69 :
本当にあった怖い名無し:
「さっきから死ぬ死ぬって、俺が死ぬとは限らないだろ」
俺はやっとの思いで言った。
猫の歪んだ笑みに圧倒されて指一本動かせなかった。
「覚えてた方が報われると思う。」
猫は、また嗤った。
「それが外に出ないうちはまだ良いだろう。
あいつもお前がどこにいるのか分からない。
が、どうだ。お前はそいつで、」
俺のパソコンを示した。
「不特定多数に情報を差し出しただろう。
それがどんなに恐ろしいことか、分かっているのか?
顔も知れぬ誰かに危害が及ぶかも知れぬ。
その可能性を考えなかったのか?」
考えられる訳が無い。そもそも状況が飲み込めていないのだ。
伝わると何か悪いことでもあるのか。
そう尋ねると、当たり前だと返された。
知らなければ何も起こらないそうなのだ。
「忘れれば俺が全て無に帰してやったと言うのに」
どこかさびしそうに猫は呟いた。
お前が何とかしろ、と。
「どうなるかはお前次第だ。知ってしまったからには後戻りは出来ぬ。
時は迫っている。箱は開けられたのだ。閉じることは出来んぞ。」