
アイマスク:2006/07/16(日) 16:47:18 ID:fYsFJLkT0
「はい、MIATモンゴル航空でございます」
少し、モンゴル訛りのある女性の声が言った。
「なるべく早い便でウランバートルまでお願いしたいんだが」
「かちこまりました。お調べ致ちます。お客様恐れ入りますが、パスポートはお持ちでしょうか?」
たしか、あの人参を買いに行った前の年に取り直しているばずだった。
「たぶん、あると思います」
「そでれは、ホンジツ便でよろしいでしょか?」
「はい、それで結構です」
「18:30成田はちゅの便をお取りいたちましゅ。お席はビジネスでよろしいですか?」
「はい、結構です」
「ご予約を受け付けました」
「あの、向こうの気候はどうなんだろう?」
「そうですねえ、にちゅうは暑いと思います。でも、夜は寒いです」
「どうもありがとう」
僕はアパートに戻り、パスポートと長袖の上着と下着とTシャツをディパックに詰め込んだ。
彼女の姿は見あたらなかった。一応置き手紙を残した方がいいだろうと思い、
新聞のチラシの裏に「モンゴルに行く」とだけ書き残した。
それだけでたぶん彼女には分かるだろう。
おそらく彼女は僕がモンゴルへ行くことになることを予め知っていたに違いなかった。
テーブルの上にはモンゴル観光協会発行のパンフレットが置いてあった。
彼女が用意したに違いなかった。
羊ロボが電源を落とした状態でソファに腰掛けていた。
何故か僕はその光景をずっと以前に見たような気がした。
たぶん、本当にそうなのだろう。
「モンゴルへ行く事になったよ」
僕は、冷たく死んだままの羊ロボに向かってそう、つぶやいた。
270 :
馬:2006/07/16(日) 19:19:03 ID:8Q54kGxWO
成田空港に着いた時、空はどんよりとした低い雲に覆われていた。
搭乗手続きを済ませてもフライトまではまだかなりの時間があった。
僕は空港のレストランで簡単な食事を取る事にした。クリニックの待合室でハワイウォーターを飲んだ以外は何も口にしていなかったのだ。
特に空腹感はなかったが何かを食べておく必要があった。
レストランは夕方という事もあり混み合っていた。
僕はカウンターに座りメニューを3度も目返した。
モンゴルに発つ前にふさわしい食事など全く思いつかなかった。
僕はあきらめてサーモンの入ったクリームパスタを注文した。
料理を待つ間、彼女が用意してくれた(正確には置いていった)モンゴルの観光パンフレットに目を通した。
「果てしない大地の国」というタイトルのパンフレットには民族衣装の老人が馬に跨り羊を追う写真が大きく刷られていた。
僕はモンゴルについて自分が知っている言葉を思い出してみた。
首都ウランバートル、ナーダム祭、馬風琴、トグログ通貨、ゲル、ホーミー・・・。
何を考えても無駄だった。
そんな単語の寄せ集めでこれから起こりうる事態への備えになるとはとても思えなかった。
僕は諦めて部屋から持ってきた読みかけの本をデイ・バッグから取り出した。
「人類史上最も多くの子孫を持つ蒼き狼―チンギス・ハン―」
この本を買ったのは五年も前だったが、はじめの数頁しか読んでいなかった。
小さな遊牧民族に生まれ、幼くして父を失ったテムジン(チンギス・ハン)が立志して死亡するまでの40年間、多くの国を滅ぼしてはその国の女性を組織的に犯し、子孫を増やした。という内容だった。
ルイ、
君にもその碧き狼の血が流れているのだろうか?
僕は目を閉じて少し眠った。
271 :
アイマスク:2006/07/16(日) 20:21:29 ID:fYsFJLkT0
ウランバートル空港に着くと、日本時間ではもう真夜中に近かった。
とりあえず空港の外に出てはみたが、人気も少なく大地には拭い難いまでに、
家畜の匂いと多くの労働者の体臭が染みこんでいた。
しかし、ウランバートルは僕が想像していたよりずっと都会で洗練されていた。
タクシーに乗ると、まったく日本語の話せない運転手に英語と片言のモンゴル語でホテルまでと告げた。
比較的まともそうなホテルがかなりあった。そのどこかひとつ適当なホテルに泊まることにした。
フロントの男性はまったくモンゴル人には見えなかった。どちらかといえば長年仕方なくモンゴルに出向している上海のホテルマンのように見えた。
彼はほとんど日本人と変わらない流暢な日本語で言った。
「ご予約はございましたでしょうか?」
「いや、予約はないけど、開いてる部屋があればお願いしたい」
僕はアメリカン・エクスプレスのぴかぴかと光るカードを見せた。
フロント係はまるで王侯貴族でも出迎えるような恭しい笑顔を見せた。
「かしこまりました。ただ今スイートルームしかございませんが、よろしいでしょうか?」
「構いません」
「それでは、恐れ入りますがムッシュ、パスポートを拝見願えますでしょうか?」
僕がパスポートを出すと、それをきっちりと揃えた札束を受け取るような仕草で受け取った。
「ご旅行でございますか?」
「ええ、ついでに友人に会いに」
「さようでございますか。どうぞごゆっくりなさって下さいませ」
キーを受けとり、空港で買ったウランバートルの地図を広げた。
幸い、ルイの家はどうやら市内にあり、しかもそれほど遠くではないようだ。
僕はシャワーを浴びてビールを飲みながら窓から眼下に広がる夜景を眺めた。
その夜景は日本のどこかの地方都市と変わらなかった。
今日の出来事がたった1日に起きたとは思えなかった。
メンタルクリニックで牛蒡の匂いに異常な反応があるといわれ、
コンビニには肝心の牛蒡さえ置いていなくて、ゆで卵のような店長に聞いた住所を頼りに、
もうウランバートルのホテルにいるなんて・・・。
ベットに横になると体験したこともないほどの眠気が襲ってきた。
そして僕は大猿にハンマーで殴られたみたいに倒れるように眠った。
パチン
僕は電気を消して支援した
リセット
273 :
アイマスク:2006/07/16(日) 20:48:29 ID:fYsFJLkT0
>272ありがとう。
274 :
馬:2006/07/17(月) 00:41:57 ID:ru4CVw56O
翌朝、僕は異常な暑さで目を覚ました。
まだ10時を回ったばかりだというのに気温は31度まで上がっていた。
僕はグッショリと汗を吸ったTシャツを脱ぎ簡単にシャワーを浴びた。幾分気分がすっきりしたところで新しいシャツに気替えエレベーターでロビーに降りた。
慎ましい学生なら生活出来そうなくらい広いエレベーターだった。
シングルベッドとテーブル、オーディオ・セットを置き、室内犬だって飼えるだろう。
「お出かけですか?良くおやすみになれましたか?」フロントには昨夜とは違う男が立っていた。
「ちょっとした服を買いたいのだが店はどこが良いかな」僕は日本語で訊ねた。
男はお任せ下さいというようににっこりと頷き国営デパートのパンフレットを差し出した。
「お気をつけていってらっしゃいませ」
「バイルッラ(ありがとう)」と言って僕は街に出た。
ウランバートルの街は僕が想像していたよりはるかに発展していた。
小高い山に囲まれた平地にこじんまりとした都市が形成された町並みは東京の八王子を思わせた。
平和通りという名の目抜き通り沿いにはロシア建築のアパートや近代的なビル、ショッピングモールが建ち並び、若者は東京と同じようファッションに身を包み、ほぼ例外なく携帯電話を手にしていた。
看板や標識のモンゴル語がなければそっくり八王子と入れ替えても誰も気付かないんじゃないかとさえ思えた。
僕は国営デパートで下着とTシャツを数枚と短パンを買い適当なカフェに入り観光案内地図とパンフレットでルイの家のある方角をもう一度確認した。
この都市はトラ川沿いに東西に広がり、周りの地方から人が集まって発展していた。だが後から来た人々は中央の平野に入りきれず都市の外郭部の丘陵にゲルやバラックを建てて住んでいた。
その一帯はスラム街のように観光客には立ち入りがたい雰囲気をかもし出していた。
ルイの家はまさしくそのあたりに位置しているようだった。
275 :
アイマスク:2006/07/17(月) 07:44:14 ID:A+Tw9oSv0
労働者層の住む町中に入ると急に景色が変わり、至る所に羊や馬や、くたびれて吠える気力も失せた犬が、
通りや、家と家の隙間に柵もなく飼われていた。
空港に降り立った時に感じた国土に染みついた匂いが一層強く鼻についた。
たぶん家畜の匂いだけではなく、羊の肉をボイルして食べるモンゴルの独特の食習慣に基づく匂いも混ざっているのだろう。
しかし、モンゴルはその広大な土地に眠る1500万トンとも言われる鉱山資源によって、
日本をはじめとする多くの経済至上主義国から注目され、利用され、スポイルされつつあった。
いや、スポイルされているのではないかもしれない、それを人々は発展と呼び、歓迎しているのだ。
働く場所を提供され、羊を追う代わりにツルハシを持った父親達の収入で、子どもが大学へ通い、
そして彼らは大人になって情報処理機器を駆使してオフィスにスーツを着て通い、マンションに両親と犬を連れて住むようになる。
もう、誰も草原には戻らない。
まさに、それが、今のルイの姿なのかもしれなかった。
モンゴルの政府が安定し、町が発展してゆくなかで、住所に対する考え方も幾分は近代的になってはいたが、
それでも、このスラムでは地番などあって無いがごとくだった。
ゆで卵店長の書いてくれた番地はどこにも表示されていない。
このあたりであるということと、ルイのモンゴル名しか捜す手がかりはなかった。
夏休みなのか、子どもが裸同然の恰好で駆け回っていた。
276 :
馬:2006/07/17(月) 11:48:13 ID:ru4CVw56O
ルイツァーン・チョルン
それがルイのモンゴル名だった。
意味はわからないが何か゛石゛に関する名前であるらしかった。
彼等―モンゴル人―の名前には姓、すなわち家族名がない。彼等のパスポートには、姓らしき名前が載っているが、これは便宜上父親の名前をつけているにすぎなかった。
人口が少なく、今交友関係も限られていた少数民族ではこれで不便もなかったのであろう。そのあたりは江戸時代の日本と似ていた。日本では明治になって、武士以外の人々にも姓を名のることが許された。
日本が明治以降、近代国家への道を選んだのに対して、モンゴルはそれまでの生活様式を継続してきた。
それが可能だったのは、モンゴル人が日本の団地より狭く仕切りもないゲルの中で親子の絆を保ち、隣人と相互扶助の社会を維持しているからであった。
それを考えれば、日本における福祉や住宅事情の批判が単なるエゴの責任転嫁であると思えた。
僕はルイの名前が書かれたメモを片手に不規則に建ち並ぶゲル住居の間をぬうように歩いた。
35度まで上がった気温のせいで悪臭は致命的な霧のようにあたりに立ち込めていた。
暫く歩いた所で一人の老人がふらふらと近付いてきた。僕は一瞬迷ったが「サイバェノー(こんにちわ)」と声をかけた。ルイの手掛かりが欲しかったのだ。
「オイ、お前!日本人だな?ドルはもっておるか!」
老人は酔っているようだった。
僕は両手を胸の前で広げ敵意がない事を示し、ルイの名前が書かれたメモを手渡した。
老人は小刻みに震える手でメモを掴むと焦点が合わない目で文字を追った。
その老人からもまた別の悪臭が漂っていた。
気温は上がり続けているようだった。デイ・バッグは不幸な老婆の守護霊のように僕の肩にしがみついていた。
やがて老人の手の震えが止まり、大きく見開いた目で僕を静かに威嚇した。
「チョルンに何の用だ」
老人はルイの祖父であった。
277 :
馬:2006/07/17(月) 13:38:03 ID:ru4CVw56O
「あなたはアイマスク氏に遊ばれている事にまだ気付かないの?」
僕が《書き込みが終わりました》の表示を確認し携帯を閉じたのを見計らって彼女が言った。
僕等は高校野球の県予選を見るために近所の市営球場に来ていた。
母校を応援しているわけでも特に贔屓の選手がいるわけでもなかった。
誰もいない外野席の芝生に寝転んでビールを飲みながら球児の走る姿やスタンドの応援を遠巻きにボンヤリと眺めるのが好きだったのだ。
彼女と知り合ってから毎年続けている事だった。
そこにいる限りは世の中がとても平和に思えた。
彼女が怒るのも無理はなかった。
僕は10分置きにジーンズの後ろポケットから携帯を取り出しては彼からのレスの有無を確認していた。
「ねぇ、アイマスク氏の頭の中にはすでに何百通りもの展開が準備されているの。あなたの文章にレスをつけるのなんか彼にしてみればテレビのリモコンを押すくらい簡単な事なのよ」
そうかもしれなかった。
事実アイマスク氏は僕が時間をかけて必死に作り出した文章に、大した時間もかけずに見事なまでの春樹的レスを返していた。しかも彼のレスには何かしら次の展開へのヒントまで示されていたのだ。
僕は遊ばれているのだ。
「いったいどうしたっていうのよ?」彼女の声は大きくなっていた。
ライトを守る選手が一瞬びっくりしてこちらを振り向いた。
「あなたはもう八年も前から村上春樹を読んでないはずよ、そんなあなたがハルキストが大勢目にするスレッドに書き込みをするなんてとても正気とは思えないわ」
彼女は正しかった。ブランクが長すぎたのだ。
「自分で新スレまで建てたでしょ。気付いてないとでも思った?」
「あれは、もういいんだ」僕は曖昧に答えた。そもそも競馬2になんか建てるべきじゃなかったのだ。
試合は投手戦になっているようだった。ライトの選手も手持ちぶさたなのか、何度か僕らの方をチラチラとみていた。
「でも、きっとそれがあなたなのね」
芝生を撫でながらこちらを見ずに彼女は言った。
「すまないとは思ってるんだ」
スリーアウトになりライトの選手が全力疾走で自軍のベンチに戻っていった。
「誰か他の人のレスが欲しいわね」彼女が言った。
僕は黙って頷いた。
そして温くなった缶ビールの残りを口に流しこんだ。「正直二人ではキツい」
278 :
アイマスク:2006/07/17(月) 14:36:07 ID:A+Tw9oSv0
モンゴル語で会話することは不可能だったので、身振りを加えながら、僕が日本語しか話せないと告げると、
ルイの祖父はたどたどしく日本語を話し始めた。
「ワシは、昔中国にいた。鉄道を曳いていたんだ。そこで戦争になって、中国に沢山日本人がやってきた。
日本人はモンゴル人のワシには優しくしてくれた。仲間の中国人は強制労働に行かされて、
その後沢山殺された。日本語はそのとき日本人に教えてもらった。
あとで必ず役に立つからと言われた。
ワシは子どもらにみんな日本語を教えて日本に行くように言った。
その後日本はモンゴルにも攻めてきた。ノモンハンだ。
だが、戦争は終わった。モンゴルはソ連になったり、中国になったり忙しかったが、
今は日本と同じ自由の国だ。モンゴル人日本人より日本の相撲がうまいしな。わははははは」
とりあえず、日本人に対して悪い感情が無いことが確認できて僕はホッと胸をなで下ろした。
「僕はチョルンさんとは実は一度しかお会いしていないのですが、
でも、僕にとって大切な事を彼は知っているようなんです」
「まあ、立って話しも暑いだから、とりあえずワシのゲルに入りなさい」
老人の後についてゲルに入ると、中は拍子抜けするほど涼しく、過ごしやすかった。
真っ赤なフェルトのような壁にそってベンチみたいに座る場所があった。
ルイの祖父はミルクティのような色合いの乳白色の飲み物を手渡してくれた。
口元に近づけると強いアルコールの匂いがした。馬乳酒だった。
一口含んだが、あまりの形容しがたい味と匂いのため、むせてしまった。
ルイの祖父は「わはははは」と笑って今度はチーズのようなものを手渡してくれた。
あまり塩気が無く、牛乳の膜のような味がした。これは食べても平気そうだった。
「日本人は頭いい。頭いいと忙しくなる。忙しいともっと頭よくなりたい」
「たしかに、そうかもしれませんね」
「だから困ったことなっとるんだな?」
僕はまるで透明人間になったみたいに、すべてを見透かされた気持ちになっていった。
「まったく、そのとおりなんです」
「チョルンはおまえさんに何をしたんだね?」
今度は僕が話す番らしかった。
279 :
アイマスク:2006/07/17(月) 15:31:28 ID:A+Tw9oSv0
>>277 「まったく。そのとおり。二人ではキツすぎる」
僕は馬氏のレスを読んで笑った。
この3日間というもの、僕には平和な時間などもてなかった。
初め冗談のつもりで書いた3年間の記憶の喪失について、
馬氏がその展開を追求するレスを書いたときから、僕の心の平静は奪われた。
なんとか話を繋げなければ・・・その事で頭がいっぱいになってしまったのだ。
あの時モンゴルになぜルイを帰してしまったんだ?
僕は呆然と馬氏のレスを見て天を仰いだ。
友よ、モンゴルはあまりにも遠すぎる。
しかし、弱音を吐く時間など無かった。
馬氏がこの後、先を書かなければ、僕はもう降りられるのに・・・。
そう思いながらもしかし、なぜか不思議と筆は進んだ。
今では僕自信が馬氏とアイマスクの一番の読者になっていた。
馬氏の完璧とも言える春樹的レスが新着するたびに、
次はこう来ましたか・・・。と頭を抱えていたのだ。
正直に言えば、最も楽しみにしていたわけだが。
次回、馬氏の長編に斯うご期待!
280 :
馬:2006/07/17(月) 16:45:01 ID:ru4CVw56O
僕はすぐに答える事が出来なかった。
いったいルイは僕に何をしたのだろう?
彼との出会いが僕に何等かの影響を与えたのは間違いなかった。しかしそれは彼が人為的、作為的に僕に仕向けた物ではなかった。ルイが僕の事を憶えているかさえわからないのだ。
僕はとても間違った場所にいるような気さえしてきた。
僕はその事を正直にルイの祖父に話した。
「がっはっはっ!もうアイラグで酔ったのかい?あんたら日本人の話す言葉は昔からこむずかしくていかん」
そう言うとルイの祖父は僕に出したのとは別の飲み物を自分の器に注ぎ、一気に飲み干した。 『アルビ』と呼ばれるモンゴルのウォッカだった。ルイの祖父は顔を真っ赤にしながらもう一度楽しそうに笑った。
僕も笑って部屋の中を見渡した。
ゲルの北奥の最上席には仏壇が置かれていた。
デルの座席には決め事があるのだ。
奥が主人、入り口右側が女性・子供、左側は男性・客人の席。北奥の最上席には仏壇が置かれている。
仏壇には艶やかな色彩の民族衣装デールを着た中年の男女の写真が飾ってあった。
「チョルンの両親じゃよ」僕の視線に気付いたルイの祖父が静かに言った。しかしそれ以上は語らなかった。僕も黙っていた。
「チョルンは今広場で相撲の稽古をしてるじゃよ」
ルイの祖父が重くなった雰囲気を察して話題をかえた。「来週はイフ・ナーダムの本大会があるんじゃ。去年の大会では3位じゃった。わしに似て粘り腰が凄いんじゃよ」と言うと座ったまま滑稽に相撲を取る真似をした。
僕はルイが、鷲が羽ばたくポーズで勝ちなごりを受ける姿を想像して笑った。
「チョルンに会えますか?」
僕はルイの祖父に訊ねた。
281 :
アイマスク:2006/07/17(月) 17:20:10 ID:A+Tw9oSv0
「もちろん、チョルンは優しい子じゃから、あんたがわざわざ日本から来たら、
喜ぶじゃろう。早く会いに行きなさい」
老人はそう言うと、急に僕の存在を忘れたかのように目を閉じて、そのまま横になり、眠ってしまった。
僕はしばらくどうしたものかと家の中を眺めたりしながらチョルンの祖父が起きるのを待っていたが、
彼はそのうちいびきをかいてさらに本格的に眠り込んでしまった。
仕方がないので、僕はゲルを出て草原に流れる遠い馬頭琴の調べに耳を澄ませた。
どこからともなく聞こえてくるその音色は不思議と僕の心を癒し、
この大地が僕自身のルーツであることを思い出させてくれた。
モンゴルの大地には数え切れない沢山の生き物の血が染みこんでいた。
そして僕は牛蒡と羊ロボに導かれるようにこの大地にたどり着いた。
もし、ルイに会うことができなくても、僕はモンゴルに来る必要が確かにあったのだという確信が、
絶える事を知らない泉のように湧き出てきた。
僕はここまで来たのだから、失われた3年の年月を取り戻そうと思った。
そして広場に着くと、一人の屈強な筋肉の若い男が近づいてきた。それがルイだった。
そして、ルイの方から日本語で僕に声をかけてきた。
282 :
馬:2006/07/17(月) 18:03:26 ID:ru4CVw56O
>>279 「どうしてよりによってモンゴルなのよ」
僕の隣りでは彼女が指を器用に動かして携帯版Googleで「モンゴル」を検索していた。
「ねぇ、今からでも赤羽あたりに話を戻せないの?」「赤羽?」
わけがわからなかった。僕も彼女もこれまで赤羽に住んだ事も職場が赤羽だった事もなかった。
「モンゴルじゃなきゃ何処でもいいわよ!」
確かにそうかもしれない。僕らはモンゴルなんて国には室内物干し竿の普及率くらい興味がなかった。
「もうアイマスク氏のレスは来たの?」
彼女はいつの間にか僕より必死になっているようだった。
市民球場ではすでに第4試合前のシートノックが終わっていた。
「急ぐ事はないさ」僕は言った。
アイマスク氏もやはり苦闘しているはずだった。
インターバルが必要なのだ。
ハーフ・タイム。バスケットの試合ならチアガールがコートでダンスを披露してくれるだろう。
「ここまで来て止めるの?」
「いや、そうじゃない」
僕はこの物語の結末がとても楽しみになっていたのだ。だから必要以上に先を急ぐ事で薄っぺらな物にしたくなかった。
「ゆっくりでいいのさ。そして最高の結末にするんだ」
「そうする必要があるのね?」
「少なくても今はね」
彼女はしばらくグランドを見つめて考えていた。
「彼も書いてくれるかしら」
「うん」
確信はなかった。しかし彼もこの物語を完結させる使命感に捕らわれているはずだった。
彼もまたハルキストなのだ。
「見て、ホームランよ」
グランドでは背番号8をつけた選手が小躍りしながらダイヤモンドを回っていた。
ビッチャーズ・マウンドでは投手が膝をついてボールが落ちたあたりを見続けていた。
三塁ベンチには暖かな夕日が差し込んでいた。
283 :
アイマスク:2006/07/17(月) 20:20:55 ID:A+Tw9oSv0
僕は大きく息を吸い込んだ。
>>282 赤羽?
赤羽でも川崎でも、保土ヶ谷でも、いや、日光だって構わない。
出来ることならモンゴル以外のどこでも構わなかった。
僕は昼間からビールを飲んでしかも今日に至っては一歩も外に出ていないのだ。
これもすべて忌々しいモンゴルのせいだった。
しかし、馬氏が言ったように、もう、カードは配られていた。
ここで僕は馬氏に乞う。もう一度僕に番を回してもらえないかと。
そう、僕は筆を急ぎすぎたのかもしれない。
毎回毎回、<改行が多すぎます!>とたしなめられては戻り、
削って削ってしかし、一回では話の展開に思うような幅を持たせられないのだ。
しかし、である。この一回ごとに交代するというスタイルには揺るがしがたいルールが存在しているのだ。
それによって、自分が思い描いていた進展とまったく逆の方向に馬氏が持っていくと、
自ずとまたその先に広がる無数の可能性に思いを馳せなければならない。
そしてモンゴルへ行くことは僕の全くの想定外だったのだ。
ここにインターバルとして、みんなに問いたい。
この続きを僕に書かせてはもらえないだろうか?
284 :
馬:2006/07/17(月) 21:41:39 ID:ru4CVw56O
「先に書いても構わないかな?」
彼が申し訳なさそうに言った。
「もちろん。順番なんて破るためにあるようなもんじゃないか」僕は答えた。
僕は市民球場でなんと13本もの温い缶ビールを飲んだのだ。
僕の大猿はハンマーを頭の真上まで振り上げていた。そして・・・
ナカタは楽しみなのであります。それと同時に恐くもあります。
286 :
馬:2006/07/18(火) 00:24:42 ID:ZA+ch0iDO
「犬猿はあなたではなくアイマスクさんの頭にハンマーをふりおろしちゃったのかしら?」
彼女はパソコンの前に座り込み大作を待ち続けていた。
「きっと文章を作るには疲れ過ぎているのさ」
「そういうものなの?」
「そういうものさ」
「ふぅん」と言って彼女はディスプレイの電源を落とした。
「でも私、アイマスクさんは好きよ」しばらく後で彼女は言った。
「彼を嫌いな者などいないさ。
シマウマもアリクイやアブラゼミさえもね」
「ミンミン」
「みんみん」
僕らは仲良くベッドにはいった。
287 :
アイマスク:2006/07/18(火) 05:37:49 ID:llkSub6X0
「暑いですね」
ルイはモンゴル相撲の衣装を身につけ、その空飛ぶ白馬のように美しい筋肉を、
果てしなく続いてる草原と照りつける日差しに惜しげもなく晒していた。
彼は日本で会ったときのコンビニの制服を破りそうな厚い胸板と、不釣り合いな程あどけない
瞳を真っ直ぐに僕に向けていた。
「本当ですね」
ルイは僕のことを随分昔から知っているようだった。
「もうすぐ、ナーダムがあるんです」
「ええ、去年は3位だったって、おじいさんに聞きましたよ」
「ええ?もう、祖父に会ってきたんですか?」
「うん、君を捜していたら、おじいさんの方から話しかけて下さってね」
「祖父はとてもいい人でしょ。ちょっとお酒が好きだけど」
「たしかに」
僕とルイは、本当に久しぶりに会った親友のように笑い会った。
しかしその温かく和やかな会話はそう長くは続かなかった。
しばらくの沈黙の後、彼は上着を取りに行って戻り、
少し硬い表情で僕を見ずに言った。
「あなたに話さなければならない事があるんです。
出来れば、祖父や他の人がいないところで」
僕の背中に宿命を思わせる冷たい汗が流れた。
「分かりました。僕のホテルに行きましょう」
僕らはあまり人目につかないように、まだ続いてるナーダムの練習会場を後にした。
288 :
アイマスク:2006/07/18(火) 13:03:09 ID:tX5h00uC0
>>286 僕が意識を取り戻したとき、時計は朝5時を回っていた。
後頭部がズキズキと痛んだ。
やれやれ、とうとう大猿の勢力はここまで広がっていたのか。
もちろん、僕は続きを書くために馬氏のレスがつくのを今か今かと待っていた。
そして僕には彼が書くことを許してくれるだろうことは初めから分かっていた。
僕には何も言わずに2レス続けて書いてしまうことだってできた。
だが、それをしてしまうと、僕らの築き上げてきた全てのストーリーが、
不当に汚されてしまうような気がしたのだ。
そして僕にはそれが正しい選択であるという自信が無かった。
僕は基本的に夜は10時前に寝て、朝は5時に起きています。
多分今までのレスを見ていて気が付いて下さっている人もいると思いますが、
夜10時以降は僕のレスを待ったりしないで下さい。
すまないが、ここで少しだけ"ロク"についての考察をしていいだろうか。
そうだ。追っ手は迫っている。だからまたすぐに行くからさ。
そう。彼はやはり急ぎ過ぎたのだろうか。
僕だってぼんやりTVを見ることは勿論ある。
そしてある言葉がきのうから離れないんだ。
まといついて離れない投げられたテープのように。
彼女達は言っていたんだ。「私たちはばかじゃありません」って。
そして、その言葉は様々な場面での夢の終焉を思い起こさせた。
「夢をずっと続けることなんて出来るの ?」
「さあ....。」
だから考えるんだ。なぜ夢が"氏"に捕まってしまうのか。
彼女達は執拗に言っていたんだ。「皆さんの力でやってきました」って。
だからこそあんなに感情にのれて力一杯手を振ることが出来たんだろう。
拓郎やみゆきや千春なんかはあんなにブラウン管から手を振ることを拒否していたりできたのだろう。
「だって彼等は与えられた夢なんかじゃなかったじゃない」
o.k。それを言ってはおしまいなのだった。
「問題は、ルパンがルパンらしくない位、中のヒトがいなくなっても、つづいていたってことなんだ。」
「夢を終わらせたくなかったのよ。...でもそのために夢は死んでいたと思うわ。あやふやな煌めきとともに。」
なぜ、魔法使い達はああも現実的なのだろう。
成功した夢物語の後には必ずと言っていい程ついてくる。
彼等には物語の持つある価値をはずかしげもなくぶち壊しても恥じるということがないのだろうか。
「そうじゃない人達だって大勢いるわよ」
それは知っていた。あの彼女達のように自らぷっつりと切ることによって純粋さを永遠にとどめることをしなくても
きちんと残っていくものだつて多くあったはずなのだ。
自作できた連中が出来て、彼女達が出来なかったこと。
夢がズレたとき、必ずやってくるあのかさかさの魔法使い達を追い払うことが出来るかどうかだった。
日々対等に攻防で来ていれば、頂点でストップをかけることもなかったのだろう。
「それに、なんだって千差万別だからね。人生には多様性が許されている。守れる限り。」
・
・
・
「やれやれ、webでの推敲はつい...」
「羊はなぜ隠れていたの」
ああ、彼等に遭うことなく、終焉を見ることもしたくなかったのだろう。
彼等に遭わない羊は美しかったのだろう。
だけど、もしかしたら、最後までつきあうことで、夢はずっと続けられると思ったのだろうか。
彼は魔法使いを遠ざける為に、マホウ使いをマネージャーにしてやしなかっただろうか。
「もっとゆっくり、確実にやればよかったのよ。」
急がされる夢は自分以外のものも混じっているに違いなかった。
ときには勢いで語り部がいても、それはそれでよかったのだ。
真剣に考えようとすると"ロク"がやってくる。
奴らに一度捕まると、日々すっぱりやめることがとても困難になってくるのだった。
羊は自ら中途半端にしか出来なかったことを、かつてのフォークグループ達が完成させていたことに
気がついていたのだろうか...
293 :
めんよう:2006/07/18(火) 19:07:32 ID:LpS4hLGH0
見た所、馬氏にはパートナーがいるようだけど、アイマスク氏にはいないようね。
その空白の三年間のお話、乗せてもらえるでしょう。彼女は言った。
だって、他ならぬ彼女自身が体感したことであり、誰よりも彼女自身が知りたいと思っていたことだったからだ。
「まさかそれすらも馬氏側にあげてしまう訳ではないでしょうね。」
恋心は彼女にあった。馬氏側がそれで遊んでいるのは知っていた。
そういう形でしか楽しめないことは知っていた。
「なにもモンゴルまで行かなくとも、アイマスク氏がアイマスクを取ればいいだけのことじゃない。」
それでも彼女は、肝心な時に、何者かがやってきて記憶を取り上げてしまうことがあることを知っていた。
「今、彼自身がその状態だとしたら、ほんとは何を言っても仕方がないのだけれども.....」
特に酒を飲んでいる時は危険だった。
それでも彼女はその後に来るとんでもない展開を知っていた。
だから、パートナーとしてどうしても黙殺することは出来なかったのだ。
多分、彼は、自分のパートナーの性格がゼンゼン分かっていなかったのだろうと思う。
もちろんこの世界では無法は許されなかった。
だが、そういう手段でなくともそこそこの結果が出せる時代であることは知っていた。
「あきれたわ。時代の先には行かないとはこういうことなの ?」
向こうに手の内を読まれていることは明らかだった。
「自信を持ちなさい。自分の持ち分だけで十分なのよ。それ以外は邪魔なだけだわ。」
彼女はまだ人参入りのカレーを諦めてはいなかった。
「これで五分と五分よ。」
294 :
馬:2006/07/18(火) 21:15:40 ID:ZA+ch0iDO
>>288 《あなたに話さなければならない事》
「ルイの告白よ」「ルイの告白さ」「コアね?」
「コアだ」
「ついに来たのね?」
「ついに来たのさ」
「あなたが書く?」
「まさか」
295 :
アイマスク:2006/07/18(火) 21:51:18 ID:llkSub6X0
僕とルイはタクシーが走る通りまでゆっくりと歩いた。
どちらかがそう仕向けたのではない。単に、モンゴルという国では早足で歩く人間がいないというだけだ。
僕は今まで自分がどんなに早く歩いていたのかを思い知った。
ゆっくり歩くと様々な音が聞こえた。風の音、羊が草を噛む音、僕とルイの足音。
その間僕らは一言も話さなかった。それはまるで何か特別な儀式の祈りに近い静寂だった。
ルイが作り出すその独特の沈黙には犯しがたい処女性が横たわっていた。
目抜き通りまで歩くとタクシーを拾った。
僕がホテルの名前をルイに告げると、彼が運転手にモンゴル語で伝えた。
僕は部屋に彼を入れた。
それはもしかすると間違った選択だったかもしれない。
何故ならモンゴルの成人男性は当然の身だしなみのようにいつもナイフを身につけているからだ。
僕が失った3年の間に、ルイが僕に殺意を抱いていたとしても不思議は無かった。
そしてこれから僕ら二人の間にどんな出来事が起きたとしてもだ。
部屋に入ると、僕はルイにソファに座るよう勧めた。
彼はゆっくりと座り、僕の顔を見据えてこう言った。
「あなたが訪ねてくれる日を、ずっと僕は待っていたんですよ」
しばらくその言葉の意味を理解できずに彼の次の言葉を待った。
「人参を渡したくてね」
「え?」
「人参ですよ。どうしても必要だったんでしょ?」
そうだった。僕は人参を買いに行ったのだ。
「でも、君は僕に牛蒡を渡した」
「ゴボウ?ごぼうってなんですか?」
僕は頭が痛み始めていた。
296 :
アイマスク:2006/07/18(火) 21:55:27 ID:llkSub6X0
もう、眠い・・・。
すまない。続きはまた明日。
ルイは僕の事はお構いなしに持っていた鞄の中から赤い箱を取り出した。
「これを渡したかったんだ。ナンデムンインサムで一番立派なニンジンを選んでおいたんだ。」
ルイはとても大事そうにその赤い箱の中から瓶詰の人参を僕に手渡してくれた。
「何故この人参を僕にくれるんだ?」
まるで理科室にある蛇のホルマリン漬けの隣に並べてあるような瓶詰の人参を見て僕は言った。
「君がきっと気に入ってくれると思ってね。これが君の探しているニンジンに間違いはない筈だからね。」
ルイは屈託の無い笑顔でその効用を僕に説明を始めた。
「滋養強壮、精力減退、食欲不振、・・・」 僕の頭は再び痛みはじめた。
298 :
ナカタ:2006/07/19(水) 02:07:37 ID:sKjqimNL0
ナカタは頭が悪いので良くわからないのですが、気持ちが抑えられなくなっています。
申し訳ありませんが、少しばかりお話に加わらせていただきます。
299 :
ナカタ:2006/07/19(水) 03:00:58 ID:sKjqimNL0
そして彼はそんな僕の様子もお構いなしにポケットから煙草を取り出し、その一本に火をつけ、大きく煙を吸い込んだ
「これからお話することはあなたを失望させるかもしれない
場合によっては傷つけることもあるかもしれない。まずはそれをご了承願いたい。」
その雰囲気から、ルイも時が迫っていることは知っているようだった。
「次に、そうですねぇ、僕に起こった体験、いや、見た風景と言った方が正しいかな、」
少し考え、彼は続けた。
「おそらく、その話は今しておくべき必要があると思うのですがいかがでしょう」
「おそらくね。君がそう思うなら。」
僕は彼の言葉を待った。
しかしその後、彼はまるで牛の咀嚼のように言葉を吐きかけては飲み、吐きかけては飲み、とを繰り返し、
やがて、その自分の滑稽さに気付いたのか突然笑い出し、息せき切ったように語りだした。
「ははは、全部なんてとても無理だ。できるだけ簡単にいきます。しかし少々長くなることをお許し願いたい。
まず、工場と組織の話。その存在をあなたが知っているか知らないかはひとまずおいておきます。
便宜的な名称、その方がより正確ですしね。ただ、それはあなたにとって、とても身近な存在です。
簡単に言えば工場は魔法を使い、組織はマホウを使う、そう捕らえてください。
そして僕は工場の人間だった。しかし工場のやり方に少なからず不満を憶えていた。
文句ばかり言う人間は必要とされないのにね。」彼は自嘲気味に笑い、続けた。
「とにかく、僕は工場を抜け出そうと思い、日本へ渡った。まず、やったことは昔とった杵柄、相撲です。
祖父に習ったんです。昔の話ですが、モンゴルでは5人組でソコソコの活躍をしていたんですよ。」
「ソコソコ」僕はルイの片言の言葉が良くも悪くも気になり繰り返していた。
「そう、ソコソコ」彼は笑顔で返し、なおも続けた。
「強くはなかったんです。実は。祖父から習ったので基礎が大きく欠落していた。
まぁ性格によるところもあるかもしれません。そう、基礎だけではなく何かが欠落していた。」
僕は先程の彼のおじいさんを思い浮かべ、彼の取り組みを想像してみた。
「それが面白かったのでしょう。さしたる勝率でないにも関わらず、ソコソコの観客がいたのです。
そして、そのうちコーチを名乗り出てくれる人が現れました。昔の話です」
300 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/19(水) 03:59:50 ID:du6Yczp+0
オイこそが 300へとー
301 :
ナカタ:2006/07/19(水) 04:18:11 ID:sKjqimNL0
「彼は言いました。君達は最悪だ。だが見所はある。ビジネスの話をしないか?、と。
彼が要求したことは2つ。
もう少しストイックになること、そう、例えば言葉の海を感じるのではなく泳ぎきること、
そして、お金を稼ぐ、ということ。
僕達は話し合い、楽しかった相撲を保存したくて解散することにしました。」
ルイは新しい煙草に火をつけ、当時を思い出しているようだった。
「正直に言えば、遣り残した気持ちがあった。ただの美しい思い出。
僕 は 何 も 作 っ て い な い
その後、忙しい毎日に追われ日本に来ることになり、そして、ある相撲部屋をみかけた。
僕は冷やかし半分にその扉を開きました。最初は遊び半分でした。
しかしそこは僕が立ち入るには少々本格的でした。
付け焼刃の技は通用しなく、昔覚えた技を使い、時には自分なりの工夫をしても負けました。
そして負けるとスタイルの違いのせいにしていました。くやしかったからです。
でも、時間がたつにつれ妙に濃密で遊び半分では済ませない時間を過ごすようになっていました。
本当のくやしさの始まりであり、生活を削る日々の始まりでした。
簡単に言えば処理能力の問題。単純な話です。
そんな時です。おそらくあなたに牛蒡を渡した時期ですね。工場の人間に見つかったんです。
なんせ工場は魔法を扱うので管理が厳しい。僕は袋叩きにあいました。
しかし世の中には奇特な人がいるものです。僕を助けようとしてくれる人が現れました。
整理します。
僕は何を感じたのでしょう。
1:僕のせいで祖父の身が危険だ。そして僕のせいで血を流している人がいる。降りるべきだ。
2:単純に工場の人間とは関わりたくないし傷つきたくない。
3:1と思って行動したが本当は2であり、ただの欺瞞。
4:くやしい。応えたい。そして何かを感じ取りたい。
おそらく、すべて、です。自分の気持ちはフィルターがかかっているが故、一番わからないんです。」
そこまで言うと、ルイは沈黙へと沈み込んでいった。
302 :
アイマスク:2006/07/19(水) 04:25:53 ID:812Brdlk0
僕は喉がからからに乾いて唾をうまく飲み込むことさえ出来なかった。
『受け入れるのよ。あなたが望む、望まないに関わらず』
彼女の言葉が僕の砂漠のように乾いた頭蓋骨の中に木霊した。
僕はあの女性店員が言った言葉を信じるべきだったのだ。
そもそも、あのコンビニには牛蒡なんて存在していなかったのだと。
それでもなお、疑うことを知らない忠実な牧羊犬のような瞳で、僕の返事を待っているルイに、
僕はやっとの思いで「ビールを頼もう」と言った。
フロントに頼んだビールが来るのを待っている間、僕は頭の中を少し整理した。
そうだ。牛蒡というキーワードについて、僕はあまりにも無関心すぎやしなかっただろうか?
よく考えたら、僕は今まで何度も牛蒡を食べてきていた。
それなのに、コンビニでビニール袋に入っている牛蒡の匂いで突然記憶を失うなんて、
あまりにもばかげている。
コンコンとノックが響き、僕よりも先にルイが素早くドアを開けてボーイから冷えたビールのグラスが載った銀の盆を受け取った。
僕らは向かい合ってとりあえずグラスを傾けた。
僕はほとんど一気に飲み干してしまった。本当にうまいビールだった。
「とりあえず、牛蒡の話しは、今は忘れて下さい」と僕は言った。
ここで、本当に起きた出来事である確信のない牛蒡の話しを追求するより、
ルイが牛蒡の話を抜きでどんな大切な話が僕に対してあるのかが気になり始めた。
「僕の事にどんな話があるんですか?」
するとルイは意を決したように語り始めた。
303 :
アイマスク:2006/07/19(水) 04:50:21 ID:812Brdlk0
「僕の両親は、僕がまだ8才の時に二人同時にインフルエンザにかかって亡くなりました。
その当時、まだ社会共産主義国だったモンゴルでは、きちんとした医療を受ける機会がかなり限られていて、
あまり裕福とは言えなかった両親は僕の命を助けるために、手に入りにくいタミフルを飲もうとはしませんでした。
僕に遷った時に飲ませてくれと、配給されたタミフルを祖父に預けて息を引き取ったのです。
その後、一人っ子だった僕を祖父が育ててくれました。
僕は独学で大学に入り、日本で医療を学ぶために政府から奨学金をもらい、日本に渡りました。
でも生活費は仕送りも無いので自分で稼がなくてはなりませんでした。
大学の学生科であのコンビニを紹介してもらい働き始めました。
まだ日本語はうまくしゃべれなかったので、広山さん、あ、店長の名前です。店長は僕にピッタリの仕事くれました。
それは野菜の並べ替えです。
野菜はすぐに傷んでしまいます。でも、傷んだ野菜はあまり売れません。
コンビニは常に新鮮な物で無いと売れません。広山さんは僕に野菜の見分け方を教えてくれました。
そして、ちょうど古い人参を全部棚から降ろして、新しい箱を持っていたときです。
あなたが僕に「人参はありませんか?」と声をかけて来たのです。
でも、僕はまだ当時日本語がよく聞き取れなくて、しかも意味がよく分からず、
あなたの言っている人参が、僕の足下に置いた段ボールに入っているものの事だとは、
しばらく気がつかなかったのです。
そしてあなたは早口に怒鳴って、あきらめたように店を出て行きました。
304 :
アイマスク:2006/07/19(水) 05:00:47 ID:812Brdlk0
彼はなおも続けた。
「僕はすぐにあなたを追いかけました。でもあなたは車に乗って走り去り、
僕を振り返る事さえしませんでた。
僕はあなたの本当にがっかりした顔を忘れることはできませんでした。
そして、3年間、ずっとあなたがもう一度このコンビニに来てくれることを祈りました。
でも、あなたは来なかった。そして、僕は博士課程を修了し、なんとか医師免許を取得し、
モンゴルへ帰ることになったのです」
「でも、広山さんはおとといまであなたがあのコンビニに勤めていたって・・・」
「はい、あなたのことがあきらめられなかったんです。
僕はあなたにどうしてももう一度会って、人参をちゃんと手渡したかった。
あなたにきちんと謝罪がしたかったんです。それまでは大学を卒業しても帰れないと思って」
僕は少し、拍子抜けしてしばらく声も出せなかった。たったそれだけのために、
僕はこんなところまで来てしまったのか・・・。
すると、ルイは真剣なまなざしで続けた。
「僕は、実はゲイなんです」
305 :
アイマスク:2006/07/19(水) 05:22:56 ID:812Brdlk0
僕は二人きりでホテルの部屋にいることを深く後悔し始めた。
押さえ込まれたら、とても僕の身体では抵抗できないだろう。
「ははは、そんなに怯えないで下さい。僕にはちゃんと恋人もいます。
今は日本に住んでいるけど、彼は後輩の日本人で、僕を慕っていずれモンゴルへ来て、
一緒に病院を作ろうって約束しているんです」
僕は、額から落ちてきたナメクジのように後味の悪い汗を手の甲で拭った。
「そうですか、じゃ、今は幸せなんですね?」
「ええ、とても。ただ、僕の初恋はあなただった。そしてあなたに会ったことでたぶん、
僕は自分がゲイだってわかったんです」
僕は頷いた。
「じゃあ、僕が現れて、随分驚いたんじゃありませんか?」
「はい、正直夢の続きじゃないかって。でも、何度も夢に見ていたので、
現実だって気がつくまで本当は驚いていなかったのかも」
「僕はルイさんがあんまり普通に話しかけて来てくれたから、
僕が忘れているだけで、何度も会っていたのかと思いました」
僕らは久々に笑い合った。
「ところで、牛蒡って、あの店には置いてなかった?」
僕は何気ない振りをして聞いてみた。
「ああ、さっきも言いましたね。ゴボウって、一体なんですか?」
「いや、だから、あの野菜の」
「へえ、日本にはゴボウという野菜があるんですね」
「本当に知らないの?」
「はい、僕はゴボウなんて野菜は食べたことがありません」
またも僕の頭痛み始めていた。
処理 存在 井戸
307 :
アイマスク:2006/07/19(水) 08:23:48 ID:812Brdlk0
このまま彼と牛蒡の話を続けてもなんの進展もなさそうだった。
また、ふりだしに戻ったわけだ。
そんな消沈した僕の様子を見かねたのか、ルイは僕の顔をのぞき込むように言った。
「モンゴルへは旅行で来られたんですか?」
僕は何とか笑顔を作り、「もちろん。他になにがあるんだい?」
と強がって見せた。
ルイはホッとした様子でまた笑った。もし僕が女の子だったらイチコロになっていたんじゃないかと思わせるような、
そんなチャーミングな笑顔だった。
「それじゃ、僕は3年越しの告白ができたし、そろそろ帰ります」
僕にはもう、彼を引き留める必要はなさそうだった。
ホテルにタクシーを呼び、彼を乗せて運転手に大目にチップを渡した。
「君に会えて良かったよ」僕が言うと彼は白い歯を見せて頷いた。
そして僕らは固い握手を交わした。
最後に彼が言った。
「もし、広山さんに会うことがあったら、僕はもう日本には戻らないと伝えて下さい」
ナーダムが終わったらもしかして日本に戻るかもって言ってあったんですが、
もう、その必要は無くなりました」
僕は頷いて言った「必ず伝えるよ」
「夢は叶うものなんですね」そう言い残して彼は行ってしまった。
もう2度と彼に会えないような気がした。
そしてそれは実際にそうなのだろう。
308 :
アイマスク:2006/07/19(水) 15:26:20 ID:ljQF17W60
ルイを見送ってしまうと、突然僕は理不尽なまでの空腹感に襲われた。
そういえば、朝食をホテルで摂ってからほとんどなにも食べていなかった。
時計を見るともうすぐ午後の6時半だった。
昨日成田でMIATの飛行機に搭乗してからちょうど24時間が経過したわけだ。
僕はとりあえずホテルのレストランに入り、腹ごしらえすることにした。
あまりに腹が減っていて、殆ど何も考えることができなかった。
レストランはホテルに1つしかなかった。ロシア料理とモンゴル料理が楽しめると
ホテルのパンフレットに書いてあった。
僕はメニューを見たが、もちろんなんて書いてあるかはまったく分からなかった。
仕方が無いのでウエイターに、日本語を話せるフロントの男性を呼んでもらった。
このホテルにチェックインした時のフロント係だったが、彼はここの支配人だった。
彼は僕のことをよく覚えていて、「観光はいかがでしたか?」と気さくに話しかけてくれた。
僕は「ええ、ナーダムの練習会場を見学をしてきました」と言った。あながち嘘ではなかった。
「それは宜しゅうございました」
「今日は何をお召し上がりになられますか?」
「とにかく腹が減ってるので、お奨めのモンゴル料理をコースでお願いしたい」
「かしこまりました。すぐにご用意いたします」
309 :
アイマスク:2006/07/19(水) 15:26:52 ID:ljQF17W60
僕は試しに聞いてみた。
「ねえ、牛蒡を使った料理はあるかな?」
支配人はしばらく僕の質問の意味を諮りかねた様子で沈黙した後、聞き返した。
「牛蒡といいますと、あの根菜類の・・・?」
「そう、その牛蒡」
支配人はさも大げさな身振りでこう続けた。
「おお、ムッシュ、ご冗談はおよし下さい。牛蒡を食する習慣があるのは世界中で日本だけでございます」
「ええ?」
「もちろん、中国も最近は牛蒡の生産を行っております。しかしながら、それは日本人の指導により、日本に輸出するためだけに生産されているのであって、
中国人もロシア人も、もちろんモンゴリアンも牛蒡は食べません」
僕は空いた口がふさがらなかった。本当に驚いたのだ。
「いかがです?考えてもご覧くださいませ。フランス料理、ロシア料理、中華料理、世界中どこを探しても牛蒡料理がありますのは、
和食のみでございます。牛蒡を日本国以外でお召し上がりになりたい場合は、
よく日本の方がなさいますように、梅干や納豆と一緒に携帯されてはいかがでしょうか?」
僕の完敗だった。
ルイが食べたことがないと言ったのは、まったく嘘ではなかったのだ。
310 :
アイマスク:2006/07/19(水) 17:39:55 ID:812Brdlk0
>>294 お言葉に甘えて、書かせて頂いた。
でも、おそらく読者諸氏もそろそろ馬氏の巧みなる春樹的描写を読んで見たいと、
思われているのではなかろうか?
311 :
アイマスク:2006/07/20(木) 05:09:37 ID:P2Uu8TVY0
この物語は思ったより長い話になりそうだった。
僕はこのリレー小説を単なる独りよがりの自己満足のためにこの手で台無しにしてしまったのかしれない。
ただ、皆さんにお願いしたいのは、僕はどうしてもつじつまが合わない話にはしたくないということだ。
ナカタ氏の話の展開にはどうしても僕の常識の範囲内でのリアリティが欠落していて、
それに繋げる事は出来なかった。
それは単に、僕の力不足な訳だが。
もちろん、この話はまだまだ先が長い。
そしてこの板で語り続ける事が許されるなら、僕には書く準備が出来ている。
馬氏には大変感謝している。
なぜなら、今にして思えば、モンゴルへ来ることがこの物語には必要だったからだ。
一人で続けるにはあまりにキツい。
もし、誰にも歓迎されていないのであれば、これでもう筆を置きたいと思う。
そしてまた名無しに戻ります。
読んでくれた皆さん、貴重な時間をありがとう。
312 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 08:20:55 ID:iazQQozk0
つか今の若者は一人称が「俺っち」なのか。
313 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 12:14:13 ID:C4Ok5nQYO
いや、続けて欲しいんだけど
細部が微妙にずれだしてる。
例えば
ルイは学校が夏休な事もあってモンゴルに帰ったんじゃなかった?
アイマスク氏の繋ぎだと学校はとっくに卒業した事になってる
細かい事だけど読んでてすごく落ち着かなくなる
314 :
アイマスク:2006/07/20(木) 16:19:26 ID:VRhzo76P0
>313わかった。なんとかしてみる
なぁ、ちょっと聞いてほしいんだけど。
この間会社の奴らとジンギスカン食いに行ったんだよ。
でさ、なんでか俺の肉だけ星のような模様が入っていたわけよ。
同僚に聞いても「気のせいだろ」とかだし。
俺のだけなんだよね。
他の奴らのは普通だった。
まぁ腹減ってたから全部食ったけどな(笑)
オカルトっぽいから書き込んでみたけど、
最近頭痛がやばいからもう寝るわ。
316 :
アイマスク:2006/07/20(木) 18:48:51 ID:HiSfqR6T0
名前もよく分からないモンゴル料理を無心に胃袋に送り込んでしまうと、
突然群れからはぐれた鰯よりも孤独になったような気がした。
僕がやってきたことは、ほとんど何一つ実りが無く、見当はずれだった。
手がかりとか、目当てというものが無いのだ。
一体、僕は何をしたというのか。僕はただ真夜中に人参を買いに出かけただけだ。
だが、その時の記憶は思い返してみても、不鮮明で間違いだらけのような気がした。
そしてルイは言った。『ゴボウって、一体なんですか?』
僕は30半ばにもなるというのに、牛蒡が日本以外では極めて特殊な食べ物だということさえ、知らずに生きてきたのだ。
それを知っていたなら、人参がない代わりに咄嗟に牛蒡を出すという行為が極めて日本人独特な発想だと言うことに気がついたはずだ。
そう考えると、おそらくルイの言っている事は正しく、僕はあのコンビニでは、何も買わなかった事になる。
あのコンビニを出たときに手に持っていたと思った牛蒡は、一体どこで手に入れたのか。
そして、3年間の記憶の欠落。僕が思い出せるのはほんの数時間の記憶でしかない。
万が一、ルイが嘘をついていたとしても、いや、おそらく彼は嘘なんかつかないだろう。
そんなことをする理由がないのだ。
そうだとすると、僕の記憶はある時点で何者かによって書き換えられてきまった事になる。
もしそんなことが可能であればの話だが。
とにかく、僕には次に行く当てがなかった。
どこへ行ったとしても何も出来ないような気がした。
僕は、疲れていた。雨に打たれた新聞紙よりも打ちひしがれていた。
全財産をかけた勝負で手持ちのカードは全部使ってしまったようなものだ。
僕は次の一手に通じる手がかりが欲しかった。
村上春樹って、好き嫌いで別れるんだね
318 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/20(木) 20:54:53 ID:cIPCJmbWO
「ねぇ、あなたはちょうせんあさがおって知ってる?」
ふと気付くと彼女が立っていた。
たしか僕はモンゴルに居るはずなのに僕の隣には彼女が立っているのだ。 「よくしらないな。」僕は多分そう言った気がした。
「ちょうせんあさがおって根が牛蒡にとても似てるの。で、年に何人かは間違えて食べちゃって、死んじゃう人が五人くらいいるの。
まぁ運良く死ななかったとしても気絶くらいはすぐしちゃうわ。とても強い毒があって中毒するのね。」
僕は彼女の声のする方を見たがそこには誰もいなかった。ただモンゴル草原が続いているだけだった。
「牛蒡、人参、ちょうせんあさがお」と僕は声に出してそういってみた。
ふと僕はルイが渡してくれた人参の事を思い出した。
朝鮮人参。ヒントは随所に散りばめられていたんだ。
319 :
馬:2006/07/21(金) 02:14:23 ID:WEq8qHmpO
突如として耳ざわりな電子音がなり響いた。
モンゴルの大草原が一瞬にして視界から消え、あたりは暗闇に包まれた。やがて現実の世界がぼんやりとその姿を現しはじめた。僕はその電子音のする方に手を伸ばした。
「もしもし」
「ねぇ、あなたは電話に出るまでそんなに時間がかかる程広い部屋に泊ってるの?」
彼女だった。
僕は夕食の後、部屋に戻りベッドで眠っていたのだ。
「34回も呼び出したわよ」
「すまない。君の夢を見ていたんだ」
受話器の向こうから彼女の溜め息が聞こえた。
「ねぇ、いつからそんな気障な台詞をはくようになったの?」
「嘘なもんか。君がモンゴル大平原の女神と化してチョウセンアサガオの啓示を僕に・・」
「ばかみたい」
彼女は怒っていた。
「よく僕のホテルがわかったね」
「そんなの調べればすぐわかるわよ、何世紀だと思ってるのよ」
確かにそうだ。
僕は中世トルコの宮殿にでも生まれるべきだった。
「あの本を読んだからでしょ?本棚から失くなっているもの。だからチョウセンアサガオなんて言うのよね」
「あの本?」
「碧き狼、持って出たでしょ?」
「君は読んだのかい?」
「3年前にね。あなたが人参を買いに行って消えてから。あれだけじゃないわ、あなたの本はすべて読んだわよ。他にすることもなかったから。」
「僕はまだはじめしか読んでないんだ。あの本にチョウセンアサガオの事が?」
320 :
馬:2006/07/21(金) 04:01:54 ID:WEq8qHmpO
自分で読めばいいのに、と彼女はぶつぶつ言いながらもその本に書かれていたチョウセンアサガオに関する内容を要約して話してくれた。
「チンギス・ハンはね、組織的な強姦だけじゃなく、とても残虐な方法で侵略を続けたの。
征服した土地土地で民族の片耳を切り落として数を記録し、死骸をどんどん積み上げて男・女・子供の3つのピラミッドを作ったりもしたわ。
死骸のピラミッドからは血の川が流れ出し、道に染みついたそうよ。
でも激しい戦いの中でもちろん自軍の兵も大勢命を落としたわ。
敵に討たれ瀕死の兵にチンギス・ハンが施したのはチョウセンアサガオだったの。麻酔効果があるからよ。
そのおかげで兵は激しい痛みを少しでも忘れ、薄れ行く意識の中で安らかに死んでいったの。モルヒネみたいな物ね。
彼はそんなチョウセンアサガオの医学的特性をすでに知っていたのよ、あの時代によ。
それから700年も後の日本でもある戦争でその処方は多用されたの。
太平洋戦争への悪夢の幕開けとなった日中戦争でね。
戦争が長引いて戦地への正規の医薬物資がおいつかなくなっての苦肉の方策としてだけど」
日中戦争?
ルイの祖父が中国で日本人と接した戦争だった。
そしてルイは祖父の薦めもあり日本で医学を学び医師免許を取得していた。当然麻酔の知識もあるはずだった。
何かが繋がりかけていた。
321 :
馬:2006/07/21(金) 04:05:42 ID:WEq8qHmpO
「本に関してはそんなとこよ。もっと詳しく知りたければ自分で読んで」
「ありがとう」
「そう言えば広山さんから電話があったわよ」
彼女の口から意外な名前が出て来た。
「ルイ君のアルバイト先の店長さんなんでしょ?」
僕はモンゴルでルイと行き違いになる事を考慮して、ルイから連絡があったら教えて下さいと彼に自宅の電話番号を教えていた。
「ルイ君についてなんか妙な事を言ってたわよ」
「妙な事?」
「うん。それがね、ルイ君がアルバイトをするようになってから何度か野菜を買った客から苦情があったらしいの。
おたくの野菜を食べたら体調が崩れたって。軽く痺れたり、ぼおっとしたってね。
でもその度に店の商品を検査しても問題はなかったらしいのよ。そしてその野菜というのが決まって牛蒡だったらしいわ。
ルイ君についてちょっとだけ気になってたから伝えておきたかったって」
また牛蒡だった。しかし今の僕にはその問題の野菜が牛蒡ではない事がわかった。
恐らくルイは見た目にはわからぬよう牛蒡にチョウセンアサガオを紛れ混ませていたのだろう。
しかし何故ルイがそんな事を??
僕の記憶が飛んだ原因もそれなのか??
僕は受話器を耳につけたまま動けずにいた。
「ねぇ、大丈夫なの?」
彼女が心配そうに訊ねた。
状況を整理する時間がいる。
そしてなにより、ルイにもう一度会う必要があった。チンギス・ハン、ルイの祖父、そしてルイ。
遥か長い年月を越えて三人のモンゴル人がチョウセンアサガオで繋がっていた。
322 :
馬:2006/07/21(金) 04:10:49 ID:WEq8qHmpO
際限なく広がりすぎて収集がつかなくなりつつある物語をかなり強引に纏めてしまった。
しかも春樹的ですらない文章だ。
申し訳ない。
どれもこれも全てモンゴルなど持ち出した自分のせいです
牛蒡は取り扱ってないんじゃなかった?
324 :
馬:2006/07/21(金) 04:46:40 ID:WEq8qHmpO
牛蒡の件で苦情が多かったため店としては原因はわからなかったが取りあえずの処置で牛蒡を棚から外した
それ以降牛蒡は扱ってない。
二年前からバイトを始めた女の子はそんな過去などしるよしもない
実際需要は少ないので女の子の説明もあながちまちがってはいない
という事です
325 :
アイマスク:2006/07/21(金) 04:59:20 ID:WuI+Slfk0
>>323 いや、牛蒡を取り扱っていないとは、まだ決まった事ではない。
馬氏が繋いでくれた物語はまだまだ生きている。
まず、広山店長が牛蒡を売っていた事はないとは言っていないこと、
そして、女性店員が牛蒡を取り扱っていないと言ったのは2年前からの事でしかない。
可能性はむしろ広がっている。
僕はルイが正直で嘘の付けない人物であることをことさらに強調して書いたけど、
それはむしろそうではない時のための伏線であるという事もありうる。
そして、
>>313が指摘した夏休みだけど、それも、ルイが嘘をついていた可能性の示唆になりはしないだろうか?
つまり、この物語は生きている。きちんと機能しているんだ。
朝鮮朝顔はむしろすごくおもしろいディティールだ。読者諸氏も、あら探しばかり考えないで、
この物語にタイトルをつけるぐらいのことをしてみてはいかがだろうか?
326 :
アイマスク:2006/07/21(金) 05:15:05 ID:WuI+Slfk0
>>324 戻って来てくれて、本当に嬉しいよ。
とりあえず、次は日本に帰って、広山店長に会うことだね。
>>326 えっ?ルイにもう一度逢うんじゃなかったっけ?
328 :
アイマスク:2006/07/21(金) 08:16:23 ID:WuI+Slfk0
>>327 ごめん、ルイにはもう少しあとで会った方がいい気がする。
彼はこの物語を終わらせてしまう可能性を秘めている。
ここで強引に会いに行って、終わりにしてもいいんだけど、
そのほうが良ければみんなの意見を尊重してもいいよ。
ただ、僕はもう一人会うべき人物がいる気がする。
それはあの物理学者的精神科医だ。
とにかく、日本へ帰ってもいいかな?どっちがいい?
>>328 お任せするけど、朝鮮人参のことについて話を膨らまして欲しいな。
330 :
アイマスク:2006/07/21(金) 10:23:01 ID:aNhWKEBi0
>>329 朝鮮朝顔と、朝鮮人参はだいぶちがうと思うけど、
どうしても朝鮮人参にもってかなきゃだめ?
332 :
馬:2006/07/21(金) 10:38:25 ID:WEq8qHmpO
>>329 申し訳ない
どうしても朝鮮人参からは繋がりを見つけられなかったので、まずは朝鮮あさがおを使わせていただいた。
人参については以降のマスク氏のレスに一任したい。もしくわ
>>329氏、うまく繋いでくだされ。
>>マスク氏
同意。一度帰国してくれ(笑
333 :
アイマスク:2006/07/21(金) 10:53:47 ID:DgXETxAB0
334 :
アイマスク:2006/07/21(金) 11:33:04 ID:qhP4t48u0
「ありがとう。君の声が聞けて嬉しかったよ」僕はなんでもないように言った。
「お安い御用よ」
「またあとで連絡する」
「みんみん」と彼女が言った。
受話器を置いて窓のカーテンを開けるともう夜明けだった。
ウランバートルの市内は朝日に包まれ、美しいロシア建築の建物が朝露に濡れてきらきらと光を反射していた。
僕は背伸びをしてからシャワーを浴び、身支度を整えた。
帰国する前に、ルイに会いに行かなくてはならない。
フロントに支配人の姿は無く、昨日の朝のフロント係しかいなかった。
僕は市内をもう少し散策してからチェックアウトをすると伝えて外出した。
昨日は見つけるのにやっとだったが、場所さえ知っていればルイのゲルまではタクシーを使って行くと20分くらいで行けるだろう。
タクシーを降り、車が入れない草原のゲルで形成された町を早足で歩き、まっすぐルイのゲルまで歩いた。
しかし、昨日そこにあったゲルは跡形も無く消えていた。
場所を間違えたのかと周辺を捜し歩いたが、やはり、彼らのゲルは見つからなかった。
ほんの十数時間のうちにゲルは何者かにたたまれ、移動されてしまったのだ。
モンゴル人は住所というものを持たない人種なのだ。
モンゴルは彼らの国であり、テリトリーだ。
僕がもう一度尋ねてくることは、彼らには予め分かっていたことなのだ。
そして、昨日ルイが語った身の上話は殆ど全て朝露とともにその信憑性を失った。
彼は確実に何かを隠すために、あんな身の上話をし、そして僕を信用させて日本に帰らせるつもりだったのだ。
それが分かってしまうと、すこし気が楽になってきた。
やはり僕がモンゴルに来たことは無駄ではなかった。
僕は確実に真実に一歩ずつ近づいていたのだ。
これ以上ルイを探すことは無駄である気がしたので、僕は一旦帰国することにした。
もう一度じっくり家に帰って体制を立て直す必要があった。
僕はホテルに戻るとすぐに帰りの飛行機を手配した。
335 :
アイマスク:2006/07/21(金) 21:57:36 ID:aA0V/gie0
次は誰か書いてくれないかな。
順番に書いていかないと、独りよがりになっちゃうんだ。
336 :
馬:2006/07/21(金) 22:45:58 ID:WEq8qHmpO
いいんじゃないかな、書いちゃって。一人2、3レスくらいづつじゃないととても話がまとまらない。
1レスじゃ何もかけないし。
337 :
高麗人参:2006/07/21(金) 23:01:44 ID:2gZsvb/BO
すみません、暫く書くのは難しいので(時間が無さ過ぎて)
お二方又は名無しの方々書いてくださいませ。
忙しくて死にそうでつ。
338 :
アイマスク:2006/07/22(土) 07:04:49 ID:PsLdBRNA0
339 :
アイマスク:2006/07/22(土) 07:14:20 ID:PsLdBRNA0
>>293 :めんよう :2006/07/18(火) 19:07:32 ID:LpS4hLGH0
出来れば、もうすこしわかりやすくヒントくれないかな?
僕は暗号解読出来るほど2ちゃんなれしてないんだ。本当にただのハルキバカだからね。
なにかすごいヒントが隠されているのは分かるんだけど。
340 :
アイマスク:2006/07/22(土) 09:51:03 ID:PsLdBRNA0
フロント係はてきぱきと宿泊費費を計算し、航空会社に電話をして飛行機の手配までしてくれた。
モンゴル人特有の四角い顔に誠実さがにじみ出ていて感じのいい人だった。
彼はホテルマンの基本的な笑顔の見本みたいににこやかな顔でこう言った。
「モンゴルのお土産はもうお求めになられましたか?」
僕はお土産と言われて初めてそんなこと考えもしていなかったことに気がついた。
「いや、まだなにも買っていなかったな」
「さようでございますか。もし買われるなら、空港より市内の外貨専門店でお求めになられた方が、
よろしいかと」
「そうですか。モンゴルのお土産って、どんなものがいいだろう?」
「そうですね。女性に贈られるのであればカシミヤのストールなどはいかがでしょう?
あとは何故か日本の方には岩塩に最近人気が集まっているようです。
結晶した岩塩の塊もあると思います。薄いピンクで水晶のように美しいので、
飾っておかれてもいいと思います。あとは、動物の骨や皮で作られた民芸品、
高価なものでしたら馬頭琴なども喜ばれております」
僕はルイが僕にくれた朝鮮人参の事を思い出した。
「朝鮮人参はないの?」
「さあ、中国人のお店にはあるかもしれませんが、もしかするとトグログしか使えないかもしれません」
「そう、どうもありがとう」
僕はそう言ってホテルを後にした。
何か喉につかえた小骨のように引っかかるものがあった。
僕はなにか重大な事を見逃しているのだ。
・・・朝鮮人参。彼が僕に話したことやその仕草やすべてに置いて、
なにか不思議な違和感が感じられた。
そうだ。彼は僕に一度もモンゴル語を話さなかった。
そして、彼がモンゴル人である証拠が何もなかった。周りの人間からそうだと聞いただけだ。
そして祖父とルイが一緒にいるところを僕は見なかった。
僕はもう一度彼の日本に滞在していたときの身辺を調査してみようと思った。
341 :
アイマスク:2006/07/22(土) 10:24:01 ID:PsLdBRNA0
帰りの空港に向かうタクシーに乗ると、僕はルイと一緒にタクシーに乗ったときの事を思い出した。
そうだ、彼は僕の代わりにホテルの名前を運転手にモンゴル語で伝えた。
でも、それだけでまた貝のように沈黙して、運転手はおろか僕にも話しかけなかった。
モンゴル人はものすごく気さくで人に話すのが好きな人種だ。どこのゲルへ行っても歓迎され、
馬乳酒を振る舞うような人たちだ。それなのに、ルイは周りにいたモンゴル人のほとんど誰とも話さなかった。
そう、ルイはモンゴル人らしくないのだ。
飛行機に乗る前に彼女に国際電話をかけた。
でも彼女は電話に出なかった。また玉葱でも買いに出かけたのだろう。
仕方ないのでそのまま飛行機に乗り、4時間後には成田に着いていた。
成田からも彼女に電話をかけてみたが、やっぱり出なかった。
僕は一人で近くにあった和食の店で、牛蒡の入ったすき焼き定食を食べてみた。
少し緊張して食べたが、特になにも体調に変化は現れなかった。
牛蒡はあの独特な風味でその他の肉や野菜との調和を見事にひとつにまとめ上げていた。
こんなに美味しいものを、日本人しか食べないなんてな。と僕はまた不思議な気持ちになった。
さて、これから僕はどこへ行くべきか。
とにかく家に帰って重いディパックを下ろそう。そして彼女と久しぶりのセックスをしよう。
すべてはそれからだ。
僕は羊ロボと彼女のいるマンションへと向かった。
342 :
馬:2006/07/22(土) 11:43:19 ID:MTNWbSErO
>>339 いや。
単に「馬は邪魔だから控えろ」だと理解したが。
343 :
アイマスク:2006/07/22(土) 12:00:42 ID:PsLdBRNA0
>>342 ええ?そうなの?
ぜんぜん分からなかったよ。
僕には馬氏の方に歩があるって言ってるのかと思った。
僕には一緒に2ちゃんねるを見てくれるようなパートナーがいないからね。
344 :
馬:2006/07/22(土) 12:24:11 ID:MTNWbSErO
>>マスク氏
「ルイ偽モンゴル人説」
してやられた。
これでもうモンゴルに旅する必要はなくなった。
>僕には一緒に2ちゃんねるを見てくれるようなパートナーがいないからね。
ある意味最高の侮辱であるw
345 :
朝鮮人参:2006/07/22(土) 13:04:02 ID:aBqg/4UcO
彼女のマンションに着いてインターフォンを鳴らすと不自然なくらいすぐに彼女がでてくれた。
「ずっと電話したんだ、何度もね。」と僕は言った。
彼女はそのことには何も触れずいつもの様にドアをあけてくれた。
「お帰りなさい、結構早かったのね。あと何日間か戻らいのかとおもったわ。」
「あ、そういえば今日の朝早く、あなたのお友達って言う人が来て、朝鮮人参とエンゼル・トランペットっていう
観賞用植物をあなたにって置いていったわ。何か人懐っこい笑顔で宜しくって言ってたけどあんなお友達いたの?」
と彼女は怪訝そうな顔で僕をみつめた。
「お友達?」と僕は聞き返した。自慢ではないが僕には人懐っこい笑顔の知り合いどころか、
大学を出て以来、何か僕に贈り物をくれる友達なんか誰一人いないのだ。
そう、ルイ以外には。
「名前は言ってなかったの、渡してくれれば分かるって言ってたから。でも綺麗よね、
このエンゼル・トランペットって、もう花が落ちて実がなってるのもあるけど、なんかオクラみたい、後で食べてみようかしら。」 「観賞用植物なんだろう?食べられないんじゃないかな?だって草じゃなくて木だろうこれ、オクラは草になるんだよね?たしか」 と僕はいった。
ただこの時点で僕は気が付かなかった。別名朝鮮朝顔だってことを。
346 :
朝鮮人参:2006/07/22(土) 13:10:31 ID:aBqg/4UcO
馬氏さんも怒らないでよ、多分悪気は無いと思うんだ。それより、頑張って続きお願いしまつです。
347 :
アイマスク:2006/07/22(土) 17:07:27 ID:PsLdBRNA0
高麗人参=朝鮮人参=めんよう?
なるべく名前は統一してほしいのだが・・・。
348 :
アイマスク:2006/07/22(土) 17:15:37 ID:PsLdBRNA0
>>344 でしょ?この2日くらいまともに寝てないよ。
寝ようとしても話の先を考えちゃって寝れないんだ。
会社で居眠りはしちゃうしね。
>ある意味最高の侮辱であるw
なんでよ。僕のパートナーは2ちゃんねるはおろか、村上春樹の本なんて触ろうともしないんだよ。
趣味が合うってうらやましいって言ってるんだよ。
349 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/22(土) 17:21:03 ID:x5sCsEyf0
やれやれ。
オカ板にも春樹か・・・
350 :
朝鮮人参:2006/07/22(土) 19:01:29 ID:aBqg/4UcO
高麗人参は疲れてて間違えちゃったけど、めんようは僕ちゃいますよ。
351 :
馬:2006/07/22(土) 19:04:19 ID:MTNWbSErO
>>348 別に本気で怒ってる訳じゃないんだがw
朝鮮人参氏がまた面白い展開にしてくれた。
みんな、うまく繋ごうではないか。
352 :
アイマスク:2006/07/22(土) 19:50:01 ID:PsLdBRNA0
353 :
馬:2006/07/22(土) 23:56:13 ID:MTNWbSErO
ルイが来たのだ。しかもルイは僕がモンゴルから帰国していない事をおそらく知っていただろう。
いや、僕が居ないからこそ来たのだ。
「ルイだよ!彼が来たんだ。他に何か言ってなかったかい?」
僕は彼女の両腕を掴んで聞いた。
「何も聞いてないわよ」
彼女は体を揺すって僕の手を振り払おうとしたが、僕が強く掴んでいたため振りほどく事はできなかった。
「モンゴルの人になんか見えなかったわよ!」
彼女は言い訳するように言った。
僕の表情が突然厳しくなった事に驚き、戸惑ったのだろう。
そして今僕が抱えてる訳のわからない問題のおそらく中心となる人間と接触していながら、全く気付かなかった事に動揺していた。
「だってあんな顔、休日のスーパーに行けばいくらでもいるもの!あれがモンゴル人って言うなら、私はカタール人にもレバノン人にもなれるわよ!」
彼女は今にも泣き出しそうなくらい興奮していた。
耳まで真っ赤になり体が震えているのが両手から伝わってきた。
「すまない。君を責めてる訳じゃないんだ」
僕は慌てて彼女の腕から手を放した。
「でも僕にはわかるんだ。それがルイだという事が」僕は力なく言った。
おそらくルイは僕と別れた後すぐに日本に発ったのだろう。
僕を欺き、何かを成し遂げるために。
そして1は確実に立て逃げを行った。
355 :
馬:2006/07/23(日) 02:29:59 ID:YBZ0+d5LO
「いったいなんなのよ」
彼女は椅子に座り込んで両手で頭を抱えていた。
表情は見えなかった。
「すまない。ちょっと出てくる」
僕はワーゲンのキーを掴み彼女の後頭部に向けて言った。返事はなかった。
僕はエンゼルトランペットと朝鮮人参をどうしようか迷ったが、結局そのままにし、ルイが勤めていたコンビニに向かった。
ルイが顔を出してるかもしれないのだ。
何か得体の知れない存在が僕の周りで蠢いている気がした。そしてそれが決して友好的じゃない物だという事だけはわかっていた。
車がコンビニについた時、広山店長は箒と塵取りをもって駐車場の掃除をしていた。
僕が車から降りると研修通りの笑顔でにっこりと笑った。
僕はモンゴルでルイに会った事、そしてルイが僕の部屋を訪ねたらしい事を話した。
「ルイが日本に戻ったのですか?あなたの部屋を訪ねた?」
ルイはコンビニには来て居なかった。
僕は店長からルイの顔写真入りの履歴書を借用した。はじめ店長は個人情報保護法とかなんとか言っていたが結局は僕の勢いに押されたようだった。
履歴書の住所は引越しした時に書きそびれたらしく、今の住所ではなかった。携帯の番号すら書いていない。
手掛かりは学校しかないようだ。
僕は店長に礼を言い学校に向かった。
356 :
馬:2006/07/23(日) 02:49:45 ID:YBZ0+d5LO
コンビニから車で10分程の住宅街からは離れた高台の上にその医学部はあった。
僕はどうするか迷ってから門の脇に車を停めハザードをつけたままエンジンを切った。
突然学生課やら総務課などを訪ねたところで卒業生の情報など教えてくれるはずもない。コンビニの店長を出鱈目で騙すのとは訳が違うのだ。
門から出る学生を呼び止め、ルイの写真を見せて話しを訊くしか手はなさそうだった。
歴史を感じさせる石造りの門の学部名の隣りには『学び、還元する』と彫ってあった。教育指針とかそんな物だろう。
僕は車を降り門をくぐった。
門から少し入った所にガラス張りの掲示板があった。講演の案内やクラブ活動の連絡、講義の日程変更やらが貼ってある、どこの大学も同じだ。
掲示板の右端には学内新聞らしきものが貼ってあり、元学部長の顔写真とともに学会の論評記事が載っていた。
顔写真には見覚えがあった。
メンタル・クリニックの『先生』だった。
あの老人は物理学者ではなく、元医学部長であり医学部博士だったのだ。
僕は何が起きてもさほど驚かなくなっていた。
あまりにも奇妙な事が続きすぎるのだ。
今はまずルイの事だった。
僕は車に戻り、シートを少しだけ倒して学生が門から帰るのを待った。
357 :
アイマスク:2006/07/23(日) 09:55:13 ID:68PCL0/m0
ワーゲンのシートに凭れて、僕が体験した今までの出来事を時系列で考えてみた。
あの夜9回目のセックスを終えて目を醒ますと彼女がカレーを作っていた。
僕が人参を買いに出かけてコンビニに行き、ルイから牛蒡を受け取り、家に戻ると彼女に怒られ、
もう一度人参を買いに出かけたとき、奇妙な事が起こった。
エレベーターが故障したのだ。
そして気がつくと真っ暗闇にいた。
しばらくして突然照明が点くと、その場所は見慣れないどこかのホテルのようだった。
すぐにエレベーターに引き返すとまたエレベーターが止まって、しばらく待っているとマンションに戻れた。
人参をスーパーで買ってからマンションの部屋に戻ると彼女が羊ロボと寝ようとしていた。
そして彼女が言ったのだ。「3年もどこに行っていたの?」
そこから僕の奇妙な冒険は始まった。
「牛蒡に対してだけ、異常な反応を示しました」
とあの医学部長だった精神科医が言った。でもそれは出鱈目だった。匂いがダメなのに食べられるわけがないのだ。
そして彼がいったのだ。「そのモンゴル人の店員をお捜しになり、事情を聞いたら、
あるいは何かがわかるかもしれませんが・・・」と。
僕をモンゴルに行かせるため?
いや、ルイに会いに行かせるためだ。
どこからが嘘でどこからが本当なのかまったく見当もつかなくなっていた。
ただ、ルイがこの医学部にいたのかどうかを確かめることに、それほど重要性を感じなくなっていた。
ルイはプロの詐欺師のようなものだ。外国人の振りをするのも朝飯前なのだ。
医学部生の振りをするなんて、それこそ蜜柑の皮を剥くより簡単なことなのだ。
ルイが真実を語るのは、その必要があるときだけであり、彼がその必要は無いと判断すれば、
絶対に真実を話したりはしないだろう。
僕が会いに行かねばならないのはあの、医学部長の精神科医だ。
そして明日はたしか、その精神科に次の予約を入れた日だった。
358 :
朝鮮人参:2006/07/23(日) 11:16:05 ID:vVlediesO
ぼんやりと外を眺めながらそんな事を考えていた時、車の窓を軽く叩く音で現実に引き戻された。
窓の外にはやけに目付きの鋭い男が二人立っていた。
「すいません、今この近くでちょっとした事がありましてね、車から降りて私の話を聞いていただけませんか?」
どうやらその二人は刑事らしかった。警察手帳を僕に見せドアを開けるよう催促した。
僕は言われるとおり車から降りて素直に従った。
僕は特に警察の世話になるような生き方はしてこなかったし、
まぁ警察に協力するのは、国民の義務みたいなものなのであるのだから。
彼らは車から降りた僕に事の説明をはじめた。
つい五時間程前この大学病院の敷地内で人が殺されたこと、それで不審な人を見かけたりしなかったかということ。
さらにその犯人らしき不審者は車の鍵らしきものを落としていったため、
駐車場を調べているといったことだった。
まだ明るい時間だったので患者やら見舞い客やらそんな車で一杯だったため、車に乗っている
人を確認している途中なのだと。そして、そんな話しをしている時に
もう一人の刑事が一枚の顔写真を落とした。
その写真が見えた時あたまをハンマーで殴られたような衝撃を覚えた。
見覚えがある顔だった。
見覚えがあるどころか、それはルイだった。
その写真を見て顔がこわばっている僕を二人の刑事は見逃さなかった。
「この写真はですな、被害者です。まぁ殺された者の顔写真なんですよ。
あなたはこの男をご存じなんですか?」
僕は何も答えられなかった。何を話せばよいのかぼくには理解できなった。
モンゴルで僕がルイと会うことはもう無いと感じた予感は当たっていたんだ。
359 :
朝鮮人参:2006/07/23(日) 11:54:43 ID:vVlediesO
あ、門の前に車止めてたんだった。やっちゃったな。スマソ。
360 :
アイマスク:2006/07/23(日) 11:58:40 ID:68PCL0/m0
僕は当てにならない医学部生を待つことを止め、そのまま市立図書館へ向かった。
図書館のパソコンであの医学部長の名前を検索してみた。
医学部長の専門研究分野は精神科で、研究分野は様々だった。その中に気になる項目があった。
「中枢神経系精神障害の薬物治療の可能性」という研究項目の中に、アルカロイド系神経作用薬物とあった。
朝鮮朝顔に含まれるスコポラミンやヒヨスチアミンは麻酔効果を発揮する。
古来様々な配合で漢方にも使われたそれらの植物には麻酔効果の他に幻覚作用、狂騒作用がある。
もちろん、量を間違えれば中毒死する。
アルカロイドは、窒素を含むアルカリ性の分子で、神経ホルモンそっくりであるため、
神経線維の末端部に入り込んで神経の作用を狂わせて毒性を発揮するのだ。
しかし、その麻酔作用を医学的に精製し、調合処方して現在も様々な疾患の治療薬になっているのだ。
医学部長の思惑は分からなかったが、彼が朝鮮朝顔と何らかの関わりがあることがわかった。
でも、それだけではなんの解決にもなっていない。
牛蒡が原因ではないと彼に詰め寄ったところで、誤診を素直に認められたらおしまいだ。
もっとも大事なことは、僕が記憶無くした記憶の秘密なのだ。
僕はまた袋小路に迷い込んでいた。
361 :
アイマスク:2006/07/23(日) 12:04:59 ID:68PCL0/m0
>>359 ごめん、朝鮮人参、できればルイはまだ殺さないでほしい。
でも、僕はわざとじゃなくて
>>357の続きを書いていて、
リロードしないで書き込んだら、君の方が早かったんだ。
ぐぐってたら書くのに時間かかっちゃってさ。
362 :
アイマスク:2006/07/23(日) 12:48:57 ID:68PCL0/m0
>>359 でも、駐車場調べていたって門の周りに車止まってたら職質くらいされるし、
それはオケーなんじゃない?
良く読んでみると、僕の書いた
>>361はつまらなすぎるし、
>>359に続けた方がいいかも。
でも今度は警察署に連れて行かれるのか。
また調べなきゃいけないことが出てきた。もう、疲れたよ。
読者はどう思っているかな?どっちの続きが読みたい?
363 :
アイマスク:2006/07/23(日) 12:52:09 ID:68PCL0/m0
出来ればルイには見えない所でまだ何かやっててほしい…
365 :
アイマスク:2006/07/23(日) 15:18:01 ID:68PCL0/m0
>>363 馬氏はどうかな?
まだ競馬場から戻ってないのかな?
366 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/23(日) 15:21:27 ID:CTnbF77j0
【なんか】日常で忘れられし神見かけた【怖い】
私が誤爆しました。
368 :
馬:2006/07/23(日) 16:05:33 ID:YBZ0+d5LO
>>365 競馬場には行ってません。
どちらも読みたいね。
マスク氏、人参氏の二人で決めるのが一番かと。
369 :
アイマスク:2006/07/23(日) 17:25:13 ID:68PCL0/m0
370 :
朝鮮人参:2006/07/23(日) 18:17:08 ID:vVlediesO
一任します。ただ春樹は人殺すの得意だし、
そうすればオカルトっぽくなるかなって思っただけだから。
でも拘りませんよ。折角ググッてまで書いてくれたんだから。
371 :
アイマスク:2006/07/23(日) 19:40:37 ID:68PCL0/m0
>>370 たしかに、春樹が人を殺すシーンを書くことは多いけど、
彼がそうしなければならなかったのは、たぶん理由があるんだ。
避けられない死というものがあるっていう事だと思う。
おそらく、他者の死に対して主人公がどう感じるかが重要なポイントだと思う。
そう考えてみると、この物語の中では今はルイが死んだら、『僕』の感情移入が薄い。
ああ、またふりだしだって思う位で、謎のままでは彼を同情出来ないし、悼むことも出来ない。
そういうタイプの人物の死は、ゲーム感覚であんまり春樹っぽくはない気がする。
この物語の分岐点だと思うから、他の人の意見をもっと聞きたいな。
ナカタは頭が悪いのでもう少し空気読みに徹していきたいと思います
373 :
アイマスク:2006/07/24(月) 08:18:49 ID:9tbMOJA+0
>>372ナカタ氏久しぶりですね。あの時はごめんね。
そうですね。一晩よく考えました。
それで、ルイが死ぬ場合、いいことがあります。
それは、彼の正体がここで分かるということ。
そうして一気に話を前に進めることができるんです。
で、もう一つの僕が書いた方は、かなり専門的な話になって、
次に書く人がつらい。
ルイを捜す旅をしている内に、僕がルイを殺したくないと勝手に思ってしまって、
人参氏の展開についていけない気がしたけど、
よく考えると、ここでルイが死んでしまうのがこの物語に必要な気がしてきました。
ころころ考えが変わって申し訳ないけど、
人参氏の方に決めていいかな?
374 :
馬:2006/07/24(月) 12:25:29 ID:A1By/D39O
>>マスク氏
あんまり深く考えると次のレスがしづらくなるんじゃない?
当初のように『そう来たか〜困ったな』ぐらいが楽しくでいいんじゃないかな。
もしどうしても譲れない部分があればレスを続けて流れを作っちゃえばいいんだし。
375 :
アイマスク:2006/07/24(月) 13:05:32 ID:YqhKjv1u0
>>374 そうだよね。それが醍醐味だものね。
じゃ、順番的には馬氏だから、馬氏が決めてください。
僕はどっちにでも話を繋げられると思う。
376 :
馬:2006/07/24(月) 23:24:37 ID:A1By/D39O
順番なんてないからw
どちらでも繋げられるマスク氏からどうぞ〜
377 :
アイマスク:2006/07/25(火) 05:48:09 ID:wQJ1wsui0
黙って何も言えない僕に警察官は明らかな不信感を顔で示した。
「ちょっと署までご同行願えますか?」
僕は蝋人形のように固まっていた口をここでやっと開くことが出来た。
「ちょっとびっくりしただけです。殺人事件なんてこんな身近に起こるとは思っても見なかったものですから」
「では、この被害者の男性をご存知なんですね」
「はい。昨日モンゴルで彼に会っていました」
「モンゴルで?」
「はい、でも帰国してからは会っていません。彼を捜していたんです。でも、殺されたなんて・・・」
「やはり、あなたからはきちんと捜査に協力して頂く必要がありますな」
「わかりました。いいでしょう。何でもお話いたします」
僕は一旦車をマンションの車庫にいれ、パトカーに同乗した。
何を話せばいいのだろう。もし、自分の体験したことをすべて話しても信じてもらえないかもしれない。
記憶をなくしたなんて、一番怪しいと思われるかもしれない。
でも僕が飛行機に搭乗していた時間におそらく彼は殺されたのだ。
あまり記憶の事は話さずにアリバイだけをきちんと説明しようと思った。
警察署に着くと、机と椅子しかない取り調べ室に入れられ、二人の刑事が机を挟んで僕の前に座った。
本当の刑事ドラマみたいだった。威圧的で明らかに僕のことを犯人と疑っている目で見据えた。
「さて、知っていることはなるべく全部話してもらいましょうか?」
「まず、名前と住所と生年月日を言いなさい」
僕は素直に名前と住所と生年月日を告げた。
「この被害者の男性とはどういう知り合いですか?」
「はい、コンビニで店員をしていた彼とお客として知り合いました」
「それはいつ頃ですか?」
「おそらく、3年ほど前だと思います」
刑事は意外そうな顔をした。
378 :
アイマスク:2006/07/25(火) 08:19:38 ID:wQJ1wsui0
「それは、どこのコンビニですか?」と刑事が聞いた。
僕は正直にそのコンビニの場所を告げた。
「それで、あなたは、彼と知り合ってから、どういう付き合いをしていたのですか?」
僕は3年間の記憶喪失については伏せることにした。
「いいえ、会ったのはそのとき一回だけでその後に会ったのは昨日です」
すると、刑事は益々疑わしい目を僕に向けた。どうやら彼らは何かを知っているようだった。
「そうですか。あなたは彼に2度しか会っていないと言うんですね」
「はい。3年前と、昨日の、その2回だけです」
「しらばっくれんじゃない!」
いきなり一人の刑事が怒鳴った。僕は本当のテレビドラマを見ているような錯覚を覚えた。
「嘘なんかついてません」
「そうか、そんなに本当の事を言いたくないなら、こちらもちゃんとわかっている事を話そうじゃないか。
いわば、お互いに譲歩しあうんだ。
あなたが、犯人だと言っているわけではない。我々もバカじゃない。
人を殺す人間かそうでないかはだいたい一目で見分けがつく。
もちろん最近では外れることも多いがね。もう、誰が人を殺すかなんてわからない時代だ」
刑事の一人が立ち上がり、窓の方を向いた。
変わらず僕の前に座っている方の刑事がポケットの中から写真を出した。
それはルイの殺害された現場を写したものだった。
ルイは胸をひとつきにされて仰向けに倒れていた。
「被害者は、吏劉宝という名前の在日中国人で、麻薬の密輸及び、旅券偽造などの容疑で指名手配中の男だよ」
やはり、彼はモンゴル人などではなかったのだ。
「我々は、3年前に吏を逮捕するべくアジトに向かったが、まんまと逃げられてね。
やっとあのコンビニに深夜勤めている事を突き止めたのだが、
昨日訪ねたときにはすでに国外に逃亡したらしいとわかったのだ。
行き先は君の言ったとおりモンゴルだ。
そして今日になって、彼は遺体で発見された。あなたが殺害現場の近くで何をしていたのか、
我々は当然調べなくてはならない」
僕は背筋に悪寒が走るのを止められなかった。
379 :
アイマスク:2006/07/25(火) 10:27:40 ID:gOWYbC5D0
「いいかね、我々は2度も彼に逃げられた。必ず吏には協力者がいたのだ。
そして、彼は正面から刺されて死んだ。あんな鍛えられた男を正面から刺すことができるのは、
とても親しい間柄の人間でなければできないことなんだ。
つまりは仲間の裏切りか、口封じだよ。
それが誰なのかを、調べるのが我々の任務なんだ。
知っていることはなるべく正直に、全て話したほうが、身のためだよ」
刑事はドスの効いた声で、脅すように言った。
「彼とはどういう知り合いだったんだ?」
僕はなんと言っていいか分からなかった。僕の記憶の中では短い時間に2回会っているわけだから、
モンゴルで彼の顔をすぐに見分けることができたのは当たり前だ。
でも、一般的に3年前に1度しか会っていない、しかもただのコンビニの店員の顔を覚えているというのは、
かなり不自然なことだった。
でも、知らないと言うしかなかった。
「本当に、知らないんです。僕は偶然モンゴルで昨日彼に再会しただけで、その間本当に一度も会っていないんです」
「そうか。とにかく知り合いといっても、2度しか会わなかったというんだな」
「はい。本当にそうです」
「では、今朝8時頃、どこで何をしていましたか?」
「ウランバートルの空港で搭乗手続きをしていたと思います」
「空港会社は?」
「MIATモンゴル航空です」
窓辺で話を聞いていた方の刑事が部屋を出て行った。おそらくアリバイを調べるのだろう。
「では、なぜ、昨日はモンゴルへ行っていたのですか?」
「旅行です」僕は咄嗟に嘘を言ってしまった。
「ほう、旅行ね。たった2日間だけ?」
「はい、いけませんか?」
「そうですか、まあ、それは調べればすぐにわかることですから」
僕は突然彼女が心配になってきた。もし、あの朝鮮人参とエンゼル。トランペットを持ってきたのがルイで、
しかも、その中に麻薬か何かが隠されていたら、もう、言い訳ができない。
平静を装っていても自然に額に汗が滲んできた。
380 :
アイマスク:2006/07/25(火) 20:12:57 ID:YJPYsO8E0
「今、あなたが自分で認めたのでお聞きしますが、あなたは吏に会いにモンゴルに行ったのですね?」
「え?」
「私はまだあなたの口からモンゴル滞在は2日間とは聞いていませんでした。でも、あなたは即座に同意した。
我々はあのコンビニで店長の広山さんから、吏がモンゴルへ行くと言った翌日に吏を訪ねてきた人物がいて、
モンゴルの帰省先を聞いたと知りました。
我々はその人物の足取りを追っていた。吏を今度こそ逃がすわけにはいかなかった。
しかし、彼は何者かに殺されてしまった。
そしてあなたが殺害現場に現れて、自分からモンゴルへ行っていた事を話した。
つまり、吏をコンビニまで訪ねた人物とはあなたですね?」
僕はモンゴルにいた2日目の夜、広山店長から僕の自宅まで電話がきて、
ルイの不審な行動の事を彼女に話したことを思い出した。警察が来たからきっと怖くなって電話してきたのだ。
刑事は続けた。
「広山さんにはもちろん、吏やあなたからまた連絡が来たときには、警察が来たことを告げずに、
すぐに通報するように捜査協力を依頼していました。あなたがまた訪ねてくるかもしれないと思いましてね」
僕は正直に話すべきだろうか。本当にわからなかった。何を言っても信じてもらえないかもしれないばかりか、
自分が3年間の失った時間でルイに会っていないとは限らないのだ。
もし、僕が覚えていないだけで彼に会って、しかも犯罪を犯していたとしたら・・・。
そう考えると背筋に冷たい汗が流れた。
「どうなんです?モンゴルへ行った本当の理由をちゃんと教えてもらえませんかね?」
381 :
めんよう:2006/07/25(火) 22:00:24 ID:Fui+IeoU0
外は、彼のとらわれた心を示すかのように雨が降り続いていた。
彼女はお天気の日が好きだったのだが、アスファルトの上を歩く足の裏に毛のない日本のネコ達のことを思うと少しは我慢できた。
それにしても毎年上昇し続ける気温を下げることは、彼の心のヒートアイランドのカオスをとどめると同じ位困難なことに思えた。
「朝鮮人参ですって?」
それに関しては彼女には苦い思い出があるのだった。
どこでどういう発想をすればただの何処にでも売っている人参が朝鮮人参になるのだろう。
そういえば、エンゼルトランペットのことも朝鮮夕顔という名前らしかった。
そちらの方が希少種だからだろうか...。
彼女にはきっと滋養強壮のことなんて頭の隅にすらなかったに違いなかった。
ただ毎日の食事をきちんととっていればそれが一番健康的だ、位にしか思っていなかった。
「なのに、どうしてだれもかれも最後に=で繋ごうとするのよ !」
まだ繋がらないけど、そこに何かしら重要なポイントがあるように思えた。
彼はパートナーと言ったが、春樹のことにも興味を持たないパートナーが本当にいるのだろうか...
彼は自分が何をしようとしている人なのか分かっているのだろうか...
そんなのでいったい何を基盤として繋がっていられるのだろうか。
遥か昔の思い出では苦笑いですませられた。
たとえそれによってごっそりと大事な何かを持って行かれたとしても...。
そしてまた、彼も関係者として押さえられている。
本人が自覚しようとしまいと、もし、ほんとうに関係者だとしたら.....
こう考えてみることは彼をまた激高させるのだろう。
なぜそれに迫ろうとすると激高してしまうのだろう。
今こうして彼はその謎を解こうとしているのに......。
彼をちゃかしたことは、多分三回ぐらいしかなかったのだ....
"男女のかかわりを神聖なものに戻す時間です"
ねじまき鳥がそうつぶやいた。
誰の意図だったかは明らかだった。
だけど奇跡はおきない。
"自分で考えるのよ。じぶんのしたことを..."
383 :
めんよう:2006/07/26(水) 00:21:55 ID:0n3O6lp60
彼は馬氏やそのほかいろんな人達が登場してしまったことでいろいろな場面に遭遇し得たのかもしれない。
たけど、彼等はそこまで望んでいなかったし、それ以上のことを突きつけてきたとしても、
しょせん、食べたい時にカレーが食べられればそれでよかったのだ。
彼はそれを知っていたのか、あるいは知り過ぎていた。
「自分だって同じなんだ....」
そんなことは分かっていた。
だからこそ人参を鍋に入れようとしたその瞬間に、知らない手が伸びてくれば、反射的に振り払えばよかったんだ。
「非現実的な夢と、カレーを食べる夢とはいまは両立しないのよ。」
ユメとは現実を生きることだった。
「いい? 警察は無くした人参の代わりに、そのまた隣りの人の人参をちょっと拝借しなかったのかって訊いているのよ !」
「.....」
「その気があったのか無かったのか、そうしたのかしなかったのか、ひとこと言えばいいじゃない。
イエス、ノーを言ってくれないからまわりはやきもきするのよ。
あなた又、なんて分からず屋だとか、人のことをそんなふうに扱っていいのかだとか、
地球を七周半も駆け巡るでしょうけど、一緒になって解決したいと思っている側からすれば、それこそその一言のため毎に
太陽系の彼方まで駆けて行かなくっちゃならないのよ。
疑問を持った方と話し合う方が先決じゃない?」
勿論、朝鮮人参かハシリドコロかのエキスがどうやって混入されたかが問題だった。
「その場では問いつめているように感じられるかもしれないけど、日本人はもともと清濁合わせ呑む度量は持っているのよ。」
...そうか。彼は朝鮮人参には毒はなくとも、ハシリドコロの方を疑っていた。
「でも、どうして先に向こうに伝わっちゃうのかしら...」
誰かを疑うとすれば、まず身近な所を疑ってみるのも当然の成り行きだった。
「だけど、それだけじゃないとしたら...。」
彼女にはみんなえすぱーにでもなってしまったのかしらと思える瞬間さえもあったのだった。
384 :
めんよう:2006/07/26(水) 00:50:32 ID:0n3O6lp60
オー・ケー。 そう、それはしつけだとかお行儀とか、礼儀の問題だった。
そもそもお行儀が悪い、ビシッっ。で片付けていれば、変な混入も、約束違えも起きなかったにもしれなかったのだ。
問題は、何故かそれがモレて、こどもたち、否、権力が得られると勘違いした人達までが行動を真似することだった。
385 :
馬:2006/07/26(水) 01:27:44 ID:JBIwawbAO
なんか良くわからんがアイマスク以外は勘違いして書き込むなって事だろ
いちいち面倒な書き方すんなよ
了解したよ
386 :
アイマスク:2006/07/26(水) 05:26:22 ID:/kmZPj6c0
>>381-383 めんようってさ、本当にちゃんと読んでるのかな?
そんなに彼女にカレー作らせたいなら、自分がそういう続きを書けばいいだろ!
感情移入するのはいいけど、書いてる我々のことバカにすんのはやめなよ。
僕は一人なら書かないよ。それはスレが違うんだよ。
387 :
朝鮮人参:2006/07/26(水) 06:03:18 ID:Al6TOGB5O
なんかすげー全否定されてんな俺。
しかも、めんようと同一人物かと思われたし。。。
388 :
めんよう:2006/07/26(水) 06:46:06 ID:yFI4DXio0
あなたたちがどういうこと、誰を想定して書いているのかは知らないけど、
単に続けられないだけなら、そういう言い方は無いじゃない。
なにも一人に書けなんて言っていないし、何かがあっても、納得させるようにするのがルールじゃない。
これらのこと全否定にかかっているのはあなた達の方ではなくて。
みんなのこと、それなりに気にかけているよ。
ただ、これがこちらの表現形式だし、かってに望む方向に行かなかったからって、
それぞれがそれぞれの書き込みを止めることって出来はしないじゃない。
>自分がそういう続きを書けばいいだろ!
だから勝手にやらせてもらっています。
ここはそういうことをしてはいけない場所なの?
続きを書けなんて言っていないし。
引っかかり位は踏襲したし。
その疑問がこれらを書かせたともいえるかもしれない。
それにア氏も、すくに人の言葉に同調するのは止めて頂きたい。
事実ではないことかもしれないのに。
それとも、事実など、実はどうでもいいことなのですか?
人の心を踏みにじることになっても。
せっかくバーチャルでやっているのに、書き込むなとか言ってないでしょ。
面倒な書き方は御本家の専売特許だし。
もちろん御本家は読み易いだろうし、こちらは単なる思いつきだけどさ。
おおやけって、そういうことじゃない。
それに至るまでは自己のやり方でやってきたとしても、
オープンになったときから、みんなの目を納得させるだけのあり方って必要じゃない?
こちらは一読者だし。
390 :
めんよう:2006/07/26(水) 07:34:37 ID:yFI4DXio0
やれやれ、そう、やれやれさ。
続けて書くとまったくもって嵐の海に遭遇したかのように感じるのは仕方の無いことだった。
エピローグとして後少し、このバーで呑ませてくれないか。
ルールについてかもしれない。
あなた達はこのスレのルールに合わないという。
だけど、いままさにルールについて考えていた処だった。
例えば、海で溺れかかっている人がいたとする。
太平洋のど真ん中でだ。(設定は聞かないでほしい。
乗組員達は、どうせ誰も見てやしないし、面倒なだけだから知らん顔をして定刻に間に合わせた方がいいとアドバイスする。
船長はそれでも板きれではなくきちんとした救命道具を投げたとしよう。
そして港に着いた時にそいつがいて、船長の行為を非難した。
船長は言った。
「大事な積み荷があったし、皆の意見を無視してまで救命道具を投げてあげたんだ。
こんな大きな船が止まることは大変なことだし、皆にも迷惑がかかる。」
きるてぃorのっとぎるてぃ?
391 :
めんよう:2006/07/26(水) 07:40:24 ID:yFI4DXio0
どうせvip(ああ、なんて下品なネーミング)同士の話だから調子を狂わせるなとでも言いたかったのだろう。
さて、ヒントの答え。
もちろんプロならそんなことはしなかった。
何故かは船全体の品位にもかかわることだから話し合えばいい。
車とは、つまり陸上と海上ではルールがちがう...。
最近こんな変なルールをふりかざす所ばかりが増えてきているように見える。
この時代にオープンにならないことなんてあり得ないじゃないか。
目に余るから、いつそのこと広めてやれとでもいうつもりだろうか。
もう一度歴史の勉強でもさせるつもりなのだろうか。
だけど、少数のはずだった。
安全神話が崩れたのは、つい最近のことだった。
安定期にはいっても、大きなところはどうして初心を(もち厭味のぶぶん)忘れないのだろう。
達成だけが全てではないはずだった。
馬さんアイマスクさん人参さん、私は昼休みにここを同僚二人と見るのとーっても楽しみにしてます。続きを読ませて。
めんようさんは頑張ってるけど、もういいよ。
393 :
アイマスク:2006/07/26(水) 17:10:02 ID:qyIq4bIf0
>>392 読んでくれて本当にありがとう。
まだまだ続くと思うよ。
もしよければ、続きを一行でも書いてくれないかな?
机に置かれた灰皿の描写とか、何でもいいんだよ。
この話は、僕一人の力では絶対に進まない。
めんようみたいなただの小説が読みたいヤツは本屋に行けばいいんだ。
何に遭遇するかわからないからおもしろいんだよ。
僕は僕のつたないレスを一生懸命考えて繋いでくれた人しか信じない。
僕はめんようを信じられない。
悪いけど、これ以上みんなの気分を害するつもりなら、
出て行ってくれないかな。
>>387 こんなヤツと間違えてごめん。
みなさんこんばんわ、「犬の漫才師」が書くレスポンスの時間がやって来ました。
えー今日はやけに暑かったね。二〜三日前まで雨ばかり降っていて涼しかったから
今日の暑さには本当にまいっちゃうよ。
あまりの暑さで僕の車のタイヤがアスファルトの熱で溶けちゃってて
車に乗れなくて歩いてここまで来たんだ。
タイヤをよく見たら朝鮮製って書いてあったよ。
もちろんウソだけどね。
そうそう今日は朝早くからレスポンスがやけに多いみたいだね。
じゃ最初のレスポンスを読んでみるよ!
匿名希望「めんよう」さんだ!
う〜ん!凄いね、なかなかの作品だ!前衛的だし哲学的でもある!うん、素敵だ!
「犬の漫才師」じゃちょっとやそっとじゃ理解できないね。
何度も読み返して見るよ。
でもあれだね、僕が言うのもなんだけど、春樹的ではないな。支離滅裂だしね。
僕もかつては春樹的じゃないって言われた事もあるからおあいこだね。
もちろん、「めんよう」さんにじゃないよ。うん。
おっと、もうこんな書いちゃったか、じゃあ最後に一言だけ書かせてくれ。
いいかい?一度しか書かないからよく読んでくれよ!
オーケー・正直に言おう。
僕 は ・ め ん よ う が ・ 大 嫌 い だ !
それじゃ皆、目障りなレスポンスを見てくれてありがとう。
じゃあ、これからはいつもの 「本当にあった怖い名無し」に戻るからね。
短い間だったけど本当にありがとう。
お相手は「犬の漫才師」こと朝鮮人参でした。
395 :
朝鮮人参:2006/07/26(水) 18:40:48 ID:8HX5z/Un0
396 :
アイマスク:2006/07/26(水) 22:41:42 ID:wqQGQuyP0
>>395 僕は、朝鮮人参の突飛な発想とか、大好きだよ。
僕にはとても出来ない。僕はつじつま合わせが専門だからさ。
何を書いてもいいんだよ。僕がちゃんとなんとかするからさ。
何とかするだけの人間しかいなかったら、冒険は始まらないじゃないか。
出来れば気が向いたときにでもまた書いてくれよ。
待ってるからさ。
「ホントね、ブラックバスのように突飛でいいファイトね。」
彼女は同意した。
398 :
アイマスク:2006/07/27(木) 17:50:05 ID:wRHjrQyr0
僕は冷静にならなければならなかった。
ここで言いよどんだり、つじつまの合わない事を言ったりすれば命取りだ。
僕は刑事の目をしっかりと見据えて一呼吸してから話した。
「確かに、僕は彼に会いにモンゴルへ行きました。
でも僕が会いに行ったのは吏という名前の人物ではなく、
ルイツァーン・チョルンという名前の人物です。
モンゴル人の留学生としか聞いていませんでした。
どうしても連絡を取りたかったので、広山さんからモンゴルの住所をお聞きして、
モンゴルまで行っただけです。
彼が中国人だなんてまったく知りませんでしたし、ましてや彼が指名手配中の容疑者だなんて、
考えも出来ませんでした。
幸いモンゴルでもその日の内に会う事ができましたが、
それも彼の方から声をかけてくれたんです。
話したのも、大した内容ではないですし、僕が聞きたいようなことは何も知らないようでした。
つまり、僕は正式な知り合いでも、ましてや仲間などでもありません」
「では、わざわざモンゴルに飛んでまで、一体彼に何を聞きたかったのですか?
広山さんには通訳を捜してるとかなんとか言いましたね?」
「すみません。通訳の話は口からでまかせなんです。
そうでも言わなければ彼の住所を教えてもらえないと思ったので。
でも、僕がどうして彼に会いたかったのかは、言いたくありません」
「言いたくない?」
「はい。うまく説明する自信が無いからです。
正確に伝えられないとわかっていることを話しても、時間の無駄ですし、
この事件にはなんの関係もないことですから。
僕は容疑者ではないはずです。僕には誰にも動かせないアリバイがあるし、
僕には話したくないことを話さない権利があるはずです」
「ほう、黙秘権を主張されるんですか」
「はい、憲法に謳ってあります。基本的人権です」
399 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/28(金) 03:05:40 ID:zQ9JZ0+iO
楽しみに読んでたけど、最近なんか違くなってきちゃったね(寂)
400 :
モコモコもなか:2006/07/28(金) 11:22:02 ID:tUExN5+YO
村上春樹さんの、作品は霊的描写多い印象をうけます。ダンス×Bの羊男の登場シーン、羊をめぐる冒険、鼠のラスト登場シーン。
個人的に仮想であり、現実味のある印象をうけてます。村上春樹氏は霊感強そうですね。
401 :
アイマスク:2006/07/28(金) 11:38:51 ID:bpQ/13SI0
刑事は明らかに失望の色を露にした。
「そんな意固地になってどうするんだ?人一人が死んでいるんだ。
あなたは今自分が最重要参考人だと言うことをわかっとるのかね?!」
刑事は最後には怒鳴り声になっていたが、僕は怯まなかった。
僕はもう誰にも弱みなんて見せたくないし、自分が間違ったことをしているんじゃないかとは、
思うつもりも無かった。
もっと自分を強く信じなければならない。
「僕は、吏さんを殺していません。誰も殺してなんかいないし、
麻薬の密売どころか、空き缶のポイ捨てだってしません。
運転免許なんてゴールドですよ。とにかく、僕は拘留される理由なんてないし、
これ以上何も話す義務はありません。
今すぐ家に返してください。さもなければ、監禁と不当逮捕で訴えますよ!」
僕は最後にはかなり大きな声を出していたようだ。刑事が怯んだ。
そこにさっき出て行ったもう一人の刑事が入ってきて、
僕を尋問していたほうの刑事に耳打ちした。
話を聞いた刑事はあきらめたように首を振った。きっと何も出てこなかったのだ。
「分かりました。ご協力大変にありがとうございました」
「え?もう、帰っていいんですか?」」
「ええ、いいですよ。帰りたいんでしょ?」
あんまりにあっけない幕切れに、僕はしばらく呆然としてしまった。
でも、刑事の気が変わらないうちに帰ったほうが良さそうだった。
最後に調書にサインをして捺印すると、さっきの二人より少し年上の刑事が僕をパトカーで送ってくれた。
外はもうすっかり真っ暗になっていた。
僕は彼女の待つ部屋へ急いだ。
402 :
アイマスク:2006/07/28(金) 14:08:18 ID:TLjtiJm+0
部屋に戻ると彼女が心配そうに出迎えてくれた。
家を出る前に言い争ったことを思い出した。でも、僕が謝るより先に彼女が言った。
「ルイって人、死んだらしいわよ。さっきテレビのニュースで顔が出てたの。
たしかに昨日うちに朝鮮人参持ってきた人だったわ。
やっぱりモンゴル人じゃなくて、中国人だったみたいね?」
「ああ、今までそのことで警察に事情聴取されていたんだ」
「ええ?大丈夫なの?」
「うん、僕への疑いは晴れたみたいだ。殺されたのが、僕がちょうど飛行機に乗っているときだったんだよ」
彼女はホッとしたみたいだった。
「そう、よかったわね。私、変な麻薬密輸の容疑者だってニュースで聞いて、
すぐに朝鮮人参とエンゼルトランペットを処分しちゃったの。
あなたに何も聞かずに悪かったわ」
「いや、いいんだよ。そうしてくれて助かった。
それから、さっきはごめん。怒鳴ったりして悪かったよ」
僕らは仲直りをして抱き合った。
羊ロボは相変わらず死んだままソファに腰掛けていた。
僕はとりあえず彼女の作った手料理を食べ、シャワーを浴びてから、彼女と久しぶりのセックスをした。
「ねえ、これからどうするの?」
僕らはベットに横になり、お互いの顔を見つめあっていた。
なんというあわただしい3日間だったろう。
でも僕には何一つ分かったことは無かった。
僕が失った3年間のことも、そしてここにある羊ロボのことも。
「わからないよ。何がなんだかも、どうすればいいのかさえも」
彼女は僕の頭をいい子いい子とするみたいに撫でた。
「少し、寝たほうがいいわよ。あなたは疲れてるの。まるで迷子の子狐みたいにね。
でも大丈夫。寝たらきっとまた元気になって、
一晩に10回のセックスにも耐えられるようになるわよ」
僕らは笑い合った。僕らにしか通じない他愛の無い冗談だ。
「ありがとう。君がいてくれて嬉しいよ」
「お安い御用よ」
そして僕はまた大猿の一撃に遭ったように深い眠りについた。
403 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/28(金) 19:34:18 ID:mpA0iOiX0
大猿が僕のことをじっと眺めて、「よし、もう寝ている。」と言った。
あんなに強く叩いたんだから寝るのは当たり前じゃないかと、文句を言いたかった。
気が付くと僕は閑静な住宅街をジョギングしていた。
走りながら閑静な住宅街を眺めていると、フットサルのコートが丸々ひとつ入る位の
芝生張りの駐車場の横を通り過ぎた。
駐車場には、ピースマークに似たエンブレムの付いた高級外車が五台並べてあった。
どれもピカピカに磨かれてあり、寸分の狂いもなく整然と並べられた光景は
そのままテレビコマーシャルに出てきそうな位だ。
「スローライフやゴージャス」といった言葉を駆使したCMコピーと一緒にだ。
そのうえ本当にフットサルやゴルフのパター練習が出来るような
手入れの行き届いた芝生が生え揃っていた。
奥の方では短パンにTシャツ姿の男が
頭にタオルを巻いて芝刈り機で丁寧に芝を刈っていた。
一体誰が何の為に全面に芝生を張った駐車場を作り、
高級外車を止めているのか僕には想像すらつかなかった。
芝刈りをしていた男が僕を呼んでいた。
見覚えはある、でもいったい誰なのかが思い出せなかった。
空は雲ひとつ無くよく晴れていた。
モンゴルの空にとてもよく似ていた。
404 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/29(土) 09:28:55 ID:BJXfTRw3O
今日の旅サラダ。
片山右京のモンゴルの旅だったよ。
ここで読んだとおりの感じだった。
作者の皆さん勉強してんだな〜と感心しました。
405 :
アイマスク:2006/07/29(土) 09:34:26 ID:pDjByEfl0
真夏の赤く染まった朝焼けの日差しが差し込み、僕の顔を照らした。
まぶしさで目が覚めると隣で彼女がまだ小さな寝息を立てながら小鳥のように丸まって眠っていた。
僕は彼女を起こさないようにそっとベットを抜け出して、朝食の支度をした。
冷蔵庫から卵を取り出してゆで卵を作り、玉葱をスライスして塩水にさらした。
みそ汁を作り、玉葱に鰹節をかけたところで彼女が起きてきた。
「おはよう。いい匂いね」
彼女は鼻をひくひくさせながら僕の大きなTシャツをかぶっただけの恰好で、
僕の背中にピッタリと寄り添った。
「ほら、やけどするから、着替えて顔を洗ってきなよ」
「は〜いお母さん」と彼女が言った。
朝食を済ませると彼女がスイミングクラブへ行くからと言って出かけてしまった。
僕は掃除機をかけながら、昨日見た夢の事を考えた。
目を閉じると1mmの誤差も無く刈りあげられた美しい芝生の駐車場に、
整然と並べられたメルセデス・ベンツの鏡のような車体が、
手を伸ばせば触れられそうなほど鮮明に浮かんできた。
ジグムント・フロイドなら何かわかるかもしれなかったが、
僕はあいにくフロイドではなかったので、その夢が示唆するものがなんなのか、
まったく見当もつかなかった。
僕はあきらめて首を振り、掃除に意識を集中した。
406 :
アイマスク:2006/07/29(土) 14:56:51 ID:pDjByEfl0
掃除を終えてからベランダに洗濯物を干し終え、ソファに座ってコーヒーを飲みながら朝刊を読んだ。
一面は北朝鮮の核開発問題で、6各国協議があまり進展していないことを報じていた。
ルイの殺害に関する記事は社会面の後ろの方に幾分小さめに取り扱われていた。
麻薬組織撲滅への手がかりとなる容疑者の殺害という内容で、
吏がモンゴル人を装って暮らしていたというような事は、一切触れられていなかった。
おそらくルイツァーン・チョルンというモンゴル人は実在するのだろう。
何らかの経緯でルイツァーン・チョルンのパスポートを手に入れた吏という人物が、
彼になりすまして警察の目を逃れ、その借りの身分によって自由に国外に出入りしていたのだ。
もしかしたら僕が会ったルイの祖父は本当のルイツァーン・チョルンの祖父だったのかもしれない。
僕が本物の彼にあっても顔が違うのだから、きっとわからずに吏の方に声をかけていただろう。
でも、吏が何故僕なんかに声をかけてきたのかはまったくわからなかった。
そんなことをする必要は無いはずだ。
それに、買えば高価な朝鮮人参を渡すような理由もなかった。
吏が死んでしまった事で、それらの謎は地下に張り巡らされた暗渠の中に流され、
永遠に謎のままとなってしまったのだ。
ふと新聞の日付を見て今日があのメンタルクリニックに予約した日だった事を思い出した。
今考えると、本物のルイが通っていた医大の学部長だったことがただの偶然で、
あの医師に何の悪意も無かったことも証明されたのだ。
それでも、何故牛蒡の匂いなどという出鱈目を言ったのかが気にかかった。
僕はもう、あまりメンタルクリニックに行く必要性を感じなかったが、
それでもおかげでひどい目に遭ったのだから文句のひとつも言わなくてはという気になった。
僕はとりあえず着替えてワーゲンに乗り込み、メンタルクリニックに向かった。
407 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/29(土) 17:36:58 ID:4w6otsgY0
いつものようにマンションの駐車場からワーゲンに乗り住宅街の中を走っていた。
久しぶりの夏の日差しのせいか、見馴れた風景がいつもの風景に見えなかった。
なにか別の世界に迷い込んでいるような気がした。
通いなれた道の通りをひとつだけ間違得た時の違和感だ。
その違和感を理解するのに少しばかり時間が掛かった。
本当に僕は道をどこかでひとつ間違えていたのだ。
10分ばかりワーゲンを走らせると、見知らぬ道に出ていた。
閑静な住宅街だ。今まで見たことが無い高級住宅地だ。
その住宅街の一角に丁寧に芝生張りの広場があった。
そこには鏡のように磨かれたメルセデス・ベンツが五台並べられていた。
僕は「メンタルクリニックに行け、車を元の道に戻すんだ」
と自分に言い聞かせた。
しかしそれは無駄なことだった。
そう考えれば考えるほど僕は駐車場の芝生に惹きつけられていた。
きっと僕の潜在意識の何かがそうさせていた。
多分タフにならなければ耐えられないことが待っている。
でも僕は今、その駐車場に行かない訳にはいかないのだ。
「あなたはいつか、自分が考えたこと、例えば地域や人のいいと思われることを考えると必ずと言っていい程、
物事が逆にいってしまう。いや、誰かが邪魔をするとか言っていたわね。」
陽炎でもたちそうなその駐車場の前で、ふいに彼女が前に言っていた言葉が頭をよぎった。
「あなたは誠実だといえるの。あなたはほんとうに私に対しても誠実だと言えるの。」
彼女は羊ロボやその他のことに対しても少し怒っているというか、いらだっているように見えた。
「あなたが他者に対して誠実でないこと。世の中がその写しのように見えるということは無いのかしら。
ことは、ほんととうにそんなに単純ではないいのかもしれないけど。」
それでも僕は元の道に引き返すことも、その意味を反芻することも出来なかった。
外の日差しはそれだけ暑すぎたのだ。
幾度目かのデジャブのような感覚が僕を襲った。
彼女にとってもきっとそうなのかもしれなかった。
410 :
アイマスク:2006/07/30(日) 10:15:50 ID:6Q+bYY4p0
駐車場脇の路上に停車し、車を降りてその芝生の駐車場の中に入っていった。
他人の敷地に無断で侵入しているわけだから、端から見れば僕は立派な犯罪者だった。
でも昨夜見た夢とまったく同じ景色を前にして、僕はそうしない訳にはいかなかった。
ベンツの脇を通り過ぎ、広い芝生の中を真っ直ぐ進むと鬱蒼と茂る雑木林があり、
僕はその林の中へ草を掻き分けながら進んだ。
顔にねっとりとした蜘蛛の巣が張り付き、草の汁が僕のテニスシューズに付着した。
それでも真っ直ぐに進んでいった。
このあとに僕を待ち受けているものが何なのかも、僕にはまったくわからないにも関わらず、
何が僕をそうさせるのかはわからなかった。
正しいことなのかと聞かれても答えられなかった。そこには正しいか正しくないかという問いかけさえも、
相応しくないほどの切迫したなにかがあった。それは、あたかも、我々が日々何かを選択しているということが、
結果的には何者かの意志によって選択させられている決定された運命なのだといったような、
いわば宗教的教義にも似た意志があった。
やがて林の中を抜けると突然広い敷地にでた。
そこには白い角砂糖のような正立方体の建物があった。
僕はその建物の入り口を無意識に捜した。
一見しただけではほとんどわからないように巧妙に作られた壁と同じ白いドアを見つけてその白いドアノブをそっと回した。
411 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/30(日) 21:57:36 ID:hI+WmclnO
人参さんはお馬さんの大好物です。
人参さんがないからお馬さんが来ないんですか?
お馬さんがないから人参さんが来ないんですか?
お馬さん帰ってきてくだたい!待ってます。
412 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/30(日) 22:00:34 ID:IgYu8zTrO
村上春樹って誰だorz
413 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/31(月) 00:12:27 ID:OqGdHRSQO
違います
415 :
アイマスク:2006/07/31(月) 08:09:21 ID:+VmMSzSg0
>>411 なにか勘違いしてないかい?
君が書くんだよ。ここに集うものはみな作者なのだから。
416 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/31(月) 12:33:53 ID:OqGdHRSQO
勘違いしてるのはあなたでしょ
別にROM専でもいいんじゃない?じゃなきゃ作者の自己満足だけで終っちゃうでしょ
417 :
アイマスク:2006/07/31(月) 13:43:23 ID:yw7AsjsY0
>416
ROM専がいけないとは言ってません。
自分では何も考えない人が、見ず知らずの人に書くことを要求しては、
失礼ですよってことです。
書いてる人はそれなりに努力しているのです。
与えられることに慣れすぎて、要求ばかりになるとみっともないですよ。
418 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/31(月) 14:21:48 ID:OqGdHRSQO
いや、私は
>>411じゃないんだけど。
>>411は別に《強要》してる文体ではなく《待望》してるんだからいいんじゃない?
少なからず読者のそんな声は励みにもなるだろうし。馬氏の人気に嫉妬してるようにしか取れなくてあなたの方がみっともない。
まるで春樹小説全般の《僕》を地で行く人づきあいが下手でクール気取りの人なんですね、あなた。
419 :
アイマスク:2006/07/31(月) 15:38:30 ID:R81kkorY0
>418
僕が一番馬氏に書いてもらいたいと願っているからこそ、
彼が書きたくなるような続きを無い知恵絞って考えているんですよ。
そしてこうやって待っているんです。
何も書かない貴女のような方にみっともないと言われると、
とても残念に思います。
それに強要とは言ってないです。要求と言ったんです。
求めてはいけないというのではなく、ここは誰でも作者になれる場所のはずだと、
そう言いたかったんです。
人に求める前に、自分で続きを考えて見て下さい。
そうすれば、もっと面白くなるかもしれませんよ。
420 :
朝鮮人参:2006/07/31(月) 17:04:46 ID:cuEJy8tuO
僕書きます。あと三時間位待って下さい。被らないようにね。
421 :
朝鮮人参:2006/07/31(月) 19:43:20 ID:4WH3x3BW0
ドアのノブを何度か回してみたが全く開く様子が無かった。
こんな広い敷地の建物の、しかも巧妙にカモフラージュされたドアがそんなに簡単に開く訳が無いのだ。
僕は暫らくどうしたものかと考え込んだが、もと来た林を戻ることにした。
また蜘蛛の巣やら踏み付けるとテニスシューズに付く草の汁の事を考えると辟易したが、
我慢しなければならなかった。
林を抜ける途中駐車場の方から懐かしい音楽が聞こえてきた。ピンク・フロイドかなんかだった。
駐車場に着くと一人の男が芝刈りをしていた。
その男が芝生に無造作に置いたソニーのトランジスタ・ラジオから音楽が流れていた。
今時MDやi・PODではなくトランジスタ・ラジオということに興味をひかれた。
外国人のDJが早口の英語で曲紹介をしていた。
芝生に足を踏み入れるとその男が僕に近づいてきた。僕は不法侵入者でもあるので少し緊張した。
「こんにちわ、ちょっとお邪魔してます。」咄嗟に挨拶してしまった。
「こんにちわ、大丈夫です。僕は只のアルバイトですから気にしないで下さい。」と彼は言った。
男は思ったよりも若く僕はひどく驚いた。
422 :
朝鮮人参:2006/07/31(月) 19:45:29 ID:4WH3x3BW0
「アルバイトって言うと、君は学生さんなのかな?」僕は馴々しく話し掛けた。
「はい、大学生です。」
「だけど学生さんなのに君がこの芝生を管理しているの?すごく丁寧に揃えてあるね。
そうしろって指示されてるんだね?」
「はい、ありがとうございます。でも特別丁寧に揃えるように指示されているわけじゃありません。
渋谷の造園会社から派遣されているだけです。
これは、僕のやり方なだけです。適当にやってもそれはそれで構わないんです。」
「そんなに丁寧に芝を刈るのは大変なんだろう?」
「そうですね、結構疲れます。他の人は一日二ヶ所とかやる人はいますが、
僕は一ヶ所やるだけでくたくたになっちゃいますね。だから一日一ヶ所と決めているんです。
それ以上は出来ないんです。それに今日で最後なんです。」
「最後ってもうやらないの?」
「そうですね、アルバイトとして芝生を刈るのは今日の午後で最後です。
多分自分で庭に芝生を持てる迄はやりませんね。」
彼の体から少しだけウオッカ・トニックの匂いがした。
「お邪魔して悪かったね。じゃ失礼するよ。」と言って帰ろうとした。
「すいません、忘れてました。これを持っていってください。あなたに渡すように言われてるんです。」
彼はそう言って、車のとも家のとも 区別が付かない鍵を渡された。
「なぜ僕にこれをくれるんだ?僕はたまたま此処に来ただけだよ?」と彼に言った。
「僕にも分かりません。ただこの駐車場のオーナーから言われたんです。
三十代のテニスシューズを履いた男の人が来たらこれを渡すようにって。
それがここの芝刈りを依頼する条件だって。」
「でも三十代の男だったら他に来るかもしれないよね。どうして僕だって分かるんだい?」
「林から出てくるからすぐ分かるって言われていたんです。だからあなたで間違い無いですね。」と言った。
「その鍵で、あの林の奥の建物のドアを開けるように伝えてくれと、言われていたんです。」
423 :
朝鮮人参:2006/07/31(月) 19:57:59 ID:4WH3x3BW0
僕はアルバイトの学生に礼を言ってから、
「やれやれ、またあの林の中か」とつぶやきまた来たところを戻ることにした。
鍵を使いドアノブを回すと、何の抵抗も無く「カチャッ」という快い音を立てて回った。
ドアを開けると広い部屋の奥に地下に向かう螺旋階段があった。
天井には明かり取りの天窓が五角形の形をしそれを囲むように三角形の窓が五つばかりあり、
ひとつの大きな星を型取っているのだ。☆
壁や螺旋階段の色は全て白で統一されていて、しみひとつなかった。
まるで地中海の灯台の階段を想わせた。
唯一違っているのは天に向かっているか地下に向かっているかだけだった。
テニスシューズに染み付いた草の汁が床の白を緑色に
染めてしまうかもしれない事が少し心配だったが、
僕がここへ来ることは既に決められていたのだから問題は無いはずだ
耳を澄ませると階段の下からなにやら人の話し声が聞こえた。
それも一人や二人では無い賑やかな声で、パーティか何かをやっているような
ざわついた声だ。音楽や食器の音も混じっているような気がした。
424 :
朝鮮人参:2006/07/31(月) 20:12:17 ID:4WH3x3BW0
僕がこんなことを言うのもどうかと思うんだけど、
みんな、マスク氏をあまり責めないで欲しいと思う。
彼は一生懸命レスをしてみんなを楽しませてくれていると思う。
>>402 辺りでエンディングにしちゃうのかとドキドキしたけど
続けてくれているじゃないか、だから、あまり、責めないで下さい。
僕のレスでは物足りないかと思うんだけれど。
マスク氏これからもどんどん書いて僕らを楽しませてください。
425 :
アイマスク:2006/07/31(月) 21:16:23 ID:Ip4prAbI0
>424
本当に書いてくれて嬉しいよ。冗談は抜きでさ。
確かに僕は村上春樹かぶれで気取った嫌なヤツだと自覚しているけど、
僕は単に想像力のない人間は基本的に我慢できないんだ。
人の苦労を想像できない人間は特にね。
大丈夫だよ。とっておきのエンディングはすでに用意出来ている。
いつでも終わらせられるよ。
でも朝鮮人参氏が楽しみにしてくれているならまだ続けるよ。
どうぞ気に入らない人は読まないで下さい。
僕はレスを繋げてくれた人しか信じないんだよ。
426 :
アイマスク:2006/07/31(月) 22:10:54 ID:Ip4prAbI0
下階が見えてくると、聞こえていたパーティーのような物音はすっかり静まり、
星形に区切られた窓の明かりがスポットライトのように床を切り取り、
その明かり以外にはまったく照明がない広い空間が広がっていた。
僕が階段を最後まで下りると、ちょうど星形のスポットライトの真ん中に立つようになっていた。
その真夏の真っ直ぐに差し込む光のせいで、余計にその部屋の暗闇は深くなり、
どのくらいの広さがあるのか一目ではわからなかった。
僕を何者かが招き入れたことに間違いはないはずだが、
その人物は極めてシャイな人物であるらしかった。
僕は少し勇気をだして、そのスポットライトの外に一歩踏み出した。
真っ白い床に僕のテニスシューズのキュッという音が鳴り響いた。
僕が踏み出したとほとんど同時に突然天窓の扉が閉められ、
部屋は本当の真っ暗闇になった。
僕は濃密な暗闇の中で息苦しさを覚えた。
じんわりと背中から痺れるような感覚が全身に広がった。
僕は今本当に恐怖で立ちすくんでいることを自覚した。
ここへ来たことが何かの罠ではないとどうしてわかるというのだろう。
もしかしたら最初から何もかも仕組まれていたのかもしれない。
彼女さえも僕を陥れるために演技を続けていたのだろうか?
なにもかもが信じられなくなっていった。
暗闇に立たされただけで、人間はどうしてこんなに恐怖を感じるのだろうか。
とにかく何かに掴まりたかった。僕は壁を捜してそっと手を伸ばした。
すると僕の指先に一瞬何かが触れた。
ちらしの裏
>>ALL
とりあえず勘違いならそれにこしたことはないけど、言わせて欲しいことがあります。
ナカタは頭が悪いので、とりあえずルイの死を読んだ時に、ここにはもう書いてはいけないと思ったです。
ただし何かを書けと言われている気もしたです。ここ以外で。でもそれがどこなのかは解りませんでした。
一人が二人で、二人が一人で、意味は瓦解して、、その後は、、、
招かれざる客は静かに死ぬべきなのか、どうすべきか、単純によくわからなかったのです。
未だに解らないことだらけですけど、解っていることは、申し訳ないことをした、ということです。
「ごめん」
(このレスは、もちろんレスを繋げたと思っていません。)
*リロードしたら僕の気持ちがそのままに(笑)
↑ナカタでした
429 :
本当にあった怖い名無し:2006/07/31(月) 23:49:26 ID:OqGdHRSQO
>>哀増す苦
自分も馬氏に《長編を期待》とか言って煽ってたよね。
棚にあげるの?
作品書く人しかレス出来ないならチャットででも仲良くやってれば?わざわざ人の目につくとこに出てこないでさっ。
430 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/01(火) 00:08:27 ID:nDn6vfhcO
今日はじめて読んだけど
アイマスクはさ、中期から後期の春樹的なんだよな。
対して馬氏は初期から中期ぽい。
馬氏のレスは
「ピンボール〜羊〜世界の終わり」の頃のほのぼの感が出てる。
マスク氏のは確かに巧みに春樹ぽいけど「ノルウェ〜ダンス〜クロニクル」あたりのこむつかしさがでちゃっててちと辛いかな。
私見を述べさせてもらうと、このスレの失敗は各人がコテを名乗った事にある。
名無しであれば、多少お互い腹立つ事はあっても、なんとかやり過ごす事ができたはずだ。
もう一つ、アイマスク氏が
>書いてる人はそれなりに努力しているのです。
と書いてる事。誰も強要していないのに自分で勝手に書いているのに、努力とか。
あきれるばかりです。努力して書いているなら書かなければいいのにと、思います。
それでdat落ちするなら別に全然かまわないと思います。ちょっと勘違いしていませんか?
こういうのも私は以前にあった村上春樹スレに投稿した経験があるからです。
あのときにはもちろん名無しで書き込んでいて、名無し同士のゆるやかな
結束もあって面白かった。
このスレがたってしばらく様子見ていましたがコテが幅を利かせてしまっていて、
書き込む気がなくなり、しばらく見ていましたが案の定こういう結果になって
やっぱりなという気分です。
433 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/01(火) 00:33:18 ID:USGicKTeO
431>
強要しないと努力しないのか?
見て楽しんでる人もいるし、書いてる人も楽しんでるなら努力は無駄じゃないと思うよ。
宿題進んでるかな?
434 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/01(火) 00:52:11 ID:YQy9C8/gO
>コテが幅をきかせてしまって
>>アイマスクだけでしょ、気にいらないレスはスルーで話を自分の流れに戻しちゃうし。
どんだけ偉いのかと。
他のコテさん達はきちっと前の人のレスに繋いでたような。
>>433 宿題の件ですがあいにく私は宿題というものをしたことがありません。そういう必要性を
感じないので。真面目な人はやるのでしょうが。
さて、
>強要しないと努力しないのか?
の件ですが、なにをいいたいのかさっぱりで。私のいいたいこと、好きでやってるのであれば
努力とかいわないで欲しいということです。
>>434 の書き込みですが、ええと、私には関係ない事ですよね?
あとですね、一番言いたいこと、つまり、コテで書き込む事ですが、これを無視して
批判されても、困ります。
ま、相手の正しい事は無視して突っ込みやすい事から突っ込むというのは定番ですがね。
437 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/01(火) 01:16:51 ID:YQy9C8/gO
あんたもコテ並みの連投だが
∧_∧
(´・ω・ )
( o旦o
みんなモチついて
お茶でもどうぞ
>>431 君はずーっと黙って読んでたんでしょう?茶々が入ったの見て、よし、今だ!って便乗して、挙げ句一人で荒らしまくって何がしたいの?アタシならもっと上手くやれるわよ!って?みんながみんな君と同じ考えではない事はわかる?
私はコテハンだろうが名無しだろうが、話が繋がるのを楽しんでるよ。
本当は宿題ももう7月中には出来てるんでしょ?
"羊"は薄暗い、いやカンペキともいえる暗闇の本棚のむこうに存在していたのだった。
そのことを忘れて、彼女は又伝説の動物医学の馬の話を持ち出して、「上目遣いに見るんじゃない」
とか、あやうく言いそうになったのだった。
色々な人が、いろいろな方法で彼のことを考えていた。だけど、彼に必要なのは思いではなかった。
彼はそのことに自分で気がついているのだろうか。
今すぐぬくもりを伝えたかったのだが、切望しながら、彼はそれを認めようとはしなかった。
「外には、繋げてはいないけど納得して、ゆっくりお互いを気遣いしつつもっといい形でいつか繋ごうと思っている人が
大勢いたことを知っているのよ。まだ未熟であったり殻が出来てしまっていても...。」
そうでなかったのなら、二人の認識は違っていたことになる。
あくまでも、繋げるべき未来の可能性に過ぎなくても。
彼女は自分に少し不利になるかもしれないと思いつつも、本当のことを言わないわけにはいかなかった。
「もちろんあなたも相手のことをそのまま、というか最終的に信じて向かい合う必要があるのでしょうけど。」
だけれども、彼女のいう相手と、彼のいう相手とは、どうやら違っていそうだった。
彼女はもう一度言うか言うまいか迷っていた。
そして、やっとここで言葉を押し殺した。
心の痛風でもあるかのような反応に、心を痛めたのはどちらであっただろう。
だけど、悪循環であることは解っていた。
441 :
アイマスク:2006/08/01(火) 05:29:20 ID:SFosQpwm0
>431
努力についてですが、僕は僕自信の努力だけの事ではなく、
レスを繋げた人すべての努力について言っています。前後文脈を見て下さい。
自分では話を繋げる努力なんかする気も無いくせに、
人が書いたものを高見の上から見下して、
あげくにはコテ名指しで書けという、礼儀の知らない厨房は去れと、
そういうことです。
僕がコテを名乗ったのは、馬氏が先に名乗ったので、
応えなくては失礼だと思ったからです。
442 :
アイマスク:2006/08/01(火) 05:46:21 ID:SFosQpwm0
>429
うるせーな!
書かないヤツに言われたくないんだよ!
そんなに悔しかったらちゃんと名乗って書いてみやがれこのドブス!
443 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/01(火) 06:59:20 ID:YQy9C8/gO
縺?繧上?
譛ャ諤ァ縺ァ縺溘↑縲?
444 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/01(火) 11:27:34 ID:YQy9C8/gO
本性でたね
そして皆離れていく
445 :
アイマスク:2006/08/01(火) 15:35:24 ID:8Zl30viG0
>429
まだ何にも書けないのかよ。続きはあんたが書けよな。笑ってやるからよ。
ロムッてるだけのくせしてよくそんな偉そうな口が叩けるな。
脳みそ空っぽの嵐のくせしやがって、てめえこそ人前に面みせんじゃねえ!!
446 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/01(火) 20:20:52 ID:GcCUeuWSO
↑これやられると辛いんだよね。本人かどうか分からなくなるから。
ID違うから大丈夫だけど今日だけは。
とりあえずマスク氏、名無しで続けて下さい。
僕は君のレスが読みたいんだ。
前にも言った様にね。
書き続ける事が大切なんだ。
447 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/01(火) 21:40:35 ID:YQy9C8/gO
鳥つければいいだけの話しでしょ
でも、ちゃちゃ側のいい分も少しは解るよ。
少し世間的に居場所を見つけた人達はみな言うんだ。「自分自身の努力の結果だ」って。
そして、そういう人達は決まって居場所を見つけられないときは世間が悪いって言うに決まっている。
余りにも定石通りだと、説得力が.....
449 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/01(火) 22:59:17 ID:YQy9C8/gO
て言うか
>とっておきのエ>ンディングが用>意してある
なんて言われちゃったら繋ぎのレスできないじゃん
450 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/02(水) 00:12:44 ID:h7IoCKqkO
やれやれ。
451 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/02(水) 00:54:39 ID:8rQu1+3M0
やれやれ。
これまでのレスを読み終え、僕は冷蔵庫の中のバドワイザーを
三本立て続けに空けた。僕の冷蔵庫にはギネスは入れていなかったのだ。
キリンスタウトも入れていなかった。
そのことで機器に責められたのも今では懐かしい話だ。
さて、と僕は四本目のバドワイザーを開けながら呟いた。
僕はこれからどこへ行けばいいのだろう?
このスレの読み手=書き手は僕を適切な場所に連れていってくれるのだろうか。
判らない。
バドワイサーの泡とともに僕は幾多の疑問符を飲み下した。
「ねえ、バドワイザーの缶君たち、いったい僕のなにがいけなかったのかな?」
僕は言葉に出してそういってみた。こんなことはやった事がなかったけれど、
それでも丑三つ時だ。何かが起こるかもしれない。三分だけ待ってみた。市役所の書類を
受け取るのを待つには長過ぎるけど、スパゲッティーを茹でるには短すぎる時間だ。
そう、何も起こるはずはない。結局物は語らないし死体は生き返らない。こぼしてしまった
ミルクは元には戻らないのだ。
>449
そんなことはありません。たいしたエンディングじゃないから。
あれだけの事言ったんだし429さんに書いてもらいましょう。
待望してますよ。
>>448 自分がちゃちゃ入れてきたから?
僕はそもそもの最初から、居場所なんて捜してないし、
連載小説を書く気なんて毛頭無い。
何度も言って疲れたけど、僕は一人では書かないよ。
僕はプレイヤーを待ってるだけだよ。
繋いでくれた人に応えてるだけで、ロム戦に好かれたいとも読んで欲しいとも言ってない。
これはゲームだよ。どう繋がるのかわからないスリルを楽しむためのさ。
プレイヤーを岡目八目で見下ろして、なにをほざいているんですか?
もちろん、努力は自分のためにするものですね。より楽しむために。
誰も読んで下さいなんて言ってないんだから、続きを書かない人間はレスの無駄遣いするなよ。
プレイする気もないヤツは気が散るから話かけんなよ。
ごめん、今までロム専だったけど一言。
このスレはいつからリレー小説を書かなきゃいけないルールになったの?
そもそも、ここは「オカ板」。
>ナカタさん
君がルイの告白を書いてくれたとき、僕は一生懸命何度も読み返した。
そしてあれだけの大作だから本当は繋げたかった。
でも、言ってしまえばあれはエンディングなんだよね。
それでね、終わらせるのは簡単だしそれでも良かったんだけど、
もう少し続けたい気持ちが先に立ってしまってね。
本当に悪いことしたなって、今でも思ってるんだ。
だから、君が謝ったりしないで下さい。
本当にこっちこそ至らずごめんなさいでした。
じゃあ、ちょっとだけ続けようか。知りたいんだ。
なぜ羊ロボがいたのか。
羊ロボはなぜ死んでいるのか。
僕の方がそちらでないという確証はあるのか。
だれか他の人が続けられるのかもしれない...。
やれやれ、と僕は思った。
まったく や れ や れ だ。
>457
楽しみにしているね?続きを。
僕は別にロム専の人達を嫌ってるわけでもないんだよ。
だって、もしかしたら書きたくなって、ナカタさんや朝鮮人参さんみたいに、
少しの勇気を出して書いてくれる人がその中にはいるかもしれない。
僕が我慢出来ないのは、書かない(書けない)くせにすぐに人をバカにする人達。
想像力のかけらもない人たち。顔が見えないからって平気で失礼な事言い出す人たち。
めんようみたいなサイコは幾分同情に値すると思うから、これ以上いじめたりしないけどさ。
本当に、誰も書く気がないならもう少し繋げやすい場面までもっていこうか?
君の言う通り羊ロボだって出さなきゃね。まだまだ先は長いんだよ。
まだ僕の書く番が続いているなら、書いてもいいかな?
アイマスク嫌いの人たちに怒られちゃうかな?「連載小説書いてるジャン!」ってね。
460 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/03(木) 10:54:07 ID:T7YQAW0o0
たぶん。馬氏はもう書かないと決めたのだろう。
僕はそう何度も自分に言い聞かせた。
楽しい時間は過ぎ去ってしまったのだ。
どこの誰とも分からない人間の心無い行為の積み重ねによって。
損なわれてしまったものをまた美しくもとの形に戻すことがどれほど大変なことか、
ほんのちょっとでも想像することが彼女たちにできたのなら、
こんなことにはならないで済んだかもしれないのに。
僕ははっきりいって彼女たちを憎んでいる。とても激しく。
でもそれも無意味なことなのかもしれない。
たしかに、僕はあまりに多くを期待しすぎたのかもしれない。
誰にも語られなくなった物語はどこへいくのだろう。
僕の頭の中にある数多くの選択肢はいつか日の目を見るんだろうか?
誰かが導いてくれた奇想天外のストーリーたち。
僕はそれを見るたびに本当に心が躍る思いだった。
僕の頭の中では決して生まれなかったアイディアを共有する喜び。
これは書かないものには決して味わうことができないものだ。
僕が手にかけたドアノブを開けるのも開けないのも、君の自由だ。
何も恐れる必要なんて無いのに。
そうして繋がった物語を楽しむのも自由だ。
読みたくなければ読まなくていい。それも自由だ。
そういう自由な空間をどうして簡単に踏みにじってしまうんだろう。
嵐はどこにでも吹き荒れるということか。
まあいいさ、いつか現れるだろう。
僕の言っていることの本当の意味を理解してくれる作者たちが。
彼女たちの信じられない位の不遜な行為も少しだけ分かる。
彼の中の女性的な部分が友情を拒否し続けてきたからだ。
彼は皆の前でそうしたのだから、皆知っている。
彼は順番を、世間で理解できる順番を違えなかったのか。
どうして違えたかったかの訳が知りたい。
女性は近しいものに対してだけはみなエスプなのだろう。
生涯がかかっているから。
それを単なる通信網に利用はしなかったのか。
そんなひどいことをするはずがない....。
自分の生涯がひどいままで終える為に生まれてきたのじゃない...。
声なき声はずっと聞こえ続けていた。
たといどんなに人間の尊厳を落とした行為をしていようとも。
もちろん外側が幸せな状態であることが必要なことは分かっていた。
だけど、幸せな外見が中にいる個人にとっては所詮他人の生活だし、
完璧であろうとすればする程見つけにくいものである葛藤も時代とともに見てきた。
それでもカンペキは目指すべきだった。
自分で乗り越えるべき、時に反面教師の壁だった。
緩めた結果、余りにも体力の無い若年層が増えてしまうことを言いたかったのだろうということは
すこしは観てとれた。
それでも作者達は自分自身の物語をつくりたいと切望していた。
どう考えたって、財産の共有は出来はしなかった。
家庭、会社、社会、国家...、と、個人にとっても参加すべき物語は多々存在していた。
だけど、どこもいわゆる縦割りで、忸怩たる思いだけが残っていた。
"僕"の作る物語だけが生き生きとしていたのは確かだろう。
だけど、考えてみるんだ。
今無理に進もうとせずに、立ち位置だけをなんども確認する必要があった。
皆、なんども確認する必要があったんだ。
「オカルトよ、オカルト板にあるのよこのスレッドは。
それなのに皆オカルトの要素なんて、これっぽちも必要じゃないみたいに話すのよ。どうかしてると思わない?」
彼女はそう言いながら、真っ赤なハイヒールから伸びたしなやかで真っ白な脚を組みなおした。
正直なところ、僕にはそのスレッドのことなんてどうでもよくて、ただ彼女のそのマッチ棒の先のような赤いハイヒールを脱がせたかった。
「だってオカルト要素がないなら、この板に存在する意味なんてないでしょう?」
そうだね、君の言う通りだよと僕は適当に答えて彼女の脚から視線をはずした。
そうしないと、そのまま自分が彼女の脚に、出来の悪いチンパンジーみたいに噛み付いてしまうような気がしたからだ。
オカルトとは心霊現象、UFO、UMA、超科学、神秘学、
超能力、超心理、古代文明などのことです。
「怖い」「恐怖」「オカルト」だけではオカルトではありませんよ。。。( ̄ー ̄)ニヤリ
教えてくれて
あ り が と う !
やれやれ。
465 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/03(木) 23:26:27 ID:kSaLjp5bO
真っ赤なハイヒールの女は高飛車で無知な嫌な女だったんだね
/(.^.)\
>>462 「あら、そうかしら?あなたは大切な事を忘れているわ。」
「そうかな?僕は結構本質に迫っていると思うけれども」
「あなた、ここがどこだか分かる?」
僕はこんな分かりきったことに少し腹を立てた。確かにぼくは優秀じゃない。
けれど、どこにいるかくらい誰にだって分かる。健忘症になっていなければ。
「しってるよ、オカルト板だよ」
「あなた、やっぱり何も分かってないのね。ここは春樹スレよ。春樹っぽくしなければ
意味がないの。」
そう彼女はいいながらマルボロメンソールの煙を鼻から吐き出した。
僕は尋ねた。春樹っぽくって?そんなこと初めて聞いた。そんなゲームを僕は、始めた覚えは
なかったのだ。
「まだ分からないのね?ならいうわ。『赤いハイヒール。』それって春樹の小説らしからない?
これって幾分かは感性の問題ではあるけれど、とっても大切だと思わない?
余計なお世話かもしれないけど、奥さんがいなくなったのはそういう感性の問題ではないかしら?」
どんな固有名詞が出てきたってかまいはしなかった。
問題は、誰かがスパゲティーを食べるのに夢中になっていて、
赤いハイヒールが必要なんじゃなんか、喜ばれるんじゃないかと勘違いしたかのように見て取れることだった。
それが彼の意思でないことが確認できた。それはいい事に違いはなかった。
467は赤いハイヒールがどれだけオカルトかも知っていないかのような口ぶりだった。
やれやれ。
なんだっていつも、オカルト的じゃないとか春樹的じゃないとか言う連中に限って不調和なんだ?
468 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/04(金) 03:33:04 ID:8GSIPdZa0
「僕はスパゲッティにも赤いハイヒールにも関係なくビールを飲むのさ」
男羊はそう言いながら257本目の白い缶を掲げてみせた。
「そう、望むだけ、際限なく」
彼の手には早くも511本目のビールが握られている。
僕はため息をついて、言った。
「ビーフカツサンドは要らないのか」
「ビーフカツサンド?」
男羊の目がほんの少し細くなった。まるで僕たちの再会を訝るかのように。
「そうだ。神戸のあの店でしか食べられなかったビーフカツレツ、それを
パンに挟んだビーフカツサンドさ。まさか君は忘れてしまったのか」
僕はそう答えると、その返答が合図であるかのように一歩男羊に歩み寄った。
それはほんの一瞬だった。一体何が指に触れたのか僕にはうまく理解出来なかった。
本当は何も触れてないのかもしれない。この暗闇の恐怖がそう感じさせたのだろう。
しかし、気配だけはそこにあった。それが、人間のものなのか、
それ以外のものなのか確認することはできなかった。
ただそこに何かいる。そう感じただけだった。
部屋は一種不可解な沈黙に覆われていた。
広い部屋に入ると時折これに似た沈黙に出会うことがある。
広さに比べてそこに含まれる人間の数が少なすぎる時に生じる沈黙だ。
しかしこの部屋を支配している沈黙の質はそれともまた違っていた。
沈黙はいやに重く、どことなく押しつけがましかった。
僕は昔そのような沈黙をどこかで経験したことがあった。
しかしそれが何であったのか思い出すまでに少し時間が掛かった。
僕は記憶を手繰り、それを思い出した。不治の病人を取り巻く沈黙だった。
避けがたい死の予感をはらんだ沈黙だ。
空気がどことなく黴っぽく澱み、意味ありげだった。
「みんな死ぬ」と誰かが言った。
その言葉が僕の頭の中でこだましていた。
そうだ、「誰だっていつかは死ぬんだ」
僕は目を閉じてみた。同じ暗闇だった。
しかし、暗闇の質は光を遮られただけとは何か違っていた。
いつのまにか恐怖心が消え去っていた。
470 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/04(金) 11:59:19 ID:gSTwA5Yh0
僕は勇気を出して足を注意深くすり足で進めた。まず右足を一歩分。
そこにある気配の中に邪悪なものは含まれていない。そういう何の根拠も無い確信が、
足を踏み出すと同時に沸き起こってきた。
15歩を数えると、前に出した手が壁に触れた。
壁伝いにゆっくり歩を進めると、曲がり角があった。
角を曲がっても暗闇の密度は変わらず、沈黙はずしりとした暗幕のように垂れ下がっていた。
僕はひんやりとした地下室独特の壁を撫で回した。
僕の目の高さ位の位置によくある室内照明スイッチのような物を見つけ、
それを入れてみた。
パチンという音とともに部屋が急に明るくなった。
上階とはまったく違う黒い壁の部屋だった。
もしかしたら、完全に暗くすることを目的として作られた部屋かもしれない。
後ろを振り向くと、すぐそばに羊ロボがいた。
明るくなると同時にスイッチが入ったみたいに動き出し、僕に向かってこう言った。
「約束の時間が過ぎてるよ。おいらに着いて来ておくれ」
羊ロボは階段とは反対側のドアに向かって歩き出した。
「約束の時間?」いったい何の「約束」なのか僕には見当が付かなかった。
僕はこの数日間の記憶を全て整理してみたが、誰かと何かを「約束」した事は無かった筈だ。
第一この場所は予知夢(あるいはデジャブ)といったオカルト体験の結果、偶然見つけたに過ぎない。
しかもマンションの部屋に死んでいた筈の羊ロボが何故この建物の中にいるんだろうか?
――もっとも羊ロボがこの世の中に一台しかないとは限らないのだ。
それと羊ロボに音声機能が付いていたのには驚いた。
ついでに音声識別機能の有無も確認しておきたかったがやめておく事にした。――
あるいは僕はこの建物に含まれる何かだったのかもしれない。そして「約束」していた。
それが僕の深層心理の何かと結びつきあんな夢を僕に見せたのかもしれない。
何れにせよあのドアを開けなければ先には進めない。
しかも失われた3年間の記憶と時間を取り戻すのには、
羊ロボの後に付いていくしか選択肢が残されていない事は明白だった。
472 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/04(金) 17:35:05 ID:8b/mFg/y0
僕の混乱をよそに、羊ロボはすたすたとドアの前に行き、ドアを開けて先へ進んだ。
ドアの先も黒い壁が続き、ほとんど人が一人やっと通れるほどの、つまりドアの大きさと同じ断面の廊下が続いていた。
廊下の照明は暗く先があまり見通せないので、どのくらい長い廊下なのかは読めなかった。
僕は3歩前を歩く羊ロボに向かって勇気を出して声をかけてみた。
「ねえ、ちょっと聞いていいかな?」
すると羊ロボは振り返り、人間がするみたいに口に人差し指をあてて僕を制した。
この場所ではどうやら声を出してはいけなかったらしい。
ただ、僕の声は聞こえているみたいだった。
僕はおとなしく黙って後をついて行くことにした。
何度か左右に折れ曲がり、カーブもあってまるで迷路のようだった。
でも羊ロボはまったく迷うそぶりを見せなかった。
もちろん、機械は迷わない。与えられたプログラムどおりに動いているためだ。
迷うのは人間だけだ。そして僕は迷って混乱しているせいで羊ロボに逆らえなかった。
20分ほど歩いた。もちろん僕は時計も持っていなかったので憶測に過ぎなかったが、
とにかく結構な距離だった。
そして突然羊ロボが停止した。そして目の前に現れたさっき見たのと同じ形のドアを開けた。
すると目がおかしくなるかと思うほど明るい部屋に出た。
目が少し慣れるとそこはどこかの会社の受付ロビーのような空間で、
受付のカウンターには蝶々のような大きなイヤリングを付けた、太めの若い女性が座っていた。
彼女はにっこりと少しはにかんだような笑顔を僕に向けた。
「お疲れ様でした。博士がお待ちです」
僕はもう、ほとんどどんな事が起きようともあまり動揺しなくなっていた。
たぶんここは僕にとってなじみの場所なのだろう。
だからこそ羊ロボも受付の女の子も、僕を侵入者として扱わず、また来客扱いでもなく、
来ることが(あるいは帰ってくる事が)予定されていたかのように行動しているのだ。
「こんにちは。...質問してもいいかな?」と僕は聞いた。
「ええ、どうぞ」
「この羊ロボはなんでしゃべれるんだろう?」
「RE-0019はA.Iを搭載しています。考え、決断し、行動します」
「なるほど」確かにまるで生きているみたいだ。
「彼は入り口の部屋で侵入者を識別し、外敵である場合はその場で直ちに射殺します。
また外敵の人数が多い場合は部屋を密閉し、サリンを噴霧し毒殺します。
ガスマスクを使用しているのが判別できれば直ちにレーザーによる一斉裁断攻撃に移します。
とにかく、敵はここへは入り込めないようになっていますのでご安心ください」
太った女の子はその聖母のように優しげな瞳で好きな花の名前でも言うみたいに平然と言った。
僕は自分が外敵と識別され無かったことを感謝した。
「もう一つ聞いていいかな?」
「はい、なんなりと」
上の階にいたときにパーティーのような物音が聞こえてきたんだ、楽しげなね。
それはなんの音だったの?」
「もちろん、RE-0019が下の階に侵入者を呼び寄せるために発した音です」
「もちろん、そうだとは思ってたけどね」僕は強がった。
「もしや、まだ記憶が回復していらっしゃらないのですか?」
女の子が心配そうに言った。
474 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/05(土) 09:14:30 ID:AtGSZfc90
どう答えるべきか悩んだが、なんとなく嘘をついても仕方ないような気がしたので、僕は正直に応えた。
「たしかに。僕は未だにここがどこでなんでここへ来ることになったのかさえ理解できていないんだ」
太った女の子は心配はいらないという風に、迷子センターのお姉さんみたいに笑った。
「そうだったんですね。どうりでおかしな質問をされると思いました。
それではきちんとお答え致します。
ここの防御システムは完璧です。まず、この建物を取り囲む造成林は建物を外部の一般人から見えないようにするためで、
隙間無くドーナッツ状に取り囲んで視界を防いでいます。
たとえ悪意が無く迷い込んだ人がいても、巧妙に隠されたドアには鍵がかかっています。
ただの物取りが鍵を壊して侵入した場合、下階に複数の人の気配を感じさせる音を流すことで、
そのままあきらめて帰らせます。
攻撃をしかけるつもりの敵である場合は攻撃対象のある方へと進むので、
RE-0019が控えている部屋へ誘い込む事が出来ます。
万が一RE-0019が破壊されても、その先にはかなり入り組んだ迷路がありますので、
RE-0019の案内無しにはここまで来ることはできません。
よって外敵に侵入されることは不可能です」
「そうですか。丁寧な説明ありがとう」
「いいえ、セキュリティシステムをご案内申し上げるのが私の役目でもありますので」
「で、誰が僕を待っているんだっけ?」
「はい、ここの責任者でもあり、開発者でもある博士です。
この廊下の先にあります209号室にお入り下さい」
「どうもありがとう」
僕は言われた通りその先にある、広く明るい廊下を進んだ。
僕は廊下をゆっくりと進み何か思い出せないかと考えながら209号室を探した。
209号室はすぐに分かった。
場違いなほど立派な観音開きの扉に白いプレートで209と
大きな文字で書かれていた。
僕が入ってきたドアやその他のドアは簡素で機能性を兼ね備えた
アイボリーのドアだったが、
むくの木製でひときわ頑丈そうなうえ欧風の彫刻で何か
シンボリックな紋様が刻み込まれていた。
そのままヨーロッパの中世代の城にある最上階の部屋の扉に付け替えても
誰も違和感を感じないんじゃないかと思うほどだ。
僕がその扉をノックすると乾いた「クォン、クォン」
というという高級で良質なパーカッションのような音がした。
――まるでロックコンサートのステージで生音(マイクやスピーカーを通さない)
のままでも東京ドームの
三階内野席の最上階まで充分聞こえる位の音量だった。多分280db位だろう。――
廊下中に信じられない位の音量で響き渡り少し驚いた。
「おおっ!うるさいわっ!いつもノックはせんでいい言うとるじゃろ!」
と博士らしき男が怒鳴って返事をした。
「すいません、失礼しました。」と僕は扉を開けて言った。
「フォッフォッフォ、やっと来おったか、二時間の遅刻だ。」と博士は言った。
「博士」と云われピンとこなかったのだが、顔をみるとあの競馬場で
「特注☆・・・」と言っていた老人だった。
そうだあの時から僕の奇妙な体験が始まったのだ。
「おおっ、そういえば少しは記憶が戻ったかね?」と博士は言った。
「正直何がなんだかよく分かりません。」
「まぁそうじゃろ、そうならんとわしもこまるんじゃがな」
「困るって、僕のほうが困りますよ。
知らないうちに3年間の記憶が抜け落ちてるし、
それを取り戻す為にモンゴル迄行ったり、
帰ってくれば殺人事件の重要参考人としてタフな取り調べを受けるし。
正直腹が立っています。」
そう言っているうちに本当に腹が立ってきた。
「まぁ、そのことは後にして順番にはなしをしようじゃないか。」
「分かりました。じゃ何から説明してくれるんですか?」
博士は大きく息を吸い込みそして吐いた。
「まず、羊男じゃ。羊男の事は知っておるじゃろ?」
「はい、それ位のことは知ってます。十二滝村の牧場の森に住んでいたり、
いるかホテルにいたり、図書館の地下に捕らえられたりしている羊男の事ですね。」
「ほほう、そうじゃよく知っておるな。ドーナツを揚げるのが得意な羊男もいる。
それでは、世界には何人の羊男がおるかわかるかの?」
「分かりませんね。そんなにたくさんいるんですか?」
「全部で3000人というのが正しい数じゃな。」
「そんなにいるんですか。でもほとんど日本に居るんですよね?」
「そんなことはない、アラスカにもボリヴィアにもタンザニアにも
アイスランドにも、いたるところに羊男がいる。
シドニーの羊男なんかは、ちゃりーの店で危うく
耳をピザに混ぜて食べられるところだっのじゃ。
まあそんなことはどうでもよいがとにかくいる、いやいたんじゃ。」
「いた?いたってことは今は居ないと言うことですか?」
「そうじゃ今はあまりいないんじゃ。
そこでわしがそんな羊男の代わりに羊ロボを作って
羊男のいたところに派遣しておるんじゃ。」
「よくわかりませんね。なぜあなたが羊男の代わりに羊ロボを作るんですか?」
僕は再び頭が混乱してきた。
↑なんだこりゃ?
自分で書いておいて何なんだが、
テイスト違ってきてるし、クオリティ低い、
むちゃくちゃになってきたな。
こんなんなっちゃって申し訳ないが続きお願いします。
to マスク氏 from 人参。
478 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/06(日) 05:12:04 ID:X/4Pxorn0
>477
なんで?すごくいいよ。本当にナイスガッツだよ。
ていうか、僕は最近人参のファンになりつつあるよ。
もう、君の続きが読みたくてやってるよ。
大丈夫だよ。なんとかするからさ。ちょっと時間下さい。
「ああ、また振り出しなのかもしれない...。」彼女が言った。
「そうさ。"羊男"なんて簡単に見つかるはずがないさ。」
夢と引き換えに現実に最終的には戻すのだろう。
だが、もう、どちらにも戻ることが出来ないような気がしていた。
480 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/06(日) 10:31:44 ID:X/4Pxorn0
博士はまた奇妙な声を上げて「フォフォフォ」と笑った。
「混乱するのも無理はない。何しろ記憶がないんじゃからな。
じゃが、羊ロボを作ったのはわしだけの力ではない。君無しでは作ることは不可能なのじゃ」
僕はよくわからなかった。といってもほとんど何も理解していないのだから当然のことだ。
「つまりじゃな、羊男が世界中に沢山いても、それを見ることが出来る人間はごくわずかなんじゃ」
僕はあの精神科医の言った言葉を突然思い出した。
「『理性によってのみ認識される実在』ですか?」
「そうじゃ。その通り。プラトンじゃよ。そして羊男はそれを体現した存在なのじゃ」
「でもそれがいなくなるのがなぜそんなに困るのですか?」
「いい質問じゃ。まさに我が意を得たりじゃ。ところで君は唯物論を説明できるかね?」
「たぶん、すべての神秘的な出来事や精神世界などは自然の中に存在する物質の化学反応ですべて説明がつき、
生命や不可思議に見える現象などもただの物質の運動によってのみ起こっている、という考え方です」
「まあ、そんなところじゃな。つまり羊男は存在しないという考え方じゃ」
「でも羊男はいるのですよね?」
「もちろんじゃ。羊男は実在する。でもそれを見ることの出来ない人間は羊男的な世界を憎むんじゃ」
「なんとなく、おっしゃっていることはわかります」僕は頷いた。
「そうしてだんだんと唯物論的な考えが世界中に蔓延することによって羊男が減っているのじゃ」
「なるほど。で、羊男が減っていくことでなにが起こっているのですか?」
「もちろん、戦争じゃよ。戦争とは人間やその他すべてのものを物質としてしか見ないことの、
いわば延長線上に避けられない運命としてあるのじゃ。
たとえばじゃな、原爆を落とす人間に、落とされた土地に住む子ども達の顔を思い浮かべるだけの想像力が、
あったのなら、落とせたと思うかね?」
「いいえ、無理です。そんなことは出来ません」
「そうなんじゃ。爆弾を落とす相手がただの物質だと思わなければそんなことは出来ないはずだったのじゃ。
羊男の存在理由とは他者の痛みに共感をする事が出来る人間かそうでないかを識別するための鏡という役割なんじゃ」
「そして、その羊男が減ってきている・・・」
「そうじゃ、大変に憂慮すべき問題なのじゃ」
481 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/06(日) 10:52:01 ID:X/4Pxorn0
「そして、博士は羊ロボを考案したのですか?」
「まあ、そう話を急ぎなさんな。とりあえずお茶でも飲もうかの」
そう言って博士はインターホンのような機械で「お茶を持ってきとくれ」と言った。
僕はしばらくイデアについて考えていた。あの精神科医もやはりすべてを知っていたのだろうか?
さっきの受付の女の子がドアをノックせずに山盛りのドーナッツとコーヒーを持ってきた。
ドアをノックしてはいけないのを知らないのは僕だけのようだった。
「私が作ったものです。お口に合えばいいのですが・・・」と彼女は少し赤らんだ笑顔で言った。
「この子はわしの孫娘じゃ。ドーナッツを作るのが大好きで、昔羊男に聞いたレシピを今でも再現できるのじゃ。
どうかね?この子は気に入ったかね?」
「いやだわ、おじいさまったら、そんなこと言ったら恥ずかしいじゃありませんか!」
そう言って女の子はお盆を胸に当てながらさらに赤くなった。
「そうなんですか。美味しそうなドーナッツですね。頂きます」
僕はそう言ってひとつをほおばった。とてもかりっとしたオールドファッションだった。
「すごく美味しいです」
「フォフォフォ。若いというのはいいことじゃの。わしも頂くとするか、
おまえはもう下がっていなさい。大事な話がまだあるのじゃからな」
「それでは失礼します」といって彼女は行ってしまった。
ひらひらと蝶の形をしたイヤリングを揺らした彼女の耳はとても美しい形をしていた。
482 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/06(日) 14:26:23 ID:X/4Pxorn0
「さて、話を先に進めようかの?」
博士が口の中のドーナッツを呑み込んでから唐突に言った。
「はい、僕はとにかく僕の記憶を取り戻したいのです」
「わかっておるが、物事には順序というものがあるんじゃ。
まず、羊男の減少については理解したかね?」
「はい。羊男が見えない人がいるなんて初めて知りましたが・・・」
「そうじゃ。そこなんじゃよ。羊ロボを作ることは急務であるがしかし、
羊男を再現しなければ羊ロボはただのがらくたに等しい。
そして羊ロボに羊男の命を吹き込むには、羊男に出逢った人間の精神世界を、
羊ロボの電子頭脳にインプットしなくてはならないのじゃ。
しかもその作業は極めて大きな負担をその人間に強いる。
そこで我々・・・羊男を守っている組織のことじゃが、組織は、羊男を見ることが出来る人間を捜し、
様々な方法で最適任者を割り出す実験を繰り返したんじゃ。
まず、羊男を見ることが出来るのは子どもが多い。しかし子どもでは無理じゃった。
そして大人でも多少はいたのじゃが、彼らは例外なく極めて脆い精神の持ち主ばかりじゃった。
優しく、そして他者に共感することが出来る故に極めて弱いのじゃ。
じゃから自らの精神世界を露わにしなくてはならいこの作業に心が破壊されてしまう可能性が非常に高く、
そんなリスクを負えるような人間は見つからなかったのじゃ。君以外にはな」
僕は博士の言っていることが本当の事なのか、良くわからなくなってきた。
もしや担がれているんではないかという疑いが拭い去れずにいた。
「でも、僕はごく普通の人間です。別に強くもないし、特別勇気があるとか、そんなんじゃない。
ただの、どこにでもいる一般的な人間ですよ」
「むしろ、そこが大切なんじゃ。まあ、話を聞きなさい」
博士は残ったコーヒーをごくごくと一気に飲み干した。
483 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/06(日) 15:13:45 ID:X/4Pxorn0
そして博士は続けた。
「わしは組織から命じられて羊ロボを設計し、沢山の試作品を作った。
まずはなんでも形からと云うからの。とりあえず羊男にそっくりの動くロボットであさえあれば、
それでもなんとかなるかと当初は組織もわしもそう考えていたのじゃ。
しかし、そんながらくたはやはり何の役にも立たんかった。
そこかしこで逆に羊ロボが誤作動を起こしてむしろ世界中の唯物論者達を喜ばせてしまう結果となったのじゃ。
彼らは自分さえ良ければいいと思っとるからの。その失敗は奴らに戦争を起こさせるいい理由がとなってしまったのじゃ。
もちろん世界には心優しき人々も多くいる。羊男なんか見えなくとも幸せな人々は沢山いる。
しかし、彼らには戦争を止める手だてはないのじゃ。彼らは羊男的な存在を抜きに人の心に潜んでいる、
戦争を望む心を完全に消し去ることはできないのじゃ。
日頃は戦争なんて起きなければいいと思っている人間達も、自らが窮地に立たされ、
追いつめられるといとも簡単に人を憎み、殺したいとさえ思う。
それを止められるのは羊男だけなんじゃ。そして、羊男の減少を食い止めるためには、
君の力がどうしても必要だったのじゃよ」
僕はなんと言っていいのかわからなかった。僕の知らない間に、僕が地球そのものを背負っているような状態に置かれていたなんて、
信じられないと云うよりは、信じたくない気持ちでいっぱいだった。
出来ることなら今すぐ立ち上がり、ここから逃げ出してしまいたかったが、
迷路のことを考えるとそれも無理だった。
484 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/06(日) 15:24:49 ID:X/4Pxorn0
ごめん。連載小説書いちゃった。熱くなってスマソ。
萩原いそうだな…w
難しいんだね
487 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/07(月) 03:10:46 ID:zBWBZ0pKO
アイマスクは生活板春樹スレで馬さんや人参さんをとても馬鹿にしていたよ。7/26に。
馬さんはそれに気付いたから消えたんじゃない?
488 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/07(月) 04:32:12 ID:oapPqv/90
>487
生活板には入ったことがないので言いがかりですね。
証拠見せて下さい。
僕は2ちゃんはここが初めてです。この板以外で書き込みしたことがないんです。
君がどんなに悔しくて自分が情けなくてみじめでも、
僕を嘘でおとしめることによって君自身の価値が上がるわけではないことを、
そろそろ気付くべきだよ。
489 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/07(月) 09:30:51 ID:LgdrAHUwO
487
確かに・・・
具体名は出てないにせよ。今迄の流れからして、そう取れなくもない!
現実がバーチャルなのか、バーチャルが現実なのか、だんだん分からなくなってくる。
先祖から受け継いだ名前をもって、肉体という有機的体を貰って、
その中にインプットされた生涯を自己という認識の内に生きることって、実はすごいこと、
一番確実なことだったのかもしれない。
誕生が一番正確なプログラミングであるのに、なぜ組織は大掛かりにそれを混ぜっ返そうとするのだろう。
その苦しさに耐えかねて戦争が起こるのかもしれなかった。
金八先生流に言うのなら、"裏ぶれた(裏=本音がブレる)"様なことを起こす事自体が退化だった。
健康な人に、一時的な不調を本人の自己否定までに持っていき、
あわない薬でほんとにマズくし、何かを頼らせる所詮の共産的じつはもっとも個人主義的なアノ国を思い起こさせずにはいかなかった。
記憶を無くしたのは物理的な理由かもしれなかったが、
彼の存在を本当に認識できる人物が少なかったことに依るのかもしれない。
自己とは、多かれ少なかれ、他人に依る認識に過ぎないのかもしれなかった。
だからって、他人になれるものでもないし、そんなことは、自分自身をなくすことはあってはならないことでもあった。
ただ、間違いだってあったかもしれない。
意味の無いことなら、思い出さない方がいいのかもしれない。
だけど、やはりそれでも本人は苦しむのかもしれなかった...。
491 :
アイマスク:2006/08/07(月) 10:30:33 ID:6qRKKneE0
どうやら、僕は歓迎されていないらしい。
馬氏はやはり大人なんだよね。こういう子供たちの子守なんてまっぴらだって、
僕もそろそろそう思いはじめてきたよ。
僕はやり始めたゲームをできることなら途中で投げ出したりせずに、
最後までやり通したかったけど、嘘までついて、僕に書くことをやめさせたい連中がいるなら、
僕は喜んで身を引くよ。
そして2ちゃんねるとは縁もゆかりもない場所で、今までどおりの生活をします。
読んでくれた皆さん、ありがとう。
皆さんの幸運を心から祈っています。
492 :
朝鮮人参:2006/08/07(月) 11:19:53 ID:nbaMT8fNO
マスク氏そんなこと言わないでくれ。
理由の無い悪意に屈しないで欲しい。
例えばここが、理由の無い悪意に取り囲まれてしまってもだ。
僕は、君の味方だ今はうまいレスが書けなくて君一人に負担をかけているが。
君まで居なくなったら僕はどうしていいか分からなくなる。
だから頑張って欲しい。
だって、君が僕のコテを決めたんだよ、「じゃ、君は朝鮮人参ね。」って。
理由のない悪意?
そんなモノは存在しないよ。
君の心がそう感じさせているだけかもかも知れないし、
悪意があったとしても君が気づかない理由かも知れない。
続けようが続けまいが、僕はどっちだって構わない。
どうしたってもうここは元には戻らないんだ。
494 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/07(月) 12:48:12 ID:3bPdK5kFO
このスレが「めんよう」によって荒れはじめたのが7/26。
そして生活板の7/26の書き込みが下記のとおり。
関連ないとは思えないけど。
150:おさかなくわえた名無しさん :2006/07/26(水) 11:07:39 ID:3U+0LE9g [sage]
「やはり、上手くはいかないものなんだな」
僕はそのスレを閉じながら、声に出してそう呟いた。 「君達には少し期待をしていたんだ。
自分の常駐する板に、春樹スレが立った事は嬉しかった。
僕は春樹スレを見るためだけに、生活板へ出張するからね・・・
生活板の春樹スレに比べると、君達の春樹スレは完成度が低くてとても拙かった。
間髪入れずに彼女は言った。
「『僕を褒めてくれるあの住人達は、消えてしまったんだ』って」
「・・・確かに」
僕は、能力もないのに家臣に称えられて王冠を戴いている王様のように
自分が傲慢になっていた事に気付いた。
王様は今、どこにもいない。
もしくは王様は今、自分だけの国で一人ぼっちで玉座に座っている。 でも、それでよかったんだ。君達は僕の文章を褒めてくれたし・・・」
「あなたは卑怯ね」
いつの間にか後ろに立っていた彼女が、軽蔑したように僕を見ていた。
「荒れてしまって自分が書き込めなくなったら
それでさよならっていうわけなのね。
あなたが事態を解決しようなんて意思は、全くないのかしら」
「荒れてしまったんだよ」と僕は言った。
「僕の好きだった、春樹に似せようと必死だったあのぎこちなさすら
あのスレからは消えてしまったんだ」
「言い直したほうがいいと思うわ」 間髪入れずに彼女は言った。
「『僕を褒めてくれるあの住人達は、消えてしまったんだ』って」
「・・・確かに」
僕は、能力もないのに家臣に称えられて王冠を戴いている王様のように 自分が傲慢になっていた事に気付いた。
王様は今、どこにもいない。
もしくは王様は今、自分だけの国で一人ぼっちで玉座に座っている。
495 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/07(月) 12:58:28 ID:3bPdK5kFO
うまくはれなかったのでもう一度
150:おさかなくわえた名無しさん :2006/07/26(水) 11:07:39 ID:3U+0LE9g [sage]
「やはり、上手くはいかないものなんだな」
僕はそのスレを閉じながら、声に出してそう呟いた。
「君達には少し期待をしていたんだ。
自分の常駐する板に、春樹スレが立った事は嬉しかった。
僕は春樹スレを見るためだけに、生活板へ出張するからね・・・
生活板の春樹スレに比べると、君達の春樹スレは完成度が低くてとても拙かった。
でも、それでよかったんだ。君達は僕の文章を褒めてくれたし・・・」
「あなたは卑怯ね」
いつの間にか後ろに立っていた彼女が、軽蔑したように僕を見ていた。
「荒れてしまって自分が書き込めなくなったら
それでさよならっていうわけなのね。
あなたが事態を解決しようなんて意思は、全くないのかしら」
「荒れてしまったんだよ」と僕は言った。
「僕の好きだった、春樹に似せようと必死だったあのぎこちなさすら
あのスレからは消えてしまったんだ」
「言い直したほうがいいと思うわ」 間髪入れずに彼女は言った。
「『僕を褒めてくれるあの住人達は、消えてしまったんだ』って」
「・・・確かに」
僕は、能力もないのに家臣に称えられて王冠を戴いている王様のように
自分が傲慢になっていた事に気付いた。
王様は今、どこにもいない。
もしくは王様は今、自分だけの国で一人ぼっちで玉座に座っている。
「やれやれ」
オカ板にはこんなスレッドもあるんだな、と僕は思った。
497 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/08(火) 00:34:53 ID:CTbibvzq0
>>488 どんなに正当性があっても、
----
488 :本当にあった怖い名無し :2006/08/07(月) 04:32:12 ID:oapPqv/90
>487
君がどんなに悔しくて自分が情けなくてみじめでも、
僕を嘘でおとしめることによって君自身の価値が上がるわけではないことを、
そろそろ気付くべきだよ。
----
こんなことを言ってしまったらそこでアウト。
誰がどんなに悔しいのか?
誰がどれだけみじめなのか?
誰が己の価値を上げたいと願っているのか?
そんなに他人を見下せる君は何者か?
アイマスク氏がいないうちにこのスレは始まった。
アイマスク氏がいなくても暫く続いた。
アイマスク氏がいなければすぐに落ちるかも知れないが、
そんなことはこの板ではよくあることだ。
つまり、アイマスク氏がいたことによって少しはスレが活気づいたし
少しは生き延びたけれど、それ以上の意味はないということだ。
「やれやれ、また過疎か。」
499 :
アイマスク:2006/08/08(火) 09:57:54 ID:Wq4rIsgA0
>497
ごめんね。君に言ったつもりは無かったんだけど、
傷つけたみたいだね。
じゃあ、488はこう訂正するよ。
「君がどんなに自己肯定感が低くて他人の揚げ足をとったり、
足をひっぱたりすることでしか優越感を得られない悲しい人であったとしても、
そんなことで君の人生が少しでも向上するわけではないってことに、
そろそろ気が付いたほうがいいんじゃないかな?」
>つまり、アイマスク氏がいたことによって少しはスレが活気づいたし
>少しは生き延びたけれど、それ以上の意味はないということだ。
これについてはまったく否定するつもりはありません。
僕がこのスレに必要だなんて思いたくも無い。
僕は僕の楽しみでゲームしてただけ。楽しみたかっただけだよ。
>459
この文章はめんようじゃないかな。
僕は少なくともこんな支離滅裂な意味のよく分からない文章は書けない。
書きたくても無理です。生理的に受け付けない駄文だね。
>492
ありがと。僕は君とリレーしていてすごく楽しかった。
馬氏と書いてる時も楽しかったけど、エキサイティングという意味では、
君と書いてるときのほうが面白かったよ。
次はどうなるのかまったく読めなくてさ。ルイを殺された時はかなりびっくりしたけどね。
僕は君に出会ったことで僕に何が足りないのかを理解した。
君は本当に素晴らしいよ。心からそう思う。
また今度どこかで君と別な物語を作りたいな。
へんな邪魔が入らないところでさ。429の言う通りにチャットみたいな場所でww
楽しかったよ。本当にどうもありがとね。
500 :
朝鮮人参:2006/08/08(火) 10:28:23 ID:8YypYKonO
>>499 そうか、君の決意は固いみたいだね。
僕もとても楽しかったと思っている。
またどこかでゲームできるといいね。
よかったらまた来て遊んでよ。
僕はここが好きだから落ちない限りここにいると思うから。
ありがとう、アイマスク氏。ごきげんよう、さようなら。
501 :
アイマスク:2006/08/08(火) 11:12:12 ID:didq9zlS0
>500
うん。へんなのがいないときにね。
違う名前で帰ってくるよ。
でもきっと、君は僕だってすぐにわかってくれるよね?
それではまたね。さよなら。
502 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/08(火) 11:20:56 ID:6yopz/Fa0
>>499 やれやれ。
こういう場合にこそ、「やれやれ」と言うべきだ。
「自己肯定感」が強くて、やたらに優越感を持ちたがる人間というのは
まったく始末に負えないな。
うなぎは好きであります
生活板のはめんようじゃありませんぜ。
探してみたけど分からなかった。
コピーの文はそれなりにまとまっているじゃないか。
それとも秋風が季節外れに吹いていたのだろうか。
それほど、こちらのアイマスク氏に対する認識は間違っているのだろうか。
自分の考えと違った答を出されると対応しきれなくなるのだろうか。
アイマスク氏がなぜ避けたいのか分からないでも無いけど、
次元とか、自分にとっての重要度をいつも同質乃至同量にとるから重いのだと思う。
二重奏のように、主旋律とはちがった音階域でやっているつもりだったから意外だ。
それにアイマスク氏は肯定されると気持ちが逆に動いてしまうかのようだ。
世界じゃない。個人だ...。
事実ではないことを自覚しているのだろうか。
もしくはそうしてやさしくして欲しいだけなのだろうか。
これが見えないとばかですと言う取り巻きとはなれてみる気はないのだろうか。
やさしさとは何だろう。
このスレが誰のものかは知らない。
魂の株主の話をしているのに現実の株主がでてくるのか...。
それなら最初からカンペキではないにしろ社会的権利はある。いまさら...。
が、
理由の無い、事実とは違うことでまじめに書いてるのにかってに荒らしにされるのは好まない。
なにが欺瞞のニオイがした。
ただ、物語は楽しんでいるよ。
ただ、事実とは違った世界観を閉鎖的に確立されるのは好まない。
理由が知りたいんだ。
とびっきりスウィートにね。
上の方のレスに王様という言葉が使われているのがあったね。
まだそんなこと考えている人がいるんだ。
でも、自分が絶対だと思っている人しってるよ。
それも沢山。
現実を見て欲しい。
この国には王様はいないよ。
キリストが言ったのはたぶん、Theキリストの彼の言葉が、その時の言葉が、王様だと解釈している。
>>504-506 そりゃ、本人が言ってんから間違い無いが、
ぬしゃ、来んでヨカいぅたんが、わからんとね!!
こんくそだらがぁ〜っんしゃぁ!!
だれんせいで、こんなんなっとる思うとっとが〜っ!!
こんくそだら!!
↑ 。
アケ板の春樹が分かりやすくて好きだ。
そう言うと彼は2本目のタバコを口にくわえた。
511 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/09(水) 22:51:42 ID:UexFk62X0
こんなに自己陶酔大好きで、優越感丸出しで、
その分恥知らずな人間を生産しちまうなんて、
村上春樹も罪な小説家だな。
512 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/10(木) 00:22:08 ID:keXMcBu20
やれやれ。
本当に、心の底から、やれやれだ。
僕はもう16本のバドワイザーを開け、シーバスリーガルの12年の封を切っていた。
まともな思考なんてできない。
村上春樹のエピゴーネンならいらない。そんなものはもう31冊も読まされたのだ。
この先127冊も読まされるのは御免蒙りたかった。
遅い夕食には何を食べよう。冷蔵庫の中に残ったものからすれば、鶏肉と
ほうれん草のクリーム煮がいいところだ。そうでなければいつものパスタだ。
ベシャメルソースを諦めてパスタをゆでる湯を沸かし始めた時、運命のように電話の
ベルが鳴った。
僕はある予感とともに受話器を取った。受話器の底で、聞き覚えのあるようないような
声が、懐かしいような初めて聞くような声で言っていた。
「もしもし、わたし……」
メリーだな。君はメリーなんだな。僕は大した根拠もないのにそう思った。そして、新しい
お話が始まるのを直感した。
513 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/10(木) 01:20:50 ID:5dQwaSqgO
↑あいかわらず君は春樹的じゃないな。
そうなんだ。"羊男"もどきが大量に湧いてくることが問題だった。
彼は地下の鍵を探してくると言ったんだ。たしかに。
たとえで書くと神秘性を感じるし、誰かが勘違いしそうだったが、
それってごくごくつまらないものだったんだ。
探していたのは彼ではなかった。
あるいは彼だったのか。
「よくわからないな」と僕は言った。
「君の言っていることはまるで山の上で溺れた人を見守る羊みたいだね。」
516 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/11(金) 17:25:21 ID:oxx9UhAa0
age
いや、sageだな
じゃsageます。
519 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/13(日) 21:22:57 ID:Fh7kQ0WqO
age
sage
521 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/17(木) 15:05:19 ID:6vWmNiCn0
「よくわからないな」と彼女は言った。
「溺れた人ですって。そらでもとべるくせに。」
>>522 彼女が言うなら
「あなたは何もわかってないのよ。」
ってしてくれると完璧だと思うんだ。
「あなたは何もわかってないのよ。」と彼女は言った。
「何でもわかっているくせに、おかしな多数決を寛容することを心の広さと混同して、
ずっと大岡裁きから逃げていたのじゃない。」
そう、"彼"が一言「ちがうよ」と言えば納得することも多くあったのだろう。
まるで混乱を楽しんでいるかのように見えた。
だが、当人にとってみればお釈迦様の言った百八の木の実を棘のあるこみかんにしろという煽りの声の方が
自分を想ってくれているととれたのだろうか。
"羊"はまだ時代のカーテンの裾に隠れていたがっているように見えた。
せっかく本音を言い合える時代になっていることがまだ信じられないようだった。
「大丈夫なんだよ、制度も、それでもだめならわたしが守ってあげる。」
間違いが表に出れば、糾弾されるという大前提はいつの時代も存在していた。
ただ、間違いを自覚しつつも押し進めたい人物だけが、最後の手段として権力側に執着していた。
「ま、わたしもこうやって別の何かを追求しているのかもね。」
彼女は又自問してみずにはいられなかった。
「それでも、イヌのしつけはその場でしからなきゃならないのよ。」
そのとおりだろう、いくら忙しいからって、数が多いからって、
何十年もたってまとめて正当なお仕置きをしたって、何のことかはわからなかった。
「でも、人間だったら、もしかして覚えているかもね。」
それにしても、まとい付きがやめる様子は無かった。
彼は、しょんぼりと子犬のような姿を見ると、また抱き上げてしまうにちがいなかった。
"待て"を理解している方がさみしくないということはありえなかった。
そちらの方こそほほの毛をひっぱったり、ぱふしたりして認めるべきだった。
こまめに、ことあるごとに.....。
そして、これからだってそうし続けなければならなかった。
毎日の食事と同じように...。
>>525-526 おいらは頭が悪いから、君の云いたいことはいつもわからない。
たぶん最後までわからない。
もう少しわかりやすい文法を使えないのかな?
わざとめんどくさい言い方ばかりしてお高くとまらないでほしいな。
おいらがおいらでなければ、たぶんわからない。
おいらでもわからないのなら、なぜかわからない。
ある程度皆が分かっているのにつづけるのは恥ずかしい。
でもなぜわからないというのかわからないので、又くるかもしれない。
>お高くとまらないでほしいな
地面にとまっておりますが........
527はふつうにありのまま感じたことを言う人をそのように感じられるだけではありませんか。
自分が笑っちゃうと他人を笑わすことが出来ないけれども、
527は自分を笑わすハウトぅを考えたことが無いのでしょうか。
みながどれほど気を使っているかご存じありませんか。
そして、何の為、それでもとわたしも含めて思っているのかも.....。
苦労ではなく、よくなったとでもお考えなのでしょうか。
考えのパターンの多様化は本来、人の数だけあり、そう変わらないというのに。
第一、自分の言った言葉、覚えていらっしゃいますか。
メモしても、ムダになっていませんか。
どんなに背伸びをしようと、ハイヒールを履こうとも、とても届かないという大前提を覚えていて下さい。
そして、飼えようとするのではなく、肯定して下さい。
みなさん、同じ目線で対話したいと思って、挫折しているのですよ。
それでもいい方にとって下さい。
"おいら"にとってもオカルトかもしれませんが。
も、です。
532 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/22(火) 11:37:03 ID:ckxfT2cMO
最近は基地外ばっかりだなここ。
頭イカれてるとしか思えない。
532ような火消し屋があげちまうw
だがいいかい。いくらweb上だからといって、かんたんにそういう言葉は使ってはいけない。
>>528-531 あんたは
>>179あたりからずっと荒らしまくって来ためんようだろ。
文脈の支離滅裂さですぐわかるんだよ。
はっきり言ってみんな迷惑しているんだよ。
読んでがっかりすんだよ。理解できないめちゃくちゃな文章読んだら、
本当に損した気分になるわけ。
はっきり言って自分勝手に好きなこと書いていいのはブログだけ。
たとえちゃちゃ入れるだけの嵐だって意味がわかる分あんたよりマシだよ。
あんたのせいで誰も書けなくなったんだぞ。
そういうマスターベーションみたいな文章は自分しか読まない日記に書けよ。
本当に吐き気がしてくるんだよ。
頼むから書くならせめて誰にでもわかる言葉で書いてくれ。
何度同じ事言われたら理解するんだよ。
空気読めよ。ホントに。
>>534 君の言っていることは実に的を得ている。
僕もそう思っている。
禿同だ。
めんようだかこおろぎだか分からないコテで書き込んで
此処をむちゃくちゃにしたやつだ。
糞だ、まるでひからびた糞だ、純粋に吐き気がする。
179=めんようは、早めに精神科医に診てもらったほうがいいよ。
ネットが使えない隔離病棟に入院決定。
それが世のためだ。
はじめは病人相手に大人げないかなと思ったが、
ここまで来るともう同情の余地なし。
僕は本当に疲れていた。
世界中のすべての物事が僕に対して当てつけているように感じた。
何故こんなひどい事になってしまったのだろう。
始めはとても澄んだ湖の上でボートを浮かべながら空を見上げ、
暖かな日差しを浴びながら心地よい風を頬に受けて、
世界中が僕に祝福を与えるかのように平和だったのだ。
しかし、どう考えてもまともとは言い難い人たちがよってたかって僕のささやかなボートを揺らし、
僕を振り落としては言い訳をしたり、恥知らずと罵ったり、
ストーカーみたいにまとわりついたりして何もかもを台無しにした。
僕は本当になんの悪意もなく、栄誉も賞賛も罵倒も批評もいらない世界で、
顔も知らない友達と子どものように無邪気に物語を作りたかっただけなのだ。
物語がどんな出来映えだろうが、読むに値しないと云われようが構わない。
ただその時々に頭に浮かぶ物語を友達と共有したかっただけなのだ。
そっとしておいて欲しいと望む事が、そんなに傲慢な行為だと思われるなんて全然気がつかなかったのだ。
たぶん、僕には想像力が足りなかったのだろう。
すべての人に好かれようとしない人間はここでは閉め出される。
それがここで学んだことだ。
538 :
馬:2006/08/24(木) 22:32:54 ID:iBt6nHCqO
マスク氏、たかが2ちゃんの1スレ、あまり考えない方がいいよ。しばらくしたらまたやろうよ。
539 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/24(木) 22:46:07 ID:DmOmrxPX0
自己陶酔いい加減にしろ。
540 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/24(木) 23:02:01 ID:DmOmrxPX0
追記。
馬とマスクでメアドでも交換してどっかにブログでもウィキでも立ち上げて
そこで続けろよ。
541 :
馬:2006/08/24(木) 23:06:46 ID:iBt6nHCqO
↑こういう馬鹿がいない所でさ。
たかが2ちゃんだよ。実社会じゃモゴモゴしてる奴ばかりだよ。
面白くないならてめぇで書いてみろっつっても書けない奴ばかりだから。
んじゃ。もうこの板見ないよ。しばらく来ないうちに池沼の巣窟になってんだもんよ。
542 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/24(木) 23:10:36 ID:4xg7DmfO0
おちゃおちゃおちゃ
>>1 君は此処がまた落ちたとしてもまたスレを立てるのかな?
できればマジレスしてほしいんだ。
それとももう居ないのかな?
やれやれ。
このスレの荒みように辟易しつつ、僕は意味もなくジュースの入ったマグを覗いた。
オレンジに映し出される自分の顔もこのスレと同じく荒んだものだ。
やれやれ。
やれやれ。
やれやれ。
545 :
1:2006/08/25(金) 02:47:43 ID:tF/ylBng0
>>543 正直今はすっかりロム専門になってますね。
自分がオカ板にたてたのは春樹はオカルトこそがしっくりくると思ったからであり、
その思いがある限り、管理は続けていくと思います。
まあ作品も書きたいとは思ってはいるんですけどね・・・・・・・
いかんせん技量のほうが・・・・・・・
1 :名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 22:50:45
「またなの?」
彼女はあきれた顔で僕の顔を見ていった。
「もう2回も落ちてるのよ?しかもその1つを立てたのはあなたじゃない」
「わかってるよ」僕は言った。
「でも立てなきゃ行けないような気がしたんだ」
「どうせまた落とすに決まってるじゃない」
「わからないよ」
そうなのだ僕はこのスレを愛してるし長く続けようと思っている。
少なくとも今は。
2 :名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 23:54:55
「やれやれ」
3回目の糞スレに、僕は正直うんざりしていた。
「何だって君は、こんなことをしてるんだ?」
「止められないのよ」彼女は少し苛立っていた。
「現実では、誰も相手をしてくれないの」
「やれやれ」
「やれやれ」
彼女が僕の真似をして言った。
>>545が立てたのか?
>>511=
>>539-540だろ?
おまえはアイマスクの
>>499の煽りがあまりに図星だったもんで、
ロム専ボキャ貧のくせしてageまくって、
しまいにゃ関係ない馬氏まで叩いちゃってほんとバカ丸出しだな。
「あなたは何もわかってないのよ。」と彼女は言った。
そう、僕は何もわかっていない、テンプレの事も何もかも。
彼女はうつむく僕の手をとると、静かに微笑んで言った。
それはまるで平日の午後の水族館のような、変に乾いた微笑みだった。
「恐怖のナポリタンでいいのよ。」
「恐怖のナポリタン?」僕は反射的に聞き返した。
しかし、聞き返すべきではなかった。
いつもそうだった余計なことばかりしてしまうんだ。そして後悔する。
彼女の笑顔が突然氷ついたのだ。
「あなたとリレーなんてできないの。わ・か・る・?」
おそらく僕は彼女の笑顔をこの先二度と見ることは出来ないかもしれない。
そしてその予感は外れることは無い事は分かっていた。
「やれやれ、世の中の混乱と同じね。」
そう、彼女はほっといたらと言ったのだった。
「そんなものなのよいつも。煽っている連中だってどうしたいか分かって言っているのよ。」
生きているも死んでいるも無かった。みな生活していた。
ボートの上の話が、すんなり出来た訳ではなかった。
「ただでものごとができているんじゃないんだ...」彼は確かにそう言った。
「そう。だからあたしは質量保存の法則を確かめたかったのよ。」
関係ないことは分かっていた。
乗りかかった船なのか、そでふれあった船なのかは知らないが、
どこまで取り返せるかやってみたかっただけなのだった。
「あなたはまた、連中に付け入る隙を見せてしまったのね。
そしてそれを無くそうという気も、隙だとも感じていないのね。」
551 :
面洋:2006/08/26(土) 05:45:39 ID:ED7AFE9j0
さざ波はほとんど立っていなかったが、息を吹きかける人がいるかのようだった。
同じ文章を書いても、揺らぐ時には届きはしないようだった。
535や536のような文は本人のさざ波のせいには違いなかった。
「たばかり事なら賞賛どころか詐欺師にされてしまうわよ?」
そう。アイマスク氏の言葉が全て単なる思いつきならば、本人達がきりつめて差し出したここの人生は、
活かされること無く文字通り、夢幻と消えてしまうのだった。
「でも、よく考えてみると、アイマスク氏は現実というか現在進行形で、シンクロさせながら語ってくれていたのよね。
それがなぜ、ちょっと意味も無いちゃちゃが入ると一緒になって見下げたようなことを書くのかしら。」
そこがわからなかった。
ちゃんと芯を通さなければ周りが混乱するのは目に見えていた。
「私だって混乱するもの。立て直そうかどするか、コウモリ状態にある人は、もっと絶望とあきらめの力関係になるのよ。
立て直す意外に無いじゃないの。なら、方向性は一つしか無いはずよ。」
みじめでも素晴らしくても、要らない人生等ありはしなかった。
それは未来に望む個々の人生の物語だった。
物語として語られることは消えてしまう、身動きができなくなってしまう出来事なのだと実を持って知った。
たとい誰であろうとも、くり返していうけれども、だれであっても自分の物語としてはならないことだと身を以て知った。
現実に起こる方が遥かに素晴らしく、また次への力でもあった。
552 :
面洋:2006/08/26(土) 05:58:22 ID:ED7AFE9j0
ここの→この or こころ
どするか→どうするか
実→身
orz
553 :
面洋:2006/08/26(土) 06:03:01 ID:ED7AFE9j0
意外→以外
しばらく逝ってきます
554 :
ジェラ記:2006/08/26(土) 20:35:59 ID:Kejgej980
少しは可能性は考えたのだった。
だけど.......と思ってしまった。
馬氏とアイマスク氏はあるいは共通点があるのかもしれなかった。
ほんとに話すべきことが多くあるのなら、
こんな方法以外にも語るべきだったのだ...
馬氏ももともと話が分からないはずは無かった。
だけど、確かに第三者の介入が必要だった。
555 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/27(日) 01:04:15 ID:f26jKt7TO
ここの人達はわざと解読しがたい文章にしてるのか?
それは春樹的とはいえないんだが。
八月のある晴れた朝、秋田のあぜ道で僕は100%パーセントのくねくねとすれ違う。
けっして案山子ではない。人が白い服を着て踊っているわけでもない。
風が止んだ後、気持ち悪いぐらいの生温かい風が吹いてきて
人ぐらいの大きさの白い物体がくねくねと動いているだけだ。
しかし五十メートルも先から僕にはちゃんとわかっていた。
あれは僕にとって100%パーセントくねくねなのだ。
その姿を目にした瞬間から僕の胸は不規則に震え、口の中はカラカラに乾いてしまう。
たとえ五分でいいからくねくねを見つめてみたいと僕は思う。
それをじっくり観察してみたいし、それが何なのかを理解してみたい。
そして何よりも、くねくねの正体が何なのかを解き明かしてみたいと思う。
きっとそこには平和な時代の古いお伽話のような温かい秘密が充ちているにちがいない。
くねくねは目の前までせまっている。生温かい小さな空気の塊が僕の肌に触れる。
あぜ道には雑草が生い茂っていて、あたりには夏草のにおいがする。
僕はくねくねから目をそらすことができない。
それは手足の細い人型の白い物体で、その四肢をくねくねと身をくねらせながら動かしていた。
人と同じ位置に目があり、それはひどく空虚な目をしていた。
くねくねと目が合った瞬間、その正体を僕は理解することができた、
と同時に何かがはじける音がして頭の中が真っ白になった。
僕はその場に倒れこみ、自分という存在が限りなく無に近接しているのがわかった。
くねくねは何事もなかったかのようにくねくねと動き続けていた。
そいつの目はなぜか笑っているように見えた。
悲しい話だと思いませんか。
今日はアザラシの友達からくりょくりょが届く日だった。
僕はカレンダーを見ながら歯を磨いているところで、たぶん朝だと思う。
もちろん朝であるという確信があるわけではない。
とにかく目を覚まし、薄暗い時間帯で目が半分しか開いていない状態のままでトイレを済ませ、
洗面所に行って歯磨き粉をたっぷり乗せた歯ブラシを口につっこんで目を開いたら、
目の前にカレンダーがあったのだ。
時計を見てみると5時28分だった。
でもアナログなのでそれだけで午前か午後かを見極めるのは難しかった。
何しろ僕はこの3日間というものほとんどまともに寝てはいなかったし、
昨夜眠った時間さえもまともに覚えていないのだ。
とにかく、くりょくりょが届くとあってはこうしてはいられなかった。
僕は素早く身支度をすませ、冷蔵庫に残っているものでなんとかあり合わせの朝食を作り、
食事を済ませた後にテレビをつけた。
僕は昔から食事中にテレビを見る習慣を持たない。そのように躾られたのだ。
テレビは朝のニュース番組が始まったところだった。
これで間違いなく今は朝で、今日がくりょくりょの届く日であることが確定したのだ。
アザラシの友達に初めてくりょくりょをもらった時は正直言って迷惑に感じたものだった。
まず部屋が狭いのにくりょくりょは人間くらいの大きさがあるから場所をとるし、
どうやって使うのか見当もつかなかったからだ。
でもアザラシはさも訳知り顔でにやにやしながらこう言った。
「最初は誰でもそう言うんですよ。でもね、使ってみるとこれはいいもんです。
使い方は人それぞれ。クックック。楽しんで下さいよ。」
僕はそれ以来くりょくりょを手放せなくなってしまった。
でもくりょくりょは1ヶ月ほどで縮んで消えてしまったので、
新しいのを贈ってもらう約束をしていたのだ。
「このままでは廃人になるかもしれないな」
僕は一人そうつぶやいた。
くねくねかりょくりょくかは知らない。
どうして合ってしまったのかも知らない。
でも、その悲しい話は知っている気がした。
そして、観念ではどうしようもなく、向き合って、どんなに時間がかかってもいい、とことん考えてみるべきだと知っていた。
何故かはしらない。
少なくとも可能性はあるはずだった。
便りがないのは元気な知らせと何度も解釈しようとした。
だが、彼のゆく方向は、とことんくねくねの思い通りのような気がした。
勘違いだと良いんだけれど...
だけど、もうそんな手段ではダメなのだろうなと思った。
「逆らうんだ、精一杯に。」
意思の力と実際の力だけが必要に思えた。
「全部見えたのよ。だけど程よい所で変化させることは出来るのよ。
今までとは違ったことをやってみるのよ。」
渦に巻き込まれて船縁に捕まってまわりを見なくなった人であってはいけなかった。
せめて力を合わしてほしいと思った。
僕と彼女は形而上学的なテーブルを挟んで向かい合って座っている。
彼女は少し緊張しているように見える。たとえそうではなくても、少なくともリラックスしてはいない。
そして彼女は僕の顔がある方をしっかりと見つめていた。
しかし不思議なことに彼女とはどうしても目が合わない。
まるで僕の顔がある方向のちょうど50mくらい先をみているような感じだ。
そしてその視線は僕がまるで透明人間になったような気分にさせる。
「どうしても精神科に行くつもりはないんだね?」
僕はゆっくりと慎重に言った。でも彼女は聞いてないようだった。
否定も肯定もしない。そしていつものようにまったく別の話を始める。
僕は我慢強く彼女の話を聞く。
でもその文脈は常にきまって支離滅裂に感じられる。
まず第一に彼女の文章には主語が無かった。
それはまるで一人を殺すために町全体を焼夷弾で焼き払っているみたいに感じられた。
あるいはどこに向かって撃てばいいのかわからないまま発射し続けているマシンガンのように。
そして彼女は「かもしれなかった」という文章を多用した。
しかし「かもしれない」は明らかに未来予測形であり、それを「かった」という過去形で繋ぐ事によって、
言い表しがたい混乱を招いていた。
あたかも時間軸を無理やり左右に引きちぎってしまうように、
あるいは未来に向かって出発したまま戻れなくなったH.G.ウェルズの小説みたいに。
彼女の話を注意深く聞いていると、どうやら彼女は自分が神様かお釈迦様のように思い込んでいるようだった。
そうなればもう話をすることは無意味だ。
彼女に対して何を言ってもそれはまるで釈迦に説法と受け取られ、
また僕を見下しておきまりの支離滅裂な説教を繰り返すだけだからだ。
「僕がはっきりしないせいだと言われるからっていうわけじゃないんだけど、
僕は君のことが本当に嫌いなんだよ。めんよう」
だったらどうしてがいくつもある。
561 :
本当にあった怖い名無し:2006/08/28(月) 12:37:34 ID:mbPTz40zO
「もうめんようみたいな奴はスルーしようよ。
これ以上係わりたくないんだ。
緬羊を面洋なんて書いてる奴なんてね。
ただの馬鹿だから。」
と僕は言った。
「そうね、そのほうがいいまたいね。」
彼女はあまり興味なさそうにそう言った。
「またい?」僕は驚いてそう聴き返した。
「そう、またい。」
やれやれ、どうやら彼女は自分の間違いを訂正するつもりは無いみたいだ。
僕がいつものように井戸の底へ降りると、そこには貞子が居た。
懐中電灯をつける前から僕にはそこに貞子が居ることがなんとなくわかっていた。
縄ばしごを一段づつ下りるときに、悪寒のようなものが密度の違う空気の層みたいに次第に濃くなっていったからだ。
貞子は映画で見たときと同じ髪型を守っていて、例の白い服装も変わらなかった。
前髪で顔を覆っているせいで表情というものは読めなかったが、僕が来たことにとまどっているのは明らかだった。
「やあ、ここは君の住んでいる井戸だったっけ?」
僕の声は井戸の壁面に木霊したが、案の定黙殺された。
貞子は両肩を脱臼しているように腕を前方に力無く垂らしていた。
僕は昔空手部の友達から肩の脱臼を簡単に戻す方法を教わっていた。
少し痛いが、我慢すればそれほど後には響かない。
「肩をちょっと見てあげるよ。脱臼したんだね?」
そう言うと不思議なことに貞子は僕に肩を預けた。
「痛いけど我慢して」
そう言って僕は貞子の腕を両肩にしっかりとはめ込んだ。
肩が元通りになると姿勢がよくなり、自然に髪の間から彼女の顔が見えた。
目をあらん限りの力で見開いているので不自然な表情だったが、顔の作りはそれほど悪くない。
「ねえ、目にそんなに力を入れたら疲れるだろう?目を一旦閉じてそっと普通に開けてごらんよ」
貞子は僕の言うとおりにして、僕を見つめた。その顔はびっくりするくらいあどけなく美しかった。
僕は携帯電話を取り出して2ちゃんねるのオカルト板を見せた。
貞子はしばらく無言で見入っていたが、「こんな貞子はいやだ」というスレを読むと、初めて笑った。
「こんな私いるわけない」と貞子が初めて口を開いた。
「そうだよね。でも、君はすごく人気があるんだよ。だからこんなに沢山のレスがつくんだ。
僕のスレなんて悲惨なもんだよ」
「そうなの?」
「ああ、君はアイドルだし、僕は年老いた野良犬みたいなもんさ」
「ふふふ。変な人」
そして僕らは自然に唇を合わせ、当然の成り行きみたいに井戸の底でセックスをした。
彼女は驚いたことに処女だった。
「後悔しているの?」と貞子が聞いた。
「いや、そんなことはないよ。でも君のように美しい人が井戸の底で暮らしているなんて不思議なもんだね」
「いろいろあったのよ」
「うん。わかるよ」
僕らは井戸の底に横たわり、丸く切り取られた空を見上げながら飽きることなく抱き合っていた。
それからというもの僕は毎晩井戸に通っている。
気がかりなのは通い始めて体重が5kgも落ちたことと、目の下に入れ墨のように濃いくまが出てきたことだ。
「貞子と寝ていると死ぬ・・・」
ふとそんな考えが頭に浮かんだが、僕はかまわなかった。
今時あんなに純粋でいい子はめったにいないし、それにどうしても長生きしたいわけでもないのだ。
「わたしは軽く受け流したかったのよ。だけど、あまりに荒唐無稽だから。」
彼女はまたイタズラ電話が鳴り続け始めたことにいらだっていた。
平和にほっといてくれれば最低限なにもかまわなかったのに。
デジャブとは言えないデシャブが頭をよぎる。
「やはりちょっと言わせてもらうわね。
言われも無い誹謗を受ける理由がないもの。」
想定内には在ったもののやはり何かがおかしかった。
「変なのがわたしですって?どう考えても周りの方よ。
そして彼もなのかしら。
あなたは御存知?あなたが変なことを言うと、何者かがそれを実現させようと動くの。
もっとも彼等は誰であっても良いのかもしれないわね。
はっきりと言わないと分からないと言った。はっきりと言えないからこそ他人の小説のミステリアスな文体をなぞっているんじゃない。
ズバリ聞きたければ聞きにくれば良いのに。とって喰う訳でも魔法が使える訳でも、ましてやくるっている訳でもないのよ。」
そうなのだ。彼女はイメージと違って?実証主義的であろうとしていたのだ。
簡単な鑑定のテストケースを試してみたことだってある。
だけどいつもいやになるほど健康だったのだ。
一度だけ、強烈ないきどおりを感じたことがある。
その時は一目盛りだけ動いたものだった。
一目盛りであれだれ苦しいのに、両端にいる人達はどんなだか想像もできなかった。
だからこそ、物理的とも思える苦しみから、たとい誰であれきちんと理解することで脱却して欲しかっただけなのだ。
狡猾と思われる程驚嘆な程の手法は必要ではなかった。
「結局、最後には健康が一番なのよ。」
そう、健康的であれば、やり直すことも取り戻すことも出来るはずだった。
もしかしたら、彼は本当に彼女が不健康だと思っているのだろうか。
そんなことはあり得ないことだった。
誰か他の人のレスに違いはなかった。
だけど、可能性として、全く取り除いた訳ではなかった。
なぜなら、彼には負の要因を持っていることを少しだけ知っていたから。
「主語が無いですって? いつだって、彼とか彼女とか、彼等とかってちゃんと書いているじゃない。」
「"彼"がだれかって?エビオス氏に決まっているじゃない。
それに貞子の彼氏は馬氏ね。」
彼女は少し肩が軽くなるのを感じた。
「はずだったってまた書いてしまったようね。
それにまた長過ぎてしまった....。
はずだ、と断言しても良いのよ。
誰かがその方が春樹的だって書いていたからだけなんだから。」
「そうそう、大事なこと言い忘れていたわ。
欺瞞つきの人って大嫌い。公平なふりをして、そのじつ.....」
これはまったくもって春樹的ではなかった。
。
「馬っ鹿みたい。」と彼女は拳で思いきり僕の顔を殴った。
それで僕はもう少しで赤く塗られた大きなごみ箱に車をぶっつけそうになった。
「ふん」と彼女は言った。
「ねぇ、今みたいに運転している人間を殴ったりしちゃ駄目だよ、冗談抜きで。」
と僕は言った。
「そんなことしたらどっかにぶつかって、二人とも死んでしまうことになる。
これはデート・マナーだ、死なないで生き延びること。」
僕がそう言い終わらないうちに。
「馬っ鹿みたい。」と彼女は窓の外を見つめながら言った。
僕は彼女が怒っている理由がうまく理解することができなかった。
今日一緒に観たライオンキングはとてもおもしろかったし
さっき食べた焼肉は値段の割りには悪くない代物だった筈だ。
おそらく一週間程前、三度目の手術に僕が付き添わなかったせいだと思った。
あるいは僕の妻に、二人目の子供が出来たことを誰かから聞いたのだろうか?
誰にも話す事が出来なかった「本当にあった恐い話」だ。
その後のことを僕は書くことが出来ない。
僕は今でもこうして生きていられてるって事以外にはだ。
572 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/02(土) 02:13:39 ID:PspBQNFT0
「やれやれ」
ぼくはまた保守した。
今年の10月は13日は金曜日だ。
僕はカレンダーを見ていてついでにそう思った。
その日くりょくりょは無事に手元に届いたし、その完成度は極めて高く、申し分のない代物だった。
くりょくりょが次にしぼんで消えてしまうであろうと思われる日はその10月13日の金曜日だったのだ。
そして次にくりょくりょを送ってもうらうために必要なのは、なによりアザラシのご機嫌だったが、
最悪なことに13日の金曜日はアザラシにとっては生死を懸けた戦いの日だった。
アザラシは13日の金曜日が来ると、必ずアザラシ祭りを開催する。
しかし、それは祭りなどといった祝祭的な要素をまったく含まない、極めて暴力的なイヴェントなのだ。
アザラシは13日の金曜日的な血塗られた日を喜び、お互いに失血死するまで鉈を手に切りつけ合い、
ジェイソンが被っていたあのホッケーマスクを着けて狂乱の宴を繰り広げるのだ。
僕としてはなんとしてもそんな祭りには参加したくなかったし、
友達のアザラシに死なれては困るのでどうにかしなくてはならなかった。
僕はアザラシに電話をした。
「くりょくりょが届いたよ。本当にどうもありがとう」
「いやいや、とんでもありやせんよ。先生にはいつもお世話になってますんで。
お気に召して頂けて何よりですよ。クックック」
「ところで、10月は忙しいかな?どうだろう。こんどウミガメもさそって一緒にクルージングにでもいかないかい?」
「ええ?このあっしを誘っていただけるんで?」
「もちろんだよ。友達じゃないか」
「ありがとうございます。どんな予定も繰り上げて、必ずお供致しやす」
「じゃ、来月の13日だから、忘れないでね。
そのときちょうど無くなるからくりょくりょも忘れずにね」
「はい、必ず」
これでアザラシの命とくりょくりょを守れるはずだと僕は思った。
10月13日は快晴で、最高のクルージング日和だった。
ウミガメとトランプをしながらアザラシを待っていると、後ろからザッザッザッザという不吉な音が聞こえてきた。
僕が振り向くと、それはホッケーマスクを着けたアザラシの大群が鉈を振りかざしながら行進している音だった。
あっと思う間も無くアザラシは僕の頭をめがけて一直線に鉈を振り下ろした。
僕は遠のく意識の中で気がついた。
アザラシがくりょくりょをくれたのは、すべてこのためだったのだ・・・・。
「空虚な眼の中に太古の平和を見たですって。」
それでも彼女は席を立つことが出来なかった。
一緒に車で突っ込んだ方がどれだけましだったかしれないというのに...。
それは本当の名の木が、いまさら必要とされることも無いだろうと忘れていることよりもひどいことだった。
名称ではなかったが、たしかにずっと知っているはずだった。
他の多くは知ってはいなかった。
そして、それを思い起こさせたのは誰だったのか。
必要なければ関わらなければよかっただけなのに。
"太古の胡弓"すらも彼を警戒せざるを得ない訳がやっと解った気がした。
パズルだと言った。
彼の図柄は小舟ではなかったはずだ。
それは、彼女の図柄だった。
「あなたは本気で世界をペテンにかける気なのね。」
彼女は方便のつもりだった。
だけど、彼 ?は方便という言葉をも忘れたかのようだった。
棘の小みかん達は全包括は出来なかった。
種類の違うものはきょうきのように排除するしか出来なかった。
"わたし"は、あるべき姿に、元の場所に存在することだけを願っていた。
「どう、おうさまは正体を忘れても、口はおごっていたでしょ。」
しつじは言った。もちろんひつじではなかった。
「食べ飽きているはずだから、兎に角変わったものを出せば、何を混ぜても有り難がって頂いたでしょう。」
「それにおうさまだから、自分が決定すれば格ズケされると本能的に思っているでしょうな。」
その声のぬしが男性なのか女性なのかはまだわからなかった。
あほか、おまえらみんなし抜んだぞ
村上春樹のエピゴーネン気取って喜んでるヤツがまだ覗いてるのか
>>576 批評があるならもっと相手に分かりやすく明確に話すべきだ。
あなたが大人で春樹を好んでいるならなおさらね。
>>576 気持ちは分かるが、相手にしないほうがいいと思う。
そのとき矢七は悩んでいた。
もう間もなく助さん角さん率いる黄門様一行が箱根を過ぎて伊豆へ到着するというのに、
肝心の悪代官や悪役がどうしても見つからなかったのだ。
箱根では売り飛ばされそうな娘を持つ病人の老人を何とか1両で買収し、
それを救う手はずだった長屋の大家の手助けを断らせ、楼閣の主人に悪役を演じさせ、
賄賂を悪代官に貢がせてなんとか黄門様のご機嫌を損ねることなく、
悪の成敗というはた迷惑な趣味を演出したのだった。
しかし、今回は本当に困ったことにどこにも悩みを抱えた町人が居ないばかりか、
町の治安はことのほか安定し、代官は見事に平和的な政治を行っていた。
このままでは黄門様がここに来ても自らの存在理由を誇示出来ない苛立ちに、
哀れな八兵衛をあの杖でめった打ちにするであろう事は想像に難くなかった。
矢七が途方に暮れていると、そこへ羊の皮を被った男が現れてこう言った。
「あんた困ってるんだね?」
「何者だきさま・・・?」
「知ってるんだよ。おいら、水戸黄門様が実は偽善者で自分で悪者を退治して印籠を翳すまで、
周りのみんなが悪者を仕立てあげてご機嫌をとってるってことをさ」
「何?きさま一体どうしてそれを・・・」
「大丈夫だよ。おいらは誰にもしゃべらない。ただ、あんたが困ってるってわかったんでね。
どうすればいいのか教えに来たんだよ」
「きさまごときに何が出来る」
「まあ、おいらの話を聞きなよ。もうすぐ井戸へ女の子が落とされる。
その女の子は生きたまま井戸に落とされるんだ。
その子は不思議な力があって周りの大人が気持ち悪く思って、
父親が自分でその子を井戸に落として蓋を閉めちゃうんだよ。
だからあんたはその女の子を助ければいい。そして悪い父親を黄門様に成敗させるんだ」
「・・・それはガセネタではあるまいな?」
「もちろんさ。おいらは未来から来たんだからね」
「分かった。おぬしを信じるとしよう」
矢七は羊男から聞いた井戸を張り込んだ。
確かに髪の長い女の子を父親らしき男が手を引いて井戸に連れて行った。
男が井戸に女の子をつき落とした直後に、矢七は井戸の蓋を開け縄を投げた。
女の子は必死で縄を掴んで上がって来た。
しかし、女の子は間もなく息を引き取ってしまった。
彼女の形相は両目を見開き、地獄の底から地を見上げるように凄まじいものだった。
黄門様が来ても助けるべき相手が死んでしまったのでは話にならなかった。
矢七は女の子の遺体をそのまま井戸に投げ落とした。
世の中にはどうにか出来ることもあるが、死んでしまった人間は生き返らないし、
元通りにならないことなんてそれこそ絶えることのない矢七の風車くらいあるのだ。
>>582 ありがとう。
おとなげなかったね。
少し疲れていたんだ。
いやなことがつづいてたんで、つい・・・
控えた方がよかったみたいだ。
悪かった。謝るよ。「ごめん。」
だからね、
本当に村上春樹を愛してやまない人、
非村上春樹的書き込みを許せない人、
許せないどころか全否定しないと気が済まない人、
あるいはあからさまに優越感を表明してしまう人、
自分がいかにも村上春樹を上手に真似することで
自己陶酔に浸ってしまう人、
一言で言えば「村上春樹的オカルト」で遊べない人は、
こんな板のこんなスレを見ちゃいけないんだ。
まして書き込むなんてもってのほか。
どこかに自分のユートピアを作った方がいいと思うんだよ。
遅レス。
>>540だが、
541 :馬 :2006/08/24(木) 23:06:46 ID:iBt6nHCqO
↑こういう馬鹿がいない所でさ。
たかが2ちゃんだよ。実社会じゃモゴモゴしてる奴ばかりだよ。
面白くないならてめぇで書いてみろっつっても書けない奴ばかりだから。
んじゃ。もうこの板見ないよ。しばらく来ないうちに池沼の巣窟になってんだもんよ。
> たかが2ちゃんだよ。
これはそのまま馬とマスクにお返しする。たかが2ちゃんねるじゃないか。何をそんなにいきり立っていたのか?
> 実社会じゃモゴモゴしてる奴ばかりだよ。
「たかが2ちゃん」からどうしてこうつながるのかまったく判らない。こういう決めつけは極めて非・村上春樹的だと思うんだが。
> 面白くないならてめぇで書いてみろっつっても書けない奴ばかりだから。
やれやれ。こういう時にこそ、やれやれと言うべきだ。
結局馬とかマスクとかは、自分(たち)がいかに村上春樹(的文章)を上手にコピー
できるかで自己満足してたし、自己陶酔してたわけだろう? それは勝手だけど、
「自分たちより劣る」書き込みを否定したり罵倒したりする資格が誰にあるというのか。
そもそも「自分たちより劣る」という判断が他ならぬ「自分たち」によるものだ。
自分で勝手な法律を作って自分で勝手に裁いているわけだな。いい気なもんだ。
> んじゃ。もうこの板見ないよ。
本当にもうこの板を見ていないのかどうかは
>>576とか
>>582とか
>>585を
見てると怪しいものだが、結果として俺が言ったようになってるなら、ま、喜ばしいわな。
馬とかマスクとかは、もう匿名でも書き込むな。
書き込みたいなら、
>>539と
>>540の書き込みをした人間がなぜ馬鹿なのか、
どうして「実社会じゃモゴモゴしてる奴」だと断じたのか、なぜ池沼と思ったのかを、
村上春樹の文体をそっくり真似て書いてからにして欲しい。
最後に、ID:YZz4noNS0 がんがれ。
IDは違うが、同一人の書き込みと思ったあなたは間違っていない。
その証拠にsageている。
>>575に対する
>>576の反応を見ると、やっぱこいつ莫迦なんじゃないかと思う。
そこには感情しかない。
感情にまかせて、人を池沼呼ばわりだ。
「村上春樹のエピゴーネン」はお偉いんだな。反吐が出そうだぜ。
589 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/04(月) 02:06:45 ID:7C/AGHdE0
>>547 おお、今読み返すとこんな書き込みが。遅レスすまん。
ご明察の通り、俺は540である上に511でもある。しかし、
547 :本当にあった怖い名無し :2006/08/25(金) 21:10:26 ID:Hmoh5m9h0
>>511=
>>539-540だろ?
おまえはアイマスクの
>>499の煽りがあまりに図星だったもんで、
ロム専ボキャ貧のくせしてageまくって、
しまいにゃ関係ない馬氏まで叩いちゃってほんとバカ丸出しだな。
これ、特に「ロム専ボキャ貧」が当たっているのかどうかは俺には何とも言えない。
511が初の書き込みじゃない。他にも(以前には)書き込みをしたものでな。
> しまいにゃ関係ない馬氏まで叩いちゃってほんとバカ丸出しだな。
このスレで俺を「池沼」と罵る人もいるから、↑みたいなことを言われても何とも思えない。
気になるのは、「関係ない馬氏」が
> ↑こういう馬鹿がいない所でさ。
> しばらく来ないうちに池沼の巣窟になってんだもんよ。
と言ったことについて
>>547はどう思ったんだろうか、教えて欲しい。
レス番は
>>547より前の>541だから、
>>541は読んでる筈。
こんなレスがあるのに「馬氏は関係ない」てのもよく判らない。
できれば村上春樹的言い回しをうまく使って。
それから、
>>547は「アイマスクの
>>499の煽りがあまりに図星だった」と認めているけど、
アイマスクが煽ったのは認めるわけだね。
>>497についてはどう思うのか聞かせて欲しい。
できれば村上春樹的言い回しをうまく使って。
そう、村上春樹的言い回しをうまく使って。頑張って。
590 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/04(月) 02:11:54 ID:7C/AGHdE0
>>589 まちげーた。鬼の首を取ったように突込まれるかのう(´・ω・`)
> レス番は
>>547より前の>541だから、
>>541は読んでる筈。
正しくは、「レス番は
>>547より前の>541だから、
>>547は読んでる筈」です。
いや、数人が言う通り池沼だなあ。あはは。すまん。
池沼だから許せとも言わん。思い切り蔑め。
>>545 しかし「「村上春樹のエピゴーネン」を自称するばかりか、そのことに何か誇りみたいな
ものを感じ、その誇りみたいなものを感じている自分の心を傷つける書き込みを徹底的に
攻撃してやまない感性」までは思いが至らなかったのでは?
いや、俺も思い至りませんでした。
スレが盛り上がらずに、死んだらさみしいと思って無理やりレスをつけてた頃が懐かしい。
技量とか気にせずに書き込んでください >545
問題は、「どれだけ村上春樹(の文章)に似ているか」じゃないでしょ?
592 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/04(月) 02:46:13 ID:b8bFMg2P0
トリップつけてた人が殆どいないのが不思議だね
>>580 >最後に、ID:YZz4noNS0 がんがれ。
ありがとう。でも君の間違いはかなり致命的なのだよ。
なぜならID:YZz4noNS0 はマスク本人なのだから。
↑
>>587の間違い。
俺の間違いのほうが致命的だわなw
>>587 それよりも聞き捨てならんな。
>結局馬とかマスクとかは、自分(たち)がいかに村上春樹(的文章)を上手にコピー
>できるかで自己満足してたし、自己陶酔してたわけだろう? それは勝手だけど、
>「自分たちより劣る」書き込みを否定したり罵倒したりする資格が誰にあるというのか。
>そもそも「自分たちより劣る」という判断が他ならぬ「自分たち」によるものだ。
>自分で勝手な法律を作って自分で勝手に裁いているわけだな。いい気なもんだ。
一体どこで、マスクと馬が「自分たちより劣る」と否定したり、罵倒したというのだ?
書かないくせにいちゃもんつけるだけの人間に「だったら書いてみろ!」って言うことのどこがおかしい?
何もしないやつほど簡単に他人を批判するいい例だな。
ちなみに、貞子も金曜日もくりょくりょもマスク作だ。
文句があるならかかってこいや!
やっぱりそうか。
どおりでうまいしおもろかった訳だ。
やっぱり君には適わないよ。
え?僕ですか?僕は不信のときを書いてどん引きさせた者です。
597 :
馬 :2006/09/04(月) 18:55:09 ID:hT+HqT+KO
いつ俺が《自分は春樹的を上手く書いてる》《他の奴が下手》と言った?
《書きもしないで文句つけてる馬鹿ばかり》と言ったつもりだが。
しかもコテ以外で叩きの書き込みは一度もしてないしな。他のレスに下手と言える程俺は春樹に詳しくない。
言ったろ、8年近くブランクあるんだよ。他人の批評などできん。
もう来ないと言ったがあまりにも頭に来たから書いた。
なんだ、ID:7C/AGHdE0は「めんよう」さんか。
長文書くから皆にバレちゃったじゃん。
普通に書いても支離滅裂なのね。
>>589 あと、これだけの大口叩いたあとでこう来たな。
>これ、特に「ロム専ボキャ貧」が当たっているのかどうかは俺には何とも言えない。
>511が初の書き込みじゃない。他にも(以前には)書き込みをしたものでな。
ほほう。おもしろいな。そんなに自信の大傑作を持ってらっしゃるとは。
是非読ませて頂きたい。出来れば日付とID入りでここに貼ってみろよ。
他人の批判以外におまえがどれほどの物を書くのか教えて欲しい。
過去ログでも何でも捜してこいよ。
>それから、
>>547は「アイマスクの
>>499の煽りがあまりに図星だった」と認めているけど、
アイマスクが煽ったのは認めるわけだね。
煽ったつもりは無かったが結果的には煽りになったな。
何しろ自分に向けられている訳でもないのに勝手に怒り出して、
「自分がそうです」って手を挙げたんだから誰も責められんだろ。
普段人の足を引っ張るような事をしない人間はあんなの読んでも何とも感じないだろ?
「ああ、いるよねこういう人」って共感するよむしろ。
自分の醜い姿を暴かれたっていきり立って「たかが2ちゃん」でムキになってるのはおまえだよ。
恥の上塗りはいい加減にしてくれ。
見ているこっちまで恥ずかしくなる。
600 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/04(月) 22:49:57 ID:LO48mkHXO
「もう訳がわからないわよ」208が頭を抱えた。
「いったい誰が誰に何を言ってるの?」209は苛立っていた。
「別に君たちに理解力が不足してるわけじゃない。無駄なアンカーが多過ぎるんだ。」
僕は二人をなだめた。
そして三人仲良くベッドに潜り込んだ。
601 :
人参:2006/09/04(月) 23:03:55 ID:e0VKHjI/O
多分、人参がめんようを必要以上に叩いたから、逆上しためんようが
俺だってたくさん書き込みしたんだよって言ったのを
どんなに凄い作品書いたのかなって皮肉っているんだと思います。
僕が名無しにしたから話がややこしくなったんだね。
馬氏やアイマスク氏に申し訳ないと思った。
「わかるよ」とコテハンは言った。「それで僕は一体どうすればいいんだろう?」
「リレーを続けるんだよ」名無しは言った。「名無しからレスがある間はとにかくリレーを続けるんだ。
おいらの言ってることはわかるかい?カキコするんだ。リレーを続けるんだ。
村上春樹的ではないなんて考えちゃいけない。リレーを続ける意味なんてことは考えちゃいけない。
意味なんてもともとないんだ。そんなこと考え出したらカキコする指が停まる。
一度指が停まったら、もうおいらには何ともしてあげられなくなってしまう。
スレが落ちてしまう。オカ板から村上春樹的スレが落ちてしまうんだよ。
だから指を停めちゃいけない。
どれだけ煽りを受けてもそんなこと気にしちゃいけない」
僕は目を上げて、また壁の上の影をしばらく見つめた。
「でもカキコするしかないんだよ」名無しは続けた。「それもとびっきり上手くリレーを続けるんだ。
みんなが感心するくらいに。そうすれば他の名無しも手伝ってくれるかもしれない。
だからリレーを続けるんだよ。レスの続く限り」
リレーヲツヅケルンダヨ。レスノツヅクカギリ。
603 :
マスク:2006/09/05(火) 10:37:22 ID:hPmw6Ii00
>>600 ごめんね。僕が一番分り難くしている。
僕は頭にきていたんで文体を変えちゃった上にマスクって名乗らず書いてるから悪いんだ。
つまり、
>>540=
>>511がそれを自分で認めた上で、また馬氏と僕のことを必死こいて叩くから、
よっぽどクチもきけないくらいにとっちめてやろうと思って、
>>593-595と、
>>599を僕が書いたの。
人参、540はめんようじゃないよ。
僕が言いたいのはつまり、読んでもいいから静かに読んでくれないかなってこと。
作品書くならいいけど、僕の作品テッカテカになって読んでるやつが、
僕に名無しでも書き込むなとかアホなこと言うからもうホントにおかしくて。
605 :
マスク:2006/09/05(火) 13:37:27 ID:V5WKN1H/0
>>604 なるほどね。
>本当に村上春樹を愛してやまない人、
>非村上春樹的書き込みを許せない人、
>許せないどころか全否定しないと気が済まない人、
>あるいはあからさまに優越感を表明してしまう人、
>自分がいかにも村上春樹を上手に真似することで
>自己陶酔に浸ってしまう人、
↑が僕だって言いたいんだよね?
つまり僕が遊んではいけない場所だって暗に言ってるわけだよね?
じゃあ、そもそもここは一体誰が書き込む場所なんだい?
村上春樹が好きではなく、人の文章は野次るけど自分では村上的文章なんて書けず、
やれやれっていうだけが村上春樹だと思ってふざけたい人のスレってこと?
606 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/05(火) 14:12:17 ID:JtS2ER2w0
ヤレヤレ ┐(´ー`)┌コマッタネ
ねー。訳わからないというか分からないから仕切ろうとするファイル屋のひとりごとを
マスク氏は気にかけすぎだよ。
でも、マスクってなんだか弁護士の元らしいアルテミスの女神を連想させるね。
sexチェックはちゃんとしたの。
608 :
め組:2006/09/05(火) 23:27:36 ID:RhkulG7F0
窓の無い部屋には博士がいた。言語ロボットをつくることを趣味としていた。
博士には連れがいたけど、総天然ガラス張りが好みだったので、いささかいらついていた。
ちょっとからかうと一度だけ言われたものだった。「君の言うことは飛び過ぎていてわからないよ」
若者言葉はもっとトンでいるとは思ったものの、お仕事を邪魔するつもりは無かったので、ほほえましく思って黙っていた。
こっそり聞いていたある書士は、博士は実は後を継ぐのは自分の方が適任だと思っていたので見逃さなかった。
博士に依ろうとする人物はあるいは結構いたのかもしれない。
うろうろしている弟子志望の人達をつかまえて井戸端会議という情報網に流したのだった。
そして、博士が時代情勢を鑑みてどちらつかずの態度で決めかねていることをいいことに
多数決で情報をにぎることで権威をとろうとしていたんだ。
さて、すっかり弟子の作ったキャラクターが一人歩きを始めてしまった。
分析すればする程、言葉破綻は無いようだったが、理論破綻は目も当てられなかった。
博士を信用していた彼がアイマスクをされた、これが理由なのさ。
609 :
め組:2006/09/05(火) 23:51:54 ID:RhkulG7F0
彼は最大多数のしあわせを願っていたかもしれない。
だが、どんなに数が多くなろうとも、最初の意図が意図的であることが問題だった。
「肯定すればする程否定に傾くんだよ。」
だけど、彼の返事はいつも同じだった。
「君の言っていることはよくわからないなぁ」
博士がすっかりあの書士やまわりの言いなりになっている訳ではなかったし、
決定等していなかった。
対話する努力は余りにも少なすぎたかもしれないが、
博士は理解できるのはこちらだと思っていたし、それを望んでいた。
ことあるごとに、そっとそれを示唆してくれてはいたんだ。
だけど、博士の意思が絶対だとも態度が正しいとも思っていなかったので、
そのうち良くなるだろうという位にしか思っていなかったんだ。
まさかみんながこんなに言語ロボットを作ることに血眼になるとは思わなかった。
外の世界には美しいものは色々存在していた。
博士は何かを待っていた。
それを知ったのは少し驚きだった。
610 :
め組:2006/09/06(水) 00:21:36 ID:T6nZFJxu0
どうしてもひとつ訂正、というか別の可能性も示さないわけにもいかないかもしれない。
博士は神話的牧歌を巨大すぎ、つかみどころがないと感じていたかもしれないが、(小心なことろもあったし)
否定している訳では決して無かった。
ただ、みたくないほど大き過ぎたかもしれないし、世間一般的なアイデェンティティーを壊されることは恐怖だった。
"彼"は否定されたかのように、から貝とジョークをやめなかった。
彼は本当に見切れていたのだろうか。かわかわれているのはこちらなのだろうか。
多くの人がそうして張り付いているように、部分的作業をして、少しでも留めたかったのではないのだろうか。
民話に出てくるあの表現は現実には何々をさす....
その上での個人解釈は自由のはずだった。
それを、それ自体を、政治的に使おうとはしていなかったはずだった。
611 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/06(水) 04:19:51 ID:XC3p9dDTO
やれやれだぜ
やれやれ、まためんようか。
>607
やっと気付いた?
さてと、そろそろ次のお題を誰か考えてくれないかな?
なるべくオカルト志向で。村上春樹的○○ってかんじで。
でも僕が知らないのは書けないので、スルーされても怒らないようにね。
え、え〜と。リ、リ、リクエストす、すればいいのかな?
そ、そ、そうすれば、か、か、書いてくれるのかな?
じ、じ、じゃあ、え、え〜とね、村上春樹の、で、ですね、
あ、ち、ち、違った、む、む、村上春樹的のだった。
そ、そ、そのむ、む、村上春樹的の「ゾンビ」で、お、お、お願いできるかな?
テ、テ、テカテカして、待、待ってみる。
>615
そんなおどおどしなくてもw
わかりました。頑張ってみます。
きりというものがなかった。
僕は深い霧の中で次々に襲いかかる歩く死体を上手投げでバッタバッタと投げ飛ばしていた。
僕は真夜中に人参を買いに、遠くの24時間営業のスーパーマーケットまで行かなくてはならなかった。
しかしその日は雨上がりの蒸し暑い日で、地上に降り注いだ大量の雨が地熱によって蒸発し、
夕暮れ時から深夜にかけて濃霧注意報が出されていた。
こわごわと運転しながらこんな日に人参を買いに出される僕の運命を呪っていた。
そのとき僕の運転するワーゲンの前に突如人が現れブレーキをかける間もなく轢いてしまったのだ。
車を止め轢いてしまった人を助けようと駆け寄ると、その死体はすでに何年も埋められていたかのように損傷していた。
「これは、人ではない」
そうつぶやいた瞬間、いきなり後ろから覆い被さってきた別の死体を僕は上手投げで地に沈めた。
立ち上がってみると、そこは深い霧に包まれた墓場だった。
沢山の墓標の下から骨が見える腐った腕が次々に這い出し、土にまみれた男女様々なゾンビがゆっくりと立ち上がった。
彼らは一様に僕の頭部をねらっていた。気がつくと後ろにも沢山いて、あたりは耐え難い死臭が濃霧に混ざり合って立ち込めていた。
命からがら逃げ延びて人参も持たずに家に帰るともちろん久美子はカンカンに怒っていた。
「遅いじゃない!」
「いや、ゾンビが出たんだよ。僕の車の前に出てきたんで轢いちゃたんだ」
「そのゾンビさんは無事だったの?」
「まあ、たぶんね。もともと死んでいるんだから問題はないと思うけど」
「そう、それで人参は?」
「いや、それが、ゾンビがいっぱい出てきたから引き返して来ちゃったんだ」
「もう、しょうがないわね。それじゃあ、人参のない肉じゃがにしましょ」
「最初からそうしてくれればいいのに」と僕は小さな声でつぶやいた。
しかし、久美子の作ったそれは肉じゃがなどではなかった。
ぶつ切りの人間の手や鼻や目玉がその形をかろうじて保ったまま甘辛の醤油味でホグツグツと煮えていた。
彼女が嬉しそうに小皿に移した煮汁をすすって味見をした。
僕は後ずさりながらそっと玄関に向かい、久美子に見つからないように外へ逃げようと思った。
しかし玄関のドアを少し開けると、隙間から何十ものゾンビの腕が忍び込んで来た。
やれやれ、前門の虎後門の狼とはまさにこのことである。
僕は何とかドアを閉めてそのまま玄関でたばこに火をつけた。
「なるようにさるさ」
久美子の料理は時々不思議な味がしていたから今までだってそうだったのかもしれないし、
ゾンビと朝まで戦うにはあまりにも腹が減っているのだ。
あ、あ、ありがとう。
突撃隊のつもりだったんだけどね。
「ねぇ、肉じゃができたわ。早く食べないと冷めちゃうわよ」久美子が僕を食卓へ呼んだ。
「分かった、今行く。」
少し迷ったが墓場から出てきたどこの誰なのか分からないゾンビより
当然僕は久美子を選んだ。そうするべきなのだ。
それに、僕は久美子を愛している。
僕は妻と別れて誓ったはずだ。久美子を幸せにしなければいけないんだと。
決して車の中で振るわれた暴力に屈したわけではないのだ。
僕は意を決してダイニングテーブルに座った。
意外なことに肉じゃがは見た目も匂いも普通の肉じゃがだった。
人参が入っていない事を除けばだが。それに僕は特別人参が好きなわけでは無い。
むしろ、嫌いといっても差し支えない。
小学校の昼休みに誰も居ない教室で人参と睨めっこをしたことさえあるくらいだ。
ごはんも味噌汁も漬物やひじきの煮物もまともだった。まともというより、いつもよりとても旨く感じた。
「ねぇ、美味しい?」と久美子が言った。
「旨いよ、とても。今からでも定食屋を始められるんじゃないかと思うくらいだ。」
僕がそう言い終わらないうちに久美子が突然苦しみだした。
僕は慌てて久美子の後ろに行き背中をなでた。
久美子は頭を両手で抱え「「ぐぁ」とも「ぐぇ」とも区別のつかない声を出し続けた。
その声は久美子の普段の声とはとてもかけ離れたものだった。
僕は久美子の背中をさするのを止め、やさしくあたまを撫でたとき、
久美子の髪の毛が皮膚ごとずるっと剥け赤い肉が剥き出しになった。
皮膚がどろどろに融けだし眼球がかつて目の在った辺りから下にどろんと垂れ下がり
爛れ落ちた鼻のあたりから黄色い膿や蛆虫が這い出してきた。
それと同時に堪え難い刺激臭が僕の目や鼻を包み込み息をするどころか、目を開けることさえ困難にさせた。
久美子は振り向き僕の喉を両手で絞めた。
僕は薄れ往く意識の中で蛆虫を数えてみた。208匹を数えたところで暗闇に支配された。
気が付くと久美子は台所で肉じゃがを作っていた。
「ねぇ、人参を渡してくれる?」と久美子は言った。
「人参?だから僕は人参を買いに行けなかったんだよ。」と僕は言った。
「何寝呆けているのよ、あなた。早くこっちにきてよ。」
僕は久美子の言うとおり台所に行った。久美子の手には包丁が握られたままだった。
「ねえ、人参なんて何処にもないよ?」と僕は言った。
鍋には訳の分からない肉塊とじゃがいもと玉葱としらたきが入っているのが見えた。
「人参切らなきゃね。」
と久美子はいきなり僕の喉めがけ包丁を振り回した。
僕は最近まで忘れていたんだ僕が「人参」だってことを。
>620-621
うまくなったねえ、人参。
いや、本当に素晴らしいよ。なんか、嬉しくて泣きそうだよ僕。
byマスク。
いえいえどういたしまして。
624 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/06(水) 23:49:31 ID:kOtKZMPNO
だから。
上手い下手の批評するなよ。
レスの輪が広がらないんだよ、それじゃ。
同じ失敗をまた繰り替えすのか?
で、夕食はナポリタンなの?
>622
相変わらず自分の服も自分で着られないのね。ひとり試着室で見るより、
他人に着せてみるのね。
彼よりも似合っているじゃない。
人のソデを通したものはあげちゃいなさい。
・・・・と言いたい所だが、これはあげるものではないの。ごめんよ、>620-621 。
戻さなくていい人が戻しにきてメイワクしてるけど・・。
彼は彼女に、言いたいことがあれば自分で立ち上げたら、と言ったけど、
その方法を聞こうとしていたのよ。忘れたの?
それを言うならば馬氏ほか、それに準ずる人達に言うべきじゃなかったの。
>>624 そういうことか。気がつかなかったよ。
じゃ、もうお互いにほめあいっこは無しと言うことで。
次のお題考えてくれないかな?
本当に思いつかないんだよ。
628 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/07(木) 18:54:53 ID:lyK8TKe2O
『村上春樹的座敷童』が読みたいです。駄目ならいいです。
>628
当然です。一目瞭然でしょう。ていうかそういう文体しか書けてないし。
>座敷童ですか。
なんとか頑張ってみます。
僕らは結婚して10年という節目を祝うために、岐阜県の恵那市に秘湯を求めてやってきていた。
恵那にはかつて戦国の落ち武者達が深手を負って身を隠した際、そこに湧き出るラジウム温泉で傷を癒したという伝説がある。
そして僕らはその温泉に泊まり、ゆっくり恵那峡を観光し、その後中山道に保存されている妻籠宿を観光してそこでも一泊するつもりだった。
僕らが宿泊した温泉宿はとても歴史のある古い宿で、軋んだ廊下の床は鏡の様に黒光りしていた。
女将は齢80を過ぎてから自分でも何歳なのか覚えていないと笑った。
「それではお客様のお部屋はこちらでございます」
そう案内された部屋は20畳ほどもある広いお座敷だった。
「え?これは宴会用のお座敷ではないですか?」
僕らが聞くと、女将は笑顔でこう答えた。
「いいえ、お客様のお部屋としてお取り致しました。どうぞごゆるりとなさりませ」
狐につままれたような気持ちがしたが、これ以上押し問答するのも面倒だったし、
それに僕らが損をしている訳ではないのだ。
「じゃ、お風呂頂こうか」
と、二人でそれぞれ男女に分かれた浴場に行ってゆっくりと湯治を楽しんだ。
僕の方が早く部屋に戻り、一人で新聞を読んでいると突然部屋の電気が消えてまたすぐ明るくなった。
一瞬の出来事だったにもかかわらず、僕が持っている新聞はいつの間にか逆さまになっていた。
「やれやれ」
僕はそうつぶやいて新聞を投げ出し、煙草に火を付けた。
するとうしろからコホンコホンという咳のような声が聞こえた。
後ろを振り向くと、そこに座敷わらしが居た。
「おじちゃん、けむたいよ」
僕は慌てて火を消した。
「ごめんね、君がいるとは知らずに」
「おじちゃん、あそぼ」
僕はどうしようか迷った。僕らは子どもが居なかったし、親戚にも親しくしている子どもがいなかったから、
どんな遊びをすればいいのか分からなかったのだ。
「ごめんね。おじちゃんあんまり遊びを知らないんだ」
「なんだい、いじわるなおじちゃんだね。もうおじちゃんにはいいこと教えてあげない」
「いいことってなんだい?」
「ふふふふふ。おじちゃんはこのあと大変なことになるよ」
「大変な事ってなに?」
「おじちゃんはね、この温泉の女将に殺されちゃうよ。
ここの女将はこのお座敷に泊まるお客さんをみんなゆでて鬼にたべさせちゃうんだよ」
それを証拠にもう奥さんは食べられちゃったんだよ。ふふふふふ」
そう言ったあと座敷わらしはだんだん透明になって消えてしまった。
最後までわらしの三日月型の白い歯だけが夕暮れ時の新月みたいに浮かんでいた。
僕は急に心配になって彼女を捜しにいった。
いくらなんでも風呂に行って1時間もたっているというのに帰ってこないのはおかしい。
女風呂を覗く訳にもいかないから番台に行って女将に妻を見かけなかったかと聞いた。
すると女将は急に無表情になり、僕の目を見ないでこう言った。
「お客さんはお一人ではなかったですか?」
「何をとぼけてるんですか、僕らは夫婦で来たんですよ。妻は女風呂でのぼせているかもしれない。
とにかく見てきて下さい。」
女将はいらいらするほどゆっくりと立ち上がり、女風呂に入っていった。
女風呂の中から女将の声がした。
「お客さん、誰もいませんて、入りんさい」
僕が中に入っていくと、脱衣所にも、風呂場にも彼女は居なかった。
「そう申し上げたでしょ、お客さんは一人でしたがね」
「いや、しかし、どこかに一人で出掛けたのかもしれませんし、
とにかく僕は夫婦でここに来ました。あなただって見たでしょ?」
「いいえ、私はあんさんしか見ておません」
とにかく僕はあきらめて出された食事を一人で食べ、彼女の帰りを待った。
しかし、真夜中になっても、朝が来ても彼女は戻ってこなかった。
僕らは夫婦の荷物をひとまとめにしてトランク一つで来ていた。
中には彼女の沢山の荷物が入っているはずだ。
でも僕がトランクの蓋を開けると、そこには僕のシャツや替えのジーパンしか入っていなかった。
彼女は跡形もなく消えてしまったのだ。
僕がチェックアウトしようと荷物をまとめながらふと視線を感じて上を見ると、座敷わらしが天井に逆さまのまま正座していた。
「いひひひひひひひ。おじちゃんが悪いんだからね。女の人はもう戻ってこないよ」
僕は座敷わらしにこう言った。
「いいんだよ。僕はどうにかして昨晩、あの女を殺してやろうと思ってここまで来たんだ。
僕が殺す手間が省けて本当にせいせいしたよ」
僕がそう言い終わると座敷わらしはぱっと消えてしまった。
その直後、座敷のふすまをスッと開けて彼女が戻って来た。
「あなた、今の話は本当なの?」
やれやれ、今度はこの僕が殺されるかもしれない。
ありがとう。
635 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/08(金) 01:46:58 ID:lAIGIG/pO
誰か
>>626を解読して分かりやすく書き直してくれないか?
それが無理ならおおまかな意味だけでもかまわないから。
「あなたたちは、次元と現実を曲げてしまう程お話がすきなのね」
>635
深追いはするな。
ヤツは僕らとはまったく違う次元に住んでいる異次元人みたいなもんだ。
そんなやつと話が通じるようになったら、今度は自分が周りから精神科医に行けと言われるようになる。
ヤツの言っている意味が分からないことを、むしろ自分の正常か否かのバロメーターにすればいいんだ。
とにかく、めんようはスルーでお願いします。
>634さんへ
こんなのでよかったかな?
あんまり座敷わらしのことを知らなくて、違うかもしれないけど許してね。
今日のお題はないかな?
なければ9時には寝ちゃうけど。
それじゃ僕の学生時代のあだ名で「かっぱ」でおねがいします。
無理しないで明日でも良いです。
僕は学生時代の頃、あだ名が「かっぱ」だった。
その頃大学生といえばみんな班で押したように退屈を持て余していて、
麻雀をやったり、ビリヤードに興じたりと本当に遊んでばかりいたものだった。
その当時の経済はバブル絶頂期を迎え、大学生であればたとえそいつがどんなにひどい成績を取っていようが、
就職先なんて本当に選り取り見取りだったのだ。
だからこそ、僕らはみんなでバカ騒ぎを繰り返し、夜になればカラオケボックスで倒れるまで飲んだり、
女の子はみんなワンレンボディコン(死語である)のスタイルで、ディスコのお立ち台で腰を振っていた。
人生とはなんともたやすく、すべてがバラ色に包まれていた時代だ。
そんな時代に僕は「かっぱ」と呼ばれていて、そして恋をしていた。
そしてその恋は、その時代の色にはどうしてもそぐわないほど真面目なものだった。
彼女は同じ学部の専攻違いで、週に一度だけ同じ講義に出席する同学年の女の子だった。
僕はみんなと同じように遊んでばかりいるよりは、一人で本を読むのが好きだった。
そして彼女もどちらかといえば図書館で見かけることが多く、
派手な原色のボディコンスーツの女達とは明らかに異質な、素朴で清楚な女の子だった。
ある時その週一の講義で、僕がたまたま座っていた席の隣に彼女が突然座った。
「ここ空いてるかな?」と彼女が言った。
「うん、空いてるよ」と僕が言った。
でもそれきりだった。
その後すぐに教授が来て授業が始まり、彼女はほとんど僕のことを見ないで真剣にノートを取った。
僕は彼女の素朴なシャンプーの香りがする髪を時々横目で見ながら、
今にも飛び出しそうな程に高鳴る心臓の音が彼女に聞こえるんじゃないかと気がかりで、
ほとんど何も考えられなかった。
結局その恋は成就することはなかった。
3年の夏休みを境に、彼女は突然大学に来なくなったのだ。
僕は八方手を尽くし、彼女が大学に来なくなった理由を調べた。
そして比較的彼女と親しかった女の子と付き合っていた友人から、どうやら彼女は田舎に帰ったらしいと聞いた。
彼女の実家は岩手県の山奥の農村で、住所までは知らないとの事だった。
僕はどういう根拠があってそうしたのか自分でも分からなかったけど、
彼女の実家があると聞いたその山奥の村に行ってみた。
もし彼女に万が一会えたとしても、どうにもならない事は分かっていた。
でもそうしないわけにはいかなかったのだ。
山を切り開いて作られた段々田圃が覆う山肌にへばりつくように、ポツポツと農家があるような村だった。
僕は1日に1本しかない路線バスでその村にたどり着いた。
そこは東京のお祭りのような喧噪とはまったくの別世界だった。
僕はその村を流れている、ゴツゴツとした大きな岩が沢山ある源流にほど近い川の岸辺に降りてみた。
川の水は信じられないほど透明で、イワナや鮎と思われる川魚がぴちぴちと跳ねながら、
なんの疑いもなく僕の足首の間を通って泳いでいった。
僕は突然子どもに還って思わずその魚たちを手づかみで捕まえようとして川の中程まで入っていった。
川の中程は急に深くなっていて流れが強く、足が取られて僕は一瞬のうちに激流に呑まれてしまった。
僕は服を着たまま、しかもデイパックを担いだままで、とても泳げなかった。
危うく溺れかかると、突然背後から僕の脇の下に草の蔓で編んだ縄が巻かれ、ぐいぐいと岸辺に引き上げられた。
飲んだ水を何とか吐きながら後ろを向くと、そこに河童がいた。
河童は僕の顔をのぞき込み、満足げな顔をして川に潜って行ってしまった。
お礼を言う暇もなかった。
今でもあの頃の事を時々思い出す。
その切なく身を焦がすような恋をしていた頃の事を。
僕が「かっぱ」と呼ばれ、そして本当の河童に出逢った頃のことを。
そのせいかどうか分からないけど
ありがとう。
追伸
二十年近く経った今
僕の頭は「リアルかっぱ」になっている。
ある意味オカルトだと思う。
すいません。まちがえてめんようしちゃった。
ありがとう。
そのせいかどうか分からないけど
今の僕の頭は「リアルかっぱ」になっている。
ある意味オカルトだと思う。
に直して下さい。スマソ。
うまく落ちなかった。
台無しだ。
>>638誉めたら怒られそうなので誉めません。
『村上春樹的新聞配達員』でお願いします。
しかし「TVピープル」に収録されてるゾンビはどうだろう。
軽快なテンポの中にあってぞくって来る感じがいいとおもうのだが。
ぜひ長編を完結させてください、お願いします。
子ども寝かせてから携帯でちまちま読むのが日課になっていたのに、尻切れで気になります。
拉致かんきんごっこと洗脳ごっこなのかい(@o@
口は悪いが、こちらでもぜんふようできるキャパはあると思う。
"彼"がくれば、いずれ来るなと言っても付いてくるだろうし...
でも、どちらの岩場のことを言っているのかな........
649 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/09(土) 08:24:56 ID:I8N70NGeO
きた・・・
メンヨウだ・・・
>>645 TVピープルって、もうほとんどオカルト集だよね。
かなり怖いのが多いから、その本の表紙見ても結構ぞっとする。
>>644 新聞配達員って、なにか特別理由があるのかな?
あまりにかけ離れすぎていてどういう風にオカルトに持っていけばいいのか悩むなあ。
もし何か思いついた訳があったら聞かせて欲しいんだけど。
>>646 その件に関しては、僕一人の判断ではどうしてみようもありません。
あの長編は僕一人の作品ではないし、僕一人では完成できませんから。
長編を書くのを邪魔した荒らしの人たちにどうしてそのとき止めろって言ってくれなかったんですか?
みんながちゃんと読みたい、続けて欲しいって言ってくれたら、頑張ろうと思っていたけど、
結局荒らしの方が多いみたいだったし、せっかく人参が続けてくれって言ったときも、
それに対して落ちたって構わないみたいなレスしかつかなった。
僕はすごくがっかりしたし、残念だった。
今さらそう言われても、もう書けないよ。
損なわれてしまったものって戻らないんだって、もっと早く気がついてそう言って欲しかったよ。
>>652 マスク氏が始めるよ!って言えば
いつでもおkです。
僕みたいなレベルで
よければって事ですが。
人参
>>653 人参て本当にポジティブなんだねw
僕は頭でっかちだから、そんなに割り切れてないけど、
共通のルールみたいなのを持った方がいい気がするよね。
まず、小説の行方について読み手も書き手もお互いに干渉しない。
とくに綿羊みたいにこの人はやだこの人は書くなとかそういう事は絶対言わないで欲しい。
あと、誰でも参加しやすいように名指しで書いて欲しいとか書くなとか言うのも本当に止めて欲しい。
もし話の流れに納得いかなくて、自分のこだわりがあったら、
別に村上春樹的文章でなくてもいいからその流れで続きを書き込んで欲しい。要望するんじゃなくて。
僕はプロの作家ではないので、読者をあまり大切にしません。
それに対して勝手にむかついて読んであげてるんだみたいな気持ちでちゃちゃ入れてくるバカは、
本当に容赦なくやり返すよ。
ここに来る人を僕は大人として扱います。
そこのところをよく理解できる人だけ参加してください。
参加とは、読み手も書き手も同じという意味です。
これがルールとして認識されれば、僕は参加したいと思います。
僕だってあの話がどうなるのか知りたいんだよねw
それとも長編はもう読みたくない、今のままオカルト短編がいいって意見もあればどうぞ。
みんなで話し合おうよ。
>>651ごめんなさい。そうですよね。
オーソドックスなオカルトではなく、誰もが実際に見た事のある新聞配達員を敢えてオカルトに持っていってみて欲しかったのです。
自分の中では、毎朝毎夕玄関まで顔も知らない人が来てるってオカルトだなぁと思ったのです。
無茶苦茶言ってすみませんでした。
>>654 いや、単に学習能力の無い馬鹿なだけです。
でも、楽しいからね。
>655
そうなんだw
僕も実は昔アルバイトで新聞配達を朝夕刊やっていたことがあって、
ちょっと身近すぎて結びつかなかった。
そんなに怖い人ばかりではないですよw
確かに奈良県の女の子殺害の犯人が新聞配達員だったときは本当にびっくりしたけど。
>>646です。
「あなたって、自分では何もできないのね」
「世の中には、想像力のある人間と、そうじゃない人間がいる。そして圧倒的に、そうじゃない人間の方が多いんだ」
「それにしたって」と彼女は言った。
「荒らされるのを黙って見ていなくてもよかったんじゃない?」
「仕方がないんだよ。僕がこのスレを見つけたときにはもう、短編が始まっていたんだ。遅すぎたんだよ、荒らしを止めるには」
彼女は黙って聞いていた。
「続きを読みたくなって当然だろう、こんなに素敵な話なのに」
もう九月だというのに、窓の外では蝉が鳴いていた。そういえば、蟻とキリギリスの童話は、もともとキリギリスではなく蝉だったというのは本当だろうか。僕はふとそんなことを思い出していた。
「つまりは」と彼女は言った。
「あなたはただ続きが読みたいのね?あまりに素敵な話だったから」
ただ続きが読みたい?僕は声に出さずに繰り返した。ただ続きが読みたい?それは表現として正しいのだろうか。
確かに読みたい。とても読みたい。魂が欲していると言っても差し支えないだろう。僕はこのスレを見つけてからというもの、ろくに寝ていないのだ。
「気になって仕方がないんだよ」気になる、そう、気になるのだ。
授乳中に子どもが寝てしまい、ふとこのスレを覗いてしまうくらいに。そして思い知らされるのだ。もう続きはないのだと。同じくらい素敵な短編をどんなに読んだって、それは長編の代わりにはならない。それは分かっているつもりだ。
「でももういいんだ、僕がこんなこと言うのはあまりにも図々しいからね。黙ってロムることにするよ」
正直なところ、僕は恐れていた。僕のせいで誰かが嫌な思いをするのは嫌だ。
「うまくいくといいわね、何もかも」彼女はもう、この話をお終いにしたがっているようだった。
「そろそろ晩ご飯にしない?」と彼女は言った。
僕は冷蔵庫の中身について考えを巡らせた。でも晩ご飯になりそうなものは何一つな思い出せなかった。
「今日は外で食べようか」
いつの間にか、夜になっていた。
最後を用意されているとのことでしたので、期待してしまいました。
短編もとても面白く読ませていただきました。
できることなら、両方が読めたらそれにこしたことはありません。
私は茶々を入れるなとレスした者です。しかし皆少なからず興奮していたし収まりがつかなかった。馬氏は呆れてさじを投げたし、アイマスク氏は一人で戦い(少なくともこのスレでの)人格が変わってしまっていたし、人参氏は責任を感じすぎていたし、めんよう氏は相変わらずだった。
あの雰囲気の中で続行は不可能だったし、一度クールダウンする必要があると感じました。
勿論私も続行希望の一人です。
>>658 君みたいな人が書いてくれれば、きっとうまくいくと思うんだ。
凄くたのしいよ。
もちろん
>>659や
>>660の人も協力してくれればね。
僕は正直続けたいんだ。 人参
662 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/09(土) 20:22:50 ID:I8N70NGeO
お前の悪いとこはな、自分側の人間のレスだと「面白いよ」「楽しいよ」とすぐ評価したがる。
自分が気に入らないと完全スルー。
それではルールなんて言ってる意味もないんだよ。
そろそろ気付け。
>>662 「自分が気に入らないと完全にスルー」したって言うけど、
いつ続きのレスをスルーした?
ナカタ氏の時?それとも他にもあった?
本当に思い出せないからその辺の僕の間違いについてちゃんと教えてくれないかな?
僕は不注意な人間で、間違う時もある。
でも意図的に続きを書いてくれた人をスルーした覚えは本当にない。
言いがかりなら怒るところだけど、本当かもしれない。
僕は誰のことを無視して傷つけたのかな?
スルーした前後のレス番教えて欲しいんだけど。
>>662 僕は馬鹿だからよくわからないけど、君は続けてほしいの?
それとも嫌なの?
教えて下さい。
665 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/09(土) 21:19:06 ID:I8N70NGeO
おまえが人を褒めると体感温度が2度下がる。
自分へのレスはなんでもスルー出来ない、余裕の無い餓鬼。
おまえは作品だけ書き込んだ方がいい。人間性が見えると虚しい気持ちになる。
>>665 それもずいぶんな話だよね。
書くなとか、作品だけ書けとか、褒めるなとか、スルーしろとかするなとか、
自分の言ってることがどれほど矛盾してるか分かってる?
僕だって人間なんだよ。
自己陶酔の恥知らずって、いきなり言われたら傷つくんだよ。
そんなことも分からず書き込んでるの?
一体どっちが餓鬼だよ。
それから、みんなに言いたいことがあります。
僕が人格変わって反撃したことについてですが、
作品の善し悪しと人間性は関係ないよね?
僕ははっきり言ってすごく性格悪いんだよ。
自覚してるよ。傲慢で嫌味ったらしくて口げんかでは絶対に負けない。
それを作品だけ読んですごくいい人みたいに勝手に誤解して、
僕が失礼な事言われて反撃したら、裏切られたみたいに言わないでほしいよ。
みんなは本当に我慢できるの?言いたい放題で矛盾だらけの荒らしの独り言をさ。
僕は我慢をしない。必ず戦って打ち負かしてやる。
それが嫌な人にまで読んで欲しいと思ってないし。
仲間を庇い、敵を攻撃してなにが悪いの?
僕は僕のことを評価して味方してくれる人には同じようにするよ。
めんようは訳分からないからストーカー扱いしてるけどさ。
みんなは私生活で友達と、宿敵ライバルと、言葉や態度を変えたりしないの?
それは普通のことだよね。そうじゃないのかな?
>>665 スルーばっかりしてるとかスルーできないガキとかさ、逆の事言ってるよ君
はっきりいって俺は馬鹿だけどよ、てめぇの方がばかだわな!
ああ、コラ!
てめぇはいつもそうだよな、マスク氏ばっかり攻撃してよ!
荒らしてんじゃねえぞ!むちゃくちゃなんだよ!てめぇはよ!
だまってりゃいい気になってんじゃねーぞ!コラ!
669 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/09(土) 23:06:16 ID:I8N70NGeO
とりまき乙。
・正当な批判→スルー
・荒し、叩き→スルー出来ない
スルーしろ、するなはそういう事
あんたが性格悪い事は今さら告白されなくても文面みれば誰でもわかる。
他人に「下手」と言われれば当然腹立つが「上手い」と言われるのはもっと腹立つ。
あんたに評価して欲しくて書いてるわけじゃない。あんたは師匠・講師にでもなったつもりかい?
悪いけどあんたそれほど春樹的じゃないよ。
あ!
え〜大変お見苦しいところお見せ致しまして、
誠に失礼致しました。
どん引きしちゃいましたね。
お詫び申し上げます。
お騒がせ致しまして大変申し訳ありませんでした。
被っていた羊男の衣裳を、ちょっと紛失しちゃったみたい。
>>667失礼な書き方ごめんなさい。あなたの人格が変わってしまった事を非難しているのではありません(あんなの誰だって、頭にきます。あなたがスルーしないと分かっててやるんです)。人格が変わってしまう程、正当性のないいちゃもんばっかり付ける人を私は非難するのです。
あなたが性悪な人間だろうと、口喧嘩では負けないけど、腕っ節はまるっきりwであろうと、男だろうと女だろうと、興味はないのです。(本当はちょっぴりあるけどねw)
672 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/09(土) 23:30:16 ID:ruYJhwe2O
こんなだから馬氏も去っちゃうのょ。
馬氏が自分のスレからこっちに場を移しちょこちょこ書き始めてマスクさんとコラボしはじめた頃、このスレにも何か可能性みたいなものが見えてきてちょっとドキドキしてた。
馬さん、まだ覗いてるならまた書いてください。
「ミンミン」てフレーズ大好きです。
673 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/09(土) 23:51:05 ID:ruYJhwe2O
あと、馬さんがコテ使う前の書き込みのレス番全部教えて下さい。
だいたいは分かるんだけど・・・
>>669 正当な批判てどれだよ。
ガキが「お馬さんきてくだたい!」って言ったときか?
僕はちゃんと理由を言ったよね?
読めばちゃんと理解できるようにスルーしないで反論したよ。
それから優越感丸出しだの、エピゴーネンだの、そんな批判でも何でもないよ。
だって、そんなのただの感想でしょう?
僕はここはエピゴーネンが集まって遊ぶ場所だと思ってるし、
僕は自分の文体で書いているだけで村上春樹の作品をもじってパロディ書いたことは一度もない。
ちゃんと創作しているんだよ。
褒めるなって、君を褒めてないのになんで人を評価することで君が怒るんだろう?
人参を褒めているのは率直な感想であり、めんようから人参のプライドを守るためでもある。
そういう他人同士のコミュニケーションまでとやかく言うなよ。
君は人が褒められてると自分がけなされたように感じるタイプの嫉妬深い人なのかな?
君は君でいいところあるんだから、作品書いていいんだよ。
それから、僕は村上春樹的じゃないって人をけなしたことは一度もない。
つじつまが合わないのは困るからって言ったことはあるけど。
僕は講師ではないし、「うまくなったね」っていう言い方も不適切だと思うよ。
それは認めるけど僕だって聖人君子じゃないんだ。
そんなに僕が嫌いなら、ここに来なけりゃいいじゃん。
たしかに僕は人を見下すような言い方をする傾向があります。
でも僕は書いてくれる人に対しては本当に好意を抱いてるし、
馬氏も人参氏もナカタ氏も、あのメルセデスを書いてくれた人のことも、
本当に仲間のように感じます。
そういう気持ちを表現することで、読んでいる人が嫌な気持ちになっていたら、
疎外感を味わっているのだとしたら、もう、そう言うことを言うのはやめます。
誰かに書いて欲しいっていうのは、誰かに書くなっていうメッセージにもなりうる。
それをめんようの時に理解したから、みんなにも止めてほしいって言ったんです。
それから、もっとみんな書いてよ。
僕だって誰かの作品を読みたいし、今日は作品が来てないかな?ってドキドキしながら、
ここへ来ているんだよ。
でもあれだよね。
みんな楽しみにしてることが分かっただけでも良かったよ。
きっと続けいいってことだと理解してるよ。僕は。
それと、ピースマークに似たエンブレムの車を書いたのは僕です。
人参
だから、高所に立って(本当にある部分理解していれば)安心して続ければいいじゃない。
馬男じゃ収拾できないんでしょ。
>678
誰に向かって、何を言いたいのかわかりません。
めんようだよ。
>680
なんだ、めんようか。短いから他の人かとw
で、誰から書くの??
僕の番は終わってる。
ご新規さんでも誰でもいいので続き書いてください。
僕はその後続けます。
明日の朝からでもよければ僕が書きます。
あいにく、今日は家族サービスで、出かけているから。
今迄の流れ確認する暇さえないのです。
684 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/10(日) 15:01:31 ID:ciZj2M25O
どうせマスクと人参だけ
だから無理だって言いたいのかな?
でも、問題ないと思う。
何故なら、馬氏が居なくなった後の名無しレスの殆どは、マスク氏と僕が書いたのだからね。
もちろん違う人が書いたのもあったかと思うから全部とは言わないよ。もちろん。
だからマスク氏さえモチベーション下がなければ、変わらないんだ。あの時と。
状況的には五分と五分だ。
で?何が言いたいのですか?
686 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/10(日) 15:45:13 ID:ciZj2M25O
人参かよ。
あんた下手なのにいつのまにか偉そうだね
日曜の昼下がりはものうい。
「もう少しだけ聞いてもいいかしら。」
彼に歓迎されないことはわかっていた。
たき火や馬糞飛ばしが好きな馬氏にはいい顔をされないことはもっと分かっていた。
「馬が人参をすきなことは道理でしょうけど、たしか自分で栽培してみたくなったのよね。
違ってればお門違いかもしれないけど。
マスク氏は種さえあれば人参氏が人参を作ろうと別に変わりはないと感じているのよね。」
「別人種のように語っている人達も、現実に人参だけではなく、キャベツだってジュースだって
食べたり食べさせたりしている訳でしょう。それなのにどうして100%違うという視点から離れなれないのかしらね。」
ああ、馬鹿で下手な奴だ。
だから何でしょう?
あちゃ。ずれてしまった。
>>686 おまえなあ、上手い下手の評価はするなよって自分で言っておいて、
よく人参に下手って言えるね。
なんかおまえめんようより遙かに支離滅裂なこと言ってるよ。
頭大丈夫?精神科行ってきたら?
686=540
馬氏じゃないから、これを言うのは控えようと思った。
君のことを実社会じゃモゴモゴしたヤツって馬氏が言った件について、
その理由を聞かせてくれって言ったよね?
僕は2ちゃん語知らないから「池沼」ってなんの事か分からないけど、
僕は経営者だから会社で使える人間かそうでないかはすぐに分かるよ。
君は協調性がない。嫉妬深くてすぐに他人を批判したがるくせに、
結果を求められるとすぐ隠れる。
対案も出さないで反対ばかりして会議を長引かせるタイプだよ。
もし君が社会人できちんとサラリー受け取ってるとしたら、
僕はその会社の社長さんに深く同情するね。
少なくとも僕は雇わない。
人の人間性を云々する前に、自分自身の人間性を振り返りなさい。
そして傷つけて来た人たちの苦しみを知りなさい。
このまま2ちゃんにしがみついて憂さを晴らすようなむなしい人生を送ってはいけないよ。
692 :
馬 ◆E1yyNEjdEc :2006/09/10(日) 20:39:56 ID:iCtM/SUVO
何か嫌な風向きだね。
名前がちょこちょこ出る程僕は執着しておりません。
>>677 さすがマスク氏、それが全部です。
荒らしは完全スルーに徹しないといつかスレ潰れるよ。頑張って。
>692
ありがとうございます。
分かりました。もうくだらない連中は相手にしません。
もう残りが300レスくらいしかない。
この中で完結できるように、皆さんも協力して下さい。
そしてあの日君の目を見てわしはピンときたんじゃこの男じゃと。
しかし、わしがいきなり君の目の前に現れいきなり羊男の話をしてみぃ。
君はどうする?」
と博士は言った。
「そうですね、おそらく競馬場によくいる、訳のわからない老人だと思って
適当な嘘をついてその場から離れますね。」
博士は大きく頷いた。
「そうじゃろう。大抵の人間はそうする。当然じゃ
誰も自分の身に降り掛かる災いを自分から進んで受ける者など居らん。」
そう言ったあと博士はドーナツを2つ食べた。
「君ももっと食べなさい。まだまだある。」
しょうがないので僕はドーナッツを半分食べコーヒーを飲んだ。
ドーナッツは相変わらずおいしかった。
「まあ、大体は分かりました。
とにかく僕がその羊ロボを作る手伝いをしなければならなかったんですね。」
と僕は言った。
「そうじゃ。ビジネス・パートナーじゃな。
卓越した羊ロボを目指してな、
組織の要求するC・Sつまりカスタマーズ・サティスファクションじゃ
組織を満足させ世界平和を実現させるためのな。」
と博士は言った。
「カスタマーズ・サティスファクションですか。
実に立派ですね。それで一体僕に何をしたんですか?」
「そうじゃな、一言で言うのは難しいのじゃ。
つまり羊ロボはあくまでロボットでありどんなに精巧なA・Iを搭載しようが
羊男とは根本的に違う。
つまり心じゃ。人は羊男との心の交流を通じてやさしさや想像力を奮める。
その心の部分を補う為にタフで羊男的な君の思念を羊ロボのA・Iに
プログラミングせねばならんかったのじゃ。
つまりそういったことじゃ。」
おそらくそのプログラミングの時のなんらかの作用で
僕の記憶が少しずつ失われていったのだろう。
しかし思念といったアナログにさえならない物をデジタルに変換する技術を
どうやって開発したのかを考えるとうまく理解できなかった。
696 :
マスク:2006/09/11(月) 12:00:53 ID:rYTLaflV0
博士は続けた。
「思念をデジタル化する方法をわしが思いついたのは、必要不可欠であったからでもあるのだか、
それが実現できたのは君のおかげでもある。
何しろ記憶の中にある無数の映像はc言語だけでは再現できないのじゃ。
精神世界をまず映像化するためにはかなりの長い期間に渡り被験者にトランス状態に入ってもらわねばならない。
体力も必要じゃが、精神の強さがもっとも重要なのじゃ。
想像力というものがある人間は頭脳の中で思念が常に映像化されている。
しかし、想像力の無い人間は殆ど映像化されない。
それは脳生理学的にもずいぶん前から定説だったが、君の映像化能力は素晴らしいものだったのだ。
そういう優れたサンプルがあったればこそ、この羊ロボに命を吹き込むことができたのじゃよ」
僕はさらに訳が分らなくなっていたが、黙って話を聞くことにした。
「想像力の欠如というものはきわめて大きな人間的資質を失うことでもある。
想像力の無い人間はきわめて悪に堕しやすい。
嘘をつくことに痛痒を感じないのは、嘘をつかれた相手の痛みが想像できないからであり、
嘘を平気でつくことができるようになれば、悪に手を染めるのもまた簡単なのじゃ。
想像力とは、非常に大切な人間的資質であり、それを持ち合わせる者はそれなりの責任を負うべきなのじゃ。
分るかね?」
697 :
マスク:2006/09/11(月) 12:16:11 ID:DZ32oz/g0
「つまり、僕を3年もの長きにわたって拘束し、トランス状態にして思念を映像化する作業に使っていたというんですか!?」
僕は激昂して立ち上がっていた。怒りで我を忘れそうになった。
たとえ僕に想像力があろうが、羊男が見えようが、そんな手前勝手な理論を振りかざして、
僕の貴重な人生の3年間という途方も無い時間を奪われていいわけが無かった。
「冗談じゃない!どうしてくれるんですか!なにが責任だ。僕に何の責任があるんだ。
そんなに必要なら、博士が自分で被験者になればいいじゃないですか!
あの日、僕を拘束し、記憶を奪い、何の説明もなくもとの場所に放り出したんですか?!
そんな非人間的な人道に反することをしておいて、よく平然と平和を語れますね!!」
博士は僕が怒り出しても平然としていた。むしろほっとしたような顔を浮かべた。
「いや、君が怒るのは無理の無いことじゃ。
しかし、そう性急に話を結論付けてはいかん、ちゃんとわけもあるんじゃ。
まあ、腰掛けなさい」
僕は我に帰って腰掛けた。なんだかむしゃくしゃしていたのでドーナツを頬張った。
するとそこへ太った女の子がやってきて、コーヒーのおかわりをもって着てきてくれた。
どうやらまだ話は終わりではないようだったので、僕は呼吸を整えて、博士に向かった。
「それで?一体どんなわけがあったんですか?」
698 :
人参:2006/09/11(月) 19:11:28 ID:NekySKht0
「唯物論者達がもし君を狙っていた。としたらどうじゃ?
何もわしらだけがタフな羊男的思念を持つ人間を調べ上げたと
思っているのか?それと、3年間の記憶と、3年前から先の君の人生の
喪失とを選択するならばと言うことなのじゃ。」
「にわかには信じられませんが。
もし、もしですよ、博士がいう事が本当ならそういう事なんだと思えますね。」
僕は今ここで博士と話合っている事自体が現実に
起こっていることなのか分からなくなっていた。
「それに君には苦痛を与えただけでは無いのじゃ。
先程も言った様に君はビジネス・パートナーじゃ。
C・Sを追求するにはE・Sは不可欠なのじゃ。そしてS・Sという結果になり
全てうまく廻っていく。分かるじゃろう。
だから君にはそれ相応の報酬が支払われているはずじゃ。
それに・・・まぁ後で話す。」
「もっともな理論ですね。
もしここがアメリカだったら、マリベル・ボルトリッジ賞が貰えますね。
実に立派で涙が出ますよ。でも僕はここであなたと経営革新プログラムについて
議論するつもりは無いんです。」と僕は言った。
博士は悲しそうな表情を浮かべた。
699 :
人参:2006/09/11(月) 19:13:22 ID:NekySKht0
まるで世界中の悲しみを全て背負った様な表情だった。
しかし僕はその表情をうまく読み取ることができなかった。
僕の理性がうまく働いていないせいだった。
暫く博士は沈黙していた。
「失礼だが君は先日モンゴルへ行ったと言ったが、よくビザも取らずに行けたもんじゃな?
それによくそんな金があったものじゃ。
競馬場にいる馬主でも無い普通の男にそれ程の余裕があるとは思えんがな。」
僕はハッとした。それは事実だった。
僕はフリーのライターをしていて当面の生活費には苦労こそしていなかったが
そんなに簡単に海外に行ける立場では無かった筈だ。
今迄仕事上何度か海外に行った事はあるがそういった仕事は全部出版社の仕切りだったし
パスポートを自分で取りに行ったり更新したりはしたがビザの申請などは
全部出版社側の人間にパスポートを渡し任せていたせいで
ビザ取得の申請が必要だという事が頭からすっぽり抜けていたのだ。
僕は時々そういった事がある。夢中になりすぎると当たり前のことが分からなくなってしまうのだ。
空港に行ってカウンターで手配して簡単に乗れる国内線の飛行機とは訳が違うのだ。
ビザの申請が一日で、いやほんの一時間足らずの間に出来る筈が無いのだ。
それには然るべき定められた時間と発生する手数料が必要なのだ。
「では何故僕は行けたのでしょうか?」
700 :
人参:2006/09/11(月) 19:13:59 ID:NekySKht0
「分かって来たようじゃの。それはつまり組織の力じゃ。不可能を可能にできる。
何の為に組織があるのか、
何の為の羊ロボか、
誰の為の世界平和なのか。ということなのじゃ。
いまや君は国際的に羊男的思念を持つ男として認められているのじゃ。
まあ裏の世界での話だ。表の世界では相変わらずの貧乏なフリーライターじゃがの。
ふぉっふぉっふぉっ。」
博士のいう事は一理あった。
しかし3年間が失われなかったら僕はモンゴルなんかに行く必要が有ったのだろうか?
堂堂巡りだ。
701 :
麺:2006/09/11(月) 23:20:23 ID:sp/hpFCo0
「どうして皆が皆、等身大の自分ちの食卓の材料で満足しないのかしら。」
つとめて平成にことを運ぼうとしたが、自分ちの食卓こそ...という野望の果てしなさに恥知らずのシリ尾すら見えない程だった。
だれがも自分のニョウボの腕相応だとは思わなかった。
それを叶えることが男の夢だなんて、いつから男性はつまらない部類の少女漫画のファンになっていたのだろう。
「一番のお気に入りの一つに人参の煮付けがあるの。ただそれだけよ。
調味料は出汁と時間だけだったわ。」
そして女性達は怒っていることを知らせずにはいられなかった。
702 :
麺:2006/09/11(月) 23:28:51 ID:sp/hpFCo0
「そして、知ってるの ?
組織組織と言っているけど....。
あたしは多分知っていると思う。
どこかの、どこでもの西太后が発端のボスなのよ。
男の人なら誰でも身に覚えがあるんじゃない ?
博士すら、馬氏ですらそうだった。」
すでにとっくに時代遅れだったはずだった。
そうさ。時代遅れの考えだったのさ。
703 :
馬 ◆E1yyNEjdEc :2006/09/12(火) 00:10:59 ID:CLGw6HMAO
なあ、麺よ。
お前はいつまで俺に絡んでくるんだ?
704 :
メス<キラン:2006/09/12(火) 01:32:59 ID:tgvlMAc50
人違いならご免よ。とりあえずストーリーだから。
"彼"のしていることが雌ロボを作ることに他ならないと感じたから。
羊ロボを作られることがどんなことか知っているのに・・
「遅ければ遅い程いい...」
そんなことを彼は言っていた。
彼女はとりあえず「no!」と言った。
確かに言った通り具体的にはなってきた。
だけど、あの言葉は皆が知らずにつぶやいている言葉だと今なら分かる。
完成した時、誰もが幸せにはなれない。
その時では遅すぎる。
人違いでなければ、馬しも(あるいはその....)また自分の好みのロボをつくるつもりだろう。
それが理由さ。
ノスタルジーかどうかは分からない。
だけど、事実に賭ける。
あとは・・・・ほんとの神のみぞ知る・・・
706 :
マスク:2006/09/12(火) 10:09:06 ID:V09cnbOI0
「よくわかりませんね。僕があなた方から報酬を受け取り、
記憶をなくしたというところまでは理解しましたが、僕がモンゴルへ行かなくてはならない理由がない。
モンゴルへ行ったのは、メンタルクリニックでモンゴル人の店員に牛蒡を渡されたせいで記憶を無くしたと言われたからです。
連れ去られたとなると意識が曖昧なのはあのエレベーターの中あるいは降りたときに違う空間に行った時です。
そうなるとモンゴル人店員に会ったのは3年前の出来事で、あなた達組織にはなんの関わり合いもない事ではないですか?
なのにあなたは組織の力でモンゴルへ行ったと言う。おかしいではないですか?
なぜ組織が僕をモンゴルへ行かせる必要があったのですか?」
博士は僕が混乱しているのをむしろ楽しんでいるような様子だった。
「フォフォフォ。だんだん話が核心に近づいて来たわい。
じゃが、もう遅い時間じゃ。夕食をもまだ食べておらんわい。
そろそろ休むことにしようかの」
そういうと博士はよっこらしょと立ち上がり、そのまま部屋を出て行行こうとした。
「ちょっと待って下さい!一体この僕はどうすればいいんですか?」
博士はドアの前で振り返り、「208号室に部屋を用意してある。そこで休みなさい」と言った。
「でも家で彼女が心配しているかもしれない。一旦家に帰して下さい」
すると博士は初めて思い出したようにこう言った。
「ああ、彼女なら心配はいらん。彼女は組織が雇っているコールガールなのじゃ。
つまり娼婦じゃよ。まだ言っておらなんだか?彼女は競馬場で君と出逢った振りをして常に君を観察しておったのだ。
組織の指示で君に真夜中に人参を買いに行かせた。そんなことにも気がついていなかったのかね?」
僕は文字通り言葉を失って立ちつくした。
そうだったのか。たしかにそう考えればすべてつじつまが合う。
「そうだったのか。もしやとは思っていましたが」
「また明日にしよう。そうしてまた話の続きをしようじゃないか。
まだ時間はある。地球の終末の時間までにはな」
博士は今度は振り返らず部屋を出て行った。
僕はしばらく頭が真っ白で動けなかった。僕は見覚えのない地下にある訳の分からない組織の建物の中で、
本当にひとりぼっちだった。僕だけが何も知らないまま、世界の中心にいるのだ。
「わからない。彼女ってどの彼女よ!!」
スパゲッティーを出した後、彼も訳が分からないことを言っていた.....
まさか・・も博士一味の言うことを信じるんじゃないでしょうね。
誰も彼もぴんくのジンギスカンを食いたがった。牛蒡でもピンク色であれば何でも良かった。
博士を話し合いのテーブルにはまだ出していない。
たぶん無理かもしれない。
なぜなら、世界の中心にいるのは博士自身だと言っていたから。
「わからないの ? もううんざりなのよ。」
大きい小さいの差はあれども、だれもが世界の中心だったし、どこにも中心なぞ無かった。
それこそ社会の中心から話し合いの出来ない相手だとそっぽをむかれるのがオチだった。
それとは別に、何だかおかしな噂が立っていることは知っていた。
ほんとうの相手が見つからなければ、時期がくれば誰でもが折り合いのつく相手を捜していた。
それがコール何とかだというのなら、男性はなんなのだろう。
だいたい、相手のことなんか知らないし、海溝は深かった。
でも、理解し合っている人達も在るようにみえた。
そういうのは正直うらやましかった。いいなと思った。
「こんなに大勢の人間減がいるのにひとりぼっちに感じるのは、虚構に陥った時だけじゃないかしら。」
たしかに一度だけクエッションマークながら見失っていたときがこちらにもあったかもしれない...。
710 :
マスク:2006/09/12(火) 14:08:29 ID:V09cnbOI0
>めんよう、うるさい。
なんか、「めんよう」増えてない?
712 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/12(火) 16:39:46 ID:8ezKoagVO
麺だけじゃないらしいな
異論があるのは
713 :
人参:2006/09/12(火) 16:53:40 ID:MlnwXqkL0
この208号室に僕が寝るべき部屋があると博士は言っていた。
僕は部屋の中を見回すと入り口のドアとは違う簡素なドアがあり中に入り電気のスイッチを入れた。
そこにはホテルのシングルルーム位の広さの部屋があった。
入り口そばにはユニットバスがありガラステーブルと籐でできた椅子が二脚置いてある。
ぱりっと糊のきいた白いシーツできっちりメイキングしてあるセミダブルベッドがあり
小さな冷蔵庫、両側に引き出しの付いている物書き机があり引き出しの中には何も
入っていなかったが聖書が入っていたらまるっきりホテルだ。
「やれやれ。」と僕は呟いた。
僕はユニットバスに入って熱いシャワーを浴び、髭を剃った。
シャワーを終えるとタオルを腰に巻きベッドの端に座りぼんやりと最近起きたことを考えていた。
ここ数日間だと思っていたのが3年間も経っていたり、
きよう一日がまるで一ヵ月以上経っているような気がした。
実際に流れている時間と僕が感じている時間の流れが一致しないのだ。
そんな事を考えていると突然空腹感が僕を襲ってきた。
僕は考える事を諦め冷蔵庫を開けた。
そこにはビールが半ダースとローストビーフのサンドウィッチが置いてあった。
サンドウィッチには付け合わせにピクルスとクレソンが添えられていた。
僕はビールを飲みそして、サンドウィッチを食べた。悪くは無いものだった。
ビールを飲み終えて僕はベッドに潜りこんだ。
不思議なことにハンマーを持った大猿は現れなかった。
おそらく地下室は嫌いなのかもしれない。
714 :
馬 ◆ZH22/DB7pE :2006/09/12(火) 16:55:49 ID:CLGw6HMAO
715 :
馬 ◆E1yyNEjdEc :2006/09/12(火) 16:57:34 ID:CLGw6HMAO
鳥
違った
716 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/12(火) 17:03:02 ID:8ezKoagVO
「やれやれ」に頼るしかないようだな。
717 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/12(火) 17:58:51 ID:8ezKoagVO
「綿羊は女よ」
彼女はディスプレイを睨んだままぬるくなったコーヒーをひと口啜った。
「マスク氏は学生、人参は調理師ね」
彼女はプロファイリングの本を買ったばかりなのだ。しばらくはこんな調子が続くのだろうと思うと多少ウンザリした。
「わかるんだね?」
たいして興味も無かったが彼女の機嫌を損ねないように関心があるふりをして訊いた。
「間違いないわ」彼女は本のページを捲りながらこちらも見ずに答えた。
「馬氏はどうだい?」
僕はためしに訊いてみた。
「それがよくわからないのよ」
「どうして?」
「人格が多過ぎるのよ、まるで『アイデンティティー』のプルイット・テイラー・ヴィンスみたいによ」
「そんなに悪い人には思えないけど」僕は笑った。
「あなたには一生わからないわ」
「やれやれ」
僕は諦めて彼女のために新しいコーヒーを煎れた。
冷たい雨は朝から粘り強く降り続けていた。向いのベランダの物干しでは夏物のTシャツがまるで群れからはぐれたオットセイのように戸惑いながら風に揺れていた。
718 :
マスク:2006/09/12(火) 18:05:32 ID:V09cnbOI0
>717
www笑えるw
719 :
マスク:2006/09/12(火) 18:10:11 ID:V09cnbOI0
人参、つっこみ入れて申し訳ないんだが、博士と僕が話していた部屋は209号室。
208は別の部屋って意味だったんだけど。まあ、気にしないことにしよう。
720 :
人参:2006/09/12(火) 19:04:54 ID:MlnwXqkL0
あ!ほんとだ..........
721 :
マスク:2006/09/12(火) 19:17:54 ID:V09cnbOI0
僕はベットに横になって眠りと覚醒の狭間を行きつ戻りつしていた。
眠ろうとしてもなかなか寝付けなかった。色々なことがありすぎて、疲労で身体が睡眠を要求しているのに、
脳がそれを頑なに拒否していた。
突然、なんの前触れもなくドアが開いて、彼女が入ってきた。
僕は一瞬ここが自分のマンションの部屋のような気がして違和感を覚えずに彼女が入ってくるのを見ていたが、
ここが組織の地下室であったことを思い出し、一呼吸置いてからやっとびっくりして飛び上がった。
「なんで君がここにいるんだよ?!」と僕がかなり大きな声を出すと、彼女が恐い顔で「シー!!!」と制した。
「大きな声出さないでよ。見つかるじゃない!」彼女はひそひそ声で怒鳴った。
ひそひそ声でも怒鳴ることが出来るんだというこを僕は初めて知った。
「ごめん。びっくりしたものだから。でも、どうしたの?どうやって入ったんだよ?」
「あなた、博士から私の正体を聞いてないの?私は組織に雇われた人間なのよ。
今はあなた専門のコールガールだけど。元々は高級官僚かトップクラスの起業家しか相手にしない娼婦なの」
「そうなんだ。本当だったんだ」僕は少なからず傷ついて言った。
「もしかして、焼いてるの?大丈夫よ。今はあなただけだから」彼女が慰めを言った。
「でも、何しに来たの?こんなとにに来ていいの?」
722 :
マスク:2006/09/12(火) 19:19:39 ID:V09cnbOI0
「私は、あなたを助けに来たのよ。スイミングに行くっていって出てから真っ直ぐここに来ていたの。
いろんな報告とかでいつもここに出勤しているのよ私。
そして、偶然あなたに関する報告書のコピーを手に入れちゃったの。
そうしたら、あなたは組織にこれから死ぬまで拘束されて、植物状態にされちゃうってことがわかったの。
組織は一旦あなたを契約通りに、3年後の元の場所に帰したんだけど、その後あなたを何らかの形で利用しようと企んでいたの。
そしてモンゴルから帰ったあなたに私は脳に信号を送る装置を寝ている間に着けて、
組織からの信号を直接あなたの夢に送り込んだのよ。
私はただの契約社員みたいな立場だから、なんの夢か知らされていなかったの。
だけど、あなたがここに来たことがあの大きなノックの音で分かって、
---だって、ノックなんてここでする人はいないから、それで調べてみたら、
あなたに危険が迫っているってわかったの。もう時間がないわ。私を信じて!一緒に逃げましょう」
「ちょっと待ってよ」
彼女に向かって言ってみた。一応。
「急にそんなことを言われても困るよ、僕は」
「急いでいるって言ったでしょ。選択肢は二つ、私と一緒に行くか、いかないか。それだけよ」
僕が、僕自身だけのために睡眠をとることは許されていないようだった。
それなら答えは決まっている。
「やれやれ、またすり替わってしまうかもしれないのう・・・」
725 :
め:2006/09/13(水) 03:49:26 ID:Ru7nOG480
「だけど、今度は絶対に間違えることは許されないのよ。」
彼の体力も倫理も限界に近づいていた。
「勘がいいのかわるいのか、時々分からなくなってしまうの。
届いているかとは思うんだけど...。
0.1秒のタイムラグがあるのよ。わたしの声ではないの。
誰かがわたしの思念をなぞっている。
カンペキに近く.....。」
彼女は時々声色を失った。かろうじて取り留めたもののいささか不便だった。
「組織の人には自分の考えというものが無いのよ。あなたも知っているとは思うけど...。」
声音は違う時はあっても、この思考パターンは失ってはいないと何度も確認はした。
彼も又、手助けはいまやひとりだけだと信ずるべきだった。
726 :
人参:2006/09/13(水) 08:13:10 ID:PQTjYvh80
僕は今余りにも疲れているのだ。
それと冷蔵庫のビールを立て続けに三本も飲んだせいで体が重くとてもだるかった。
素早い身のこなしなど出来るはずが無かった。
「ねぇ早く逃げるのよここから。」と言って彼女は力一杯僕の腕を掴んで引っ張った。
おかげで僕はバランスを崩して右足の小指をベッドの脚にぶつけてしまった。
あやうく大きな声を上げそうになったがひそひそ声で怒鳴られるのがいやだったので我慢する事にした。
どうやら僕にはひそひそ声で怒鳴られるのは普通に怒鳴られるより効果があるみたいだ。
「ところであなたはどうしてあの部屋で寝ていたの?
資料には今夜は『208号室』に確保する。って書いてあったから
『208号室』のカギを持ってきたのよ。でも部屋を捜してもあなたがいないから驚いたわよ。
どうせまたあなたが下らないこと言って別の部屋に連れていかれたのかと思ったわ。
でも念の為『209号室』の仮眠室を覗いたのよ、そうしたらあなたが寝てるじゃない。
ここ博士の仮眠室よ。博士ってお風呂に入らないのよ。博士の臭いしなかった?」
僕はうまく寝られなかったのはそのせいかもしれないと本気で思った。
もしかすると大猿も博士の臭いが本当に苦手なのかもしれない。
「でも誰に『209号室』に寝るように言われたの?」
僕は彼女の言っている意味を理解するのに少し時間が掛かった。
「博士に『208号室』って言われたんだ。でもここって『208号室』じゃ無かったの?」と僕は言った。
727 :
人参:2006/09/13(水) 08:14:13 ID:PQTjYvh80
「あなたねえ、ここは『209号室』なの。入り口の大きなプレートに書いてあったでしょう?」
たしかに博士は『208号室』に休む様に僕に言ったのを憶えていた。
でも博士はそれを言った後すぐこの部屋を出ていって一人になってしまった所為で
この『209号室』が『208号室』だと思い込んでしまったんだ。
この部屋に「仮眠室」なんかあるから悪いんだと僕は思った。
「でもよかったわ。『208号室』で寝ていたら今頃どうなっていたか分からなかったわ。
あの部屋には色んな仕掛けがあるし、あなたは無事に帰れなかったかもしれないの。
目的の為には組織はなんでもするのよ。人間なんていとも簡単に殺しちゃうの。」
と彼女は言った。
僕は彼女の後をついてこの建物から逃げ出すことに決めた。
博士の笑い声がいまいち胡散臭かったし、
同じ騙されるにしても魅力的な彼女に騙されたほうがましだ。
それになによりも、僕は彼女が大好きだった。こんなことで―こんなこと、と言い切るにはいささか複雑な環境ではあるけれども―彼女を失いたくなかった。
729 :
マスク:2006/09/13(水) 10:08:17 ID:xYwdOKtN0
「逃げるのは賛成だけど、君は大丈夫なの?
僕を助けることで、君は組織に疑われ、敵に回ることになる。
仕事で僕に付き合ってくれていただけなんだろう?僕を助ける理由がないじゃないか?」
僕がそう言った事で彼女は一瞬悲しそうな表情をした。僕は自分がとんでもなくひどいことを言ったことに気がついた。
そして彼女が作り笑顔でこう言った。
「バカね。あなたが好きだからに決まってるじゃない。別にお金さえもらえば組織にはなんの未練もないの。
あなたは世界中の裏組織から注目を浴びるような頭脳を持っているのに、そんなこともわからないの?」
僕は彼女の言葉を聞いて胸がはち切れそうなほど嬉しく感じた。
そうだ、僕らはチームなんだ。僕はひとりぼっちなんかじゃなかったのだ。
「ありがとう。恩にきるよ」僕は照れ隠しにそう言った。
彼女は掴んでいた僕の腕を放して手のひらを握った。
僕らが手を握り合ったのは出逢ってから初めての事だった。
「さあ、従業員の専用出入り口があるの。そこはパスワードと指紋照合のセキュリティーしかないから、
私が組織を裏切ったことがばれていなければなんとかくぐり抜けられると思う。
とにかく静かに行動して。彼らが私の存在に気がつく前に逃げなくては」
「わかった。急ごう」
730 :
マスク:2006/09/13(水) 10:08:57 ID:xYwdOKtN0
僕と彼女は手を繋いだまま静かに209号室を抜け出した。
来たときは明るい廊下だったが今は非常灯の青い光だけが等間隔にこぼれているだけだった。
僕が来た方向と反対側に彼女は進んだ。従業員用の出入り口は向こう側にあるらしかった。
それにしても長い廊下だった。本当にここが東京のど真ん中にあるなんてとても信じられなかった。
何度か左右に曲がったが、彼女はまったく迷わずに確固たる信念をもって進んだ。
しばらくしてダストボックスのような大きさのステンレスの扉の前に止まった。
「ここよ」と彼女は声に出さずに言った。
「ここ?こんなとこ人が入れるの?」
「これはカムフラージュされたセキュリティーシステムがはいってるダストシュート型の照合機よ。
そこで本人確認がされると通路が壁に現れるの。見てて」
彼女がそう言ってダストシュートを開けると中にキーボードとタッチパネルの液晶画面が出てきた。
彼女はキーボードでかなり長いパスワードを打ち込んだ。
その後両手を液晶画面につけるとピーと照合されたことを告げる電子音が鳴り響き、
そのすぐわきのただの壁が大きく動き出して開いた。
「やったわ。---ここから出ると半蔵門線に繋がってるの。少し歩くけど、覚悟して」
僕らはその先にある悪魔に魅入られた人の宿命のように暗い通路を進んだ。
731 :
マスク:2006/09/13(水) 11:50:09 ID:xYwdOKtN0
しまった。よく読んでみたら、”僕”はタオルを腰に巻いただけで服着てなかった。
見逃して下さい。
732 :
人参:2006/09/13(水) 13:14:22 ID:hsCaMuAsO
フォローしときます。次は19:00頃の予定です。
733 :
マスク:2006/09/13(水) 14:49:30 ID:xYwdOKtN0
ありがとね。
それにしても、19時にカキコできる調理師ってきっと君くらいだよねw
734 :
人参:2006/09/13(水) 15:25:19 ID:hsCaMuAsO
まあね。
グランドシェフ専属の皿洗いだからね。
まだお客さんが食べ終わらないんだ。
ちょうど暇なんだ。
735 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/13(水) 15:56:56 ID:/R1DvcO3O
そんなに焦らなくても読者はにげないよW
安心してゆっくりいい物を書いて。
「あなたは世界の平和なんてちっとも考えていないのよ。」
ミサイルが落ちてこないことだけが平和ではなかった
737 :
人参:2006/09/13(水) 19:07:45 ID:PQTjYvh80
「ここから先のセキュリティーはあの建物の中と違って緩いから
少し位は大きな音を出しても平気よ。」と彼女は言った。
僕は建物の中と歩いている時にテニスシューズが出す「キュッ、キュッ」という音が気になって
靴を脱いで裸足のままここまで歩いてきたので取り敢えずテニスシューズを履く事にした。
僕は部屋を出るとき慌てて服だけは着ておいたが靴は手に持ってここまで歩いて来たのだ。
たぶんテニスシューズを履いて歩く人間などあの建物の中にはいない筈なので
僕の靴音で気付かれてしまうからだ。それにこの先結構歩かなければいけないのだから
靴くらい履かないとそのうち足が痛くなって歩けなくなってしまうだろう。
「ねえ君はまるで羅針盤のようだね。」と僕は言ってみた。
「羅針盤?羅針盤って船の?その羅針盤?」と彼女は驚いた様に聞き返した。
「そう羅針盤さ。僕がモンゴルで見た夢で君が早く日本に帰る様に行くべきところを諭したり、
今日みたいにこんな所に迷い込んでどうすればいいのか分からなくなっている時に
突然現れてこっちへ行くのよって手を引っ張ってくれる。」
「そう?」
「そうさ、嵐の夜、海上の大航海で行き先を決めるんだ。面舵いっぱい、取り舵いっぱい。ってな感じでね。
君のおかげだ。とても感謝してるんだ。」僕は出来るだけ真剣な顔で彼女に言った。
「そうね。そうなれるといいわね…」と彼女は聞き取れない位小さな声で言った。
僕にはうまく聞こえなかった。その後に見せた悲哀に充ちた笑顔と同じ位の声だった。
「ねえ早く行きましょう。そうしないと地下鉄に乗るまでに
あなたが居ないことに気付かれてここから逃げ出せなくなるわ。」
「そうだね早く行かないといけないね。」と僕は言った。
通路は心細い灯りに照らし出されたまま緩やかなカーブの先で
両側の壁に呑み込まれているように見えた。
そして暫らく僕達は無口になって足早に歩いていった。
お互いの手は強く握りあったままだ。
738 :
マスク:2006/09/13(水) 21:33:52 ID:xYwdOKtN0
かなりの距離を歩くと非常出入口と書かれたスチールのドアが見えてきて、
彼女はそのドアを開けた。蛍光灯の懐かしい明かりと人のざわめきがドアの隙間からこぼれ、
入っていくとそこは半蔵門線の表参道駅のホームだった。
僕らが入ってきたドアの裏側には「関係者以外立ち入り禁止」と書かれていた。
こんなところに繋がっていたとは思いも寄らなかった。
僕があの芝生の駐車場を見つけた付近がたぶん白金あたりだったから、かなりの広さで地下に組織の施設が広がっている事になる。
「ここまで来れば、しばらくは隠れられると思うわ。地下鉄に乗る前にとりあえず地上に出ましょう。ビールが飲みたいわ」
「賛成だね。いささか疲れた」
僕らは改札で精算して外に出た。街角の電光時計を見るとまだ22時を回ったばかりだった。
街はサラリーマンや学生やその他様々な種類の人たちでごった返していた。
目についたバーに入って、二人でモルツを頼みピクルスとフライドポテトを囓った。
僕は一息ついてから、彼女に真実を聞くことにした。
「話したくないかもしれないけど、僕らはチームだ。お互いを信頼する必要があると思う。
だから、今までの経緯について、君が知ってる範囲のすべての情報を教えてくれないかな?」
彼女は僕の顔をのぞき込んでから少し間を空けて、天井を見た。
いささか暗めの照明に照らされた彼女の横顔は女神のような崇高さが漂っていた。
「そうね。まあ、裏切っちゃったんだし、隠してもしょうがないわね。
でも信じて欲しいのは、私はほとんど何にも知らされていなかったてこと。
組織は私をプロの娼婦だから、恋なんてしないと思って、あるいはそこを見込んで私に仕事を持ちかけてきたの。
組織は私に、あなたと暮らして指示通りの行動さえ取ってくれたら、1億円前金で支払うっていう条件を出したの」
739 :
マスク:2006/09/13(水) 21:34:31 ID:xYwdOKtN0
僕はびっくりして言った。「1億?現金で?」
「そう、しかも前金よ。すべてが終了したらもう2億くれるって言ったわ。だから私、お安い御用よって引き受けたの」
「君はぜんぜん間違ってないよ。僕だって引き受ける」
「そしてあなたの家に連れて行かれて、朝あなたが起きたら競馬場で会ったと言ったの。
その後あなたは何も疑うことなく私を受け入れ、一緒に暮らし始めたわけ。
そして何度か組織から指示を受けて、ある日あなたに真夜中の2時10分ちょうどに人参を買いに行かせろって言われてそうしたの。
その後人参以外の物を買ってくるはずだから、もう一度すぐに買いに行くようにさせろっていう指示だった。
たぶんあなたに知られることなくエレベーターに続けて2度乗り降りさせる必要があったらしいわ。
私は言われたとおりにしたけど、あなたはその後戻ってこなかった。
私は組織にまだ仕事は終わっていないと言われ、定期的に組織の施設内に出勤しながら注意深く、あなたがどうなったのか調べたの。
そうしたら、あなたは組織のどこかで眠らされていることが分かった。
私はあなたがどうなるのか心配で受付の女の子に聞いたの。彼女と仲良くなったのよ。
そしたら、あなたは世界にとってとても重要な人物で、思念を映像化出来るただ一人の生きたサンプルなんだって知ったの。
その辺は博士に聞いたことかもしれないけど。
そして3年後、羊ロボと寝るふりをしているように指示されてそこへあなたが帰ってきた。
そのあと、私はメンタルクリニックをあなたに紹介するように言われ、あなたは疑うことなくそこへ通っていたけど、
それは組織の息がかかっているところで、そこであなたが何をされているかは分からなかった。
そしてあなたはモンゴルへ行くことになったの。私はパンフレットをマンションに置いて部屋を出るよう指示された。
でもあなたがモンゴルで会った人物のことは知らされていなかった。
私はだんだんあなたのことが心配になっていたの。3年会わなかった期間私はもう誰とも寝ることが出来なくなっていた。
あなた以外の人に抱かれたいとは思わなかったの。それに気がついて、初めて自分の気持ちがわかったわ。
でも組織は裏切りを許さないと思う。たぶん見つけられたら、殺されるわ。ルイって人が殺されたように」
740 :
マスク:2006/09/13(水) 21:35:13 ID:xYwdOKtN0
「ルイは組織に殺されたのか?」
「たぶんね。それ以外に考えられない。どうしてかは分からないけど」
「じゃあ、博士が言った羊男がいないと世界が戦争で破壊されるって話は嘘かな」
「当たり前じゃない。羊男って羊ロボのモデルでしょ?あんなの全部口から出まかせよ。
だって、羊男が沢山いた時代にだって、戦争は起きていたわ。羊男に戦争が止められるわけ無いじゃない」
「いわれてみればその通りだな」
「私、あなたの報告書をコピーしようとしたけど、セキュリティーの関係で出来なかった。
でも読んだところによると、あなたが思念を映像化出来るってのは本当みたい。
つまり、あなたは人間の心をデジタルデータに互換する事が出来るってこと。
もしそれが本当ならどういう事になると思う?」
「考えるのも恐ろしいけどね」僕は背筋が凍るほど寒くなっていた。
「そうよ。アインシュタインやレオナルド・ダヴィンチみたいな天才の頭脳でも、
すべて映像化してコンピュータにプログラミング出来るってこと。
軍事機密や産業機密を持った様々な天才達の頭の中をあなたを通して見ることが出来る訳よ。
そうすれば、世界の情報を事実上すべて握ったことになるし、それが出来れば世界を手に入れたと同じ価値があるのよ。
「僕はつまり互換ソフトか・・・」
「まあ、言ってしまえばね。それをさせるためにはあなたを永久に生きたまま眠らせる事が必要なの。
つまり、植物人間にされてしまうということなのよ」
「それを知って、君は残りの2億円より、僕を選んでくれたの?命が危ないかもしれないのに?」
「もちろん、愛はお金じゃ買えないもの」と彼女が笑った。
741 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/14(木) 00:51:45 ID:AeiAoR4pO
『ギャロップ』は平日の雨降りとあって客はまばらだった。
先週までの厳しい陽射しが嘘のように冷たい雨が四日も降り続いていた。
人々は皆、夏物のTシャツを箪笥の奥にしまっていいものか迷っていた。
「やあ、久しぶりだね」マスターはワイングラスをナプキンで磨きながら言った。店が暇な時は決まってそうしていた。
ワイングラスを全て磨いてしまうとマルボロ・ライトの煙をゆっくりと吐きながら窓の外をぼんやりと眺めるのだ。
「予約席でなければ座っていいかな?」僕はカウンターの椅子を引きながら店内を見渡して言った。
「相変わらず皮肉が上手いね」
「シャイなんだ」マスターは片方の眉毛を上げながら静かに笑い僕の前にジャック・ダニエルのロックを置いた。
「学生のうちからそんなだとまともな大人になれないよ」
「まともな大人を5人挙げてくれたら続きを聞くよ」
「あんたにはかなわないよ」マスターが苦笑いするかわりに片をすくめた。
「インテリなんだ。口喧嘩の関東チャンピオンでもあるしね」
僕はグラスを上げ乾杯の仕草をした。
僕が『ギャロップ』に初めて来たのは3年前の夏だった。
742 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/14(木) 00:55:08 ID:AeiAoR4pO
僕ら(僕と人参)は、駅前のビアホールでジョッキを12杯ずつ飲んだ後この店を見つけた。
そして二人でクアーズを29本空けた。
酔った人参は洗面所の前でふらつき鏡を割り眉の下を切った。
マスターは黙って人参に絆創膏を渡し、箒と塵取りで割れた鏡を片付けた。
その日以来僕らは夏休みを毎日『ギャロップ』に通いクアーズを飲み、マスターの作るサンドイッチやらガーリックライスを食べて過ごした。「960本」
夏休み最後の日にマスターが言った。
「あんた達がこのひとつき半で空けたビールの本数さ」
僕は人参と顔を見合わせた。
「聞いただけでゲップが出るぜ」
人参が顔をしかめて言った。
「クアーズから感謝状が届いてもおかしくない」
僕がそう言うとマスターは販促用のクアーズの灰皿をひとつずつくれた。
1985年。
人参が消えたのは夏休みが終わり三日目の事だった。
743 :
マスク:2006/09/14(木) 14:08:02 ID:XRIjnlRo0
「それで?相棒の旅はいつになったら一段落するんだい?」
マスターが珍しく僕より先に話しかけた。
「人参には人参の生き方がある。僕とは幾分趣が違うにせよ彼は少なくとも僕よりはまともだ」
「あんただって、まともじゃないか」マスターが慰めを言った。
「いいんだ。お世辞なんて。彼ほどの腕前のコックはどこにもいないし、
僕が一貫して求めているのは完成度ではなくホンのささやかなコミュニケーションなんだ」
「あんたがそう思うんならそうなんだろうさ」
窓の外には相変わらず秋独特の音のない雨が降り注ぎ、様々な色の傘の群れが押しては引く波のように行きつ戻りつ動いていた。
「それでコミュニケーションとやらはとれたのかい?」
「まあね。人参を好きなのは何も僕や馬だけじゃないし、彼の才能が評価されないのは僕の傲慢さのせいでもある」
「さずがは口喧嘩の関東チャンピオンだね」マスターはさも楽しげに微笑んだ。
744 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/14(木) 15:50:20 ID:AeiAoR4pO
コック→×
学生→○
マスター→馬
店名を考えよ
745 :
人参:2006/09/14(木) 19:18:21 ID:q4HP8LkBO
明日大きなパーティが入っていて
4屯車一台分の人参の皮剥きが終わらないんだ。
その後皿を綺麗に洗わなければいけない。
明日はカキコ出来ると思います。
746 :
マスク:2006/09/14(木) 20:46:40 ID:XRIjnlRo0
「傲慢なんだよ」と僕が言うと、マスターは苦笑いしながら「シャイなんじゃなかったかい?」と言った。
「傲慢とシャイの折り返し運転をしているんだよ」
「おまえさんらしいよ」マスターはマルボロの煙を吐きながら笑った。
「ところでどうしてギャロップなんてへんな名前を店につけたの?」
「大した意味なんてないさ。所詮名前だもの」
「そういうもんなのかな?」
「あんたも大人になれば分かるさ」
僕は遠くに聞こえる野良犬の遠吠えを聞きながら、人参の帰りを待つことにした。
人参が帰ってくることさえ分かっていれば、ここに来る意味なんてほとんど無い。
「もう行くよ。そしてもう来ないかもしれない」
「大人になったんだね。あんたも」
「そう。好むと好まないとに関わらずね」
いつの間にか雨は止んでいた。外はすっかり暗くなって、月明かりが僕の足下を照らしていた。
「うそつきね。欺瞞なのは自分に対してよ。」
いつのまにかカウンターの薄暗い照明の向こうからグラスを磨く手が見えた。
「あなたはまだ、世の中が欺瞞に満ちているとしかどうしてもみえないのよ。どうしてだか解る ?」
僕は驚いてその声のする方を見た。
そして、見てはいけない現実を突きつけられたかのように眼をそらせた。
いい気持ちで呑んでいるのに、請求書の束を見せられたような気持ちだった。
「あなた、人の目も軽く見過ぎているわよ。
誰も人参なんて期待していないのよ。どうして人参にこだわるのかしら。
もしかしたら、あたしがいつか、あなたよりも人参の方が理論が通っていると言ったことを
まだ根に持っているのかしら。」
僕はちょっと驚いてそちらの方をちらと窺った。
プライドの高い彼はその言葉に少なからず崩壊したのかもしれなかった。
「僕の心のつぶやきではなかったのか ?」
「いいえ、あなたではないと思うわ。だって、あなたなんてどこにもいないじゃないの。」
「そうなんだよね。僕ですら彼が人参に執着する理由が解らない。」
マスターが煙の行方をぼんやりと目で追いながら言った。
ねえ、みんな、仲良くしようよ。
けんかしちゃだめだよ。
楽しもうよ。みんなで。
人参は自分の身内に返っていったのかもしれない。
勝手な希望的観測でもって彼は認めようとはしないけれど、彼は彼なりに身内の為に、
利益のためにマスク氏に近づいていたのだ。
彼には守るべき身内がいたのだろうか。
人参氏は、あるいはファミリーごとの付き合がそのうち可能かもしれないし、
この世界ではそうするしか無いと悟り始めたのに、彼の方はといえば、まだ自分の所属する場所が分かっていなかった。
自分自身に所属すべきなのに、自分自身なぞ見つけていなかった。
あるいはわざとそうしたのかもしれない。
それでは大人になったなどとは言えないはずだった。(誰がそんな大人像を植え付けたのだ・・)
彼(人参)は模倣がうまかったのかもしれない。
人によっては天才的にまで、という表現を使ったかもしれないが、どうもそれも怪しかった。
彼(人参)は勉強し直す気になっていたのに、
マスク氏の方は、まだはったりと自分を鼓舞してくれるイエスマンのピエロを必要とし続けた。
ピエロが彼の本当の、本来持つ才能を見つけ出したのではなかった。
彼はただ、惜しげも無くふりまかれるチョコレートとキャンディーが欲しかっただけなのだ。
見つけられなくなれば帰ってき、そしてまた夜の街の喧噪へと繰り出して消費するをくり返していた。
誰だってその先は予測できた。
しゃぶり尽くすつもりだった連中でさえ、心が痛む位だ。
もちろん本人も知っていた。
そうしむけたのだから。
彼も又、少しは帰るきっかけを欲していた。
怒濤のように押し出してくれることを期待していた。
だが、せめてもの恩(?として、少しの間沈黙して見守るより他に仕方が無かった。
彼は、一歩も自分の足で歩けないのだろうか...。
治っているはずなのに。あるいは治そうとすればなおるのに。
これは可能性のあることだった。
そうしなければ、共倒れだった。
あとは、彼の気力の問題だけだった。
酔い覚ましの薬は確かに飲んだはずだ。
しばし、よけいに悪化して、こんなものとも思ったはずだ。
751 :
人参:2006/09/15(金) 08:12:41 ID:wJKZBZTm0
「じゃ君は?」
「…ばか。…いじわる。」すねたみたいに口を尖らせた。
店を出た後僕はタクシーを止めた。
「どちらまで?」と運転手が聴いた。
「ホテル。気の利いた所なら何処でも。」と運転手に告げた。
運転手はミラーをチラッとみて「はい。」とだけ言った。
車は青山通りから細い道に入り、僕はどこを走っているのか分からくなっていた。
おそらく赤坂方面に向かっているのだろうと僕は思った。
気が付くと意に反して宮益坂を下っていた。
「ねえこの車どこへ行くつもりなのかしら?」と彼女が耳元で囁いた。
「きっと凄い所だ。」と僕も耳元に囁いた。
車は北口のガードをくぐり道玄坂を上って行った。
「凄い所ってどこかしら?」と彼女は悪戯っぽい笑って言った。
「グレート・バリアリーフ」と僕は真剣な顔で言った。
「まさか。」
顔を見合わせて笑い合った。
車は坂を上り切った辺りから右に曲がって暫らく細い道を走って止まった。
車を下りてチェックインするとそこは
「グレート・バリアリーフ」をモチーフにしたやる為の部屋だった。
実に気が利いていた。
僕達はその「やる為」だけの「グレート・バリアリーフ」でまるでお互いの存在を確認するように
丁寧にやさしくそしてゆっくりと激しいセックスをした。
僕は彼女の体を頭から爪先までやさしくキスをした。
彼女は僕のレイゾン・ディートルをゆっくりと口に含んだりした。
お互いがお互いを激しく求めていた。こんなに激しく求め合ったのは初めてだった。
しばらく抱き合いながら二人でふざけ合っていた。
752 :
人参:2006/09/15(金) 08:13:21 ID:wJKZBZTm0
「君の話聞きたいな。」
「どんな話?」
「どんな事でもいい。生まれた場所とか何が好きかとか。君が話してもいいと思うことならね。」
「そうね。
生まれたのは東京、場所は知らない。生まれてすぐに茅ケ崎に引っ越したから。
それで茅ケ崎の高校をでて東京の短大に行ってそして平塚のレコード店で働いたわ。」
「音楽が好きなの?」
「それ程好きって訳じゃないけど、嫌いじゃなかったわ。音楽もレコード店も
で、そこの店長と恋愛関係になっちゃって赤ちゃんができたわ。でも生まなかったの。
店長の奥さんに二人目の子供ができたし。あんまり子供って好きになれないもの。
奥さんの赤ちゃんは生ませてあげたけどね。」
「うん。」
「そのあと何もかも厭になっちゃって東京に出てきてクラブに勤めて、
クラブってディスコじゃない方よもちろん。
そこで何か知らない内に今の仕事にスカウトされて3年前にあなたの所に来たの。
そんなところね。聴いてて厭にならなかった?嫌いにならないでね。」
「嫌いになんかならないさ。僕が聞きたいって言ったんだしね、
それに正直に話してくれて嬉しいよ。僕だって胸を張れるような事なんて何もない。
さんざん非道い目にも逢ってきたしね。」
753 :
人参:2006/09/15(金) 08:14:01 ID:wJKZBZTm0
「でもあなたには人には無い優れた羊男的思念といった能力があるわ。」
「そんなもの有ったって何の役にも立ちはしない、
訳の分からない建物に閉じ込められて僕にとって架けがえの無い3年間が
ばっさり奪い取られて、下らないよ実に下らない。」
「でもおかげで私に会えたわ。」と彼女は言った。
「君も僕に会えたしね。」僕達は笑った。
「そうね。でもそろそろ寝ましょう。疲れてるでしょう?」
「そうだね、少し疲れたね寝ようか。
おやすみ。」
「おやすみ。『みんみん。』。」
『みんみん。』
大猿がやってきて僕の頭を「ぴこぴこハンマー」で叩いた。二匹いた。
カップルの大猿みたいだ。「君も好きだね。」と僕は言った。
754 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/15(金) 15:06:29 ID:KQQV76IJO
なんか。ハルキ的じゃなくなってるよ。
755 :
マスク:2006/09/15(金) 17:34:36 ID:yLAenjwJ0
しばらく書きません。それでは。
756 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/15(金) 17:41:50 ID:KQQV76IJO
はい。
さようなら。
昔、神の子供達は皆踊るを読んで物凄く感動したんだけど、
今読んでみるとそうでもないんだ。
どうしてだろうね?
758 :
人参:2006/09/15(金) 19:26:39 ID:wJKZBZTm0
>>754 すいません。以後気を付けます。全体的にという意味なのでしょうが、
どの辺りが特に、というのがあればご指摘下さい。参考にさせて
頂きます。まだまだ未熟なものですから。
>>755 どうしたの?急に。
何かあったの?僕?
759 :
どどめ:2006/09/15(金) 23:02:20 ID:hcbMTW/e0
「傍観者としての意見を言わせてもらえるなら、
彼は犬を猫にメタモルフォーゼすることで一種になり、喧嘩することもない世界になると思ったらしいわね。
途中で予定変更していたもの。
それが全てよね。
でもそれは、犬が犬だったからのこと。
喧嘩するのも噛み付かれるのも刺されるのも、理解と共存と創造主の不思議にふれる楽しみにほかならないのに。」
760 :
どどめ:2006/09/15(金) 23:16:17 ID:hcbMTW/e0
「で、いつまで傍観者達は傍観者でいなければならないわけ ?
人間は形が同じでも、あるいは違っていても同じだったり違っていたりするんだけど、
生き方のパターンによって生きなきゃならないのよ。
でなければきちんと死ねもしない。」
「これの意味は受験攻略法しか勉強してしてこなかった学生さんにはちょっと難問かもね。」
ジェイズバーは、遠い昔のことだった。
761 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/15(金) 23:39:15 ID:KQQV76IJO
綿羊もハルキぽくなくなってるぞ
みんなどうした
762 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/16(土) 00:05:15 ID:KdNXAFYWO
「寿命が切れたのね。」と208が言った。
「限界になったのよ。」と209が言った。
やれやれと僕は思った。
またスレが脱線している。
でも僕にはどうしようもない事なのだ。たぶん。
それから台所に行き、研いでおいた米と水の量を確認して
釜をコンロに移し火をつける。
冷蔵庫の中を眺めてしばらく夕食のメニューを考える。
コンロの火を弱くした後、ゆっくりとコーヒーを入れる。
僕は火を見ながらコーヒーを飲むのが好きなのだ。
大体飲み終わる頃には、火を消しても良い時間になっている。
ぼんやりとさっき見たスレのことを思い出しながら、
棚の上の時計を見る。
AM4:30
やれやれ。
マスクたんはなんでごきげんななめなの。
765 :
人参:2006/09/17(日) 17:31:55 ID:P83ghFRBO
僕のレスが春樹的じゃなかった上に面白くなかったせいかもしれない…‥
早く戻ってきてよ。たのむよ。
766 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/17(日) 17:47:29 ID:v1EGTImlO
どうしてそんなにマスクに依存するの?
一人じゃ何も出来ないのかい?
767 :
人参:2006/09/17(日) 17:52:55 ID:P83ghFRBO
長編は無理なんだ。
先は誰にも分からないから。
長編を止めるなら、依存しなくてもいいんだけど。
そうなると人参の存在理由すら無くなるんだ。
それだけの理由しかないけど。
確定したね。執行っていつごろになるのかに
769 :
人参:2006/09/17(日) 20:52:36 ID:P83ghFRBO
いい忘れたけど、一緒にゲームをする
同じチームのチームメイトを僕は大切にするよ。
多くのアマチュアの選手がそうであるようにね。
依存するのとチームメイトか否かというのは
まるで別の次元の話だ。
それと人参の存在理由を守る努力と一緒にね。
「村上春樹風に就職活動を語るスレ」はどこにいったんだ?
おちたのか?
あれは夢だったのか?
そもそも2ちゃんじゃなかったのか?
僕は途方にくれていた。
流れも読まず、書き込んだ。
771 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/18(月) 00:16:19 ID:ar+lPfuCO
>>767>>769 長編は完結したんだろ、あれで。
また長編やりたいなら自分から書き始めればいいだろ
誰かに相談しなきゃ何も出来ないのか?
おまえもしかして本当に学生か。
メモ:
人間としてアマチュアである
::
近視眼になると他の人の存在理由が見えてこない
自分が依存
中身は騙され易いおばさん気質
無理だと分かっても回りきれない
ネームバリューを盲信するあまり完成品でなくても世に出す(儲かりさえすれば良い。陶芸師の恥
つかえる実用的な物を作ること
人参は名のとおり人間になる気は未だ無い(何かは無理でも考え方に於いて可能であるにもかかわらず。
一人はつくれる才能も意思もあるが、も一人はない(一般がよろこぶキワモノしか求めていない。それも出来なければ大衆をそのレベルに落としてでもという詐欺としてはプロ
=別世界に行くべき途中
追いかけることは、失うと勘違いしているから(しかるべき人が代わりをしてくれるだろうしそうすべきだ。もともと違うのに同じである顔をして無理矢理入ってきたはず
おとりを追いかけている間に後方からその仲間がやってきて、本来の目的を達しようとしている(事実
世の中は全てその仲間だと見える、は、誤認。(絶望感をあおる手段
残され待っていると見える連中は、戻ってきて援護して欲しい状態に陥っているだけ
依存しようというのではない。
自分で作ったからと言って、子供を殺す権利は親に無い。義務があるだけ
それも守れないというなら、ばかにしているであろう人間以下
ときにマムシの子育てに感激しようとも、一般社会人にとっては迷惑。
って、オカルト板だからいいんだよね。
理解できる人もいるよね。
つまり神学的"にんげん"はマムシ以下
学んだら帰国して活かすべきではないのだろうか
というようなことを、では自分がマムシになればいいんだと解釈した人がいた。
そのひとがそうするならと追従者も出たかもしれない
超理論で、約一名、メタモルフォーゼしたのがいるが、見たところ、本質的バイブレーションが違う。
いいかげん囮に書かずリあっていないで、
盲追したバイブレーション仲間の毒ヌキとかメタ解除とか、すべきことは他にある。
言葉をとられた連中の代わりに言っている。
なにやってんだ!!
776 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/18(月) 10:40:34 ID:ar+lPfuCO
綿羊。
完全にハルキを捨てたな。
777get
>>758 ただいまwいや、別に。仕事でフランス行ってただけ。
今年の葡萄の出来具合を見に行って来たんだ。ワインの価格が気になってね。
>>764 ご機嫌はすごぶる良いですよ。
仕事で急にだったもんで、ぜんぜんスレ確認できなかった。
>綿羊、文体少し変わったね。前より読みやすいような気もする。
>>768 すみません。再開は明日になります。
まだ荷物も開けてないんだ。
>人参、レイゾン・ディートルって存在理由のことだよね?
うぶなもんで、なんのことかさっぱりw
780 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/18(月) 22:41:20 ID:ar+lPfuCO
仕事でフランス?いい加減にしろよw
社員旅行で熱海だろw
本当に負けず嫌いで見栄っ張りだなお前。
781 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/19(火) 00:11:05 ID:W81Hdr9HO
久しぶりに覗きにきたわ。
長編はあれで完結なのね。
ところで
>>717>>741>>742は
お馬さんのレスよね?違う?
次の長編への布石なのかしら?
おかえりんこ、マスクたん。
783 :
マスク:2006/09/19(火) 10:39:37 ID:chZ00Kck0
>780
すごい!正解だよ。
>782
ただいマンゴスチン。
784 :
マスク:2006/09/19(火) 10:49:19 ID:pyKfD2Rn0
>781
ちがうよ。あれは780さんが書いたの。
彼は511、540、全部あげるときりが無いけど、名無しの連投くんだよ。
でも名無しにしておくのはもったいないね。
名前をつけてあげよう。天邪鬼なんてどうかな?気に入らない?
785 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/19(火) 11:32:17 ID:VsX7ufYPO
786 :
馬 ◆E1yyNEjdEc :2006/09/19(火) 11:35:05 ID:VsX7ufYPO
>>781 正解です。
長編にするつもりはありません。
気紛れです。
787 :
マスク:2006/09/19(火) 11:48:42 ID:70cQAQk30
>786
そうですか。
僕の見当違いだった。
780、間違えてごめんね。
788 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/19(火) 14:26:52 ID:W81Hdr9HO
調子のいい野郎だ
789 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/19(火) 16:01:23 ID:pZKzJiL7O
馬なんて相手するだけ馬鹿みるよ
大切な時間の無駄
790 :
マスク:2006/09/19(火) 20:52:48 ID:ZdWVzdyS0
>>789 残念だよ。本当に。
本当にいて欲しい時には絶対に助けてくれなくて、
やっといい感じになってきたときに名無しで見事なちゃちゃ入れるなんて。
陰湿すぎる。なんていうか大人げないよ。
何考えてるのかな?もしかしてなんにも考えてないのかな。
791 :
馬 ◆E1yyNEjdEc :2006/09/19(火) 21:29:22 ID:VsX7ufYPO
ちゃちゃ?
人参と二人きりで長編シンドイと思ってした事。
現にあんたは
「笑えるw」て言ってたし、レスを繋ぎもしたよね。見損なったよ。
792 :
マスク:2006/09/19(火) 21:37:03 ID:ZdWVzdyS0
言ってれば?
しんどいのはあんただろ。僕とリレー出来ませんって白旗あげて、
それで引き下がればいいのになんで人参叩くんだよ。
見損なったのはこっちの台詞。
僕が学生で人参は調理師で、自分はミステリアスな男だとかっこつけて、
笑えるってのは救ってやったんだよ。
レスを繋いだのも同じだ。
僕一人で戦ってあんたを庇ってきたのに、裏切っといて盗人猛々しいんだよ。
793 :
馬 ◆E1yyNEjdEc :2006/09/19(火) 21:39:06 ID:VsX7ufYPO
いつ人参を叩いた?
794 :
マスク:2006/09/19(火) 21:44:08 ID:ZdWVzdyS0
「人参が消えた」ってそういう意味だろうが。
たとえあんたが余程頭悪くて自分でそういう気がなくっても、
読み方ではそうとられてしかたない書き方なんだよ。
795 :
馬 ◆E1yyNEjdEc :2006/09/19(火) 21:45:33 ID:VsX7ufYPO
ミステリアス?
「アイデンティティー」観てからいいなよ。
ま、いいよ。
頑張ってな。
796 :
馬 ◆E1yyNEjdEc :2006/09/19(火) 21:49:23 ID:VsX7ufYPO
「羊をめぐる〜」で消えた鼠はそんなちっぽけな役割かい?
人参をこのスレのキーマンとして扱っただけだがな。
797 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/19(火) 21:52:31 ID:W81Hdr9HO
マスク。
お前どんだけ偉いんだよ。
八つ当たりにも程があるだろ。
798 :
マスク:2006/09/19(火) 22:01:38 ID:ZdWVzdyS0
分かったよ。『アイデンティティー』は見てないし、八つ当たりしたのも認めるよ。
でも、せめて名乗って言ってほしかった。
僕はインテリではないし、もちろん学生でもない。
くわえて言うなら男ではない。
僕が本気で書いてるって事をもうちょっと信じて欲しかったよ。
人参はすごいヤツなんだよ。だれにも真似できない。
そういうことをみんなにもっと分かって欲しかったんだ。
僕は人参がいなきゃ書けない。でも、書き続けたいんだ。
馬氏は簡単に投げて、あとは高見の見物でいいかもしれないけど、
書いてたことがあるんだから、そのつらさとか、思いとか、もっと分かって欲しかったよ。
密造酒文学かい。ツウホウシマシタって言うんだっけ。
事実の方が小説よりも生成りって言葉なかったっけ。
800 :
馬 ◆E1yyNEjdEc :2006/09/19(火) 22:21:40 ID:VsX7ufYPO
《人参はすごいヤツなんだよ。だれにも真似できない 》
そんなのわかってる。だからスポットを当てた。
《馬氏は簡単に投げて》
俺が書き続けたら綿羊の叩きはもっと続いた。
俺は自分で建てたスレを荒しでつぶされた事がある。その時は荒しの収め方も知らずに今のあんたみたいに噛み付いてたから潰れた。
《そのつらさとか、思いとか、もっと分かって欲しかったよ》
わかるから関係ないレスでハーフタイムを作ってあげたかった。
自分がそうだったからね。
あんたが学生だろうが経営者だろうがフランス帰りだろうが湯あたりだろうが男だろうがオカマだろうがそんな事はどうでもいい。
『偏狭すぎる』
801 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/19(火) 22:27:51 ID:W81Hdr9HO
マスク、余裕無さ杉だよ。
性格が春樹ぽくない。
802 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/19(火) 22:55:10 ID:W81Hdr9HO
そして
綿羊の登場だ
↓↓↓↓↓
「あなたは無くした三年間の記憶を取り戻したいって言っていたわね。
今のあなたは、後からみると、亦記憶が無いって思うのでしょうね。
あたしも少しだけ経験があるの。ずっと考えていた。
ここの人達はそれをすごいというのかしら。
あたしにはそういう言葉はつかえない。
人参は意識して使った。
マイマイガっの毛針でね。
さて、それをどうしようかって事なのよ。
今マスク氏がその状態なら、なにを言ってもムダだわ。
ただ、危険に目にあわないで。そう願うだけかもしれない。
ぱんついっちょでつかまっちゃうというのもテかも。」
「三人とも、毎々我の自作自演だととっておくわ。」
「こうやって書いていると、やっと分かってきた気がするわ。
マイマイガのアタシへのチョウセンだったのね。
本気でいっぱつペシッしておくべきだったわね。
これも毎の自作だとしたらたいした物だけど、
逆にこちらが拉致しているし、パターンも知り尽くしているわ。」
806 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 00:15:41 ID:jiSHfsYyO
みんなまだ気付かないのか?
馬=マスク 。
同一人物だよ。
807 :
マスク ◆E1yyNEjdEc :2006/09/20(水) 00:27:57 ID:iXiZXhrkO
違うよ
808 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 00:30:27 ID:DvPuu/efO
>806
それは違う…
まぁ、それは良しとも馬なんか相手するだけの価値なんかない
スルーして次の扉をあけるとしよう
809 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 00:40:09 ID:jiSHfsYyO
そんなに偉そうなお前は誰だよw
書いてみろよ、春樹ぽく。
今すぐになw
平和にいこうよ〜
811 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 01:41:45 ID:jiSHfsYyO
し
812 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 01:44:11 ID:jiSHfsYyO
し
813 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 01:45:11 ID:jiSHfsYyO
し
814 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 01:45:54 ID:jiSHfsYyO
し
815 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 01:46:59 ID:jiSHfsYyO
死
死
"次の扉を開けても同じだと思う。
きみたちはマイマイガに、自分で言っているように勝てない。
もともと望みが無いところから発しているのだから、どうやっても混沌に陥る。
"ワタシ"を排除することに、その意図に、何の意味がある ?"
[扉を閉めるんだよ。みんなの力で。皆が一斉に自分の中の扉を閉じない限り戻れなくなる]
やれやれ、"絶望"も等身大のしあわせを見つけて欲しいものだけど、
それを他人に転化することにいちずだと、我慢できるのかな。
お菓子をあたえすぎたんだよ・・・
818 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 04:37:38 ID:DvPuu/efO
809〜816(810除く?)も馬
ただの粘着ヲタ
さぁ!こんなの相手にしてる時間はない。
819 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 04:51:21 ID:DvPuu/efO
806 807も馬だ
引っ掻き回して皆を馬鹿にしてるのさ。目を覚ませ。
そして亡き者には背を向けよ。
820 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 05:01:21 ID:jiSHfsYyO
何言ってんだお前
俺は馬じゃねぇよ 氏ね
821 :
マスク:2006/09/20(水) 05:33:00 ID:UYNl6Vm00
馬氏へ。
自分が誰なのかを勝手に決めつけられるのはいやなもんさ。
そしてあんたは僕と人参に勝手にそれをした。
そしてめんように負けた振りして降りたことを正当化してる。
あとは人参一人に綿羊の攻撃引き受けさせて僕が人参を守るために必死でも笑ってたんだろ。
そのじつあんたが書いたギャロップの後、綿羊が人参なんて誰も〜って騒ぎ出したのを黙って見てたよね。
あんたのせいでどれほどこっちが迷惑したのかわかんないの?
関係ないレスっていうけど、混ぜっ返しにしかとられないレスで人のやる気殺いで、偉そうだね。
結局自分は手を汚さないんだ。
僕は偏狭で余裕が無くて子どもですよ。何とでも言って下さい。
それとおかまじゃない。女です。今まで気がつかないってのもすごいアホだね。
822 :
めん:2006/09/20(水) 11:08:36 ID:1oA7ZrOX0
むちゃくちゃだね。ジラフだけかと思っていた。
きみがそう言えるのなら、僕はおとこです。
多分誰かと同じようにあぷろーーちのしかたも分からないのさ。
暴力的に負けたことで、うまを買いかぶり過ぎ。
みなが現実的側面から見てそんな考えるような人物でないことは分かっている。
弱いことを知っていたからこそ、他人や手段をつかったのじゃない。
単純にひきょうだとか、犯罪的だとかでいいんじゃないの。
当然の帰結さ。
男性を捨てたのが見えたから、戻しておいたよ。
人参は女だよ
824 :
めん:2006/09/20(水) 11:29:40 ID:1oA7ZrOX0
手を汚すのが偉いのかい。
テロが偉いというのならターバンの国にお帰り。
えーえ、ものすごいばかですよ。
彼にしてはあまりにもぼろがいっぱいで支離滅裂な文章だと思った。
現実には見たとーり。ていせい
叩くのも庇うのもやめて、コテでも名無しでも関係なく、仲良くやろうよ。
「ピース」
827 :
マスク:2006/09/20(水) 11:39:49 ID:29bNUFTW0
↑そんなの本当はどっちでもいいの。
大事なのは負けない心さ。
馬は単なる負けず嫌いの見栄っ張り。
結局、結果を求められるとすぐに隠れて、仲間を見捨てる。
もう仲間でもなんでもないけどね。
図星つかれて「人参にスポット当てた」だって。ばっかじゃないの?
助けたいなら名無しでも続き書けばいいのにね。
シンドイと思ってしたこと?ふざけんな!しんどいって誰が言った?
失礼なんだよ。
828 :
馬 ◆E1yyNEjdEc :2006/09/20(水) 11:47:30 ID:iXiZXhrkO
「この人はどうしてこんなに苛立ってるの?」208が口をポカンと開けて言った。まるで水槽の中の手乗りかいつぶりでも観てるかのような表情だった。
「私は生理のきつい日でもここまで酷くならないわ」
209の口調には敵意がこめられているようだった。
「おそらくお釜バーの夜勤明けなんだよ。仕方がない事なんだ。僕らにはどうしようもない。」
僕らは三人でテーブルを囲み、早朝四時にタクシーを拾っているお釜の姿について語りあった。
「かわいそうね」と208がいうと、「いいえ、惨め過ぎるわよ」と209が訂正した。
829 :
マスク:2006/09/20(水) 11:51:26 ID:bpX4Z8JS0
>824
かなーり頭にキテルからね。ぼろぼろにもなるよ。
めんが男だってのは見抜けなかったけどね。
あんたも少しはまともな文章書けるようになったね。
830 :
マスク:2006/09/20(水) 11:59:40 ID:VjfbpR820
本当に、馬みたいな動物とプレーするんじゃなかったよ。
男尊女卑とマイノリティー差別の平気な封建時代の生き残り。
いっそ江戸時代にでも生まれてくればよかったね。
そのほうが馬だけに活躍の場も広がったろうにさw
831 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 12:25:02 ID:jiSHfsYyO
おぼえたてで「w」を多用したい気持ちはわかるが。
ちっとも面白くない。
832 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 12:45:50 ID:jiSHfsYyO
>「書いてたことがあるんだから、そのつらさとか、思いとか、もっと分かって欲しかったよ。」
↑↑↑↑↑
これが
数時間でこうなる
↓↓↓↓↓
>「シンドイと思ってしたこと?ふざけんな!しんどいって誰が言った?失礼なんだよ。」
あんた精神大丈夫か?閉鎖病棟に行くのは綿羊じゃなくマスクの方だと思えてきた。いや、行くべきだ。
833 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 12:55:48 ID:jiSHfsYyO
馬が敵意を否定したにもかかわらず酷いもんだな。
人参も気をつけたほうがいい。
イタリアのスポーツ紙並みの手のひら返しをするからな。
「凄いよ!最高だよ!かなわないよ〜!!」な〜んて言ってるのも今のうち(*´∀`*)
人参が消えた話しにはホイホイとレスを繋いでたくせに今になって何いってんだか
/(.^.)\
834 :
マスク:2006/09/20(水) 17:54:42 ID:S/t/HtG60
835 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 18:16:42 ID:jiSHfsYyO
いいから早く出勤の準備しな
夜の経営者だろ
836 :
マスク:2006/09/20(水) 18:18:00 ID:S/t/HtG60
>>832 文章読解力が無いのは分かるが、誰に対して言った言葉か無視して揚げ足とるな。
「書いてたことがあるんだから、そのつらさとか、思いとか、もっと分かって欲しかったよ。」
は、僕自身の辛さに対して。
「シンドイと思ってしたこと?ふざけんな!しんどいって誰が言った?失礼なんだよ。」
これは人参がシンドイって言ってないのに「人参が消えた」なんてふざけたレスで人参のやる気を殺ぐまねした。
しかもそのあと綿羊が人参を誰も期待してないとか言って騒いだのも無視しやがった。
僕はずっとあれは馬が書いたんじゃないって思ってた。信じていた。
でも馬だった。ばれたら慌てて「スポット当てた」だのと見苦しい言い訳してさ。
わざわざ名無しにしてそういうレスをしたのは後ろ暗い気持ちがあったんだよ。
僕だって馬が書いたって最初から分かってれば意味があるってちゃんと深読みしたかもしれない。
たとえそう言う風に読んだとしても、誰が何だなんて決めつけは仲間に対して失礼な行為。
それを分かってやってるくせに見つかったら開き直り。
しまいには僕をオカマ呼ばわりだよ。
セクシャルマイノリティーに対する差別用語だって知らないのかね?
女だと知ればすぐに「生理?」って騒ぐ。
それは充分セクシャルハラスメントなんだよ。
そういう精神構造に対してこそ病を疑うべきなんだよ。
837 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 18:42:26 ID:jiSHfsYyO
あんた私生活でもそうなのか?
親友・・いないよな。
自分が馬鹿になって周りの人を笑わせたり和ませたり・・出来ないよな。
なんか変なのに絡んじまった。
こんなにヒいたの久々だよ。
気持ち悪いからもうこねぇよ。
838 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 18:52:58 ID:jiSHfsYyO
あぁ、そろそろ人参が現れる頃か。
いや、ID変わるまでレスはないかな。
早く独り立ちしときな。
奴はあんたを「庇ってる」らしいからな。
馬鹿にされてんだぞ。下にみられてるんだ。良く考えな。
春樹スレは他にいくらでもある。
839 :
馬 ◆E1yyNEjdEc :2006/09/20(水) 19:52:32 ID:jiSHfsYyO
俺は面倒くさいの嫌いだけどあまりにも目茶苦茶だからひとつだけ。
>>781 のレスにたいしてマスクは
>>784で【馬が書いたんじゃない】と否定してる。
その後俺が自分で【正解です】と言った。
だから
【ばれたら慌てて「スポット当てた」だのと見苦しい言い訳してさ。】はおかしい。
【ばれた】んじゃなくて自分から手を挙げたんだよ。もし人参に対して後ろめたさがあったら、
>>784の流れのままにしとくさ。
マスクが独りで話しを面倒にしてる。訳わからない。
安心しな。誰かが言ったように春樹スレはいくらでもある。
もう来ないよ。
こんな学級委員長がいるスレにはな。
840 :
人参:2006/09/20(水) 19:55:54 ID:KAwZEZyX0
喧嘩をやめて〜っ♪
みんなをとめて〜っ♪
人参の為に争わないで〜っ♪
もうこれ以上お〜っ♪ by河合奈保子
〜っということで恥ずかしながら戻って参りました。
人参です。
皆様にご迷惑おかけ致しました事を深くお詫び申し上げます。
えっと、来なかった理由はですね、長編終わらしちゃったのかな?と思ったからです。
終わらせたつもりは無かったんだけど。
何度か読み返すと確かに完結レスとして成立してるなと、で長編の為の人参なので
暫らく人参辞めようかなって思いました。
だから誰も悪くないんです。
僕が悪いのです。勝手に勘違いして来なかっただけです。
それでさっき久々に覗いたら何か凄い事になってるので驚きました。
あんまり凄いので書くのを少し躊躇しちゃいました。
とりあえずおちゃらけてみましたけど不謹慎ですか?
もしそうならあやまります。ごめんなさい。
でも書かないとマズそうなので書きました。
あとカミングアウトが流行ってるみたいなので書きますが
残念ながら男です。大人げない大人です。でも学生ではありません。
それにそれ程大した人間でもないのです。買いかぶりすぎです。
841 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 19:56:40 ID:jiSHfsYyO
ほらほら
IDよく見て突っ込みなよ。
(o^-')b
842 :
マスク:2006/09/20(水) 20:03:19 ID:jiSHfsYyO
人参、戻って来てくれて凄く嬉しいよ。かいかむりなんかじゃない、君は凄いよ、誰にも真似出来ないよ
(o^-')b
843 :
人参:2006/09/20(水) 20:39:38 ID:TssVRIMiO
マスクさんが女性なんてびっくりしたよ。
でも長編の相手が誰でも僕はかまわないよ。今まで通りでね。
それと僕は本来書くのが遅いのでやるんなら今度はゆっくりにして欲しいんだ。
正直この間はキツかったんだ。
844 :
人参:2006/09/20(水) 21:52:47 ID:TssVRIMiO
あの…‥本物なんですが…‥
本当に戻って来たんですけど…‥
マスク氏信じて欲しいんだ。
>>ID:jiSHfsYyO
名残惜しいのはわかるが、潔く巣に帰りなさい。格好悪くて恥ずかしい。
働け。
846 :
人参:2006/09/20(水) 22:23:51 ID:TssVRIMiO
本当に本人なのですが、
人参なんです。
悪かったと思う。
でも本当に本人です。
847 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/20(水) 22:34:49 ID:jiSHfsYyO
>>845 お前も賄い食べ終わったらさっさとホールに戻れ
848 :
マスク :2006/09/21(木) 00:23:53 ID:x51kF7MnO
>人参
やあ、お帰り!
僕はまた一人で戦ってたよ。
おかしな生き物達とね。
どうしてもっと早く来て助けてくれないんだい?
君も肝心な所ではそうやって逃げ隠れするのかい?
プレイしてる時は最高のダブルスなのに。
ちょっとがっかりしたよ。
おまえら国民主犬と言う言葉知らないな。
どんびきしてるのに挙るもんか。
うましへ
もーぅこおなったら言ってあげる。
彼は本質的には嘘はつかないよ。
きみの昔の恋愛話なぞ聞きたくもない。
自分のぶろぐでも付録でも作ってやってくれ。
まsく氏のはingなの。
だからどんなに見えても私小説なの。
いろいろな部屋を見せてもらっていただけ。
紆余曲折は想定済みなの。
こちらの近辺紹介があまりにもさんたんな紹介しかできないので
こういう表現にならざるを得なかったのだけれど、
彼の方から紹介してくれたの。
そしてこちらが受けて応えた。
どういう結末になるのかは知らないけど、
余りにも状況把握ができていなくて失礼なのはキミだけなの。
せいぜいお祝儀袋分からない程度ちょろまかすぐらいにしてほしかったね。
彼の時間はたぶんながい。
どれだけ深く怒る権利があるのか、
そして、執行猶予を与えて仲間だとまで言ってくれているのか考えて欲しい。
851 :
マスク:2006/09/21(木) 02:37:46 ID:x51kF7MnO
>めんよう
うるさい
お願いだからもうこないでくれないか
話しがややこしくなるんだよ
僕はプレイしたいだけなんだ
とびっきりのセンターコートでさ
こちら側もご迷惑おかけしました。
こちらの方が元かもしれません。
止められませんでした。
あなたたちの御存知の理由で情報不足でした。
でも、混同したのはそちらの方です。
たぶん原則です。
実際のところは、生身の個人の思いがあると思います。
こちら側の不手際はおわびしておきます。
そこはセンターコートじゃなく、
思いっきり廃屋なんだよ。
って、851はかさおばけでしょ。
854 :
人参:2006/09/21(木) 02:46:11 ID:EZlrsKGyO
マスク氏、お願いだからあまり熱くならないでよ。
人参はただ長編を書きたいだけなんだ。他には何もいらない。
君が男だろうが女だろうがどうでもいいのさ。
次のお題はマスク氏が考えておくれよ。
855 :
マスク:2006/09/21(木) 02:53:18 ID:x51kF7MnO
>人参
何か勘違いしてないか?
君が書くんだよ。言ったろ、君は本当に最高なんだ。
君のセンスには神々も怯える。
僕はもう書けないよ。ねじまき鳥は僕のねじは巻かなかったのさ。
本当の戦いもしなかったくせに、なにがセンターコートだよ
857 :
マスク:2006/09/21(木) 03:03:37 ID:x51kF7MnO
馬は馬糞くってろ!
おまえにはセンターコートは似合わない。厩舎で餌箱に顔突っ込んでなw
858 :
人参:2006/09/21(木) 08:10:38 ID:ZlijyK4u0
「あなたは自分が人参だと言い張るのはどうして?」と彼女は言った。
「言い張るって、本人だからだよ。」と僕は言った。
「怪しい物ね、それじゃ証拠見せてよ。」
「証拠って言われても何ももってないんだ。」
「ならどうしてあなたは居なかったの?一人でまた戦ってたのよ?」と彼女は随分怒っていた。
「まさかそんな事になっているなんて思いもしなかったんだ。
過疎になっていてまたやれやれとか言って保守されているだけだと思ったんだ。
今までずっとそうだったからね。それに僕が居ない位でこんな事になるなんて想像出来なかったんだ。
昨日も言ったように自分で書いたレスが、完結してしまったように感じたんだ。
君も突然居なくなってたしね。どうしていいか分からなかったんだ。
だから少し離れて頭を冷やしてたんだ。」と僕は言って缶ビールを見続けた。
「それじゃ私の所為って言いたいの?」
「だから違うんだ君のせいじゃない。自分の心が弱かったんだ。」
「それで良く私のモチベーションが下がらなければ続けられるなんて
偉そうなこと言えたわね。」彼女は目の前のビールを強く握り締めていた。
「その通りだ。悪かったと思う。君のモチベーションを保つどころか自分のモチベーションが
下がって一時的とはいえ逃げ出したんだ。全部僕が悪い。」
「ゆるせないわ。自分勝手なのよ。何でもすぐ謝ればいいと思ってるの?」
「でも僕は君の味方なんだ。でも君が女性だと分かった時凄く驚いたけど。
それで少しどうしていいか分からなくなったんだ。」
859 :
人参:2006/09/21(木) 08:11:12 ID:ZlijyK4u0
「それであなたも他の人みたいに男女差別するの?」
「違うんだ君とは同じチームの仲間意識が強くて本当の友達みたいに感じてたんだ。
それが急に女性だと分かった瞬間どういった物に変わってしまうのか混乱したんだ。
君だってきっとそうだと思う。もし同じ事が起きたらね。混乱すると思う。」
「分かったわよ。
でも私、本当に怒っているのよ。何に対して怒っているのか分からない位なの。
怒りのやり場が無いくらい。嘘じゃないわ。本当よ。」
「分かってる。君は良くやってると思う。
本当は僕が何とかしなくちゃいけなかった事も。
泣きたかったのかもしれないけど泣く事も出来なかったんだね。ごめん。」
「だったら少しは反省しなさいよ。わ・か・る・?私の言ってること?」
「分かってるよ。多分。それで一つお願いがあるんだ。」
「なによ?言ってみて。」
「次は君の書く順番だ。」
「馬っ鹿みたい。」
860 :
人参:2006/09/21(木) 08:13:52 ID:ZlijyK4u0
許して欲しいとは言えないけど、僕は君が書く作品が大好きなんだ。
だから、また書いて下さい。
861 :
め:2006/09/21(木) 09:50:02 ID:0Tujy5ok0
「こんなふうにして、本人のパーソナリティーが入れ替わっていくのね。
自分の履歴をみんなで抹消しようとのじゃないでしょうね。」
彼女は言った。
「どうどうと自分自身で勝負できない人って大キライ。
争いを緩和させる為のソフィストケーションって言うのかもしれないけど、それは違う。
867のマスクは馬と自ら名乗った人物だね。
また、他人になりすますのかい。
そこには必然性は全くないね。
刹那的な望みの為に、使い果たしたらオレオレするなんて。」
上の人参もよくわからなかった。もしかしたらマスク氏本人だとも思うけど、
メタモルだけを欲している誰かかもわからなかった。
「自分の名の他人、あるいは他人の名の自分が勝っても今のアタシにはうれしくないわ。
だいいちちょっとぐろてすくだもの。」
失うもののことを考えるとぞっとしないではいられなかった。
裏工作を請け負った後の報酬は、口封じだけだった。
「昔はね。むかしのことよ。」
862 :
めんばー:2006/09/21(木) 09:51:44 ID:0Tujy5ok0
「仕方なかったのよ。そういう事実を認識しない限り防衛できないもの。」
とるべき道は二つしかなかった。
いっさい手をきって、あとに社会不安団体を残そうとも無関係をきめつけること
と
きっぱりこの時代の体制どおり訴訟して本来に戻すこと
第二の方法をとろうというのなら、対立関係をはっきりさせるべきで、勝手になぁなぁになるべきではなかった。
第三の方法はここにはない。
そもそもそのことがこのことを引き起こしたのだから。
ジョークと現実の区別ははっきりとつけるべきだった。
もちろん差別だ等と誰も思っていなかった。
「勘違いしているかもしれないけど、その後でなら、多少のど゛ろんこあそびはきらいではないのよ。」
「ワタシはね、これこそ全体的財産にすべきだと思った連中に言っているのよ。
たとえ、有名企業や団体でも、ひとりの手法に遠く及ばないってことを。」
だが、お互いに逡巡すべきことはことは多かった。
「おっと、だけど今はそのことを話題にのせるべきではなかったわね。」
867 :
め:2006/09/21(木) 10:52:02 ID:0Tujy5ok0
自分らしく生きられること。
そのことに時代遅れもへったくれもなかった。
理想は失ってはいけなかった。今も。これからも。
いつかくる。この希望なしでは余りにも生きるのはつらいのだろう。
頭はそうでなくてもやっていけた。
だけど、体と付随する精神は悲鳴をあげつづけるだろう。
そしてそれが、とんでもない体力レベルへと暴走した、ということだよね。
いずれにしてもひとつづつ一致させていくしか無かった。
背丈以上のメルヘンを自分らしいとはいえなかった。
メルヘンをも自分らしく、と言うより他は無かった。
そして、小さくすることだけが正しいという訳でもないのよ
自分がどれであるかは自分自身で決め手ゆくべきだった。
他人に手が出せるとしたら、ちょっと大きすぎるんじゃない、とか、そのままでいいのよ、
とか、そんなに自分を過小評価すべきではないよ、とか、
どこにでもころがっている、ガラスの、ダイヤの破片だけだった。
どうも最後の一言は余分なことを言うくせかせあるみたいだった
それは止めてほしかった
870 :
マスク :2006/09/21(木) 12:57:21 ID:x51kF7MnO
めんよう
やっぱり君は凄いよ。誰にも真似出来ないよ。
あらためて読み返すと鳥肌が立ったよ。
僕が未熟で稚拙なうえに世間知らずだから気付くのが遅過ぎたんだ。
馬やら人参とかいう凡人と組むのは始めからイヤイヤだったんだ。
飴と鞭?
僕は彼らにあげたくもない飴を与え続けてもう手持ちがないんだ。
君と僕とで最高のタッグを組もう。
TARU&“brother”YASSHIに負けないくらい、いや、中西&大森を跪かせるくらいの最高のタッグさ。
僕がトップコーナーからダイブする。君がフォールするんだ。
楽しくなりそうだ。
よし、じゃあ手始めに君が書いてくれ。
「ふっ、いまさら・・・」
待たされることには慣れていたけど、言いたい時に言うだけだった。
「それにしても濁るねぇ」
「さんざん女尊男卑だったからねえ」
872 :
朝鮮人参:2006/09/21(木) 18:37:50 ID:ZlijyK4u0
君が付けてくれた名前に戻してみたよ。
「君が帰って来たときここに僕がいればこんな事にならなかったんだね。
君には本当に辛い思いばっかりさせて悪かった。
遅かったね。遅すぎたんだね。きっと僕が人参だって分からない位に。」
僕は頭を抱えた。
「でも僕はあの長編はまだ未完成だと思っているんだ。
だってあの長編のエンディングは君が書くべきだし、君じゃないと終わらせる事が出来ないんだ。
だからギュッて固まってしまった心をもう一度解きほぐして欲しいんだ。
すぐじゃなくても構わない。ゆっくりでいい。少しづつ解きほぐして欲しいんだ。
それでも駄目ならそれはそれで仕方がないと思って諦めるよ。
今度は逃げ出したりしない。待ってる。
僕が伝えたいことはつまり―――――そういう事だ。」
いつそんな名前をつけたのかわからなかった。
たぶん自分でつけたのじゃ...と思ったけれど、そうしたければそうしておくより今はなかった。
そういえば、ワタシにもそんな名前をつけたヒトがいたっけ...。
ワタシは行ったり帰ったりしていないのに...と思ったけれども、
何度か言ったはずなのに聞いていなかったのなら仕方がなかった。
いつだって両立して持っていたのにな、と思ったがそうとしか見えないのなら仕方がなかった。
どうしてここまでギュしたのか知らないけど、
やはりあなただったのね、と思った。
すこしづつでもいいから本音を言うんだよ、とちいさく言ってみた。
いずれにしても彼女はとろかった。
そうでないことはないとは考えはしたものの、やはりまたいろんなことを考えて、そうでない状態や何かを引き寄せそうだった...。
「またウソを、こんどこそ許せない嘘をついてるでしょう!!!」
博物館を見渡しながら彼女は言った。
「言葉と思いと現実を一致させなさい! それもいますぐ。」
「僕には遅すぎたとしかいえない...。」
「あなたは、みんなのここまでの努力と望みと痛みを全てムにしてしまう気なの ?
あなたという存在のパーソナルは一人しかいないし、一人しかいらない。
そして、パートナーも一人しか要らない。
褒美はいらない。要るのは私のパートナー。」
もう、ふらふらしてはいけないし、すべきではなかった。
誕生日と出生地と、そこから始まった物語を生きるべきなのだ。
のぞめよさらばあたえられん(る、という意味)
という、有名な言葉を信じてみるべきだった。
先ず、一人の、ここにいる自分自身に戻るべきだった。
他人の顔をとってもとられてもいけなかった。
ここでは一生涯に一つの顔というルールだった。
彼は、その偏狭な方の意味をとっていた。
そして大きな、ほんとの意味を失していた。
初校刷りの用紙を見ていると、FAXが届いていた。
そこには、"クライアントから大幅な変更が出ている、色を替えたいと言っている"
と言った趣旨が書いてあった。
「なんてことだ!!」
僕は頭を抱えた。
締め切りは迫っていた。
クライアントの要求は絶対だった。
いまから話し合う時間も、出かけていって交渉する時間もなかった。
そのうえ、著作権防止の為に僕の名前をきちんと入れるように書いてあった。
最後には、誰におくる物語なのか、共著は誰なのかも入れることにした、とまで書いてあった。
「そのあと、ちいさな感謝パーティーもあるそうだから。考えてもむだだわ。
今すぐ機械を止めさせて、さしかえるのよ。
ワタシも手伝います。それしかないもの。
読者もあなた自身の作品もあなたも大切にして欲しいの。」
ダレカ続きを...
「選ぶんだよ。いまは他の作品のことを忘れて。ただの人間という一番おおきな色を選ぶんだよ。」
878 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/23(土) 03:46:41 ID:RjnQsNM3O
「マスクと人参は何故トリップを付けなかったの?
このスレが堕落したのはこの二人のせいでもあるわ。
コテ名乗るならきちんとするべきよ。本当、ばっかじゃないの?!」
彼女の言う通りだった。
879 :
マスク:2006/09/23(土) 09:26:45 ID:VG/6rZxu0
人参、ありがとう。
僕は20日に馬氏にあまりにひどい事を言ってしまったので、本当に自己嫌悪で死にそうで、
もう恐くてここには来れないって思って、本当に覗かなかったんだ。
すれ違いだったね。僕らはいつもすれ違っているだけみたいな気がするよ。
あんまりにも頭に来たんでね。自分がどうなっているのかも分からないくらいだった。
本当に悲しくて泣いたんだよ。信じてもらえないかもしれないけど。
今日まで誰かがマスクって名乗って書いてるのは僕じゃない。信じて。
僕は女でも男でもニューハーフでもないということにしよう。
どこかのだれかだよ。そんなことで僕たちが綴った物語が変わる訳ではないだろ?
僕は君が望むなら書くよ。
僕が困っていたときにいつも助けてくれたのは君だった。
もう終わりかなって思うといつも君が白馬の騎士さながらに僕を茨の道から天高く助け出してくれた。
本当に嬉しかったんだよ。
馬氏はきっと自分の力を発揮すべき場所を間違えてしまったんだね。
僕は彼を許す。彼が僕を許すかどうかは別の問題だけど。
本当にありがとね。今度は僕の番だったね。今から書くからちょっと待っててね。
880 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/23(土) 09:45:59 ID:RjnQsNM3O
「この人はとことん優位な立場に身を置きたいのね。相手が許される事なんて望んでなんかないのに」
「そんな事より、さっさとトリップ付ければいい。話しはそれがらだ」
881 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/23(土) 10:43:12 ID:qlCQg0V5O
なんだかな〜
これじゃマスクと人参の恋愛物じゃないか
マスクが不細工だったら人参気の毒だなw
882 :
マスク:2006/09/23(土) 11:04:36 ID:VG/6rZxu0
僕が目を覚ますと隣に彼女の姿は無かった。
ベットには彼女の細く美しい身体の形が過ぎ去った過去の栄光みたいに残っていた。
僕はトイレや風呂場やクローゼットを調べてみたが、やはり彼女はいなかった。
昨日の出来事が夢のように思えた。実際には夢であるはずが無いことをラブホテル特有の巨大なベットが物語っていた。
僕は彼女が組織に連れ去られたのではないかと思ったが、もし彼女が昨夜話してくれた事がすべて本当だったら、
真っ先に連れ去られるべきは僕の方であって、彼女に何らかの制裁が加えられるとしても僕を置き去りにする理由が組織にはない。
そして鍵の掛かった部屋に侵入する事が出来るのはホテルの人間か、何でも出来るはずの組織の人間か、あるいは彼女自身だけだった。
僕はその最後に挙げた可能性についてなるべく肯定したくはなかったのだが、
様々な可能性を消去法で考えると彼女の意志で出て行ったとしか考えられなかった。
僕はホテル代の支払いが気になってジーンズのポケットから財布を出して中を見てみると、
見覚えのない手の切れそうな新品の一万円札が20枚も入っていた。
彼女が入れていったのだ。
883 :
マスク:2006/09/23(土) 11:05:29 ID:VG/6rZxu0
僕はホテルをチェックアウトし、朝の街を当てもなく歩き回った。
歩きながらいろんな事を考えた。彼女に出逢った時の事、彼女が作った手料理の味、
そして彼女の美しい横顔。
僕が手に入れた物はすべて、何一つ意味をなさない記号のように感じた。
配列が出鱈目で、それは見るからに不愉快きわまりないものだった。
博士が言った言葉は自分の正しい感情のあり方を学ぶことなく育ってしまった偽善者の戯言に過ぎなく、
組織の迷路より複雑に絡み合ってもう解くことの出来なくなった人間関係を思わせた。
誰かが誰かを憎み罵り合い、意固地になって醜く朽ち果てていく様を見せつけられているような気がした。
僕はそんな誰かの争いなんかに巻き込まれたくはなかった。
僕はただ純粋に一人の女性としての彼女を愛し、愛されたかった。
そこはイデオロギーもカオスも偽善も絶対悪もなく、誰かを信じ、愛するということの静かな営みだけがある世界だった。
僕はただそこを目指して歩いているだけだった。
でも、僕が手に入れたいと思う物はなんの躊躇もなく僕の手から砂のようにこぼれ落ちた。
それは当然の事ながら、とても悲しい事だった。
僕はなんの臆面もなく、街を歩きながら泣いた。
涙と鼻水が顎から滴り落ちても拭きもしなかった。
すれ違う人たちは不思議そうに僕を見たりあるいは避けたりした。
でも僕は彼女が僕の前から消えた事にすっかり動揺し、そして涙しか出てこなかったのだ。
884 :
マスク:2006/09/23(土) 11:06:34 ID:VG/6rZxu0
しばらくして姿勢のいい白髪を美しくまとめた高齢の婦人が僕にハンカチを差し出してくれた。
「大丈夫?あなた、一人で歩ける?」と婦人が言った。
「ええ、大丈夫です。ありがとうございます」僕は涙でしわがれた声でお礼を言った。
「いいのよ。もし良かったら何があったのか話して?そこに喫茶店があるわ。さあ、腰を落ち着けましょう」
婦人は僕の返事も聞かずに僕の手を引いて喫茶店に入っていった。
僕は借りたハンカチで涙を拭いて、しゃくり上げないように水を飲んだ。
「つらいことがあったのね?何でも話してみて?別に宗教とか占いとかの勧誘ではないから」
「はい、でも、あまりに複雑な出来事でうまく話す事が出来そうにないんです」
「そういう事ってあるわ。人生は長いもの。でもそういう時にはまず立ち止まって、
自分の足下をよく見てみるのよ。そうすればきっと前が開けるわ」
僕はその婦人の目を見て何となく彼女に見覚えがあるような気がした。
でも気のせいかもしれなかった。ただ、彼女には少年時代に語られた物語に出てくる、
優しい魔法使いのおばあさんのような雰囲気があった。
僕は心を許して婦人に今までの僕に降りかかった出来事を話した。
婦人は何もかもを途中で質問したりせずに静かに頷きながら聞いてくれた。
僕は話し終えると随分心が軽くなっていることに気がついた。
「そんなに大変なことを一人で抱えていたの?偉かったわね」
そう言って婦人は紅茶を飲んでカップを静かに置き、そしてこう言った。
「さあ、それじゃ、彼女を助けてあげなくちゃね」
「え?彼女はおそらく自分で出て行ったのだと思うのですが」
「でも、それはあなたに迷惑を懸けないためではないかしら?自分がその組織とやらに狙われていれば、
いずれあなたも見つかってしまう。そう考えて彼女は自分の意志であなたの傍を離れたのよ。きっと」
「そうなんでしょうか」
「だって、一緒に居るだけが愛の形とは限らないもの」
婦人の言う通りだった。
「僕はどうすればいいんでしょうか?」
「それは自分で考えて。あなたならきっとうまくやれるわよ」
婦人はそう言うと立ち上がり、お金を置いて行ってしまった。
僕はお礼も言えずに婦人の姿を見送った。
その時、頭の中で婦人の若かかりし頃の美しさが僕の彼女とぴったり重なった。
885 :
人参:2006/09/23(土) 15:29:50 ID:RfsmW05h0
マスク氏お帰り。
良かったよ。戻ってきてくれて。
もう二度とここには来てくれないのかと思っていたんだ。
それから君の正体が何であろうと僕には関係ないんだ。
それは本当のことなんだ。
例えば僕は男だと言ったけれど、本当に男なのかは
誰も解らない。もしかしたらゲイかもしれないし
オナベかもしれない。だってどちらも男だって
主張できるからね。でも本当に戻ってきてくれて良かった。
じゃ次は僕の番だね。僕は書くのが遅いから少し時間をください。
870と872とは同一人物なのか。
いつもランランしてたけど、ぷらすちっく人参のあのひとなのか
887 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/23(土) 16:40:36 ID:RjnQsNM3O
もう、なんていうか。
二人のマスターベーションはたくさんだよ。
888 :
マスク:2006/09/23(土) 20:05:56 ID:3fcfIL3p0
>885
待ちますよ。いくらでも。
もう急がなくていいからね。
889 :
人参:2006/09/23(土) 20:14:17 ID:RfsmW05h0
僕は彼女の面影といったものがその婦人とぴったり重なったことに気づき
慌てて店の外に出ようと席を立ち入り口のドアを開けて外に出ようとしたが
代金を払ってないのに気付きジーンズのポケットに放り込んでおいたしわくちゃの
1000円札を2枚伝票と一緒に乱暴にレジに置いて店を出た。
店を出て辺りを探したが朝の10時を過ぎた街は人の数に埋もれた喧騒と
渋滞の車のせいで婦人を探すことはとても出来なくなっていた。
僕は婦人を探しながら婦人の言った言葉を頭の中で何度も反芻した。
「自分で考えて。きっとうまくやれるわよ」
僕はしばらくその言葉を繰り返しながら歩き大きな公園にたどり着いた。
公園では平日の昼間だというのに若者やサラリーマンらしき人がたくさん集まっていた。
ギターを抱えて歌を歌い周りでその歌を聴いている人や集団で音楽に合わせて踊る人たちや
ベンチで鞄から出した書類を睨みながら電話をかけて何かを話している人達だった。
僕はこれほどの人達の中で言いようも無い孤独感やら焦燥感に包まれていた。
僕はまるで仮面の中から二つだけ開いている目から自分ではない自分になって
その景色を眺めているような気がした。いったい自分が誰なのかどうしてここにいるのか
いったい僕の見ているものが現実の物なのかそれとも誰かが作った虚像の何かを見ていて
本当の自分は存在すらしていないのではないかといった恐怖感に似たものだった。
いったい僕は何をすべきなのだろうかどこに行くべきなのかがうまく考えられなかった。
遠くに建つビルやらマンションだけが僕を取り囲んでいた。
890 :
人参:2006/09/23(土) 20:15:43 ID:RfsmW05h0
「マンション?」と僕は声に出して言ってみた。
そうだ、僕はマンションに戻り彼女に関する何かを見つけ出せばいいのだ。
おそらく阻止の人間たちは僕のマンションに監視の目を光らせているのだろうと思う。
しかし、僕はマンションに戻らなければこれからしなければ為らない事が
何一つ始まらないことに気付いた。一刻も早く自分のマンションに戻るそれ以外
今の僕には思いつかなかった。
僕は広い道路に戻りタクシーに乗り込み運転手に住所を告げた。
不思議な程道路は空いていた。まるで僕がマンションに戻るため組織の人間が
交通規制を敷いているんじゃないかと思えた。
僕は間違った選択をしているような気がした。彼らの思う壺だったのかもしれない。
そんなことが頭の中をよぎっていた時にタクシーは僕のマンションの前で止まった。
タクシーを降りて僕は辺りを見渡した。しかしどこにも不審な様子はどこにも無かった。
僕はマンションに入りエレベーターの前で自分の部屋のある階のボタンを押した。
エレベーターはゆっくりと確実にデジタル表示のカウントダウンをしていた。
何かが僕の頭をよぎった。それは何か勘のようなものだったエレベーターに乗るべきではないと。
僕はその勘のようなものに従い非常階段を上がることにした。エレベーターを使うことによって
またあの暗闇の中に迷い込んでしまうのではないかという不安だ。
僕は最近の運動不足のせいで必要以上に息を切らしてしまい何度か階段の踊り場で
休憩しながら一歩づつ階段を上り部屋の前にたどり着いた。
そして僕はジーンズから部屋の鍵を取り出し玄関の鍵を開けた。
891 :
人参:2006/09/23(土) 20:18:13 ID:RfsmW05h0
>>888 たぶん明日は書けないと思います。
いなくなる訳では無いので気にしないで下さい。
892 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/23(土) 21:33:37 ID:RjnQsNM3O
以後二人以外のレス厳禁!!
ええと・・・・・・
>>892はコテがトリップをつけないことに不満なんですか?
とくに成りすましとかも現れてないようだしつけるつけないは本人次第と思うんだけど・・・・・・・・
894 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 10:10:59 ID:FKqdxKiPO
おまえ馬鹿か?
いや馬鹿だ。
成りすましばかりだろ。
レスすんな。
もう一度言う、俺はお前達が大好きだ。
896 :
マスク:2006/09/24(日) 19:46:04 ID:oNe+uDes0
ドアを開けて中をそっと覗いても誰も出てはこなかった。
どうやら取り越し苦労だったようだ。さすがに組織も僕がのこのことマンションに戻るとは考えていなかったのだろう。
中に入って彼女の物を捜したが、洋服や靴やバックや化粧品や細々としたアクセサリーに至るまで何一つ残されてはいなかった。
彼女と僕はあまり二人で仲良く出掛けたりすることも無かったので、写真もなかった。
僕らが出逢ってほんの数週間のうちに僕は組織に眠らされ、3年間の記憶を失っていたので、
実質的に彼女と暮らしていたのは1ヶ月ほどだったのだ。
僕は出たときとほとんど変わらない姿勢でソファに座っている羊ロボを腹立ち紛れに蹴った。
すると羊ロボが急に生き返り、普通にしゃべった。
「なんてことするんだい!いくら生みの親にしたってやっていいことと悪いことがあるよ!」
僕はまさか生き返るとは思ってもいなかったのでびっくりして文字通りひっくり返った。
「なんだ、君はしゃべれるんだね」
「そりゃそうだよ。あんたがおいらを作ったんだよ。あたりまえのことを言うなよ」
「いや、僕が作ったんじゃないと思う。博士が作ったんだろ?」
「そうかもしれない。でもおいらは君の思念をもらってほぼ羊男の考えを再現できるA.Iだから、君が作ったのと同じだよ」
僕はどう答えていいのか分からなかった。僕は羊ロボに向かい合うようにソファに腰を下ろした。
しばらくして羊ロボが言った。
「博士はね、羊男が見えないんだよ」と羊ロボが言った。
僕は話の脈絡がよくつかめずに、ただ羊ロボの言葉を待った。
「博士は羊男を崇拝していたんだ。文字通り博士は戦争を羊男が止められるって信じているのさ」
「博士が羊ロボを作ったのはそのためだって、博士から聞いたよ」と僕は言った。
「おいらはあんたに本当の事をすべて話すためにここに送られてきたんだよ。
博士はあんたが急にいなくなって心配していたよ。話の続きがあったのにってね。あんただって知りたいんだろう?」
僕は自分が何を知りたいのかよく分からなかった。でも僕の返事を待たずに羊ロボは話しはじめた。
>>894 いくらネットとはいえ初対面の人間に馬鹿呼ばわりするとは・・・・・・・・
コテの2人だって貼る以上は何らかの感想も聞きたいだろうに。
それを反対するってのは少々乱暴ではないか?
だいたいなりすましはIDや文法などでわかるし、気に入らなければそいつをNGワードに入れればいいだけ。
あと君はレスをする前に深呼吸をするべきだ。
直情的なレスはまわりからも痛がられるよ。
898 :
マスク:2006/09/24(日) 19:49:33 ID:oNe+uDes0
「つまりさ、博士は戦争で中国に行って、あるモンゴル人と仲良くなったんだ。
そして彼に日本語を教え、そのモンゴル人は羊男のことを博士に教えた。
博士は羊男を紹介されても羊男が見えなくて、羊男の座っている椅子に向かってモンゴル人を同時通訳みたいにして話たんだ。
そこで博士は羊男を崇拝してしまったんだ。なぜかはおいらにも分からない。
その後博士は世界中を回って羊男が見える人を捜しては羊男に会わせてもらって、
羊男がどんな姿で、どんな物を食べて、なぜ羊男的な生活をしているのかを調べ続けたんだ。
そして博士はその天才的な頭脳で羊ロボを開発した。
組織っていうのは極秘で世界中の金持ち達が金で世界に平和をもたらすための運動をしているところで、
そこへ博士が組織の金持ちに羊ロボの必要性を説得して資金を出させ、羊ロボを世界平和の実現に利用しようとした。
そしてあんたがある日、競馬場で会った博士に酒をおごられて、酔った勢いで羊男の話をしたんだ。
あんたは酔ってて覚えていないかもしれないけど、博士があんたに目をつけたのはそのせいさ。
あんた以外の人が間違って乗らないように真夜中に確実に2回エレベーターに乗るように、彼女からあんたに人参を買いに行かせるように指示し、
組織の人間をモンゴル人に見立てて周辺のコンビニに手配したんだよ。そしてあんたはルイって男に出会ったんだ。
でもルイは元々博士が作ったクローンで、まったく同じ人間が3人いるんだよ。
博士はどうしたら羊男が見える人間が出来るのかを実験するために、中国で出逢った羊男が見えるモンゴル人を捜し、
彼のDNAを採取してそのクローンを3人作ったんだ。その一人がルイなんだよ。
そしてもう一人のクローンは吏という名前の中国人として暮らしていたけど、このあいだ誰かに殺されたんだよ。
クローンって言っても現在の技術では女性の子宮を再現することは不可能だから、子どものいない3人の女性に出産してもらったんだ。
一人はそのモンゴル人の息子夫婦、もう一人は中国人の吏夫妻。もう一人は日本人で組織の人間だよ。
いくらクローンでも普通の人間に変わりはない。彼らはそれぞれの生まれた家庭で慎重に観察されながら育てられた。
でも3人ともまったく羊男が見えないということが解ったんだ。
899 :
マスク:2006/09/24(日) 19:51:24 ID:oNe+uDes0
つまり、羊男が見える人間を人工的に作ることは不可能で、あんたはその希な人間の一人っていうわけだよ。
そして組織はあんたの頭の中を覗いて、その想像力による思念の映像化の能力を発見したんだ。
でも羊男的思念はだんだん薄れて行くことが解った。はじめは良かったんだけど、最後の方にはその映像はぼやけてきた。
まるでコピーを続けていく内に文字が読めなくなるみたいにさ。
だからあんたを組織はモンゴルへ行かせて、羊男に会わせようとした。
組織がモンゴルにあんたを行かせたのは何も知らずにルイの祖父に会わせるためさ。
彼があんたに羊男のところへ連れて行かせ、そこで羊男の思念を再現させるためだった。
でもルイのおじいさんはあんたに羊男を会わせなかった。きっとそうしないほうがいいと思ったんだろうね。
博士はまたあんたを調べるために彼女を使って組織の施設まで来させたけど、
博士はあんたと話している内にあんたがあんまり羊男に興味がないって解ったんだね。
あんたが求めているのはもっと別なことだ。世界平和でも羊男の保護でもなく、もっと平凡なものだった。
それを知った博士はあんたをそっとしておくことにした。
でも彼女が早合点してあんたを先に連れ出した。彼女は別に逃げる必要なんか無かったんだよ」
僕は話の流れを止めずに聞き入っていたが、羊ロボが話を止めたのに気がついて質問をした。
「それじゃ、組織は僕のことも、彼女のことも自由にするっていうんだね?」
羊ロボはよく分からないという顔をして言った。
「当たり前じゃないか。嫌がる人間を無理矢理使って、世界平和は実現しないよ。
組織は別に恐いところじゃない。ただ単に考え方が一般的とは言えないだけだよ。」
「ルイも、生きているんだね?」
「もちろんさ。彼はクローンの中でも最も優れた人間だよ。優しくて思いやりがある。
彼が必死で勉強して医者になったのは当然のことだよ。ご両親を愛していたしね」
900 :
マスク:2006/09/24(日) 19:52:05 ID:oNe+uDes0
僕はルイが生きている事が嬉しかった。彼はモンゴル人にしてはあまりにも洗練され過ぎていたけど、
それでも僕が彼に会ったときの印象は本当に好青年だったし、僕は彼が犯罪者だったとはうまく信じられなかったのだ。
「それはよかった。彼が今後組織とは関係のない世界で自分の使命を全うしてくれるならそれに越したことはない」
僕は羊ロボが語る話を何故か他の誰の話よりも信用して聞くことが出来た。
それは彼が人間では無いことが原因かもしれなかったが、そう考えると、人間の方を信じられない事は悲しい事実だった。
僕は急に彼女の行方が心配になった。
「彼女は僕を助けた後、一人で消えてしまったんだ。
彼女はたぶん、組織が自分の命を狙っているって信じていて、僕と一緒にいたら迷惑が掛かると思っているみたいなんだ」
「そうか、どうりで僕がここへ来たときにはもう彼女の持ち物らしきものが何も無かったわけだ。
おいらは彼女が組織から最後のお金を受け取ってどこかへ行ってしまったのかと思ったよ」
「そんなはずは無いと思う。いや、思いたい。僕は彼女を愛しているんだ」
「そうなんだ。それじゃ、組織に最後に彼女を捜し出してもらうかい?」
僕はそうしてもらうのが一番早いとは思ったが、彼女が万が一組織に追いつめられて早まった事をするのでは無いかという心配も頭をよぎった。
「いや、僕が自分で捜すよ。僕には組織から受け取った莫大な資金がある。
たった一人の女性くらい、自分で捜すよ」と僕は半分自分に言い聞かせながら言った。
うわ・・・・・・・
初めてリアルタイムでのレスをみた・・・・・・・・
>マスク氏
いつもご苦労様です。
あと、投稿中間に入ってしまってすみません。
902 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 19:55:55 ID:FKqdxKiPO
>>897 ならあんたはどのレスが偽人参、偽マスクかすべてわかるか?
深呼吸しようがお香を焚こうがあんたはやはり馬鹿だ。
理由は言わないでおくよ。
903 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 19:57:57 ID:FKqdxKiPO
あとな、マスク姫は人から批評されるのが大嫌いらしいから感想のレスなどいらん。
904 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 20:03:32 ID:B4P5v4bkO
はいはい。
sxTJ2bnd0 もマスクの自演だよ。
ご苦労なこって。
905 :
マスク:2006/09/24(日) 20:06:09 ID:oNe+uDes0
あ〜〜〜疲れました。
もうすぐ完結ですね。
人参、頑張って彼女を捜し出してね!
906 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 20:06:51 ID:B4P5v4bkO
君は凄いよ〜
907 :
1:2006/09/24(日) 20:07:16 ID:sxTJ2bnd0
マスクの名誉のためにいってておくが、
俺は1でここを最初に立てたものだよ。
908 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 20:07:38 ID:B4P5v4bkO
誰にも真似出来ないよ〜
909 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 20:08:31 ID:B4P5v4bkO
僕とプレイしようよ〜
910 :
1:2006/09/24(日) 20:08:31 ID:sxTJ2bnd0
呼び捨てにして申し訳ない。
マスク氏でした。
911 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 20:09:37 ID:B4P5v4bkO
ばっかじゃないの?
912 :
1:2006/09/24(日) 20:10:40 ID:sxTJ2bnd0
で、もう900過ぎたんで聞くけど、次スレはたてたほうがいいのかな?
950まで意見を募ります。
913 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 20:14:09 ID:B4P5v4bkO
今更スレ主ブってるんじゃね〜よ
荒れてた時に何もフォローしねぇくせに。
914 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 20:21:56 ID:FKqdxKiPO
新スレなんかマスクか人参がてめぇでやるだろ。
でしゃばんな>1
915 :
マスク :2006/09/24(日) 20:24:49 ID:B4P5v4bkO
頑張ってウォーリーを探し出してね (o^-')b
916 :
マスク:2006/09/24(日) 20:27:24 ID:oNe+uDes0
負け犬って本当に遠吠えするんだね。
まあいいさ、言わせておけば。
恥ずかしい人間というものはいつまでも恥ずかしいままだ。
>1
僕はこのスレで引退したいと思う。人参がうまく完結させてくれると思うよ。
また君が気が向いたときに立てなよ。
そのときもし書けるようだったら書くさ。
>>909 お断りだ。恥じて氏になさい。
917 :
マスク:2006/09/24(日) 20:28:07 ID:B4P5v4bkO
ウォーリーは最高だよ。
誰にも真似出来ないよ〜。
僕は友達がいないキモ女だよ〜。
プレイしようよ〜。
>>914 そうですね・・・・・・
でしゃばって申し訳ありませんでした。
すれ汚しすみませんでした。
919 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 20:32:53 ID:B4P5v4bkO
『僕はこのスレで引退したいと思う』
もう何度も聞いてるよ〜。
君は凄いよ〜。
最高だよ。
だれも真似出来ないよ〜。
プレイしようよ〜。
920 :
マスク:2006/09/24(日) 20:36:28 ID:B4P5v4bkO
僕はヒステリックで見栄っ張りで負けず嫌いなフリーターだよ〜。
プレイしようよ〜。
921 :
1:2006/09/24(日) 20:37:26 ID:sxTJ2bnd0
最後にマスク氏
本当におつかれさまでした。
そうですね・・・・・・・
また、おたがいに村上春樹が必要になったときにお会いしましょう。
922 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 20:46:46 ID:FKqdxKiPO
1はマスクの自演だよ〜
プレイしようよ〜
923 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 20:50:58 ID:B4P5v4bkO
せっかく来たんだ、春樹的に書いていけよ。スレ建てといて出来ないわけないよな!>1
924 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 20:53:53 ID:B4P5v4bkO
だな。
ほら書けよ>1
まわりがびっくりするくらいにさwwww
925 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 20:56:47 ID:FKqdxKiPO
『僕はこのスレで引退したいと思う。』
926 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 20:57:27 ID:B4P5v4bkO
『僕はこのスレで引退したいと思う。』
927 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:01:46 ID:FKqdxKiPO
『B.K.I』
928 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:03:26 ID:B4P5v4bkO
『B.K.I』
929 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:06:38 ID:FKqdxKiPO
『誰にも真似できないよ〜』
930 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:07:35 ID:B4P5v4bkO
『D.M.D〜』
931 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:08:22 ID:FKqdxKiPO
『君は凄いよ、最高だよ』
932 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:09:26 ID:B4P5v4bkO
『K.S.S』
933 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:11:20 ID:FKqdxKiPO
『僕とプレイしようよ』
934 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:11:53 ID:B4P5v4bkO
『B.P.S』
935 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:46:43 ID:B4P5v4bkO
『仕事でフランス行ってただけ。』
936 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:47:44 ID:FKqdxKiPO
『S.F.I』
937 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:48:45 ID:B4P5v4bkO
『ワインの価格が気になってね。』
938 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:49:46 ID:FKqdxKiPO
『W.K.K』
939 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:50:57 ID:B4P5v4bkO
『なんで?すごくいいよ。本当にナイスガッツだよ。』
940 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:51:56 ID:FKqdxKiPO
『N.S.H.N』
941 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:52:34 ID:B4P5v4bkO
『僕はプレイヤーを待ってるだけだよ。』
942 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:53:16 ID:FKqdxKiPO
『B.P.M.D』
943 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:54:27 ID:B4P5v4bkO
アイマスク 08/08(火) 11:12 didq9zlS0>500うん。へんなのがいないときにね。違う名前で帰ってくるよ。
( ̄ー ̄)ニヤリ
944 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:55:35 ID:FKqdxKiPO
違う名前?
ププッ/(.^.)\
945 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/24(日) 21:58:23 ID:B4P5v4bkO
違う名前・・・
( ̄ー ̄)ニヤリ
犬かトラか知らないけど、引き取り手いませんかぁ
「あなたってほんとに不用心なのね。いくら安全神話があるにしても。
そもそもの発端が何だったのか、本当に分かっているのかしら。」
そう、彼女は組織の人間であったのかも、なかったのかもしれないが、
ふつうの人間であったかもしれないのだ。
そして、普通の人間があっという間に組み入れさせられたのは何故か。
そもそものどういう感情が発端かは保留のままだった。
とりあえず、保留になっているのか、自信はなかった。
>ププッ/(.^.)\ さん、クン。れっきとしたFeさん。
いいかげんやめなはれ。と言っても止めないんだったね。
言葉にならない無茶語をただ連発することでも、口喧嘩に負けたことがないって言えるんだったね。
まぁ迷惑をかけているだろうとは思っていたけど、ここまで迷惑をかけていたんだね。
みなさま、ほんとうに/(.^.)\ がご迷惑をおかけしました。
こちらもおかけさせられました。
/(.^.)\ は、話の中身には興味ありませんし、解りません。
ただ顔を穫ることのみが興味の対象です。
物語の完成が、みんな不幸になると直感したのはいくらほんとうの物語が始まっても、
どこからともなく嗅ぎ付けて信頼を落とし、めちゃくちゃにする為です。
どの人参氏かも解らなくなったけど、/(.^.)\ と続けるのはよしなさい。
そして、組織なぞというものはないのです。
もぐるのは、自分自身の間違い探しの為だけであることを理解して、他に、社会に不必要に働きかけるのを
やめなはれ。
社会の一員に返れ。
といっても無理かなぁ。どうせうそばっかりだよなぁ。
まさか( ̄ー ̄)ニヤリじゃないだろうな。
あれもこれも、きっかけの存在を教えたのはワタシです。
もしかして村上春樹をも間接的にしろ教えたのはワタシかもしれません。
付け焼き刃で少ししか読んでいないので、少しの形しかなぞれないのもその為でしょう。
それにしても今度は彼が行方不明だった。
どちらだろう
951 :
人参:2006/09/25(月) 11:51:06 ID:55qGbKeiO
今一生懸命考えてます。
書くのが遅いもので。
952 :
本当にあった怖い名無し:2006/09/25(月) 12:37:54 ID:NmIAFKq2O
何故そんなに必死なの?
顔も知らないマスクにそんなに気に入られたい?
下に見られてるのに。
所詮人参と思われてるのに。
『最高だよ。ナイスガッツだよ。誰にも真似出来ないよ。』とおだてられ。
マスク以外に君のレスを褒めた人間は果たしていたか定かでない。
君を見てると哀れで悲しくなる時がある。
953 :
人参:2006/09/25(月) 13:30:24 ID:Ci0CwJuY0
僕は羊ロボの話を聞き少しほっとした。もう僕達は組織に狙われてないことにだ。
少なくとも彼女は生きているだろう。そう思うことが出来ただけでも安心できた。
「さて。」と僕は声に出していってみた。
そして風呂場に行き熱いシャワーを浴びて髭を剃った。
その後洗面所に行き歯ブラシにたっぷりの歯磨き粉を付け丁寧に歯を磨きそして顔を洗った。
そうすることによってかなり頭がはっきりしてきた。
僕はまるで何かの儀式が始まる前のように新品の下着をはきアイロンの掛かったシャツを着
洗い立てのジーンズに穿き替えた。財布の中身を確認した後に僕は昨夜の彼女の話を思い出した。
彼女は茅ヶ崎で育った事。そして平塚には厭な思い出が有った事をだ。
きっと厭な事や辛い事が遭ったとき彼女は戻る場所は1つしかないと僕は思った。
僕は茅ヶ崎に行くべきだと考え羊ロボに向かって
「ちょっと出かけてくる。いつ戻ってこれるかはわからないけど。」と言った。
「きっと良い事があるよ。気をつけて行って来ると良いよ。」と言った。
僕は玄関で新品のテニスシューズを靴箱から取り出し左足から履いた。
マンションのエントランスからは外に僕のワーゲンが停まっていた。
おそらく組織の誰かが置いていってくれたのだろうと思った。どうせならベンツのほうが良かったのにと思った。
僕は国道を西に向かってワーゲンを走らせた。相変わらずエアー・コンディッショナーの効きは
悪かったけれど、それでも僕の手足のようにいうことを良く聞いてくれた。
太陽がだいぶ西に傾いたころ茅ヶ崎の海岸のそばの通りに出た。
僕は適当な空き地にワーゲンを停め濃紺から金色に変わっていく海を見ながら砂浜を歩いた。
しばらくすると背後に人の気配を感じた。
954 :
人参:2006/09/25(月) 13:30:56 ID:Ci0CwJuY0
僕が振り返ると朝の街の喫茶店で僕の話を優しく聞いてくれた姿勢のいい白髪を美しくまとめた婦人だった。
「あら、あなた朝の?」と婦人は言った。
僕はあまりに驚いて声も出せずに立ち尽くした。どうして婦人が僕の前にいるのかうまく理解できなかった。
「この辺の砂はね、こうやって歩くとほら、足の周りにいくつかの穴があくの。あなたもやって御覧なさい。」
と婦人は僕に言った。僕は「はっ」として我に返り婦人のいうとおり足下を見ながら歩いてみた。
足が着くとテニスシューズの周りに竹串を刺したよう名いくつかの穴があいた。
「ねえ不思議でしょう?この事はこの辺に住んでいる人しか知らないことなのよ。
それでも最近はずいぶん海も汚れてきたから穴のあくところも随分減ってきているのよ。
余所からやってきた人は海や空や遊ぶことしか頭に無いからそんなこと誰も気づきもしないのね。
だからあなたには足下よく注意して生きてみて欲しいと思っているのよ。」
僕はうまく声を出すことが出来ずに婦人の顔をずっと見続けていた。
朝そう思ったようにどこと泣く彼女に似ていた。話し方や仕草まで似ているような気がした。
「あら、そんなに私の顔を見て何か付いているのかしら?」と白い上品なハンカチを頬に当てた。
「いえ、そうじゃないんです。朝お話しした彼女に、あなたが似ているような気がするんです。」
そして彼女が茅ヶ崎に住んでいたことや平塚で働いていたことを話した。
婦人は僕に優しく微笑みかけ「じゃあ私の後を着いいらっしゃい。」と言った。
955 :
人参:2006/09/25(月) 13:33:06 ID:Ci0CwJuY0
>>1 次スレたてるたてないはあなたにお任せいたします。
>マスク氏
思い切ってエンディングお願いします。
956 :
マスク:
僕は婦人の後を歩いたが、彼女は決して歩くのが遅くはなかった。
常に歩いていた時代の人の歩き方だ。早くも遅くもなく、純粋に機能的に歩いているのだ。
そして婦人の歩き方はびっくりするほど彼女に似ていた。
確信に満ち、自分の歩く場所の正否を微塵も疑っていないのだ。
そうして茅ヶ崎の海岸沿いから住宅街へと入っていき、婦人はある一件の民家に入った。
昭和40年代に建てられた、古いが趣のある手入れの行き届いた家だった。
僕はそこが彼女の実家であるということを見た瞬間から確信した。
婦人が玄関から何も言わずに中へ入り、当然のように僕を招き入れた。
そして婦人は家の2階に向かって僕の彼女の名前を呼んだ。
「なあに?おばあちゃん」
そう言いながら彼女が下の階に降りてきた。リラックスした服装でよく人が実家でするように。
彼女は僕を見て驚いた様子だったが、すぐにその美しい顔が喜びと戸惑いで歪み、瞳が涙で美しく光った。
「どうしてこんなとこにいるのよ?」と彼女が言った。
「迎えに来たんだよ」
「だって、一緒になんて居られない。私もうすぐ・・・」「もう終わったんだよ」
「え?」
「もういいんだ。すべて終わった。組織は君も僕も捕らえたりしない。何も心配はいらないんだよ」
「本当に?」
「ああ。本当だよ。もう、僕にも誰にも嘘なんてつかなくていいんだ。誰も裏切らなくていいし、誰も君を傷つけたりしない」
僕らは静かに抱き合い、深く心に届くようなキスをした。僕らを隔てている物はもう何もなかった。
「さあ、家に帰ろう」と僕が言うと、彼女が何も言わずに頷いた。
完