貧乏にまつわる怖い話

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3他スレより
471 名前: 長いよ 投稿日: 02/05/29 20:16
家出少女と一緒に暮らしている。今も。



彼女と出会ったのは、東京郊外、小○○市という小さな街の繁華街。
真冬なのに、彼女はジーンズとブラウス1枚という格好だった。

当時、俺はフリーターをしていた。
その日も、俺はパチンコをして、換金所に行った帰りだった。
ライター石を現金に代えた俺は、数枚の一万円札をしまおうと、財布を取り出した。
その拍子に、余りの玉で貰ったチョコが、ポケットから落ち、転がった。

彼女は、チョコが転がった先、ゴミと化した放置自転車の山の陰にいた。
4他スレより:2006/04/20(木) 09:53:16 ID:zZdu+m1S0
472 名前: 長いよ 投稿日: 02/05/29 20:17
じーっとチョコを見ている彼女。危ない目つき。
髪はボサボサで、あちこち小汚い。あからさまに、普通じゃない。まんま、浮浪者。
だが、俺が見ているうちは、彼女は少しも動かなかった。

俺が彼女から視線を外したとき、彼女がチョコを拾う気配がした。
面白がって、急に振り向く俺。
びくっとする彼女。
捨て猫みたいで、面白かった。

普通なら、そんなのに近づいたりは、しないよな?
だが、俺はなぜか彼女に近づき、言った。
「何か食べにいかないか?」

ただのヒマツブシだった。
からかい半分の遊びだった。
危ない奴かもしれないが、そんときは、逃げちまえばいい。
そう思っていた。
パチンコで勝って金があったのも理由の一つだろう。
実はこのときは、彼女が少女であるということも、わかってなかった。
女ということは辛うじてわかったが…そのくらい、彼女は汚れていた。
いずれにしても、ナンパとかじゃなく、ただの遊びだったんだ。

俺の誘いに、彼女はビクビクしながらも、こくんと肯いた。
5他スレより:2006/04/20(木) 09:53:56 ID:zZdu+m1S0
473 名前: 長いよ 投稿日: 02/05/29 20:18
彼女を連れて歩きはじめてから、俺は気がついた。
彼女は、かなり汚い。
このままじゃ、どこの店にも入れない。
いや、それどころか、一緒に連れて歩くこともできやしない。

俺は彼女を、ホテルに連れ込んだ。
もし嫌がられれば、この遊びは早々にしておしまい、と思っていた。
だが、彼女は嫌がる様子もなく、俺と一緒にホテルに入った。

俺にはそんな気はなかったんだが、彼女は、覚悟していたのかもしれない。
ただで食事を食べさせてくれる人はいない、お金は身体で払うもの、と。
6他スレより:2006/04/20(木) 09:57:45 ID:zZdu+m1S0
474 名前: 長いよ 投稿日: 02/05/29 20:18
とにかく、風呂だ。

彼女を風呂に入れようと、服を脱がせた。
このときになってはじめて、俺は彼女がまだ子供であるということに気がついた。
背は低かったが、それなりに女っぽい身体つきをしていたから、20代だと思っていたんだが…。
胸は小さく、痛々しく、陰毛も薄い。高校生か、もしかしたら中学生かも。

彼女は恥ずかしそうな態度も見せず、されるがままに、ぼーっとしていた。

張ったお湯はすぐに茶色く濁った。
シャワーで彼女の髪を流す。
備え付けの小さな石鹸は、泡立つことさえなく、消えた。
フロントに電話をし、石鹸をたくさんと、新しい下着を売って貰った。
下着は、あまり実用性のない(Hには実用的なんだろうが)ものだったが、ボロ布と化した彼女の下着よりは、マシだ。
ダメもとで彼女の服を頼んだら、従業員が近くの○崎屋で買ってきてくれた。
トレーナーに、ジーンズ。それから、パーカー。ブラはないが、ま、仕方がない。律儀にもレシートを渡されたが、それより多目に払っておいた。
7他スレより:2006/04/20(木) 09:59:28 ID:zZdu+m1S0
475 名前: 長いよ 投稿日: 02/05/29 20:19
極限まで、お腹が空いていたらしい。
彼女は言う。
チョコを拾った記憶もない。
とにかく、死にそうだった。
俺が彼女の身体を洗っているときも、意識は朦朧としていた。
そのくらい、彼女はお腹が空いていたらしい。
俺に誘われ、たとえ身体を売ることになっても、仕方がないと思った、と彼女は言う。
どうせ売るなら、ここまで我慢しなきゃいいのにね、でも、できなかったの、とも。

彼女の言葉には、東北の訛りがあった。
家出、それも本格的なものだと、俺は思った。

ルームサービスで、ピザやら何やらを適当に頼んだ。
その間、冷蔵庫からコーラを出し、彼女に渡した。
乾き物のピーナッツとポテチがあったので、それも差し出した。
彼女は、一瞬だけ躊躇したかと思うと、それを食べはじめた。
食べながら、彼女は泣いた。泣きながら、食べた。
やがてルームサービスが届き、それらをテーブルに並べた。
彼女は、やっぱり泣きながら、それを口に運んだ。
だが、ほんの少しだけで、彼女は食べるのをやめてしまった。
遠慮している訳じゃない。
何日も食べていなかったため、もう食べられないらしい。

泣いていたのは、なぜかわからないと言っていた。
8他スレより:2006/04/20(木) 10:00:30 ID:zZdu+m1S0
476 名前: 長いよ 投稿日: 02/05/29 20:20
「もう行こう」と俺が言うと、彼女はきょとん?としていた。
「どこに?」というきょとん?なのか、それとも「Hなことしないの?」というきょとん?だったのか、それはわからない。
だが、そんな彼女に俺は、こう続けた。
「俺のアパートに行こう。行くところがないんだろ?食べ物と、布団と、お風呂くらいはあるよ」

俺にとって、もうこのときから、すでに遊びじゃなくなっていたのかもしれない。

こうして、俺は彼女と、一緒に暮らすことになった。
俺は彼女に、名前も、年齢も、何も訊かなかった。
彼女はもちろん、緊張と警戒をしていた。だが2日経っても3日経っても、俺が何もしないのと、何も訊かないのとで、しだいに打ち解けてくれるようになった。

一週間くらいして、はじめて、彼女は笑った。
そして少しずつ、自分のことを話しはじめた。
名前に、年齢。
18歳だと彼女はいった。俺は信じることにした。
家出していること。でも、帰りたくないこと。
出身地は、やはり東北の農村地だという。

本当なら、しかるべきところ、警察なり何なりに届けるべきだったと思う。
だが、俺は、そんな気になれなかった。

彼女とはじめてセックスしたのは、2ヶ月以上経ってからだった。
彼女は、処女だった。
9他スレより:2006/04/20(木) 10:02:52 ID:zZdu+m1S0
477 名前: 長いよ 投稿日: 02/05/29 20:20
やがて俺は、フリーターではなく、正規の社員として働くようになった。
以前の俺からは考えられないくらい、真面目になった。
それまでも、何人かの女と付き合ったことくらいあるし、同棲だってしたことがある。
だが、俺にどういう変化があったのかはわからないが、彼女と暮らしてから、俺は真面目になった。

1年が過ぎ、2年が過ぎ、3年が過ぎた頃。
俺は彼女にプロポーズをした。
このままじゃ、保険も何もない。いや何よりも、彼女と結婚したい。
もし両親がいるのなら、俺も一緒に、結婚の許しを貰いに行く。
帰らなかったのは、俺が引きとめたからでもある。一緒に謝る。
だから、結婚しよう。

でも、彼女は、肯いてはくれなかった。
あと1年だけ、待って欲しい、と。
10他スレより:2006/04/20(木) 10:04:07 ID:zZdu+m1S0
478 名前: 長いよ 投稿日: 02/05/29 20:21
約束の1年が過ぎ、俺は再び、彼女にプロポーズをした。
しかし彼女は、強張った顔をして、俺に言った。

「…お話が、あるの」

彼女の話は、俺の想像の少し上だった。
かなり、かもしれない。
11本当にあった怖い名無し:2006/04/20(木) 10:06:10 ID:9wSqEDL00 BE:362308649-

  ( ・∀・)
12本当にあった怖い名無し:2006/04/20(木) 10:07:29 ID:ctStfXnv0
続きはー?
13本当にあった怖い名無し:2006/04/20(木) 10:07:56 ID:ppRMGRAGO
早く早くo(^□^)o
14他スレより:2006/04/20(木) 10:08:17 ID:zZdu+m1S0
479 名前: 長いよ 投稿日: 02/05/29 20:25
彼女は、東北の農村地に生まれた。家は貧乏農家だった。
生まれたと同時に、母親を亡くした。
父親は、それでも彼女を育ててくれた。
だが、小学校6年の冬に、その父親も亡くなった。
両親とも、風邪をこじらせたのが原因だと思う、と彼女は言う。
保険には入っておらず、薬を買うお金もなかった。
生活は、ほとんど自給自足に近く、酷いものだったらしい。
俺は詳しくわからないのだが、農協(?)とやらにも関わっておらず、村八分に近いものがあったのだろう。
というのも、彼女の家は、その一帯で「忌み嫌われていた」というのだ。

彼女の両親は、兄妹だった。戸籍上は、父親不明。

父親が他界したとき、彼女は近くの家(10Km以上離れている!)に行き、そのことを伝えた。
しかしその家の人は、ただ何も言わず、彼女を追い返したという。

布団の中で冷たくなっている父親の前で、彼女は2日間、泣いていたという。
2日経って、市役所の人と、学校の先生と、警察官が来た。

彼女に親戚はなかった。俺が思うに、たぶん血縁者は、近くにいたのだろう。だが、彼女の家は「忌み嫌われていた」。
結局、彼女は施設に入れられることになった。
15他スレより:2006/04/20(木) 10:10:29 ID:zZdu+m1S0
480 名前: 長いよ 投稿日: 02/05/29 20:26
彼女は、家にあるお金をかき集めた。
金額にして、3000円ちょっと、だったという。
そのお金で、彼女は東京に出てきた。
当然、キセルなんだが…はじめは、東京まで来ようとは思っていなかったらしい。
とにかく、遠くへ逃げたかっただけ。

土地勘もないまま、東京から新宿、新宿から東小○○へとたどり着き、ふらふら歩くうちに、小○○市の繁華街で、俺と出会った。

そう、俺と出会ったときは、彼女はまだ小学校6年生だった。
プロポーズを待って欲しいと言ったのは、16歳、結婚できる年齢まで待って欲しい、ということだったんだ。
16他スレより:2006/04/20(木) 10:12:07 ID:zZdu+m1S0
481 名前: 長いよ 投稿日: 02/05/29 20:26
彼女と一緒に、彼女の生まれ故郷へ行った。

母親も父親も、近くの寺に無縁仏として、放り込まれていた。
俺たちは、寺の住職に話をして、いつかお金を貯めて墓を作りにくるから、せめて無縁仏として扱うのは止めてくれないか、と頼んだ。
住職は、彼女のことを覚えていた。彼女に手を合わせ、何かを言っていたが、何て言ったのか、俺には聞こえなかった。
ただ、彼女の両親の供養と、それから、すぐには無理だが、できるだけ早くに墓を作ってくれると言ってくれた。墓代は、俺の出世払いでいい、とも。ちょっと、驚いた。

市役所に行き、彼女の転出届を提出してきた。
彼女の住んでいた家は取り壊されていた。大家を探したが、見つからなかった。けじめとして、溜まっていたであろう家賃を(一部でも)払うつもりだったんだが…。

彼女の通っていた小学校にも、行ってきた。
幸いにも、彼女はその学校に最後まで在籍し、卒業したという扱いになっていた。
ただ、当然だが、彼女が中学校に在籍した記録はない。

彼女の最終学歴は、今も小卒のまま。
17他スレより:2006/04/20(木) 10:13:24 ID:zZdu+m1S0
482 名前: 長いよ 投稿日: 02/05/29 20:27
東京に戻り、俺たちは結婚した。

俺の実家に彼女を連れて行き、親父とお袋に、紹介した。
いきさつのすべてを、俺は話した。それは、彼女の希望でもあった。

親父とお袋は、「それがどうした?」って顔をして、祝福してくれた。
いい親だと、思った。

しばらくして、住職から手紙が届いた。
俺たちに、渡し忘れたものがあるという。
それは、彼女の父親の遺書、だった。
彼女の家を取り壊すときに、見つかったらしい。
見つけた人も、捨てるに捨てられず、住職に渡したのだろう。

そこには、どうやって手に入れたのだろう、○○ホテルの食事券が入っていた。
そして「ムスメノ○○ニ」とだけ、券に直接、鉛筆で書かれていた。

滑稽だよ。でも彼女の父親は、これしか残せるものがなかったんだ。
もし笑う奴がいたら、ぶっ殺す。


家出少女だった彼女と、俺は一緒に暮らしている。今も。