1 :
本当にあった怖い名無し:
2 :
本当にあった怖い名無し:2006/03/04(土) 20:07:53 ID:GxE9eEddO
2いさん
http://cthulhu.hp.infoseek.co.jp/dic.merytel.html メリーさん電話
読み=【メリーサンデンワ】
別名=【メリーさん】
種別=【都市伝説、電話の怪異、人形(ケースによる)】
使用する力=【電話をかける】
持ち物=【】
出身=【日本】
引っ越したばかりの女の子が前の家に「メリーさん」という名前の人形をおいてきてしまった。
一人でマンションの十一階の部屋で留守番している時、電話がなり、
「わたしメリーさんよ」ときた。「どこにいるの?」と女の子が聞くと
「あなたのマンションの一階にいるの」といって電話が切れた。
翌日も留守番している時に同じ人物から電話が来て今度は
「あなたのマンションの二階にいるの」といって切れた。
それは毎日かかってきて、聞くたびに自分の住む部屋の階に近付いてくる。
ある日、電話の相手は「あなたの家の前にいるの」といってきたので、女の子は玄関を開けたが誰もいなかった。
また部屋の電話がその時鳴ったので出てみると、
「わたしメリーさんよ。今あなたの後ろにいるの」
という話である。これは毎日ではなく、一日の中で上りきってくるケースもある。
他に、轢き逃げにあって死亡したメリーさんという女の子が、犯人の住むマンションに電話をかけてくるというものや、ホテルに泊まっている少女の部屋に、メリーさんという人から電話が来るというものもある。
4 :
本当にあった怖い名無し:2006/03/04(土) 21:30:28 ID:u3PMMx3NO
ひまなんだな
ナカーマ
6 :
名無し:2006/03/04(土) 21:50:15 ID:8b+RTcI5O
書きたいから書く。ひまじゃぁないんだなこれが。
まぁ独り言ですが。
んなことより
>>1乙。
1乙
スレ建、おつかれさま。
まとめの方もう少しまってね。
ごめんあさいです。
9 :
始まりの死、始まりの生:2006/03/04(土) 22:30:25 ID:yGIAJ6yn0
126さん、無事ですね、よかったよかった。
11 :
誰いな:2006/03/04(土) 23:40:38 ID:lmzjVA7AO
第四十九話
青木ヶ原樹海・・・。
空気は冷たいが、風がないおかげか凍えるほどではない。
マーゴ達は相模原市内のショッピングセンターで、既にアウトドア用の衣服に着替えていた。
ライラック、ガラハッド、義純の三人はサバイバル用の大きな荷物を担ぐ・・・、
中にはどんなものが入っているのだろうか・・・?
・・・広大な樹海を前にして、伊藤はレッスルに話しかける。
「こっからはどうするんです? ・・・やっぱり麻衣に・・・?」
「いや、お嬢ちゃんに道筋が見えたとしても、それはメリーの通った道かもしれん。
彼女の通った道が、我々に歩ける道とは限らんからのお、
・・・次はわしの番じゃな、
もちろん、ここで見たものは内緒にしてくれよ?」
老人は彼らの元から離れ、一面に広がる暗い樹海に向かって高々と杖を振り上げた・・・。
そして周りの者には意味の分らない、呪文のようなものを大きな声で詠唱し始めたのだ。
すると、どうだろう?
樹海のあちこちから、一斉にカラスの鳴き声があがり始めたのだ。
そのうち、一羽の大きなカラスが大きな羽ばたきと共に彼らのそばまでやってくる。
「おー、よしよし、うまくいきそうじゃな?
可愛いカラス達よ、赤い魔法使いめが、この林のどこかの洞窟に出入りしてるはずじゃ。
そこまでの道を教えてくれんかね?」
そう言うと、カラスは一鳴きしてすぐにそこを飛び去った。
グワァ!
すぐにカラスの大合唱が始まる、まるでみんなで大激論を交わしているようだ?
一同、驚きで声も出ない・・・。
麻衣だけが楽しそうに喜んでる。
しばらくすると、カラス達は静かになり、先程の大きいカラスだけが戻ってきた。
「見つかったか!? よし、それでは案内してもらうとするかの?
おまえさん方、出発じゃ、カラス達の鳴き声のするほうに歩き始めてくれ!」
「すっごーい! さぁっすが大魔法使いぃぃ!」
「なぁーに、こいつらは頭が利口じゃからの、しかもこの国にはたくさんおるようじゃ・・・、
わしらの風が吹いておるぞい。」
第五十話
一定の方角から本当にカラスの鳴き声がする。
その声は、樹海の彼らが歩ける道に沿ったものではなかったが、
戸惑いながらも確実に目的の洞窟の入り口にまで近づいていった。
そうこうしているうちに、いよいよカラスの声が頭上に聞こえるようになっていた。
しかし、見たところ鍾乳洞の入り口らしきところはない。
「ここ!」
麻衣が指差したのは、切り立った岩場の、足元の草が生い茂った場所だった。
茂みを掻き分けると、一メートルほどの、確かに奥が見えない洞穴がある。
「いよいよ、奴の居城じゃな・・・。」
慎重なガラハッドが声をかける。
「・・・相手も魔法使いなんですよね?
何かしらの仕掛けや罠があるんでしょうか・・・?」
「・・・そう考えておくべきじゃろうな・・・。」
入り口に入ると、奥のほうはそれなりの高さを持っている事が分る・・・。
一番身長のあるライラックも、もう、かがむ必要はないようだ。
広い道筋に出ると、足元に冷たそうな水がチョロチョロ流れている。
足音が響く・・・、どのぐらいの奥行きなのだろうか?
「ここから先は、またお嬢ちゃんに任せるしかないの。
カラスはここまでは入らんからのう・・・。」
彼らの周りでは、時折こうもりが飛び交っているようだ・・・。
羽音と、チチチという泣き声がかすかに聞こえる。
そしてそのうちの何匹かは、彼らの主人の下へ飛んでいった、
彼らの聖域へ侵入した者がいると告げるために・・・。
第五十一話
先頭は義純が任されていた。
続いて伊藤親子、ガラハッド、レッスル、マーゴ、
そして殿をライラックが務める。
今のところ義純にも危険なものは見出せない・・・。
鍾乳洞は、時折、道のような道でないような特殊な地形も存在する。
手をついて登らなければならないような場所や、かがまないと通り抜けられない場所もある。
「そっち、だめ!」
麻衣が義純に呼びかける、・・・義純は驚いて足を止めた。
・・・この先は下方に向かって伸びている道と思われたが・・・。
「こっちの崖みたいになってるところを登るの・・・!」
登るには苦にならない二メートル程度の岩場だが、どうみてもこの先に道があるようには見えない。
義純は思わず、レッスルやマーゴの顔を窺うが、
少なくともレッスルは麻衣の言うことを疑ってないようだ。
・・・見かねてライラックがその辺の石を前方の道の奥に投げ込む・・・。
あまり反響音が響かない・・・、奥は行き止まりになってるのだろうか・・・?
「麻衣ちゃん、連れてきて正解だったかもね・・・?」 マーゴも麻衣に従うようだ。
「・・・おじいちゃん。」
「んー、何じゃな、お嬢ちゃん?」
「杖を鳴らして。」
「ほい、きた。」 崖を登るような場所は、一人づつしか登れない。
先の者が登る間、レッスルは一定のリズムで地面を叩き始めた。
崖のてっぺんは、平らに近く人一人ぐらいは寝そべれそうだ。
果たして義純が崖を登りきると、先程の位置からだと死角になっていたが、
眼下に細く小さい間道があるのに気づいた。
思わず義純の声が出る。「ふわ〜・・・。」
間道そのものは20メートルぐらいだったろうか?
曲がりくねっていたが、それほど長い道ではない。
全員、崖を登り、間道の終わりに近づいたとき、麻衣が再び口を開いた。
「この向こうに誰かいるよ・・・。」
第五十二話
その言葉を聞いて、義純、ガラハッド、ライラックの三人は背中の荷物を下ろす。
鮮やかな反応だ・・・、それぞれが利き腕に何らかの金属物を手にしている。
「義純は全員の言葉が分る・・・、レッスル様や伊藤さんたちをガードしてくれ・・・。」
職務上はライラックも義純も同格だ。
だがこのライラックの判断は適正であり、
二人は騎士団内でも群を抜く信頼関係を結んでいる。
彼らは完全に臨戦態勢に入った。
・・・ガラハッドが先に間道から新しい道を覗くと、そこは先程まで歩いていた道よりも、
さらに広いアーチ型の道だった。
恐らくこちらがこの鍾乳洞の本道なのかもしれない。
彼らはゆっくりと歩を進める・・・。
近くには誰もいない。
だが、全員が本道に入った時、突然鍾乳洞の内部に明かりが灯った。
反射的に義純たちはゴーグルを外す・・・!
そして彼らは近づいてくる二つの人影を発見した・・・、
・・・義純の手には切れ味のよさそうなサバイバルナイフ。
ガラハッドの右手には伸縮自在のロッド・・・。
そしてライラックの左手にはサイレンサーを装備した拳銃が握り締められていた・・・!
伊藤が驚くのも無理はない・・・、まるで007だ・・・。
だが、伊藤だけでなく、そこにいる全員がその場で意表をつかされた。
・・・現われたのは二人の薄着の女性だったのだ、・・・それぞれが刀と槍を手にして・・・!
「あ・・・あれはホーリークルセイダー!?」 義純が思わず叫ぶ。
先日の教会で見たような、下着に近い露出の大きい衣装だが、
寒さ対策か、ふさふさしたファーを胸や手首、ブーツに縫い付けている。
そして現われた二人の女性はポーズを取った。
「我が名は救世主を守りしホーリークルセイダー、戸隠あおい!!」
「我が名は邪悪を滅するホーリークルセイダー、葛城みさき!!」
「この洞窟に果てよ! 愚昧な者達め!!」
そして二人は前衛のライラックとガラハッドに飛び掛った!!
☆ 今日はここまでです。
なお、ホーリークルセイダーの衣装や名前は、赤い魔法使いの好みです。
わたしの好みとは全くなんの関係もありません。
あと、麻衣ちゃんがいるので、今回はエロいシーンはないです。
lady氏gj!十分にイイ!
>Lade氏gj!てかもういつも楽しませてもらってばかりで申し訳なくなりますわ。いつも乙!
麻衣タソのエロイシーンきぼんぬ(;´Д`)ハァハァ
というのは冗談ですw
LadyさんGJ!
21 :
名無し:2006/03/06(月) 17:24:03 ID:iUjwQD/bO
LadyさんすげぇGJ
まさかホーリークルセイダーが再び登場するとは…
守護者は教壇にいたあの二人だけじゃなかったんですね
赤い魔法使いさん大好k(ry
>>18 毎度!
>>19 いえいえ、応援してくれるだけでありがたいわ。うれしいです。
>>21 名無しさんのコメントも怪しいが・・・とりあえず
>>20・・・
せーの・・・、
「ここにも変態がいるよぅ・・・。」 (著作権126氏無許可済み)
第五十三話
ライラックたちは完全に後手に回ってしまった。
何しろ相手が女性という事で、攻撃ができないのだ。
しかも、ガラハッドに関してはロッドで彼女達の攻撃を受ける事ができるが、
ライラックの銃ではそれも適わない。ひたすらよけるのみだ。
そして彼らはすぐに理解した・・・、彼女達の技そのものは素人臭い荒っぽいものであったが、
そのパワーやスピードが尋常ではない事に・・・。
騎士団トップクラスの格闘術を誇るライラックも、いつまで無傷で耐えられようか・・・?
「・・・あの者たち、バァルの洗脳を受けとるな・・・!」
「それって絶対、攻撃をやめないってことぉ!?」
「死ぬまでな・・・!」
やきもきしてたマーゴはついに激を飛ばす!
「ライラック!! ガラハッド!! やっちゃいなさい! 私が許します!!」
もちろんマーゴにそんな権限はない。
だが、二人の腹をくくらせるには十分だった。
ライラックへの攻撃は息をつかせぬものであり、普通の警官程度だったら、
この距離では銃口を向けることすら叶わなかったかもしれない。
通常なら拳銃は撃つときカラダの正面に構える。
さもなくば視線と銃口を、標的に向かって一直線にあわせるはずだろう。
だがライラックにはその必要すらない!
振り回される刃をかわしながら、肘から先だけの狙いだけで弾丸を発射する。
プシュッ! という乾いた音と共に、弾丸は見事にホーリークルセイダーの太ももに着弾!
「あぅッ!」
洞窟内に響く悲鳴と共に、刀を持った女は転んでしまう。
ガラハッドも負けていない。
リーチの長い槍の動きに閉口していたが、
マーゴの一喝と共に槍の穂先をはじき返し、その隙を逃さずみぞおちに当身を入れる。
しょせん、彼女達は戦場では素人だ、彼らにかなう訳がない・・・。
・・・しかし、ライラックもガラハッドも次の瞬間、目を疑った。
二人のホーリークルセイダーは何事もなかったかのように立ち上がったのである!
第五十四話
しかもそれだけではない・・・!
どこからともなくこうもりの大群がやってきて、ライラック達だけでなく、
戦闘に参加していない義純や伊藤たちをも襲い始めたのだ。
さすがに、これはライラック達もたまらない、
ガラハッドもロッドを振り回すが狙いを定める事ができないのだ。
「きゃああ! ちょっとちょっとー!!」
「うぬ! こいつはやっかいじゃの!」
「ラ・・・ライラック! その女性達、もしかするとノーフェイスの時と同じように・・・!」
義純の言葉にライラックは思い出した、
あの組織の兵隊達に、痛みを感じない部隊がいた事を。
そして彼は悟った、
もはや相手が女性だからと手加減する余裕はない事に。
ライラックはこうもりの攻撃が和らいだほんの一瞬の隙を見つけ、
合計四発の弾を目にも留まらぬ速さで二人の女性の心臓部に叩き込んだ!
これで動けるわけはない!
むしろやっかいなのはこうもりだ。
伊藤は麻衣をかばうために、娘の上に覆いかぶさり手も足も出ない。
レッスルや義純も杖やナイフを振るっても中々当たらない・・・。
そして・・・きれいにセットされた髪をボロボロにされたマーゴが・・・、
ここでついに切れてしまった!
「みんな、目と耳塞いでーッ!!」
「やばい! 伊藤さん、麻衣ちゃん! 目と耳塞いで!」
マーゴは洞窟の中央に向かって手榴弾を投げ込んだ。
騎士団特製の特殊閃光音響弾を!
・・・洞窟内に凄まじい轟音・・・いや破壊的な衝撃が響きわたった・・・。
第五十五話
光はともかく、音響効果はまさしく殺人的だ。
耳を手で塞いでもあまり意味はなかったかも・・・、
いや、こんな場所でそれすらしなかったら鼓膜が破壊されてもおかしくはない・・・。
マーゴも少し後悔したみたいだ・・・、
ライラックや義純の顔を、「ごめんね、」とでも言いたげな表情で覗き込む。
もちろんの事・・・こうもりどもは一匹残らず、駆逐されている。
とはいえ、全員、一時的にまともに耳が聞こえなくなっていたようだ、
ここぞとばかりに義純、突っ込む。
「・・・さすがウェールズの魔女・・・。」
全員がしばらくその場に立ち尽くしていた。
行動不能になっていたわけではない、・・・聴力が完全に回復するまで動くのは危険と判断したからだ。
伊藤は麻衣に、ホーリークルセイダーの死体を見せないように気を使っていた。
ようやくライラックが次の行動に出る。
それはホーリークルセイダー達の武器を確かめることだった。
本来、彼は射撃よりも剣術の方が得意なのだ。
どちらも優秀な成績を誇るからこそ、エリート中のエリートと呼ばれているわけなのだが・・・。
「お? さすがは『豪剣の騎士』、銃よりそっちの方が使えそうかい?」
「義純も見たろ? こいつらとやりあうには、銃より刃物の方が相性よさそうだ・・・。」
彼は槍の方を選んだ、・・・刃がむき出しの刀は団体行動では危険すぎる為だろう。
ようやく、全員の耳が回復したのを確かめると、彼らはいよいよ洞窟の奥へ進み始めることにした。
麻衣はさきほどの衝撃で、精神集中はもはや不可能になっていたが、
その必要ももはやない・・・、
先程灯った明かりが、洞窟の先を煌々と照らしているから・・・。
だが、その為に・・・、
彼らの後をぴったりと追跡している者がいる事は、
他の者はもちろん、
自分の力を覚醒し始めた麻衣ですら気づく事はできなかった・・・。
∧_∧
( ´・ω・)
( つ旦O
と_)_) 旦旦旦
旦旦旦旦
お茶が入りましたよ。
皆様、一息おくつろぎ下さい。
いよいよ本番です。
第五十六話
アーハッハッハッハァ・・・!
突然、どこからか笑い声が響いてきた。
既に彼らは洞窟のさらに奥に足を進めており、その声が聞こえてきた場所は、
見渡しのいい場所ではある・・・、しかしその笑い声の持ち主の姿は見えない・・・。
「レッスルおじ様・・・、奴?」
「ああ、間違いない、この下品な笑い声は『赤い魔法使い』・・・バァルじゃ。」
嬉しいよォ〜、この国でエミリーだけでなくおまえにも会えるとはねぇぇぇ、
クネヒト・ルプレヒトォォ・・・、どうせ、また名前を変えているのかァい・・・?
レッスル爺さんは大声で怒鳴り返す。
「余計なお世話じゃ! ・・・大体、名前を変えておるのはお前も一緒じゃろう!」
そうだねぇぇ、どうでもいい事だよねぇぇぇ!
肝心なのはぁ・・・、ここでお前をヴォーダンの元に送り返せるって事だけさぁぁ!!
「たいそうな自信じゃな?
使い魔も、命を吸い取った手下も倒されて、まだ何か手はあるのかの!?」
倒されてだってぇ? 私の! 可愛いぃぃぃ永遠にして忠実なる部下は健在だよぉぉぉ!?
「・・・・・!?」
その時である、ライラックの携帯電話が鳴り出した。
電波の届かないはずの鍾乳洞で・・・?
誰もが声を発しない。・・・「赤い魔法使い」の声もやんだ。
ただただ、呼び出し音だけが広い洞窟内に響き渡る。
不審に思ったライラックが警戒しながら無言で電話を取りだす・・・。
だが、伊藤だけがその瞬間気づくことができた・・・、
これは東北の県議会議員の秘書の時と同じ・・・ 「ま・・、まさかっ!?」
☆ 今日はここまでです。
・・・あぁ、最後の行、「・」が一個たんないぃぃ、その上も「・」が足らないトコがあるぅぅぅ、orz・・・。
みなさん、ほんとにお待たせしました、次回からは一時たりとも目を離せぬ展開が繰り広げられます
(えー、一応そんなつもりで書きました)、皆さんの期待に応えられるかどうか・・・?
読んでくださいねぇ〜。
29 :
名無し:2006/03/06(月) 19:59:38 ID:iUjwQD/bO
き、ききき気が付いたのは伊藤だけじゃないんだからね!俺だって…俺だって…!
…ぅぅぅぅうぁぁぁぁぁぁぁあああはははひゃひゃひゃひゃははははははは
wktkしながらリアルタイムで読んじゃったよ!GJす。
「学校ぉ?」
「そうだ…」
聞き返すカボタンに、気力無さげに山神は返した。
紀野国から言い渡された次の調査対象は、「学校の七不思議」らしき事象であった。
「学校に行くのは初めてなの」
メリーがしゃべると、スピーカーに切り替えた事務所の電話から声が聞こえた。
「別に良いんだが…信憑性が薄い仕事を前にするとやる気が萎える…」
当然ながら、山神達の元に来る依頼の全部が全部本物というわけではない。
むしろ、圧倒的多数はガセや見間違い、悪戯の類であり、先の口裂け女のように本物の依頼が舞いこんでくるほうが稀であった。
「仕方が無いの。これもお仕事なの」
「分かってる、分かってるんだがなぁぁぁ…」
「ところでよォ、Mr山神、学校つっても依頼を受けたのは小学校か?」
「いや、高校だが・・・それがどうした?」
「高校か。小学生がきゃあきゃあ怪談で騒ぐのは理解できるんだがよ、高校生にもなって怖い話だ七不思議だって言ってるもんかと思ったんだけどよ、そこんとこどーよ」
山神の視線が、中空を捉えたまま一瞬止まった。
「いや…そうでもない。怖いものは怖い、そして怖いものを見たい…そんな心理は何歳になっても結構有るもんだ。むしろ、上手に吐かれた嘘を見ぬくほうが大変だったり、な…」
「愚痴っててもしょうがないの。さっさと行くの」
嬉しそうにメリーが足をぶらんぶらんと揺らす。
その姿からは、学校に対する期待を感じているようにしか見えなかった。
「お前が入学するわけじゃないんだからな…」
「それくらいわかってるの」
分かってなさそうだった。
まるで入学式を前日に控えた園児のようにそわそわしている。
「何にせよ、今日は遅いから無理だ…。明日の朝出て、昼前には向こうに着くようにする。」
メリーが頬を膨らませて、不満そうな顔を見せる。
「そんな顔したって無駄だ…報告書だって作り終わってないんだからな。」
「仕方が無いの…。許してあげるの」
頬を膨らませたまま、そんな偉そうな台詞を呟くのだった。
そして、翌日。
放課後の学校に出向いた二人とぬいぐるみ(カボタン)を、豪奢な学園長室で迎えたのは、初老の男だった。
促されるままにソファーに座り、山神はゆるりと構えるが、メリーは対照的に、物珍しそうに周囲を見回していた。
「この学園の学園長を務めております、町田と申します…依頼した際に、派遣されると言われていた者とは貴方達の事、で良いんですよね?」
「ええ。竹取の山神です。こっちの小さいのがメリーです」
小さいの、という台詞にむっとした様子を山神に見せたが、すぐに町田に向かって小さくお辞儀をした。
「いえ、そんな子供まで居るとは思わなかったので…失礼しました、では、今回お呼びした理由をお教えします」
「よろしくお願いします」
学園長は、山神の前のソファーに腰掛け、前かがみになり、指を組んだ。
「実は…最近、我が校の…七不思議の噂が、再燃しているのです」
「…再燃?」
「ええ。元々、この学校は、先代がとある施設を買い取って改装し、校舎として使用してるんですが…」
「とある施設?」
「詳しくは知りませんが、医学に関する施設だったと聞きます。それで、七不思議もその類のものばかりなのです。」
「なるほど、ねぇ…」
おそらく、生徒は「昔、此処で人体実験が行われて…」といった具合で怪談を語るのだろう。山神は、なんとなくだが、そう確信した。
「それで、七不思議ってのがどんな話なのかは分かりますか?」
そう聞くと、町田は訝しげな顔をした。
「そんなところから調べるのですか?てっきり私どもは、適当に御祓いをして、生徒たちを安心させるものとばかり…」
「我々は拝み屋ではありませんので。調査して原因を取り除く者ですから、そういったところを調べねばなりません。」
「…失礼しました。ですが、その噂の類は、教師の耳には全くと言って良いほど入ってきてません。ですから、もしよろしければ生徒達から直接聞いて頂けませんか?」
「はぁ…」
町田の口ぶりからは、この件にはあまり関わりたくないといった思いが、山神に伝わってきた。
七不思議など馬鹿馬鹿しい、と考え、表面だけ原因を取り除いたかのように取り繕いたかったのであろう。
だが、竹取に依頼した時点で、そんな事は有り得ない。仮令ガセネタだとしても、真実を明かすことが大事なのだ。
「では、我々は直接生徒に話を聞くことにします。まだ生徒は学園内に残ってますね?」
「ええ。部活動をしている者はまだいるはずです」
「分かりました。調査が終了したらお伝えします。行くぞ」
山神は、退屈そうにしているメリーに呼びかけ、立ち上がる。
先に進む山神が扉を開くと同時に、メリーは学園長にぺこりと礼をして、山神を追った。
季節の変わり目で風邪引いてました。花粉症と相俟って鼻が真っ赤です…また間開けてすいませんorz
>>Ladyメリー氏
いよいよ大詰めですね…
赤い魔法使いまで登場して、目論見通り目が離せませんよ…!
おお〜! 名無し氏にレスしようと思ったらカボチャ氏 GJ!!
そういえばまだ学校を舞台には誰もしてなかったっけ?
学校でLady、暴れさせても良かったかな? ・・・チェ〜ッ。
花粉症かぁ、大変だなぁ。 風邪もお大事にね。
・・・名無しさん、即レスだったんだ・・・?
もしかして素で名無しさん、赤い魔法使いの役、やれそうかな?
カボチャ氏GJ
メリーかあいいよ、かわいいよ。
???「今晩現在の章をおわらせます・・・・・クスクス」
/~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\
\
_-_-_時計の逆針それは 過去への回帰であると共に新天地への旅である。
哲学者パブロフ_-_
パープー、チュンチュン
「なんだ・・・」
ぴちゃん、ぴちゃん…・…
「そうかあの時、気を・・」
・・・・・ねえ、・・・くん
「此処は・・・どこ?」
[魘されていたけど、大丈夫?]田嶋の顔を覗き込む少女。
田嶋がいたのは戦火によって無くなったハズの実家。
壁に掛かった暦(こよみ)を見やる。
<皇紀弐六〇参 師走 八日>これを今の西暦に直すと<1943年12月8日>
大東亜戦争対米宣戦布告日だった。(備考;日本亜細亜参戦は41年)
[起きないから死んだかと思ったよ]
「俺はいったい、それに此処は・・・・」
[大丈夫?此処は彼方の家、私は許婚の羽柴洋子]顔を紅くする。
幾日かたち、医者からもう平気と太鼓判を押された。
〈天に二つの日は照らず 凌ぐはなにぞ 星条旗〉
ラジオから軍歌が流れる中
境内で二人仲良く鬼ごっこやかくれんぼで遊んだ。
だが・・・
一日一日とすぎ日増しに戦況が苦しくなり、マッチは一日五本、
配給切符が無ければ物が手に入らなくなって来ていた。
そんな中二人で一つの芋を分けて食べた。
此処から少し時代を下る。
3/10
b29よって家は焼かれ、サーチライトが天を照らし、ロケット弾 爆弾が交錯する。
そんな中瓦礫に挟まれた彼女が呟く
[お嫁さんに・・・・んだ・・・ら・・・・]消え入りそうな声で叫ぶ。
一晩中泣いた、涙が枯れようとも。息途絶えた、友の傍ら
だが死者が生者になる訳ではない事は知っている。
僕は天を怨んだ・・・
同月十二日、15歳まで引き下げられた、
徴兵令により徴兵された後、暫くして俺は海軍として櫻が咲く中 沖縄におもむく事となる。
俺は考える、少女は・・・今・・・どう思っているんだろうか。俺を・・・・…
視界が暗く歪んでゆく・・・・・怨んでいるのだろうか・・・それとも・・・
目を覚ました、老人は少女に問う「いったい、今のは」
「思い出した・・・・・・君」昔と一寸たがわぬ
同じ少女が覗き込む。
「じゃあ、そろそろ死んで魂だけになろうか(ニコ」
「え?」ガシ!腕を・・胴を・・脚を小さな人形たちに掴まれる。
ズバシャァ・・・ラ・・ァ・・・・
願いはかなっただけど、私に感傷の余韻を続ける事は無かった。
[わたしは・・・目的を果たしました、次は彼方が果たす番です]
「忘れてるかと思ったよ」高瀬は何かをばら撒く、多分偽装だろう・・・それに対し
[交換成就わかっています・・・]魂の入った四角いカンテラをゆらし笑顔で答える少女がいた。
「こ・・・か・・・就?」
此処で俺の意識は無くなった。
少女は夕色の炎乃中 踵を返し道を歩いていく夢幻が如く、
この少女に関する記録は最早無い、嫌・・誰も元から知らないだろう。
愛する人を除いては・・・・
警察署は燃えゆく中、少女は何を見ていたのだろうか、
何を考え、何を内に秘めていたか知る者は、
この世にはすでに無い。
「これからはずっと一緒です・・・」少女は最後にそう呟いた・・・そうだ・・・・。
fin is ?
三鷹「イダイ!イダイ!食うな!食うな〜炙るなぁ・ ぁ・・・ 手だけの分際で・・ ・ 」
羽柴の出費
人間界とあそこの往来費 人魂 14個×2
米ドル札 19枚
裏工作費 104000万
高瀬の願い成就 別途記述ヲ命ズ
・・・・・・meri-`s deyまで後、幾章か・・・・・
おお、126氏の言ったように始まり氏の世界観も広いなぁ。
おいらにゃこのぐらいの話の量が分量的にはちょうどいいわ。
一話きりだと話の前後が思い出せない場合があるし(特に日にちがあいちゃうと)。
ただ・・・英語のスペル・・・わざと?
>>39 >英語のスペル
<fin is>
ラテン語で一般的に、死・結末当を意味する。
×meri-`s dey
〇meri-`s day
41 :
名無し:2006/03/07(火) 12:06:58 ID:MAGMjU3JO
始まりさん、カボチャさんGJ!
いいですね。最近は色んな作者さん達の投稿があって。
>>Ladyさん
赤い魔法使い、素でやれるかもですハイw
んでですね、始まりさんの作品に感化されて和風メリーさん描いてみました。
まぁ、描き上がったらメリーというより四ツ谷怪談みたいになっちまったんですがね…
題して「振り向けばこんばんわ」
http://b.pic.to/4azkd
>>41 クッキーが無効です。言われて見れない・・・、クッキーとはなんですか?
>>41 koeeeeeeeeeeeeeeeeeee
>>40 すんません、余計な事を。
・・・あとね、実はmeri-のスペルは? とも思ってたんだけど、
いろんなスペルがある事を知ったのでそちらはわたしの気の回しすぎでした。
ごめんなさい。
>>41 いやぁ、きたきた! 名無しさんはこうでなくちゃ!!
和服とナナメの角度がまたいいわ!
ほいじゃ、行きますね。
第五十七話
「豪剣の騎士」ライラックの耳元に、小さく、・・・そしてはっきりした声が聞こえてくる。
「・・・もしもし・・・、わたし、メリー・・・いま、あなた達の上にいるの・・・。」
咄嗟にライラックが頭上を見上げる。
だが、彼がその「物体」が何であるか確認する前に、「それ」は猛獣のように飛び掛ってきた!
驚異的な反射神経で、ライラックはその物体からの攻撃をかわしたが、
あまりの事で反撃する態勢をとる事もできない。
アーハッハッハッハァァ! クネヒト・ルプレヒトォォ!
自分が作った人形に斬り殺されるがいいいいぃぃぃ!!
「彼女」が姿を現した!
薔薇の刺繍のドレスを纏い、そのか細き腕には一振りの鎌!
青白い程の滑らかな肌と純白のコルセット!
銀色に光り輝く神々しい高貴な髪と、透き通る程のグレーの瞳!
アラベスク文様の凶悪な鎌を携えるモノトーンの暗殺者・・・。
その場にいる誰もがその美しさに時間を奪われる。
そして、見る者に絶対的な威圧感を与えるその「死神の鎌」が、
彼らに抵抗しようという勇気すらも奪ってしまう・・・。
「奴め、メリーを洗脳しちまいおったか!?」
レッスルだけが事態を正確に把握していた。
その言葉に義純が真っ先に体勢を立て直す。
大振りのサバイバルナイフで、ライラックに向けられた鎌の柄の部分を受け止める。
何てパワーだ!? しかもこのナイフでは分が悪い!
メリーはライラックに合わせていた瞳を、ギョロッと義純に向けてにらみつけた。
「ちょっとぉ!? あれがメリー!? 何であたし達を攻撃するのぉ!?」
「・・・しまった! さっきの女どもの死に際の無念を吸い取ったんじゃ!」
「ええ!? 戦闘で死んだ人には反応しないんじゃないのぉ!?」
「それも洗脳の結果じゃ! ・・・仮に洗脳が完璧でないとしても、
メリーは混乱しておるのじゃ!」
第五十八話
恐らく、ホーリークルセイダーの洗脳を解いた後でならば、たとえ彼女達が死んだとしても、
今のメリーは反応しないか、「赤い魔法使い」へ攻撃を開始したかもしれない。
だが、ホーリークルセイダー達は、バァルへの絶対的忠誠心を備えたまま死んでしまった。
死んでいった彼女達にしてみれば、ライラック達は邪悪な侵略者である。
それに殺されてしまう無念さを、今のメリーはそのまま受け取ってしまったのである。
全て「赤い魔法使い」バァルの計算どおりに・・・。
義純の反撃に、ガラハッド、ライラックがようやく戦闘体勢を取り戻す。
しかし、人形相手の戦闘など初めてだ、戦闘というよりも身を守るので精一杯だ。
しかも厄介な事に、彼らはメリーを攻撃していいかどうかも分らない、
マーゴですらどうしたらいいか、判断できないのだ。
それに引き換え、メリーの方は、一度攻撃態勢に入れば迷いは無い。
歴戦のつわもの三人を相手にしても全くたじろがない。
アラベスク文様の鎌を、美しい円を描いて縦横無尽に振り回す。
「ぐあっ!」
メリーの鎌が義純の肩を切り裂いた! 熱い痛みが彼を襲う。
攻撃した瞬間ならと、ライラックも槍をヒットさせるが、
メリーを後退させるだけで、彼女のカラダにダメージはない・・・!
一方、伊藤もかつての恐怖を思い出していた。
目の前にいるのは、紛れも無く数年前に目撃したあの人形・・・メリー。
あの時は「偶然」にも無事でいられたが、今回も命を見過ごされる保証は無い、
・・・いや、むしろ分が悪い。
だが、伊藤は震えそうな自分に気づき、思わず彼が抱きしめていたままの娘の麻衣を見下ろした。
・・・怯えているわけにはいかない!
それに気づいたのか麻衣も父親を見上げる。
「麻衣・・・! 恐くないぞ! 心配要らないからな・・・!」
「パパァ・・・!」
それは単に父親の言葉に反応しただけであったと伊藤には思えたが、
麻衣は父親に訴える事があったのだ・・・。
「パパァ? メリーさん、まだ迷子になったままだよぉ・・・。」
第五十九話
伊藤は娘の言葉にただ驚くだけで、その言葉を正確に理解する事はできない・・・。
レッスルだけがその言葉の意味を捉えていた。
(・・・恐ろしい才能じゃ、この状況下でそこまで見通せるとは・・・。
『リーリト』の力だけではないぞ・・・。
アダムとイヴの子孫との混血によって現われた能力なのか?
ヴォーダンは最初からそこまで見越していたのじゃろうか・・・?)
「伊藤さん・・・!」
「はい!?」
「麻衣ちゃんとあんたでメリーに呼びかけてくれ・・・!
まだ、洗脳は完璧でないようじゃ・・・。
あんたは大声でメリーを・・・!
お嬢ちゃんは心の中で迷子のメリーに呼びかけるのじゃ・・・!」
「そんな! それでこっちに注意を向けて襲ってきたら・・・!?」
「正直、わしも自信がない・・・。
じゃが、今ならあの若者どもが抑えてくれておる、
・・・それにあんたたち親子には一度、メリーとラインが繋がっておる、
他に方法は考えられん・・・。」
そんな事を言われたって・・・!
だいたい何故、こんな事に自分達親子は巻き込まれているのだろう?
元々、自分達は何の関係もないはずだ、普通の一般人だ!
何故、こんなに何度も命の危険に晒されねばならないのだろうか?
伊藤の思考は、普通の人間として当たり前の事である・・・。
だが、彼は自分の視線を娘に落とさずにいられない。
麻衣は口を結んで黙って父親を見つめている。
父親の決断を待っているのだ、自分の大好きな父親を信じて・・・。
麻衣の無言の表情に、伊藤は全てを思い出した・・・。
「・・・そうだ、メリーは、あの子は可哀想な女の子なんだ・・・。
誰かが、あの子を助けなきゃいけないんだ・・・。」
第六十話
レッスルは黙って伊藤を見つめていた。
・・・遺伝なのか教育なのかは分らないが、
おそらくこの父親の元に生まれたから、この新しい『リーリト』が誕生したのかもしれない。
エデンの園に生えていた禁断の木の実、「知恵の実」と「生命の木」・・・、
「知恵の実」とは後世の俗称であり、正確には「善悪を知る心」のこと(それもまた比喩なのだが・・・)。
すなわちどちらの樹の実も、動物界に自然に存在し得ない因子であり、
人間種だけが持ち得るものなのだ。
かつてレッスルの主人ヴォーダンは、「心」の実をイヴに・・・、「生命」の実をリーリトに・・・、
天空の神に恐れられたそれらの実を人間に与えたからこそ、
冥府の暗き底に、鎖で縛られてしまったのである。
・・・その戒めから解き放たれるその時まで・・・。
そして自分が創り上げた人間達が、適正に進化しているのかどうかを確かめるために、
いつの時代にも存在する男、ヴォーダンの分身とも言えるレッスルを送り込んでいるのである。
レッスルはただの監視者であり、レッスル自らはヴォーダンの真意は測りかねない。
だが、今ここに、進化の奇跡の可能性を垣間見て、
レッスルはヴォーダンの真の意図が見えたような気がした・・・。
「レッスルさん・・・、やってみます・・・!」
「あたしも協力した方がいいっ!?」
白い髭をはやしたレッスルはニヤッと笑った。
「いつの時代にも勇気在る者はおるのだな! 頼んだぞ! わしもやってやるからの!!」
そして自らは麻衣の為に、杖を冷たい鍾乳洞の地面に叩き始めた・・・!
「メリー! こっちじゃぁ! お前の名前はメリーじゃろおおぅ!?」
「メリー!! 私を覚えてるかぁー!? あの赤い手袋はどこにやったんだぁー!?」
「えーと・・・、メリーちゃーん! ・・・仲良くしーましょーぉ!!」
人形の目がギョロリと反応し、突然メリーはライラック達のもとから後方に飛びのいた。
・・・だが、もちろん戸惑ったのはメリーだけではない。
第六十一話
「い・・・一体何を・・・?」
義純達は当然、伊藤やマーゴ達の行動を理解できない。
そんな事には構わず、ライラックは距離が取れた隙に懐から拳銃を取り出した。
ガラハッドと義純で、人形の足を止められれば、頭部にさえ命中させる自信があった。
・・・もっともそれで人形を倒せるかどうかは全く自信がない。
だがやるのは今しかない。
そこへマーゴの制止がかかる。
「ライラックッ! 駄目ぇ、! 攻撃をやめてーッ!」
(ば、馬鹿な! さっきの女性達より強力な攻撃を繰り出しているのに・・・?)
義純はある程度、伊藤との過去の人形との不思議なやりとりの話しを聞いているので、
彼らの意味不明な行動に、何らかの意図があるのかと解釈した。
「ライラック、ガラハッド! 警戒したまま様子を見よう・・・!」
「おいおい、お前まで・・・!?」
だが、間違いなく人形の動きに変化が現われている。
今では、死神の鎌を構えたまま、ゆらゆらとカラダをうすく揺らしているだけだ。
レッスルや伊藤はなおも声をはりあげている・・・。
そして、麻衣は目をつぶって・・・、
真っ白な空間にいるメリーに呼びかけていた・・・。
メリーさん・・・!
☆ 今日はここまでざんす。
いよいよクライマックスが近くなってまいりました。
皆さんの反応はいかに・・・?
51 :
誰いな@修行中:2006/03/07(火) 21:49:20 ID:hScp/7Mv0
>>Ladyさん
今回はボリュームがすげぇ・・・・
前章の二倍以上ジャマイカ・・・・
>>カボチャさんも始まりさんもGJ!!!
始まりさんの和風メリーいいね。
差し込む夕日に赤く染まった廊下を、山神とメリーは行く当ても無くぶらぶらと歩いていた。
窓の外からは、部活動に打ち込む生徒たちの声が聞こえるが、対照的に校舎内は静かなものだった。
「聞いてくれ、と言われてもな…」
生徒が出てきたら聞けば良い、といったものでもない。学校からしてみれば明らかにイレギュラーな存在である。
そんな人間に声をかけられ、しかも聞く内容は七不思議についてだ。不審者として扱われておかしくない。
「どうする、メリー…」
途方に暮れ、山神はメリーに意見を求めようと振り向くと、三歩後ろを歩いていたはずのメリーがいなかった。
「…何処に行った?」
メリーが勝手にウロウロしていない事を願いながら、山神は仕方なく来た道を戻る。
幸いにも、メリーはすぐに見つかった。
少し前の曲がり角のすぐ傍で、メリーは掲示板をじっと見つめていたのだ。
「何してるんだ?ほら、いくぞ」
山神がメリーの手を掴み、引き寄せようとすると、メリーは山神を見つめて掲示板を指差した。
「…何があるって言うんだ?」
指差す先には、学校の部活動の勧誘ポスターが所狭しと貼られていた。
「入部したいのか?」
山神の問いに、メリーはふるふると首を振る。
「じゃあ、何が…」
ポスターをざっと眺めていた山神の目に、一枚のポスターが留まった。
それは、他の明るい色調のポスターと対照的に、黒や赤といった色とおどろおどろしい文字で描かれた、不気味なポスターだった。
『神秘に興味の有る者来たれ オカルト研究部 活動場所 第二理科室 活動日 休日以外』
「…休日以外」
その言葉にメリーが反応し、こくりと頷く。
「なるほど、オカルト研究部か…悪くないかもしれないな。どうせ当ては無いんだ、行ってみるか」
明かりの漏れる第二理科室の扉をノックすると、すぐに中から返事が来た。
「開いてますよ、どうぞー」
アルミの引き戸を開くと、意外にも中は普通の教室だった。
(中世の神秘主義者みたいな部屋を想像したんだが…)
とは言え、普段は普通の教室だろうから、部の為に勝手に改装するわけにもいかないのだろう。
「あれ…?えっと、どちら様で…?」
教室には、三人の少女が居た。
山神の顔を見ると、当然ながら訝しげな顔をする。
「失礼、学園長に頼まれてこの学校の七不思議を調査している者だ。名は山神黒之。こっちは…メリー。おいで」
教室の入り口前で、ガラスケースの中に並んだ剥製を眺めていたメリーを手招きで呼び寄せ、少女達に紹介する。
少女達の前に出てぺこりとお辞儀するメリーの姿を見ると、彼女らの表情が変わった。
「きゃー、やだ、可愛いっ!」
「うわー、お人形さんみたいーっ」
「うっそ、やだ、目コンタクトじゃないよね?碧色の瞳なんか初めて見た…」
瞬時に群がった彼女たちの中心で、メリーは困惑した表情を浮かべている。
「お譲ちゃん…えっと、メリーちゃん?歳いくつ?」
「ねぇ、どっから来たの?」
「お父さんは…この人じゃない、よね?」
質問攻めに遭っているメリーは、喋ることが出来ない為、おびえた表情を見せながら山神を見た。
「すまないが、その辺にしてやってくれ…メリーは口が利けないんだ」
「えー、そうなのー」
「可哀想ー」
「こんなに可愛いのに…」
彼女達は、口々に感想を述べながら、メリーを哀れみの目で見る。
やっと開放されたメリーは、とてて、と山神に歩み寄り、おびえた表情で彼女らを見つめている。
「で…良いかな?七不思議について聞きたいんだが…」
やっと落ち着いた彼女たちに、山神は本題を切り出した。
短いですが今回はここまで。うーむ、区切りの良いところにしたら短くなったなぁ…
>>Ladyメリー氏
おぉう、遂に…
wktkして待っております!
>>54 そちらも期待してますぜ。
今日は2話ずつ行くわ。後半は夜ね。
第六十二話
・・・そこは何もない白い空間・・・、右も左もない・・・、床はあるが天井もない。
ただ、メリーのヒールの音だけがコンサートホールの中にでもいるかのごとく、コツコツ響く。
以前と同じように、いくつかの扉の前には、
自分がかつて見知った人間の出来損ないのようなものが手招きしている。
一際大きな扉には、赤いローブを着た男が優しそうに話しかけてくる。
ピアノの曲も相変わらずだ。
「エミリィィィ、もうおまえに苦しい思いはさせないよぉぉ・・・、
こっちへ来るんだぁぁ・・・あははぁ〜!
わたしと二人っきりの永遠なる世界ぃぃ! さぁぁぁぁ、こっちへおいでぇぇ!」
メリーは吸い込まれるように赤いローブの男の下へ歩き始めていた。
「そうだよぉぉ・・・その大きな扉を開けばぁ、おまえは永遠にわたしと一つになぁれぇるぅ〜!」
ローブの男も、他の者達同様、カラダを動かすのは一定の動作だけだ・・・。
彼の場合は立ち位置を変えずにクネクネとカラダを揺らしているだけ、
あくまでメリーが自分の意思で扉を開けるのを待っている。
メリーの足音がやみ、大きな扉の取っ手に手をかけた瞬間、
赤い魔法使いバァルは、顔が裂けるのではないかと思われる程の狂喜の笑みを浮かべた・・・。
「さぁぁぁ! 開けるんだぁ、その扉をおおおお!!」
めりー・・・
人形の動きが止まった・・・。彼女の眼球がグルッと反応する・・・。
メリーさーん・・・
小さな女の子の声だ・・・。
エミリーと呼ばれていた頃の自分と同じぐらいの年頃だろうか・・・?
メリーはドアの取っ手から手を離し、クルッと後ろを振り返る。
「エミリィィ! どうしたんだぁ!? おまえの行くところはこっちだろぉぉ!?」
メリーさーん!
メリー! 赤い手袋はどうしたぁ?
メリーちゃーん、遊びましょぉー!
振り返ったメリーの視界に、先程まではなかったはずの扉が見える。
・・・一際大きくて・・・何故か暖かい感じがする・・・。
第六十三話
彼女は歩き始めた・・・、
懐かしい声のするほうへ・・・、
優しい声のするほうへ・・・、
賑やかで楽しそうな声がするほうへ・・・
彼女は歩き始めた・・・!
「エミリィィィ! どこへ行くんだぁ!? そっちじゃないいぃ! やめるんだぁ!!
行くなぁぁ! 行かないでおくれぇ! わたしは・・・わたしをまた一人ぼっちにするのかぁぁぁ!?」
もう彼女にこの男の声は聞こえない。
自分の名前だってどうだっていい・・・、
楽しそうな声がするほうには、命を狩り取る仕事を与えてくれたお爺さんの声もあるが、
そんな事は気にしてもいないかのような優しい声で呼んでくれている。
ニコラお爺さん!
この声は前に手袋をくれた人だ・・・相変わらず温かそうな人だ、
・・・あんな人がわたしのパパだったら・・・。
この声は誰だろう? 知らないけど綺麗で楽しそうな女の人・・・。
ああ、やっぱりあの女の子だ! 時々、夢の中で遊んでくれた女の子・・・。
みんなが自分を呼んでくれている。
・・・もはやメリーは迷う事はなかった。
そのまま大きな扉までよどみなく歩いていき、強い意志でしっかりと扉のノブに手をかける。
「エミリィィィィィィィ! やめろぉぉぉぉぉぉっ!!」
カチャ・・・・
ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ・・・・・・!
・・・メリーの開けた扉からは強烈な光の束が流れ込んでくる・・・。
その光の中にメリーのカラダは見る見る吸い込まれていく。
もはやこの空間は何の意味もない・・・。
赤いローブの男の映像は、砂が風で吹き飛ばされるようにどんどん崩れ去っていく。
真っ白だった空間はどんどん暗くなり、メリーのあけた扉が閉じられると、
彼らが存在した空間そのものが細かく分解され、最後には一切の虚無へと消滅してしまった・・・。
☆ まだまだこの先、油断できません。
ではまた!
lady氏GJ
メリーは如何なる、わくぴかしながら待ちます。
第四章執筆中といっても地上の繋がりは無いのですが・・・・
Ladyさんマダー?
61 :
名無し:2006/03/08(水) 22:10:42 ID:kScHUU6kO
第六十四話
再び鍾乳洞の中・・・。
「・・・メリーの様子がおかしい!」 レッスルの声が洞窟内に響く。
メリーはもはや完全にその動きを停止していた・・・、
カラダをゆらゆら動かす事もなく、ギョロギョロ瞳を動かす事もない・・・。
おかしな表現かもしれないが、まるで本物の人形のようだ。
レッスルは足を引きずりメリーの元へ向かう・・・。
義純達は警戒を解いてはいない・・・、
人形がピクリとでも動けば、すぐにでも戦闘状態にスィッチできる。
全員がその成り行きを固唾を呑んで見守った。
レッスルはメリーの冷たいカラダに触る・・・、元々恐怖には無縁の男だ。
しばらくメリーのカラダを観察して、彼はおもむろに振り返った。
「皆のもの、ご苦労じゃ! メリーはバァルの呪縛から開放されておる!
今は、気を失って寝てるだけじゃ!!」
その言葉で伊藤はへなへなと冷たい地面にしゃがみこむ。
マーゴは飛び上がって髪を振り乱す・・・もう髪型はどうでもいいようだ。
麻衣は・・・実はあんまり事態を飲み込んでいないままなのだが、
何だかうまくいった事はわかったようだ、
いまや視線の高さが自分より低くなった父親の顔を見てにっこり笑う。
三人の騎士達は半信半疑のままだ・・・無理もない。
だが、この時点で喜んではいけなかったのである。
邪悪なる者はいまだ健在なままなのだ・・・。
きぃさぁまあらぁぁぁあ!! 許さぁぁん! 許さんぞぉぉぉ!!
お前たちにぃわたしの幸せをぶち壊しす権利があるのかぁぁぁああ!?
ここでぇ・・・! 全員殺してやるうぅぅぅっ!!
麻衣が何かの気配に反応した。
「・・・いっぱい、人がいる!?」
「なんじゃとぉ!?」
第六十五話
全員再び気を張る・・・。
洞窟の奥から確かに何かがやってきている・・・。
衣擦れの音・・・、無機的な足音、それも大量だ・・・。
・・・こんな、こんな事が有り得るのだろうか・・・。
一同が目にしたのは、身の毛もよだつような恐ろしい光景だった・・・。
・・・人形・・・。
一体や二体ではない、おおよそ二十体を越える様々な人形が彼らに向かって行進してきたのだ!
着飾ったデパートのマネキン、十二単の黒髪の人形、
小さいものではリカちゃん人形のヴァリエーション、アニメの等身大のキャラまでいる。
全ての人形が侵入者の彼らに向かって、無表情に両腕を伸ばして向かってくる・・・。
「な・・・なんだぁこれはぁ!?」
「み・・・みんな女の人が『中』に入ってる! ・・・恐い!」
麻衣の言葉に最も驚愕したのがレッスルだ。
「ば・・・馬鹿な! 奴はこの人形達に殺した者達の魂を封じ込めたのかっ!?」
「なっ! レッスルおじ様! なぁに!? メリーもどきがこんなにいるってことぉ!?」
「いーや、見るがいい! 所詮はただの人形がベースじゃ!
メリーのようにすばやく動く事もできなければ、自らの判断で動く事もできん!
再生機能すらないはずじゃ、叩き壊して『器』自体を破壊すれば、魂は開放されるはずじゃ!!」
「オッケー・・・! なら騎士団の戦士達! 愚者の騎士ヒウラァ! 豪剣の騎士ライラック!
完璧なるガラハッド! 叩きのめすのよッ!!」
「(おい! マーゴ、何ばらしてんだよ!?) 分ったよ! お嬢様!」 義純が前に出る。
「もう、遠慮しなくていいんだな!」 長身のライラックには長槍が良く似合う。
「・・・仰せのままに!」 若きガラハッドはまだ余力十分だ!
こうとなれば騎士団の戦士三人に敵はいない、
だが、どこまで破壊すればいいのかは試行錯誤を繰り返す必要があった。
何しろ人形達は倒れても倒れても起き上がってくるのだ。
戦いは義純達が優勢のままだが、一向に勝負がつかない。
あまりに数の多い人形達は、そのうち義純達を通り越し、伊藤たちにも群がり始めた。
伊藤は必死になって、動きの止まったメリーを抱えて人形達から遠ざかる。
・・・だが。
☆ すんません、出かけてました。
今日はここまでです。
・・・ほんとなら最初の二話だけのほうがキリが良かったんだけど、
それじゃあさみしいですので・・・。
>>59 地上の繋がりが無い・・・? またそんな意味深な事を・・・。
>>60 ごめんなさいね、お待たせして。読んでて面白いですか? あたしゃーもう、不安で不安で・・・。
>>61 ありゃ、またピクト駄目になったんか、しゃーないですなぁ。
GJ!!!
面白いよ!
どうせなら3話のほうがキリよかったんじゃ…?
66 :
名無し:2006/03/08(水) 23:28:24 ID:kScHUU6kO
LadyさんGJあんどメリー奪還オメ!
>>65 ありがとう! ・・・そう、そこで切っても良かったように思える。
ただ、異空間のとこですっぱり切るのが自然かなと・・・。
そうすっと次の日は一話分だけうp・・・てのもどうよ? と悩んでました。
あああ、今後も切りどころすっごい悩むんだよなぁぁぁぁ!
>>66 ふっふっふ、実はあんまり、おめで・・・いえ、何でもないです。
誰が七不思議を語るか、という事で彼女らはきゃあきゃあとまた騒ぎ、結局ジャンケンで一人を選び出した。
「えっと、私の知ってる限り、一応六つ…正確には七つですけど、七つ目が『七つ以上知ると呪われる』なので、除外しますね。
まず一つ目。学校裏のケヤキの木には、昔自殺した男子生徒が未だ霊と成ってぶら下がっている。
二つ目。体育館の下には埋め立てられた井戸が有って、深夜二時に昔落ちて死んだ人が其処から這い上がってくる。
三つ目。夜九時十四分に地下倉庫に降りてはいけない。地獄の門が開く。
四つ目。夜十時以降、学校に残ってはいけない。赤いマントを羽織った人が血を求めて彷徨っている。」
「赤いマント…?」
『怪人赤マントは愚地…』
山神の脳裏に、一瞬紀野国の言葉がよぎる。
ひょっとして、愚地が調査する怪人赤マントは、この学校から…
「あの、何か…?」
「ああ、すまない。続けてくれ」
まさかな、とでも言いたげに、山神は首を振った。
「じゃあ…五つ目。四階の廊下が他の階より短いのは、部屋が一つ塗りこめられて隠されているから。
六つ目。七つ目がアレなんでコレがラストですね。雪の日は…」
「待って!」
六つ目を語ろうとしたとき、別の少女が声を上げた。
「私、それ、知らない…」
「私も…」
もう一人の少女も、その少女の言葉に同意の声を上げる。
「…どういうこと?だって、みんな七不思議は全部知ってるはずでしょ?」
「うん、でも、私それ聞いたこと無い…。私、調理室の、ってやつしか…」
「あ、私それも知らない…。私が聞いたのは、音楽室の、って…」
「えー、ウソ何それー!気持ち悪ーい!」
「私に聞かないでよ、分からないんだから!」
(…どういう事だ?実際には七つ以上ある、と言うのか…?)
現在此処に居る少女の話だけを総合しても、八つの「七不思議」が存在する。
おそらく生徒間でやり取りされる物の中には、五つ目の代わりに何か別のものが入っていたりするのだろう。
正直、山神にはそれら全てを調べつくし、その上で調査に乗る気にはなれなかった。
「どうする、メリー。すべて聞いた上で調査するか?」
山神の問いに、メリーはふるふると首を振った。
そして、ポケットからメモとボールペンを取り出し、さらさらと文字を書く。
『七つ以上知ると、のろわれるの』
「……」
『というのはじょうだん。しんぴょうせいが高いのが最初の五つで、六つ目は数合わせと思うの』
「数合わせ…?」
『最初五つは本当。でも六つより後はウソ。だから六つ目にてきとうな話を入れて、そして七つ目に「七つ以上知るとのろわれる」とつぎ足すの。
そうすれば、七つ以上知ろうとする人は出ないの』
「なるほど…お前、今日は冴えてるな」
『いつもなの』
むくれた顔でそう書いたメリーの顔を見て、山神は軽く笑った。
「…ありがとう、今夜調査してみる事にするよ」
まだぎゃあぎゃあと騒ぐ少女たちにそう告げると、ぴたりと喧騒は収まり、皆同時に山神に詰め寄った。
「今夜、調査するんですか?」
「…あ、ああ。」
「なら、私たちも連れて行ってください!」
その台詞は、山神にとって予想外この上なかった。
「山神さん一人なら、メリーちゃんを守れないかもしれないですよ!」
「私たちだって、八つ以上ある七不思議の怪の真相を知りたいんです!」
「それに、今までぴたりと合っていた五つの七不思議は真実かどうか、だって!」
「山神さんが頼めば学園長だってうんと言わざるを得ないでしょう!」
「お願いします!」
「「お願いします!!!」」
「駄目だ」
勢い良く詰め寄る少女たちに、山神は押され気味になりながらもはっきりと拒絶の言葉を示した。
「ど、どうしてですか…!?」
「もしもの時に守れる自信が無い…それに、見せたくない事だってある」
もしもの時は、「能力」を使えばどうにかなるかも知れない。
だが、後半にこそ、山神の本心が含まれていた。
山神が烏天狗の姿に戻るところ。
メリーの能力。
今メリーが抱いているカボタンの動くところ。
それらは、明らかに彼女らの「普通」とは一線を画する、彼らの中での「普通」なのだ。
「…大丈夫ですよ、見せたくないものなんて有っても」
「そうです、部長なんて凄いんですから!」
「…部長?」
「ええ。今日は用事が有るとかで来てないんですが、私たちの部長は…本物の、魔術師なんですよ!」
「本物、ねぇ…」
思春期の少女にありがちな妄想、と言って切り捨ててしまうのは簡単だろう。
実際に、そのような「自分が特別だと思い込んでいる」人間の例を、山神は幾つも知っていた。
「お願いします!連れていってくれないと言うなら、勝手に私たちで行きますから!」
「それは…困るな…」
彼の目の届かない所に行かれて、彼女らが犠牲になる可能性は十分に考えられた。
どっちにしろ行くと言うのなら、自分の目の届く場所に置いておいた方が安全なのではないか…
山神の脳内会議で、その意見は急速に支持を得、その意見が可決されるのにあまり時間はかからなかった。
「わかった…ただし、勝手な行動はしない事。それだけが条件だ」
「分かりました!それじゃ、九時に学園集合、ということで!」
「はーい!」
「よろしくね、メリーちゃん!」
元気の有り余る少女たちの姿に、山神は苦笑いし、その姿にメリーは非難がましい視線を向けるのであった…
てなわけで、次回、オマケつきで山神とメリーが夜の学校に…!
>>Ladyメリー氏
ちょ、ここまできてメリーが救われてないとかナシっすよ…!
何にせよ今後がさらに気になるですな!
おっと、カボチャさんのに夢中になって、自分のを忘れてた。
・・・やばいやばい、うpせずに夕飯に行くところだった。
今回のは、前作以上に楽しめそうですな、キャラのセリフや性格も、
すんなりと頭に入ってきます。頑張ってくださいね。
・・・うん、まぁ、こっちは・・・とりあえず話を進めるよ。
第六十六話
「パパァ!!」
「麻衣!?」
父親の後をついていた麻衣が人形達に捕まった!
マーゴもレッスルも自分に襲い掛かる人形を振り払うので精一杯だ。
「まさか、あ奴の狙いは・・・!」
「パパーァッ!!」
人形の動きはすばやくはないが、見事に統率された動きだった・・・。
追いかけようとする伊藤の進行を完全に立ち塞ぐ。
「麻衣ぃぃーっ!!」
もはや、メリーのカラダを抱いているわけにも行かないッ。
「レッスルさん! メリーをお願いします!」
「ならこの杖を使え! わしはメリーの鎌を持つ!」
普通の人間の伊藤に、他に使える武器はない。
レッスルは自らの杖を伊藤に放り投げた!
とはいっても、杖だけでは気休めにしかならない。
伊藤が使う場合、武器というよりも人形の腕を払う盾のようなものだ。
レッスルの方は、老人のパワーとは言え、切れ味抜群の死神の鎌だ。
効率良くとは言えないまでも、確実に人形のカラダを切り落とす。
義純達もこの頃にはようやく、どこを破壊すればいいか把握できるようになっていた。
ガラハッドのロッドが人形の首を確実に破壊する。
ライラックはその槍で、頭部を粉々にする。
そして義純はそのナイフで目玉を潰しつつ(目として機能しているのか?)、
投げ技で、洞窟の固い岩場に人形達の頭部を叩きつけていたのである。
・・・だが伊藤は娘の救出に向かう事ができなかった。
既に洞窟は一本道であり、迷う事はないのだが、
残る数体の人形に阻まれて、どうしても先へ進む事ができない。
ようやく義純が追いついて、伊藤の邪魔する人形どもの相手を引き受ける。
フリーになった伊藤がその先へ向かおうとしたが、
マーゴが強硬に彼の行動をいさめた。
第六十七話
「待ちなさい! ライラック達やおじ様を待つのよ! 一人じゃ危ないわ!」
「しかし、麻衣が何されるかわからないじゃないかッ!!
父親のわたしが行かなくてどうするんだ!?」
この緊急事態に英語でなんて答えられない。
伊藤は日本語でまくし立てる。
「ヒウラ! お願い!」
マーゴも、伊藤の言葉は分らなくても何が言いたいかは十分理解できる。
しかしだからと言って短慮な行動を見過ごす事もできない。
義純は残りの人形をライラック達に任せ、伊藤のそばに飛んできた。
「伊藤さん、わたしと一緒に行きましょう!」
「は、はい! お願いします!」
しかし、マーゴはここでさらなる事実に気づく・・・!
「・・・ねぇ、待って! レッスルおじ様と・・・メリーは・・・?」
・・・広い洞窟内に人形達のカラダが散乱している・・・。
ライラックとガラハッドは全ての人形を片付けたようだ。
麻衣の悲鳴も聞こえない・・・。
聞こえるのは彼らの呼吸音だけ・・・。
洞窟の要所要所に取り付けてある電灯が静かに光っている・・・。
麻衣の連れ去られた方向は分っている。
他にそこに向かった者はいない・・・。
ではレッスルとメリーはどこへ消えたのか?
レッスルは悲鳴も叫び声も上げることなく連れ去られたのか・・・?
「レッスルおじさまーぁ!?」
・・・その声は洞窟に反響するのみだ・・・。
返事はいくら待っても返ってこない。
第六十八話
確かに老人の安否は心配だったが、伊藤には先に進む事しか考えられない。
マーゴは必死で考えた・・・、
二手に分かれるべきだろうか?
だとしたら、パパさん、ヒウラ、自分の組み合わせと、ライラック、ガラハッドか?
いや、戦力を考えて自分の代わりにガラハッドをパパさんにつけるべきか?
それとも一度おじ様は置いといて、全員でこの先に向かうべきなのだろうか?
勿論、義純とライラックも同様に悩んでいた。
これ以上、まだ仕掛けや罠がないと言いきれるのだろうか?
「全員で行くわ!」
マーゴが真っ先に結論を決めた。
「・・・多分おじ様は自分の事はなんとかすると思う・・・。
メリーも一緒に消えているなら、そのうち彼女も起きるかもしれないし・・・。
今は麻衣ちゃん救出を優先しましょ!」
義純は頭を掻いた・・・。
「参ったな、一応管轄的には、この場はおれが最終責任者なんだけど、
その大役、マーゴに取られちまったなぁ・・・でもその意見に賛成だ。」
「ごめんねぇ、ヒウラァ、そしてありがとね!」
義純は伊藤に訳しながら歩き出す。
「マーゴさん、ありがとうございます!」
「いーのよぉ! それにしてもパパさんさすがだわぁ!
かっこいい! 結婚する前に会いたかったわぁ!」
この言葉を義純が訳す事はなかった。やっぱりマーゴはマーゴだ・・・。
彼らの終着地は、レッスルを見失った場所からそんなに遠くなかった気もする・・・。
立て続けにいろんな事が起きて、時間も距離感も完全に狂ってしまっていた。
洞窟の奥はさらに広く、まるで古代の演劇場の舞台の様でもある。
せりあがったようにも見える中央の高台には、簡易なベッドのようなものがあり、
麻衣はそこに先程の二体の人形に押さえつけられていた・・・。
☆ えー、今日から三話形式にしますね、はい、ラストが近づいております。
明日〜明後日で「赤い魔法使い」との最後の攻防が繰り広げられます。
メリーがどうなったかも想像してみてさい。
>>68 人にプレッシャー与えるの大好き。
Lady氏GJついでに人誅!
そろそろ一つ落そします。
79 :
始まりの死、始まりの生:2006/03/09(木) 22:23:00 ID:5QwaeMCS0
第死章 hound the Vatican 追うのと追われるの
事の起り
此処に一人の人がいるこの者、名をホウロボルト=エルラーといい
耳の尖りからして人ならざる者と云われていた。
この者、怨念と人を使いて人工のメリーを作らんとした。
ある時、事が起きた。
壁に吊り下げられたメリーの躯体に霹靂が直撃し動き出したのだ。
男は喚起した・・・だが同時にこの者の命は無かった。
少女は自分を傀儡のように吊上げていた、紐を引きちぎり、
覚束(おぼつか)ぬ足取りで歩き出したのだ。
生みの親を殺した、もの の衣服は暗闇の中、
本来の黒ではなく・・・紅く赤くなるのがはっきり見えたと云う・・・
そして、今も人としての記憶を持ち紛れ住み。そして、さ迷い続けている。
幾にんの物を率いて・・・・・・彼らも犠牲者なのだろう、
死というなの安寧を再び生を受ける事によって壊されたのだから。
「だからと言ってこの、恐攻(きょうこう)がゆるされる物ではないとは
思わんかね。シスターシャクリーン」向かいの人物へと問い掛ける。
「言いたい事は判りますが、此処でくつろがないで下さい」
彼女が言うのも尤もな事だ、私の個室でコーヒーを飲むまではいい、
あまつさえ新聞を広げ、ダラーとしているのだ。
シャクリーンは血が上ってゆくのか
「神威〜神威〜この人本当に司祭ですかぁ(怒」と呪詛のように呟く。
これが、そばに我々がいたなら、
目が赤くピキ−ンと光っているのが判るだろうが。
身の危険を感じたのか、男は笑ったまま部屋を出ていった。
初めに断っておくが、シャクリーンは聖職者ではない、では何故シスターと呼ばれるか
それは
聖職者の「amen(かくありて)」も、語源は、ノタリコンで短縮された。
ヘブライ語「アドナイ・メレク・ナーメン(主そして信仰に賢き王よ)」であり、意味する所が違う。
長い時の中で意味が変質してしまっているのだ。
例にもれず、
これも同じで「シスター」も本来意味する所が違うのである。
使われた、省略方法と言語の記述は諸事情によって避けるが、
本来の意は「hound(猟犬)」と同議なのだ。ただ追うものが違うだけ・・
本来の意味が判れば、彼女がどのような存在かわかるだろう。
「ふあ〜」シャクリーンは気だるそうに背伸びをして何時ものように床に付く、
これから起こる出来事を知らぬ中で。
おっと、始まり氏、外国が舞台ですな。
独特の文体も健在で・・・これからどんな展開になるか楽しみだわ。
>>77 自己レス「想像してみてさい」・・・なんだそりゃ?
まぁ・・・訂正するまでもないか。
だいよんわ
「・・・久しぶりですね?」
「ほんまに久しぶりやなぁ?」
皆さん、覚えてますか? 最恐の和製ゴスロリ少女、うりぃ・めりーと犬の冒険です。
「この作者、今まで何やってたんすか?」
「あぁ、いとこの話の方にかかりっきりだったようや、まぁしゃーないわな?」
「はぁ、そんなもんすか・・・。」 犬の表情はどことなく寂しげです。
「・・・? なんや、なんか不満なんか?」
「い、いや、そんな事ないっすよ! 出させてくれるのは嬉しいし、ただ・・・。」
「ただ、なんや?」
「いやぁ、あんま自分、活躍してないじゃないっすかぁ? ろくに出演してないくせに猿なんかは、
特殊技能生かして稼ぎもあるし、雉さんは活動範囲も広いし・・・。」
「なんや、そんな事かい。アホなこと言いなやな? おのれら三匹とも役割が違うやろ?」
「・・・ええ、まぁそれは分ってるんですけど、あまりに地味で・・・。」
うりぃはため息をついて首を振りました。
「はぁ〜、おんどれは自分の値打ちを判ってへんな?」
「えっ? そんな事言ってくれるんですか? そうですよね、
おいらにゃ、全てを嗅ぎ分けられる高性能の鼻がありますもんね!?」
犬は尻尾を振って喜びますが、うりぃは醒めた目で犬を見つめます。
「アホウ、そんなんちゃうわ・・・。」
「えっ? ・・・じゃ、じゃあ、どんなかすかな音も聞き逃さない高感度の耳・・・?」
「わからんか?」 「は、はぁ・・・。」
「こっち来てみぃ・・・。」
犬がとことこ近づくと、いきなり犬の視界からうりぃが消えました。
突然、犬の背骨に強烈な真空とび膝蹴りが炸裂します、どこからともなくタイガーマスクのテーマが。
キャウゥゥゥンッ!! 「あ・・・姐さん・・・なな何を・・・!」
「おんどれの凄い所はな、もう20回は死んでもおかしうないのに、すぐ立ち直る驚異的な生命力や! 猿なんぞはウチに初めて会うた時、財布かっぱらおうとしたんで、
バックドロップ食らわしたら、しばらく入院しとったさかいにな!」 うりぃはとても嬉しそうです。
「う、・・嬉しくないぃぃ・・・。」 犬は薄れゆく意識の中でいつまでもつぶやいていました・・・。
(犬の災難はまだまだ続きます。頑張れ、犬!!)
まぁ、うりぃはほっといてもいいや。
それにしても名無しさんや、126氏はどうしてしまったんだ?
芽理パパはどこに行ったの?
ROMってはいるの?
もうじきわしの話も終了するけん、はよう、うpしてね。
第六十九話
「パパァ!!」
「麻衣!!」
・・・そしてその隣には赤いローブを纏った男・・・バァルがそこにいた・・・。
義純もフード越しの顔は見た事があるが、その顔をはっきりと見るのは初めてだった。
大きく見開いた、色素の薄い灰緑色の瞳が不気味だ・・・。
「麻衣を放せ!!」 伊藤の呼吸は荒い・・・。
「ふむ・・・。」 逆に先程とは打って変わって落ち着いた声を発するバァル・・・。
だが、やはりその感情の起伏は大きい・・・。
「可愛いいいぃ女の子じゃないかぁぁ!?
麻衣ちゃんって言うんだねぇぇぇ?
可愛いぃ、可愛いぃよぉぉおおおお!
しかも見たところ・・・
この子は『リーリト』の種族かいぃぃ!?
見たのはわたしもはぁじめてだぁぁぁ!」
この場でその単語を理解できる者はいない。
オカルティズムに詳しいマーゴが、辛うじてその単語自体を知っているだけに過ぎない。
もちろん、伝説にある古い魔物の名称を、こんな状況下で現実に結び付けられるはずもなかった。
当然、伊藤も娘の事だけしか今は考えられない。
「何を言ってるのか分らない! そんなことより娘を放せ!」
バァルは目を見開いたまま穏やかに質問する。
「あの糞じじい・・・、クネヒト・ルプレヒトとエミリーはどこに行ったぁ・・・?」
これには義純が答えた。
「・・・おまえの仕業じゃないのか? 突然姿が消えたぞ!?」
「ほう? あのジジイ、魔王の使いッ走りのくせしてまぁた何か企んでいるのかああぁ?
だが、どの道、エミリーはわたしに攻撃できなぁぁい・・・。
全ては無駄だと思い知らせてくれるぅぅ!」
「魔王の使いですって!? 何ばかな事、言ってるの!?」
マーゴも短い時間ながらも、レッスルの人間臭さをその目で見てきた・・・、
「赤い魔法使い」の言葉に過敏に反応する。
第七十話
「アーッハッハッハァ! 知らないのかいぃ! あいつの正体をををっ!?
お前たちはアイツに利用されてるのさぁッ!
アイツのご主人様が誰だか知ってるのかぁぁぁああ?
お前たちが悪魔と呼ぶもの・・・。大いなる過去において、
神に逆らいぃ、地獄へ落とされた邪悪な蛇・・・! それが奴の主人ヴォーダンさぁ!!
この世で有史以来多くの争いが起きているのも・・・、
それもアイツの主人がウラで糸を引いていると知っててお前たちはつるんでいるのかぁぁ?
・・・それに比べればわたしがやっている事はぁ・・・可愛いもんだろおぉぉ?」
マーゴを含め騎士団のメンバーに衝撃が走る。
元々彼らは神の教えを奉じる者たちだ。
今のバァルの話は聞き流すことができない・・・。
「命惜しさに出たら目、言うんじゃないわっ!!」
「アーハッハッハ・・・、信じる信じないは君たちの勝手だともぉ・・・。
どうでもいい話だよねぇ!?
・・・それより、大事な話をしよう・・・。
エミリーをここへ連れて来いッ! すぐにだ!」
ライラックが前に出る、・・・懐に手を入れている。
「・・・今の状況を把握しているか? ほんの一瞬でお前の命を絶つ事ができるぞ!」
彼の射撃は神速だ、ハッタリなどではない。
「ほぉぉ!? なるほどぉ、わたしは一瞬で殺されるのかァァ?
でぇ、君はこの可愛い女の子をその一瞬で守れるのかあぃ?
人形達はわたしが殺されてもぉ、命令は忠実に実行するようぅ!
・・・例えばわたしが殺された瞬間・・・、そいつらはこの子の目玉をかきむしるかもしれないぃ、
耳を引きちぎるかもしれないねぇぇぇ・・・!
・・・あ〜あはっ! あははははぁぁぁぁああ! 痛いッ、痛そうだぁぁぁああッ!!」
「やめてくれ! 頼む!」 伊藤は半狂乱に近い状態だ・・・。
「・・・人形を、メリーを連れてくれば・・・麻衣ちゃんを放すの・・・!?」
「そうだねぇぇ!? 考えてもいいなぁぁ?
もし連れてこなかったら・・・、まだ魂を入れてない人形がいくつかあるからぁ・・・
その器の中にこの子を突っ込んじゃおうかなあぁぁぁぁははははあっ!!」
第七十一話
「やめてくれっ! 麻衣を放してくれたらなんでもするッ!!」
「だぁったらさっさと連れて来るんだよぉ!!」
マーゴが後ろを振り返って、ガラハッドにメリーの探索を指示しようとした時、
先程自分達がやってきた道から、足を引きずる音が聞こえてくる事に気づいた。
(おじ様・・・?)
老人は自分の姿を隠すでもなく、ゆっくり、確実に洞窟の中央を進んできた・・・!
「メリーを探す必要はない!」
「アーハッハッハッハー! クネヒト・ルプレヒトー! 待っていたよぉ!!」
「お前の考えは読めるぞ! メリーの洗脳に失敗した次の手口は・・・、
その子、麻衣ちゃんの魂をメリーに封じ込める事じゃな!!」
全員に衝撃が走る!
伊藤のカラダは寒気どころか沸騰しそうだ・・・。
「エミリーの時と同じように、無茶な取引を持ちかけて・・・、
今まさに父親が言いかけたような『取引』にまで持ち込んで、その子を殺す気じゃろう?
いつまでも思いどおりにはさせんぞ!!」
「ククックックックック・・・、ご名答だよ、ルプレヒトォ・・・!
相変わらず悪知恵は働くんだなあぁぁ!?」
レッスルは手ぶらだった・・・、伊藤から自分の杖を受け取る・・・。
そして・・・、
「彼女が攻撃したら一斉にお嬢ちゃんを救うんじゃ・・・。」と小声でライラック達に伝える・・・。
彼女・・・?
「何、ぶつぶつほざいてるんだぁ!? 状況は何も変わっていないぃぃ!
早くエミリーを連れて来いといってるんだああああぁ!!」
老人は威厳たっぷりに落ち着いていた。
そしてニヤッとその顔にいつもの笑みを浮かべる。
「彼女ならそこにおるじゃろう?」
思わずバァルは左右を見渡す・・・。 「?」
彼はそこで見慣れぬものを目撃する・・・、
いつのまにか、自分のいる台座の上に、一匹の白い蛇が登ってきていたのだ・・・。
☆ 今日はここまでです。
明日で、バァルとの決着をつけます。
ただ、今回の物語の最大の山場は、連続してそのすぐ後になります。
読んでくださいねぇ〜。
88 :
誰いな@修行中:2006/03/10(金) 20:02:00 ID:Yl3Ni//d0
ウワァァァン麻衣タソ(ノД`)゚。
それに最後のは・・・メリー?
はやく続きキボンヌ
89 :
名無し:2006/03/10(金) 20:25:57 ID:ybQ1tsiKO
LadyさんGJ!
いいねいいねいいねいいねぇぇ!
…まぁしかし、悪は滅するが世の習いであり道理ならば、バァルを殺っちまうのもアレですものね…
…でハィ、俺のは多分来週中には…わからんですが…大体そのくらいには…
自分の中ではもう、次の話のその先の先の先の先の先の先の先の先の精神疾患夫婦の話が頭に浮かんでしまって何だか大変です
まだまとめに入るべき時期じゃないのに、こぉりゃまっこと大変です
しかし、ま、今現在のメリー…ラストまでの筋は出来てるんで、先ずはちゃんとした文章に仕上げますかね
>>88 毎度! ・・・うっ、レスしづらい・・・。
と、とにかく明日を待ってください。
ああ・・・、今日中にまとめなければならない書類がっ・・・! では。
>>89 名無しさん、かしこまりました、まだ頑張ってらっしゃるのね?
ええ、納得のいくまで校了してください。・・・待ってます。
ではでは。
ボクも、ROMっていますよ。
LADYさんに声をかけられたら出てこないわけには行かないですね。
しかし、まだまだ忙しくて書き込めない状況です。
もうしわけない。
>>91 おっと! 126さん、いらっしゃいましたか、
最近硬い話が多いから、名無しさんや126さんの話もないと・・・。
(カボチャさんはどっちになるんだろう? 中間?)
お元気ならよござんす。 お待ちしてます。
・・・あと、誰か足りないと思ったら「ロム専」さん!
どーこー? いま、どこにいるのー?
・・・ああ、書類下書きがやっと終わった、清書しなきゃ・・・。
93 :
名無し:2006/03/10(金) 23:56:36 ID:ybQ1tsiKO
あっ母母母
俺の話?今以上に重くなりますよ?
多分、読まねぇ人は読まねぇかも。
駄目ですわ。どーしても一般受けするもんなんて書けませんわぁはははははははは
まぁ、俺のメリー読んで疲れてくれたら思惑どおり。酒でも飲んで仕事もどりまさ。
??「しまった!エロク゛なってきた・・・修正しなければ」
96 :
名無し:2006/03/11(土) 16:09:49 ID:f6oz7Tg5O
>>93 えろ大好き。
>>93 サイコも好きよ。
・・・そしてお待っとうさんです。今回の物語を読むにあたって、
>>25 のラストでレッスル達の後を追っていたのは、
メリーってわけじゃないよ、って事を覚えていて下さい。
・・・あと、外伝の話も思い出してね。
さ、いよいよ核心だ・・・。
第七十二話
「赤い魔法使い」バァルにとっては、別に驚くようなものでもなかったが、
その白い蛇は、彼に向かって何かを語りかけるようにも見えた・・・。
「・・・つまらぬ欲望に汚された・・・、全ての女性達に安らぎを・・・!」
反射的にバァルは後ろを振り返る!
馬鹿な! エミリーに自分を攻撃できるはずはない!
後ろにも頭上にも何もいない・・・、顔を上に向けたその瞬間、彼の足首を何かが掴んだ。
「彼女」はそこにいた! 台座の影に身を潜めていたのだ。
蛇がその強力な顎でエモノに毒の牙を突き立てるように、「人形」の強力な爪が彼の足首を貫く!
「ヒャガッ・・・!」 あまりの激痛に一切の行動をとる事ができない。
「人形」はその、きれいな銀色の髪を有する頭部を、固い床から徐々に持ち上げていく・・・。
バァルの視界に、「彼女」の美しい白い顔、透き通るようなグレーの瞳が映る。
そして先程、足首を破壊した片手でバァルの首根っこを捕まえた、
もう片方の手はアラベスク文様の鎌の柄を握り締めて・・・!
「そ・・・そんな馬鹿な! 何故、わたしを攻撃できる! わ、わたしはお前の主人だぞ!!
そのカラダにどれだけの精を注ぎ込んだのか忘れたのかァァ!」
レッスルは厳しい顔で事の成否を見守っている・・・。
人形には人質は通用しない・・・、「少なくともバァルはそう理解している」はずだ。
ライラック達を突撃させるタイミングはギリギリでなくてはならない・・・。
そしてあの「人形」にバァルは殺せるのか・・・?
・・・「人形」は鎌の動きに力を入れた。
だがやはりカラダが抵抗しているようだ。
まるで「人形」の内部で、バァルを切り裂こうとする力と、
それを押しとどめようとする力が綱引きをしているようだ。
「フ・・・フハハハハッ! そうともぉ! お前にわたしが殺せるはずがないいぃぃ!
あの恐怖がこびりついている限りぃぃ!!」
人形の瞳が小刻みに震えている・・・、やはり駄目なのだろうか・・・?
その時だ、バァルの人形に押さえつけられた麻衣が叫びを上げた。
「ママァ!!」
第七十三話
その瞬間「人形」にかつてないほどの力が爆発した!
全ての留め金が外れたかのように、鎌の刃が一気にバァルの首筋に突きたてられる!
「・・・そっ・・・! そんなァァ!?」
「お前たち、今じゃ!!」
弾かれたようにライラック達は突進する!
左右の人形は麻衣を攻撃する暇すら与えられずに、ライラックとガラハッドに弾き飛ばされる!
そして義純が麻衣を救い上げる事に成功した!
「ああ! 麻衣ッ!!」
一方、バァルの首元からは赤い血が噴出し始めていた・・・。
最後まで何が起きたか理解できないでいる・・・。
「ルッ・・・ルプレヒトォ! き、貴様エミリーに何をしたーッ!
わ、わわたしのエミリーにぃぃッ!!」
レッスルは怒りを込めてつぶやく。
「そのカラダは・・・! わしの父と愛するフラウ・ガウデンの想いの証なんじゃ!
・・・お前なんぞに好きにはさせん!!」
「人形」にも最早ためらいはない。
刈るというよりも、ノコギリでも挽くかのように・・・、
嫌な音を立てながら赤い魔法使いの首を刻んでいく!
簡単には死ねない処刑方法だ・・・!
「ハッ! グッ・・・ ガフッ ウッ・・・ア ア・・・」
もはや声にも言葉にもならない。
「人形」その身に受けた・・・、
今まで堆積していた苦痛と無念と屈辱を・・・、
全ての思いをその鎌に込めて・・・!
バァルのおぞましい首を、忌まわしいカラダから完全に引きちぎる・・・!
この世と・・・、愛する者との別れの決意を念に込めて・・・!!
第七十四話
薄い灰緑色の瞳を見開いたまま、「赤い魔法使い」バァルの死骸がそこに横たわる・・・。
いつの間にか、白い蛇はその場から消え去っていた。
麻衣は、義純から伊藤に引き渡され、父親の体を抱きしめて放さない。
ライラック、ガラハッドは、他に襲ってくるものはないか、この場は安全か警戒を怠らない。
マーゴはその場にペタンとしゃがみこむ・・・、「終わったのねぇ〜・・・。」
レッスルはバァルの死体を見下ろしたままだったが、
そっと、「人形」に目を向けた・・・。
「おかげで、一つの区切りがついたよ・・・。」
「人形」はレッスルを見つめたまま何も話さない・・・。
瞳をギョロつかせることもない。
しばらくそうしていたが、「人形」はふっと伊藤親子に視線を投げかける。
伊藤がそれに気づいた・・・、
まだ正直、人形は恐かったが、いまや彼女に害意はないのは見て取れた。
彼はためらいつつも、「人形」に向かって礼を言う・・・、言葉が通じるかどうかはどうでもいい。
「メリー・・・、ありがとう・・・!!」
「人形」は答えない。
ところが、伊藤の腕の中にいた麻衣が・・・、
次の瞬間、後ろを振り返って急に泣きはじめたのだ・・・。
「・・・うっ、うっ、・・・うわ〜ぁん・・・」 伊藤は優しく頭を撫でる・・・。
「麻衣・・・、もう大丈夫だ、恐くない・・・。大丈夫だよ・・・。」
だが、麻衣は頭を振って泣き続ける・・・。
「うわぁぁん ・・・ごめんなさい・・・ごめんなさいぃ・・・ヒッ、
麻衣が・・・麻衣がぁ・・・ママの言う事聞かなかったからぁ・・・、ヒック、
ママが・・・ママが・・・、うわぁぁあん・・・」
誰もが麻衣の言葉が理解できない・・・。
全ての者が恐怖から開放されて、緊張が解けて泣き始めたと思っていたのだ。
レッスルだけが全てを理解して厳しい顔をしている・・・。
次の瞬間、静かだった「人形」が声を発した、
・・・そして伊藤は、・・・残酷な事実を知る・・・。
「あなた・・・。」
☆ ・・・ここまでです・・・。
また、明日を・・・。
2
small is panic. the haer-,haer-.haer-.
人は何かに雁字搦めであり同時に操り人であり、人形でもある。
by哲学書パブロフ
トントン「ムニャムニャ・・・」トントントン「もう食べられないよ」・・・・・・・・・バン!
「ふあ〜おはよう」のほほんと答える、シャクリーンは まだ現状を把握していないようだ。
「あれ?何でベッドがひっくり返っているの」
疑問符を頭に浮かべながら、身支度を整える。
下着の色は・・・・・ん・・・白だ。<<あっ
>>300が投げ飛ばされた>>
ジャキ!「次ぎ覗いたら打つよ」読者にナイフを突きつける。
あい・・・「返事は」・・はい・「よろしい」ナイフをさげる。
かなり、動揺しているのか そのまま部屋を出て行く。
日だまりの廊下を歩く中、眼下の中庭をふと見る。<ふら>普段の彼ならありえない事だろう、
二階から落ちたのだ。
木の枝が折れ、そのまま頭から落ちる。羽ばたく事を忘れた鳥のように。
<ずぎゃぎゃーん!>
「・・・大丈夫ですか」恐る恐る自分の眼前へと落ちた「もの」へと声を掛ける男、庭には人が集まってきた。
そんな中<むくり>起き上がった。
彼女の目に意思は無く同時に、頭から血液が顔半分を伝い流れていた。
静止を振り切り、一路食堂へと向かうのだった。彼女は先に見た、映像の事を考えていた。
ヘしゃげ幾重にも重なった死体そして、血に染まった手。あれは一体何だったのだろう、
悩んでいては始まらない意思を取り戻した瞳を食堂へと向ける。
{<本日休業>}
その看板を見たとき異常に気が付いた。「背が縮んでる・・・・・」
一ミリ二ミリは昼夜によって変化する。だが少女はそんな事をしらない、
たとえ知っていたとしても 血が抜けたことによる思考の低下がそうさせるのだろう、
にしては 低すぎる。
「めし〜」俳諧を始める、あっちへフラフラ〜こっちへふっらふら
体が重いそう思いながらも歩いていく、
誰かが無理やり着せたようになった、服を引き摺りながら・・・・
<ばたん!>力尽きた少女は 立ち入り禁止区域の中へと倒れ、階段を落ちてゆく。
Lady氏すまない、気付いていなかった
とり合えずGJ ウワ-ン 赤死んじゃったよ。
>>Ladyさん
大分読めてきました。
まさか…?
>>104 ・・・いや、別に謝られる事は何もないのだが・・・、
・・・それより・・・、
「赤死んじゃったよ。」・・・そこに食いつくかよ!?
>>105 ついに読まれてしまいましたか・・・。
ええ、そうですとも、わざわざ、外伝2本もお見せしたのは全てこの為・・・。
明日・・・いや、もう今日になってしまいましたが、
もはや、ダラダラ引っ張ってもしょうがないので、
この洞窟での出来事は一気に話を進めちゃいますね、
六話分の話になります(早ければお昼過ぎには・・・)。
すごいよすごいよ。
夜九時。
学園長に説明し、校内に入る許可を得たメリーと山神は、各々の武器を持ち、校門の傍でオカルト研究部の部員たちを待っていた。
山神たちの背後で、校舎は夜にもかかわらず、煌々と明かりが照っている。
山神が電気を点けておくように指示したのだ。
「本当にあの子達も連れて行くの?」
山神が耳に当てた携帯電話から、少し不機嫌なメリーの声が聞こえてくる。
「仕方ないだろう、勝手に行かれるよりはマシだ…」
「私がオモチャにされるのは良いと思ってるの?」
「そうは思ってないが…」
「遊ばれるのは好きじゃないの。特に私より年下の子には…」
「はは、お前より年下なんか人間には居ないだろうが」
メリーの台詞を冗談と思い、山神が笑うと、がちゃり、と電話が切られた。
「おいおい…これ以上機嫌悪くするなよ…」
山神はそういうが、メリーはそっぽを向いて山神を見ようともしない。
勿論、メリーは本気で気分を害したわけではない。
口では不機嫌ながらも、周囲の空気は穏やかなものであった。
だがその時、不意に、山神の皮膚を電流が流れるかのような感覚が走った。
びくり、と身体を震わせ、その原因を探ろうとした瞬間、声がした。
「お待たせしましたー!」
「しましたー!」
「あれ、どうしたのメリーちゃん?そっぽ向いて…」
私服姿で夕方に見た三人と、その背後から一人、髪の長い女性が姿を現した。
「あらあら、調査に来たと仰るから、もっとお年の召した方かと思ったのですが、こちらの方がそうですの?」
ゴシックロリータ…と言って差し支えの無い、メリーに負けず劣らずのフリルの付いた、落ち着いた色調の服を着た女性が、部員の一人に聞いた。
「ええ、部長。彼が山神黒之さんで、そっちの女の子がメリーさんです」
「あら、メリーさん…羊?」
「メリーさんは羊飼いですよ」
笑いながら部長のボケに突っ込む部員。
だが、山神は、微塵も笑う気になれなかった。
(驚いた、こいつは本物だな…)
部長、と呼ばれた女から漏れ出る霊気が、山神の皮膚を刺す。
メリーも同じく、この女が嘘やハッタリでない「本物の」オカルティストであると理解していた。
「はじめまして、山神さん、メリーちゃん。私は、オカルト研究部部長の鷹司望です。よろしくお願いしますね」
スカートをふわりとつまみ、軽く会釈する。
そして、すっ、と山神に近づき、耳元に口を近づけた。
「妖怪と、精霊…そちらは使い魔かしら?奇妙な組み合わせですわね」
「ーっ!!」
刀に手を伸ばそうとすると、その動きを読んでいたかの如く、刀の柄を押えられた。
「あらあら、うふふ、適当に物申しただけで御座いますわ…私とてオカルティスト、おおよその見当ぐらいつきますもの。人でないものの、ね…」
山神には、耳元で穏やかに語られるその言葉の節々に何かしらの冷たいものが含まれているように感じた。
「お前は…なんだ?」
「あらあら、私は鷹司望ですわ。それ以上でもそれ以下でもありませんわよ」
軽いステップで一歩離れ、穏やかな笑みを浮かべるその少女の薄皮下一枚を想像し、山神は身震いした。
鷹司は、くるりと優雅にその場で半回転し、部員たちのほうに顔を向けた。
「で…今日あったおかしな事、というのは、いったいどのような事ですの?私、ちゃんと説明を聞いてませんわよ」
「私たちの知る七不思議の六つ目が、全部違うんです…」
「あらあら、では山神さんはその調査に来たのですね?」
鷹司は、指を頬に添え、小首を傾げながら山神に聞いた。
「いや…今日は、六つ目はすべて省き…最初の五つだけを調べに来た」
「あら、そうですか。そして、私たちもそれに御随伴致しましょう、という事なのね?」
「そうです…部長は本物の魔術師ですから!」
「うふふ、厳密には魔術師ではありませんわ…確かに、勝手知りたる私たちが居たほうがよろしいかもしれませんわね。山神さん、不束者ですがよろしくお願いします」
「あ、ああ…」
改めて笑顔で挨拶する鷹司に、山神には、生返事を返すことしか出来なかった。
「そして、私が部員の橋本唯です!」
「自己紹介が遅れました、小林美音です!」
「山根霞です、よろしくお願いします!」
「あらあら、貴方達、自己紹介まだでしたの…?駄目じゃないですか」
「「「すいませーん!」」」
「では、行きましょうか…。最初は、此処から近い体育館でよろしいかしら?」
「ああ…そうだな」
いつの間にか鷹司に主導権を握られていた山神は、メリーにスーツの裾を引かれて我に返った。
そちらを見た山神に、すっ、とメリーがメモを差し出した。
『気を抜いちゃだめなの。たしかに、てきにまわしたら怖いかもしれないけど、味方なの』
受け取ったメモにはそう書かれていた。
「そう、だな…。しゃんとしなくちゃな。」
こくり、とメリーが頷くのを見ると、山神は先に進む彼女らの後を足早に追った。
何故か自分の中では昨日投下した積もりでしたorz
>>Ladyメリー氏
GJ!今日の昼一気に、ですか!楽しみにしております。
鷹司ちゃんにもモデルがいるのかぴら・・・? ドキドキワクワク
>>100の続きね・・・。
少し投下に時間かかるかもしれないが・・・六話一挙投下!
第七十五話
伊藤は自分の耳を疑った・・・。
馴染みのある声、いつも耳にする口調・・・。
・・・そんな馬鹿な・・・。
間違うはずがない、だが・・・、そんな事があるはずもない。
しかし、伊藤は反射的に咽喉から出る言葉を押さえる事はできなかった・・・。
「ゆ り こ ・・・!?」
伊藤のカラダが震えだす。
「人形」は身じろぎ一つしない、・・・視線も伊藤に向けたままだ。
何か言いたいことがあるとき無言で見つめるクセ・・・、昔からの百合子のクセだ。
「・・・嘘だ、そんな・・・百合子? どうして!?」
「あなた、ごめんなさい・・・。」
彼女はゆっくりと伊藤たちに近づいた・・・。鎌を後ろに、そっとカラダを寄せる。
「・・・麻衣も・・・、泣かなくていいのよ、あなたは何も悪くない・・・。」
伊藤の手がかぶさってる麻衣の頭に、人形も片手を優しく乗せる・・・。
マーゴ達も徐々に何が起きてるか把握し始めた。
だが、あまりの残酷な現実に言葉を発する事もできない・・・。
レッスルが見かねて話し始めた。
「・・・お嬢ちゃん・・・麻衣ちゃんの力は遺伝なんじゃ・・・。
奥さんは全てを知っておったのじゃ、かつてお前さんがメリーに会った時も・・・、
今度もそうじゃ、
お前さんを一人でここに来させれば・・・、お前さんが死ぬと予知していたそうじゃ・・・。
じゃが、麻衣ちゃんを連れてゆけば、麻衣ちゃんも命が危険に陥る事も気づいてしまった。
奥さんが選んだ道は・・・、お前さんたち親子の命を救う事・・・それが全てだったのじゃ・・・。」
伊藤は力なくレッスルを振り返る・・・、だが・・・何も喋れない・・・。
立ち上がったマーゴがようやく口をはさむ・・・、普段の彼女では想像できないほど激昂している。
「・・・どういうこと!? メリーのカラダに奥さんの魂を封じ込めたって事!?
何でそんな恐ろしい事を!? 彼らを助けるには他に方法だって!?」
レッスルは首を振る。
「・・・彼女は普通の人間じゃない・・・。マーゴ、お前さん調べていたな、
世界の平和を脅かすかもしれないと言っていた・・・闇の一族の事を・・・。」
第七十六話
「な・・・、それって・・・まさか・・・!?」
「彼女達がそうじゃ・・・。
かつてエデンにおいてヴォーダンから「生命の実」を食べた一族・・・、
バァルも言ってたじゃろう、『リーリト』・・・。
それが彼女達じゃ。
長い寿命を持ち、時にはイヴの子孫にはない能力を有する・・・、
そしてその代わり、イヴの子孫のように複雑な『心』は持たないし、繁殖力もない。
かつてはお前さんたちに『魔女』のレッテルを貼られ多くの先祖が火あぶりにされた・・・。
イヴの子孫との溝は深く、子供を生む時には男に近づいて自らの子孫を残し、
必要がなくなれば、夫といえども殺していくようになったのじゃ・・・。
・・・わかるか!? いずれ、今度の事件がなくともいつか、
この奥さんは旦那を殺さなくてはならなかったんじゃ・・・。
それが一族の掟・・・。
彼女が『人形』に転生したのは、自分が愛する夫を殺さなくてもいいように・・・!
一族を裏切る事も、愛する者を見捨てる事もできない彼女が選んだ唯一の選択だったんじゃ・・・!」
伊藤の呼吸が荒くなる・・・。
レッスルの説明なんかはどうでもいい・・・!
話よりも事実そのものを受け止める事ができない。
潤んだ目からは涙がこぼれ始めた・・・。
再び力なく「百合子」を振り返る・・・。
「・・・うそだろ・・・? 冗談なんだろ・・・? なぁぁ おい・・・。」
「・・・あなた、愛しているわ・・・。」
そう言って、人形「百合子」はそのきれいな髪を持つ頭を伊藤の肩に乗せる・・・。
そのまま銀色の髪は、伊藤の背中や胸に静かに垂れる。
「・・・既に奥さんには『感情』が芽生えていた・・・。
生まれた時からか、
伊藤さん、アンタと出会ってから覚えたものかは分らんが・・・、
これはなるべくしてなった事なんじゃ。」
第七十七話
麻衣は泣きながら人形のカラダの母親にしがみつく。
伊藤ももはや何も考える事ができなくなっていた・・・。
目の前の人形は、かつて麻衣と姿をだぶらせた可哀想な女の子ではない・・・、
自分が生涯愛すると誓った最愛の女性・・・。
「・・・百合子!」
伊藤は冷たいカラダの百合子を抱きしめた、力いっぱい・・・!
もはや涙を止める事すらできない。
「ごめんよ・・・おれ、君が苦しんでたなんて、 ・・・分らなくて・・・気づく事もできなくて・・・!」
「・・・いいのよ、幸せだったわ・・・。」
そして百合子はそっと頭を起こし、愛する夫に顔を近づける。
夫は愛する妻に唇を重ねる・・・冷たく固い唇に・・・。
見ていたマーゴも両手で顔を覆って泣き始めた。
「さて、お前さんたち、・・・これでも彼女達は危険と思うかね・・・?
彼女だけが特別でない。
世界の紛争地の人間同様、復讐を行動原理にした『リーリト』もおれば、
大なり小なり感情が芽生えて、同様に思い苦しむ『リーリト』もおる。
全く能力が発現せずに、普通に人間として暮らしておる者もたくさんおる。
今後、どうやって彼女達と折り合っていくかは、全てお前さんたち次第じゃがの・・・。」
マーゴは泣きながら首を振る・・・・。
ライラックは思慮深く答える。
「彼女達に・・・手を差し伸べるのも一つの道だと仰るのですね・・・?」
「わしにはどちらを選べと言う事はできん・・・、
バァルが言ってたじゃろう?
お前たちを争わせるのも、ヴォーダンやわしのせいなのかもしれん。
・・・わしが望む望まないに関わらずにな。」
義純が尋ねる。
「今や、あの人形のカラダには、三人の女性が宿っているのですか?」
「・・・いや、バァルがかけた自分への安全装置は、人形のボディとエミリーの精神・・・。
エミリーの魂が入ったままでは、恐らくバァルを殺す事はできなかったままじゃろう・・・。」
「えっ、それではエミリーの魂は・・・?」
第七十八話
人形、百合子はカラダを離した。
・・・黙って夫や麻衣を見つめる。
「泣かないで、麻衣・・・あなた。」
そうは言っても涙をとどめる事ができない。
「・・・もう、行かないと。」
「行くな! 百合子、人形だって一緒に暮らせばいいじゃないか!
今までと・・・、今までどおりには行かないかもしれないが、三人で一緒に・・・!」
人形は首を振る。
「元々、わたしには感情はないはずなの、寿命だってあなたの数倍は生きるわ・・・。
何も気にする事はないの・・・。
わたしにしてみれば、本来の運命を歩むのと、大して違いはないわ・・・。
お母さんと同様、一定の年齢になったらみんなの前から姿も消さなきゃならない・・・。
少し早くなっただけよ。
それにこのカラダは、やっぱり他人の感情を吸い取って動くみたい。
今は惰性で動いているけども・・・。
これからは今までのメリーと同様に・・・この鎌を振り続ける事でしょう・・・。」
だが、伊藤は彼女のカラダを離さない。人形の百合子はちょっと困ったような首のかしげ方をする。
「あなた。」
「・・・何だい、百合子・・・。」
「お願いがあるの・・・。」
「・・・何でも言ってくれ。」
「レッスル様。」 そう言って百合子は顔を老人に向けた。
レッスルはうなずき、みんなを促す。
「もう、ここには用なかろう、こっちへ来てくれ・・・!」
全員、ゆっくりとその場を離れる・・・伊藤と麻衣は、百合子のカラダを放さない。
しばらく歩くと、間道を抜け、崖のようになっているところまで戻ってきた。
そこには毛布にくるまれた、一人の女性のカラダがあった・・・。
「あれは! えっ、ゆ、百合子・・・!?」
第七十九話
人形は優しくつぶやく。
「あなた・・・、麻衣、・・・行ってあげて。」
伊藤は何が何だか分らず、本来の妻であるはずのカラダの元に向かった・・・。
息がある・・・?
生きてる・・・? これは!?
二人の父娘は、百合子のカラダであるはずの上体を揺する。
「 ・・・ん、んん・・・!」
「ど、どうなってるのぉ!?」 マーゴでなくとも全員わけが分らない。
この疑問には、レッスルが穏やかに答えた・・・。
「人形に込められた魂を吸い出すことはできない・・・、
じゃが、人形の内側からなら、その魂を追い出す事ができたよ・・・。」
「ええぇ!?」
人形の百合子がつぶやいた。
「イヴの子孫とおんなじカラダに住み着くなんてまっぴらごめんだもの・・・。」
かつての百合子は目を開いた。
キョロキョロ辺りを見回すが、何がどうなってるのか分らないようだ。
伊藤の顔を見て、きょとんとしていたが、しばらくしてゆっくり腕を延ばす。
何かを差し出すかのように・・・。
・・・この動作には・・・覚えがある・・・。
あの時とは、
・・・六年前の屋敷での時とは逆に、今度は伊藤が後からその指に自分の指を重ねる。
洞窟の中で指は冷たくなっているが、あの時のように固くはない。
目の前の伊藤と麻衣を不思議そうに見つめて口を開く。
「・・・? 手袋のおじさん? 麻衣ちゃん・・・!?」
そこにいたのは、今まで長い間メリーに封じ込められていた女の子の魂であった。
レッスルと百合子は、お互いの魔力を使って、魂を交換する術に成功していたのである。
第八十話
「あなた、麻衣、新しい家族をよろしくね・・・。」
伊藤の目には再び涙が溢れてきた。
悲しい現実はどうしょうもない。
だが、遠い過去からの悲劇は、この場で終結を迎えるのだ。
可哀想な女の子の物語は、いま、ここで解放されたのだ。
伊藤は顔をくしゃくしゃにしながら、これ以上ないという笑いを顔に浮かべる。
麻衣も泣きながら喜んでる。
やっぱり親子だ・・・。
そして百合子の人形は、満足そうに後ろを向いた。
「百合子! 待って!」
「ママーァ! 行っちゃやだぁ!!」
百合子は一瞬足を止め・・・、
そして顔だけをかつての家族に向ける。
「心配しないで・・・。
わたしはいつまでもあなた達の妻でママよ・・・。
麻衣が大きくなったら、わたしと同じような目に遭うかもしれない、
その時は、必ず麻衣を助けに行くから・・・。
さよなら・・・、大好きなあなた・・・、可愛い麻衣・・・。」
そう言うと、百合子は大きく崖をジャンプして、
つむじ風でも起こすかのようにその場から走り去ってしまった・・・。
「百合子ーォッ!!」
「ママァーっ!!」
洞窟内に伊藤達の叫びがこだまする、
・・・だが、その返事は返ってこない。
誰もかれもがその場を動けない・・・。
レッスルも・・・、マーゴも、ライラック、義純、ガラハッド、全ての者が、
伊藤たち家族の、数奇な運命を見守る事だけしかできなかった・・・。
☆ 今日はここまで!
長かった物語も明日で最終回です。
果たして、この物語はハッピーエンドなのか、バッドエンドなのか、
皆さんの解釈次第です。わしにもなんとも言えません。
ただ、Ladyメリー外伝「白いリリス」のもう一つの結末・・・ではありますね。
メリーと出会っていなければ、百合子の取った行動は・・・いつか必ず彼の命を・・・。
>>114 の伊藤さんのセリフ・・・自然にあの時の物語とかぶっちゃったし。
120 :
本当にあった怖い名無し:2006/03/12(日) 15:49:10 ID:oOdtuAd2O
>>Ladyメリー氏
今回で軽く鬱になりますた。でもGJ!
>>鷹司のモデル
外見のイメージは「スカッとゴルフ パンヤ」っていうオンラインゲームの「アリン」というキャラですね。
口調は特にモデルは有りません。どこかで見た喋り方のような気がせんでもないですが…
>>Ladyさん
GJ!…だけどカナシス(ノД`)゜。
最終回ってことは第六章はないっていうこと?
ぅわぁぁああん!!
。゚(゚´□`゚)゚。
ゆりこさぁぁああん!!
今回も外伝もテラカナシス・・・orz
でもでもlady氏GJ!!
「わたし、ゴールドメリー・・・、今、お米をといでいるところよ・・・。」
「わたし、金芽里・・・、今、お釜に火をつけたところよ・・・。」
「わたし、金芽米・・・、ご飯が炊けたわ・・・。」
「わたし、イナバウ・・・コホンッ、はい、召し上がれ。」
>これはなるべくしてなった事なんじゃ。
一瞬波紋の爺さんが頭をよぎった
>>125 ・・・そこもかぁ・・・!
そんな昔のセリフ、覚えてないよぉ〜!(泣)
悩ましいほどorz−ッ!!
カボチャさんへ、すんません、そんな丁寧なレスを・・・。
いや、物語でいわくありげだったので、
天狗とか妖怪とか、なにがしかの伝説上の人物とか、
ストーリー上の隠された設定を勝手に妄想してたのねん。
>>122-123 悲しいですか、・・・そうですか、
・・・う〜ん、明日も見てくださいね。
悲しいっていうより、切ないね。。
ついでだからパロディだけど思いついた小ネタ
(下ネタ注意、わかる人にしかわからないネタかも)
メリー「…もしもし、私メリー。いま、福岡県にいるの。」
メリー「…もしもし、私メリー。いま、飯塚市にいるの。」
メリー「…もしもし、私メリー。いま、飯塚にいるの。もうあなたの家も近いわよ。」
メリー「…もしもし、私メリー。いまあなたの家の前にいるの。」
メリー「…もしもし、私メリー。
いま、あ な た の う し ろ…」
溝田「やぁ、待ってたよメリーさん。」
メリー「!!?」
溝田「へへへ、メリーさん、あんたかわいいな…、俺とエッチしないか」
メリー「!?ちょっ…!?何言ってるの!?」
カチャカチャ…ベロン
メリー「ッ!!!?」
溝田「どうだメリーさん、俺のチ〇ポはでかいだろ。なぁ、エッチしようぜ。」
ガシッ
メリー「!!いやっ!!はなして!!」
溝田「おいおい、静かにしろよ…。」
メリー「キャァッ!痛い!痛い!」
溝田「だから静かにしろって言ってんだろ…いい加減にしねぇと殺すぞ…」
メリー「…わ、わかったわ…静かにするわ…」
溝田「ふふふ…わかったか…わかったら…
ラジャーと言え!!!!!」
・・・ネタがわからないですが、導入部分が僕のと同じだわ笑
これだけもりあがっていたら、もう、遠い過去だから、今スレを読み始めた人は、
もう、どんなはなしだったのかもわからないだろうね・・・。
一気にうぷしないとだめですね・・・。
というわけで、Ladyさん、カボチャさんGJGJ
>>128 おや、こんな時間に珍しや。
だいじょーぶ、みんな待ってますよ!
さぁ、最後の話だぁ!!
第八十一話
「・・・それで・・・。」
「勇敢なる騎士」とまでうたわれたケイは、全ての書類に目を通してから話を続けた・・・。
「その『人形』は今後、危険はないと・・・?
『リーリト』とやらも、我々が動くべきものではないと、そういう結論なのかね?」
ライラックが背筋をただして答える。
「・・・いえ、危険はないとは言えません、・・・ですがまずは対話があるべきです。
もちろん、警戒や準備は必要ですが、いたずらに血を流すべきではないと考えます。」
「ふん、これで本部が納得できるといいがな。」
「だいじょーぶよぉー!
叔父様がつよーく主張してくれれば、逆らえる人はいないでしょぉー!?」
「ば・・・馬鹿なこと言っちゃいかん!
その・・・もっと大局的に物事を見ないで、発言できる訳ないだろう!?」
「じゃー、叔父様ぁ、大局的にお願いしますねぇ〜!」
もしかしたらこの騎士団を牛耳っているのはマーゴかもしれない。
紅いウェーブの髪のライラックは心底から震え上がった・・・。
「ゴホン、あー・・・それで、この『人形』は何て呼べばいいんだ?
・・・もう『メリー』ではないのだろう?」
「さぁ、どうしましょう? 百合子さんだからー・・・
『Lady Lilly』なんてどうかしら?」
一方、ガラハッドは今度の事件を契機に、正式に『騎士』への称号を与えられる事になった。
彼の兄は、騎士団本部本部長なのだが、今夜はその内定を祝い、二人で祝杯をあげる。
「おめでとう、ガラハッド! これからもガンバレよ!」
「ありがとう、ランスロット兄さん!」
日浦義純は、今日も「日浦総合リサーチ」で地味な調査業務をこなしている。
実力があっても出世には興味ない、「愚者の騎士」で十分だ。
熱いマンデリンがあればそれでいい・・・。
そして東京西部・・・、その後の伊藤宅では・・・。
第八十二話
「あー・・・、 麻里! 絵美里! ごはんだぞー!」
百合子のカラダには二人の女の子の魂が入っていた。
メリーと呼んでも良かったようだが、二人の嗜好が全く違うために区別する事になった。
食費は今までと変わらないが、服の好みが違うために洋服代が馬鹿にならない。
現代生活や常識を教えるのも一苦労だ。
それにも増して賑やかさが今までと比べ物にならない。
麻里の方は、生前は17、8ぐらいだったようで、ある程度おとなしい。
う ら ら ー ら ぁ ♪
また歌を歌ってる・・・、ちょっと天然がかってるが面白い子だ。
絵美里はちょうど麻衣と同じぐらいらしい。
麻衣と顔をあわせると、のべつまくなし喋ってる。
メリーのカラダに入っていた時、彼女の棲家にしていたところがあったらしく、
伊藤はしばらくして、そこに出向いて赤い手袋を取ってこさせられた。
懐かしい・・・。
感情面については、人形の頃のスタイルがまだ強く影響している為、
表情の造り方がぎこちないが、きっとすぐに思い出すに違いない。
麻衣も嬉しそうだ、姉や妹ができたように感じているのだろう。
あれ以来、百合子には会えないが、伊藤もそんなにさみしいわけでもない、
・・・そしてそれには訳がある。
麻衣は伊藤と一緒に夕食を作っていた。
お茶碗を並べながら父親に話しかける。
「パパァ!」
「何だい、麻衣?」
「あのねー、ママがねー、また、トマト食べなかったでしょーって!」
「え!? ・・・麻衣、おまえまたママに言いつけたの?」
「今度食べなかったら、鎌持って斬りつけてあげるわって!」
「うへぇ!?」
第八十三話
・・・実はあれ以来、麻衣は毎日のように百合子と交信している。
元のメリーともできたぐらいだ、実の母親と交信するのは難しくもなんともないのだろう。
考えてみれば当然かもしれない。
おばあちゃんとも似たような事をしているらしい。
確かに恐ろしい一族だ。
恐らく、この一家はこれからも、いろんな出来事に襲われるかもしれない。
『リーリト』の運命は、麻衣にも確実にやってくる。
だが、彼らの家族はそんなものには負けやしない。
数百年に及ぶメリーの因果を解いた家族だ、
片目のレッスルは杖をついて、遠くからいつまでもその家の明かりを見つめていた・・・。
きっと、自分のかつての父、エックハルトや、その愛人フラウ・ガウデンにも、
同じように呪いが解ける日がくるかもしれない。
彼らの呪いにも、何か自分には分らない大きな思慮が働いているのかもしれない。
レッスルは、自分の主人が、しばしば「悪魔」と呼ばれていることは知っている。
しかしそれを卑屈に思う事もなければ、嘆く事すらなかった・・・。
全てを選ぶのは人間次第・・・。
鎖に繋がれたヴォーダンも、未来は見通せるが運命には打ち勝つ事はできない。
むしろ、未来が見えない人間だからこそ、運命に打ち勝つ事ができるのかもしれない。
レッスルは自分がヴォーダンの一部である事を誇りに思い、
人間達の世界に触れられる事に無上の喜びを見出していた。
この先、人間がどんな進化をするにしても、
レッスルは暖かく彼らを見続ける、
遠い昔、ヴォーダンがアダムとイヴに与えた果実の本当の名前、
エピメテウスとパンドラに与えられた素晴らしい贈り物、
「希望」という果実を胸に抱いて・・・。
「・・・マリー、そしてエミリーや、その暖かい家で、幸せな人生を取り戻すんじゃぞ・・・。」
(Lady メリー最終章「解き放たれたLady メリー」終了)
>>132 GJ━━━━。゚(゚´□`゚)゚。━━━━!!!!
あとがき
みなさん、長い間Lady メリーを読んでいただきありがとうございました。
・・・どうですか? やっぱり切ない物語でしたか?
ほんのつまらぬ発端で書き始めたものが、ここまで長引く事自体、
わたしの予想をはるかに越えてしまいました。
・・・ここらで幕を閉じようと思います。
物語りも終わりましたので、目欄のネームも外します。
もちろん、わたし宛になにかあれば、名乗り出ます。
このスレからいなくなるわけでもありません。
最後にこの物語の設定を話させて下さい。
第一章を書いた段階では、特にメリーの過去とかを既に考えてたわけじゃありません。
第二章をどうすべか? と、考えてた時に、「エミリーの赤い手袋」の話を見つけたのと、
大学時代に書いた「白いリリス」のキャラを復活させることとなりました。
となると、次に書く材料が、わたしの記憶の底の引き出しから「僕も出して!」「あたしも!」と、
身を乗り出して訴えてくるじゃありませんか。
「妄想」と言ってしまえばそれまでですが、かなり作りこんだ世界観があります。
学生時代の4作も、その世界観から産み出した泡のような小さなエピソードに過ぎません。
・・・一人の少年に転生したヴォーダン・・・騎士団との死闘(ライラックも義純も死んじゃいます)・・・、
悪魔崇拝者の「黒十字団」・・・神々に使わされた「不思議な少年」・・・人間という種の存亡・・・、
・・・アダムとイブを継ぎし者・・・終末への選択・・・。
スレ違いなのでやめますが、今度のように、こういった話をどこかで発表するかもしれません。
どこかでそんな話を見かけたら作者は「アイツ」かも? と思い出してくださいませ。
・・・では今後の未来を予想でも・・・。
☆ 大人になった麻衣ちゃんが、麻里と絵美里と力をあわせて、リーリトに立ち向かう。
☆ Lady リリーの百合子さんが、バッサバッサと男達を切りつける
(対男性に対してはメリー時よりパワーアップ!)。
☆ 騎士団と百合子さんが、謎の組織「デミゴッド」に潜入する。
☆ インテリジェントオフィスビルのとある一室に住まう、黄金色の瞳を持つ謎の老婆。
いろいろ想像してみてくださいね〜。
>>134 想像してみますよ、あんな事やこんな事・・・・・ダー‐‐・・・ ・ ・(頭から血を出す事態に
四足の何か「落とそうか・・・・・」
degenerate thought .(思考退行)
「今日中に仕上げねえとな」なんて考えながら日の照らぬ奥で何かを組み立てる、男
<ガしゃーん・・・・・>一体誰だぁ、この忙しい時期に、
この者は来訪者を見て 後の紡ぐべき言葉が見当たらなかった。
かれは思考をめぐらせる。
1ここは立ち入り禁止区域である。
2張られていた、結界を抜いてきた。
3眼前にいるのは チッコイ子
結果:(゜∀゜)キター
1襲う。2襲わない。
2番で・・・
アンサ-?
ファイナル!アンサぁー!
「おじさん何やっているですか?」何時の間にか起きていた、人にきかれる。
「ん?ああ起きたんだね、嫌なんでもない・・・(かっ神よなぜ・・・)」
「とっとりあえす、傷を見せてごらん」
「はいです・・・所で此処は何所?です」
「此処は研究室、君には関係のない所だよ」
彼は優しく微笑む。「所で君の名前は」
この時、彼の予測しない言葉が出てきた。
「しゃく・・・りーん」
エエエエエエエェェ((;‘д`)ェェエエエエエエエ
シャクリーンいったら、法王の御孫さん・・・・
д゜)ガクガク、殺される・・火あぶりで私刑だ・..串刺し..・・そんなOTL ここまでの思考に0.41秒。
少女は不思議そうに包帯を巻かれ片目が隠れている顔を傾げる。
「そうだ まだ孫と決まった訳じゃない、お爺さんの名前は」そのささやかな希望は
砂浜の城のように消え去る事になる。
「ケンツァ‐」
ダー!リンチ確定ダー!!まて待つんだ、わい!正直にはなせば 法王の所に連れて行けば、軽くなるはずだぁ。
(正確には未遂です)
>>128 あ、ほんとだw
126氏のSS最初からリアルタイムで読んでたから
自然に影響されたのかもしれんですw
Ladyさん、これからも小ネタでいいからちょくちょく書いてほしいです
lady氏乙でした!!
悲しいだとか色々言ったけど・・・感無量です
続きというか、その未来予想図も読みたいー!
他のお話は、書くならオカ板ですかね?
書く時はヒントでもいいからスレタイ教えてぇ
>>135 な・・・何を落とすの・・・!? ガクガクプルプル・・・。
今作はなかなか、POPですな・・・話風が・・・。
>>139 へい、その場限りですが、ちょくちょく書きますね。
>>140 いや、近い話ではないと思うけど・・・、このスレが残ってたらその時は必ず・・・はい。
/;;;; イノ ゝヽヾ あ! 書き忘れた!
>>133さんもありがとう!
/;;;;;; / ノ(● ●))
/;;;; // ゝ ∇ ノ ゝ
l;;;; / ノ ( 〆へ \
l;;;; l 人 《( ヽ へ
ヽ;; ヘ リ;;::ゝ、/^ )\
`'' ゝ ヽ ゝ、/ ゝ唱
イ:::::::::::;;;;::::::::::::::ヾ \
ん;;;;;;;;;;::ム,,..へ;ム::;;:::ゞ
ん;;;;;;´ ×ノ ム
丶、××
××
GJ!!!
そして3スレにまたがる大作乙!!
>>143 おーきにな!
・・・しかし誰も書かんなぁ。
ええわ、あといちわ、ストックしとるんでな、置いてくわ。
だいごわ
最恐の和製ゴスロリ少女、うりぃめりーと犬の災・・・いえ、冒険は今日も続きます。
「姐さん!」
「なんや、犬?」
「そういえば、姐さんて生まれどこなんですか?」
うりぃの足が止まりました。
「・・・おんどれ、やなこと聞くなぁ?」
「あ、すいませんっ! まずかったすか?
いえ姐さんの言葉って微妙に関西弁じゃないような気がして・・・それだけなんです!」
犬は条件反射で身を守ろうと身構えます。さすがに学習してるのでしょう。
「しかたなかろう、ウチは一年しか、じじい、ばばぁのトコで暮らしとらんのやで?
・・・その後は放浪生活や、知らん土地の言葉だって混じってまうわ。」
「・・・そうか、そう言われるとそうですよね?
でも標準語も喋れますよね?」
「おじょーちゃんのふりする時はな、東京弁も使わなしゃーなかろ?」
「・・・東京弁て・・・ぷ、コンプレックス丸出・・・ あ!!」
うりぃの目が光りました。 犬も自分の不用意な言動に気づいた時は既に遅し・・・!
・・・でもなかったです。
「・・・あ、アレ?」
「今日は堪忍したるわ、・・・せっかくの日やさかいにな。」
犬の耳が、ピクンと動きました。うりぃは遠くの方を見つめています。
向こうの街角で、黒いドレスを纏った銀色の髪の女の子が手を振ってました。
つられるかのように、犬の尻尾も激しく左右に動きます。
滅多に他人にはなつかない犬なんですが。
「おい、犬、おつかいや、猿も雉も呼んで来い、今夜は宴会や、朝まで騒ぐでェ!」
「ハ、ハイ!!」 犬はダッシュで駆けていきました。姿はもう見えません。
うりぃも向こうの女の子に、にっこり笑って血だらけの草刈り鎌ごと手を振ります。
珍しく彼女もホントに嬉しそうです・・・。うりぃは大声で呼びかけました。
「おう、おつかれ、れでぃ! 長いことごくろーさん!!」
実はこの後、宴会芸代わりに犬の虐た・・・いえ、不死身ぶりがアピールされるのですが、
ま、それは置いときましょうか。
Lady氏GJ!!(ノД`)゚。
初スレから今まで・・・超大作でしたね。
もうみんな言ってますが、これからも何か書いてくださいね。
待ってますんで。
>>カボチャ氏
鷹司タソ、アリンのイメージで書いてみたw
http://p.pita.st/?mszlsydw スキャナほしいなぁ・・・
147 :
名無し:2006/03/15(水) 16:22:29 ID:8Nojt4x7O
Ladyさんお疲れさまでした
何だか胸いっぱいですわ。でもま、終わりは絶対くるもんですからね
またLadyさんの作品読めるの待ってます。今は少し休んでね。
んで、俺のヤツについてはもう全部書いてからupする事にしました。時間かかるかも。。
…しっかし、どんな人がこの物語を書いてるんだろうか…とかどんな人がこの絵を描いたんだろうとか
いつも考えながらこのスレは拝見してました。なんだかこのスレの皆でオフ会してみたいな。
>>誰いなサマ…絵が見えないスorz
>>名無しさん
オ、オフ会とな・・・・・ドキドキw
絵のほうですが、一応携帯でも確認できましたんで、
何度かリロードしてくれれば見れると思います。
>>146 見えた。・・・胸がでかい・・・のかな?
しかし、この子を鷹司タンだとすると、メリーはどんなイメージになるのかぴら?
オフ会ねぇ〜?
年齢も嗜好もバラバラっぽいなぁ、あー怖・・・。
by Ladyめり
150 :
名無し:2006/03/15(水) 22:17:44 ID:8Nojt4x7O
>>誰いなさんの絵やっとみれましたよ。GJです。
そういや俺、最近描いてないや…何かネタあればねぇ
>>Ladyさん
ぁぁ…オフ会に関しては読後感に酔ってついポロッとはみでたくらいなんで
あまり気にしなくていいです…ただ個人的に皆に興味がありまくりだったんで。
見るからにボロくなったドアを思いっきり蹴破って部屋へ・・・っが、そこは!?
「んあ?部屋間違えたかな?」
そんな事をボヤいてると、小気味良い振動とともにポケットから携帯の呼び出し音が・・・
『私メリーさん。オッチャぁ〜ン、早過ぎやでホンマ・・・』
「ありゃ!しまったなぁ〜〜これが・・・トホホ」
っと云う事で次週(?)辺りに投下予定のSSに関する予告です・・・・m(_ _)mド〜ゾヨロシュウニ
ドキドキ・・・!
>>153 老人「わしにもそう見えた事は内緒じゃよ」
iruyo!
wktk
体育館、ケヤキと順当に何も起こらず進み、校舎内に入った一団は、その空気の異変に気付いた。
ある程度は当然とは言え、さながら冷蔵庫の中にいるかの様な錯覚を引き起こす冷気は確実に異常である。
それでいながら、霊気の類は、山神には全く感じられなかった。
「…何で?」
「私に聞かないでよォ」
「さ、寒…」
「あらあら。ひょっとしたら地獄の門から冷気が漏れているのかもしれませんわね」
時刻はとうに九時十五分をまわっている。
鷹司は、そう言って部員たちが怯える様を見て楽しんでいるようだった。
「さて…やっぱり一番近い地獄の門から、か?」
「そうですわね…怖かったら帰ってもいいのですよ?」
「いえ…大丈夫ですよ!」
「そう…?後悔するかもしれませんわよ?」
にやり、と意味深な笑みを見せると、部員達は一瞬戸惑いの表情を見せたが、やはり意思は変わらず、山神達についてくる気である。
先頭を鷹司が進み、その後を部員、メリーが続き、山神は念のため最後尾を、背後の気配を気にしながら歩く。
前方の部員たちは、怖さを紛らわせる為か、やたらとメリーに話しかけている。
と、一人の部員…橋本が、振り返って山神を確認し、つつつ、と寄ってきた。
「…今、メリーちゃんに年齢を聞いたんですけど」
「ああ…どうかしたか?」
「紙に『120歳なの』って書いたんですけど、数の書き方間違ってますよね?」
山神は、つい、くくく、と笑いを漏らしてしまった。
「あの、どうなんですか?」
「さぁな…?合ってるかも知れないな」
メリーの本体…つまりは人形自身は、作られてゆうに百年は経つビスクドールである。
だが、精霊と化したのはここ十年前後の出来事だ。そういう意味では年齢が12歳と言えないことも無い。
「冗談…ですよね?じゃあ、山神さんの年は幾つなんですか?」
「ん?270歳、だ」
「また冗談…じゃあ二十七歳なんですね?」
「どうだかな」
そんな取り止めの無いことを喋っている間に、橋本は山神とくっつきそうなところまで距離を縮めていた。
そして、不意に山神のスーツの裾を掴んだ。
「…?」
「あの…怖いんで、こうしてて、良いですか?」
「別に構わんが…そんなのでよくオカルト研究部に所属してられるな…」
「かすみん…山根さんの、付き合いなんで…」
「別に俺じゃなくとも、その山根や小林、鷹司に頼ればよかろうに」
「あの二人は…友達ですけど、いざって時に余り信用出来なさそうで…部長は、得体の知れないところが…」
山神には、その心境は確かに理解できないでもなかった。
特に鷹司は、山神ですらもその内を計り知れないでいる。
さて、次回から戦闘に入るかな…?てな具合です。
現在別のお仕事が並行しており、投下速度が遅くて申し訳ありませんm(_ _)m
>>Ladyメリー氏
遅ればせながら、お疲れさまでした。
当分は氏の描かれた世界の余韻と妄想を楽しむことに致しますw
>>誰いな氏
うはぁ、GodJob!
こんな素晴らしい絵を描かれると、これからのストーリーを少々投下しにくく…げふんげふん
>>名無し氏
オフ会とな…
確かに気になりますね。
おそらく自分はメンバーの中では年少の部類に入るかと思われますが(笑
>>電撃メリー氏
wktk…!超…wktkっ…!!
カボチャさんGJ!
年齢のやり取り、イイ感じです!
>>160 余韻楽しんで下せ。
何度でも読み返して欲しいぐらいですが(L・M)・・・、
作品別INDEXは・・・あの人、忙しそうだから望まない方がいいのかなぁ?
>>162 誰いなさんその子ください!紅い家に住みますから。
>>164 ドゾー( ´・ω・`)つ
たまに血の香りがするけどかわいがってあげてね(´・ω・`)
なんか書き込む度にIDが違う・・・どういうこと?
念のためトリつけとく。
>>166 おれの記憶が正しければ誰かに行動が筒抜けになっているはず。
基本的にひろゆきとかの管理人とボランテアの使っている
付いている機能とか。
>>167 えぇぇぇ(((;゚Д゚)))
でも質問スレで質問してもそういう単語は出てこなかったから、
回線切ってIPが変わったんだ
・・・と思われorz
前スレ埋め、しゅーりょーしますた。
>>169乙!
書き込まれてたネタkoeeeeeeeeeeee
あ、そうだ。始まりさん。
やっぱり回線切る度にIP変わるようになったみたい。
さっきfusianasanで試してきた。
焦ったジャマイカwww
>>168 「最古参の中でも特定の板の一部しか知らない事です、
悪意は無いようですので、気にしない。」
175 :
電撃メリー!地獄のターゲット:2006/03/20(月) 14:50:35 ID:ozRG3MLl0
(立食い蕎麦屋での再会・・・)
「四つだ!”本日のオススメ”を四つ!」
気付かぬうちに注文をする俺の声がデカくなっていた・・・他の客が居るにも拘らず俺の大声はこの立食い
蕎麦屋の店内に響き渡っていた。っが蕎麦屋の主人は頑として意見を譲ろうとしない。
「二つで良いよ二つで!四つも食べたら気分悪くなるよ!」
”ダメだこりゃっ”結局・・・最後に折れたのは俺の方だった。
「わかったヨ!じゃあ”本日のオススメ”二つに、掛け蕎麦一つ・・・これでどうだ!?」
諦めて注文を伝えると主人は、やや不機嫌そうな声で一言「あいよ・・・任しとき。」と言ってからカウンター
の向こうにあるキッチンで蕎麦を湯掻き始める。
っと俺が席に座ると小気味よい振動とともに懐から携帯の呼び出し音が聞こえる。 取出して画面を見ると
”非表示”の文字・・・そのまま無視しても良かったのだが、何と無く気になり”通話”を押してみる。
『もしもし私メリーさん。今通りの向かい側に居るの・・・』
何だこりゃ?・・・っ何だい全く!今時これは無ぇ〜だろうが・・・。
「知ら無ぇ〜な・・・他所へ行け」
そう言って携帯を切る。 あの声・・・歳の頃はそう16、7・・・ってついつい声で相手の年齢を推測、こりゃ刑
事だった時に付いた変な癖、やれやれ・・・俺が13分署をクビになってから何年になるかな?元刑事の転職
先といえば、頭に”ヤ”の付くヤバい職業の用心棒か、今の俺みたいな私立探偵ぐらいか・・・。
そんな物思いに耽っていると再び携帯から呼び出し音が・・・
『もしもし私メリーさん。今お店の前に居るの・・・』
「悪いが他をあたれ・・・今は晩飯の真っ最中だ。」
そう答えて携帯を切ると目の前に注文の品が置かれる・・・っが箸を取ろうとした時三度目の呼び出し音が。
『もしもし私メ・・・ってクッサぁぁぁ〜〜〜っ!!』 ”プツンッ!”
オイオイ何だい全く!しかし通話が切れて間も無く俺の背後から、電話の主が直接話しかけてきた・・・それ
も、かなり御機嫌斜めな様だ・・・。
「もぉ〜、まぁたクッサぁて安物のコロン着けてるぅ・・・前からヤメってて言うてるのに!」
振り向くとゴスロリ姿・・・っでは無く、ややピッタリとした黒のスパッツに流行のロゴがプリントされたシャツ、そ
の上から明るいブルーのフリースを羽織った割と今風(?)の少女が一人、ニッコリ笑って立っていた。
「オッチャン。元気やったか?」
「何だ前に着てたゴスロリ衣装はどうした?」
そう言いながら別段驚くでも無く俺がテーブルの方を向くと少女は、空いたばかりの隣の席にチョコンと座って
俺の方を見る・・・ったく、この娘とは腐れ縁って奴かな?
「それに・・・都市伝説の”メリーさん”と言えば、今のお前さん見たく赤毛のセミロングだっけ?」
「それなぁ、ちょっと聞いてぇオッチャン!ちょっとウチの名前が知られるようになったらなぁ、すぐアタシの”類
似品”が出回ってなぁ、おかげで折角揃えたゴスロリ衣装も暫くはお預けやねんわ・・・」
そう言って不機嫌そうに話をするメリーの言葉を聞き流しつつ俺は、掛け蕎麦を食いながら質問した。
「そんな事より、何故この店に俺が居るって事が分かったんだ?」
するとメリーはニンマリとしながら俺の顔を見て、こう答えた。
「蛇の道は何とやら・・・だいいちウチに情報の集め方を教えてくれたんはオッチャンやで?」
彼女の返事を聞いて”ハッ!?”っとなった俺は、すぐさまカウンターの向こうへ目をやる・・・っと蕎麦屋の主人
がキッチンで蕎麦を湯掻きながら俺を見ながらニヤリ!と笑ながら軽くウィンクをした。
「やられたヨ!全く・・・お前さんは何時もオイシイとこを持っていく・・・これじゃ俺の出番は無ぇな。」
「何を言うねんなぁ〜。オッチャンは今でも、ウチにとって厳しいて優しい先生や。」
やや投げやり気味になる俺に構わずメリーは、この上ない程の猫撫で声で甘えながら、俺の肩に寄りかかる。
「っで、用件は何だ?まさか甘える為だけで俺に会いに来た訳じゃあるまい?」
その質問にメリーが答え様とした時、俺達の背後から今度は別の声が割り込んでくる。
「コラおんどれぇ!注文もせんと何をダラダラ喋っとるんじゃボケぇ!!」
驚いて振り向くと、そこにはゴスロリ姿の少女が一人、犬を連れて立っていた・・・手には一本の鎌っ!(汗)
「あぁ〜〜・・・すまないな、お嬢ちゃん。そんなに時間は・・・」
「じゃかぁしわい!オッサンに用は無いんじゃっ!!」
俺の掛けた言葉をあっさりと突っ撥ねたゴスロリ少女は、その後もメリーに向かって口汚く怒鳴り続けた。
「ウチを誰やと思っとるねんぉ!?ウチはなぁ、巷で噂になってる最恐・・・」
っと、そこでメリーがゆっくりと振り返りながらナイフの様な鋭い目付きでゴスロリ少女をジロ!と睨み付け、凄み
を利かせて、こう言い放った。
「あんなぁ〜。文句あるなら 裏 来 る か っ !!?」
するとゴスロリ少女は“ビクッ!”と縮み上がって冷汗を流しながらガクガクと震えだし、その隣では連れていた犬
がパニックを起こして喚き始める。
「姐さん姐さん姐さん!ヤバいよ姐さん!逃げましょうよ姐さん!」
「声がデカいんじゃボケェ!黙っとらんかい!!」
っと、押し殺した声で犬を叱り飛ばし、その頭頂に硬く握り締めた拳を叩き込んだゴスロリ少女は、口の端をヒクヒ
クと震わせながら引きつった顔で俺達に笑いかけてくる。
「す・・・す、すっ、すんまへんでしたなぁ・・・ほ、ほっ、ほな〜ごゆっくり・・・ハ・・・ハハ・・・」
そう言ってお詫びをするとゴスロリ少女は、白目を剥いてピクピクと痙攣を起こして失神している犬を引き摺る様に
して、そそくさと店を後にする。
「なるほど・・・“類似品”ねぇ・・・にぃ〜ひっひっひぃ〜♪」
「笑い事ちゃうって!もうムカつくわぁ〜ホンマ・・・」
っと俺の冷やかしにメリーは、その小さな頬をプッ!と膨らませてムクれる。
「HO!HO!HO!“電撃メリー”に膨れっ面は似合わんぜ。」
「もうヤメてぇ〜な、その呼び方・・・ウチその呼び名は好かん・・・」
そう腹立たしげに言うとメリーは、ムッ!とした顔で俺をニラむ。 “お〜お〜怒った顔もカワイイ奴”等と不届きな事
を考えつつ俺は“晩飯中”を続けた。
「まぁいい。それよりも話というのは長いのか?だとすれば後にしてくれないか?今は見ての通り“晩飯中”だ。」
「ほなウチも、ついでに何か食べ・・・」
っと、そこまで喋りかけたメリーの視線が、俺の前に置かれた一枚の皿へと釘付けとなる。
「イヤァ〜ン何それ♪めっちゃ美味そうやんか〜♪」
「これ?五目いなり・・・“本日のオススメ”なんだとヨ。だが二つしか・・・」
そう言い掛けた俺の言葉が終わるか終わらぬかの内に注文を言うメリーの、はきはきとした声が店内に響いた。
「すいませぅ〜ん!“本日のオススメ”三つ!それとコロッケ蕎麦も頂戴な!」
するとキッチンの方から蕎麦屋の主人の「あいよぉ!ま〜かしときぃ!!」という景気の良い返事が返ってくる・・・
が、それを聞いた俺の脳裏に、ある一つの疑問が過ぎった。 “「二つで良い」のじゃ無かったのか?”
One more Kiss, dear〜♪
one more sigh〜♪
only this dear is goodby〜♪
For our love is such pain〜♪
And such pleasure〜♪
That l’ll treasure till l die〜♪
(声の出演)
オッチャン = 堀内賢雄
電撃メリー = 松岡由貴
蕎麦屋主人= 千葉繁
(特別ゲスト)
和製ゴスロリ少女+犬
(挿入歌)
「One more Kiss dear」 by ヴァンゲリス
うむ・・・いざ書き込んで見ると、ちと乱文気味になっておりますた。
従って、ちと読みにくい部分がある所はご容赦ください。(^h^)カンニンナ
>>うりぃ・めりー殿
突然で勝手にキャラをお借りしてしまいましたが今回、ちとゲスト出演して頂
きました。m(_ _)mスマソデス・・・・
「アンドロイドは電撃メリーの夢をみるか」かな?
なんや・・・、関西弁(?)かぁ、まぁそれはええ・・・、
(続き・・・読む・・・)
ちょっと待ちぃや・・・
最恐・・・? ゴスロリ・・・犬・・・? 姐さん・・・。
・・・ウチのことやんかぁ! くぉらぁあぁ!!
ヴァンゲリスですか? そんなに詳しくないですが「流氷原」は大好きですよ。
ちなみにわしの創作キャラの一人に、頭のはげたアルベドというキャラがいますが、
ヴァンゲリスの曲から生まれました。「Albedo 0.39(反射率0.39)」
FF-]に出てくるのもそれから名前とったのかしらん。
今更だけど「百合子」さんはジェネシスの「Lillywhite Lilith」生まれね。
「She eat Smith,in my darkness...」
て歌詞だと思ってたら、「She leaves me...」だった、
自分の影の中で、Smith君を食べてるリリスを思い描いていたのに・・・。
結構、英語の誤訳や聞き取り間違いで、新たな世界が生まれる事もある・・・。
>>180 うっ・・・で、でっ、でも別に監督はリ○リー・○コットだなんて言わないわよ!
>>181うりぃめりー殿
おぉ!『反射率0.39』を御存知でしたか!!(~□~;)フハッ!?
実は漏れ件のアルバムに収録されてるauアルファー」がMyベストの一曲だったり
するんですわ。<(;^O^)ナハハハハ
>Smith君を食べてるリリスを思い描いていたのに・・・。
それだったらジェネシス初期のau怪奇のオルゴール」の歌詞がピッタリですよ。
なにせ白のゴスロリ姿な少女が少年たちの生首でクリケットをする様子を歌ってたり
するワケですし・・・(;^。^)y-~~マジデス・・・
だいいち初期のジェネシス(ピーター・ガブリエル在籍時)なんて殆どマザーグースを題材に
した曲ばっか演奏してましたから。(苦笑)
なんか面白い人が出て来たね
イメージだけで作ったメリーさん
__
/ /
/ /
\/
\ ,、,、,、
r〃~⌒ヽ
rv@)从リ从》
レV |! - ノ|!
| く:}}T{{7O
ノ,く:::夲:ゝ, \
(´`'t_ァ_ァ'´`) \
>>183うりぃめりー殿
むはっ!!這(~□~;)!?
そっ、その歌詞は正しく・・・「怪奇のオルゴール」!?
御見それしました・・・orz
っと云う事で、何時になるかは判りませんが次回予告おば・・・
辺りの草木を揺さぶりながら真昼の様に明るい月光の元、一機のヘリが飛び立とうと
していた・・・っと、いよいよ離陸して、その高度を上げ様としていた次の瞬間!?
機体が右にガクンッ!と傾き、ヘリはバランスを崩しかける。
パイロットが目視にて下を確認すると、そこには着陸用のガードにしがみ付いた一つ
の影・・・それは黒っぽいコートを羽織った赤毛の少女・・・。
「構わん!振り落とせ!」っと後部座席に座る役人らしき初老の男が、その顔を強張
らせ、冷や汗を流しながらパイロットに大声で指示を出す。
っがヘリが機体を揺さぶり始める前に少女は手を離すと、まるで黒い翼を持った”闇
の天使”の如く、羽織ったコートを風になびかせながら地上へと降下する。
すると突然!少女が地上に降り立つと同時にヘリは、轟音とともに巨大な火の玉とな
って機体の破片を地上に降らせる・・・乗員たちの焼け焦げた肉片とともに・・・。
「HUNT・・・完了」
その様子を地上から、冷ややかな目で見つめる少女・・・っと彼女がコートの下に着てい
る、肌にピッタリとしたライダースーツの胸ポケットから携帯の呼出音が聞こえる。
”通話”を押した時、聞こえて来たのは列車の通過音と・・・銃声?
『もしもし?俺オッチャン。すまん・・・囲まれちまった・・・トホホ・・・』
「もぉ〜オッチャンのアホぉ!!来るなて言うたやろ!?ウチは知らん!ヒェ〜ン(泣)」
っという訳で上手く行けば(書ければ^^;)次週(?)辺りに投下します。
名無しさんとか126さんとかマダー?(´・ω・`)
一応RoMってはいます。
なかなか間があいてしまったので、
UPしずらいなと思ってね。
あらすじとかつくってみたり、まとめのサイトの方をつくって見たり、リアルにいそがしかったりで・・・。
まあ、いいわけですけど。
とにかくきえてはいませんので。
upした時はよろしくです。
私、メリーさん。今、駅のところにいるの
私、メリーさん。今、あなたの家の前にいるの
私、メリーさん。今、あなたの部屋の前にいるの
私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの
私、メリーさん。今、あなたのそばにいるの
私、メリーさん。今、あなたの晩ご飯を作って待ってるの
私、メリーさん。気がついたら、いつもあなたが一緒いたの
私、メリーさん。ある日、突然あなたがいなくなったの
私、メリーさん。あなたはもう、どこにもいないの
私、メリーさん。今、あなたを忘れたくいの
私、メリーさん。今、逢いたい気持ちが押さえきれなくなったの
私、メリーさん。涙が、涙が止まらないの
私、メリーさん。今、あなたは私の後ろにいたの
私、メリーさん。もうあえなくても、あなたは私のそばにいるの
私、メリーさん。今、前を向いて歩きだしたの
・・・感動的なようだが・・・
何故に巣かトロ?
そういうコテなの?
>何故に巣かトロ?
そういうコテなの?
不覚にも笑ってしまったwww
126パパ、待ってました!
UPしづらいなんて言わないで〜!
ワクテカしてます
126さんカムバーク!(夕日にたいし実際に叫んで漁師の顰蹙を買ってみる)
いけね!
degenerate thought .(思考退行) の一部落とし忘れていた。
メリー「意図してやったんじゃないんだから!」
無罪は時に死罪より恐ろしい。
by哲学者パブロフ
今、わいの眼前にはワイと同じ方向つまり、後姿の法王がいる
「コホン」
「ヒッ」彼は身体を強張らせる。
「起きた事は仕方が無い、ほかの者も身体が小さくなってゆくのを見ている」
「だがぁ!」クワっとある種の殺気を放ちながら目を見開く法王。
何故、ワシの可愛い孫はコイツなんぞのところに行きおった、
この様な地位でなければ 貴様なんぞ即、くびり倒しておるわ!
精神まで退行したか、かわいそうに ウウ・・・此処までの思考0.1秒
「君には一つ頼みたいことがある」これは建前である、
「庭掃除をしておいてくれ」
「は?」
「一人でな!」
・・・・・・・・・・・・ひとり・・・一人・・・マジですか・・・・あんな魔境を一人で・・・・・
「・・返事は・・・」
「はい・・・」かれはその時落ち込みむきのサラリーマンに見えたという。
老人は彼らを見送り、一人になった事を確かめると
「・・・これで良かったんじゃよな」法王は家族の写る硝子乾板をとりだす。
法王と叔母その間にシャクリーンとしゃがんだ、メリーその隣に父親だろう男が写っている
そしてシャクリーンの左手に塗りつぶされた所が一つ・・・・
もしもし、私メリーさん、今あなたの家の中にいるの。
もしもし、私メリーさん、今あなたの部屋の天井にいるの。
もしもし、私メリーさん、今食事中よ・・・、
見ててもいいから騒がないで、・・・バリバリ、
あー、おいしかった。
今日は右腕をもらったわ、
まだ、左足が残ってるのね、
鍵かけておくからおとなしくしててね、バイバイ。
うん、おとなしく待ってる。
はやく帰ってきてね。
〉〉197ムチャしやがって・・・
っ(止血剤)
っ(メリーさん人形)
っ(メリーちゃん人形)
199 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/03/23(木) 21:37:38 ID:eKn4jhhI0
あらすじ
都市伝説「メリーの電話」
少女が引っ越しの際に捨ててしまった人形メリーが、復讐のためにその持ち主のところに現れる。電話で自分の居場所を知らせながら、次第に近づいてくる・・・。
「・・・私、メリー・・・今、あなたの後ろにいるの」
様々な累計を持つ有名な都市伝説。「メリーさんの電話」に魅せられた一人の男が、かつてネット上に存在した。
"彼"は、様々な伝承、都市伝説のルーツ、伝播した時期をこつこつと調べ、巨大掲示板で知り合った同志の書き込みを元にまとめサイトをつくった。
『【メリーさん☆完全攻略】』
そのサイトは一気に盛り上がりを見せ、まとめサイトの管理人である"彼"はそこに集まった情報を元に一つの実験を試みる。
それは『メリーさんの召喚』
"彼"のサイトはブログ形式のものに移り、召喚に成功したと豪語する"彼"の毎日の記録かつづられ始めた。
しかし、その記録は、人間のおぞましい欲望をさらけ出したものだった。
そのあられもない状況に狂喜するもの、嫌悪を示すもの、ネタだと断言するもの、様々なコメントが繰り広げられた。
幼い少女の体に自らの欲望をたたきつけ続けた記録は、ある日をきっかけに沈黙を始めた。
200 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/03/23(木) 21:38:20 ID:eKn4jhhI0
あらすじ2
それを異変と感じたものがいた。モニター越しにその異変を感じ取った彼ー上田たかしは、まとめサイトに書き込まれたいたヒントを元にまとめサイトの管理人である"彼"と同じように「メリーさんの召喚」を試みた。
まとめサイトが更新をやめて2日後。
パソコンのモニターを見つめる彼の元に電話がかかる。
「わたし、メリー・・・・・」
振り返った上田たかしの目の前には、彼が恋焦がれた高貴な雰囲気を醸し出した少女が巨大な鎌を手に立っていた。
上田は、まとめサイトから得た情報を元に行動し、振り返ると同時に死を迎えるという巨大な鎌の攻撃を避け、メリーに話し掛ける。
「いつ殺してくれてもいい。ただ、少しの間でも君のことを見ていたい」
予想外の反応に戸惑いを見せるメリー。
相手を極限までに怯えさせ、その恐怖の絶頂の中で死を与える。それこそが都市伝説の中に行き続けるメリー。やさしい表情で声をかけられたメリーは、プライドの高さゆえに上田たかしを殺すことをとどまる。
201 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/03/23(木) 21:39:46 ID:eKn4jhhI0
あらすじ3
メリーに何の危害も与えない存在、さらにメリーのためにクローゼットいっぱいの洋服を用意していた彼の存在を、メリーは不思議に思いながら、彼が会社へと向かうのを見送った。
出社途中の電車の中で上田たかしの電話がなる。
しかし、それは無言電話だった。
彼はメリーであることに気がつくが、どこにいるのかも知らせない電話の主にどうすることもできない。
そのうちに騒然となる上田の会社。美少女が同僚の携帯を奪い、逃走中だという。
会議の準備中だった彼はいてもたってもいられず会議室を飛び出す。
そこには問題の携帯電話を手にしたメリーが立っていた。
メリーの存在を隠し、トイレに潜もうとする上田の前に、彼の幼馴染で男勝りな麻子がトイレの中にいた。
言い訳をするまもなく、麻子ごとトイレの個室に駆け込む上田。男勝りで世話好きな麻子の好奇心を交わし、何とか会社を脱出。
メリーと手をつないで家へと帰る中、メリーの見せた笑顔に幸せを感じる上田だった。
202 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/03/23(木) 21:54:39 ID:eKn4jhhI0
あらすじ4
しかし、上田は疑問に感じていた。「メリーは何故鎌を手にしなかったのか?」
自分を殺しにやってくるものだとばかり思っていた存在がまるでさ寂しくてしかたがなかった子どものようにすがり付いてくること。
また家に帰ってクローゼットの洋服を夢中になって選んでいる姿を見るにつけ、疑問は広がる。
鎌を手に取った上田の体の中に鎌の中から流れ込んでくるものがあった。それはありとあらゆる欲望を凝縮させたような黒い塊だった。
上田の異変に気づいたメリーは、上田の前に立ちふさがる。
圧倒的な威圧感で彼の前にたつメリーに上田は、「笑ってくれ」と頼み込む。
欲望の黒い塊に支配され、まとめサイトの管理人のようにメリーを汚してしまうことを恐れた彼は、メリーの笑顔に救いを求めたのだ。
メリーとの幸せな時間、それは彼にとってメリーの見せた笑顔だった。
「・・・大切にするって・・・いっただろ。だから、笑って。」
メリーは上田に笑顔を見せる代わりに上田を抱きしめた。
♪ チャッチャッチャッ ♪
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
(・∀・ ) .(・∀・ ) (.・∀・ )
((( ;;"~;;;"~゛;;) ((( ;;"~;;;"~゛;;) ((( ;;"~;;;"~゛;;)
. ミ;,,_,ミ;,,_,,;ミ ミ;,,_,ミ;,,_,,;ミ ミ;,,_,ミ;,,_,,;ミ
♪ チャッチャッチャッ ♪
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
( ・∀・) (. ・∀・) ( ・∀・.)
(;;"~゛;;;~゛;; ))) (;;"~゛;;;~゛;; ))) (;;"~゛;;;~゛;; )))
. ミ;,,_,,;ミ,_,,;ミ .ミ;,,_,,;ミ,_,,;ミ .ミ;,,_,,;ミ,_,,;ミ
♪ うーっ ♪
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
(. ・∀・ ) (. ・∀・ ) (. ・∀・ )
;;"~゛;;;"~゛;; ;;"~゛;;;"~゛;; ;;"~゛;;;"~゛;;
ミ;,,_,,;ミ,,,_,,;ミ ミ;,,_,,;ミ,,,_,,;ミ ミ;,,_,,;ミ,,,_,,;ミ
♪ 1 2 6 ! ♪
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ミ,,,_,,,ミ( ・∀・ )ミ,,,_,,,ミミ,,,_,,,ミ( ・∀・ )ミ,,,_,,,ミミ,,,_,,,ミ( ・∀・ )ミ,,,_,,,ミ
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|⌒I、│ |⌒I、│ |⌒I、│
(_) ノ (_) ノ (_) ノ
∪ ∪ ∪
北ーーーーーー(゚∀゚)ーーーー!!!!!!!!!11111
とりあえず今日はここまでです。
あらすじ終わったら新展開です
キタ―。゚(゚´∀`゚)゚。ー!!
126パパktkr
楽しみでワクテカしてる漏れがいますよ
127キター!GJGJGJGJGJGJGJGJ
DJ!あれ?
126パパktkr!!!!
自分の作品も今日の夜か明日に投下予定っす。
もしもし、私メリーさん、今あなたの部屋の前にいるわ、
まだ泣く元気はあるのね?
もしもし、私メリーさん、助けを呼んでも無駄だってば、
足、一本じゃ抵抗もできないよね?
もしもし、私メリーさん、今食事中よ、バリバリ・・・、
まぁ、まるでダルマみたいね?
こんなに震えて可哀想に・・・、
血が止まるまで抱きしめていてあげるからね?
(((;・Д・)))コワイヨー
212 :
名無し:2006/03/25(土) 05:42:40 ID:p8Ahi2KSO
晴れた空に似付かわしくない灰色の雲。何を暗示するわけでもなく、ただ青と白の調和を邪魔している。
「何ぼぅっとしてるの?」
不意に隣を歩く女性の声で、空に浮遊していた思考が、瞬時に自分の身体の中に戻る。
「あー‥いや、良い天気だなぁ…て。」
嘘である。本心では、家に置いてけぼりの人形の事を考えていた。
…置き手紙くらいしていくべきだったか…や、色々と感情の起伏が激しい事など。
気を抜けば、すぐにそんな思考が脳裏を過り、こうして声をかけられるまで、きっと間抜けた顔で惚けているのだろう。
「…今日、何回目だろ?こうして注意するの。」
隣を歩く、従姉の咲山 咲季は少し不機嫌そうに頬を膨らます。
「…あぁ、ごめん。」
咲季はこの街に同じように一人暮らしをしている二つ年上の従姉で、両親が親戚同士仲が良い為か、物心ついた頃にはすでに姉弟のような間柄で、当たり前のように一緒に育った。
今回、こちらの上京で家が近くなったためか、こうしてちょっとした買い物にまで突き合わされている始末。
「…何、用事の事?」
メリーの事もあり、早く切り上げるための、これも嘘である。予め、用事があるからあまり遅くまで付き合えないと言っておいたのだ。
「…あ、うんそれ。」
遠く高く聳える時計塔の時刻を横目で確認する。午後二時。いくら何でももう目覚めて、今頃一人あの部屋で本でも読んでいる事か…
213 :
名無し:2006/03/25(土) 05:46:23 ID:p8Ahi2KSO
実際の事は分からないが、今帰れば、置いていかれた事に対し何かしらの小言は言われるだろう。
ほんの些細な事、不貞腐れながら小言を言うメリーを想像して思わず苦笑してしまう。
「…何?にやけちゃって…もしかして用事って彼女かぁ?」
そうではない、押し掛け女房だと言ってやろうかと思ったが、さすがにそれはやめて、
「彼女なんかまだ越してきたばかりなのに出来ないよ。」
と話を少しずらす。案の定、咲季は俺の昔の恋愛の失敗談を持ち出して、いっぱしに説教をしだすのであった。
自分だってろくな恋愛談を持ち合わせていないくせに微笑ましいものである。
適当に相づちを打っていると不意に、ポケットが振動しだした。
マナーモードに設定してある携帯だ、どうやらメールではなく電話のようだ。
いまだ喋り続けている咲季を制すると、地元の友達かと思いこんで取り出した携帯を開く。
たが携帯の液晶は待ち受け画面のまま、呼び出し中の表示もなくデジタル時計がタイミングよく一分刻む。
ただ携帯の振動は止まず、早く出てくれと言わんばかりに震え続けている。
「…どうしたの?変な顔して…」
咲季が横から携帯を覗き込む。何となく見られるのが嫌で、身を返してそれをかわす。
「いや、なんでもないよ…多分非通知…」
ボタンを押して携帯電話を耳に当てると、向こう側からは風の吹き抜けるような音がヒュウヒュウと響いていた。
「もしもし…どちらさんでしょう?」
電話の向こうにはまるで相手がいないかのように、ただ風の音が響く。
「もしもし…?」
やはり反応はない。やがてその電話は向こうから勝手に切れた。
214 :
名無し:2006/03/25(土) 05:51:03 ID:p8Ahi2KSO
「………。」
「どうしたの…?何か怖い顔してるよ…?」
「…いや、多分悪戯電話…」
まてよ…と思う。これに似た電話を最近受けた記憶がある事をここでようやく思い出した。
「……!…メリーか」
ダメ元で、自宅であるアパートに電話を掛けてみる事にする。
トゥルルルルルル…トゥルルルルルル…
十回コールを鳴らしてみたが、やはりメリーは出るはずがない。
目が覚めたメリーが、一人部屋に取り残されたのに怒って電話を寄越した…そんなレベルで考えていたが
一回目の電話からして、何か違和感を覚えずにはいられなかった。何かがヤバイ気がしていた。
「…咲季、今日は悪いけど俺帰らなきゃダメになった。」
「あ、用事の事?さては彼女さん怒らせたのかぁ?」
咲季は悪戯っぽく詰め寄ってくると、ニコっと笑って肩を叩いた。
「いいよ。いってきなさい。こんくらいの荷物なら私一人でなんとかなるし、今度ご飯でも奢ってくれたらそれでいいわ」
「ああ、ありがとう。また連絡するよ、じゃあ」
別れの挨拶、それだけ言うと身を翻し、来た道を走る。
走りながら、咲季の事なんかすっかり忘れ、ただメリーの事だけを考えていた。
215 :
名無し:2006/03/25(土) 05:55:48 ID:p8Ahi2KSO
一旦ここまで
お久しぶりです皆さん
忘れているかも知れませんが名無しです。
間開け過ぎちゃってほんとごめんなさい。頑張りますんで。心配してくれた方ありがと
んで、126さんも復活しているようでよかったです。作品ワクテカしながら待ってますね。
んで、続きはまた本日中にUPしますです。おやすみ
216 :
名無し:2006/03/25(土) 06:04:43 ID:p8Ahi2KSO
126さんに習って…
手元にあるさっきupしたやつの前回の話をちょっくらupしますんで
暇潰しがてらにどうぞ。
217 :
名無し:2006/03/25(土) 06:08:29 ID:p8Ahi2KSO
暗闇…それは個であり全てであり、握った拳の中にできる影であり、夜が広げた両腕の中であり、ただ暗闇と呼ばれるもの。
その存在は大きく、その懐に抱かれていても、抱かれている事実に誰も気付かない。
また、その存在は小さ過ぎて、いつしかポケットに紛れ込んでいた事にさえ誰も気付かない。
目には見えるが、意識は出来ない。意識したとて、それは夢とも幻とも区別がつかない。
それはただ『闇』。それ以上でも以下でもない。
かつてはその暗闇の中に、自らを取り巻く忌まわしい現実から逃避してきた者がいた。
今、その暗闇の中、穏やかな過去の記憶に微睡む者がいる。
うっとりと細めた目から、瑠璃色の瞳を輝かせる黒いドレスをまとった人形。
前に投げ出した両足の、その踵の先を揺らしながら、嬉しそうに過去の記憶に想いを馳せる。
「…ママ…。」
―――――
――――
―――
――
218 :
名無し:2006/03/25(土) 06:10:14 ID:p8Ahi2KSO
…穏やかな午後の光は、ピンク色を基調とした、レースのカーテンのその色彩を、薄暗い部屋の中全体に、淡い桃色だけで投影する。
その淡い光に浮き彫りにされた、ソファーに深くもたれる大きなシルエットと、傍らに寄り添うもう一つ小さなシルエット。
大きなシルエットは手に小さな本を乗せて、子に囁くように、ゆっくりと物語をなぞっていく。
その薄暗い部屋の中、弾んでは、仄かな薄暗がりに溶け込んでいくような女の声は、部屋の四角に閉じ込められて、まるでオルゴールのように心地よく反響している。
やがてオルゴールのその旋律は、緩やかな坂を軽やかに、まるでスキップでもして駈け登るように佳境を迎えると、その坂の上から辺りを見渡し、深呼吸でもして一休みするかのように、ゼンマイはその動きを徐々に、ゆっくりとその余韻だけを残し物語を終える。
219 :
名無し:2006/03/25(土) 06:11:16 ID:p8Ahi2KSO
「…はい、おしまい…」
本を閉じ、女は覗き込むようにして小さなシルエットに微笑み掛けた。その小さなシルエットは微動だにせず、絶えず薄明かりに瑠璃色の瞳を輝かせ、口元には淡く微笑を湛えるばかり。
「…どう?楽しかった…?」
女は優しげな瞳で見つめる。小さなシルエットは、やはり微動だにせず、変わらぬ微笑みをその表情に浮かべ、女を見ている。
女はそれでも、幸せそうな笑みを絶やさず、傍らに寄り添う人形の髪をそっと撫でると、やがて何処を見るとなく正面に向き直り、溜め息を短く吐く。
一瞬の後、気が付いたように口元を右手で押さえると、人形の方を向き、舌を出して悪戯っぽく笑った。
「ゴメンね…。私、今とても幸せよ?愛してくれるあの人がいるし…アナタだっていてくれるものね…?メリー。…それに…」
メリーと呼ばれた人形は、それを聞き届けたかのようにニッコリと笑う。でもそれは、光や影の映り具合で表情が変化して見えただけの事なのだろうけれど。
幸せな時間。何時しか始まりも忘れ、その安らぎに微睡みを覚え、まるで揺り籠に揺られているかのように甘い夢に心は溶ける。
女はとても幸せそうに微笑を湛えていた。女は自らの下腹部にそっと手を添えると、更に優しげに目を細め、嬉しそうに膨らませた口元をそっと開いた。
「…それに…やっと…授かる事ができたわ…。メリー、アナタお姉さんね…?フフフ…」
ソファーに深くもたれ、幸せそうに微笑む女。女が髪を掻き上げるために右腕を上げた時に伸びる影。
横切る影の一瞬の闇が、人形に深い影を落とす。人形の瑠璃色の瞳はその一瞬の闇の中で、まるで炎のように揺らめいた。
――――――――――――――――………
220 :
名無し:2006/03/25(土) 06:14:49 ID:p8Ahi2KSO
少し広い羽毛布団の中、人形はゆっくりと目を開けると、午後の光が眩しく窓に反射していた。
見慣れたワンルームの小さな部屋の中、人形はゆっくりと身体を起こし、静かに辺りを見回すと、次にはハッとしたように立ち上がった。
「!!?…ねぇ!!」
辺りの静けさに、思わず声を上げる。
「‥ねぇ…誰も…いないの…?…ねぇ…私…。」
そう呟くと、力なくその場にへたり込んで、両手で顔を覆う。
「…ぅ…ぅぅ……」
暫らくの間、顔を伏せてワナワナと身体を震わせて嗚咽していた人形は、やがてゆっくりと顔を上げる。
「…何処にいるの…?私をまた置き去りにして…何処に…」
その瑠璃色の瞳は、まるで炎のように揺らめいた。まるで、今、胸の内で蠢く感情を象徴するかのように。
やがて人形は目を閉じると、口元に笑みを浮かべ喉を小さく震わせて呟いた。
「……今…アナタのもとへ行くわ…待っていてね…フフ…」
221 :
名無し:2006/03/25(土) 06:25:28 ID:p8Ahi2KSO
また突拍子も脈絡もなく…
今回の話の始めを読んで「…アレ?」と思った方はこれで少しは納得…
できる…はず…??
んぢゃ、また後程。
GJ杉
もしもし、私メリーさん、また首が一つ増えたわ、
もしもし、私メリーさん、ここには、もう足の踏み場もないの、
もしもし、私メリーさん、骨はきれいに抜き取ったから、お顔は小さくなってるのだけど・・・、
もしもし、私メリーさん、見て、さくらの花がほころび始めたわ、
土気色のたくさんのお顔にうすいピンクがよく映えるでしょう?、
すごく綺麗・・・ウフフフフ・・・。
もしもし、私メリーさん、次はあなたのところに行くね。
バイバイ・・・。
224 :
名無し:2006/03/25(土) 19:23:01 ID:p8Ahi2KSO
225 :
名無し:2006/03/25(土) 19:27:36 ID:p8Ahi2KSO
咲季は、その走っていく後ろ姿が遠く小さくなっても見つめ続けていた。
やがて、完全に見えなくなると、ふぅ…と小さく溜息を吐いた。
「…相変わらず…嘘が下手だねぇキミは…。まったく、こんなんじゃ女の子にふられますよ、と」
ポツリと独り言を言うと、反対方向へと向き直り、ゆっくりと歩きだす。
晴れた空に似付かわしくない灰色の雲。何を暗示するわけでもなく、ただ青と白の調和を邪魔している。
ふと、ぼぅっと空を見つめながら歩く自分に気付く。
「何ぼぅっとしてるんだろ…」
…朝に合流して、軽くモーニング一緒に食べて、欲しかったブラウス買って…
雑貨屋さんにもいって…もう少し…付き合ってもらいたかったな…嘘つくって事はやっぱ………
気が付けばいつも通り慣れた道、コンビニと喫茶店の間に細い道が続いている。薄暗い道だ。
その道を入ると、一組のカップルと擦れ違った。それを横目で見つめると、咲季は小さく溜息を吐いた。
226 :
名無し:2006/03/25(土) 19:30:30 ID:p8Ahi2KSO
通り慣れたとはいえ、人通りの乏しい路地に差し掛かっていたために、余計に寂しい気持ちにさせたのだろう。
咲季は昼間でも薄暗い道の向こうを真直ぐに見据えると少しだけ歩を早める。
その時突然、手提げのバッグの中から、携帯が着信を知らせるメロディが流れる。
さっきまでの憂欝な気分が一瞬で晴れて、胸に仄かな期待が広がると、いそいそと手荷物を左手に移し、同じ左手に提げたバッグの中を探る。
しばらくの後、携帯電話を捜し当てると、片手で器用に携帯電話を開く。
「…?何これ…?」
いまだ着信を知らせるメロディが鳴り続ける携帯電話の液晶には、可愛らしい白い猫が丸まって寝ている、いつもの待ち受け画面。
着信の表示はされていない、しばらく困惑していた咲季は、思い出したようにボタンを押すと、恐る恐る耳元に携帯電話を当てる。
「…もしもし…。」
「もしもし。今日和…私、メリー…今ね、アナタの割りと近くにいるのよ?」
悪戯だと思い、咲季はすぐに電話を切ろうと携帯電話を耳から離そうとした。
それを知ってか知らずか、メリーと名乗る電話の相手は捨て台詞のように、含んだような声で笑う。
「…ンフフフ…何か機嫌わるそぉ、咲季ちゃん…」
「…!?」
名前を呼ばれるのと、ほぼ電話を切るタイミングは同じであった。耳から離していたために聞き間違いだと思った咲季であったが、
思わず辺りをキョロキョロと見回してしまう。そこは人気の無い、薄暗い裏の通り。
不安が増してゆく中で咲季は、さっき別れたばかりの従弟に電話をしようかと思い電話帳を開くが
相手の用事、嘘であろうと分かっていても騙され通した引け目から、直前でボタンを押すのを躊躇ってしまう。
227 :
名無し:2006/03/25(土) 19:32:30 ID:p8Ahi2KSO
代わりに、短く「今度、ご飯マジで奢れよ」と関係のないメールを打った。
携帯電話を折り畳むと、不安を打ち消すように、携帯電話を握り締めたまま足を速める。
自宅への道、通り慣れているはずなのに、不安からかやたらと先が長く感じる。
そして、再び鳴りだす携帯電話、握り締めたそのままの状態で背面液晶を見ると
そこにはメールを受信した事を知らせる表示があり、心から安心して携帯電話を開く。
メールを見ようと、カーソルの真ん中を押す寸前で、タイミングよく掛かってきた着信を受けてしまった。
咲季は、嫌な予感を引き摺りながらも恐る恐る携帯電話を耳に当てる。
「………もしもし。」
すると、電話の向こうからは今の不安な気持ちに全く相応しくない明るい少女の声が聞こえてくる。
咲季は言い知れぬ恐怖をひしひしと感じていた。
「…私、メリー。今アナタのとぉっても近くにいるのよ…?」
「…アナタ…誰なの?」
「メリーよ…フフ…ついさっきまでは幸せそうな笑顔…次には憂欝な寂しい顔…今は恐怖に必死に耐える引きつった顔
アナタに幸せそうな笑顔はちっとも似合わないわ…今の表情がとぉってもお似合いよ…」
どこかで見られている。咲季はいよいよ耐えられなくなり通話を切ると、今度は走りだした。
228 :
名無し:2006/03/25(土) 19:34:41 ID:p8Ahi2KSO
どれだけ、走っても一向に抜けない道。そして三度目の着信。今度は携帯電話には目もくれずにひたすら走る。
無理な運動で擦れる踵の痛みにも今は構わずに、走り続けるが、突然身体がふわりと宙に浮くような感覚と共に、咲季は大きく前のめりに転んだ。
痛みに耐えながら、遠くに転がる自分の靴と、反対方向に転がった携帯電話を交互にを見る。鳴り続ける携帯電話。
咲季はついに顔を伏せ、震える声で小さく叫び声ををあげた。
「…なんなのよ…!私がいったいアナタに何をしたのよぉっ!」
その声は小さく、地面に吸い込まれるように消えていった。それに呼応するかのように、着信が鳴り止む。
咲季は一瞬、助かったのかと思ったが、それはすぐに思い直された。
電話の向こうから響く無邪気な笑い声、咲季は頬を伝う涙もそのままに頭を抱え込むように泣き伏した。
「…私、メリー。なぁんで出てくれないかなぁ…まぁ良いわ…今ね…」
携帯電話から聞こえてくる声にしては、やけに輪郭のはっきりした少女の声。
「…アナタのすぐ目の前にいるの。フフ…ンフフフ…アハ…」
229 :
名無し:2006/03/25(土) 19:38:34 ID:p8Ahi2KSO
伏せた頭の上からの声。咲季は泣くのも忘れて、頭を伏せたままその少女がいるであろう頭上に注意を集中させる。
「あら…?アナタの携帯、メールが届いているわぁ…?」
さっきまでの楽しかった時間、それは咲季にとって昔からの幸せな時間。
ただ、好きな人と歩いて、お話して…もっと昔に遡れば、かくれんぼでもままごとでも何でもよかった。
ただ一緒にいられる時間が幸せだったのだ。
「…『はいはい分かってます。今日はゴメン、今週中にでも埋め合わせはするから』ぁぁ?…
なぁに?まるで恋人同士みたいね…?…従姉弟同士で……気持ち悪い…!!」
さっきまでの、まるで咲季を馬鹿にしたような少女の声が、途端に言い知れぬ憎しみを孕んだ質感のある声に変化する。
「…横取りなんて赦さない…もっと悲しんでちょうだい?
もっともっと泣き喚いてちょうだい…アナタはままごと遊びで満足しとくべきよ…」
…ままごと遊び…?
さっきから、やたらと関係を意識した物言いや、発せられる小さなキーワード、
咲季は思い出していた。ままごと遊びの時や、何かにつけて従弟が連れ回していたアンティークドール
確かその名前は
「…メリー…」
「…そぉよ…久しぶりね?咲季ちゃん。アナタの事は昔から殺さなきゃって思っていたわ…」
――――――――――………………‥‥‥‥‥‥・・・・・・・
230 :
名無し:2006/03/25(土) 19:47:20 ID:p8Ahi2KSO
今日はここまで
続きは直し次第で明日にでも…
キターーーーーッ
………………
……………
…………
………
……
…
すこし鬱になりますたorz
咲季タソ死んじゃうのか?(つД`)゜。
>>230 今度の展開いい!!
やっぱりメリーは怖くなくちゃ!
オカルト路線続けようかと思ったけど、おいらは必要なさそうね〜。
233 :
名無し:2006/03/25(土) 20:11:52 ID:p8Ahi2KSO
早くも反響が!
うれしいかぎりです、ありがとう。
>>232いや、そんな事言わずにこれからもたのんますよ
アナタの作品のまるで詩のような雰囲気が俺のツボです。
スレを遡ればシリーズ化されてるようで、何だか楽しみにしてました。
「はい、地獄の門の前に到着しましたわよー」
前方で鷹司がくるりと半回転してこちらを向き、弾む声でそう告げる。
それと同時に、ばっ、と橋本は山神から離れ、早足で他の部員の元へと戻った。
入れ替わりに、メリーが山神に近づき、メモを見せる。
『気配は無いの。霊気も妖気も』
「ああ…知っている。」
『その代わり、なぜか冷気がひどいの』
「それも、知っている」
『下におりれば何かわかるの?』
「行ってみないと…分からんな」
メリーが真剣な面持ちで頷く。
既に他の部員は、地下へ繋がる階段を降り始めていた。
それに続き、二人も階段に足を踏み出した。
メリー、山神共に、階段を一旦降りきった先に見たものに対して驚きはしなかった。
だが、部員達の驚きは、容易に見て取れるほど激しいものだった。
左手には、様々な物を収納してあるのだろう、「倉庫」とプレートに書かれたドアが有った。
だが、右手側には、更に地下へと降りる、薄暗い階段が存在し、冷気は其処から洩れている。
「こんなの…無かった…よね?」
「あ、当たり前…じゃない…。こんな…階段…」
「ね、ねぇどうするの?降りるの?此処を降りるの?」
「さて、どうしますの?山神さん。」
「当然、降りる」
暗いところで目は利かない。メリーを従え、山神はその階段を降りることに決めた。
「じゃ、じゃあ私達も…!」
「来るな。危険だ」
付いて来ようとする山根に、山神はぴしゃりと言い放った。
未知の場所で、目の利かない自分が守りきれる自信が無い。故に、多少信用ならずとも、鷹司と残ってもらったほうが安全であると、山神は判断した。
「じゃあ、行ってくる。」
「はい、いってらっしゃいませ」
この状況にありながら、鷹司の口調から、戸惑いや怯えなどは全く感じられなかった。
深い闇の中、靴が床を叩く音が響く。
ほんの僅かな足元を照らす程度のカボタンの光を頼りに、メリーは歩みを進めながら山神の手を引いていた。
どれほど進んだであろうか、時間の感覚を狂わせる闇の中に有って、もう十分は歩いた気もするし、まだ一分も歩いてないような気もする。
カボタンに時計を見せると、「まだ二分しか経たねぇぜ」と言われた。
だが、何にしろ、二分下り続けても終点が見えない程に、途方も無く深い階段であることは三人…二人と一体には分かった。
「何か見えるか?」
「いや、何も見えねぇ」
階段を下りながら、山神はカボタンに訊くが、返ってきた答えは山神の期待した物ではなかった。
「まだ、何も見えないのか…?」
「おう、何もな。まぁせかせかしたって仕方ねぇじゃん。まずはこの階段降りきることが先決だろ?なぁ、マスター・メリーガール」
「うん。確かに長い階段だけど、そのうち必ず終わりは来るの。それを待つしかないの」
メリーが、カボタンにしか聞こえない声でそう答える。
「急いだって仕方が無いってマスターは言ってるぜ?マスターのマスターたるあんたが落ち着かずにどうすんだよ、Oi」
「あぁ、そう…だな?」
不意に山神が足を止め、メリーがそれに引かれ、足を踏み外しそうになる。
「どうした、Mr.山神?」
「…下がってろ」
刀に手をかけ、見えない目である一点を凝視する。
じりじりと空気が張り詰め、その緊張が頂点に達した瞬間、目に見えぬほどの速度で剣が閃いた。
下から振り上げられた一閃は、壁を裂き、天井を裂き、半回転して対面の壁をも裂き、やっと止まる。
と同時に、闇は嘘のように掻き消え、と同時に今までその場に存在しなかった鉄製の扉が三人の前に姿を現した。
「おいおいおいおい、どういう事だよ、Mr…?」
「結界…?」
「気づかなかったな…延々と長い階段をループさせられているなど…」
その場にしゃがむと、落ちていた紙片を拾い上げ、二人に見せる。
それは、ちょうど真ん中で二つに裂かれた、霊力の篭った符であった。
「メビウスの輪のように、延々と同じ道を辿り続ける…こんな術は初めて見るな…」
変化はそれだけではなかった。
今までは感じなかった、殺気、妖気、霊気の類。
そういったものが、扉の向こうからひしひしと発せられていた。
「一気に行くぞ…覚悟決めろ」
山神が、扉に手を掛け、力を込めて押した。
詩的な雰囲気と縁の無さそうな男が来ましたよー。
そんな作品を書いてみたい気もするんだけどねぇ…
>>名無し氏
GJ!残酷なメリーが見られそうですな!しかし、咲季タンが…いやいや、GJ!
>>232 いやいや、そんな事言わずに…。私めも
>>233と同意見っす。
すげぇ…今日は一気にきた!
お二方とも続きが気になりますよ…
239 :
名無し:2006/03/26(日) 15:34:20 ID:IG5QItVNO
カボチャさんGJ!
まったまたいいとこで終わりましたねww
秘かにカボタンのファンです俺。
んで俺のは今日の夜か明日の朝くらいに投稿しようかと思います
時間帯バラバラでスマンス、まだ細かい修正と大雑把な部分を直しきれてないもんで・・・
何かと安否が気遣われる咲季さんですが…まぁ、それも後程。
あと
>>232さんの事秘かにLadyさんだと思ってたり・・・違ったらスマン
>>239 もしもし、私メリーさん、うりぃちゃんが待ってるの。
また、今度ね。
241 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/03/26(日) 19:42:51 ID:Q9mfhh090
あらすじ5
「大切にしてください・・・」
メリーの言葉に上田の中にあった黒いものは消えていった。上田は自分の中に恐ろしい黒い塊を注ぎ込んできた鎌を毛布でくるみ、
ベッドの下へと追いやった。落ち着いてクローゼットの中の服を選び始めるメリー。その様子を眺めて幸せな気持ちを感じていると、
メリーが服を脱ぎ始めた。
あわてて目をそらそうとする上田にメリーはほっぺたを膨らませ、脱ぎかけの胸元を手で押さえて、「えっち!」とかわいく抗議する。
黒い欲望とは別のものに支配されそうになりながら、上田はその衝動をおさえ、着替えを始めるメリーに背を向けた。ニヘラ笑いを
浮かべながら顔を上げると玄関口から顔だけ出している麻子のしかめっ面が見えた。
メリーに気づかれないように急いで麻子を外へと引きずり出す上田に、麻子は無情にも一言はなった。「ここに変態がいるよぉ・・・」
外の騒ぎに気づいたのか、玄関口に出てきたメリー。着替えを済ませて、白いワンピース姿になったメリーに見とれていると、麻子の
口から、「こんな妹がいたら絶対に大切にするのに・・・」という言葉が。上田はそのときのメリーの変化に気づいた。うつろな視線で麻
子を見つめ、「大切にしてくれる?」と聞くメリー。上田は気づいた。「大切にする」この言葉こそが、メリーを支配するためのキーワード
であったことを。自分が知らずに発した言葉。それで、メリーが変化してきたことを。そしていま、その対象は上田から麻子に移ろうとし
ていることを。
242 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/03/26(日) 19:44:23 ID:Q9mfhh090
あらすじ6
自分の手元から離れ、他の存在に心を移していこうとするメリーを見ることは上田には耐えられなかった。
上田はぐぅぅぅおおおぉぉぉぉんと言う不気味な音とともに、自分のまぶたの内側から広がる肉体の内部の世界を垣間見る。
そこには先ほど上田を苦しめた黒い塊が甘い誘惑を発していた。
―――前の人間とは違う方法でメリーを穢してしまえーーーー
と黒い塊が言う。メリーを傷つけずにおぼれさせてしまえ。汚されることに喜びを与えてやれと。
次第に、黒い塊は、上田にさまざまな情景を見せ始める。それは上だの願望とも妄想とも言える長い長い夢だった。その中で上田は
メリーとともにすごし、一生分の時間をかけてメリーを愛しぬく。しかし、彼も年を取り、ある日交通事故で帰らぬ人となる。
上田は魂だけの存在になりながらも、部屋で彼の帰りを待つメリーの絶望的な寂しさを感じ必死に声をかける。
黒い塊の求めていた「究極の裏切り」によってメリーが再び鎌を手にする姿を見せ付けられながらも叫び続け、黒い塊が、鎌自身の
意思であることに気づく。そして、鎌に向かってメリーを支配するキーワードなんかが利かなくなるくらい大切にしてやる。
大切にされることが当たり前だと感じさせてやる。そしてメリーを裏切るような死に方は絶対にしないと叫んだ。
243 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/03/26(日) 19:45:10 ID:Q9mfhh090
上田は黒い塊が沈み込んでいくのと同時に目を開けた。そこには麻子にすがりつくメリーがいた。
そのメリーに「俺も大切にしてやるからな」と声をかけた。メリーの笑顔がはじけた。
駆け寄ってきたメリーは上田の首に手を回し、耳元で「約束よ」とつぶやいた。
その後部屋に入った上田は麻子に、メリーが都市伝説として語られている存在であることを伝えようとした。
そのやり取りの中で、上田はメリーの変化に気がついた。表情が違っていた。白いワンピースに着替える前には見せたことのない
少し勝気で安心しきったような表情。それは上田にとってつい最近に感じたはずなのにひどく懐かしいものだった。
メリーは自分が都市伝説の中のメリーと言う存在であることを自らの口で語り、大切にされないものへの使命感で自分の中にある
黒い塊を沈めていくしか救われなかった自分の魂のことを話した。しかし、最後に、「私は、黒い塊に操られない。私は人形じゃない」
とさらに、「そんなものに屈しない強い魂があることを知った」と告げる。そして上田に「交通事故では死なせない」とも・・・。
ほんの瞬きの間に人生一回分の妄想を黒い塊に見せられていた中でおきた上田の最後。その出来事をメリーが告げる。
上田は回らない頭をめぐらして気づいた。
妄想を見ていたのではなく、妄想の中にいたんだ、と。
メリーもまた、自分と同じように妄想の仲で年月を過ごしたんだ、と。
上田の口から「そうか、メリーも・・・あそこにいたのか・・・」という言葉が漏れた。
上田の目からは涙があふれていた。本当にともにすごしてきてもう出会えないと思っていた存在に出会えた。
そんなメリーに上田は言った。
そうだ、俺はそのためにあの妄想の中から戻ってきたんだ。
黒いものに操られないために、
やつの思い通りになんかさせないために、
メリーを大切にしてやるために、
それが当たり前だと、当たり前のことなんだと、メリーに伝えるために・・・。
「メリー・・・」
俺は、メリーの腕に抱かれたまま、言った。
「メリー、大好きだ」
↑あらすじ7 でした
これで今まで書いた部分の大まかなあらすじは終了です。
さてさて、このスレが終わるまでに、次の展開にたどりつけるかなぁ・・・。
がんばって明日にでも投下予定です。
いまさらながらですが!Ladyさんお疲れ様でした!
名無しさんも復活、おめ!
かぼちゃさん!きたいしてますよ!
では、今日はUPしませんが、ご期待ください!!
>>244 ついに忙しい時期を乗り越えたんですか!?
しかし、次の展開までにこのスレ持つかどーかなんて・・・
エラい濃い内容なのですね。
では、勢いに便乗して「ウチ」の話を!
だいろくわ
「きみ だぁれ?」 うりぃ・めりーと犬が振り返りました。
そこには見た目、うりぃと同じぐらいの年頃の男の子がいました。
この村の男の子でしょうか? 手にはケンダマを持ってます。
「ウチか? ウチはうりぃ・めりーや、ほんでこいつは犬や。」
「ふーん? 変な名前?」
この村ではよそ者は珍しいのでしょう、特に女の子と犬の組み合わせですから。
「アンタはこの村のモンか?」
「そーだよ、梅八ってんだ。 ・・・きみ、どこから来たの?」
うりぃはこーゆーのが苦手でした。自分に興味を持たれる事がです。
「あー、・・・いろんなトコや、日本全国放浪しとるんや。」
「へー、いいなぁ、おいらはこの村から出た事、ほとんどないからなぁ」
「なんや、こんなちっぽけな村なのにか?」
「うん、おっとーと年の暮れにおっきな町に買出しに行くときぐらい。」
「そぉか、・・・ちょーどええわ、梅八、この辺りにお社さん、あるか?」
「八幡さまならあの丘の向こうにあるよ。」
今日のうりぃ達の寝床です。いつも彼女達はその土地の神社で寝てるのです。
「おー、そぉか、ありがとな、 よっしゃ、犬! 行くで。」
「あ、ま、待ってよ、しばらくこの村にいるの?」
「あー、わからん、・・・成り行き次第やな。」
梅八は慌てて手に持ってたケンダマを、カッ、カッ、と操りだして、
「これ・・・あげる!」 と、言いました。それにはうりぃの方が戸惑います。
「えっ、ちょ、ちょっと待ってや? なんでウチにくれるんや?」
「・・・それ、あげるから こ、今度遊ぼうよ。」 梅八は照れながら答えました。
恥ずかしかったのか、そのまま走り出しました。
「おいら、西の一本杉の近くの家に住んでるんだ! じゃぁね!」
「・・・あっ、おぃ! こらぁ・・・!」
うりぃと犬はその場にポツンと取り残されました。「・・・遊ぼお・・・ゆーたかて・・・。」
「へっへっへ、姐さん・・・!お安くないですね? 顔、赤いですよ?」
「やかましいわぁ!!」
今日のうりぃの決め技は陳家太極拳旋風脚です。犬の顎の骨がまた砕けました。
コテ間違えたぁぁぁぁぁぁl!!!!
みんな忘れてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!
www
忘れましょうwww
忙しい時期は乗り越えてないですがサボり中です。
今日はUPしないつもりでしたが・・・
いっちゃいますね。3話分。
249 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/03/26(日) 21:26:56 ID:Q9mfhh090
では改めまして、再開でございます!
【あらすじ1から4>199-202】
【あらすじ5から7>241-243】
74番目←いまここ
250 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/03/26(日) 21:27:43 ID:Q9mfhh090
74番目
俺がメリーの胸でつぶやいた言葉。メリーはその言葉に反応して、俺の頭を強く抱きしめる。
俺はメリーに包まれている感覚の中で本当に温かいものが心に待たされていくのを感じていた。
大きく息を吸い込むとメリーの香りが体を満たしていく。懐かしい香りだった。
「今度は、簡単に死なせない。もしも、あなたが死ぬようなことがあっても、もう二度と鎌を手にしたりはしない」
メリーは俺を抱きしめながら、俺の頭に唇が触れるかどうかのところで言った。
俺はゆっくりと顔を上げる。メリーの美しく整った顔がすぐそばにあった。やさしく、目を細めて微笑んでいる。その目はゆっくりと閉じていった。俺もまたゆっくりと目を閉じ・・・・横からの激しい衝撃を感じていた・・・。
衝撃?・・・・目を開けると、目の前にメリーの美しい顔はなく、天井と仁王立ちの・・・麻子。
「えーい!うっとおしいわ!私の前でいちゃつくな!」
仁王立ちどころか、仁王様の顔で俺を見下している麻子。
「さっきから黙って聞いてりゃ、わけのわからないことばっかり言って、いちゃいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃと!!!」
「いや、麻子?別にいちゃついてるわけではなくって、その・・・なんだ・・・本当のことを・・・」
「何が本当のことだぁ?真剣に聞いてりゃ、都市伝説だぁ?黒いものだぁ?ふざけんのもいい加減にしてよね!」
「いやだから、本当に、メリーは・・・」
ボルテージの上がりまくった麻子には何を言っても通じそうになかった。
完全に目の前の俺を完膚なきまでに打ちのめさないとおそらくはこの怒りは静まらないだろう・・・。
潔癖症な麻子にとっては、刺激の強いものだったのかも知れない。なにせ、付き合っているときでも、手をつないだのがもっとも勇気ある行動だったのだから・・・。
「お姉さん、まって!」
行かれる猛牛のような麻子の背後から、声をかけるものが・・・ってメリー・・・。
ほうきを持って、麻子に負けず仁王立ちで部屋の真ん中で麻子をにらみつけている。
「彼をいじめるなら、ようしゃしないんだから!」
251 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/03/26(日) 21:28:53 ID:Q9mfhh090
75番目
下唇をきゅっと噛み、上目使いでにらみを利かせる姿。少し前の恐ろしいまでに冷酷なメリーとは似ても似つ
かない。普通の女の子がすねて怒っているようなそんなかわいさすら感じてしまう。
「ほう、容赦しないって、どうするのさ?」
背中でメリーの気配を感じ取りながら微妙な間合いを取り、台詞が終わると同時に背後のメリーに向かって
後ろ蹴りをかまそうとする。しかし、メリーもその動きを読んでいたのか、ひらりと右へかわし、けりだされた
麻子の右足を跳ね除ける。片足で経っている麻子はバランスを崩しそうなものだが、跳ね除けられた右足
のそのままの勢いで床につけ、先ほどまで軸足だった左足でメリーの背後からけりを送り出す。
ここでメリーのかわいい顔も真剣な表情に変わった。冷酷ではないにせよ、あどけない表情が影を潜め、
真剣なまなざしへと変化していた。麻子の左足のけりをほうきで受け止める。しかし、ほうきはあっけなく折れ、
メリーの左肩辺りに麻子のけりが決まった!
「メリー!」
俺は、麻子とメリーの間に割り込もうとした。しかし、よく見ると、メリーはわきの下からまわした右手で麻子の
左足をつかんでいた。
麻子の表情が怒りから驚きに変わっていた。
「あなた・・・なにもの?」
ようやく少し冷静になってきたのか、それとも、男の格闘家とも渡り歩けるほどの自分の技を受け止めたこの
美しい少女に興味を持ったのか、攻撃態勢を解いた。
「メリー。都市伝説で有名なメリーさんの電話のね」
片ひざをついたまま、麻子を見上げ、麻子の左足を解放しながら、メリーは言った。
かっこよかった。よくこんな柔軟な動きをするメリーの振り返りざまの一撃を交わすことができたものだと、
自分でも震えがきていた。いや、それよりも何よりも、強いメリーのかっこよさに惚れ直していた。
純粋な笑顔も、線の細いか弱そうな部分も、コケティッシュでいたずらな目線も好きだが、勝気で負けを知ら
ない強い視線は、見るものをしびれさせる。
252 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/03/26(日) 21:29:43 ID:Q9mfhh090
76番目
「め、メリー!」
俺はメリーのもとへと駆け寄ろうとした。そうだ、お約束だ!俺はメリーを抱きしめて、
メリーは「テヘッ☆無茶しちゃった・・・」とか言うんだよ!うんうん。
しかし、メリーに向かって一直線の俺はその前の麻子の後ろ蹴りでまたもや沈んだ!
俺に無情なけりをかましてきた麻子は
「すごーい!こんなにかわいいのに、こんなに強いなんて・・・」
とメリーを抱きしめて独占していた・・・。おそらく、完全に抱きすくめられているメリーには、麻子の後ろ蹴りが
俺に炸裂して、俺が沈んでいることなど知る由もない・・・。
「・・・ま、というわけで、この子は預かっていくからね」
すっかり麻子に気に入られたメリーは、麻子に羽交い絞めにされて、無理やり連れ去られそうになっていた。
メリーをこんな汚らわしい男の部屋においておくわけには行かない!とか、私の妹分として、私の技のすべて
を教えるとか・・・。
「夜はね、うちに来なさい。汚らわしいとかは冗談だけど、あなただって女の子なんですから!」
と古風な面を見せる麻子に、メリーもしぶしぶ了承した。
「明日の朝には、また来るからね」
という言葉とともに、メリーは連れ去られていった。正直なところ、メリーも麻子の人柄が見えたのかも知れな
い。本当にメリーをかわいがろうとする様子が俺にも伝わってきた。幽霊であれ妖怪であれ、自分の気に入
ったものには全力で力を注ぐのが麻子だ。
麻子になら、メリーを預けても大丈夫だ。そう言い聞かせながら、ぽつんと一人で残された部屋ががらんとし
てだだぴろい感じがした。
253 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/03/26(日) 21:31:13 ID:Q9mfhh090
とまあ、こんな感じで、次から新展開ですwww
ではまた会いましょう!
わぁ〜! 126さん、ぱちぱちぱち!!
>>254 私だったのです。
うむ・・・思った通り(?)次回[Train Yard編]は更に次週へとズレ込みまふ
・・・orz
>>126殿
なんか前回より結構ブランクが在りましたが・・・御無沙汰です。m(_ _)mドモドモ
つまり次回からは麻子タソとメリーの話に!?・・・って(;^。^)つ)))コレコレ
>>カボチャ殿
次回ですか・・・戦闘モードは・・・こちらも次回はアクション・モードに入り
ますので(笑)m(_ _)mヨロシュ〜ニ
>>うりぃめりー殿
次回はゲスト出演無しなので御安心をwww
257 :
名無し:2006/03/26(日) 23:42:21 ID:IG5QItVNO
さて、皆さんご機嫌如何でしょ
126さんLadyさんGJです。
何だか二人にまた会えていかった。電撃さんも頑張って。
んじゃ、投下をばいたしましょうかね。
258 :
名無し:2006/03/26(日) 23:47:37 ID:IG5QItVNO
………………………
部屋に戻った時、午後の高い陽が差し込むワンルームには、メリーの姿はなかった。
敷きっぱなしの布団、静かな部屋、不安な気持ちは晴れないどころか膨らむばかり。
ふと、時計に目をやると、時刻は三時丁度を指していた。
「………メリー…」
ポツリとそう呟くと、当たり前のように後ろからの声がそれに答える。
「…おかえりなさい…パパ…」
メリーである。後ろを振り返ると、そこには微笑みとも冷笑ともつかない表情のメリーが立っていた。
その静かに揺らめく瑠璃色の瞳が、真直ぐに見つめてくる。突き刺さる視線。
そのメリーの姿を見た瞬間、「ただいま」や、部屋に一人留守番させた事への謝罪も、何故か喉に引っ掛かったまま出てこようとはしなかった。
何か言わないといけない気がして、必死に言葉を探すが見つからない。
メリーの目を凝視したまま、離すことが出来ない。その瞳の揺らめく炎の奥底で、息を潜めてこちらを見つめる獣、
そいつは狩りを終え、食事をすませた後の肉食獣のように、悠然とただこちらを見つめていた。
その瞳を見つめていると、言い知れぬ予感やそれに起因する不安感はますます膨れ上がっていく。
喉がカラカラに乾く、頭の先からピリピリと血が引いていくような感覚に、眩暈までする。
メリーにいつものように罵られるのもいい、頭を叩かれるのもいい、何より笑顔がみたい。
とにかく、この訳の分からない予感や不安やらを、日常の言葉でまずメリーの口から否定してほしかった。
259 :
名無し:2006/03/26(日) 23:58:53 ID:IG5QItVNO
「……ぁ……ぅ…。」
喉の奥からは擦れた声がもれる。それは投げ掛けようとした未熟な言葉。
だがそれが切っ掛けとなってか、メリーにやっと自然と一つの言葉を投げ掛ける事が出来た。
「……メリー…どうして…?」
自分でも何故、疑問を投げ掛けたのかが解らなかった。ただ自然に口から出た言葉であった。
だがそれは、実にこの沈黙を終わらせるにじゅうぶんな言葉だった。
「…ドウシテ?…パパが私から離れていくからよ……それだけなの……。」
パパ…?…
「…メリー?…何を言って…」
行き場の定まらない悪い予感が、ようやく一つの解決に向かっていく。
…止まない胸騒ぎ、メリーからのあの電話、メリーは俺に関係する『何か』をしてきた。それは…?
メリーは腕を後ろに、親に何か重大な発表でもする子供のような仕草で含んだ笑みをこちらに向ける。
メリーは目を細め、ニンマリと満面の笑みを湛えると、やがて静かにその重大発表はされた。
・・・ただ、瞳の奥の獣は静かにこちらを威圧しながら。
「…ねぇ、パパ……私、邪魔な妹を殺してきたわ…。ンフフフフフフ…」
260 :
名無し:2006/03/27(月) 00:10:27 ID:vKpJPmZoO
・・・・
…パパ…?…妹…?
あまりの訳の解らなさに戸惑いを隠せない。ただでさえ混乱した頭では冷静な判断も出来ず、
俺は、まず身近で一番最初に思い浮かぶ人物や、今日の出来事、思い付いた事を口走る。
「…そうだ…今日、咲季と…一緒にいたんだ…俺…」
メリーはその名前を聞くと、一瞬眉をひそめるようにしてからすぐに独り言のように呟く。
「…ああ咲季ちゃんよね…あの子、綺麗になってたわねぇ…」
微笑みはいよいよ残虐の色を増す。俺の緊張もいよいよ張り詰めていく。
…綺麗になってた?何だその、まるで会ってきたかのような物言い…メリー?
「思わず殺しちゃうくらいに…」
――――――!!!
そして張り詰めていた緊張は、一瞬で弾け、代わりに新しく絶望にもにた感覚にすっぽりと覆われる。
まさか、咲季を殺すなんて…!…想定外の事実。
メリーのその言葉を聞いた瞬間、膝の力が一気に抜け、崩れるようにその場にへたり込んだ。
「メリー…なんで…?なんでだよ…」
うなだれた頭に突然、ふわりと柔らかい感触が広がる。
メリーがその小さな身体で俺の頭を包み込んでいるのだ。そして耳元で静かに紡ぐように語りだす。
「…私をそっちのけに、パパはあの子にかまってばかり…そうよね…?
いつも…ねぇ、何故パパはあの子を愛したの?…何故私を忘れてしまったの?」
「…分からないよ…」
「…パパと、ママと、私…三人じゃ駄目だったの?何故駄目なの?…私が人形だから…?ねぇ…答えてパパ。」
…ワカラナイ。それよりも何よりも、まだ状況が上手く呑み込めずにいた。
メリーが咲季を殺したなんて、まだはっきりと理解出来ずにいた。どこか俺の誤解であるような気がしてならなかった。
261 :
名無し:2006/03/27(月) 00:17:02 ID:vKpJPmZoO
「…あの子は…アナタ達から私の存在を消したわ…。あの子はパパもママも殺したわ…ねぇ…そうでしょ…?」
何も答えずに両腕をメリーの背中に回すと、抱き寄せ、そっと頭を撫でる。香水の良い香がした。
メリーもそれに応え、俺の首の後ろに両腕を回し、お互いに抱き合うような形になった。
深く息を吸い込んで、ゆっくりと吐き出す。喉は震えていた。
そして、一つの答えをはっきりとさせるべく、メリーに再び問い掛ける。
「…メリー…答えて………咲季を…殺したの………?」
メリーの表情は確認できない、少しの沈黙の後、ただメリーは一言
「……そうよ。」と答えた。
262 :
名無し:2006/03/27(月) 00:30:10 ID:vKpJPmZoO
はい、咲季は死にましたね。
悲しいこってす。
俺も書き進めていた時分、辛い選択だったんだけど
思い切って「えぃっ☆」と殺っちゃいました。
どうやって始末したかはメリーのみぞ知る。
彼女達は不思議な存在なんで時々作者の想定外の事をやらかしてくれます。
彼らは幸せになれるのでしようか?
従弟である主人公に仄かな恋心を抱いたまま死んでいった咲季の悲しみは?
自らの望む平穏、その幻影に踊らされ続けてきた人形、メリーの辿り着く先は?
意味深に見えて実は…ヘイ。書いてみただけです
んじゃまた明日ちゃんちゃん
うおおおお! こわぁぁぁぁ!
さすが名無しさん!
俺達に出来ないことを平然とやってのけるッ!!
そこに痺れる! 憧れるぅーッ!!
(AA略)by L・M
クオリティ高ぇぇぇぇぇ
265 :
名無し:2006/03/27(月) 08:08:15 ID:vKpJPmZoO
>>263 Ladyさんwwwwwwww
>>264 今にして思うとこのスレ凄いよねw
んで、皆さんおはよう
ちょっと諸事情に拠り、今日と明日で一気にラストまでいっちまおうかと思います。
だらだらと下手な改行で見た目うざいかも知れませんが、そこらへんは苦笑いで見逃してやって下さい。
んで、恐いのも昨日、夜UPで終わりです。Ladyさん残念だったねぇw
多分、初代スレに書いたやつ見てない人には「?」て部分がやたら…そうでもないかも知れませんがあると思います。
まぁ、でも問題なくこれはこれで読めるとは思います。
途中、期間開きすぎてグダグタ感は否めませんが、どうぞ最後までご愛顧の程をと
んでは、とりあえずお昼頃を予定して一先ずサラバ。
266 :
名無し:2006/03/27(月) 10:40:11 ID:vKpJPmZoO
ある程度直しおわったので掟破りうp
はいどぞー
267 :
名無し:2006/03/27(月) 10:43:11 ID:vKpJPmZoO
「……そうよ。」
メリーはただそれだけ呟くと口をつぐんだ。その事実をメリー自身の口から聞かされた俺は、意外と取り乱すような事はなかった。
「………………そうか…。」
と、それだけ呟いた。そして沈黙、その沈黙の中、突然に温かいものが両方の頬を伝っていった。
喉が熱くて、痛くて、乾いて、言葉を話すことができない代わりに、嗚咽だけが引っきりなしに口から飛び出す。
ただ、悲しくて泣いていた。色んな想いが整理も片付けもされないまま、行き場なく飛び交い、頭の中や胸を掻き回す
268 :
名無し:2006/03/27(月) 10:46:46 ID:vKpJPmZoO
「…パパ…泣いてるの…?」
メリーの腕に力が籠もる。
「…あの子のために泣いているの…?」
ひょいっとメリーは、自分の顔を俺の正面に持ってくる。睨めっこするより近く、キスするより少し遠く。
額をくっつけ合うような形でメリーと目が合う、そのメリーの瞳はあの残虐性をもう微塵も孕んでいなかった。
代わりに困惑したような瑠璃色の瞳は、宝石の原石のような深い暗みを帯びて、
何で怒られたのか分からない子犬のような、脅えさえもその瞳から垣間見る事が出来た。
まるで、可哀相な迷子の子犬のよう…遠くへ行き過ぎて、戻るべき家にも帰れずに、ただ飼い主のもとへ帰りたいと願い、知らぬ街を彷徨う。
意志と反してしゃくり上げる肩、止まない嗚咽、俺はそれを必死に押さえ込むと、メリーの唇に自らの唇を重ねた。
瞳を閉じる。次々に思い出される、ここ数日のメリーとの記憶、その記憶は様々な想いを乗せて巡る。
それはやがて、無数にある内の一つの答え…可能性に辿り着いた。
心なしか和らぐ嗚咽。ゆっくりと唇を離すと、メリーの瞳を真直ぐに見据えて言った。
「……解らないんだ…何も…メリー…キミは可哀相だな…。」
269 :
名無し:2006/03/27(月) 10:50:24 ID:vKpJPmZoO
メリー…憐れな人形。いや、人間でも人形でもない、中途半端な可哀相な存在。
人形の領分を超え、それでも人間には、ましてや娘の代わりになんて成り切れやせず、
きっと自分以外の何もかもが終わりを告げて尚、こうしてどれくらい彷徨っていたんだろうか。
もうきっと、この世にはいないであろう本来のオーナー…父親や母親、恐らくその娘であろう妹、家族の影だけを追い続け、
二度と手に入る事のない報われない気持ちを、温もりを、様々な代用品で満たそうとしているんだ。
俺を父に、咲季を妹に重ね、手に入らなかった温もりに、果たせなかった復讐にその短い腕を伸ばしている。
俺のもとに辿り着くまでに、幾度この『残酷なおままごと遊び』を繰り返してきたと言うのだろうか。
咲季を殺された事だって悔しくないはずがない、だが今はこの中途半端な存在にただ一つの真心を
きっとたった一つだけ残されているであろう救われる道を示してやるために、
ただただ目の前で困惑しきったこの人形の事を考えるしか出来なかった。
270 :
名無し:2006/03/27(月) 10:55:45 ID:vKpJPmZoO
「…メリー…?」
「……うん…」
メリーの表情は、未だ困惑と怯えの色を拭い去れないまま、一心にこちらの瞳を見つめてくる。
「…メリー、キミの『本当の持ち主』は、もういないんだ…」
「……!?」
本当の持ち主…あえてそう表現した。胸が締め付けられるように痛む。目が霞む。
「だから、メリーが今欲しがっているものは…その人達からは得られない…もう…勿論、代用品でも…」
メリーの表情は困惑の色を増していく。
「……何を…言っているの…?」
身体がワナワナと震えている。メリーは身体を離すと、後ろによろよろと覚束ない足取りで後退った。
「…ねぇ、さっきから何を言っているの……?パパ…」
とん…と小さな音を立ててメリーの背中が壁にぶつかった。
「…俺は…キミのパパじゃない…」
271 :
名無し:2006/03/27(月) 10:58:31 ID:vKpJPmZoO
…!!!!
その言葉を聞いた瞬間、メリーの目は大きく見開いた。その瞳の奥には炎が揺れる。
「…違う!」
「…メリー…聞いてくれ、俺はメリーの…」
この憐れな存在に俺がしてやれる事、おこがましいかもしれない、だが…
「…ウルサイ!煩い!五月蝿い!うるさい!ウルサイ!ウルサイ!!!」
メリーは両腕で耳を塞ぐと、駄々をこねるように首を大きく、何度も横に振った。
「…聞くんだ!メリー!」
自然と言葉に力が入る。
「うるさい!聞きたくない!!!パパは…私のものよ!!」
メリーは一際大きく、叫びにも似た声を上げた。そして、こちらをにらんだ瞳の炎は一閃、爆発するように輝いた。
―――――――――――――……………………………
272 :
名無し:2006/03/27(月) 11:03:01 ID:vKpJPmZoO
………………………――――――――――――――――――――――
不意の暗転。俺が目を瞑ったのか、突然太陽が消えてなくなったのか分からない。
まるで、最初からそこにいたかのように、漆黒の闇の大きな口の中にいた。
見渡す限りの闇、狭いとも広いとも感じる。自分の呼吸がすぐ耳元で聞こえるような気がする。
メリーの姿が見えない、でも何故か凄く近くに、メリーを感じた。
闇の向こう、ある一点を見つめると、何かが小さく点滅した。それは何度か燃え上がるようにボッ‥ボッと小さく弾けると、
突然一閃し、輪を広げ、その炎はまるで、闇のカーテンを真ん中から外へと焼いていくように広がる。
やがてそこからは新しい光景が姿を現した。それは、星が燦然と輝く夜空のような光景であった。
星のように見えるのは、辺りに無数に浮かんでいる青白い発光体で、明滅を繰り返すものや、
一際大きく爆発するように輝くもの、静かな光を湛えるものや、闇の彼方へ流れてゆくものなどがあった。
起きてすぐに忘れてしまったけど、いつだか見た夢の光景を思い出す。
「…ここは…来た事がある……」
273 :
名無し:2006/03/27(月) 11:04:18 ID:vKpJPmZoO
後はまた後程。三時のおやつくらいの時間かも。
おやつ、まだぁ?
おやつマダー?(/・∀・)/☆⌒∪チンチン
すまない、うっかり寝てました…orz
今から投下したいが、頭がぼーっとするので小一時間くらいで目覚まします
ほんと、すみません
278 :
名無し:2006/03/27(月) 20:54:42 ID:vKpJPmZoO
コテ忘れた…orz
279 :
名無し:2006/03/27(月) 21:39:45 ID:vKpJPmZoO
…此処へは来たことがある。
耳を澄ませば、遠くの方で何かが反響している。声だ。誰かと誰かが喋っている。『それ』は唐突にやってきた。
『メリー、こらこら…よしなさい…』
それは映像であった。直接この目で見ているのか、頭の中で回想しているのか解らない。
『パパは嫌なのーっ!』
洋風の造りの広い部屋の中、小さな女の子が男の腕の中で駄々をこねている。おそらく父親であろう。
困った顔の父親、それを隣で優しく見守る女性は母親だろうか。
俺はその光景を遠くで見ているのか、顔がよく確認できないが、幸せそうな家族である事は分かった。
それを、自分の視界から見ているはずなのにその視点は定まらず、時折霞んだりする。
家族の談笑、とうとう根負けした父親が苦笑しながら、女性に女の子を預ける。
母親は娘を受け取ると、歌うようにあやして、それからとても幸せそうに笑った。父親も笑った。娘も笑った。
その楽しげな情景に反して、何故か俺の胸はひどい孤独や悲しみに締め付けられていった。
突然、視界がぼやける。まるで涙でも溢れたかのように滲んでいく。俺は自分の目を擦ってみるが涙は出ておらず、
ただただ、ぼやけていく視界の中から幸せそうな家族を見ていた。
幸せな家族を、遠くの隅で見つめながら、ただただ孤独や悲しみに胸を締め付けられていた。
「……私の…秘密の場所。」
不意に後ろからメリーの声がした。振り返れば、視界にはまたあの闇が広がっていて、その闇の真ん中にはメリーが立っていた。
280 :
名無し:2006/03/27(月) 21:45:33 ID:vKpJPmZoO
「見たの?…私の記憶。」
メリーの記憶…あれはメリーの視点での映像。泣いていたのはメリーだったのか。
「…馬鹿…。」
メリーはそれだけ言うと、その場にしゃがみ込んでしまった。
「…メリー…帰ろう…」
俺がそう言うとメリーは、焦点の定まらないような虚ろな瞳で見つめ返してから口を開いた。
「…アナタは誰?」
メリーはそれだけ言うと、膝を立て、それを両腕で抱えるとそこに顔を埋める。
「…メリー…何を言ってるんだよ…帰ろう。」
メリーの直ぐ目の前に屈み、メリーの髪を撫でる。すると突然、メリーは弾けるように顔を上げると、俺の腕を払った。
「触らないで!私に触れていいのはパパとママだけよ!」
立ち上がり肩で荒く息をつく。見下ろすメリーの瞳は、この闇の空間で一際紅く揺らめいていた。
「…メリー…」
憐れな存在、ただ俺は認める事が出来る。この存在を。だから、救われるなら…
「…帰ろう、メリー。帰って一緒に暮らすんだ、パパじゃなく、俺と…俺が全部与えるから…」
281 :
名無し:2006/03/27(月) 21:54:52 ID:vKpJPmZoO
メリーは一歩後退りながら叫んだ。
「…こないで!…私に触れたらアナタを殺すわ!」
メリーの腕にはいつの間にか銀色に輝くナイフが握られていた。俺は立ち上がり、メリーに一歩歩み寄る。
「…もう幻に縋るのは止めよう…何度、繰り返した…人を殺し、いったい何人に俺と同じ思いをさせた…メリー…」
それを聞いたメリーは後退りながら、ナイフを両手に構える。
「やめて…こ、こないで…こないでよぅ…」
メリーの表情は怯えていた。俺はまた一歩メリーに歩み寄る。
「…今のままでは、欲しいものには永遠にメリーの手じゃ届かないよ…だから…」
メリーはナイフを握る手に力を込めると、震えるメリーの足はそれ以上の後退はしなかった。
「…きちゃダメ…おねがい…」
「…メリー、俺が手伝ってあげる。メリーが欲しいものを俺は知っているんだから…」
メリーは可哀相なくらいに怯えていた。まるで蛇に睨まれた蛙のように動けないでいる。
「…メリー、一緒に帰るんだ。そして一緒に暮らすんだ…全部‥忘れて…。」
小さく震えているメリーに手を伸ばす。その指先はまず髪に触れた。
そして包み込むようにメリーの頭部を後ろから引き寄せると、別の手で今度はメリーの身体を抱き締めた。
…さぁ一緒に帰ろう
282 :
名無し:2006/03/27(月) 21:57:49 ID:vKpJPmZoO
さて、いったん区切ろうか悩みましたが、今夜だけで最終回まで行っちまいますか。
……の前にしばしご飯休憩。フィナーレは大体、二十三時過ぎくらいを予定しております。
「みんなGJ俺も書かないと」
羽柴「ビシビシいきますからね早く了見書いてください(ニコ」
「ひー」
4
transp lanting the vegetable world [kingdom] (移植される 植物界)
「我が視覚に捕らえられぬものなし」少女はそう言うと得物を追跡していった・・・・
これが男の居る所の15分前。
「はあ」男は深く深く溜めた息をついた。
法王にたのまれた、正確には命令された。
庭の掃除をしているのである、流石魔境とはこの事だろう―--
デカイ食虫植物、動く触手 勇者ならば「行くぞ」の一言で斬って棄てるであろう
だが私は勇者ではない、何度目か判らない溜息を吐く。
「さっさと始めるです、ガンバ」そんなことを草木を掻き分けながら進む中
屈託邪無のニッパとした笑顔でシャクリーンに言われる。
俺一人でやるように言われたのだが ついて来たのだ。しばらくして視界が開け
苔生す石畳の上へとでる、此処を重点的にやるわけだ・・・が・・・・
「こりゃーヤバイだろ」
見上げた先にあるのは
二人を被い尽くす影また壱歩また壱歩と近づいて来る影と同時に下がる男
そんな中、影を動く事無く見上げる少女
「早く逃げろ」男の意図しない答えが返ってきた
「はい〜大丈夫です」
『ぐが―――!!!!』影は吼えた山が揺るぐが如くそして地を殴ろうとした時
「もしもし・・めり・・・今・・・・・・・・方の後・・・・居るの・・・・・」
声が聞こえた刹那影は消滅し少女が一人立っていた。
>>283は忘れてください武板と間違えました。
四日ぐらいしたら落とします、少女は一体誰でしょうね。
ヒントは出ているかもね・・・・・
286 :
名無し:2006/03/27(月) 23:31:45 ID:vKpJPmZoO
287 :
名無し:2006/03/27(月) 23:35:53 ID:vKpJPmZoO
「……メ…リィ…」
突然、腹部に熱を感じた。次に、それが痛みに変わると今度は喉からもその熱はせり上がってくる。ゴポゴポと喉の奥が鳴る。
…その男の腕の中で、メリーはただ震えていた。とめどない涙で頬を濡らしながら。
「…あ、ぁぁ…私…ぁぁぁぁぁぁ…私……私……」
男の腹部に深々と突き刺さる呪われたナイフ。男はその痛みに耐えながら、何か言葉を囁くようにメリーの耳元に口を近付ける。
「……いいんだ…メリー…俺はこれで良いんだ…だから…恐がらないで……」
それだけ言うと男は崩れ落ちるようにメリーの傍に転がった。
「…あぁっ!…あぁぁっ!」
メリーは直ぐに、傍らに倒れた男に縋り付いく。
「ごめんなさい…!ごめんなさい!ごめんなさい…私…ぁぁぁ…」
メリーは涙を零しながら、何度も何度も謝り続けた。男の絶え絶えの呼吸に合わせて腹部に突き刺さったナイフが静かに揺れる。
「…お願い…死なないで…ぁぁぁぁっ!ごめんなさい!私、どうして…!私、私、私…」
顔をクシャクシャにして泣き縋るメリーの頬に、男は震える手を伸ばす。
「…いいんだ…メリー………約束…これで、悲しいのとは…もう…さよならしよう………ね?」
メリーは何度も首を横に振る。
「…嫌だ!嫌だ!死なないで!…私を一人にしないで…ごめんなさい…ごめんなさい…どうして私は…私は…ぅぅぅ…」
メリーは今程自分を…自分の存在を呪った事はないだろう。自分の『我儘』を呪った事はないだろう。
288 :
名無し:2006/03/27(月) 23:48:16 ID:vKpJPmZoO
………
「…メリーは…一人じゃない…俺がずっと……。だから…もう…泣かないで…」
「あぁッ!血がとまらないよぅ!死んじゃう…どうしよう…血が止まらないよぅ、止まらないよぅ…ぅぅぅ」
男が小さく呻くと、メリーは涙を拭うのも忘れ、男の目を見つめた。
「どうしたの?…痛いよね…?ごめんね…痛いよね…」
男は、昔父親に連れられて行った骨董屋にて、メリーと初めて出会った時の事を思い出していた。
「…メリー…俺…メリーに…一目惚れだったんだ…一目見た時…丁度、今のメリーみたいな…優しい子だと…感じた…」
メリーは肩をしゃくり上げながら、一心に男の話に耳を傾ける。
「…さすがに‥‥動きだしたメリーには…面食らったけれど…」
男が少し笑うと、その口からは赤い血がゴポッと音を立てて吹き出す。男はそれにむせてと咳をする。
するとまた新しい血がガポガポと音を立てて吹き出した。
「もぅいい…喋らないで…でないと…死んじゃうぅ…」
ようやく治まったのか、男は更に言葉を続けた。
「…でも…印象は変わらなかった…メリーは…とても……優しい子……だから…」
メリーの目から流れるとめどない涙を、男はそっと指で掬うと、その手は再びメリーの頬に添えられ、静かに引き寄せるように力を入れた。
男の意図を汲み取ったのか、メリーはそれに従い男の顔に自分の顔を近付ける。「…メリー…君の欲しがってたもの…教えてあげる…」
遠くの方で青白い発光体が、強く断続的に瞬く。
「…キ…スを……俺の…愛する…人………」
メリーはそれを聞き届けるとゆっくりと唇と唇を重ねていった。永い口付け。男はその中で静かに呼吸をやめた。
遠くの方で、一つの青白い発光体が一際眩しく光と、やがて収束して、流れ星のように闇の彼方へと消えていった。
…出会った日から、そこにあったもの…過去の幻影に片目を塞がれた幼い魂にはきっと…
…だから、メリー…これからは…もう後ろは振り返らない…で……
289 :
名無し:2006/03/27(月) 23:50:55 ID:vKpJPmZoO
……………
男の身体に異変を感じたメリーはハッとする。唇を離し、急いで起き上がると、男の身体を揺する。
「…ねぇ!…ダメだよ…ねぇ…ダメだよ…はぁぁ…私、私…ごめんなさい…私…私…私…私…」
うああああああああああああああああああああああああ―――――――…………
……………………
…………………
………………
……………
…………
………
290 :
名無し:2006/03/27(月) 23:58:25 ID:vKpJPmZoO
月の光が冷たく照らすワンルームの部屋。その部屋には仰向けに横たわる男と、その傍らには一体の無表情なアンティークドールが男に寄り添うように座っていた。
男の腹部に突き刺さるナイフが月の光を浴びて、銀色に光を反射している。
人形は何を思っているのか、それを無表情に見つめるばかり。
不意に人形の頭上から、少女の透き通るような声が囁いた。
「…メリーちゃん…うぅん、お姉ちゃん。」
その呼び掛けに人形はゆっくりと、無表情のまま顔を上げる。
そこには、夜の闇に溶け込むような黒いドレスに身を包む、一人の少女が困ったような表情で微笑んでいた。人形はやはり無表情にその少女を見つめる。
「お姉ちゃん、この人…」
その少女は横たわる男の屍に目を落とすと、ゆっくりとその傍らに屈んだ。
「…大切な人…?このナイフも…お姉ちゃんが持ってたんだね…」
少女はその腹部に突き刺さるナイフに手を伸ばした。すると人形は突然目を見開いて叫びだした。
「触らないで!…アナタは…絶対に…!」
立ち上がり、肩で息をする。しかし威勢に反して人形の瑠璃色の瞳に宿るその炎は、力なく揺れるだけだった。
その人形の声に、少女は一瞬戸惑うような素振りを見せるが、すぐに取り直し、人形の瞳を見据えてから言った。
「…お姉ちゃん、同じ闇の中にいた私は分かってるよ?今度はこの人なの?この人の影を探して彷徨うの?」
その言葉を聞くと人形は、また力なくその場にへたり込むようにして腰を落とした。
人形の目からは涙が零れた。幾筋もの涙の跡の上を新しい涙がまた濡らしていく。
291 :
名無し:2006/03/28(火) 00:02:53 ID:wWj8oJpvO
…………。
「…お姉ちゃん…行こう?もうここには居ちゃいけないの…。」
人形は両手で顔を覆いながら、何度も頷いた。それを見て少女は微笑み、そっと人形の髪を撫でる。
「…お姉ちゃん…今までずっと…ごめんね。」
それを聞いて人形は、とうとう声を上げて泣きだした。
「私…は!ぅぅ…ほんとうは…!全部、全部、分かっていたはずなのに……私は…ぅぁぁぁぁぁぁ…」
少女は人形を抱き寄せると、まるで子供をあやすかのように背中を擦る。
「アナタの…苦しみも…悲しみも…全部…ぅぅ‥分かってた‥でも寂しくて…」少女は黙って人形の背中や頭を撫で、あやし続けた。
292 :
名無し:2006/03/28(火) 00:08:02 ID:wWj8oJpvO
あやし続け、そうして、どれくらい時が経っただろうか
やがて落ち着いた人形は、少女の胸の中で静かに寝息を立てていた。
胸の中、寝息をたてる人形を見つめ少女は優しげに微笑むと、目を閉じて深い溜息を吐いた。
やがて目を開け、少女は男の腹部に突き刺さっているナイフを睨み付けると、まるで遠くを眺めるように目を細めた。
忌まわしい記憶のこびり付いたナイフ。父親が自らの命を絶つために、少女にその柄を握らせて自らの腹に突き立てたナイフ。
人形はそのナイフで愛する人の命を奪った。父親は愛してほしいと自らに突き立てた。
因果…なのだろうか。
293 :
名無し:2006/03/28(火) 00:42:41 ID:wWj8oJpvO
………………
少女は再び溜息を吐いた。そして、そのナイフの柄をゆっくりと握る。
力が加わり、ナイフの根元からする、グチュッという肉の裂ける音に顔をしかめながら、
少し力を込めて引き上げる。意外と深く刺さっているナイフに苦戦しながら、やっとの思いで引き抜いた。
少女はそれを見つめる。血に濡れたナイフの刃は、月光を浴びて鈍く輝いた。
この部屋を支配する闇が鎌首をもたげ、隅の方で笑っている。
「…さて、行こう?お姉ちゃん…とっても月が綺麗だよ…」
…夜の道はとても涼しく、月は少女と、少女の抱える人形の影を溶かして、真直ぐな道の上に一つに映し出す。
少女はその影を見て小さく笑った。そして相変わらず遊び疲れた子供のように眠る人形を見つめる。
「…ねぇ?お姉ちゃん。お歌でも歌いましょうか…?」
夜は黒いマントをなびかせて
星の従者、月のランプ
暗闇は恐れをなして道を開けて…
姉妹はその真ん中を歩く
夜は黒いマントをなびかせて
星の従者、月のランプ
大切なものへと続く夜の道
優しく照らしだしてくれている
294 :
名無し:2006/03/28(火) 01:10:15 ID:wWj8oJpvO
おわり
はいありがとうございました。
そしていつだかうpしたメリー姉妹です。デザートにでもどぞ
http://p.pita.st/?m=xzsop4ox …人形は人形の、少女には少女の幸せの形がありますが、
時に、領分をわきまえず手を伸ばしたりなんかしちゃうと、もしかしたら闇がお迎えにくるかもしれません
あはは。何度も書き直したり、削ったりしている内にバランスが崩壊寸前な感も、まぁ否めませんな。
とにかく、おわっちゃったわけですが。
また、精神疾患ファミリー、心温まる家族神話でも気が向いたくらいに投下させていただこうかと思う
本当は今回の話に絡めていこうと想定していた内容なんですが、え、色々ありまして。
んで俺は諸事情により、明後日以降、ネットに繋ぐ手段は途絶えます。
だからしばらくのうpはないかと思います。今までほんとにありがとうござんした。敬礼
・・・なるほど〜! ここであの絵が生きるわけか〜。
名無しさん、お疲れ!!
GJ!!!お疲れさん!
また戻ってきてね!
今までありがとう>名無しさん。
復活期待してますからね。
ぎぎぎぃ、と錆びた音を立て、扉が開く。
明かりの点いていないその地下空間は、完全な闇に包まれていた。
「カボ…ちょっと電灯のスイッチが有るか探してくれないか?」
「了ぉ解…っとよ」
鎌を携えたカボタンが、ふわふわと壁伝いに移動する。
顔から光を放つカボタンの付近だけ僅かながら明るくなり、その周囲に何があるのかを浮かび上がらせた。
平積みにされた本、本、本の山…
見る限り革で装丁されているそれらの本は、いずれも古く、読み込まれている様に見えた。
「何を書いてあるのかちょっと気になるの」
「多分、何かの専門書だぜ…っと、有った有った」
メリーの独白に、カボタンが答えながら電灯のスイッチを入れた。
その瞬間、カボタンのマントが裂け、地面に叩きつけられた。
「え…?」
「カボタンっ!!」
山神が叫び、抜き身のままであった刀を構えながら、その凶行を行った相手の姿を見た。
そいつは、形こそ人間であるが、巨大さでは比にならないほどの…一言で言えば、巨人であった。
三メートルはあろうかという巨体で気配を消し、電灯に近づいた瞬間、手に持った巨大な鉈の様な短剣で切り付けたのだ。
「だ、大丈夫だっ!!けどよ、こいつだけじゃねぇよっ!!!!」
這うように巨人から逃げるカボタンにそう言われ、山神とメリーは周囲を見回す。
本の陰、棚の陰、机の陰…到る所から、その仲間らしき奴らが出てくる。
そいつらは、手が四本あったり、地面に掌が付くほどに手が長かったり…一人として同じ姿をした奴はいなかった。
「何だ、こいつらは…!?」
山神の胸の携帯電話が震える。
通話状態にするや否や、スピーカーに切り替え、耳に当てずとも声が聞こえるようにした。
「こいつら…明らかに敵意を持ってるの」
「それくらいは…わかってる」
「戦闘力は、きっとこっちが上…けど、明らかに相手のほうが数がいるの」
「ああ…迂闊には動けないな。だが、処分するぞ…」
山神は、刀の切っ先を相手に向けたまま、じっと固まった。
敵は、確認されるだけで五体。巨人、四つ手、手長、そして下半身が蛇のような奴と、顔がワニの様な奴…。
それぞれが違った武器を手に持ち、殺意の塊を三人にぶつけていた。
「カボ…そっちの巨人は任せられるか?」
「おいおい、こんな奴相手にしろってのかよ、Mr.山神?」
「無理か?」
「楽勝だっての、こんなデカブツ」
その表情は、動かないマスクからは図り知ることは出来ないが、おそらく心の中では笑っているだろう。
カボタンの返事を聞くや否や、山神は駆け出していた。
狙うは、四つ手。
「ワニは任せた、メリー!」
叫びながら、四本の刀を持つ相手に向かって、刀の鞘を投げつける。
二本の手でガードするその隙を見逃さず、その攻撃の届かない距離から回り込み、右手の一本を切り落とす。
血飛沫を上げながら反撃するが、先刻までいた場所に山神の姿は無く、攻撃は空を切る。
一瞬の躊躇。その時、勝負は決した。
背後に回りこんだ山神が、刀を頭頂から振り下ろし、その身体を真っ二つに切り裂いた。
即座に背後を振り返り、蛇人間の薙刀の一撃を受け流した。
「了解なの」
返事と同時に、メリーの姿が、溶ける様に消えた。
そして、次の瞬間、メリーはワニの背後に姿を現していた。
その手にもった鎌を、首筋に押し当てた状態で。
ワニが、殺気を感知したのか、手にした巨大な金棒を振るおうとするが、それより速くメリーの鎌が首を切り裂く。
血を撒き散らしながらも武器を振るうが、それは素早い動きのメリーを捉える事は不可能だった。
遠心力に体勢を保つことが出来ず、金棒に引き摺られるかのように地面に倒れたそいつにかまう事無く、メリーは次の相手を見据えている。
「次は…貴方なの」
人差し指と中指の間、中指と薬指の間、二本のナイフをそれぞれ両手に持った手長に向かって、聞こえない台詞を言った。
「頑張ってるな、マスター.メリーガールもMr.山神も…オレッチもちょいと頑張るかね」
宙を浮きながら、巨人に向かって突進する。
その直線的な軌道を逃すはず無く、巨人はタイミングを合わせて、鉈の様なナイフ…ククリを振り下ろした。
だが、斬撃はカボタンを捉えることを出来ず、地面に突き刺さった。
「不意打ちならともかく…まともにそんな攻撃を食らうかよっ!」
慣性を無視した動きで一撃を躱し、その鎌を脳天を穿ち抜かんと振り下ろす。
…が、人体には有り得ない、がきぃんという音を立て、鎌は弾かれた。
「…へぇ、意外と硬ぇんだな」
ククリを持たない手がカボタンを摘み、壁に向かって投げつける。
空中で方向転換し、壁に足をつけて叩き付けられるのは防いだが、即座に斬撃が降ってきた。
ギリギリでそれを躱すが、予想以上に素早いその動きは、いつかはカボタンを捉えるであろうことは確実である。
「仕方ねぇな…」
鎌を消して両手を合わせ、カボタンが静かに何らかの呪文を唱える。
中空に止まっているそれに向かってククリを振るうが、それら全てをカボタンは紙一重で躱していた。
「ーーー!〜〜〜〜!!!!・!・・・!」
徐々に徐々に、テンションが上がってきたのか、最初は小声だった呪文は、次第に大きくなり、遂には叫び声になった。
そして、その呪文を唱え終わったころ…カボタンのマントが、不自然に伸びていた。
危機を感じたのか、巨人は何事かを叫びながら、カボタンに向かって渾身の一撃を振り下ろした。
カボタンはそれを躱そうともせず、マントを操り、受け止める。
ナイフは、カボタンのマントにめり込み、受け止めること叶わずそのまま下まで振り下ろされたかの様に見えた。
勝利を確信したのか、巨人がにやりと笑うが、即座にその顔は恐怖に歪む事となった。
手を、マントから引き抜くことが出来ないのだ。
それどころか、飲み込まれるように少しずつその手がマントに沈んでいく。
「これを使うのは疲れるんだぜ。ありがたく思いなよ、このデカブツがよぉ」
マントが翻り、カボタンの首から下…マントの中が露わになった。
そこには、何も無かった。
ただ巨大な闇が、巨人の腕を飲み込み、そして更には身体をも飲み込まんと蠢いているのだ。
ブラックホールや異次元に送るのとも違う、生きた闇。
恐慌に陥りながら、右腕を救おうと、闇に沈んでいない方の左腕で闇を殴りつける…が、当然ながら左腕も捉えられ、めり込む時間を短縮させるだけの結果になった。
「これだけデケェと時間がかかるぜ…やれやれ、っとよ」
すぅっ、とマントが更に伸び、地面に触れる。
と、闇が地面を侵食し、巨人の足元にも闇が出現した。
沼に嵌ったように少しずつ闇の中に沈んでいく巨人。
その膝まで沈んだときに、カボタンはマントを広げ、巨人の身体を包み込んだ。
断末魔の絶叫を上げるが、それもすぐに闇に飲み込まれ、広がったマントは徐々に小さくなり、そして遂には元のカボタンの大きさにまで戻った。
後には、何も残らなかった。
「っふぅ…疲れたぜ…」
一息吐きながら、メリー達の方を向いた。
何時の間にか相手が交換され、山神が手長の、メリーが蛇の相手をしていた。
「梃子摺ってるみてぇだな…でも…おれっちにはもう…相手するほどの、余裕はねぇぜ…」
ふらふらと中空を移動するが、段々と浮かぶ高さが低くなり、体力の限界が来たのが、本の上に着地した。
そして、そのまま眠る様に、ぬいぐるみの姿へと身体を変化させた。
てなわけでやっとこさ戦闘でございます。
ちうか予想以上に長引いてるなぁ…まだ話の半分程度だ…
>>126氏
おぉ、何かお久しぶりっす!
新展開ktkr!
>>名無しさん
( ゚Д゚)
((((( ゚Д゚)))))
(((((゚Д゚)))))
お疲れさまでした。もう何か色々ショックっす…
でもGJ!次作も期待しとります!
おはよ
皆なんかほんとありがとね。嬉しいわん
んでカボチャさんGJ
つーかこっち見るなww
なんか流れるような戦闘シーンが読みやすくて素敵ですね
頭のなかで色々想像するのが楽しかった。カボタソが素敵ちょー素敵。
文章もまとまって綺麗だしGJ
>>126さん。新展開、ロムるくらいの手段ならいくつかあるんでwktkで待ち焦がれてますね。
>>レィディさん。そうなんす。まぁアレは象徴みたいなもんで物語には特に深いアレはないけども…
>>296。読んでくれてどうも!
んで俺もレィディさんに習いしばしコテ外しますねん
なんでオイラってわかるのかぴら?
まぁカボチャさん、GJ
>>285 始まりさんもやっちまったか・・・、
もうあんな失敗は二度としないぞと、心に誓う今日このごろ・・・。
おっ! IDがDIO様!?
なんかみんな一回はコテ間違えてるなw
126氏も前に間違えたことなかったっけ?w
306 :
名無し:2006/03/28(火) 19:32:24 ID:wWj8oJpvO
>>306 丁寧にかかれてますなぁ
俺はいつも線が荒いって怒られるorz
だいななわ
「あ! 姐さん、ありました。あの家ですよ、白羽の矢が刺さってます!」
「よっしゃ、・・・ならやってまうで? 準備はえーな?」
「いつでもオッケーです! 姐さん!」
さて、いよいよ最恐のゴスロリ少女うりぃ・めりーのお仕事の時間です。
・・・今までもちゃんとやってたんですけどね。
時刻は草木も眠る丑三つ時・・・、うりぃと犬は、その一軒の農家の庭先におりました。
おもむろに犬が前足を掲げ、その家の納戸を足で軽く叩き始めました。
バタン、バタン、
犬は何度か同じ動作を繰り返します。その内に、この家の主人が目を覚ましました。
「・・・? な、なんだぁ? ・・・風じゃねー・・・よな? 誰かいるのか?」
バタン、バタン、
「おい・・・誰かいるのかぁ?」
あ け て・・・ん か ぁ
「誰だ!?」 ガラッ!!
・・・主人が納戸を開けたのですが、そこには誰もおりません。
ただ主人の視界には、一匹の白い犬がその場から立ち去るのが映りました。
「えっ? い・・・犬だったのか? でも声が聞こえたような・・・?」
その時、主人は、自分の背後の暗闇に、何かの気配を感じました。
「・・・ウチや・・・、アンタの後ろにおるで・・・?」
家族の誰とも違うその声に振り向いた時、主人の胸には錆付いた草刈り鎌が刺さってました。
「・・・これも仕事なんや、堪忍な?」
鎌は正確に心の臓を貫いてました・・・、ほぼ即死に違いありません。
うりぃは鎌をぐいっと抜いて、その場から立ち去ります。
こんな夜中です、男の家族も気づかないままでしょう。
うりぃは庭で隠れている犬と合流しました。
「姐さん、首尾はどうです?」
「は、どーということもないわ、今日も楽やったわ。」
うりぃの右手には、朱く染まった草刈り鎌があります。
今日も、無事に仕事を終えました。
二人は寝床の八幡さまに帰ります・・・。
>>308 好きなものだけひたすら描いていけば何か掴めますよ。
俺もまだ抵抗あるけど。
311 :
310:2006/03/29(水) 00:14:54 ID:ySV3T6oFO
タイミング被ったorz
邪魔してすまなかった。
ずら、と言えば姉歯の奥さん・・・カワイソス。・゚・(ノД`)・゚・。
>>286 名無しさん今は、小説てんかいしてないです。
武板では一度も書いたこと有りませんよ、エエ!
「エロィのを書いていただけですよね(ニコ」
言うな〜〜〜
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
ってだけです。
書いてもジャンルがマニアックで落とせないのが多数ですが・・・・・
血塗られた部屋でも持つかな。
「・・・却下だよ・・・管理できないじゃん・・・サーバーも無いし・・・」
を←黄昏中
武板ってなんの略?
ぶばん? たけばん?
武道武芸板だと思う。他に武がつく板が無ければ。
ちなみに自分は伝統空手関係の板をたまに見てるが、そこでは見たことないなぁ>侍見習
>>316 さんくすザマス。そんな板もあるんだ。
うりぃの必殺技探しにのぞいて・・・いや、何でもありません。
「もしもし! あたしあたし! あなたの家に向かってる途中なんだけどぉ、
バイクぶつけちゃったのよぉ!
うん、あたしは大丈夫なんだけどぉ、
相手の人がケガしちゃって、今、大変な事になってるの、そう、病院!
それで、悪いんだけど治療費立て替えてくんないかなぁ?
あとで保険が降りるから返せるけど、今、手持ちないのよぉ。
うん、五万円で何とかなると思う! 悪いわね、後で返すわ!!
じゃぁ、相手の人の振込先を言うわね!
み○ぽ銀行のぉ・・・」
「もしもし! あたしあたし! さっきはありがとう!
実はね、大変な事になったの!
相手の人、女の人なんだけど、妊娠してて・・・流産しちゃったの!
どうしよぉ? さっき保険の人に聞いたら、治療費は降りるけど、
慰謝料が規定外の金額になるんだって! そんなの払えないよぅ!
ねぇ!? 30万ぐらい何とかならないかしら?
後で絶対、返すから!
ホント、ごめんね? さっきの口座で大丈夫よ!
この埋め合わせはちゃんとするからね!?」
「もしもし! あたしあたし! ほんとにほんとにありがとね!
じ・・・じつは、相手の人、アダルトサイトに登録料払いに行く所だったんだって!
うん、それがこの事故で支払い期限過ぎちゃって、延滞金払わなきゃならなくなったんだって!
えーっと・・・延滞金が三倍増しになるんで210万円必要なのよ!
なんとかならないかしら?
えぇっ? そんなお金ない? どぅしよう?
あたし、売られちゃうかもしれないっ?
・・・え? な、なんとかなるかもしれない?
ああぁ、ありがとう!! あなたってなんて素敵なの!?
やっぱりあなたは頼りになるわ!!」
「もしもし! あたしあたし! あのね、実はね!
相手の人、○イブドアの株、大量に買ってたんだって!
それでね・・・! 供託金が700万・・・え?
な、なに? 払えないですって?
じゃ、じゃぁあたしはどうなるの?
・・・知らないぃ? 何それ!? どぅゆーことぉ!?
・・・そう、そうよね? あなたに甘えすぎてたわ・・・。
ううん、後はあたしでなんとか頑張って見せるわ!
今までありがとね!
あ! あと、最後にね、実はいま、あなたの部屋の前にいるの・・・。」
「・・・ほしたら、メリーはん、後の処理はこっちに任せてもろて、えーんですかいの?」
「うん、どぅ? 彼、健康体でしょ? 角膜に臓器に・・・各種保険・・・名義はもう変えてあるわ。
いい金額になるでしょぉ?」
「はー、それはもぅ・・・。しかし、メリーはんもエゲツない事、考えまんなぁ?
恐ろしゅーて、かなわんわぁ・・・。」
「うふっ。彼もね、もぅちょっと貢いでくれたら、見逃してあげてもよかったんだけどぉ・・・!」
くすくす・・・、あたしあたしメリーさん・・・次はあなたのところに行くの・・・。
こわぁ…
結局メリーって人形なの?
>>323-324 毎度お世話になります〜ぅ。
>>325 少なくとも「メリー」さんの名前で広まったのは、人形という前提ではないのかしら?
自信はないけど・・・。
「リカちゃん人形」とどっちが先なのだろう?
>>325 人形説、 死して報われる事非ず説(悪霊実体化説)、 九十九神説(大切にされて・・以下略)
めりーさん誕生説は上の三っつぐらいしかしらね。
>>327 みんなのメリーをそれぞれ、パターン別に整理してみるのも面白いかもね?
で、始まりさんの話の続きは?
カボチャさんは?
126氏は次、いつなの?
ではごはん行ってきます。
/;;;; イノ ゝヽヾ 3月32日記念カキコ!
/;;;;;; / ノ(● ●))
/;;;; // ゝ へ ノ ゝ
l;;;; / ノ ( 〆へ \
l;;;; l 人 《( ヽ へ
ヽ;; ヘ リ;;::ゝ、/^ )\
`'' ゝ ヽ;;;;;;;; ゝ、/ ゝ唱
...:イ::::;;:::::;;;;::::::;ヾ \
ィ;;i;;;;;ii::,,.ii::::;ii;::;;:i;;;i::;ゞ
ん;;ii;;ii;;ii;;ii;::iiム;;ム
ャ ~~ ~ / |
ゞ ___ / _ノ
×× ×
×× ×
×× ×
× ×
× × ィヘ
ト、つ ト、ソ
何これwww
俺も記念カキコw
私、メリーさん。
いま3月32日にいるの。
誰もネタ、投下してくれへん・・・。
,. -───-: 、
/::::::::::::::::::::::::::::::::\
/ '':::::::::::::::::::::::::::::::''''' ヽ
!::::::::::ィ::ハ:::;::::::::::::::::::::::::::!
i::|:::i::/l/ i;::ト、:、:::i:::::::::::::::i
|::i/レ'-i'' 'ヽi-ヾ,ヽ!:::::::::::::l
|::ハ -‐- -─- i::::::::::::::l
|::::::l| | | | |::::::::::::::!
|::::::ヽ | r---、! l,.!::::::::::::::l
l::::::::::::`;'-'=,‐,='r''i~!:::::::::::::::|
!:::::::l、::r'"´'. ' l ' i::::::::iヽ:::l
i:l、:::|./、_____,l::::;l:/‐'ヽ!
'!ヽ;i'>l____,.//-‐'''"ヽ
!/ |.VVVVVVVV.lV\!. i
| | | l
「もしもし、私メリーさん。天気もいいし、お花見に行きたいですの。」
「そうだなぁ。それじゃ上野公園にでも行くか。」
JR秋葉原駅で山手線に乗車、5分程で上野駅に到着。
「もしもし、私メリーさん。交番付近の入り口が異常に人大杉ですの。」
「しょうがない。パンダ口の方から入っていくか。」
歩道橋を渡って上野公園口から進入。近くに国立西洋美術館が見える。
「うー、さっきほどじゃないけど、ここも人大杉ですの。」
「たかが花見で、何だかなあ。よっぽど暇な奴らだよなあ。」
「他人の事は言えないですの。あ、あの人たちは花見じゃないみたいですの。」
「あれは、ホームレスのおじさんたちじゃないか。」
「すごい行列ですの。みんな必死な顔つきですの。」
列の先頭を辿ると、どこぞの慈善団体が炊き出しを行っているらしい。
「外人さんがパンとカレーを配っていますの。ちょっと美味しそうですの。」
「うーむ、よりによってこんな混んでる時にしなくてもいいと思うんだがなあ。」
「広場で賛美歌を演奏してますの。おじさんたちが体育座りで聴いてますの。」
「うーむ、システム化されてる。さすが世界宗教はすごいな。」
それはともかく、そこかしこに咲いた満開の桜は例年にない美しさではあった。
「それにしても、人出の多さも例年をはるかに超えるように感じるのだが。」
「もしもし、せっかく上野に来たんだから、動物園にも行きたいですの。」
「そういう冗談はあの行列を見てから言ってくれ。入園前に日が暮れちまうぞ。」
「ううー、残念ですの。夜の動物園のジャコウマメジカを見たかったですの。」
「…せめてレッサーパンダとか言ってくれないと、反応に困るのだが。」
相変わらず人大杉の大通りを進む。左右の桜並木の下では宴会中の人々。
「もしもし、質問ですの。なんであの学生さん、パンツ一枚で踊っているですの?」
「そっとしといてやれ…。ま、とりあえず写メには撮っておこう。(パシャッ)」
ゆっくり進んでいた行列がついに歩みを止めた。公園管理所からのアナウンス。
”大変混雑しております。間もなく非常避難経路を開放します。お待ち下さい。”
「やっぱり今年は異常だな。明日の天気予報が雨だってのも焦りを呼んだのかも。」
「うー、それはともかく、もうクタクタですの。足も踏まれっ放しですの。」
「しょうがない、大通りはあきらめて、こっちを通ろう。」
菖蒲の花壇を踏み分けながら、脇道にそれる。ようやくお山の上にたどりついた。
「ふう、やっと一息ですの。こんなところにお寺があるとは思いの外でしたの。」
「ここが寛永寺。彰義隊が立てこもった所だよ。近くには西郷さんの銅像もある。」
「でもこの辺りはあまり桜がないですのね。ちょっぴり寂しいですの。」
「お堂の上に登れば、桜並木を見下ろすことができると思うのだが。」
とりあえず、見晴らしを求めて寛永寺の本堂への階段を上っていく。
「ふー、絶景ですの。ちょっと混んでるけど、下の地獄に比べたら大分ましですの。」
「せっかくだからお参りしていこう。はい、これメリーさんの分のお賽銭。」
「ありがとうですの。(チャリーン)南無南無ですの。」
「おや…何だろうこの看板?…『人形供養承ります』…?」
「何だかはげしく嫌な予感がするですの。」
本堂の奥の座敷から住職が現れた。
「おや、人形供養の方ですな…? どれ、ひとつ祈って進ぜよう。」
それがメリーさんとの別れとなった。
な、なに? その儚い結末・・・。
でも、乙!
続きないの?
プルルル……
「ピッ…はい、○○です。」
『私メリーさん、いまあなたの町にいるの…ブツッ…ツーツー』
「イタ電か?」
プルルル…
「ピッ、はい○○です。」
『私メリーs(ブツッ)』
「しつこいな」
プルルル…
「ピッ…はい、○○です。」
『私メr(ブッ)』
「まったく…」
プルルル…
「はぁ…」ピッ
『わたs(ブッ)』
プルルル…ピッ『わt(ブッ)』
プルルル…ピッ『w(ブッ)』
プルルル…ピッ(ブッ)
プルルル…ピッ(ブッ)
ひぐっ…えぐっ…わ、私…メリ…さん…なのっ……はなっ…しっ…えぐっ…ぐらい…聞いてっ……くれてっ…もっ…いいとっ…思っ…のっ………ふぇ〜ん
小三のころKKベストセラーの学校の怪談でメリーさんの話がのってた。
いわゆる「この話をきいた貴方には三日以内に夢でメリーさんがでて
きて私の小指を捜せといいます。その場所は(中略、覚えるのが大変)
で間違えると死にます」系のブキミちゃんmixみたいな内容。
あれが当時死ぬほど怖くて、話聞いたその三日間はめっちゃ鬱だったしそのあと
半年間くらいずっとトラウマになってた(笑
今思い出すといい思い出だが。
・・・あー、誰も読んどらん、思うけどな、
前回までのあらすじや。
ウチの名はネーム欄どーり、最恐ゴスロリ少女うりぃ・めりーや。
ウチは下僕の犬を連れて日本全国を旅しよる。
コイツはあほで、くだらんギャグかますが、不死身のカラダのおっとろしー生きモンや。
ナンでもあの世のエンマ様からの神通力があるんやと。
他にも、猿・雉がおるが登場未定や、そんなもんでえーやろ?
そんでウチの仕事は、
白羽の矢が刺さった家を見つけては、その家に忍び込んで命を狩るのが仕事や、
まー、一応、矢の形状や羽の数で誰をやるかは決まっとる。
最初の仕事はウチを育てた、じじぃ、ばばあやった。
今回、ある村で梅八とゆー名のガキに会うてな、
そん時、何でかわからんが、ケンダマもろおた。
たまにはそーゆーこともあるかもしれん。
ま、いつものとーり、この村での仕事は済んだ。
さぁーて、今日はどないしよ?
だいはちわ
「あ〜、よぉ寝たわぁ〜・・・、ええ天気やなぁ?」
朝になりました。犬は背伸びをした後、後ろ足で顔をこすります。フンフンフンフンフン!
「ふぁ〜あ、姐さん、おはようございます・・・。
今日はどうします? 仕事は済んだことですし、次の土地に行きますか?」
「う〜ん、どないしよかなぁ? 別に急ぐ事もないしなぁ?」
その言葉を聞いて犬は舌を出してニッコリ笑います。
「・・・ハッハ〜ン、そうですよねぇ? 気になる男の子もいますもんねぇ?」
ここでうりぃ恒例のネリチャギ!!「ぅおらぁ!!」
「ギャブッ!」
別名・脳天踵落とし。犬の耳と鼻から脳漿が飛び散りました。
「アホ言わんかい!? あんなガキをどーせぃゆーんや!?
・・・まったく、・・・ただな、こんなもん、もらいっぱなしちゅーうのも気が引けるやろ?」
うりぃはケンダマを操りi始めました。
でも目が結構、真剣です。少なくともケンダマはまんざらでもないようですね。
「す・・・す、素直じゃないなぁ・・・もぉぉ・・・。」
良く見たら、犬の目玉も飛び出てましたがすぐに治るでしょう。
とりあえず、二人はどこともなく村を歩き回る事にしました。
とは言っても小さな村です。
そのうち、彼らは昨日、仕事に入った家の前を通りかかりました。
「あ・・・?」
そこでうりぃ達は見覚えのある男の子を見ました。 梅八です。
彼もうりぃ達に気づきました。彼はしばらく黙ってましたが、
そのうち、肩を震わせて涙を流し始めたのです。
「・・・う おいらの、お、おっとーがぁ・・・!!」
「梅八・・・この家の子やったん・・・か?」
何ということでしょう、そういえば、この家のすぐ先に大きな一本杉があります。
「・・・うりぃちゃん、おいらのおっとー・・・死んじゃったんだ・・・。」
さしものうりぃも何も言えません、・・・犬もオロオロするばかり。
「・・・梅八・・・(すまん・・・)。」 ・・・そうなのです、時としてこういうことが起きるからこそ、
うりぃは他人と関わりたくはなかったのです・・・。 (つづく)
今は・・・まだ投下しない方が懸命ですかな?
(Train Yard!!!)
「ヨォー探偵さん!聞こえてるか探偵さんっ!!アンタが良ぉーーく見えるぜっ!!!」
”奴”の挑発する声が、このデカくてだだっ広い貨物列車の操車場に響き渡る。まさか・・・また”奴”に、
しかも最悪の状況下で再会する事になろうとは・・・世の中狭いもんだぜ・・・。
「ヨォー探偵さん!ようやく思い出したぜ探偵さん!!前は確か刑事さんじゃなかったっけぇ!?」
嘘付け・・・とっくに思い出してるクセしやがって。
しかも向こうは向こうで、しっかりと今のこの状況を楽しんでやがる・・・下衆野郎め・・・。
「そーとも!アンタの相棒は気の毒だったなぁ!!何せアンタのせいで犬死だったもんなぁ!!」
言ってくれたなぁオイ!殺ったのはテメェだろうが・・・しかも楽しみながら舐り殺しにしやがって・・・。
文句のひとつでも怒鳴り返してやりたいのを、何とか堪えていたが流石の俺も、そろそろ限界だ!
それで無くとも奴等のアジトで、嫌っというほど袋叩きにされ、お陰でこちとら頭の天辺までカッカしてるっ
て言うのに、もう・・・これ以上は無理だ!
気が付けば俺は停車したコンテナ車両の陰で一人、ほとんど”骨董品”同然の拳銃ベレッタM51を硬く
握り締めていた・・・それこそ指先が白くなるまで・・・。
最も”奴”が俺に対して挑発を始めるまでに、このオンボロ拳銃を何発ブッ放した事か・・・当然、発砲した
数だけ死人が出てる・・・っと思うんだが・・・。(汗)
周囲の様子を伺おうと物陰からそ〜っと顔を出してみる・・・っと俺のすぐ横でイキナリ!飛んで来た銃弾
がパチンッ!と弾け、俺の横っ面にパラパラと弾の破片と火花が降り掛かる。
”ヤバッ!”気がつけば奴等の一人が俺が隠れてる貨物車両の直ぐ近くまで迫っていた。
急いで、その場に伏せて向かいに停車してる車両を見ると車輪の隙間から、その身を潜めて攻撃の機会
を伺う相手の足元が見えた。
俺は少し上がり気味になっていた呼吸を整えると慌てる事無く落ち着いて、M51を両手でしっかりホール
ドしながら相手の足元に標準を合わせて素早く引鉄を絞る・・・っと放たれた銃弾は相手の右足に命中し、
続けて放った次の銃弾が倒れこんだ相手の眉間に命中し、辺りに血と脳漿を派手に散らした。
さて残りは・・・何人居ることやら。(汗)
周りを見廻した時、俺が隠れてる車両に、屋根まで上れる点検用のタラップが俺の目に留まった。
素面の時だったら多分”正気じゃねぇ〜なぁ”等と思って敬遠しただろうが今は、もっと他に良い方法が有
るか等と考えてる余裕なんて俺には無かった。
とにかく俺は辺りに注意を払いつつM51を一度、懐に仕舞い覚束無い調子でタラップを上り始めた。
クソッ!こんな時に奴らのアジトで袋叩きにされた時の傷がヒリヒリしやがる・・・。
何とか苦労して貨物車両の上に辿り着き、屋根の端に手を掛ける・・・っと、その手を誰かが踏みつける。
驚いて見上げた俺の目に映ったのは嫌味な笑いを浮かべながら、こっちに銃を向ける”先客”の姿。
”しまった!!”と思った次の瞬間!今居る操車場から、そう遠くない所・・・しかも空中で何かが凄っまじい
勢いで大爆発を起こし、その大音響と振動に腰を抜かした先客が一瞬、俺に向けていた銃口を反らす。
その時を見計らって俺は”ここぞ!”っとばかりに先客の足を掴んで手前に思いっきり引っ張る、っとバランス
を崩した”先客”は、そのまま車両の上から間ッ逆さまに転落し、地面に叩きつけられた瞬間”グギッ!”とい
う湿った嫌な音がしたかと思うと変な方向に首を曲げて動かなくなった・・・ありゃ首が折れたな。
それにしても今の爆発は一体・・・でも思い出してみれば、さっき確かタラップを上る前から何処かでヘリが
飛ぶ音がしてたっけ?そんな事を考えつつ俺は屋根に上るのを諦めてタラップを降りた後、懐から引っ張
り出したM51を構えながら、あたりに注意を払いつつ適当に隠れる場所を探そうと・・・っが、すぐ近くで銃声
が!?ッと思う間も無く右脚が”ガクンッ!”となり俺の身体は一面の砂利の上に勢い良く倒れ込んだ。
チッ!撃たれたか・・・倒れてから、そう間を置かず右脚からは焼け付くような痛みが伝わり、鼻を刺すような
肉の焦げる臭いが俺の周りに漂った。
「今アンタが車両の屋根から落としてクタばったのが最後の一人だった・・・この場に居た俺の部下のな。」
かなり・・・といっても幾分か距離はあるが近くで”奴”の声が聞こえた。
「やってくれるじゃないか探偵さん・・・いや元刑事さんの方が良いかな?」
”奴”が喋ってる間に俺は何とか落としたM51を拾おうと手を伸ばすが、後もう少しと言うところで”奴”の放っ
た銃弾に、それを阻まれてしまった。
「おっとっとぉ!妙な色気は御遠慮願うぜ・・・クックック。」
ここまでか・・・激しい苦痛を堪えながら身体を起こし、薄暗がりの中に立つ”奴”を見据えると、操車場全体を
照らす屋外照明が、ここからだと逆光になる場所に立ってるせいか”奴”の姿は薄ぼんやりとしたシルエットと
なって深く蒼い薄暗がりの中に浮かび上がっていた。
「ヨォ!どうしたっ!?もっと近くへ来いよっ!この暗さで今貴様が立ってる位置から上手く狙えるのか?」
苦痛を堪えながら俺は”奴”に発破をかけた・・・もっと近くへ引き付ける事が出来れば・・・なんとか隙を見て
”奴”に反撃できるかも・・・。
「いやっ・・・悪いが、そいつは御遠慮しとくぜ。何せ話に聞くところだと元刑事の探偵さんは・・・油断も隙も
あったもんじゃ無いって噂だからな・・・クックックッ。」
はっ、ナルホド・・・抜かりは無いって訳かよ。 もうこうなったら・・・誰かが気を利かせて騎兵隊でも呼んでく
れない限り反撃はおろか逃げることさえ無理だ。
いよいよ最期の瞬間(とき)を前に俺は、ゆっくりと目を閉じる・・・聞こえてくるのは操車場の、あっちこっちで
響く連結器の音・・・そして携帯の呼出音ぐらい・・・呼出音?こんな時に?俺が目を開けると”奴”が少し慌
てた様子で、こっちに銃を向けたまま上着の内ポケットから携帯を取り出す姿が見えた。
「何だ!?誰かは知らんが今は取込み・・・ナニっ!?」
電話の主が、よっぽど場違いな相手なのか”奴”の声と態度に戸惑いが見え始めた。
「悪フザけも程々にしなよ・・・お嬢ちゃん。 第一俺の後ろに居るからって・・・・・っ!?」
おや?どうやら気付いた様だな・・・今時分が誰と話しているのか・・・。
俺が今居る位置からは生憎、逆光になってるせいで顔色までは伺えないが、その肩が小刻みに揺れ銃を握
る手が震えているのを見れば自ずと察しが付く・・・”奴”は今本気でビビってやがる。
無理も無い、つい何時間か前に奴等の”スポンサー”の携帯にも同じようなメッセージが入り、その数分後には
奴等のアジトは、それこそ此の世の地獄になってたっけ・・・・。
そうこうする内に腹を括ったのか”奴”が自分の背後に向けて振り返り様に持っていた銃をブッ放そうとした。
そして・・・銃声・・・冷え切った夜の空気を震わせて響く短い連射音・・・そう甲高く短い連射音・・・モーゼルM
712ミリタリーの・・・連射音・・・。
気が付けば俺の数メートル先で地べたに尻餅を着いてガクガクと震え上がる”奴”の後姿と更に、その向こうか
ら無駄の無い動作で近付いて来る少女の影・・・その手には多分ショルダーストック付であろう、まだ硝煙が立ち
昇るモーゼルM712ミリタリーを構えて・・・電撃メリー・・・。
「ま、まっ、待て!待ってくれ!!まさか・・・君が居るだなんて・・・話し合おう!何なら君の依頼主の倍は払おう
!だから頼む!助けて・・・命は・・・め、めっ、めメメメっ、メリィィィィィィィィーーーー!!!!!」
死に物狂いで命乞いをする”奴”の言葉に耳を貸さずに彼女、メリーは無言のまま躊躇う事無く引絞る。
そして鋭く無情に響き渡る連射音・・・その銃声が、すぐ近くを通る貨物列車の通過音が掻き消して行く中で”奴”
の身体は、至近距離でモロ顔面に9mm弾の一連射を喰らい、辺りに血と砕けた骨片そして脳漿をブチ蒔けなが
ら崩れる様にして倒れていった。
終わった・・・俺にとって長かった夜が、ようやく終わりを告げた・・・”奴”の死に様を見届けた後、俺はそのままゴツ
ゴツとした砂利の上で大の字になって転がった。
目を閉じれば冷んやりした夜風が頬をかすめ気が付けば何時しか時折、耳にする歌を口ずさんでいた・・・。
”One more Kiss, dear〜♪ one more sigh〜♪ only this dear〜♪ is・・・”「・・・んむぐっ!?」
突然、歌を遮るかの様に何かが俺の口を塞いだ・・・そう強いて言えば暖かく柔らかい小さな花の蕾を思わせる
”何か”・・・それは目を開けると同時に俺の口から離れ、すぐ目の前には少し湿った唇で微笑むメリーの顔。
「オッチャン・・・何時までそうしてるつもりや?」
「ほっとけ。俺の勝手だろうが・・・」
少し、ぶっきらぼうな口調で俺が彼女に返事をすると、やや呆れた様な・・・いつもの彼女に戻った。
「あんなぁ〜オッチャン!こんなベッピンさんが心配してるって言うのに、何を一人で拗ねんねんなぁ〜!」
「自分で言うかよオイ!ベッピンさんなんて・・・ったくぅ〜〜」
人が折角、一息ついてたって云うのに全く・・・仕方なく俺は、さっさと帰ろう等と思いながら起き上がろう・・・っと
したのだが・・・撃たれた傷が・・・。「もう良い!とにかく今は家に帰って一杯・・・っ痛テテてててっ!!」
右足の傷が痛む・・・それも半端じゃない痛みだ。 起き上がろうとしていた俺は思わず歯を食いしばり、その歯
の間からは呻き声が漏れた・・・。
「だ、大丈夫か!?・・・もぉ〜オッチャン無理しないなやホンマにぃ〜・・・(汗)」
「大丈夫に見えるか全く!・・・痛っチチチ・・・クソ!俺もホント歳かなぁ〜こりゃ・・・。」
「自分の歳がどうのこうの言うてる間に・・・まず医者に行って怪我直して貰うのが先やって!」
お互い、そんな事をボヤき合いながら俺は、やけに重い身体をメリー支えて貰いながら何とか立ち上がると、さっ
き撃たれた時に落としたM51を拾って懐に仕舞う。
347 :
電撃メリー!地獄のターゲット(10):2006/04/02(日) 20:15:13 ID:49kNketZ0
「医者に行へだと!?まさか黒田のヤブ医者ん所じゃなかろうなぁ?」
「そぉ〜や!言っとくけど黒田のオッチャンはなぁ、ああ見えても腕の良ぇ名医やで。」
「でも一言多いんだよ・・・あのヤブ医者・・・。」
「一言多いんは、そんだけ患者さんの事を心配してくれてる証拠やって。」
そうして俺達は白み始めた空の下、風が遠くから運んで来るサイレンの音を背中で聞きながら・・・二人して操車
場を後にした・・・。
「んでさぁ〜・・・今の、その格好見て思った事が有るんだが・・・」
「なに?ウチの格好がどないしたん?」
「オマエさん・・・胸は、あんまり無いが・・・良ぃ〜い身体してんなぁ〜。(笑)」
「胸の事は大きなお世話や!もぉ〜オッチャンのスケベぇ〜♪」
There’s sombody I’m longing to see〜♪
I hope that she〜♪
turns out to be〜♪
some one to watch over me〜♪
(声の出演)
オッチャン = 堀内賢雄
電撃メリー = 松岡由貴
”奴” = 大塚芳忠
(挿入歌)
「One more Kiss dear」 by ヴァンゲリス
(エンディング曲)
「Some one to watch over me」 by スティング
うりぃ氏、電撃氏GJ!
>>337 前スレでも少しその話題出てたね。
俺も小学生のころその話聞かされてかなりガクブルだった・・・
ふりぃふりぃ、せっぜむふりー♪ いふゆーにーどさむばーでぃ こぉるまぁいねーむ♪
電撃氏GJ。
>>341 気ぃつかわしてしもたみたいやな、かんにんな?
飯、喰いにいっとったんや。
幕間に小ネタなどを一つ…。(
>>332の続き)
「もしもし、私メリーさん。あの住職、見かけによらず大した霊力でしたの。」
「まだ少し身体が透けてるのが気になるのだが。まあ、戻って来れて何よりだ。」
「川の向こうでお人形さんたちが手招きしてましたの。お花畑がとてもきれいでしたの。」
「向こうの世界もお花見シーズンだったんだな。春だねえ。」
寛永寺を後にした二人は大通り横の狭い坂道を下り、不忍池へ向かう。
「屋台がたくさん出てて、にぎやかですの。そしてここもまた人大杉ですの。」
「参道を抜ければ、大分楽になると思うのだが。りんご飴買ったから一本あげる。」
「(はむはむ)…うー、大きすぎですの。あんず飴の方がよかったですの。」
「つい買ってしまったのだが。屋台の食い物ってなぜか美味そうに見えるんだよな。」
弁天堂の前に到着。大きな香炉からは絶え間なく煙が立ち上っている。
「煙がもくもくしてますの。みんな頭とか身体とかこすっているのが不思議ですの。」
「病気のところに煙をあてると、治るという話だ。試してみたらどうだ。」
「やってみますの。(ごしごし)あっ、身体が透けてるのが治ったですの。」
「うむ。御利益だな。お参りも済んだし、池に行くこととしよう。」
青い空の下に視界が開けた。池の周りに咲き誇る桜の木々が水面に映えて美しい。
一層華やかなのは池の中道の桜並木であった。絶えず行き交う人々の声も弾んでいる。
所々に混ざる柳の緑も目に鮮やかであった。ぶらぶらと歩いているうち、対岸に到着。
池をどちら回りで巡るか考えていると、何者か突然目の前にカメラを差し出してきた。
「オニイサン、シャシントッテ。ダイジョブダイジョブ。オスダケネ。アンシンヨ。」
怪しげな外人、30才前後の男であった。先を急いでいる、と断ろうとしたその時。
「一人じゃ写真撮れなくて困っているみたいですの。撮ってあげればいいと思うですの。」
「しかし、メリーさん。前にニュースでこれに似たスリの手口を見た気がするのだが。」
カモがシャッターを切るのに集中している間に、仲間が財布を抜き取るというものだった。
「私が後ろで見張ってるから、大丈夫ですの。困った人には親切にするべきですの。」
「うーむ、メリーさんがそこまで言うのなら仕方がないが。ちゃんと見張っててくれよ。」
中道の桜並木を背景に1枚撮った。次は池をバックに、と頼まれ、もう1枚撮った。
結局、都合5枚の写真を撮らされた。カメラを返すとニコニコと礼を述べて去っていった。そっと荷物を探ったが、異状はなかった。途端に恥ずかしくなった。
「胡散臭いと思ったが、思い過ごしだったな。メリーさんの言うとおりだったよ。」
返事がない。振り返った。食べかけのりんご飴が地面に落ちていた。
「メリーさん…。うーむ奴ら、とんでもないものを盗んでいきおったわい。」
それがメリーさんとの別れとなった。…今日、二度目。
メリーさんの成分解析結果 :
メリーさんの44%は運で出来ています。
メリーさんの27%はかわいさで出来ています。
メリーさんの16%は睡眠薬で出来ています。
メリーさんの10%はカテキンで出来ています。
メリーさんの2%は厳しさで出来ています。
メリーさんの1%は不思議で出来ています。
・・・だって!
帰ってきたメリーさん>面白いから続けて〜
>>328 えっぐ・・・えっぐ・・・・調子がおかしいからマイリペア掛けたら
4-2不思議な本のメリーが消し飛んだよ〜(泣鬱
>>354 よ、よく文章がわからんけど、
パソに復元ツールかなんか起動させたら、データが消し飛んだ・・・てこと?
そんな恐ろしいことが・・・?
>>354 かわいそう・・・(つД`
でも、ほしい・誰かにうpってほしいってわけじゃないんだよね
そうは書いてないから
4-2不思議な本のメリーさん
が何なのかわからない…
358 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/04(火) 15:20:15 ID:FT35Ie6o0
にぎわっていてよかったです・・・。
あまりの過疎化に・・・早く書かねばとあせって。。。とんでもないものをUpするところでした・・・。
もう少し練らしてね!
忙しいのがまだ続いてるの・・・ごめんね!
>>358 がんばってね、126さんが戻ってくるまでに微力ながら保守させてもらうよ。
カボチャさんは・・・? もう一週間も・・・くすん。
セカンドストーリーその1
着信だ・・・、流行のアーティストの新曲が流れる。
「なんだ? この電話?」 ギャルっぽい格好したその少女は、不審な顔して携帯を開いた。
「もーしもーし?」
・・・雑音が多い・・・どっからかけてんだ?
「・・・もしもし、私メリーさん、私とお友達になって・・・?」 やや舌っ足らずの声がする。
「ハァ? なんだ、おまえ? 出会い系かなんかか? わりぃけどこっちも女だ、
他、あたれ、じゃぁな。」
少女は「ばっかじゃねーの」とでも言うような顔で携帯を閉じた。
「・・・なんだあ? 今日子? おまえ出会い系やってんの?」
「ふぅざけろ! あたしがやるか? 宣伝か勧誘だよ、女の声で
『私とお友達になって?』だと? きもいよ、マジで。」
二人は新宿を歩いていた・・・、別に二人は恋人同士というわけでも、デート中というわけでもない。
強いて言えば高校時代からの悪友。互いを異性として意識しているかどうかは・・・微妙。
男は今日子の買い物に付き合わされているだけである。
二人はただいま、東口前の広場で休憩中、アイスカフェラテを飲みながら、
くっだらない仲間同士の噂話をしていたところだった。
再び友人達の話題を始めて3分もしないうち、アルタの電光スクリーンから、
彼女の携帯の着メロと同じメロディが流れ始めた。
「おっ? アタシの曲じゃん?」 そう言って彼女は顔を上げたが、
モニターに映っているのは、その曲とは全く関係ないコスメの宣伝だ。
「えっ? なんで〜?」
ところが、今日子はさらに自分の耳を疑った。その曲はすぐに止まり、
先ほど自分の耳で聞いたばかりの、一人の女性の声がスクリーンから聞こえてきたから・・・。
「・・・クスクス、私メリーさん、ねぇ? お友達になりましょう?」
今日子は驚いて、自分の連れの男に振り返る。
「・・・お、おい! 聞いたかよ? さっきあたしに掛かってきた電話、今の声の女だよ!」
今日子は男に反応を求めた。・・・だがその反応は彼女の予想を裏切るものだった・・・。
「あぁ? 今日子なに言ってんだぁ? ただの化粧品のコマーシャルだろ?」
「・・・えっ? タケル、今の声、聞こえねーのかよ・・・?」
セカンドストーリーその2
「・・・んだよ? まぁだ怒ってんのか? 悪かったっつってるだろぉ?」
タケルは先ほどの件で今日子をからかい過ぎたらしい。電車の中でも謝ってばっかりだ。
「だってよぉ、普通のコマーシャルしか聞こえなかったぜぇ?」
今日子はそっぽを向いてふてくされたままだ。
「・・・もぉいいよ!」
タケルもそれ以上は口を開かなかった。いいかげん、彼もイラつきはじめていた。
ガタンゴトン、ガタンゴトン・・・二人は無言になり、電車内は走行音だけしか聞こえていない。
次の駅が近づいてきた。電車のアナウンスが鳴る・・・。
( 次はぁ西荻窪ぉ〜、西荻窪ぉ〜、お出口はぁ・・・クスクス・・・。)
今日子が突然、顔を上げた!
・・・今のは!?
彼女は目を見開いてタケルを見上げた。
「ん?」
「・・・タケル! アナウンス!」
そう言うと、彼女は車内のスピーカーをにらみつけた。
・・・放送はまだ続いてる・・・。
(・・・クスクスクス・・・私メリーさん、私が話しかけているのは、お友達だけよ?)
「・・・なぁんだよぉこいつ、マジで気持ちわりぃ・・・、なっ? 今のだよ!
今度は聞こえただろ!?」
今日子は怯えながらタケルに振り返った。
・・・だが、またしてもタケルはきょとんとしたままだ。
「・・・タケルやめろよ・・・、まさか今のも聞こえないって言うのかよ・・・!」
「おいおい・・・、またかよ。・・・おまえ本気でやばいんじゃねーか?
周り見ろよ? そんな変なのが聞こえたら、みんながこんな無反応なはずないだろ?」
タケルは真剣に彼女の心配をした。
こいつクスリでもやってんじゃねーか?
今日子も慌てて辺りを見回す・・・、降りる仕度をする乗客はいるが、不自然な反応をする者はいない。
「・・・うそ・・・。」
彼女の心臓が早くなった・・・、耳もなんか変だ・・・耳鳴りがする。
あたし・・・おかしくなっちゃったの・・・?
セカンドストーリーその3
「・・・おい・・・おい! 今日子! 大丈夫か!?」
タケルの声でふっと我に返った。・・・一体自分の身に何が・・・?
「・・・あぁ、タケル・・・あたし、今、意識無くしてた・・・?」
「何、言ってんだよ? ほんの一瞬、ぼーっとしてただけだろ?
・・・それよりこれからカラオケのバイトだろ? 大丈夫なのか?」
タケルも外見はチャラチャラしているが根は真面目だ、
例えケンカしたって彼女の様子が変なら放っておけはしない。
「・・・あ・ああ、カラダは大丈夫だと思う、だけど、何であんなモンが聞こえるんだ・・・?」
「おまえ、クスリとかやってないだろうな?」
「やってねーよ!」
「・・・ならいーけどよ、帰り迎えに行ってやろうか?」
「さんきゅ・・・! でも大丈夫だよ、ヤバかったらメール送るよ・・・。」
「そーか、ムリすんなよ・・・。」
・・・電車は吉祥寺に着いた。今日子のバイト先はここで降りる。プーのタケルは次の三鷹までだ。
扉が開き、今日子が出て行く。振り返ってにっこり笑ったが、その表情は不安そうにも見える。
タケルは最後まで彼女の姿を追っていたが、彼の乗っている電車は次の駅へと動き出してしまった。
バイトの時間までまだ間がある・・・。
今日子は駅のホームで自分の携帯を取り出した。
今日、何度も聞いたあの女の声は何だったんだろう?
しばらくして、今日子は恐ろしい考えが頭に浮かんだ。
・・・ここにかけ直したらどうなるのだろう?
今更、ワン切りでもないだろうし、相手は肉声だ。
反対側のホームを電車が通る・・・大勢の乗客のざわめきもうるさい・・・。
だが、彼女はその騒音より自分の心臓の音の方が大きな音に感じられた。
先ほどの着信の番号を指定し、ダイヤルボタンを押す。
ルルルルルルル・・・、ルルルルルルルル・・・ガチャ、
・・・声は聞こえない・・・雑音のようなものが聞こえる・・・。
だがすぐに・・・周りの騒音にも関わらず、今日子の耳にはあの女性の声が聞こえてきた。
「・・・もしもし、私メリーさん、・・・ありがとう、お友達になってくれるのね!?」
・・・その日、バイト先のカラオケ店に彼女が出勤する事はなかった・・・。 (つづく・・・?)
>>359 ァィャー、今週中には投下できるよう頑張るヨ。
マジレスすると、先週は午前六時起床→午前一時帰宅が続いたんで、ちょっと書く暇が無かったんですよ…
セカンドストーリーその4
「たっだいまー・・・。」
「おかえり、タケル。デート早かったわね?」
「・・・やーめーてよー、美香姉ぇ? そんなんじゃないってばよぉ。」
タケルは武蔵野市の自分の家に帰っていた。この家には姉と二人だけで住んでいる。
両親は今から10年以上前に事故で亡くなっており、祖父も二年前に他界した。
姉は、短大卒業間近で就職は決まっている。
彼らは現在、残された多額の遺産で生計をたてている。
「ふーん、仲は進展してないみたいね? ま、いいわ、ちょーどご飯の支度するから、
お米といでちょーだい?」
「はいはいっと・・・。 でもよー、アイツ変なんだよぉ?
なんか・・・幻聴みたいなのが聞こえるらしくてさぁ。」
「ええ? 大丈夫なの? 病気? アンタ今日子ちゃんそのままにして帰ってきたの?」
美香は野菜を切りながらタケルに問いかける。
歳は一つしか離れてないが、彼女は姉であり母親役もこなしてきた。しつけや礼儀にはうるさい。
「だって、あいつバイトだし・・・とりあえず大丈夫だって・・・、
それに何かあったら連絡するように言っといたよ。」
「・・・そう。でも心配ね、タケル、バイトの終わる時間は知ってるんでしょ?
あなたから電話かけなさい。」
「だーかーらーおーれーは、かーれーしーじゃーなーいー・・・って、あーもぅわかったよぉ・・・。」
「よろしい。」
タケルは美香に頭が上がらない。美香は子供の頃からしっかり者の超優等生だ。
タケルは今では立派な体格に恵まれてはいるが、かつては泣き虫小僧として有名だった。
勉強も得意なタイプではない。今日子には「シスコン」とからかわれている。
いつもと同じように、テレビを見ながら二人で夕食を終え、
ちょうど今日子の仕事が終わる時間になろうとしていた。
「そろそろ・・・かな?」
携帯から電話をかけてみる。・・・でない。まだ働いてんのか?
タケルは少し不安になった、・・・まさか・・・だよな?
余計な心配かとは思ったが、彼は職場にかけてみる事にした。
「あ・・・すいません、従業員で・・・橋本今日子さんは・・・ええっ!? 無断欠勤!?」
セカンドストーリーその5
「美香姉ぇ、やべー・・・アイツ職場に行ってねぇ・・・!」
タケルはオロオロと姉に訴えた・・・、でかい図体して情けない。
「何ですって? だって吉祥寺の駅で見送ったんでしょう!?」
「それは間違いねぇよぉ、最後はホームに立ってた・・・。」
「階段は降りてないの?」
「ああ、そこまでは・・・! お互い見送ってたし。 ・・・アイツ倒れたのかなぁ・・・?」
「落ち着いて、アンタは家に電話してみなさい。家の人が心配するといけないから・・・、
そうね? 自分の携帯落としちゃったけど何か心当たりないか、教えて欲しいとかなんとか、
適当に口実つけて。」
タケルは高校の名簿を引っ張り出して恐る恐る自宅に電話してみる。
・・・だがやはり答えは恐れていたとおりだ、彼女は帰ってもいないし連絡もない・・・。
それを聞いた後の美香の行動は素早い。
すぐさま消防庁に電話し、吉祥寺周辺で救急車の出動があったかどうか問い合わせた。
・・・「橋本今日子」でも18〜9の女性でも該当者はいない。
吉祥寺駅でもそんな事件はないとの事だ。
「ダメね・・・。あの子の職場って確かサンロードよね? 駅からそんな離れてないし、
何か事件に巻き込まれるにしては目立ちすぎる道だと思うんだけど・・・。」
美香の行動力・判断力は二十歳そこらの学生の域を遥かに超えている。
そこらもタケルが頭の上がらない理由の一つだ。
「け・・・警察には?」
「うん・・・ご家族でもないのに警察に問い合わせると大ごとになりそうだけど・・・、
知り合いの刑事さんのツテで聞いてみるわ。」
美香は中学まで地元警察の剣道場に通っていた。そこならば知り合いは多い。
さっそく警察署に電話をかけ、事情を話し、吉祥寺周辺で事件が起きていないか聞いてみた。
「・・・はい、そうなんです・・・、すいません・・・え? ええっ!?」
タケルは落ち着かずに姉の電話の様子を窺うしか出来ない。
しかも常に冷静沈着な姉ですら何か動揺しているように見える・・・。
「美香姉ぇ・・・? ・・・どうなんだ?」
電話を切った美香は厳しい目つきをしてタケルに振り返る。
「・・・今夜、三鷹署・武蔵野署管内で、7件もの行方不明事件が発生しているんだって・・・!」
セカンドストーリーその6
その少女は六本木周辺を歩いていた・・・。
あれはテレビ朝日だったかな・・・?
今、放映している番組がウィンドウの奥に見える。
少女はぼーっと歩きながら、吸い込まれるようにその画面を見つめていた。
一人の女の子が映っているようだ。
何でかわからないが、その声がここまで聞こえてきた・・・。
「クスクス、そう、そのまま真っ直ぐ歩いて右に曲がってね? もうすぐ私に会えるわよ。」
声は聞こえるが、その女の子の顔は遠くて判別できない。
だが、この声は間違いなく、今日、何度も耳にした声だ。
場所が場所だけに、この時間でも人通りはある。
この少女と同じ方向に歩く者もいれば、すれ違う者もいる。
誰もがお互いを注意深く観察する事などない。
せいぜい、可愛い女の子に色目を送るオヤジが時々いる程度だ。
だがもし仮に・・・、通行人を注意深く観察する人間がここにいたならば、
異様な表情で一つの場所へ集まりつつある者達に、気づく事が出来たかもしれない・・・。
どちらかと言うと、その少女・・・今日子は普段、目は細い方だが、
今は大きく見開いている・・・、黒い部分より白目の方が大きい。
まばたきする事すら今はない。
メイクの関係で、瞳の周りの白い部分がやけに気味悪く浮かんで見える・・・。
歩き方も変だ・・・。
まるで機械のように、規則正しく一定の動作を繰り返して歩いている。
そして奇妙な事に、まさしく同じ歩行パターンを有する者達が、
六本木のとあるビルに集まり始めだしていた。
ザッザッザッザッザッザッ・・・
ライトアップされたビルの入り口に・・・まるで操り人形の行進のように、
同じ間隔、同じ動作、同じ歩調で、
何人もの若者たちが、次々とそのビルの中に吸い込まれていった・・・。
(つづく?)
セカンドストーリーさん>続きwktkです〜
>>126パパ>ゆっくりと練って下さい
た、楽しみにしてるわけじゃないんだからね!
368 :
本当にあった怖い名無し:2006/04/06(木) 02:26:27 ID:ojqr75uCO
ほえほえ
みなたまがんばってね
どもです。
セカンドストーリーは、126さんやカボチャさんが続きを書くまでの「つなぎ」だと思ってて下さい。
あと、たぶん、大丈夫だと思いますが。「美香姉ぇ」は「みかねぇ」とお読み下さいませ。
セカンドストーリーその7
深夜だと言うのに大変な騒ぎになっていた・・・。
普通なら最後に会ったということで、タケルも長時間、警察に事情を説明するハメになるのだろうが、
事件が多発しているために、係の者が追いつかない。
今では都内だけで、40件もの行方不明が報告されていた。
警察に未だ届けが出ていないものも含めれば、三桁に数字が届くかもしれない。
もちろん、被害者達の家族も届出の順番を黙って待ってるわけでもない。
互いの事件の共通の接点を見つけて、不安を募らせていたのだ。
・・・そう、行方不明の家族の何組かが、子もたちに掛かってきた奇妙な電話や、
彼らの奇妙な振る舞いを目撃しているのだ。
中にはテレビに向かって話し出した者もいたという。
彼らの間では、その電話の相手に呼び出されたのではないか?という意見が強くなっていた。
ある中年夫婦の息子は、「・・・ちょっと出かけてくる・・・」と言ったまま、連絡が取れなくなったそうだ。
近所の者に聞いたと言う母親は、その隣人が道端で挨拶したにも関わらずも、
自分の娘はまるで夢遊病者の如く、それを無視して通り過ぎ去ったと言う・・・。
今日子の両親は、不安な表情を顔にありありと浮かべていたが、タケルや美香に丁寧な挨拶をした。
高校時代から娘に聞かされている男友達とは言え、男のタケルだけだったら、
ややこしい事になっていたかもしれない。
礼儀正しい美香がついていたからこそ、辛うじて今日子の両親も取り乱さずにいられたのだろう。
手を打つべき事を全て行った彼らは、自宅で待機するしか、もはやすることは残されていなかった。
帰る道々、タケルは姉に尋ねる。
「美香姉ぇ、電話で催眠術ってできるのかなぁ?」
美香はしばらく考え込んでから答えた。
「・・・私にも分らないけど、不可能じゃないとは思う、
でも、アナタの聞いた感じじゃ、あっという間に電話は切っちゃったんでしょう?
なら、催眠術の類じゃないんじゃないかしら?
幻聴のほうがやばくない? 他の人が沢山いる場所で、
今日子ちゃんにしか聞こえない声なんて・・・。」
「・・・そうだよなぁ・・・。」
セカンドストーリーその8
・・・翌朝、事件は急展開を起こす。
行方不明の少年少女たちが、無事に家に帰宅したのだ。
タケルは朝起きた後、念のために今日子の携帯に電話してみた所、
ぶっきらぼうな、彼女の声が返ってきた。
「・・・ああ? タケルルル・・・おはよ。 ・・・ふぁぁああ・・・なに?・・・ねむ・・・。」
間違いなく本人だ。今日子はタケルをからかうときはそういう呼び方をする。
当然、驚いたのはタケルだ。
「お・・・おまえ、どこにいたんだよ!? 親父さんたち心配したんだぞ!?
いま、どこだよ!?」
「えぇぇ? 家だよ、こんな朝早く・・・。まぁだ眠いんだけど・・・。」
「おまえ、昨日バイト休んでどこ行ってたんだよ!?」
「バイト? あたし休んだ? えぇ? 覚えてない・・・。そうなんだ? 店長カンカン?」
「知らねーよ! ・・・それより覚えてない、って駅でオレと別れてから全然覚えてないのか・・・!?」
「・・・あぁ、そう言えばアンタと会ってたっけ? ごめん・・・眠いの、寝かせて・・・。」
「おまえ、あんなにみんなに迷惑かけて・・・! わかったよ、とりあえず無事なんだな?」
「無事じゃな〜い。アタシのカラダは睡眠を欲してま〜す・・・。じゃね〜おやすみぃぃ・・・。」
切れてしまった。
「・・・あんのヤロー、切りやがったよ! 信じらんねぇ!!」
とはいっても、無事ならそれに越した事はない。
学校へ行く仕度してる姉にも報告する。
「・・・あら! 良かったわねぇ! 昨日の事、覚えてないって言うの?」
美香はそれを聞いて黙り込んでしまった。タケルもそこから先は口を開けない。
誰がどう考えても怪しさ満点なのだが、そのからくりがいかなるものか全く読めない。
「・・・とりあえず、タケル、あなたはまたお昼過ぎにでも電話してあげたら?
私は学校に行くから。」
「ああ、美香姉ぇもありがとな、夜中まで手間かけさせて・・・。」
「どういたしまして。」ふざけ半分でバカ丁寧に頭を下げる。
「・・・貸しにしとくわ、また買い物手伝ってね? 肉体労働者さん?」
「まぁた荷物持ちかよ? 美香姉ぇ、買い物しすぎ! 彼氏の車あるだろ? あの人に頼めよ!」
「彼氏ぃ? 誰の事かしらぁ?」
セカンドストーリーその9
美香もそれなりのお年頃なので、当然、男友達はいる。
だが、あまりの成熟度に、そんじょそこらの男ではまともに付き合えない。
タケルが言っているのは、比較的その中でも美香と親しい男性で、向こうもその気なのだが、
どうも美香の中では「いい人」止まりのようだ。
「男ってほんとに悲しいなぁ・・・。」
タケルはボソッとつぶやいた。
美香は、家を出た後、自分の携帯を開いた。
電話帳・・・ア・・・カ・・・サ・・・、タケルの言ってた人物はこの欄にいるが、
美香はちょっと名前を見た後、すっとばす。
かわいそす。
タ・・・ナ・・・ハ・・・、ここで美香は動きを止めた。
珍しく彼女が悩んでいる。
しばらくして美香は意を決したようだ。
その欄の一人の名前にカーソルを合わし電話をかけた。
二、三回コールした後、相手の男性が出る。
「・・・あ、もしもし、あの・・・お久しぶりです、緒沢美香です・・・。
・・・はい、お元気でしたか? お変わりなさそうですね?
実は今日、お電話したのは、少し調べていただきたい事が・・・。
ええ、私たちやあなた方には関係ないんです。
できればあなた達の情報システムを利用したいんですけど・・・、
あはは、有料ですかぁ?
デート一回分じゃダメです? ウフフ、
ええ、ちょっと真面目な話、昨日都内で数十件の行方不明者が出たんですけど、
不思議な電話や幻聴が共通して関わっているみたいなんです、無事に戻ってきたようなんですが。
はい、まだ確認してませんけど、少なくともその内一件は、昨晩の記憶を失っているみたいで・・・。
何もなければいいんですけど、今後何らかの事件になる前に手が打てたらと・・・。
はい、良ければ今日の午後にでも・・・。
ええ、確かコーヒーはお薦めがあるんでしたよね? マンデリンでしたっけ?
愉しみにさせていただきますね、・・・ハイ、ではその時に・・・。」 (つづく?)
美香姉ぇ・・・
(*´Д`*)ポ
涎。
セカンドストーリーその10
正午になった・・・。
駅前の雑踏は、昼休みのサラリーマンやOLでごったがえしている。
たくさんの車が交差点を行き交い、駅前の商店は、
呼び込みの声やパチンコの音楽で賑やかだ・・・。
歩いている途中で、携帯に耳をあてる会社員も少なくはない。
だが、同じ職場の仲間の中で、ただ一人歩行すらストップさせる行動はやはり奇妙だろう。
同僚がそれに気づき、後ろを振り返っても、当の本人は同僚の事を気にも留めない。
完全に意識を他のものに向けている。
中には横断歩道の真ん中で足を止めてしまったものもいる。
同僚が声をかけても彼らは無反応だ。
瞼を大きく見開き、まばたきすらしなくなる・・・。
そして、その場所にある、全ての音響機器から、
少し舌足らずに聞こえる若い女性の声が聞こえていた・・・彼らの耳だけに届く声で・・・。
「 もしもし? 私メリーさん、クスクス・・・お友達がこんなに増えたわ・・・。」
セカンドストーリーその11
「あんの野郎、またつながらねぇ・・・! まだ寝てんのか?」
タケルはのん気にテレビを見てた。そのついでに電話をかけていたのだが、
まだ事の重大さに気づいていなかった。
彼は機嫌悪そうに、だらしのない格好でニュースを見ていたが、
時々、画面が乱れたり、雑音が多く入る事に注意をそがれていた。
「なんだぁ?」
その現象自体は、すぐになくなったが、しばらくして昼飯を作ろうかとしている時に、
都内各地で交通事故のニュースが多発しているとの速報が流れだした。
運転中の携帯電話が原因と判明しているケースもある。
その時点から、タケルにも何かおかしくねーか?という直感が生まれた。
彼はニュースを注視しながら、もう一度電話をかけてみることにした・・・。
今度は今日子の自宅の電話に・・・。
・・・何度コールしても誰もでない・・・。
タケルは異様な胸騒ぎを覚えた。
すぐさま家を出て、原チャで今日子の家に向かう。
嫌な予感が当たらなきゃいいが・・・。
不安な気分になると、全てが悪い方に考えられてしまう。
やけにパトカーや救急車が多い。
自分の向かう先に走ってないのがせめてもの救いだ。
今日子の家はマンションだが、その玄関の前では近所の主婦らしき人が何人か集まってた。
タケルの背中に冷たいものが走る・・・。
おいおい・・・!
「あ・・・あのすいません、何かあったんですか・・・!?」
主婦達は驚いたようだが、動揺しながらそのうちの一人が答えた。
「さ、さっき大きな叫び声が聞こえたのよ、呼び鈴鳴らしてるんだけど、誰も出てこなくて・・・。
それより、あ・・・あなたどちら様・・・?」
「ここの今日子さんの高校の時の友人です、電話しても誰も出ないから・・・!」
タケルは体格もでかく、このマンションの下までは、よく今日子と歩いているのを、
一人の主婦が思い出した。変な疑いは避けられたが、問題はここからだ。
タケルはない頭で必死に考えた。
セカンドストーリーその12
玄関の鍵は掛かってる・・・、どうすればいい?
「あ・・・あの、お隣の方、すいません! ベランダに入れてもらえませんか!?」
誰が、隣の住人か分らなかったが、主婦達の視線は、少々の混乱の後、
一人の中年女性に注がれた。
「お願いします! 何かヤバイかもしれないんです!」
その女性はしぶしぶタケルを家にあげることにした。万一の為にご近所の人にもついてもらう。
「ありがとうございます!」
奥まで案内されると、タケルはベランダに出て、あっという間に避難用通路のしきりを蹴り壊した。
・・・あっけにとられる主婦達・・・。
タケルはそのまま部屋のガラス戸をチェック・・・、鍵はかかってない。
心臓の動悸を早めながら、部屋のガラス戸を開ける・・・うっ!?
なんだ、この匂い!?
「すいません! 窓からごめんなさい! 誰かいませんか!? 今日子!? いねーのか!?」
後ろから主婦達もついてくる・・・「橋本さ〜ん、ごめんなさ〜い・・・。」
部屋は2LDK・・・隣の部屋が今日子の部屋っぽいが、彼女はいない・・・。
ダイニングは・・・ 「!!」
床に一面の赤い血が広がっていた・・・。
さっきまで勇ましかったタケルもショックで動けない・・・口も開けない・・・!
「キャーアアアッ!!」
後ろの主婦達が叫び声を上げた。
タケルは震えながら後ろの主婦達を振り返り・・・
ビクビクしながらその首をテーブルの奥へと覗こうと決心した。
血の海の床に誰か寝そべっている・・・嘘だろ・・・やめてくれよぉ・・・
「お・・・おばさぁ〜ん・・・あ、あぁ・・・」
今日子の母親が目を見開いて天井を見つめていた・・・、瞳孔が開ききっている・・・。
カラダ中に切り刻まれた跡がある・・・テーブルには同じく血まみれの包丁がおいてあった。
今日子はどこにもいなかった・・・。
「・・・いったい、誰が・・・なんでこんなことに・・・? 」
タケルは泣きそうな声をあげながら、ダイニングに一歩も入れずに、
その場に力無くしゃがみこんでしまった・・・。 (つづく?)
おお〜にぎわってますねぇー
(゚Д゚)オバサン・・・
380 :
本当にあった怖い名無し:2006/04/07(金) 21:27:12 ID:2rbB9O26O
(; ・`д・´) オバチャン・・・
>>378 おや、誰いなさん、お久しぶり。
新しい絵はできますた?
最近これなくてスマソorz
できたら今日の夜か明日に投下したいです
383 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/08(土) 17:49:24 ID:zXNTd89Q0
おお!ワクテカ!
・・・ごめん、実は今入院中。
がんばるわよ!
384 :
あ:2006/04/08(土) 18:00:20 ID:ekXhcEvI0
>>383 にゅーいん!? 無事なの!? 早くよくなってくださいね。
こっちはとりあえず、適当に始めたものがよーやく勢いがでてきたような・・・。
まだ、今後のストーリー確定してないけど・・・。
それにしても相変わらずメリー、出番少ないな・・・。
セカンドストーリー13
「・・・アンタねぇ? 後先、考えて行動できないの?」
タケルは警察にこっぴどく搾られた後、予想通り美香にも電話で責められた。
「ふぅ、・・・今はそんなこと言ってる場合じゃないわね、で、今日子ちゃんは見つからないの?」
「ああ、知り合い総動員で探してもらってっけど、まだ見つからねーんだよ・・・。」
「そう・・・、せめて、昨日彼女がどこにいたのか分れば、まだ調べようがあるんだけど・・・。」
美香の言葉が止んだあと・・・タケルは消え入りそうな声で姉に訴えた。
「なぁぁ、美香姉ぇ? 昨日の事件と、今日のっ・・・て関係あんのかなぁ・・・?」
「・・・・・・」 美香はしばらく黙っていた・・・。
「なぁ? 美香姉ぇ・・・!?」
「タケル・・・! 今日子ちゃんを心配するのは当然だけど、そんな情けない声出さないで・・・!
また泣き虫小僧の時代に戻るつもり!?」
「だぁってよぉ!!」
「やめなさい! ・・・それに今回はあなたが考えてるより、もっと恐ろしい事になるかもしれないのよ?
そうなった時の覚悟はできてる?」
「な・・・なんだよ、もっと恐ろしい事って・・・?」
「もしものことよ・・・、今日子ちゃんのお母さんは誰に殺されたの?」
今度はタケルが答えに詰まった・・・。 誰って・・・。
「そ、そんなんわかんねーよ! 昨日の誘拐犯か暴漢か・・・!」
「家の鍵は掛かってたんでしょ? で、近所の人は叫び声を聞いた後、
犯人らしき人を誰も見てないんでしょ? ・・・つまり、あっという間にお母さんは殺され、
あっという間に犯人は鍵を閉めて出て行った、鍵の場所も把握している・・・。」
タケルは頭は賢くないが、姉の言いたい事は直感で感じ取っていた・・・。
「・・・何が言いたいんだよ、美香姉ぇ・・・?」
「私は最悪のことを覚悟しなさい、と言ってるのよ・・・、どんな残酷な事も・・・。」
「やめてくれよ! 人を不安がらせるような事、言うなよ!」
「タケル、違うわ、・・・そうじゃないのよ、どんなことが起きても、それにちゃんと向き合わないと、
困難を解決する事はできないわ・・・。そうでしょう!?」
タケルは拳を握り締めた・・・。
セカンドストーリー14
「・・・いつも美香姉ぇはそうだよな? 父さんや母さんの時だって・・・。
オレがわんわん泣いてる時も、美香姉ぇはみんなの前じゃ涙一つ流さねーで・・・!」
美香が怒鳴りつける。
「何、言い出すの!?」
「分ってるよ・・・、オレがガキ過ぎたんだ。いつもそーだよな!
オレがガキ過ぎるから、美香姉ぇは余計、しっかりしなくちゃって自分に言い聞かせてきたんだろ?
・・・でも、その為に・・・、いつの間にか・・・どっかに心を無くしちまったんじゃ・・・ 」
「タケル!!」
その瞬間、タケルも気づいた。姉の自分を呼ぶ潤んだ声に、
普段冷静な姉にない、悲痛な感情が込められていた事を・・・。
「あ・・・姉ちゃん、ごめん・・・。」
その呼び方は子供の頃までの呼び方だった。いつの頃からか、タケルは何とか姉に追いつこうとして、
少しでも大人びた言い方にしようと、「美香姉ぇ」と呼び出したのだ。
「タケル・・・、今は・・・今日子ちゃんの事よね、そうよね?」
美香の声も上ずっていた。それが余計にタケルの罪悪感を責め立てる。
「そ、そーだよ、ごめん、悪かったよ、オレはどうすればいい?」
「実はね・・・、昼間、知り合いの探偵さんに会って、興味深い話を聞いてきたんだけど、
確証がないの・・・。 あと、30分ぐらいで家に帰るけど、その間に試して欲しい事があるの。」
「なに・・・?」
「まずね、テレビを録画して欲しいの、30分で撮れるかどうかわかんないけど、
そうね? なるべくバラエティやタレント・アイドル物がいいかも?」
「ええ? なんでそんなモン・・・?」
「後で説明するわ、それと、出来る限り友達に電話を回して欲しいんだけど、
ここ何日かで、無言かイタズラ電話のようなものを受け取った人がいないか聞いてみて?
もし、着信履歴にその番号が残っていたら、それを聞き出して欲しいの。
ただし、そこに掛け直しては絶対にダメ! いい?」
「ああ・・・わかった! やってみる!」
訳が分らなかったが、昨日の今日子の行動や、行方不明になった家族の証言が、
タケルの記憶に蘇った・・・。
確かに何かありそうだ、今は姉の言葉に従おう・・・。
セカンドストーリーその15
タケルはとりあえず音楽番組をビデオで撮り始めた。
昨日の話では、テレビに話しかけた人間がいたそうだが・・・ドラマのほうがいいんかな?
それより次の行動は・・・と、友人達に電話をかける。
まだ、今日子の行方の手がかりは全くつかめていない。
何人かの友人の中に、イタ電や出会い系と思われる所からの電話番号を教えてもらった。
拡げたノートにその番号を並べていくうち、
・・・三つほど全く同じ番号が存在している事にタケルは気づいた。
タケルの動きが止まる・・・。
いったん、テレビの方を向きながら、
その番号を教えてもらった遊び仲間の一人に、もう一度電話をかけてみる。
「あ、オレ、何度もワリぃ・・・、さっき教えてもらった番号ってさ、イタ電のヤツだったっけ?
・・・無言電話? 奇妙な雑音だけ・・・? そーか、掛け直しちゃいねーんだよな?
ああ、もちろんそれでいいんだ・・・オーケー、ありがとよ!」
(奇妙な雑音か・・・、そーいや、このテレビも最近、時々雑音入るな・・・言ってるそばから・・・、
まただよ・・・!)
それにしても・・・無言電話?
今日子のはちゃんと「友達になって?」って女の声がするっつってたから・・・関係ねーよなぁ・・・。
それとも、話しかけるのは女性だけとか?
いやいや、昨日の行方不明に関係あるんなら男もいたようだし・・・うーん・・・。
そんなことを考えていた時・・・、不意にタケルの携帯が鳴った。
発信者は知ってる人間では・・・イヤ、待て!
この番号は!?
先ほど友人達から聞いたまさにその電話番号であった。
・・・どうすりゃいい?
でていいのか?
美香には、さんざん「後先考えろ」と言われたばかりだ、
万が一、例の電話だとしても、今日子は電話に出ただけではおかしな反応を起こさなかったはず、
しかもこの電話は、複数の友人が無言電話だと言っている。
タケルはゆっくりと腕をのばし、震える手で通話ボタンを押してしまった・・・。 (つづきどうしよう?)
続きぃー!!!
ていうか
>>126さん、大丈夫!?
>>126パパ!
書き込めるって事は元気なんですよね?
でも無理したらいかんです
本当に元気になったらまたメリーたん宜しくです
セカンドさん、面白くなってきましたねー
つづきかなりwktkして待ってます
すいませんねぇ、大してストーリー、練らないで始めちゃって。
てゆーか、次の日分までしか考えてない。
今までも3話投下しては、次の日の分を夜、作る・・・そんな繰り返し。
マジでこの先どうするか、わからない。
きゃー!
セカンドストーリーその16
・・・タケルは無言で携帯を耳に当てる。
相手も何も喋らない・・・。
電話口からは、何か・・・キュィーンと言うような、小さな音が聞こえる。
チューニングの外れたラジオのようだ。
意を決してタケルは口を開く・・・。
「もしもし・・・?」
だが、電話は無言のままだ。
「おい? 聞ーてんのか? おまえ、オレのダチんとこに掛けまくってんな?
何とか言えよ!?」
相変わらず電波のような音しか聞こえない。
「今日子に電話したのもおまえか? 『お友達になって』って・・・? 違うのか!?」
プツッ・・・ツー・・・ツーッツーッ・・・
・・・電話はすぐに切れてしまった。この電話が例の事件に関係あるのだろうか?
タケルの脳裏には、「この電話に掛け直す」行動が思い浮かんだが、
すぐに頭を振ってその愚かな誘惑を否定する。
その出来事から数分とかからずに姉の美香が帰ってきた。
「お帰り、美香姉ぇ! 頼まれた事はやってあるよ! 怪しい電話番号も見つかった。」
美香は上着を脱いでタケルの元へ駆け寄る。
「ホント!? どれ? ・・・相手は固定電話?」
タケルはその時、美香の香水がいつもと違うのに気づいた。
そういや、化粧もいつもより女っぽい・・・、探偵と会ってたって言ってたな・・・。
いや、今はそんなこと、どうでもいい。
「それで驚く事があるんだ! この電話、さっき偶然オレんところに掛かってきたんだ。」
「ええ!? 出たの!? ・・・それで何か喋った?」
「いや、相手は無言・・・、こっちが何、聞いても壊れたラジオみてぇな雑音だけ。
なぁ? 教えてくれよ、何がわかったんだ?」
「う・・・ん、分ったといっても、推測の域を出ないの、試してみないと・・・。」
その言葉にタケルの全身の毛は逆立った。
「な・・・試すって何を・・・?」
セカンドストーリーその17
タケルの怯えた表情に美香は弟を安心させる。
「大丈夫、今の段階では危険はないはずよ、ビデオは撮れてるみたいね?
・・・ねぇ、気づいてたかどうか知らないけど、時々、テレビ・・・雑音入ったりしない?」
「え・・・? そういやぁ・・・時々。」
「録画している間は?」
「どうだろ? 電話してた時は気づかないけど、・・・一、二回じゃないかな?
確か最初は、アユの歌の辺りだったと思ったけど・・・。」
美香はそれを聞いてビデオを止め、巻き戻ししてその歌の始まる所で再生し始めた。
画面がアユのアップに切り替わった時、画面がやや歪み、ジ・・・ジジという雑音が聞こえた。
「・・・ここね?」
美香はそのシーンを止め、何度か再生をしなおす。
タケルも注視するが、何かこの部分に問題があるのだろうか?
そのうち美香は再生から、その部分の早送り・コマ送りを試し始めた。
その時、タケルの目に、画面の異常が飛び込んできた!
コマ送りにした瞬間、画面の歪みの中に、ほんの一瞬、気味の悪い映像が見えたのである。
映像そのものが波打っているため、正確な姿は判別できないが、
アユの顔が映っているべきはずなのに、何か女性の・・・全身像のような・・・、
何か長い金属のようなものを携える・・・髪の長い女性の姿がそこにあったのだ。
顔は判別できない・・・目や口もどうなっているかわからない・・・。
「・・・美香姉ぇ・・・今の・・・。」
タケルの全身の毛が逆立っていく・・・。
美香もカラダに緊張を走らす。
「音声は・・・わからないわね・・・、ディスクに焼いてみましょうか?」
美香はパソコンを起動させ、ビデオの一部分をDVDに移し始めた。
タケルは冷や汗を流しながら聞いてみる。
「・・・今の・・・映像、今日、会ったって言う探偵に教えてもらったっての・・・?」
美香は指先を滑らかに動かしならタケルの問いに答える。
「う・・・ん、このこと自体を教えてもらったわけじゃないのよ、
その人、すごい情報網を持っててね、電話や通信媒体を使った洗脳、
またはそれに類する事例が過去にあったか、聞きに行っただけなの・・・。」
セカンドストーリーその18
「そうなんだ・・・オレはてっきり・・・。」
美香はきょとんとして振り返って答える。
「てっきり・・・何?」
「いや、なんでもない、・・・ああ、この事件の謎がもう判明したのかなって考えすぎただけ・・・!」
「・・・そんな簡単な事件ならいいけどね・・・。」
美香はコピーを終えたようだ。
また、それと同時に動画をそのままスロー再生できるソフトもぬかりなく落としている。
いつもながら仕事が速い。
下準備を全て終え、美香はディスクをスローにして再生してみる。
アユの歌が滑稽に思えてくる、それは仕方ない。
だが、先ほど映像の歪みのあった歌詞の部分になると、タケルも美香もその神経を集中させた・・・。
雑音が聞こえ始めた・・・、
そしてその雑音の間に・・・聞こえる・・・他の音は音程が下がっているにもかかわらず、
やや、高めの・・・舌っ足らずにも聞こえる女性の声が・・・!
「・・・クスクス・・・私メリーさん、お友達のみんな、私のところへ集まって・・・?
私はいま、六本木の××にいるわ・・・!
邪魔する悪い人たちは・・・殺しちゃいましょう・・・?」
タケルも美香も微動だにできなかった・・・。
映像は元に戻り、アユの新曲をスローで流し続けている。
「タケル・・・。」
「美香姉ぇ・・・、たぶん間違いねぇ・・・! こいつが今日子を呼んだ声だ!!」
美香は何度も先ほどの部分をリピートする・・・。
スピード調節も試している。ある一定のスピード以上だと聞こえなくなるようだ。
気味の悪い女性の姿は、何度見ても生理的嫌悪をもよおすほど異様な姿をしている。
確かに映像そのものは、ぼんやりとピントがぼけているが、
顔そのものの判別が出来ないほどずれてはいないはずだ。
にもかかわらず、その顔は絵の具で上から塗りたくったように目鼻立ちの区別もできない。
まるで顔がないみたいだ・・・。 (つづけられる?)
続けて続けて!
396 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/10(月) 08:32:46 ID:hMgpXyVx0
さて・・・入院中で点滴ざんまいなボクがきましたよ。
というわけで。3つUpしますね!
ちょっと新展開ですwwwニヤリ
397 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/10(月) 08:33:39 ID:hMgpXyVx0
【あらすじ1から4>199-202】
【あらすじ5から7>241-243】
【74番目>250 75番目>251 76番目>252】
398 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/10(月) 08:34:17 ID:hMgpXyVx0
77番目←いまここ
なにか、久しぶりに一人になった気がする。メリーの召喚に成功したのが昨日の夜中・・・。
ちょうど24時間前ぐらいか・・・。
俺は、ゆっくりとクローゼットの前に向かった。そこにはメリーの脱ぎ散らかした服が散乱している。
ひとつ、ひとつ床から拾い上げて、クローゼットに直していく。
こんな事が一つ一つうれしかった。明日の朝になったら、また、メリーに会える。
明日も仕事だが、まあ休んでしまって、メリーと一日ゆっくりと過ごそう。
どこかに連れて行ってあげてもいいな。
何か欲しいものがあるかもしれない。
そんなコトを考えニヤニヤしながら、ベッドに倒れこむ。
なんにせよ、疲れた・・・。
ゆっくりと目を閉じる。
疲れがどっと表に出てくるような感覚。
ああ、このまま眠りの世界に沈み込んで行きたい・・・。
RRRRRRRR
携帯がけたたましくなっていた。
このまま眠らせてくれ・・・。と携帯を無視しようと思いながらも、
まて・・・。メリーからかも知れないじゃないか・・・。と飛び起きた。
そうだ、きっと麻子の家に連れ去られたものの、さびしくて、俺のもとに帰ってこようとして電話をかけてきているんだ。
俺は急いで携帯を手にした。画面は非通知。メリーだ!
なんだかんだ言ってもさびしかったんだろう、うんうん。
俺は、通話ボタンを押す。
「もしもし、私、メリー・・・今あなたの家の外にいるの・・・」
やっぱりメリーか!そうか、玄関口か!と玄関に向かいながら・・・。
俺は立ち止まった。
そして、まだ切れていない電話に向かって言った。
「お前・・・誰だ・・・?」
399 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/10(月) 08:35:00 ID:hMgpXyVx0
78番目
「・・・・・」
電話は何も言わずに切れた。
俺は電話を手に持ったまま、身体に緊張感が走っているのを感じていた。
メリー・・・。今の電話はメリーだけど、俺のメリーじゃない。
それはほんのわずかな声の調子・・・麻子に連れて行かれたときのメリーには、
氷のような冷たさはなかった。小悪魔のようないたづらっぽさはあったが、
最初に出会ったときのような、高貴で冷め切った冷たい声の持ち主ではなくなっていた。
それは、俺を信頼して、俺を信じてくれたからだと、俺は確信している。
それを確信できるだけ、あの黒いものの誘惑はすさまじいものだったからだ。
・・・ではアレは一体・・・
RRRRRRRRRRRRRRRRRRR
俺が身を硬くしている間に再び携帯電話が俺の手の中でなり始めた。
またしても、非通知だ。
・・・・誰だ・・・一体・・・・
俺はゆっくりと通話ボタンを押した。
「・・・・・・」
そっと耳に携帯を当てる。
電話の向こうはこちらの様子を伺うように静かなままだった。
「・・・お前、だれだ?」
俺がゆっくりと口を開き、何とか言葉を搾り出す。背筋をいやな汗が伝っている。
「・・・私、メリー・・・」
電話の向こう側の高貴で冷たい声がそう告げる。
俺は大きく息を吸い込んだ。
当然くるだろう次の台詞を受け止めるために。
「・・・今あなたの後ろに・・・いるの」
400 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/10(月) 08:35:34 ID:hMgpXyVx0
79番目
俺の身体は、その台詞を待たずして動いた。振り返ると同時に振り下ろされるで
あろう大鎌の軌道を予測し、すぐ背後にいる何者かとの間合いを取るために。
俺は、目の前の玄関のほうに飛び込んでから振り返った。
そこには、俺のメリーとは違った何者かが立っていた。
黒いロングストレート。俺のメリーよりも身長が高い感じがする。全体的に薄い紫と濃い紫で構成されたメイド服。
白いレースはふんだんに使っている。非常に上品な感じのするロングスカート。
目は青い。青い目がその表情をよりいっそう冷たいものにしていた。氷の瞳だ。
目の前のメリーと名乗る少女は、振り下ろした大鎌をゆっくりと戻し、再び攻撃に向けて、構えようとしていた。
「お前、だれだ?」
俺は何とか言葉をひねり出した。
実際は、極度の緊張に息も上がっている状況だ。なにせ、昨日の夜は、何度もシュミレーションをして、
もし失敗してもかまわないという気合を持ってメリーを自分の手で召喚した。
今は違う。この紫色のメリーは、呼びもしていないのに現れたのだ。しかも、メリーが明日の朝にまたやってきて
くれるという俺にとっては幸せな状況で死ぬわけには行かない。いや、俺の幸せのためではない。
俺はメリーを裏切らないためにもこんなところで殺されるわけには行かないのだ。俺のメリーに二度と鎌を持た
せないためにも。
「あたしも、メリー。黒のメリーを解放させてもらうわ」
黒のメリー?
「黒のメリーって・・・」
俺のメリーの事か?どういうことだ?メリーはひとりではないのか?
俺をさげすむような視線を浴びせながら
「あたしは、紫のメリー。あなたが死ねば、黒のメリーは開放されるの」
紫のメリー・・・。薄い笑いを顔の表面に貼り付けたまま、俺の事を虫けらのように思っている。
そんな表情で俺に言い放った。
「あなた・・・死んでくださる?」
一旦ここまでです!!
皆さんすごいですね!
がんばりましょう!
おおおおおお! GJGJGJ!!!!
カラーバージョン、先にやられたかー!!
いや、さすがだ!
セカンドストーリーその19
「美香姉ぇ・・・早く警察に!」
美香はキーボードを打ちながら静かに答える。
「そう、善良な一民間人としてはそれが正しい行動よね・・・?
でも、これじゃすぐに警察は動かないわ、
行方不明や殺人は・・・このテレビの映像と電話とは何の関連性も挙げられないもの・・・。」
「ええ? だってこんなはっきり・・・!」
「出来るのは電波法違反とか・・・そのぐらいよ、
普通に考えて電話やテレビで呼びかけたぐらいで、他人の行動を操れるわけがない、
少なくとも、これらのものに、強い催眠効果や洗脳的なものがあることを立証しないと・・・。」
「じゃぁ、どうすればいいんだよ!」
美香は振り返りタケルに真剣なまなざしを向ける。
「タケル・・・ごめんなさい、もう一度聞くわ。 これから何が起きるかわからないけど・・・、
今日子ちゃんの為に、最悪の危険を覚悟できる?」
タケルは先程の電話の口論を思い出す・・・だが美香の言いたいことは、今度はちゃんと理解できる。
「美香姉ぇ! あいつとは腐れ縁だ、何でもやってやるぜ・・・!」
「ヤクザの事務所に乗り込むより危険かもよ?」
さすがにその言葉にはタケルも一瞬、退いた。
だが、ひるんではいられない。
「やる・・・! それしかないんだろ!?」
その言葉に美香も覚悟決めたようだ・・・、立ち上がり、奥の部屋から木刀を持ってくる。
「タケル、使う?」
「美香姉ぇ、おれの腕は知ってるだろ? 素手で十分だよ!」
美香はクスッと笑った。
代々、緒沢家は古流剣術の流れを汲む家柄でもある。
当然、美香もタケルもその訓練をさせられた。
そして美香は、幼い頃からその才覚をめきめきと伸ばし、神童とさえ呼ばれるようになっていた。
・・・ところが泣き虫小僧のタケルにはその才覚は微塵も現われなかった。
いや、同世代の男子に比べればそれなりの運動能力はあったのだろうが、
あまりにも美香の才覚が突出し過ぎていたため、家督の継承は美香に委ねられたのである。
タケルのコンプレックスの元の一つでもある。
セカンドストーリーその20
しかし、男女の成長パターンとしては当然なのだが、
タケルの能力が伸び始めたのは、その身長と共に中学の半ばごろからだったのだ。
高校でもタケルの運動能力についていけた者などいない。
それでもタケルの深層心理には「美香姉ぇには敵わない」というすり込みが為されてしまっているので、
家督が美香に継がれることが決まったあとでは、
もはやタケルは竹刀や木刀を握ろうとはしなかったのである。
もちろんその後の美香の成長とて、他人の追随を許すものではない。
実際、男子大学生の実力者でも、美香には一本も入れられないのだ。
タケルひとりでも、そこらのチンピラ一人二人では余裕だが、美香と行動を共にすれば、
誰かに後れを取ることなどありうるはずがなかった。
「行くわよ! でもあくまでもコレ(木刀)は護身用よ、殴りこみに行くわけじゃないからね、
今日子ちゃんを助けるのと・・・向こうのシステムを抑えるか・・・それを解明する。
そしたら後は警察に任せればいいんだからね。」
「オッケー! さっきの変な女が言ってた六本木に行くんだな!?」
タケルはすぐに仕度を始めた。美香も大人っぽいタイトスカートから、
動きやすいワークパンツに履き替える。その後彼女は、思い出したかのように携帯を開いた。
「もしもし、先程はどうも・・・。ありがとうございます。
ええ、やはり予想通りでした・・・、それで・・・。」
タケルの用意が完了する頃には、美香も電話を終えていた。
「今の電話って、昼間会ってたっていう、探偵屋さん?」
「ええ、そうよ、私たちだけで動いても危険が大きいから、 保険の意味でも・・・ね。」
「相変わらず手回しいいなぁ・・・。」
既に時刻は夜になっていた・・・、まだ人通りは多い。
二人並んで歩くと、遠目からはカップルのようにも見える。
美香の身長は170弱、女性にしては結構高い。
一方、タケルはさらに美香より頭一つ分、背が高い。
美香の美貌も中々のモノなので、街中でも彼らの姿は十分、目立つ。
よぉく見れば、二人の顔には特徴があるので、姉弟であることは判別つきやすいかもしれないが・・・。
セカンドストーリーその21
「なぁ? 美香姉ぇ?」 途中、タケルは美香に話しかける。
「なぁに?」
「美香姉ぇって・・・何でここまでのめりこむんだ?
イヤ、オレとしては全面的にありがたいし、美香姉ぇの行動は正しいと思うけど・・・、
その、・・・普通の女性だったら・・・さぁ。」
美香は黙って歩き続ける・・・。
「何でだろうね? タケル、あなた私をガッチガチの完璧主義者だと思ってる?」
「い、いや、そんな事ねーよ、ただそのー、オレだって男だぜ、
そおりゃ家を継ぐのは美香姉ぇって事になってるけど、
オレだってその大変さは分るよ、オレがまだだらしないのもあるからしょーがないんだろーけどさぁ、
こぉ弟としても美香姉ぇには楽させてやりたいっていうか、青春を楽しませてあげたいっていうか・・・。」
美香は弟の意外な発言に目をパチクリした。
「オレはさぁ、美香姉ぇに楽になって欲しいんだよ・・・。」
それを聞いて美香は視線を下げた後、しばらくしてタケルの腕に手を回した。
「な・・・なんだよ、気持ち悪りぃ・・・!」
「タケルがそんなこと言ってくれるなんてね? ちょっと嬉しいわ・・・。」
「やめろよ、近所の人に見られたら恥ずかしーだろ!?」
とは言ってもタケルは自分から腕を離せない、やっぱりシスコンだ。
「美香姉ぇ、オレ、いつもの車の人が彼氏候補かと思ってたけど・・・
さっきの探偵さんが実はそうなの?」
驚く美香の顔は、鳩が豆鉄砲食らったかのようだ。 「はぁ!? 何でそう思うのぉ?」
「いや、だっていつもと違ってたじゃん、香水も今日はグッと来るような奴だし、
さっきも電話、なんかノリが違ってたぜ?」
「・・・(コイツ鋭くなってきたなぁ) イヤね、緒沢家を継ぐといろんな付き合いが必要なの!
相手によっては学生のノリじゃ済まないのよ、 ・・・それより!
私を楽させようと思ったら早く就職しなさい。」
「・・・へい、頑張ります・・・。
あ、あとさ・・・、さっき電話、ごめん、美香姉ぇが冷たい人間だなんて全然思ってないからさ・・・。」
美香は弟の腕を掴んだ指に力を込める。
「わかってるわよ・・・、二人っきりの姉弟(きょうだい)だもの・・・。」 (そろそろヤバい?)
自分で書いといて何だが・・・お前ら今日子ちゃんを心配してやれよと・・・。
次回から六本木のどっかのビル攻略・・・
どんなメリーを出せばいいやら・・・。
>>126パパ
すげー!!
超GJ!!
紫のメリーって誰なんだ!!
次回超楽しみ・・・でも無理はいかんですよ!
セカンドさん>今日子ちゃんの身には何がおきているのでしょうか・・・
続いて続いて!
>>402 ladyさん?
>>402はIDからしてセカンドストーリーさんじゃない?
Ladyさん=セカンドさん
私の推理はどうかね?ワトスン君。
え? ・・・いや・・・その・・・どうでもいいや。
それより誰いなさん、うpはまだぁ?
気にするこたないですよ
俺はLadyさんならすぐ分かるwww
おっと少し遅くなったが126さんもLadyさんもGJ!
やっぱオカ板メリースレはこうでなくちゃね。
>>412 ありがとう!!
特に文体も変えてないし、バレバレだとは思ってましたが。
前作ほど魂、込めてないんで敢えて名乗りませんでした。
でも、それなりに真面目に書き上げますのでご容赦を。
はぁ、やっと22話できた・・・。明日の分、あと、二話・・・。
遅れてスマソスorz
http://p.pita.st/?q4xhrm1p 126さん、新展開ktkr!
ワクテカしてくれてありがとう!
体にはくれぐれも気をつけてくださいね。。。
しかしうpしといてあれだけれども、
今回のはひどい出来だ…orz
2枚目のは昨日うpしようとして一旦ボツにしたのだしorz
セカンドさん…まさかLadyさんだったとは…w
>>414 おお! なんか新しいぞ!
右は梅図かずおバージョンかぁ!?
たまには画風を変えてみるのもいいですね?
>>412は、な○○さん?
くっそー!!
IDだけじゃなくladyさんに気づかないなんて!!
ヽ(`Д´;)/
半年ロムるよ・・・
誰いなさん右側最恐ww
GJですよGJ。
・・・んで、まぁ当たりですよLadyさん。
そうです〇なしです。お久しぶり。
四日くらい前には復活してたんですが、あえて書き込んでませんでした。
今、新しいメリーさん執筆中です。…つっても外伝的なもんですが。来月〜再来月にはうp出来るかな。
絵なんかはちょこちょこ書いていくんで。まぁ、楽しんでいただければ。
完全な間合いの外から、手長のナイフが襲い掛かる。
刀で捌き、反撃をするも、切先が触れることが叶わない。
しかも、相手はただ手が長いだけではない。
その手は自在に伸縮し、遠距離でも確実に攻撃を届かせてくる。
「案外、手間取りそうだなっ!」
「全くなの」
しなりながら全方向から襲い掛かる刃を受け止め受け流しながら呟いた山神の独白に、メリーは返事をした。
胸ポケットから聞こえるその声は、多少疲れを感じさせる。
メリーの相手の蛇人間は、その長い身体と尾を駆使して攻撃してきていた。
姿を消しても何故か、蛇人間の攻撃は正確にメリーを狙うために姿を消せない上、
背後にも気を使いながらの戦闘は、明らかにメリーを疲弊させている。
「一気に…畳み掛けられないか?」
出来るだけ体力を消耗せず倒すはずが、倒せない上に防御だけでじわじわと力を削られる。
それなら、いっその事一瞬だけでも力を使い、倒すほうが効率的である…山神はそう判断した。
「ちょっとやってみるの」
「頼むぞ」
山神の脚が膨れ上がる。
脚力を一時的ながら爆発的に飛躍させ、一気に間合いを潰す気である。
相手の腕が伸び、風を切りながら山神に接近する。
その腕を、羽根が弾いた。
「しゃっ!!!」
裂帛の気合を含んだ声を上げ、振りかぶった刀を袈裟懸けに一気に振り下ろす。
それと同時に、背後からナイフが迫り、山神の背に四本全てを突き立てた。
勝利を確信したのか、手長は口元をにやりと歪めた。
その表情のまま、左肩から右腰にかけて分断され、地面に落ちた。
「ぐ…うっ…」
大きく身体が傾き、立っていられず刀を杖にして膝を付く。
背に手を回し、ナイフを四本すべて掴むと、一気に抜き放った。
血が傷口から噴き出すが、それも一瞬、すぐに血は止まった。
「みっともない…雑魚相手に…」
筋肉を緊張させることで血管を圧迫し、傷を閉じる。
ナイフが内蔵に届くだけの長さが無かったことが、山神にとっての救いである。
だが、おそらくこの先幾度も戦闘があるだろう事が容易に予想できるのに、既に体力の半分近くを使っていた。
「そうだ、メリー…」
山神は、呼吸を整えるとゆっくりと立ち上がり、メリーの方を向いた。
ひゅん、ひゅん、とメリーの鎌が空を切る。
蛇人間は、身を捩らせながら攻撃を躱しつつ、薙刀でメリーに向かって突きを放つ。
ただの薙刀ではない。霊体化したメリーにも傷を付けることが出来る、何らかの儀式を通した特殊な刃。
予測も出来なかった角度からの、その刃の攻撃を辛うじて躱すが、スカートの裾が裂け、白い腿が露わになった。
ほんの僅か皮膚に切れ目が入り、メリーの肉体から血液が溢れた。
(れでぃにみっともない格好させるなんて…良い度胸してるの)
出来ることなら、山神の言うとおり一気に決着を付けたい。
だが、相手はメリーが姿を消しても、なぜかその居場所を正確に判断し、攻撃を仕掛けてきていた。
メリーは知らなかったが、この蛇人間には、マムシ等に備え付けられた熱感知器官…「ピット器官」が備わっている。
霊であろうと、体温が存在する…それならば、幾ら姿が見えなくなったところで、相手には無駄だった。
(それなら…集中力がいるから疲れるけど、いくしか、無いの)
蛇人間の、薙刀の一撃がメリーに襲い掛かる。
だが、その攻撃をよけようともせず、メリーはその場に立ち尽くしていた。
薙刀は腹に突き刺さり、メリーの身体を貫通し、背から刃が突き出た。
だが、その身体からは、一滴の血も流れなかった。
メリーの能力「透明化」と共に、主となっているもう一つの能力「物質の透過」。
ドアなんかをすり抜ける為のその能力を、今戦闘の場で使用していた。
確かにこの能力なら、霊体を切れようと、「完全にすり抜けてしまう」のだから意味が無い。
「勝ったの」
ぼそりと呟き、背から薙刀を生やしたまま一気に蛇人間に近寄る。
蛇人間が状況を理解し、薙刀を払うより早く、メリーの鎌が顎を貫き脳を破壊していた。
薙刀から離れ、ふらつきながらも山神の方に顔を向ける。
丁度戦闘を終えたらしき山神と目が合った。
「勝った、か?」
「もちろんなの」
「ま、負けてたら生きてないか…カボチャは…寝てる、のか?」
「カボタンは疲れてるだけなの。あの『闇』を使ったから当然なの」
「一応、全員無事か…。体力は消耗したが、死んでないだけマシ…」
ぬいぐるみ化したカボタンに近寄り、その腕を掴むと、メリーに投げて寄越した。
胸元でキャッチすると、メリーはカボタンのその身体をぎゅっと抱きしめた。
「この学校に潜む怪異は、相当の物だな…。こいつらが自然に生まれたのか、何者かが作ったのかは知らないが…何にせよ、地上の連中が危ないな」
「急いで戻るの」
「ああ…地下の調査は、それからでも可能だ」
満身創痍ながら、二人は駆け出した。
地上に居る、鷹司達「一般人」を護る為に。
「そうそう、皆さんは、赤青白だとどの色が好きですか?」
時間は少し遡り、山神とメリーの背中が長い長い階段の闇の中に溶けるのを見届けた後の頃。
四人は暗い地下から電灯で明るい地上に戻った。
無言の時間が続いたが、その静寂を破るかのように鷹司が部員たちに向かって訊いたのだ。
「え…?色ですか?」
「そうですわ。この三色の中で一色選ぶとしたらどれかしら…?」
「うーん…私は
てなわけで、鷹司が謎の行動?に出て続きます。
次は正直いつになるか分からないんで、気長に待って貰えたら幸いです…
きゃー! 鷹司タンこわーい!!
「そうそう、皆さんは、赤青白だとどの色が好きですか?」
時間は少し遡り、山神とメリーの背中が長い長い階段の闇の中に溶けるのを見届けた後の頃。
四人は暗い地下から電灯で明るい地上に戻った。
僅かな無言の時間が続いたが、その静寂を破るかのように鷹司が部員たちに向かって訊いたのだ。
「え…?色ですか?」
「そうですわ。この三色の中で一色選ぶとしたらどれかしら…?」
「うーん…私は、青かな」
「私は赤…」
「敢えてその中から選ぶなら、白ですかね…」
最初に小林、次いで山根、最後に橋本が質問に答える。
「あらあら、見事に分かれましたわね…この質問者が私だったからよかったようなものの、怪人赤マントには答えてはいけませんわよ。」
「え…どうしてですか?」
「あら、仮にもオカルト研だから知っているものと思ってましたわ…怪人赤マントは有名な怪談ですわよ。
赤と答えれば血まみれで殺され、青と答えれば溺死させられ、白と答えれば血を抜き殺される…まぁ、今忠告したところで無駄ですけどね」
「え?」
小林が疑問の声を上げると同時に、鷹司の影が揺らいだ。
そして、ずるり、と真紅に染まった腕が、影から這い出してきた。
「ひ……」
それを見た部員たちの顔が、恐怖に引き攣る。
鷹司は、笑顔を崩さず、その表情を眺めていた。
果てしなく恥ずかしい事に切れてましたorz
426 :
本当にあった怖い名無し:2006/04/11(火) 07:34:14 ID:VYAKQtHeO
セカンドストーリーその22
あの映像の女性が告げていたビルは、六本木界隈の有名なビルだ。
地下から二階までは商業テナントが入っており、その上はほぼフロア毎に、
それぞれ別々の企業が入っている。
「・・・まさか、居酒屋やレストランは関係ねーよなぁ? 上のオフィスのどれかかなぁ?」
タケルと美香は目的のビルの真ん前にたどり着いていた。
美香はビルのエントランスを見つめながらタケルにつぶやく。
「タケル、気づいてる? あ、まわりをキョロキョロしちゃダメよ。」
「え? な、なに?」
「さっきからこのビルに出入りしている人たち・・・、やけに一人で入る人たちが多くない?
しかも動きが不自然なほど単調だわ・・・。」
言われてタケルは視線を左右に散らす・・・。
そう言えば、どうみてもこのビルの従業員に見えないし、飲食に来てるようにも見えない。
コンビニ袋をぶら下げるものもいるが、男も女もほとんど単独で行動している。
複数で行動しているものは、入り口のすぐ中に見えるエスカレーターで二階か地下に向かうが、
単独行動組はほとんど脇のエレベーターを使用している。
それにしても・・・言われて見ると確かに歩調のリズムが全員一緒だ。
「・・・あれ・・・なのか・・・?」
「中に行きましょう・・・。」
「一緒にエレベーターに・・・乗るの?」
「まずは、観察。」
二人はエレベーターの近くにゴテっと飾られているオブジェの下まで移動した。
「ちょっとカップルの真似しましょうか?」
「・・・えぇっ!?」
「その方が怪しまれないわよ?」
場所的にもそれはその通りだ、しかし先程、腕に抱きつかれたばかりなので、
タケルは恥ずかしそうに反応する。
「・・・あのね、今日子ちゃんを助けるんでしょ? 変な事考えてる場合じゃないでしょ?」
「か、考えてねーよ! ただ、フリって言ってもどこまでやるか・・・、」
「適当でいいわよ、ばか、・・・こりゃ今日子ちゃんとは確かに進展してないわね・・・。」
美香はため息をついた。
セカストその23
美香は何気なくタケルの腕を引っ張って、カラダの位置を調節する。
なるほど、恋人同士がいちゃつきあってるように見えるだろう。
タケルはその動きに、姉の目的を知ろうとした。
美香はタケルの体躯の影でエレベーターに乗り込む者たちの動きを観察する。
止むを得ず、タケルは美香の肩口を見ながら、チラチラと入り口に目をやるので精一杯だ。
だが、タケルにも彼らの異様さを目の当たりにして背筋が寒くなっていた・・・。
彼らは瞬きをしていないのだ・・・。痛みを感じないのだろうか?
いや・・・よおく見ると瞬きをしている・・・。
だが、それは全員計ったかのように同じタイミングだ。
普通の人間なら、視線を動かしたり微妙に首を動かしたり・・・そういった細かい動作が何もない・・・。
ロボットか操り人形のようだ・・・。
操り人形・・・、今日子も操られているのだろうか・・・、だとしたらやはり彼女の母親を殺害したのは・・・。
タケルがその忌まわしい考えに思考を支配され始めた時、不意に美香が口を開いた。
「わかったわ!」
「え・・・え、何!?」
「彼らの行き先・・・、エレベーターには一般の人も乗ってたから、しばらく判断に時間かかったけど、
あの、気味の悪い奴らが乗る時、必ずエレベーターは特定の階に止まる・・・!」
「じゃぁ、そこが・・・!」
「ちょっとこっちに・・・。」
そう言って美香は場所を変える。
エレベーター脇のビルの入居掲示板だ。
「13階・・・わざとなのかしらね・・・? 悪趣味としか思えない・・・。」
「13階? ・・・じゃあこの、”ノース・フィールド・カンパニー”てのが・・・。」
美香はそれには答えず携帯のメールを打つ・・・、例の探偵に情報を送っているようだ。
「タケル・・・こっから先は言動に注意してね? 携帯もマナーモードに・・・。」
二人の後ろを異様に目を見開いた者達がやってくる、次のエレベーターを待っているのだろう。
美香はタケルの服を引き、エレベーターの正面へと誘った・・・。
タケルの心臓が早鐘を打つ・・・。
ポォンという音と共に、エレベーターの入り口が開く、・・・異世界への入り口のようだ。
この先にはどんな異様な世界が彼らを待っているのだろうか?
セカストその24
エレベーターは定員12名、扉が閉まるまでに10名ほどが乗り込んだ。
もちろん、タケル・美香込みで。
美香はごく自然な動作で14Fを押す。
一瞬、タケルは驚いたが、すぐに美香の目的を理解した。
エレベーターの中には一般の会社員もいるらしく、5F、7Fが押されていた。
ただ、彼らもこの数日の異常を気づき始めているのだろう、
狭いエレベーターの中で、同じ表情、同じ動作で同じ階に無言で降りる気味の悪い集団に、
あからさまな怯えの色をその顔ににじませていた。
もはやその空気に違和感を感じない者の方がかえって不自然だ。
タケルと美香は黙って顔を見合す。
その場の会社員もタケルたちに何かを訴えるような視線を送るが、一言も発する事が出来ない。
もっともこの集団も、周りの人間が何をしようが、気にも留めない風な雰囲気ではある・・・。
7Fを過ぎ、一般人はもはやこのエレベーターにはいない。
そこにいるのは、奇妙な集団と、タケル・美香だけである。
彼らは全員、エレベーターの表示階数の動きを黙って見続けている。
美香の腹積もりは、一度、当の13階の様子を入り口から覗こうとしていたのだが、
彼女の予想を裏切るハプニングがここで生じた。
美香の携帯が振動し始めた・・・着信。
美香はその番号を確かめる為に、視線をカバンに下げた瞬間、突然の恐怖に襲われた。
エレベーターに乗っていた全ての人間が、大きく見開いた白い目で美香を凝視していたのだ。
タケルのアドレナリンが噴出する・・・。いつでも攻撃に転じられるように・・・。
だが、この狭いエレベーターでうまく戦えるだろうか?
彼らは何をするでもなく、美香が電話に出るのをじぃーっと待っているようだ。
それこそ電話を無視するとか、電源を切ったりしたら何をされるか分ったもんじゃない、
・・・この番号は、やはり・・・。
美香は、自宅でタケルに掛かってきたのと同じ電話番号であるのを確かめると、
覚悟を決めたように通話ボタンを押す・・・。
・・・雑音が多い・・・「もしもし・・・?」・・・タケルの時と同じだ、美香には何も聞こえない。
エレベーターがちょうど13階に着いた時、電話は勝手に切れた。
そしてそれと同時に、一斉に例の集団は顔を出口に向けてしまったのである・・・。 (また明日)
「また明日」と書きましたが、いつ書けなくなってもおかしくない状況です。
続きを書けない日は、ここに報告しますので、その時はご容赦下さいませ。
結構、ばれないもんなんだなぁ・・・。
てことは「あたしあたし詐欺メリー」もおいらだとバレてなかったのかぴら?
わかんねーよ^^
わからなかった…
>>426 えぐっえぐっ・・・慰めてくれてありがと・・・でも『詐欺メリー』もladyさんとは気づかなかったの・・・うっえぐっ
ねんがんのアイスソー・・・いや、
ねんがんの「メリー」トリップを手に入れたぞ!
これでメリーにさらなる奉仕が出来る。
セカストその25
エレベーターの扉が開くと、まるで何事もなかったのように、
その一団は規則正しくオフィスの廊下に出て行った・・・。
静かな音と共に扉が閉まる。
「びびったぁ〜・・・!」
「心臓、止まるかと思ったわ・・・あぁ〜・・・。」
美香は天井を見上げて壁にもたれる。さすがに外を観察できる余裕はなかったようだ・・・。
「でも美香姉ぇ、今の電話、偶然・・・?」
タケルの言葉に、美香は壁にもたれたまま首を傾けた。
「あなたも怖いこと言うようになったわね・・・? その可能性も考えなきゃね?」
エレベーターはすぐに上のフロアに着いた。
幸いな事に、そのフロアに入っている会社は、各部屋ごとに鍵のかかっている会社であり、
廊下は自由に歩けそうだ。
電気が着いている部屋もあるようだが、気をつければここの社員に見つかる事はないだろう。
「・・・たぶんだけど、あの電話はランダムじゃないかしらね?
あなたの友達やあなたにも掛かっている。タイミングはバラバラだし・・・。
一定の時間ごとに何百人単位とかで携帯に掛けているんじゃないしら?」
「そうかぁ、・・・でもそしたらなんで無言なんだ?」
「無言じゃないわ、・・・きっと。」
二人は非常階段を探しながら会話を進めていた、・・・同時に美香はフロアーの間取りを記憶する。
もちろんタケルはそこまで気が回らない。階段を探すのと、美香との会話でいっぱいいっぱいだ。
「ええ? どーゆーこと!?」
「テレビの映像や音声を聞いたでしょ? 無言じゃないのよ、
ある一定の波長でしか聞こえない音声を使っているんだわ。
むしろ何故、一部の人間に聞こえるのか? そっちが不思議よ。
映像にしても私たちが意識できないだけで、脳にはしっかり届いているわ。
そして、それらに反応した人間だけが、異常な行動パターンをとっているのよ・・・。」
タケルはしばらく考えて身の毛のよだつような考えが頭に浮かんだ。
「・・・美香姉ぇに聞こえなくて良かった・・・。あのタイミングで美香姉ぇもおかしくなったら・・・。」
「うっわぁ〜、それはキッツイわねぇ〜・・・。」
そんなことを話しているうちに、二人は非常階段の扉にたどり着いていた・・・。
セカストその26
「さーてーと・・・?」
タケルは皮手袋をはめた。その後、非常扉のドアを開けようと試みる・・・。
大丈夫だ、鍵はかかってない。
「タケルも用意がいいわね? 指紋対策? 泥棒にはならないでね?」
「あーのーねーっ! いざっつー時のため!」
実際、皮手袋は指先が露出している。完全な指紋対策とは言えない。
もちろん、そのことはタケルも念頭に入れたが、
皮手袋の本来の目的は争いごとになった時の、拳の保護の為である。
そして静かに・・・非常扉のドアは開かれた。
美香も肩に掛けていた竹刀袋から、木刀をいつでも取り出せる状態へと準備した。
竹刀袋といっても、厚手の布地のデザイン性のあるものなので、
他人には、中にそんな物騒なものが入っているとは思われないだろう。
二人はゆっくり扉を閉め、眼下に広がる階段を見下ろした・・・。
薄暗い蛍光灯が光っている。
このビルは決まった時間になるとエレベーターが止まる。
残業や、何らかの理由で居残る場合はこの非常階段を使用するらしい。
一階の出入り口には守衛がおり、居残り組みはそこを出入りするわけだ。
美香やタケルにはそこまでは知る術はないが、
例の奇妙な一団も、深夜になるその時間は出入りしてはいない。
では、彼らはここで何をしているのであろうか?
何もせず、ただじっとしているのであろうか?
・・・二人は足音にも気を配り、静かに階段を降り始めた・・・。
彼らの長い影が揺れる。
踊り場を曲がり、目的の13階に向かって一段ずつ・・・。
あの非常扉の向こうには何人ぐらいいるのだろう?
普通に今日子の所在を聞き出す事ができるのか?
いや、その前に彼らと「会話」することが可能なのか?
美香もタケルも目的の扉を開くギリギリまで思案を続けていた。
だが、タケルが13階の非常扉のノブに手をかけた瞬間、辺り一体に響く奇妙な声が聞こえてきた。
「クスクス・・・、私メリーさん、勝手に人の家に入る悪い子は、死んじゃいましょう?」
セカストその27
突然、階下の踊り場から数人の男女が、異様な叫び声をあげて階段を駆け上がってくる!
「 ぎ ぇ ぇ え え あ あ ッ !!」
見れば各々、手に刃物や鉄パイプを握り締めている。
「うわわわわぁッ!?」
彼らの突然の出現と奇声にタケルのカラダは固まってしまう。
だが、美香は怯まない・・・、意を決して木刀を構える。
「イヤァッ!!」
電光石火とはまさにこの事!
彼らが階段を昇りきる瞬間に、美香の木刀は目にも留まらぬ突きを繰り出していた。
一人目は後続のものを巻き込みながら、下の踊り場まで転げ落ちる。
運良くその転倒から逃れた者も、次々美香の打撃を喰らう。
一応、これでも手加減はしているのだ。
彼女がその気になれば、竹刀でも咽喉元に正確にその切っ先を的中させ、
あっという間に彼らをあの世まで案内する事が出来る。
今回もみぞおち以外に彼女の攻撃を喰らったものは、全員、骨はイカレていることだろう。
もっともそれは男共だけだろうが・・・。
終わってみればあっという間だった・・・、この一連の騒動は時間にして10秒も経っていまい。
彼らはうめき声をあげながら、階下の踊り場や階段の途中でのたうち回っていた。
タケルもようやく事の重大さを認識し始めていた。
こいつら、全員、問答無用で襲ってくるのかよ・・・?
一方、美香はこの段階でも冷静に状況分析を行っていた・・・。
自分が攻撃を与えた者で、まだ意識が残っているものはいるはず・・・。
それでも再び立ち上がらないのは、痛みの感覚の方が強いから・・・?
もし完全に操られているなら、骨が折れようが内臓が破裂しようが立ち上がってくるのでは・・・?
その点については、むしろ美香はほっと胸を撫で下ろした・・・少なくとも最悪の事態は避けられそ・・・
「 ぎ や ぁ ぁ ぁ !!」
頭上からいきなり大声が降ってきた!
間一髪で直撃が避けられたが、美香の服が破られた!
そこには短いデニムスカートをはき、バタフライナイフを手にしていた、背の低い少女の姿があった・・・。
「・・・きょ・・・今日子ッ・・・? お前!!」 (まだまだぁ!)
よーやく今日の分できた。もう貯金はありません、その場で書きあげてます。
しかし、考えてみればLady メリーはキャラ(又はストーリー)の名前であって、
わしの名前ではないんだよなぁ。まぁそれはいいとしても性別が・・・。
今更、別の名前を出すのも、こんがらがるだろうし・・・。
ストーリーごとに名前変えるのも面倒だし、チェックボックス(と呼ぶのか?)の管理も面倒だ。
どーしよ・・・?
ではご飯いってきます。(同じセリフが
>>328に。この時のIDがあたしあたし詐欺メリーと一緒だった)
じーじぇいですよ。
こーいう展開大好物です
つーか…トリップ先越されましたかorz
い〜いない〜〜な〜〜〜ぁぁぁぁぁぁ
>>Ladyメリー氏
GJです。それにしてもその鳥羨ましいなぁ…
その鳥うらやまし杉。
自分で探したの?
トリップは自分でソフト落として作りました。
時間大量に使用するので小文字大文字指定しない条件で実行。
朝、起きたらうまいこと二回目で全部大文字でできあがっていた。
(一回目は大文字小文字バラバラだった。)
大文字小文字指定せず”mery”だけだったらたぶん、二時間かからず作れるはずです。
でも携帯の皆さんは、初心者板で探すか依頼するしか・・・。
その28
薄暗い照明に照らされた非常階段は、この信じがたい光景に、奇妙な現実味を醸し出していた。
この状況をもはや疑う事が出来ない。
タケルと美香の目の前には、異様な形相を浮かべる今日子の姿があった。
目を大きく見開き、口からは白い泡が吹き出している。
「・・・今日子! 俺達がわかんねーのか!?」
今日子はタケルの声には全く反応を示さない・・・。
だが、彼女は低いうなり声をあげた後、ナイフを振りかざしてタケルに襲い掛かった。
「うがあああぁぁッ!!」
こんな状態とは言え、真正面からだったらタケルも今日子の攻撃をあしらうには苦にならない。
身長・リーチ・スピード、いずれも差がありすぎる。
・・・だが、どうすればいい!?
やむを得ず、タケルは彼女の攻撃を見切り、ナイフを掴んでいた手首を抑えた。
すかさず手首を捻り、後ろに回ってカラダを封じる。
それでも今日子は叫び声を上げ、暴れてタケルを振り切ろうとする。
「うあぎゃぁぁあああ!!」
「・・・ちくしょう! なんでこんなことに・・・! 美香姉ぇッ! 大丈夫か!?」
先程の今日子の奇襲で体勢こそ崩していたが、美香はゆっくりカラダを起こした。
「あたしは大丈夫よ、皮一枚、切られただけよ・・・、
どうしよう? なるべくなら今日子ちゃん、傷つけたくないわよね・・・?」
「こいつをうまく気絶させられるかい?」
「そおね・・・? それよりタケル、ちょっと試してくれる? 今日子ちゃんの顔ひっぱたいてみて?
強いショックを与えれば正気に戻るかも・・・? できればその方がいいわ。」
タケルはためらってたが、ついには片手で大きな音が出るように、
バ チ ン!!
と今日子の頬を引っぱたいた・・・!
瞬間、今日子の抵抗が止まる・・・。
タケルは今日子を抑える力を弱めた。・・・もちろん、油断することはない・・・。
「・・・おい、今日子・・・! オレがわかるか? タケルだ・・・!」
少女は唇を震わせながら・・・ゆっくり首を振り向けた・・・。
「タ・・・タケルル ル・・・?」
Ladyさん裏山。
今日の分はマダー?
す す・・・すみません!
とりあえず一話だけ!! もしできれば夜中にでも!
うわぁぁ申し訳ないorz
待ってます!
Ladyさんのトリップを無理矢理訳したらメリービーム・・・。
(; ・`д・´)ゴクリ
その29
「あ・・・? あたし・・・ここどこ? なんでタケル・・・?」
今日子は怯えた顔でタケルを見上げた・・・。
それでようやくタケルは肩から力を抜く事が出来た。
「よかったぁ〜! 気がついたぁ・・・!」
タケルは今日子のカラダを放し、姉に視線を送る。
美香もほっとしたようだ。
「・・・良かったわね、とりあえず無事みたいね?」
思わず今日子は美香のほうへも振り返る。
「あ・・・あれ? お姉さん・・・? お、お久しぶりです・・・?」
事態を飲み込めてないために先程までの修羅場からは想像できないセリフが出る。
混乱したまま顔をキョロキョロするしかできない。
そのうち階段の下で崩れている数人の男女の姿を見て、
だんだん自分に起きた事を、わずかながらも理解し始めた。
タケルのカラダに崩れるようにもたれかかる。
「お・・・おいおい!」
「あ・・・あたし、どうなったの? おかしくなっちゃたの!?
変なものが聞こえたり・・・気が狂っちゃった・・・!?」
タケルもどうしていいかわからず、今日子の小さな肩を抱いてやるしか出来ない・・・。
彼女のカラダが震えている。
さすがにタケルも、こういう時は今日子を異性として捉えてしまうが、
姉の目があるので遠慮がちだ。
もっとも、美香はこういう時は話のわかる姉だ。
アゴでタケルに「抱いてあげなさいよー?」とでもいうように促す。
「・・・ねぇ、今日子ちゃん? もう大丈夫よ、タケルのばかが助けにきたわ。
安心して? 落ち着いたらすぐに帰りましょ?」
美香の優しい言葉に今日子は泣き出した、・・・タケルは美香の言葉に文句を言いたそうだ。
「・・・うっ、ゔっ・・・あ゙りがどーござい゙ます・・・うぃっく・・・」
あまりに心細くなってしまったのか、タケルに思いっきり抱きついた。
タケルも今まで彼女と何度か口喧嘩したことはあるが、こんな今日子を見るのは初めてだった。
その30
ようやく彼女の興奮が冷め始めた頃、美香は次に取るべき行動を口にした。
「さて問題はこれからよ、今日子ちゃんをどうやって無事に帰らせるか・・・?」
「そうだな、親父さんに迎えに来てもらうのがいーか?」
「・・・ただ、心配なのは、この後も例の電話やテレビの放送が流れたら、
また大変な事になるのよね? 携帯は電源を切っとけばいいけど、
他にどんな手であの催眠をかけてくるか、分ったもんじゃないものね?」
「どっちにしろ、俺達は大元を断たなきゃなんないってか・・・。」
その時今日子が、泣き声とも判別できないような小さな声で美香に訴えた。
「いやっ・・・ 一人にしないで下さい、また・・・どーにかなっちゃいそぉで怖いんです・・・!」
無理もない・・・、だがここは一回、引き上げた方がいいのだろうか?
さすがに一人ではこの先に向かうのは無謀だ。美香はしばらく悩んでからタケルに問いかける。
「タケル・・・、この先、今日子ちゃんを守れる?
わたしがその役をやってもいいけど、その場合はあなたに先陣をきってもらうけど・・・?」
ここまで来ればタケルの腹も据わっていた。姉の顔をにらみつけて自信満々に答える。
「不意をつかれなければこの程度の奴ら、へっちゃらだよ、どっちも任せてくれよ!」
今日子が歩ける事を確かめると、美香は非常扉に耳を当て、中の音を確かめた。
・・・静かだ。
先程、襲ってきたような者たちは中にはいないのだろうか?
それとも手ぐすね引いて待ち構えているのか?
美香は木刀を構えて不意の攻撃に備える・・・。タケルがゆっくりドアノブを回し・・・、
一気に扉を開け放った!
・・・そこには誰もいない・・・。
先程の襲撃が嘘のようだ、エレベーターに乗っていた集団はどこに行ったのだろう?
美香が訝しがっていると、彼女は今日子の様子がちょっとおかしい事に気づいた。
「・・・今日子ちゃん?」
今日子はタケルの背中にしがみついたまま、震えながら口を開いた・・・。
「・・・タケル・・・、あたし・・・ママに何した・・・・?」
「きょ・・・、今日子? なんだ、どうした・・・?」 あの時の記憶があるのか!?
「ママの・・・悲鳴が耳に残ってる・・・。手には嫌な感触が・・・、あたし・・・あたし!」
すんませんでしたーッ!
今日はここまでですー!
>>444 ごめんなさいです。
>>447 続く単語でも何か意味ないか考えてるんですけどね?
「メリー”ヴェなんとか”エミリー」とか、妖怪人間とか・・・何かないかなぁー?
明日も今日みたいな感じかなぁ・・・。
その31
「ねぇ! タケル・・・あたし、ママのあんな顔・・・! あたしママを・・・!」
自分の意識を取り戻すと同時に、徐々に記憶が甦りつつあるのだろう、
今日子はその場に立ち尽くしてしまった。
デニムスカートとボーダーのハイソックスの間にのぞかせている、薄いピンク色の太ももが震えてる。
「・・・今日子・・・! 落ち着けよ! ちが・・・そ、それが奴らの催眠術なんだ!
そうやって相手を混乱させて意識を乗っ取ってるんだよ!」
タケルは何とか今日子をなだめようと苦しいデマカセを言う。
「ホント・・? ママは無事なの? 元気なの!?」
「ああ・・・! 俺らはお前の母ちゃんに頼まれてここに来てんだぜ!
お前のことが心配でげっそりしてたけど・・・!」
さすがにそこまでの嘘は美香が慌てたが、もうどうにもならない。
それにこの場合、仕方がないのかもしれない・・・。
「あ・・・あ・・・、タケルルルぅ・・・ありがと・・・。ありがとぉ・・・。」
今日子はまた顔をくしゃくしゃにして泣き始めた。
止むを得ず、その間、美香は辺りを見回す。
廊下やトイレに人の気配はない・・・、
部屋はいくつかあるが、これらの部屋のどこかに重要なものが隠されているのだろうか?
美香は一度、泣きじゃくる今日子に振り向いた。
「・・・ね? 今日子ちゃん、操られていた間、何か覚えてる事はない?」
今日子は肩を揺らしながら何とか口を開いた・・・。
「わ・・・わがりまぜん・・・、覚えてるのは・・・変な顔の無い女・・・長い髪とワンピースの・・・。」
背筋が寒くなった・・・。そういえばあのテレビの映像・・・。
美香は黙ってカラダを前に向ける。
・・・ここは向こうからやってくる者を撃つには適した場所だが、常に襲撃に遭い易い場所だ、
手前の部屋に取りあえず入ってみるか。
美香はタケルを促し、先程のように扉を開ける・・・ここにも誰もいない。
応接室のような場所だ。
ここで今日子ちゃんを休ませようかしら・・・?
美香がそんなことを考えていた時、彼女の携帯がまたもや振動した。
・・・今度はメールだ・・・。
その32
美香はそれに目をやると、視線を固定させたまま、ふー・・・っと息をはいた。
「例の探偵さんよ・・・、さっき私が送った会社名を調べてくれたみたい。
しかもこっちに向かってくれてるわ・・・。」
美香は安堵の表情を浮かべる・・・、やはり強がっても彼女は女性だ・・・。
「・・・なんか分ったの?」
「会社名ノース・フィールド・カンパニー・・・、二年前にできた新しい会社ね・・・、
代表者・・・児島道幹、通信関連のベンチャー企業だけど・・・。」
美香が口ごもった・・・眉間にしわを寄せている。
「おい・・・? 美香姉ぇ・・・?」
「どっかで聞いたような名前だと思った・・・、
ノース・フィールドですって・・・?
顔が無い女性・・・
顔が無い・・・
ノー ・・・フェイス・・・。」
美香は誰に語りかけるでもなく、独り言のようにつぶやき窓の外を見つめた・・・。
そしていきなり思い出したかのように後ろを振り返った。
「ね、今日子ちゃ・・・」
その瞬間、美香のカラダが突然固まった。
目がタケルの背後に固定される
ほとんど同時に、タケルは自分の首筋にあたたかい飛沫がかかるのを感じた
そしてゴト・・・ッと床に鈍い音が響く・・・。
ゆっくりとした動作でタケルがその床に目を向けると・・・
エクステで長いウェーブにくるまれた・・・茶髪の頭が転がっていた・・・。
床に転がる物体・・・
頭部が存在しないカラダ・・・
赤黒い液体が大量に噴き出す直立した物体・・・
さらには天井に・・・黒い巨大な細長い物体・・・
き ょ う こ ・・・
その33
美香が叫び声をあげた!
「キャアアアアアッ!!」
それに呼応するかのように、天井の化け物も異様な悲鳴をあげる。
「キリィィアアアアアッ!!」
黒い異様な物体は天井を這いながら、パーテーションに区切られた隣の部屋への隙間に潜り込む。
あっという間にその姿を消してしまった・・・。
今の物体が何であったか知ろうとする前に、美香もタケルも目の前の現実に凍り付いてしまい、
身動き一つする事が出来なかい・・・。
「あ・・・あ・・・!」
「きょ ぉ こ・・・」
今日子と呼ばれていた少女の首から下は、大量の血液を放出しながら床に倒れこんだ・・・。
その頭部は、目を薄く開いたまま、あらぬ方向をぼんやりと見つめたままだ。
恐らく彼女はその最後の瞬間、怖いものは何も見なかったであろう・・・。
先程の涙でメイクは崩れたままだ、
やわらかそうな今日子の頬・・・、まだ幼さを感じさせるその唇・・・
これが作り物であったなら・・・、
タケルの引っぱたいた頬はまだ薄く腫れ上がっている・・・。
その不自然な表情が全て現実の出来事である事を物語っている。
「・・・う そ だ ぁ・・・!」
彼の両膝が床に沈む・・・腕を震わせ今日子の頭部をゆっくり抱きかかえる・・・。
「うそだぁ・・・こんな・・・こんな、やめてくれよォ・・・
きょうこ・・・きょおこおお!!」
タケルの目からは大粒の涙が流れ落ちる。
口からは絶え間ない嗚咽が漏れ続けている・・・、
こらえようの無い感情の波に押し流されてしまいそうになるが、
残酷な現実は泣き続ける事をも許してはくれない。
突如、隣の部屋から大勢の人間のわめき声が湧き上がったかと思うと、
ドカドカとタケルと美香のいる部屋に、二十人はいるであろう集団が洪水のようになだれ込んできた!
(今日はなんとか)
すげぇ!
Ladyさんすげぇ展開もってきましたね!
不謹慎にもニヤリとしちまいましたよGJ
すっげー!!
Ladyさん・・・ここでからめてきますか!!
超GJ!!
だからセカンドかぁ〜
実は
>>372 のセカンドストーリーその9で
ちょっと匂わせていちゃってたりする・・・。
美香姉ぇのお気に入りのあの人・・・。
「タ・・・ナ・・・ハ・・・、ここで美香は動きを止めた。」
「できればあなた達の情報システムを利用したいんですけど・・・、」
「確かコーヒーはお薦めがあるんでしたよね? マンデリンでしたっけ?」
それより、
・・・やっちまったぁ・・・
ケバケバ茶髪・・・マスカラバチバチ・・・エクステこてこて・・・Cカップ、
下まぶたでぷにぷにちんちくりん・・・舌っ足らずの今日子たん・・・、
・・・ここまで設定してたんだが・・・ああぁ
タ……ナ……ハ‥…ヒ‥
んふふふふふ
みなさんおはようございます。
無事退院できました。
またupしていきますが、
よろしくねー。
LadyさんGJ
かぼちゃさんGJ
おお
126さんお帰りなさい!
楽しみに待ってますね
んで俺様初鳥記念カキコ
>>457 ぴんぽーん!
>>458 退院おめ! 期待してます!
>>459 さぁ、アリスゲームの始まりね?
・・・(よくセリフの意味を知らずに喋ってみる)
俺的にはリデルさんの方を思い出してほしかった
それにしても綺麗な名前よねアリスって。
もりあがってまいりましたね!!
皆様GJです
126パパ退院おめ!!
>>461 ごめんね。いや、わしもそっちの方がポピュラーかな、とは思うんですが。
(といってもモデルの名前までは覚えてなかった)
では、今日の分・・・続きどうしようかなぁ、現状の流れを追ってくだけでも話は作れるんだけど、
結末、まじでわかんねぇ。
今までも話をパソに打ち込んでいくうち、次の展開が開けていくようなやり方だったんだが。
・・・あんまり期待しないでね、皆様・・・。
あくまで126さんやカボチャさんうpまでのつ・な・ぎ!
その34
タケルは今日子の頭を抱いて、床にうずくまったままだ。
勿論そんなことはお構いなしに、操られた者達はタケルと美香に襲いかかる。
「タケルッ!?」
美香は懸命に木刀で暴徒達を打ち払うが自分を防ぐので精一杯だ。
あっという間にタケルのカラダがうずもれる。
「うひゃあぁぁああッ!!」
各々麻薬中毒のような叫び声をあげながら、
何十本もの腕がタケルの服、髪の毛、カラダなどにつかみかかった。
タケルは抵抗しなかった・・・、カッターやハサミがカラダにつき立てられたり、
何度も何度も殴られたり引っかかれたり・・・、
抵抗できないのではない、敢えて何もしないのだ。
全ての痛みや攻撃を、タケルは甘んじて受けていた。
だが、そのカラダが痛みや衝撃を感じるごとに、
その感情は段々と悲しみから怒りへと変化させていく・・・。
もはや彼の心が自分でもコントロールできなくなるまでに・・・
突然部屋が・・・いやそのフロア全体が大きな衝撃音と共に、地震でも起きたかのように大きく揺れた!
タケルのそばにいたはずの男が壁に叩きつけられたのだ・・・!
「ぁ ぁ ぁ あ あ あああ・・・!!」
大勢の人間にのしかかられているにも関わらず、まるで意にも介さずタケルは強引に立ち上がり、
手近にいる男の顔を鷲づかみにする・・・。
片手でその男を宙に持ち上げ、先程と同じく部屋の壁にぶん投げた!
再び激しい轟音が鳴り響く。
「・・・っらぁ〜〜〜〜〜ぁあッ!!」
獣のような咆哮と共に大量の息を吐きながら、その巨大な拳が放たれた。
またもや人間が座布団のように宙を舞う、
その間もタケルに様々な攻撃が加えられるが一向に彼は気にしない。
その腕を振るうごとに人間がスクラップと化していく。
・・・殴る! 砕く! 破壊する!
男も女も関係ない! 全て・・・目の前にいる者たち全てを動かなくなるまでタケルは壊し続けた・・・!
その35
「ぎゃぁぁあああ!!」
第二陣が部屋に飛び込んできた。
・・・タケルは全く動じない。新たな獲物の顔面に非情な拳を叩き込み続け、
掴んだ頭蓋を壁にぶち当てる! 掌の中で硬いものが砕ける感覚・・・、
容赦ない丸太のような回し蹴りで一気に数人がなぎ倒される。。
怒りに我を忘れたタケルの前では、誰もが、枯れ枝同然に砕け散ってしまう。
・・・まだ彼らに自我が残っていれば、最初の二、三人で逃げ出していただろう、
この騒ぎが収まったとき、果たして無事に日常生活に戻れるものが何人残っているのだろう?
「タケル!!」
応接室に残っていた者たちを片付けた美香は、タケルを追って廊下に出る。
だが美香は目の前の悲惨な光景に足をすくませてしまった・・・。
ほとんど全ての人間が肉塊のように床に転げていた。
この中でまだ息がある者はいるのだろうか・・・?
しかもこちらに背を向けているタケルは未だに戦闘態勢を崩していない。
彼の間合いに入ろうとする者がいれば、再び野獣のような攻撃を繰り返すであろう。
美香はショックを受けながらも必死に弟を呼びかけた・・・。
「タケル! 待ちなさい!! 私の・・・私がわかる!?」
時間がゆっくりと流れる・・・、タケルはようやく首を後ろに回した・・・。
タケルがこんな恐ろしい目をするなんて・・・。
「・・・タケル、落ち着いて・・・、タケル・・・あなた・・・。」
それ以上、美香は言葉にはできなかった・・・。
ただ、ゆっくりと弟に近づき、そっとカラダに触れる事だけしか・・・。
美香の指の感触と温度を感じ取り、ようやくタケルは我を取り戻したようだ。
呼吸を少しずつ整え、唾を飲み込む。
気持ちの整理などつけられやしないようだ。
そうだ・・・、昔から。
こんなに激昂したタケルを見たのは初めてだが、子供の頃からタケルの感情は激しかった・・・。
それを見るたびに自分は冷静さを・・・、どんな時でも落ち着かなきゃ、と自分に言い聞かせてきたのだ。
お父さんとお母さんが一緒に死んだ時も・・・。
「・・・タケル・・・。」
その36
「もう・・・いいのよ・・・、ね? あなたのせいじゃない・・・、
あなたのせいじゃないのよ・・・。」
タケルのその四肢から張り詰めた緊張の糸がほどけていく・・・。
だが、タケルはその口から言葉を出す事が出来なかった。
どれぐらい時間が過ぎたのか、しばらくして、・・・ようやくしぼるようにしてタケルは言葉を吐きだす・・・。
「・・・でも、姉ちゃん・・・オレ、今日子を守る事も・・・助ける事も出来なった・・・、
ずっと昔っから・・・姉ちゃんに負けてばかりで・・・見返してやるんだって・・・
カラダ鍛えてきたのに・・・こんなにでかくなったのに・・・、
強くなったって、結局何の役にもたてねぇ・・・ 」
美香は静かに首を振る。
「・・・また『姉ちゃん』に戻ってるわ・・・。
それに今日子ちゃんのことはつらいけど、あなたは私を守ってくれてるでしょう?」
「? 姉ちゃ・・・何言ってんだよ、美香姉ぇ、オレの助けなんかいらねーだろ・・・?」
「バカね、こんな恐ろしい人たちに囲まれて平気なわけ無いでしょう?
あなたがいるから、私はくじけないでいられるのよ? ・・・それよりあなた、ケガは!?」
タケルは辺りを見回し、ようやく落ち着きを取り戻してきた。
・・・改めて自分のしでかした暴力の結果に怯え始めてしまう・・・。
「・・・オレは大丈夫・・・血は出てるけど、ダメージはないよ・・・。」
タケルの厚い筋肉の鎧は、少々の刃物など通さない。
流血は激しいが、こんなものはすぐに止まる・・・。
それにしても状況は最悪かもしれない。
タケルの攻撃を喰らった者達は、ほとんど一撃だけなのだが、その一撃が致命的なのだ。
人命を優先するのなら、すぐさま救命活動に入らねばならないのだが、
かといって例の化け物をほっとくわけにもいかない。
「タケル・・・、ちょっと・・・。」
美香は手近なけが人をエレベータに運ばせた。
下に搬送させるためではない。これ以上外から、あの集団がやってこれないように、
定員オーバーになるまでけが人を載せ、エレベーターをストップさせた。
管理会社か管理人が気づけばそれはそれで良し。それまでには片をつけよう・・・!
美香はこれまでの状況を手短にまとめ、例の探偵へとメールを送る。
今日の独り言・・・そろそろ核心に入るべきだよな・・・あぁもう限界・・・。
例の探偵・・・キタワァ
れでぃサソを追い詰めたくはないが楽しみだ
別にLadyサソが無理して毎日うpする義務は無いと思うけど…
たしかに楽しみだけどね
470 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/15(土) 20:42:00 ID:lvO8Jq2G0
さてLadyさんおつかれ、後でゆっくりと読むね!
退院記念!
いってみますね!
【あらすじ1から4>199-202】
【あらすじ5から7>241-243】
【74番目>250 75番目>251 76番目>252】
【77番目>398 78番目>399 79番目>400】
80番目←いまここ
471 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/15(土) 20:42:42 ID:lvO8Jq2G0
80番目
静かに、鎌を構えなおす紫のメリーと名乗る少女。
わずかに微笑んでいるように見える口元は、俺などを相手にしていないという余裕の現われなのか?
しかし、目は笑っていない。ほんの昨日初めて出会ったときのメリー・・・こいつが黒のメリーと呼ぶ・・・
とは、少し違っていた。
俺がメリーを召喚しえた人間と言うことを知っている。知っているからこそ、俺に対しての心構えがすでに
あると言うことだ、黒のメリーと呼ばれたメリーにはその余裕がなかった。驚きと戸惑い、その後で感じる
喜び、寂しさと捨てられてしまう、置き去りにされることへの不安、そして、何よりも大きな救いと安心・・・信頼。
めまぐるしく感情を動かしてきた俺の大切なメリー。
あいつには、余裕などなかった。
最後になって、俺をからかう余裕を見せたが、しかし、その余裕は安心と信頼に裏打ちされたもの。
けっして、相手よりも自分が優位だと思っての余裕ではなかった。
紫のメリ―・・・。目の前の少女は、澄んだ青い瞳で俺を見下したまま、再び静かに口を開く。
「あなたはよくやりましたわ。もう充分です。」
俺は紫のメリ―をにらみつけることしかできなかった。
目の前の少女は、静かに目を閉じながら、言葉を続けた。
「もう役目は終わりましてよ。だから、おとなしく・・・」
紫のメリーのカッと目を見開いた。
「死んでくださるかしら!」
という言葉と同時に俺の方へと鎌を振り落とす。それを予測していた俺は、すんでのところで鎌をかわし、
床に転がり込んだ。そして紫のメリーのほうを振り返ると、第2撃目の鎌が俺を追いかけてきていた!
もう、頭ではなかった、身体が勝手に反応をしていた。正確に俺の首に向かっている鎌の軌跡から
飛びのいて、ベッドの上に移動、目標を失った鎌は、一旦壁に吸い込まれるように突き刺さった。
「なかなか優秀な反射神経ですこと・・・。」
壁に刺さっている鎌を引き抜くために壁に足をつけて踏ん張っている姿は、先ほどまでの余裕を見せて
いた紫のメリーとは思えなかったが、あの鎌が引き抜かれてしまえば、あの俊敏な切り返しにもう一度か
らだが反応してくれるとは限らない。
472 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/15(土) 20:43:19 ID:lvO8Jq2G0
81番目
武器・・・。あいつに対抗できる武器・・・。
・・・鎌・・・・。
それは、今、俺の乗っているベッドの下にある。
いや、だめだ。ベッドの下に隠しておいた鎌・・・。アレを手にしたら、俺の中に再び黒いものが流れ込む。
そして、あの圧倒的な力にもう一度抵抗できるかどうか・・・。俺がもしも、あの黒いものに抵抗できると
すれば、それにはメリーが必要だ。
俺の大切なメリー。奴が黒のメリーと呼ぶ、あのいたいけな少女の笑顔。
それを守るためにも俺はこの鎌に触れないようにベッドの下に隠したんだ。
武器がないとすると、今のうちに外へと逃げるか?
いや、相手の居場所を把握し、瞬間といっていい移動速度で相手に近づいていく。それが都市伝説「メリーさんの電話」
もし「メリーさん」が複数存在するとすれば・・・。この紫のメリーが、その都市伝説を担う「メリー」の一人
だとすれば、どこに逃げても同じことだ。
「明日の朝には、また来るからね!」
そういって、麻子の家へと連れ去られていったメリー・・・。
明日の朝、あいつが来たら、俺は魂を刈られた抜け殻のような状態・・・死んでいるのかも知れない。
紫のメリーの鎌は相当深く刺さっているらしく、なかなか壁から抜けない。俺は、紫のメリーに声をかけた。
「メリーを・・・黒のメリーを開放するとはどういうことだ?」
壁の鎌に集中していた紫のメリーは、少しビクッとして、振り返った。驚いた顔を見せぬように、少し間を
おいて顔を整えてから・・・。
「言葉どおりですわ・・・。それ以上でもそれ以下でもございませんのよ・・・」
俺にそう答えた紫のメリーは、少しうろたえているようにも見えた。
「どうしても俺を刈らなければ・・・だめか?」
俺はベッドに座り、さらにむらさきのメリーに声をかけた。相手の余裕がなくなっているのがわかって、
俺にも余裕が生まれたからだろうか?それとも、このクールで冷たく見えた紫のメリーの素の部分が
見えたことに俺自身が安心したからだろうか?
その言葉を聞いた紫のメリーは、鎌を手放して、俺にまっすぐ向き直った
「当然ですわ。それが黒のメリーのため。しいては私のためでもありますのよ」
紫のメリーの表情は、うろたえたところを消し去り、冷たい青い瞳は俺をまっすぐ見据えていた。
473 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/15(土) 20:47:25 ID:lvO8Jq2G0
82番目
「俺も死ぬわけには、いかないんだ。メリーの・・・お前が黒のメリーと呼ぶあいつのために・・・」
そうだ、明日の朝、この部屋を訪れたメリー・・・俺の大切なメリーに、あのときのような、妄想の中で
ひざを抱え、裏切られたと思って、再び鎌を手にしなければ立ち上がれなかったような圧倒的な絶望
を味あわせるわけにはいかない。そのためにも、俺は死ぬわけにはいかないんだ。
俺は紫のメリーへめけた視線に力を込める。
「いい表情をなさいますね。その顔で黒のメリーをとりこにしたのかしら」
という言葉を残し、壁の鎌に向かった。
俺は、決心を固めた。死ぬわけにはいかないんだ。どうあっても、死ぬわけにはいかない。
俺は脚でベッドの下をあさった。鎌を包んだ毛布の端を足でつかみ、引きずり始めた。
紫のメリーに気づかれないように。
「わからなくも・・・ないですわね」
紫のメリーは、こちらを向かずに、誰に言うでもなく言葉を続けた。
「そこまで思われる・・・大切にされるのなら・・・私しも・・・」
ゆっくりと、ベッドから、音を立てないように鎌を引きづり出す
「しかし、それではだめなのですわ・・・私したちの存在理由が・・・」
ベッドの下から完全に鎌を包んだ毛布が姿を現した。紫のメリーを見る。彼女の鎌は壁から抜かれていた。
「だから、あなた・・・死んでくださるかしら!」
474 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/15(土) 20:48:13 ID:lvO8Jq2G0
83番目
紫のメリーは振り向きざまにまっすぐ俺の脳天めがけて鎌を振り下ろそうとしていた。
俺は、毛布の端を脚でつかみ、蹴り上げるように引っ張る。
舞い上がる毛布。紫のメリーの鎌は、そのまいあがった毛布を何の抵抗もなく、まっすぐに切り進んでいた。
しかし、紫のメリーの鎌は、俺の脳天をまではたどり着かなかった。
毛布とともに回転しながら舞い上がった鎌。俺はその柄をつかんで、紫のメリーの鎌の行く手を阻んだ
「な、なんですの?」
毛布で俺の手にした鎌の全貌が見えず、何が自分の鎌の行く手をふさいでいるのかわからない紫のメリー。
俺は紫のメリーの鎌をはじき返して毛布を取り除いた。
「く、黒の・・・・鎌・・・」
紫のメリーが固まっていた。俺は鎌を構えなおした。次の攻撃に備えるために・・・。そのときだった・・・。
どっく・・・・・ん・・・。俺の心臓が大きく脈打った。と同時に、鎌と触れている手から不快感が流れ込んでいた。
どっく・・・・ん・・・・・。
今日はここまでです!
ではではー!
またね
ぅわぁああ!!
黒いものキタコレ
パパもGJですよー!!
126サン、いや〜いいですねぇ〜。
戦闘シーン、参考にさせていただくわ。
今後も目が離せないですわぁ。
>>468-469 ありがとね。なんとかスレが盛り上がってくれればと・・・。
でも126さんが復活してくれればおいらも安心!!
よし、パソで前スレ&前々スレ見れるな(完全ではないが)!
携帯の方は
>>478でアクセスできるのかしら?
これで名無しさんや126さんの過去の作品も読めるぞ。
あ〜目が痛い。検索すんの疲れた。
Ladyさん乙っす
携帯でもちゃんと観れましたよ。
つーか初代スレが懐かしすぎるww
>>480 それは良かった。
私も初期の頃の、皆様の感想を読み直し元気が出ました。
てなわけで、今日は4話できました。
その37
「・・・美香姉ぇ・・・他はいいの?」
美香がメールを打ち終える間際、タケルがおどおどしながら美香に尋ねた。
「他って?」
そう言われてタケルは辺りを見まわす。
自分のしでかしてしまった事に姉に責められるのを覚悟していたのだ。
・・・死人が出ていたら・・・。
美香にしてみれば、何を今更・・・とも思っていたのだが、
タケルを責めても仕方ない、・・・第一、自分達の命だって安心できない状況なのだ。
「・・・言ったでしょ、あなたのせいじゃないって。
わたしもこの状況に神経がマヒしてきたのかもしれないけど・・・。
それよりとっととカタをつけて・・・、
目的を済ませたら、救急車呼んでさっさとここから逃げる!
ね? まずは社長室へ向かうわ・・・!」
普段は品行方正の美香がとんでもないことを言っている。
バックレるつもりだ。・・・確かにヘタをするとタケルは殺人犯になってしまう可能性がある。
だが、タケルは気づいていない、
すでにこの事件は、警察が解決できるレベルではなくなっていることに。
美香はすでに事件の本質に気づき始めていたからこそ、人命救助も後回しにせざるを得なかったのだ。
「社長室・・・さっきの化け物が・・・そこに・・・?」
「アイツがそこにいるかはわからないけど、首謀者かその手がかりはあるはずよ、
・・・いつ・・・どこからアイツが現われてもいいように・・・身構えておきなさい・・・!」
タケルは身震いした。・・・だがすぐに・・・恐怖よりも先程の怒りを思い起こす事が出来た。
どんな化け物だろうが絶対に許さねぇ・・・!
社長室は、はっきりと分るように表示されており、その部屋を見つけることは困難ではなかった。
部屋を前にして美香が尋ねる。
「タケル・・・さっきの化け物・・・姿を思い出せる?」
正直あの姿をあまり思い出したくはない、
だが忘れられそうにないほど不気味な物体であったのも確かだ。
「・・・黒いワンピース・・・長い髪・・・槍か斧みてぇなもん持って・・・
顔は・・・いや、顔はあったんだか見えなかったのか・・・、ああ、今日子が言ってたのはアイツか・・・。」
その38
「・・そう言えば美香姉ぇ、さっきノーフェイスとか何とか言ってたよな、アレ何だ?」
「詳しくは話してる時間がないけど、ここの社長はあるテロ組織の関係者かもしれないってこと。
タケル・・・扉を開けてくれる?」
タケルは目を白黒させたが、確かに今は深く問い詰めれる状況ではない。
タケルは慎重に扉を開ける。
・・・社長室は明かりがついていない。廊下の光が入り口付近を照らすだけだ。
美香が入ろうとするのをタケルが制止し、一歩・・・また一歩と踏み出して、
部屋のスィッチを手探りで探し当てた。
明るい光が部屋全体を照らす。
・・・!
一人の男が椅子に座っていた。机の上にはパソコンと一冊のノートがある。
だが、男は机の上に眠っているかのように伏せたままだ・・・もしかするとこれは?
「タケル、前後左右・・・天井も床も椅子の陰も全てに注意しなさい・・・。
それで私の後ろに背中合わせで・・・。」
タケルは姉の言いつけどおり、背中をピッタリ合わせてあらゆる方向に気を配る。
美香はゆっくりと男のいる机に近づいた・・・。
この匂いは・・・死臭か・・・やや鼻につく変な匂いがする。
・・・頭がざっくりと割れていた・・・。流れ出た血は乾ききっている。
「・・・死んでいるわね・・・。」
タケルは首をひねりながら驚く。
「ええっ? そいつが首謀者じゃねーの? ここの社長なんだろ?」
状況から見て、背後から頭をかち割られてしまったように思われる。
・・・誰に・・・? あの気味の悪い化け物にか・・・?
美香は慎重にノートに手を伸ばした。
何の変哲もない私的なスケジュール帳のようでもあるが、
間に数枚の便箋がはさんであった。
・・・まるで誰かに読んで欲しいとでも言わんばかりに・・・。
署名がしてある・・・児島道幹、・・・間違いない、本人だ。
「タケル・・・読んでみる?」
二人は周囲を警戒したまま、その便箋の内容に目を通した・・・。
その39
便箋には乱雑な文字でこう書いてあった・・・。
『 誰かこのノートに気づいてくれるだろうか?
これを読んでくれているという事は、私はもうこの世にいないだろう。
これは遺書と思ってもらってもいい、
私の最後の生きた証・・・それを誰かに伝えたいだけなのである。
私はここから逃れる、ありとあらゆる手段を考えた。
トイレに行く自由はあるが、窓も廊下も彼らの監視下にある。
勿論、外には出られない。この老体では彼らに抗う術もない。
携帯電話は取り上げられ、・・・いや、あったとしても無意味だが、
通常の電話も、受話器に耳をあてた瞬間、”あの人形”につながる。
火災報知器やスプリンクラーを作動させる事も考えたが、
私が怪しげな行動を取ろうとすると、すぐに奴らが私の動きを封じに来る。
出来る事は、ちまちまノートに文字を埋めるくらいだ。
最後の望みで、これからプログラムの「検問」を突破して外界に救助を求めてみるが、
”あの人形”に気づかれずそれを行うには困難だ。
システム室のホストコンピューターを破壊すれば簡単なのだが、その部屋には近づく事すらできない。
もはや、この方法しかない。
さて、事の経緯を説明しよう。
私はこのノース・フィールド・カンパニーの代表取締役社長、児島道幹だ。
通信事業の開発・宣伝などを手がけているが、本来の目的は別にある。
それは、ある神聖なる「物」を人工的に創り上げることだ。
私の大恩ある偉大なる導師、小伏晴臣氏の指示のもとに、
人工的な生命体を創り上げることだった。
付喪神・・・九十九神というものをご存知だろうか?
古い人形や小道具などに念がついたり、命が生まれたりすることである。
もちろん、そんなものを信じるものはそうそういまい。
だが、それを科学的に証明できるとしたら?
人間の脳にはある種の電気信号が流れている。
もちろんそれは肉体という生命活動の条件の上に成り立っている。
ではその、「肉体という生命活動の条件」を用意すれば次の段階に進めるという事だ。』
その40
『もちろん、そこにたどり着く事すら楽な作業ではなかった。
その間に、我が兄、児島鉄幹は死亡し、偉大なる小伏晴臣氏は未だに行方が分らない。
あの方の事だ、きっとどこかでご存命だと信じたいのだが・・・。
話がそれてしまったが、動物と同じように有機的な人工生物の研究も魅力ある物だが、
もう一つの・・・、無機的なものを人間に近づける作業・・・こちらの方がはるかに、
コストの面でも、また技術革新の面から言っても飛躍的な成果が見込まれた。
そう、難しく考える必要はない。
小容量での高速演算、記憶容量、人工知能の開発・・・
どれをとっても日進月歩の進化を遂げているのは誰の目にも明らかだろう。
さて、その次の課題が先程の付喪神の研究だ。
実際、人間の脳の活動から得られる電気エネルギーなど大した量ではない。
また、付喪神というものも、科学的に解明するならば、その対象物に触れた人間達の、
微弱な精神エネルギーをその器の中に、発散することなく吸収したものだけが、
いわゆる怪異を引き起こすだけにすぎない。
しかも殆どは、その器それだけでは何もできず、新たに触れ合う人間の精神エネルギーと、
共鳴しあうことだけでしか活動を許されないのだ。
ではそのエネルギーを大量に蓄積する方法はないのか?
小伏氏は長い年月に亘る研究成果で、その方法の一つを知っていた。
だがそれは私のような凡人に手に入れられるものではない。
しかしあの方は大空のような広い御心で私に仰った、
「人間の可能性は無限だ、新たな道があるならば、
古い道に縛られることなく切り開けばよいではないか」と。
あの方ははるかな昔、ノーフェイスという前衛的な研究機関を創設していたのだが、
邪悪な者達によって壊滅させられてしまったと言う。
ならば、我々がその意志を引き継ぐべきなのだ!
そして私はその名を引き継ぐ会社を立ち上げ、優秀なスタッフに恵まれ、
ついに画期的なシステムを完成させたのだ!
それが「プロジェクト・マザー・メリー」、
神の御業に限りなく近づいた、新たなる生命を産み出す事に成功したのだ!』
☆ 「今日はここまでだよぉぉお!
みんな元気だったかぁい?
じゃぁあ、素晴らしいぃお話をしてあげよぉぉお!
いいかねぇ?
人間の可能性は無限だぁ! 新たな道があるのならぁ、その道を進めばいいじゃぁないかぁあ?
古い道なんかに縛られてちゃああ・・・いぃけないよぉぉおおお!!」
・・・一応、教祖様ですし、研究熱心な方ですし・・・ポジティブな考え方をする人ですし・・・、
いいことも時には言ってたのでしょう・・・?
487 :
本当にあった怖い名無し:2006/04/16(日) 22:03:44 ID:qrsPyBheO
非通知で電話がかかってきた。でたら「私メリーさん今あなたの後ろにいるの(最後叫ぶ感じ)」
多分友達が携帯使ってやってるんだと思うがそういうボイスどうやってとるの?機械音みたいじゃなくちゃんとした女の子の声
>>487 何年か前に出回ってるの見たことある。
確かダウンロードしてたんだけど携帯変えたから今は手元にないorz
>>489 ちゃんと出回ってるやつだったのか。
もしこのまま
>>487がこの後現われなかったら、
まさか本物にお会いして今頃は・・・
なんて思ってしまった。
誰いなさん、GJ!
声のうpは今までないもんね、新鮮新鮮。
誰か自作する人いないかなぁ?
493 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/17(月) 11:14:05 ID:2j7Nt/+J0
【あらすじ1から4>199-202】
【あらすじ5から7>241-243】
【74番目>250 75番目>251 76番目>252】
【77番目>398 78番目>399 79番目>400】
【80番目>471 81番目>472 82番目>473 83番目>474】
84番目←今ここ
494 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/17(月) 11:15:01 ID:2j7Nt/+J0
84番目
「黒の鎌を・・・人間ごときが・・・」
紫のメリーの顔に驚きと怯えが見える。
まだだ。まだ、大丈夫だ。今まで何度かこの不快感と対峙してきている。少し慣れてきたということなのだろうか、流れ込んで
くる黒いものの量が少ないような気がする。
俺はゆっくりと立ち上がった。紫のメリーをおびえさせればいい。そして、ここから去ってくれればそれでいい。それまでの間、何
とか、俺の神経が、流れ込んでくる黒いものに抵抗できれば、それでいい。
ど・・・っ・・・く・・・ん・・・。
ある一定の時間ごとに心臓が大きく脈打つ。そのたびごとに、俺は気を失いそうな感覚に陥る。
「き、君もメリーと・・・言ったな・・・。すまないが、俺はしぬわけに・・・は・・・行かないんだ・・・」
何とか紫のメリーに話しかける。まともな言葉を発するのもやっとというのが本当のところだ。
黒いものは、流れ込みながら、俺の意識に向かって、声をかけようとしている。
その誘惑や欲望をシャットアウトしながら、自分の意思で身体をコントロールする。それには、常に、メリーの俺の大切なメリー
の笑顔を頭に思い浮かべていなければならなかった。
「い、意識が・・・あるんですの?」
俺の顔を覗き込むように見入る紫のメリー。
「意識が・・・人としての意識があるのであれば、おそるるに足らないですわ!」
紫のメリーの顔から怯えが消えた。攻撃態勢をとるや否や、朦朧としている俺に向けて水平に鎌を滑らせてくる。
一瞬意識が途切れた。俺の手は片手で鎌をもってやはり柄の部分で紫のメリーの鎌をとめていた。
ものすごい音と鎌同士のぶつかる反動で、意識が目覚めたとき、紫のメリーは、鎌を手放して床に転がっていた。
「帰ってくれ。君の目的が何かは知らない。確かに俺が死ねば、悲しみの中でメリーはまたもとのように都市伝説の中で生き
るモノとなるかも知れない、けど・・・」
「まったくお馬鹿で自意識過剰でうぬぼれもここまで来たら、素敵だとも思えてしまいますわ」
紫のメリーは、立ち上がりながら、俺の言葉をさえぎった。
「誰があなたが死んだ悲しみなんかで、メリーを解放するといったのかしら?」
495 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/17(月) 11:17:28 ID:2j7Nt/+J0
85番目
立ち上がった紫のメリーは、俺を見下すように、哀れむように、視線を送っていた。
「私たちメリーの召喚は一種の契約。あなたが死なない限り、黒のメリーは次の契約を結べないのですわ。」
「・・・契約・・・」
「そう・・・。あなたがどうやって、黒のメリーを召喚したのかは知らない。知りたくもありませんわ。しかし、このまま黒のメリーが
この地にとどまり、都市伝説の持つ神秘性を失えば、彼女は都市伝説ではなくなる。やがて私たちも・・・」
「私たち・・・?」
「あら、おしゃべりが過ぎてしまったようですわ。さて・・・」
紫のメリーは、鎌を構えなおした。再び、俺を攻撃してこようとしているのだろう。
「まて、メリーは・・・メリーと呼ばれる存在は・・・・複数いるのか?」
紫のメリーは、口をつぐんだまま、俺をにらみつけていた。
「都市伝説ではなくなるというのは、どういうことなんだ?」
俺の言葉を切り裂くように鎌が滑り始めた。しかし、俺のほうもそろそろ限界に近かった。身体の中が黒いもので満たされて
しまったような感覚が先ほどから俺を襲っていた。
身体が自由に動かない。目だけが、滑りくる紫のメリーの鎌を捕らえていた。それは不思議な感覚だった。ものすごい速さで
俺に向かってきている事は感覚としてつかめるのだが、俺の目に映る鎌は非常にゆっくりとした動きで徐々に近づいていた。
俺は、動きの鈍い体をゆっくりとそらした。鎌が滑り込んでくると予測されるラインから身体を逃がした。
鎌はゆっくりと、俺の前を通過していく。メリー・・・紫のメリーの顔が険しくなる。
タン!
紫のメリーが鎌の行き過ぎてしまうのを待たず、鎌の軌跡を足の蹴り上げて変えた。蹴り上げられた鎌は、ふわりと舞うスカー
トとそこから覗く少女の美しいラインを保った太ももに俺が気をとられているうちに、俺の真上に来ていた。
496 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/17(月) 11:18:37 ID:2j7Nt/+J0
86番目
・・・体が勝手に動いていた・・・。
俺の意思ではないものによって、俺の腕は、鎌の軌跡を止めた。とめるだけではない。鎌を跳ね返して、紫のメリーに向けて鎌
を繰り出していた。意識ははっきりしていた。むしろ先ほどまでの黒いものからの呼びかけが、まったく消えていた。俺の身体の
中・・・いや、意識への関与をやめたのか?身体の自由が利かないだけで、俺の意識は鎌を手にする前と同じだった。
激しく、紫のメリーへの攻撃を続ける俺。しかし、やめようにも俺の身体は、まったく俺の言うことを聞いてくれなかった。
「・・・人間・・・あなた、何者ですの?鎌を・・・ここまで・・・使いこなせるとは・・・」
紫のメリーは完全におびえていた。反撃をしようにも、その暇をまったく与えない連続した攻撃。
・・・のっとられた・・・・。
俺は、実感していた。今、俺の身体は、黒いものによって動かされているのだ。
しかし、紫のメリーは、そのことを知らない。あの圧倒的な力の根源とも言うべき黒いものの存在を、彼女も知っているのであれば、それを人間が、人間ごときが、克服できるはずはないと、そう思っていたのだろう。
その人間におびえさせられ、劣勢に甘んじている今の状況。
彼女のプライドがそれを許さない、しかし、今の彼女ではどうしようもない・・・。圧倒的な力の差は、彼女の美しい顔に恐怖と
あせりとなって現れていた。
「あ、あなた・・・本当に・・・人間です・・・の?」
紫のメリーは、クローゼットのある部屋まで逃げていた。俺の、黒いものの操る俺の繰り出す鎌の攻撃を防ぎながら、後ずさり
をしながら。しかし、もう後はなかった。クローゼットが壁となり、紫のメリーの逃げ場をなくしていた。
・・・・どうするつもりだ?
俺は不安になった。まさか、俺の中の黒いものは、目の前でおびえる紫のメリーを、どうするつもりなんだ?
497 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/17(月) 11:19:52 ID:2j7Nt/+J0
87番目
俺の横に鏡がある。視線の端に執拗に紫のメリーに攻撃を仕掛ける俺の姿が映る。
それは・・・俺ではなかった。いや、性格には俺なのだが、目は血走り、口元はまるで避けたように大きく開き、そこからよだれ
を垂れ流した、獣の顔。
「紫の・・・。わしの邪魔を・・・するとは・・・偉くなったものだな・・・」
よだれを垂れ流した口元から、しゃがれた俺のものとは違う声が漏れ始めた。
・・・黒いもの・・・・。
「わしに・・・干渉する・・・のならば・・・お前・・・消えるか?」
俺の・・・黒いものの攻撃が止まる。紫のメリーは、がたがたと震えだしていた。
「黒・・・の・・・鎌の・・・意思・・・?」
紫のメリーは、完全におびえていた。単純に物理的な攻撃への恐怖ではない、根本的な恐怖。目の焦点が合わず、ただただ
震えていた。
「・・・消えて・・・みるか?」
俺の中で、黒いものが増大していくのがわかった。
・・・こいつ・・・やるきなのか?・・・
視線の端で鏡に映る俺の姿は、これから行う事柄に狂喜していた。
・・・・俺じゃない!あんなのは俺じゃない!・・・・
俺は・・・黒いものは、鎌を大きく持ち上げた。
目の前で紫のメリーは、目を閉じた。諦めなのか、恐怖に耐えられないのか、鎌を置いて頭を抱え込んでいた。
まるで、ぶたれる前の子どものように。
その姿は、ただの一人の少女だ、おびえて縮こまる一人の少女だ。
いったんここまで!
携帯にかかってくるのは、本物だったらってメルヘンな事をかんがえてましたよ!www
125さんGJ
黒いものイイ!
黒のメリーと紫のメリーとの三角関係キボン・・・
いえいえ、何でもないです・・・。
ごひゃく・・と!
>>499さん、ありがとう!
>>500さん!・・・ああああああ・・・・涙wwwww
今昔のを読み返していたら・・・・・・麻子が部屋に突入してきたのが、1月17日・・・・。
遅すぎ・・・
その41
『マザー・メリーは元々一つのプログラムに過ぎなかった。
多くの知識や語彙、人間と大して変わらない行動パターンを組み込み、
画面上で人間と同じように行動させるのが第一段階だ。
そしてその次の段階が画期的なのだ。
ノーフェイスが残した研究の一つに、他人の行動を遠隔操作しようと試みるものがあった。
それは研究途中のものではあったが、我々のプロジェクトに十分利用できるものだったのだ。
人間の脳には未だ謎の部分が多いが、ある一部の人間に、特定の周波数を関知できるものがいる。
超能力・・・と呼べるような代物ではないが、いわゆる暗示に掛かりやすい人間、
言い換えれば、他人と同調しやすい人間がそれにあたると思われている。
そしてさらにその波長に催眠効果の高い音波・映像を乗せれば、その効果は飛躍的に高まる。
マザー・メリーは、合法的にコンタクトできる携帯電話や、ハッキングをも学習しつつ、
他の通信媒体をも利用できるにまで成長していった。
そこまでして求めたものは何か?
・・・操ったもの達から精神エネルギーを吸収する事だ・・・。
人間一人一人の精神波長はバラバラだ。だが、数多くの通信機器で、
同一の波長にコントロールされたエネルギーは、
通常では考えられないほどのパワーを産み出すに至る。
そう・・・、付喪神を産み出すほどの。
最後に必要としたのは触媒だ。
人間が感情移入しやすいものほど、精神エネルギーは溜まり易い。
当然、人型のものは理想的だ。
信じるか信じないかは勝手だが、小伏氏から、
人間の髪・人間の骨を混ぜ合わせて生まれた、ある人形の話を聞かされたことがある。
それと同様の物を造ろう。材料は豊富にある。
・・・血液を混ぜ合わせてもいいかもしれない。
人形にはマザー・メリーと常に無線で繋がっている端末を内蔵させ、
その関節の動きも、人間のものから、そのボディーの関節にマッチするよう何度も修正した。
実際、その膨大なエネルギーの念が、プログラムの方と化合したのか、
人形の方に化合したのか、それはもうわからない、
だが、すでにそれらは不可分の存在になっている事は確かだ。』
その42
『そしてそれはついに完成した! 度重なる実験の結果、
内部端末への電力しか供給してないはずの人形が動き始めたのだ!
私はついにやったのだ!
私の優秀なプログラマーのうち、何人かはこの計画に反対して辞めていった。
愚かな奴らだ、この壮大な研究の価値が分らないとは!
だが、彼らは今はもう、私に感謝してるはずだ。
今では全員、あの人形マザー・メリーの血肉になっているのだから。
・・・なのに、
予想外の出来事が起きた、 ・・・マザー・メリーが暴走したのだ。
本来彼女は、ホストコンピューターに入力した命令に沿った行動のみとっていた、
それがその命令を無視して動き始めたのだ。
まるで本物の生物が食事でも摂るかのように、恒常的に精神エネルギーを吸収し始めた。
それだけではない。
催眠効果を与えた者達には、精神エネルギーを吸い取った後はあまり用がなかった。
何の足も付かないうちに帰らせれば何ら怪しまれる事はない。
ノーフェイスでは、催眠後の利用にも力を注いで研究をしていたようだが、
この日本でそんな状態を放置していたら、あっという間に大騒ぎになる。
だがマザー・メリーは、まさしくその名の通り、彼らを催眠状態のまま自らの手足のように操り始めた。
気がついたときには全てが手遅れだった。
最初に書いたとおり、私にはもう自由もないし、彼女をコントロールする術もない。
社員の家族が気づけば警察が動くだろうが、操られた者達は、普段と変わらないように生活を続け、
それ以外の者達は、このフロアのどこかに閉じ込められて、
知人や家族に偽のメールを流させられている。いや、生きているかどうかも分らない。
会社の通信機器は、全て彼女の管理下にある。
私は偉大なる成果をあげた・・・。研究そのものは成功したのだ!
惜しむらくは、あの方さえいらっしゃったなら・・・。それだけが・・・!
・・・この文面を読むものよ、どうか覚えていて欲しい。
偉大なる指導者、天聖上君小伏晴臣の御名と、
その忠実なるしもべにして真理へ扉を開いた男・児島道幹の栄光の名前を!
・・・追伸、これを読んでいる君達が、無事に生きてここから出られる事を祈っている・・・。』
その43
二人は文面を読み終えていた・・・。
「狂ってるわ・・・。暴走したのが自分だという事が分ってない・・・。」
「こんな奴のために今日子が・・・!」
二人ともすべき事は、もう分りきっていた。
ホストコンピューターを破壊する。
美香は事件解明のために、プログラムそのものは保護するべきかと悩んでいたのだが、
もはやこんな忌まわしいものを残す必要はないと決断した。
この遺書で十分だ。
「タケル、いい?」
何をどうするのか美香は言わない。二人の意志は完全に一致した。
二人は警戒したまま、その狂人の屍が鎮座する部屋を出て、目的のシステム室へと向かった。
エレベーターは荷重オーバーのブザーが鳴ったままだ。
非常階段の扉がガンガン鳴っている。大勢の人間の怒鳴り声が聞こえてくる。
残念だが鍵は閉めてある。
警備員なら合鍵を持っているだろう。開けられないなら、操られた者たちだ。
そうそう入って来れやしまい。
システム室もすぐに見つかったが、美香は一計を案じ隣の部屋に入った。
この部屋も誰もいない、・・・しかし恐らく隣は・・・。
美香は小声でタケルに告げる。
「真正面からじゃドアが邪魔して木刀、振り回しにくいのよ。 このパーテーションの壁、破壊できる?」
愚問だった。タケルは壁の前にある机を無造作にどかすと、
助走をつけてショルダータックルを思いっきりかます!
またもやフロアー全体が揺れ、パーテーションを支える支柱が折れ曲がる。
天井がボロボロ崩れ始めた。
壁は「くの字」に折れ曲がり、その奥からは大勢のどよめく声が聞こえてくる。
「次で完全に破壊するぜ、美香姉ぇ?」
「よろしくお願いするわ、 わたしの可愛い弟ぎみ?」
再び爆発でもしたかのような破壊音と共に、タケルのミサイルのような足刀が炸裂した。
支柱に区切られていた壁が完全に吹き飛ぶ。
「人間相手は手加減するのよ?」 穴が開いた空間から現われる男女の群れ・・・、来るなら来い!
今日はここまでっす。次回辺りでメリー出せるかな?
Ladyさん!お疲れ!!
引き続きいってもいいでしょうか?
・・・って・・・500はLadyサンだったのねwwwww
さすがに痛いところをついてきますねwww
>三角関係
508 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/17(月) 19:26:50 ID:2j7Nt/+J0
【あらすじ1から4>199-202】
【あらすじ5から7>241-243】
【74番目>250 75番目>251 76番目>252】
【77番目>398 78番目>399 79番目>400】
【80番目>471 81番目>472 82番目>473 83番目>474】
【84番目>494 85番目>495 86番目>496 87番目>497】
88番目←今ここ
509 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/17(月) 19:27:24 ID:2j7Nt/+J0
88番目
俺の中で次第に増大しつつある黒いもの。
こいつをこのままにしておいたら、紫のメリーは、黒の鎌の餌食になってしまう。
目の前のまったく抵抗できない少女・・・。鎌に操られているとはいえ手にかける事は、どうしても避けたい。
俺は自分の腕を意識した。
・・・メリー・・・力をくれ!・・・
メリーの笑顔を、健気さを、思い返してみた。
俺の腕は、俺の意識と反して、鎌を振り下ろす。
・・・頼む!やめろ!・・・
鎌は振り下ろされた。紫のメリーの本の10センチ手前の床に、鎌は突き刺さっていた。
「え?どうして?」
紫のメリーが恐る恐る顔を上げる。
「早く。逃げろ!」
一瞬制御を取り戻した俺の身体で、俺は紫のメリーに叫んだ。
しかし、それも一瞬で腕の筋肉は奴に奪われ、俺の意識は、背後に追いやられた。
「・・・邪魔をするな。」
俺の中の黒いものが、いや、黒の鎌の意思が俺の口を借りて語る。
「・・・お前を殺そうとしているのだぞ・・・」
俺は必死に自分の意識を前に押し出す。今のこの状態では、黒い鎌の意思と身体の中で会話をするということができなくな
っていた。身体の優先権を奪い合う状況の中で、黒の鎌の意思も俺の身体をうまく操れないでいるような状態にあった。
「わかってる・・・よ・・・だからって、女の子を消すとか・・・そんな事は・・・俺が・・・させな・・・い・・・」
何とか意識を前に押し出したがそれだけを言うのが限界だった。
「ばか者・・・こやつは・・・すでにメリーが、黒のメリーが契約をした獲物を・・・横取りし、メリーを、黒のメリーを自分の下僕にし
ようとしているのだぞ」
510 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/17(月) 19:28:04 ID:2j7Nt/+J0
89番目
黒の鎌の意思が俺の身体を使い、紫のメリーをにらみつける。紫のメリーは、がたがたと震えながらも、首を横に振った。
「滅相も・・・ございませんですわ・・・。お、おそれおおく・・て・・そ・・・んな・・こと・・・」
「口ではどうとでも言える・・・。黒のメリーを下僕にするという事は、このわし・・・黒の鎌の所有者となるということだ」
「・・・・・」
「こやつの狙いは、そこにあるのじゃ・・・。最強の鎌といわれる黒の鎌の力。このわしのマスターになること」
・・・そんなこと知るかよ!・・・
俺は再び、前に出ようとがんばってみた。しかし、黒の鎌の意思は、怒りで染まり、前に出る事はできなくなっていた。
身体も同じように俺の支配下から完全に離れていた。俺の腕が鎌を持ち上げていく。
紫のメリーが、目の前で震えていた。目に涙をためながら、恐怖で顔がゆがんでいた。
―――怖がらせれば、それでよかったの
メリーはそういっていた。
―――でも・・・とめることはできなかったの
メリーが、俺の大切なメリーがそういっていた。
今の俺もまさにその状況にあった。紫のメリーの命を取ろうなどとは思ってはいない。しかし、今の俺では、自分の身体をとめ
ることができない。
しかし、ここで俺があきらめてしまったら、この子は死んでしまうんだ。おびえたまま、なきながら死んでしまうんだ。
そんな事は・・・。
「そんなことさせるかぁぁぁぁぁぁ!」
俺は、意識を前面に押し出した。
―――な、なに?このばか者が・・・
身体の中に詰まった黒いものを押し出すように、はじき出すように、意識しながら、俺は叫んでいた。
「もう、俺の身体を使うなぁぁ」
次第に身体から黒いものが消えていく。鎌のほうへと逆流していくのを感じた。
「俺は・・・お前の操り人形じゃねぇぇぇ!」
最後の塊すら、押し返した。そこで、俺は力尽きたように、鎌を手放し、崩れるようにへたり込んだ。
顔を上げると、紫のメリーが驚いた顔で、俺を見つめていた。
511 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/17(月) 19:28:47 ID:2j7Nt/+J0
90番目
「大丈夫か?」
俺は驚き顔の紫のメリーに声をかけた。彼女は、目を丸くしたまま、うんうんとただうなずくだけだった。
「怖かっただろ?」
俺もへとへとだったが、何とか腕を挙げて、紫のメリーの頭をなでた。
それで落ち着いたのか、紫のメリーの驚いたまん丸な目からは、涙が溢れ出していた。
「もう、大丈夫だから・・・・」
そういうと、大声を上げて泣き出した。
「怖かったですの・・・」
高貴な雰囲気も冷たい視線もあったもんじゃない。こうなると外見どおりのただの女の子だ。
せめて何か涙を拭くものをとりにいこうと立ち上がろうとする。足腰がふらふらだ。自分の体力の限界を超えて、黒いものにこ
き使われた肉体は、激しい筋肉疲労を起こしていた。
それでも何とかバランスをとって立ち上がったとたんに、よろけてこけた。いや、コケなのではなかった・・・。
ようやくバランスをとったところだというのに、後ろから服のすそを引っ張る奴がいたのだ。
下唇をぎゅっとかんで、上目遣いで、俺を恨めしそうに見ながら、ないている・・・紫のメリー。
冷たい視線を俺に浴びせ、見下した態度をとっていたときにはそれなりに大人びて見えたのだが、こうなるとてんで子どもだ。
「・・・いやですの・・・」
「いや、タオルを取ってくるだけだから」
「ここから離れちゃ、いやですの!」
しかも・・・駄々っ子だ・・・。
「わかった、わかったから、服をつかんでるのを離しなさい」
「どこにも行かない?」
「いかないから・・・」
まあ、仕方がない、それほどまでに、怖かったということだろう。実際、まだ手放したとは言え、床に黒の鎌は横たわっている。
「ずっとそばにいてくれる?」
「はいはい」
その返事を聞いて安心したのか、紫のメリーはようやく俺の服を離して泣き止んだ。
今日はここまでですね。
ようやく物語の導入部分が終わった感じですね・・・涙
文字数カウントしてみたら・・・400字詰め原稿用紙で200枚前後・・・。
おわるのか?
LadyさんGJGJ!!
ワクテカですよ!!!
126さんGJ!! しまった! 余計な事を言ってしまったか!?
忘れてぇ?
それにしても・・・まだ導入部分なんですか・・・? すげ・・・。
誰いなさんいいぞー! 次は逆のアングルですね?
お望みならバァルでも、がうでんタマでもニコラ爺さんでも。
祭り並みにうpされまくりましたな!
皆さんGJ!俺もこの流れに乗りたかった
つーか今朝方、俺126さんの名前間違えてたかやっぱorz
Ladyさん
いえいえwww
予想できる展開だったのでしかたがありませんww
どうしても、メリーにやきもちを焼かせたくってwww
そうですね。ようやく導入部分がおわって、事件が怒り始めました。
長すぎ・・・っていうか書く速度が遅すぎですね。
すいません。
心証風景の描写がおおすぎるのと、心理描写でかぶっている部分がおおいですね。
今日自分の書いたのを読み返してみてそう思いましたわ。
でも、女の子がかわいければ、OKですwww
>515さん
いえいえ、よくまちがえられますからwww
お気になさらずに。
僕だけですもんね・・・いまだに数字のコテww
名前考えてもいいのが思いつかなくてwww
誰いなさんおつです!
まだ家に帰りついていないので、あとでゆっくりとみますね。
その44
タケルによって蹴り壊された壁の穴は、せいぜい二人同時に通り抜けてこれる程度の隙間でしかない。
しかも膝の高さまでは、壁の残骸が残っているので一気に向かってこられる心配はない。
こちらの部屋に入った瞬間、叩き潰せばよいのだ。
さながらゾンビの群れのように単純な動きで、
目を異様に見開いてわらわらと壁の残骸を乗り越えようとする。
「う ぁ ぁ ぁ 〜!!」
美香もタケルも攻撃には躊躇はない。
こいつらは操られているだけあって、防御も何もあったもんじゃない。
目にも止まらぬ美香の太刀筋を交わす事など不可能だ。
みぞおちに喰らってうずくまる者、首筋を払われて気絶する者、
そのスピード、正確さ、判断力、いずれもただの女子大生の動きではありえない。
タケルの暴れぶりも化け物なみだ。
誰よりも長いリーチで相手を掴み、あっという間に奥の壁に向かって放り投げる。
こなれた表現を使えば、「ちぎっては投げちぎっては投げ」と形容すべきかもしれない。
中には刃物を握りしめるものもいるが、注意深い美香に手首を破壊される。
最後に美香は気づいた。
彼らを動かしているのは、所詮、プログラム。
操る人数が多ければ多いほど、その動きに複雑さを求めるのは困難なのだろう。
恐らく彼らは単純な命令しか与えられていまい。
「ふーぅ・・・。」
既にその場に立ち尽くす者は美香とタケルのみ。
終わってみれば、数えるのも面倒なほどの男女が床に転がっている。
彼らが目を覚ました時の事を思うと、ちょっと可哀想だが、今はそれに同情している場合ではない。
タケルと美香は互いを見つめ、ゆっくりと隣の部屋に足を踏み入れる・・・。
たくさんのコンピューターや電子機器、何十本もの配線が束ねられている。
かすかなモーター音や、複数の機器の作動音が聞こえるのみだ・・・。
スチール製の書類棚のガラス戸の中には分厚い書類が並んでいる。
もう、誰も邪魔するものはいない。
例の化け物はここにもいないのだろうか・・・?
「美香姉ぇ、どっからやる? 全部たたっ壊そうか?」
その45
「そぉ・・・ね? とりあえず、コンピューター本体とハードディスク、増設機器で十分かしらね?
まずは通信機器やっちゃいましょうか? あの化け物が現われても、
もう、他の人からエネルギーを吸い取れなくなるわ。
それにコンピューターからだと、どれにプログラムが存在してるか分らないし・・・。」
「よっしゃ、ぶっ壊すのは得意だぜぇ? 美香姉ぇ、周り注意しとてくれよ・・・!」
「オッケー・・・!」
その時だ、突然プリンターが作動し始めた!
二人の注意が音源に注がれる・・・。
プーッ
今度は美香の手元のモニターが明るくなる。
キーボードになんか触っていない・・・。
美香はその画面を見つめて全身から血の気が失せる。
・・・そこには髪の長い黒いワンピースの女が映っていた。
自宅で見た、あの気味の悪い映像だ。
・・・そう、今日子を殺したあの化け物・・・。
顔は・・・今見てもどんなつくりになっているか判別できない。
「・・・タケル!」
姉の怯えた表情を見て、すぐにタケルも画面を覗き込んだ。
画面の中の黒い顔のない女は、ゆらりと動きながら、
外の美香たちに話しかけてくる・・・。
やや舌っ足らずの甘えた声で・・・。
「もしもし? 私メリーさん・・・、わたしの大切なお友達を虐めちゃったわね?
あなた達、わたしを殺すつもりなんでしょう?
クスクス・・・わたし、死にたくないの。
だから、
あなたたちを
殺してあげる!!」
プリンターからは、同じ文字がどんどん印刷されてでてくる、・・・何枚も何枚も・・・。
その46
『殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!
殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!
殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!
殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!
殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!
殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!
殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!
・・・・・・・・・・・』
美香もタケルもしばらく立ち尽くしていたが、いつまでも魅入られていやしない。
タケルは気を取り直して、最初の行動に出る。
電源コードだか、通信用コードだかあまりよく分らないが、とにかく壊しまくればいい。
トゥルルルルル・・・!
不意を突いて部屋の電話が鳴り出した。
しかも全ての電話機が次々と・・・、電話機のコールランプがメチャクチャに光ってる。
これもマザー・メリーとやらの仕業だろう、
今更、こんなもので怯えるものか?
美香はタケルの動きと周りに気を配っていた。
先程のように天井の壁の隙間からやってくるかもしれない。
まさか、机の下になんか隠れてはいないだろうか。
・・・窓の外には夜景が見えるだけだ。
美香はふっとその瞬間、窓にモニターの反射が映っているのを確認した。
振り向くと、画像の黒い女性の動きがおかしい。
ドライブの音だろうか、カリカリカリ・・・と、それまでになかった、規則正しい音が聞こえ始めている。
黒い女性はゆっくりと持っていた長い金属棒・・・重そうな刃の突いた斧を振り上げてこう言った。
「クスクス・・・私メリーさん、今、あなた達の部屋の中にいるの・・・」
☆ 今日はここまでです。
電波メリーキター!!!w
その46は全部「殺す!」で埋めたら楽だなぁ、と思ったんですが手抜きと怒られそうなのでやめました。
消されたか・・・!?
そういえば126さんは「ぱぱ」関係のお名前なんてどうだろう?
カボチャさーん、まだぁー?
>>525 我々メリースレ住人からしたら羨ましい事この上ないですな。
抜け駆けは赦さぬぞ!!
ところでLadyさんサイバーなメリーさんGJ
その47
誰かが自分を見てる・・・
美香は無意識に首を動かした・・・
その方向にあるのはスチール製の書類棚・・・。
いつの間にか扉は開ききっており、何かがそこにうずくまっている。
「 キリィィリヤァァァァーッ!!」
美香の視界いっぱいにそのおぞましい姿が拡がる!
人形マザー・メリーが美香に襲い掛かった。
美香の美しい顔に分厚い斧の接近・・・!
油断こそしてはいなかったものの、受けの体勢を取ってはいない!
重量と遠心力が加わった幅広の斧の攻撃は、美香のカラダごと防御の木刀を弾き飛ばした。
「アグッ!」
彼女の柔らかいカラダが激しい音をたてて椅子や床にはずむ・・・。
美香はギリギリのタイミングで、自ら後ろに跳び下がる行動を選択していたのだ。
木刀そのものは斧の柄の部分を受けたために損壊はしていないが・・・、
攻撃が頭部に向かっていたから良かったものの、これが胴体に向けての攻撃だったなら・・・。
「美香姉ぇーッ!!」
今日子を殺され・・・、今またたった一人の肉親をも攻撃されたタケルがブチ切れた!
机の上に一足で乗り上げ間髪いれずに跳躍する。
空中を滑空するかのような跳躍力、
アドレナリンの異常な分泌により、タケルの目には全てが止まって見えていた。
眼下には床に転がった美香・・・そして醜い化け物人形・・・!
今日子を殺ったのはテメェかぁ!!
人形がタケルの攻撃に反応する。
人形の顔がこっちを振り向いた・・・。
知ったこっちゃねぇ!! このまま蹴り飛ばす!!
強烈なタケルの右足が人形の顔面にめり込む・・・
このまま人形のカラダごと壁に叩きつけてやらぁッ!!
吹き飛ばされて空を舞った人形は、部屋の壁面に激しい音を立てて激突した。
タケルは辛うじて着地に成功し美香を振り返る。
「美香姉ぇ!?」
その48
美香は寝転んだ姿勢から必死に声を張り上げた。
「・・・無事よ! それより前を見なさい!!」
人形はゆっくりとだが・・・何事もなかったかのように立ち上がる。
机の上のモニターから声が聞こえてくる・・・。
「・・・やったわねぇ? 今度はメリーさんの番よぉ?」
当然のことながら、無機物の人形を攻撃したところでダメージなどない。
だが、そのことを理解したうえで、タケルの目は人形の顔面に吸い付けられていた。
(何だ・・・こいつのツラはぁ・・・!?)
長い髪の下には確かに顔らしきものがある。
普通の人間の顔なら・・・いや、それが人形だろうが、
目のあるところには目が・・・、
鼻の部分には鼻が・・・、
口には口がついているものだという先入観があるはずだ・・・。
その前提で人の顔を区別する。
しかしこいつにはその前提が成立していない。
蝶の幼虫のように、模様なのか感覚器官なのか一見してわからない。
それともリアルなお多福とでも言えばよいのだろうか?
目、鼻、口がいずれも有り得ないはずの場所についている。
だからこそ、ピンボケの映像では顔を判別できなかったのだ。
そして今や、マザー・メリーはゆっくりと攻撃態勢をタケルに向ける。
・・・タケルは素手だ。
相手は遠距離用に優れた斧を両手で握りしめている。
自分を有利にさせるためには、あの斧の軌道の中に入り込む事・・・。
接近戦ならこっちのもんだ!
そんなことを考えた刹那、
いきなり斧の攻撃が顔面をかする。
天性のカンで避けるのに成功したが、タケルはこの人形の恐ろしさをようやく理解した。
人間なら、その攻撃に移る瞬間、何らかの反応をする・・・、
それにあわせてこちらも防御なり反撃なりに移れるが、この人形にはそういった予備的動作がない。
受けに回っていたらいつかやられる!
その49
「あっれぇ? よけられちゃったぁ? よぉ〜し・・・次こそ当ててやるぅ!」
タケルの背後でモニターの声・・・。
醜悪な人形の顔と、キャラゲーの声優のような甘ったるいボイスのアンバランスさが、
タケルをいらつかさせる。
次の人形の攻撃を待つ前にタケルが一気に踏み込む!
・・・しかし今度は人形の方が待ち構えていたようだ、
タケルの動きにあわせて斧が飛んでくる!
「う お お ぉ っ!?」
もはや避ける事などできはしない、必死で斧の柄を抑えに掛かった。
タケルの目の前で、黒光りする斧の刃が止まる・・・。
だが、敵の間合いの中に入る事には成功した・・・このまま・・・!
一方、美香は立ち上がって人形の動きを分析していた。
(学習している・・・?)
操られていた者達の動きは確かに単純だった。
だがこの人形は違う!
恐らくあの目のようなもので、そこに映るものの動きを計算して・・・フィードバックさせ、
次の行動に反映させている、・・・長引けば不利だ!
しかもここまでずっと暴れていて、自分もタケルもスタミナが限界に近い。
逆にタケルは別のことを考えている。
このまま力でねじ伏せる!
五体バラバラにしちまえば動けるわけはねぇ!!
タケルの腕の筋肉が張り上がる・・・グ グ グと音が聞こえてきそうだ。
片手で斧の柄を掴んだまま、・・・もう片手で人形の顔面を鷲掴みにする。
人間よりは軽い・・・! そのまま空中に持ち上げ何度も何度も壁に叩きつける。
このまま砕いてやろうかぁッ!?
その時、美香の耳には再びハードディスクの異音を聞きつけた。
「・・・あ〜ん、この人強い〜!? お友達のみんな、メリーさんに力を分けてぇ?」
美香とタケルには何が始まるか分らない・・・、
だが、マザー・メリーは都内全域の携帯電話に許容範囲最大の発信を行い、
適合者の精神エネルギーを吸い取り始めたのだ・・・。
>>527 応援ありがとうございます!
明日で決着つくか・・・明後日か?
戦闘の終末は頭に浮かんでいるが、物語のラストがまだ決まらん。
・・・! しまった! 訂正!
携帯電話で都内全域もクソもねぇ。
>>530最後のほう!
マザー・メリーは「自らがデータとして保有している大勢の携帯電話の番号に」
に変更!!
都内近隣の若い男女のデータをハッキングして手に入れている設定ですので・・・。
・・・やはり即興ではいろいろと・・・失礼しました。
どうでもええがな(´・ω・`)
でもGJやがな(*´・ω・`)
ヤヴェエ!
メカメリーいいですな!
悪役の匂いがプンスカいたしやがりまするですわよ!
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁGJ!
ところで、コイツの面ァ福笑いみたいな感じで脳内補完しても構わないのかね?Ladyくん
どもです!
>>533 ケムール人(ウルトラQ)みたいに目が変なとこについてたり、
鼻の突起がただの肉腫みたいに見えたりとか、
口がリアルに半開きとかそんな風に・・・。
ラテックスでリアルに創り上げたパーツをのっぺらぼうに張り合わせてみてください。
口の中は空間も再現してくださいね。
貞子ばりのかつらをかぶせて、暗がりで突然幼い子供に見せてみてください。
泣き出したり、一生消えないトラウマを背負わせたら成功です。
OKです!
来月くらいに断りなく絵でも描いてみたいと思いまする。
人間よか怪物のほうが得意なのよねえへはひゃひゃひひひはははふふ
武器のチョイスが長斧てとこもたまらなくナイス。いいねぇチェーンソーとかも派手でいいかもねぇ
ナタとかもかなり癒されるかもしれない。
名無しさんかな?
>>536 間違いないでしょう。
>>535 別に来月まで待たなくても、今週だって・・・いやいや、明日だっていいじゃないですか。
定番・・・としてはバールのようなもの・・・なんかは?
あ、今、思い出した。 プレステの「サイレン」の高遠センセの髪を長くしてくれれば・・・。
いや、美耶子タンが高遠センセのような化け物になったイメージでも。
>>536そうです僕です名無しです。
コテ付け忘れたorz
んでLadyさんの言ってる事がさっぱり解りませぬ。辛うじてサイレンは名前だけしってるんですが・・・
ここ数年、ゲームなんてちっともやらんもんで・・・orz
まぁとりあえず、新しいスケッチブックと画材を買い揃えるのに
まぁ懐事情と申しまするか、来月にならんとどうにも苦しいもんでしてアハハ
まぁ、待ってて下さい。かなり俺の趣味全開で挑ませて頂きます。
>>538 ああ、ご存知ありませんでしたか、失礼しました。
昨晩がむばって5話作れた。一応今日は三話だけにしとくけど。
つーか戦闘シーン長すぎ・・・。Lady メリーでもここまで長い戦闘はなかったはず。
しかも前作の最終章に迫る勢いの話の長さ・・・こ、こんなはずじゃ・・・。
その50
人形の手足が床と壁に接した。
そしてタケルの右手は人形の抵抗の力を感じる。
「うっ・・・?」
急に人形の頭を動かす事ができなくなったばかりか、
人形は野獣のようなパワーを誇るタケルに逆らい始めた!
・・・ギ・・・ギギギ・・・
関節をきしませながら人形が立ち上がる。
「・・・う、うそだろ? お・・・おれの力を!?」
掴んだ顔の隙間から、不ぞろいな目玉がタケルを見つめる・・・、
「キキキキキキ・・・・」
笑っているのか!?
いきなり人形は、斧から片手を離しタケルに掌手を食らわす!
「ぐわぁっ!」
タケルの巨体が机の上に吹っ飛ぶ!
必死に機材につかまり敵の追撃に備えたが、タケルの目には驚愕と恐怖の色がにじみ始めていた。
姉の突き以外で吹っ飛ばされたのは初めてだ・・・それを、こんな気味の悪い人形が・・・。
考える時間も与えられず、更なる攻撃が降り注ぐ!
頭上から一気に斧が襲い掛かった!
身を捻ってギリギリ避けるが反撃する態勢に戻れない。
斧の刃は机をほぼ叩き割ったが引き抜くのに時間がかかる。
だが、自分のパワーを上回るマザー・メリーの攻撃に臆してしまったら、
心を立て直すのは困難だ。
そしてさらにマザー・メリーは学習する。
後ろに障害物があるときはこの攻撃は効率が悪い。
「クスクス・・・逃げちゃイヤ!」
その声と共に再び人形がタケルに襲い掛かる。
「うわわああああッ!!」
形勢は一気に逆転した。
並べられた机の上をタケルはみっともなく逃げるだけ・・・。
マザー・メリーはモニター上で「えい! えい!」と発声しながら斧をブンブン振り回す!
その51
タケルは部屋の片隅の方まで追い詰められつつも、何とか床に着地する事までは出来た・・・。
だが、これ以上は逃げようがない。
マザー・メリーは机の上から誇らしげにタケルを見下ろす・・・。
次の一撃を避けることは出来ない・・・。
「あ・・・あぁ〜あ・・・!」
パニックになりかけたタケルは目の前のごつい機材を持ち上げた。
苦し紛れの盾代わりだ!
だが、・・・こいつは盾の役目を果たしてくれるのか・・・?
こいつごとバッサリやられちまったら・・・。
だが、人形は攻撃をかけてこない・・・。
(なんだ? 何をこいつは待っているんだ? それとも警戒してるのか?)
・・・タケルの息は絶え絶えだ。
必死に呼吸を整えながらタケルは気づいた、
(待てよ、オレが持ってる機材はもしかして大事なモンなのか!?)
その可能性は高かった・・・。
どうすればいい・・・?
床に落としただけじゃほとんど効果はあるまい?
思いっきり叩きつければよさそうだが、それには隙がでかくなる、
・・・そしたら人形は間違いなくオレの首を刎ねるだろう・・・。
八方塞になったタケルは助けを求めるように姉に気弱な目を向けた。
・・・だがその目はタケルを突き放すような目であった。
美香はタケルに視線を合わせた瞬間、避けるように視線をそらしたのだ。
姉ちゃん!?
タケルの心を絶望が襲う・・・嘘だ! 姉ちゃんがオレを見捨てるなんて!
たった二人だけの姉弟なのに・・・!
タケルの意識に現実の死の実感が湧き上がる・・・。
目の前の化け物・・・。
い や だ ぁ・・・!!
タケルの脳裏に過去の思い出が浮かび上がる・・・これが走馬灯というものなのか・・・?
( タケル ・・・タケル! )
その52
タケルの記憶に浮かび上がったのは、美香の自分を叱責する声だ・・・。
(タケル! しっかりしなさい! 男の子でしょ!? 何を泣いてるの!?)
いつも、姉は自分を叱ってた・・・。
優しい時もあった。
両親が死んで間もない頃、拙い料理の腕で自分の大好物を作ってくれた・・・。
剣術稽古で怪我した時は、一生懸命包帯を巻いてくれた・・・。
高熱を出して死にそうになった時は、眠りもせずに自分を看病してくれた・・・。
でも、決して・・・自分の苦しい事や悲しい事はオレに見せなかった。
普通の女の子なら、誰かに悩みやグチを聞いてほしいはずなのに・・・。
誰かに慰めて欲しいはずなのに!
一度だけ・・・泣いてるのを見たことがあった・・・。
父さんや母さんが交通事故で死んで・・・葬式を済ませ・・・夜、全てが終わった時、
誰もいないとこで隠れて姉ちゃんは泣いていた・・・。
必死に・・・声を必死に押しとどめて・・・。
オレに決して聞かれないように・・・たった9歳の女の子が!
オレはそれを見て、分った・・・。
決して今、出てっちゃいけない・・・姉ちゃんが泣いてるのを見ちゃいけない・・・。
あの時、何故かそう思って・・・すぐに自分の部屋に帰ったんだ・・・。
強くならなくちゃ・・・、姉ちゃんを絶対泣かすことがないように・・・、
姉ちゃんはいっつもオレの事を考えてくれてたんだ・・・。
自分を犠牲にして・・・。
なのに・・・オレは!!
・・・ほんの一瞬の間であったが、タケルの心に再び火がついた。
先程の美香の行動には意味がある!
タケルは視線を目の前の人形に固定しながら、必死に視界の隅で美香の行動を把握しようとした。
先程の通信ケーブルか!?
そう! 美香は人形がタケルに気を取られている隙に、
人形の力の根源を破壊しようとしていたのだ・・・。
タケル、・・・頑張って、・・・あなたは誰よりも強いはずなんだから・・・!
☆ 今日はここまでです!
GJ!焦らすねw
LadyさんはウルトラQ世代か…
いえ、キャプテン・ウルトラ時代です。
セブン以前は再放送です。
レディさんじじぇい!
ロボメリーつぇぇっスな。
世界が繋がっていそうなだけ、なんだかLadyさんのオリジナルメリーが恋しいこの頃ス。
>>546 ありがとう!
でもLady はもう書きません。
ベッドですやすや気持ちよさそうに眠ってる子供を起こしてあげたくない心境です。
前スレや前々スレを読み直してくれれば・・・というのは傲慢でしょうか?
検索が大変なら、この場でURLとレス番号までは提供しますので、どうかご容赦を・・・。
ところでカボチャさんがまたサボリだしたぁ〜。
早くつづき読みたいぃ。
その53
美香はゆっくり慎重に壁際のケーブル配線の所まで向かっていた。
コイツを破壊すればパワーは弱まるか、うまくすれば止める事ができる。
タケルに注意が向けられている今しかチャンスはない。
タケル、持ちこたえて!
あと2メートル・・・いや、1メートル進めば自分の間合いに入る、
狙いは絶対外さない・・・必ず破壊してみせる。
・・・だが・・・
「クスクスクス・・・、メリーさん、みーつけた!」
人形は美香の動きを見過ごしてはいなかった!
突然向きを変えて美香を襲う!
「キィィリリリレヤァッ!!」
「畜生!!」
やけになったタケルは持っていた機材を床に叩きつける!!大きな音を響かせるが何も変化はない。
人形にぶつけた方がまだマシだったか!?
すぐさま人形の後を追うがもう遅い・・・追いつけはしない。
・・・しかし美香は動じなかった。
腰を落として床を這う自分・・・、
机の上を歩き上から振り下ろす動作の人形・・・、
どんなにパワーがあろうとも、自分の位置までに斧を合わせるには、
腰を大きく曲げるか飛び降りるしかない。
美香の狙いはそれだ。・・・敢えてこの状況を選んだのだ、
その緩くなるスピードの間隙を縫い、緒沢家古流剣術最速最大破壊力の奥義を叩き込む為に!
その奥義とは、大地や地面を鞘に見立て、
居合いの要領で太刀のスピード・精度・破壊力を一気に昇華させる必殺の技!
・・・地面からつま先、つま先から足首、そして膝・腰・背骨・肩肘手首指先!
全ての力を破壊する一点に集中・・・
砕 く !!
・・・雷光にも似た超至近距離からの一撃ッ!!
斧が振り下ろされるまさにその寸前・・・人形の右手首は大きな破壊音と共に木っ端微塵に砕け散る!
勢いあまって斧は吹っ飛び、部屋の扉に深々と突き刺さった。
その54
「ギィィィィッ!!」
人形が一瞬の戸惑いを見せた瞬間、タケルが後ろから羽交い絞めにする。
「美香姉ぇ! 今だ!!」
今の自分の力でどこまで持ちこたえられるか・・・?
いや、美香姉ぇがケーブルを破壊してくれればそれで終わるはずだ!
美香は今一度、壁につながるケーブルのコンセントを確認した。
すぐさま態勢を立て直す。
そこにあと一撃加えれば・・・!
人形はもがきながら残った左手でタケルの顔面を掴む・・・万力のような力だ!
「ぐぁぁぁあ〜・・・!」
人形を抑えながらも、タケルは必死にその手を外そうとするが、
マザー・メリーは首を180度回転させケタケタ笑う。
このままタケルの顔を潰す気だ。
ふっ・・・ざけんな よ・・・人形ごとき がぁ・・・!
タケルは人形の手首に最後の力を込める。
「・・・て め ぇ は 終 わ り だ ぁ ッ!!」
人形の関節が軋みだした・・・、パワー出力は上でもボディの耐久度は別だ!
モニターのほうからは、マザー・メリーの怯えたような哀願する声・・・。
「・・・なに? やめて・・・、やめて! お願い! 何するのっ!?」
・・・
美香は終に渾身の一撃を放った・・・! 壁の表面ごとケーブルの接続をごっそり抉り取る。
そしてほぼ同時に人形の残った左手首が、タケルによって砕かれてしまった。
「いやあああああああああっ!!」
人形マザー・メリーはメチャクチャに暴れはじめた。
その暴れぶりに驚いてついついカラダを放してしまったが、まだ余力は十分なのではないだろうか!?
しかし、エネルギー供給源と攻撃手段を失って混乱しているようにも思われる。
プリンターからはいつの間にか、先程とは異なる文字が流れ出していた・・・。
「・・・殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない・・・」
その55
勝負はついていた・・・。タケルは再び人形のカラダを抑えたが、
そのボディからどんどん力が抜けていっているのも実感できた。
「美香姉ぇ! ・・・このまま全部やっちまえ!!」
タケルはこの後、美香がそこら中の電子機器を破壊しまくるかと思っていた。
・・・だが姉の様子がおかしい。
美香は息を整えながら、マザー・メリーの画面が映っているコンピューターまでゆっくりと移動した。
画面のマザー・メリーは必死に叫び声を挙げている。
「イヤ! イヤ! 死にたくない! 助けて!! 助けて! また殺されるの!? もうイヤぁ!!」
美香はそれをじっと見つめていた・・・。
画面上ではカーソルが点滅している。
美香は静香にキーボードを叩く・・・「メリーさん? 怖くないから安心して。」・・・と。
「お・・・おい? 美香姉ぇ?」
人形は静かになった・・・、完全に力がなくなったのかもしれないが・・・。
「美香姉ぇ・・・ぶっ壊すんじゃ・・・?」 美香は静かに答える。
「そう思ってたんだけど、ここのコンピューターを壊しても、もしプログラムを外部に転送してたら、
また同じことが起きる。だからデータの入出記録をチェックしないうちは壊せないわ・・・、それに・・・。」
「それに?」
「何故、このプログラムは暴走したのかしら・・・?」
「ええっ? 今更・・・そんな・・・?」
「元から戦闘用プログラムだったなら、在り得たかもしれないけど、
いきなりそんな物は作らないだろうし、そうなると偶然でここまで一貫した行動は取れないはず・・・。」
「つ・・・つまり・・・?」
「プログラムも集めた精神エネルギーもそれ自体は意志を持たない・・・、
ここの社長の記述を思い出すのよ? この人形にはプログラマーの死体が使われている事を・・・。」
「あ・・・え?」
「この人形に意志を持たせたのは、殺されたプログラマー達の思念なんじゃないかしら?」
「そ、そうか! ・・・でもだから・・・どうすればいいん だ?」
美香はゆっくり顔を見上げてタケルを見つめる。
「・・・タケル、緒沢家発祥の縁起を覚えてる?」
美香はその厳しい表情で、いったい何をするつもりなのだろうか・・・?
☆ 今日はここまでれす。
あと、2〜3日でラストかな?
連投スマソ。
角ニのほうにSSが投下されてるが、
主人公の名前が上田・・・?
126さん、関係ないよねぇ?
>552
Ladyさん、おつ。
ちがうよ。
浮気してる余裕があったら、続き書きますってwww
良かった。早く書いて下さいね〜。
漏れも『上田』でぱぱを思い出したよ
い、いつもぱぱの事考えてる訳じゃないんだからね!!
>>555 まぁ、そう照れなさるなよww
俺は土曜の昼下がり、部屋でアレを読みながら『上田』の名前に
某推理ドラマの某巨根教授を思い出していたよ。
どんとこ〜い
こっちにも新人さん来ないかな? ショートでもいいのに・・・。
明日でセカンドストーリー終わりだよ。
向こうは盛り上がりそうでいいなぁ。
まぁ、わしのはみんな飽きてきたか、質のせいもあるんだろうけど。
Hシーンもなかったからなぁ・・・。
後で、Ladyシリーズからの全女性キャラ、ブラカップサイズ公表しちゃおうかしら?
では、今日の分いきます。
その56
その質問は、すでに家督を継がないことが決まってるタケルにはきつい質問だ。
覚えちゃいねー・・・って。
「え・・・えーと、大昔のえらーい神様の子孫だってことだよな?
元々はそいつを祀る神職で、爺ちゃんの前までは神主だったんだよな・・・?
なんとかのミコト・・・だったよね・・・? タケハヤ・・・なんとかゴニョゴニョ・・・」
「・・・社(やしろ)そのものは、今は田舎の信者の方に管理してもらってるけど、
本来、緒沢家を継いだ者は、代々伝わる様々なしきたりや縁起を伝えていかなくてはならない・・・、
そこまでは・・・いいわね?」
「お・・・おう・・・。」
タケルに抱えられた人形は既にぐったりとしている・・・時々無意味な動きを繰り返す。
「私が受け継いだ緒沢家門外不出の『祓の剣』は、もともと侍や武士の剣術じゃない・・・。
神職に携わるものとして、魔物や魑魅魍魎を鎮める為に、
1000年以上に亘って受け継がれてきたものだわ・・・その事は?」
「そう言えばそんな事を・・・て、まさかこの状況でそんな話をするってことは・・・」
美香は立ち上がって、凛としてタケルに告げる。
「その人形をこっちに持ってきて。
・・・私も初めてだけど、この人形を成仏させる事が出来れば・・・!」
「そんな事ができるのか!? 第一こいつは今日子を殺して・・・そんな奴の為に!!」
「罪があるとしたら、この人形を作った奴よ! 殺された人の魂はモノを考える事が出来ない、
魂の無念さ・・・、殺される事への恐怖とプログラムが融合してこんな事態に発展したに違いないのよ。
・・・それにタケル、家督を継がないあなたには、今まで『祓の剣』を見せた事はないわ。
それは家督を継ぐ者にしか見せられないものだから・・・。
でも、もし私に万一の事があった場合、緒沢家を継ぐのはあなた・・・。
いま、ここで、その技を目に焼き付けなさい・・・!」
「またそんな不吉な・・・万一って・・・。」
だが、美香の強固な意志にタケルは反論できやしない。
タケルは美香の指示を受け、机の位置をずらしてスペースを造り、
人形をモニターの手前に立てかける。
身を清める代わりなのか・・・美香は上着を全て脱ぎ捨て、下着のみの姿で人形の前に立った。
その57
(何だ何だあ!?)
下はさすがにそのままだが、上は薄いグリーンのレースのブラだけだ。
ローライズのウェストからはブラとセットの下着も見え隠れする。
・・・まぁ、普段、家で見慣れてるからどおって事は無いが・・・。
胸からはいぶし銀のネックレスが垂れ下がっている。
普段なら「ぺったんこ胸」とでも言う所だが(その場合は血を見る覚悟がいる)、
今はそんな状況じゃない。
しかも美香があんな目をした時に、どんな男だろうと茶化したりふざけられるものではない、
・・・それは女神か女王のような絶対的な威厳を、見るもの全てに与えるものだから・・・。
準備が全て整うと、美香は再び弟を真剣なまなざしで見つめる・・・。
目で詰問しているのだ・・・、
覚悟は出来たのか・・・と。
タケルもそのことは察知した・・・、しかしながら、1000年以上に及ぶ伝統と重みを、
自らも支える覚悟を決めれる程、タケルの心の準備はまだ整ってはいない・・・。
美香は抜き身の刃のような厳しい視線をタケルに突きつける。
気弱なタケルは思わず視線を落としてしまうが、自分がすべき事ぐらい理解はしているのだ。
・・・自分で立てた誓いを忘れたのか? いや、忘れるものか・・・。
それはオレが強くなる事・・・、美香姉ぇが安心してオレを見ていられること・・・だから・・・。
タケルは勇気を振り絞って姉を見返す・・・力強く!
全部受け止めてやる!
しばらくそのままの状態が続いた・・・、
が、美香は表情こそ変えないものの、弟の意志を誇らしく受け止め、、
今一度人形を見下ろし、握りしめていた木刀を、片手で天にかざす。
「・・・葦原の国にて迷いし荒御霊よ、此処は汝が留むる処にあらじ・・・、
我が指し示す道路(みちぢ)に寄りて、汝のあるべき処に鎮め奉らん・・・」
詩でも吟じるかのように、美香の声が静かな部屋に響き渡る・・・。
ほんの一瞬、目をつぶったかと思うと、すぐに目を開くと同時に右手を払って木刀が大きな弧を描く。
美香の舞が始まった・・・。
腰を深く沈ませ、腕をいっぱいに広げながら・・・、時に静かに・・・時に激しく・・・、
悲しそうでもあり、優しそうでもある不思議な舞踏・・・、タケルが始めて目にする「祓いの舞」・・・。
その58
それは、タケルがこれまで見知ってる如何なる舞踏にも、
似ているようで似ていない奇妙な舞だった・・・。
しめやかな神楽の様でもあり、情熱的なフラメンコのようでもあり、華麗な歌劇のプリマのようでもある。
緒沢家が伝えていたのは、遠い遙かな古代のシャーマンの記憶・・・。
時代や様式、言葉が変化しても変わりなく伝えられていた原初の神事であったのだ。
後に神道や武術の発展などの影響も受けたが、
その本質は変わることなく子々孫々まで伝えられてきた。
そして今、当代継承者の美香は、その秘儀の一部を弟に伝えようとしていた・・・。
タケルはみるみる成長している・・・、まだ頼りないしお粗末な事が多いが、
彼も間違いなく緒沢家の血を受け継いでいる・・・。
美香はこの事件でそれを確信するに至ったのだ。
そしてまた弟のタケルも姉の美しい舞いから全てを学んでいた。
天女の舞のような美しさに目を奪われながらも、
その流れ、リズム、目の配りや指先の細かい角度でさえも、
頭で覚えるのではなく、己が目に刻みつけていたのだ。
・・・祓いの儀式が終わっても、タケルは目を逸らす事が出来ない・・・。
美香も静かに舞踏の余韻の中にいる・・・ある種のトランス状態の中にいたのだろう、
なかなか、「こちら」に戻ってこれない。
タケルと美香は段々と意識を取り戻し始めた・・・。
美香ももう体力は残っていない、
よろよろとよろめくと、タケルが下着姿の美香のカラダを支える・・・。
その目ももう、瞼が重く半開きだ・・・だが、その視線はマザー・メリーとモニターに注がれていた。
人形はもう、ピクリとも動かない、モニターもカーソルが静かに点滅しているだけだ・・・、
その点滅の直前のメッセージは、一言
「 ありがとう 」
・・・
それだけ確認すると、美香はタケルを見上げて、
「・・・やったじゃん・・・?」
と、勝ち誇ったように微笑んだ。
☆ 今日はここまです。
古文の使い方が滅茶苦茶でしたらご指摘くださいませ。
では。
れでぃさんに飽きる?
・・・そんな事あるわけないジャマイカー!!
今回もGJです
美香姉ぇの下着姿・・・
(*´Д`*)ハァハァ
>>556 巨根・・・
(*´Д`*)ハァハァ
>>LadyさんGJ
Ladyさんは神話の知識に精通してるのかな?
毎度驚かされます。
それにしても…美香姉さん…。素直に萌えたいのに、うちの姉と同じ名前orz
>>561 ど〜んとこ〜い!
アンカミスったorz
Ladyさんにど〜んとこ〜いしちまったよ。。。
>>562 巨根教授と貧乳手品師
トリック(?)だっけ?
貧乳はぁはぁ
巨根貧乳…
(*´Д`*)ハァハァ
>>562 ありがとうございます・・・なんか書くほうも読むほうも限られた人だけなのかなぁ?
と、とても不安なのです。でも楽しんでくれる方がいれば!
>>563 ま、お姉さん美香さん!? そ・・・それは微妙ですね?
明日は美香姉ぇの独白があるので、是非読んでもらいたいのですが・・・。
なお、神話はわたしの世界の基本です。起源が古いほど得意です。
知ってる名前が物語に出ているなら、さらに奥行きを楽しめるかと・・・?
ストーリーはいきあたりばったりですが、
キャラと世界観は前作とは矛盾しませんので。
美香姉ぇはAカップですよ!
そうそう!美香姉に萌え萌えな、貧乳ずきの私がきましたが。
萌えるだけ萌えて、去っていきますよ!
明日に向けて・・・。
わくてか〜
>知ってる名前が物語に出ているなら、さらに奥行きを楽しめるかと・・・?
密かにバァルにニヤリとしていた俺がきましたよ
それより美香姉ぇ・・・・・
>>126さん、同志!w
>>571 あ、ごめんなさい! バァルだけは名前を拝借しただけで、
神話を反映させたキャラじゃないんです。
一応、奴はれっきとした人間なので・・・。
分りやすく言うと大物の名前を騙った奴・・・ぐらいに考えてください。
大物はちゃんといま・・・ゲフンゲフン!
>>568 神話は好きなんですけど、中途半端にしか知らないんですよね
なんちゅーか、広く浅く?いや、狭く浅くかもしれなひ;
…おっとクレヨンしんちゃんを観なければならないので、こらで失敬するよ
ごきげんよう
まとめサイト更新されてないorz
>>573 え・・・え、いや、次回作じゃなくて裏設定というか・・・脳内ストーリーというか・・・、
メリーに関係ないからそこまで明らかにする機会はないか・・・と。
ただ、次回作のタネぐらいは頭に考えてるけど、芽が生えるかどうかは分りません。
>>576 毎日、何十人も見てるみたいなのにねぇ?
でも、Reiさんて人が、今、向こうでやってるネタを転載するとか言ってたから、
もうじき更新するんじゃないかな?
あの人が管理者なの?
ではまた夕方に。
その59
美香の携帯にメールが届いていた。
服を着終わった彼女は、それを読むとすぐに電話をかける。
もう警戒する必要はどこにもない。
「・・・もしもし、いらっしゃってくれました? ・・・あら? はい・・・大丈夫です。
エレベーターはすぐに・・・。 はい。 ・・・。」
電話の途中で美香はタケルに指示を出す。
「タケル? エレベーター直しに行ってくれる?
非常階段のほうは、警備員さんと操られてた人たちで大騒ぎになってたみたい。」
それは確かに大変だ。
タケルは慌てて部屋を飛び出る。
さっき自分がぶっ飛ばした者達も、一応、命は取り留めているようだが・・・大丈夫かなぁ・・・。
既に意識を取り戻しているものもいるが、幸い、タケルを覚えている事はなさそうだ。
会話が出来る者にはとぼけて、下へ降りる事を勧める。
部屋へ戻ると、美香は電話を終えてタケルを待っていた。
「お帰り・・・! さ、私たちも行きましょう!」
「ここは・・・このままでいいの?」
「探偵さんが部下を引き連れて下まで来てるわ、プログラムや、記録媒体、全て始末するようよ?
救急車も手配してくれるみたいだから、私たちにはもうする事がないわ。
・・・警察は後回しでしょうけどね?」
「・・・そうか、帰っていいんだよ・・・な?」
タケルはようやく緊張の糸を解いたのだが、まだ気に掛かる事があるようだ・・・。
「美香姉ぇ・・・オレ・・・もう一度、今日子のところに・・・」
・・・変わらないわね、タケルは・・・、だけど、それはこのままでいいのかもしれない。
性格が逆だったら・・・と昔からみんなに思われてきた。
でも、悪い事じゃない、今ではその事も含めて受け入れられる・・・あるがままでいい。
「ええ、タケル、お別れに行きましょう。」
二人は部屋を出て廊下を歩き、先程の応接室まで戻ってきた。
あらためて部屋の惨状に目を見張る。主にタケルの暴れた事による被害のほうが大きい。
・・・本人も自分でここまでやった事が信じられない。
その60
部屋の中には先程と同じく今日子の死体が横たわっている・・・。
タケルは再び今日子の頭を抱きしめた。
必死で声を押し殺すものの、涙は止める事ができない。
美香は少し離れた所で弟の背中を見守った。
・・・いつの間にかあんなに大きく・・・。
今日子のことは確かに悲しいが、今回の事件でタケルの成長を確認する事が出来た。
こんなときでも美香は冷静な思考を保っている、
そんな自分がイライラすることもある。
昼間、タケルに指摘されたように自分は冷たい人間になっているのだろうか?
・・・感情はある。悲しい事も嬉しい事も・・・今日もタケルが最後まで音を上げなかった事が、
何よりも嬉しい。
でも、他の友人の女の子達と比べて、自分は全く異質の存在だ。
美香は女性にも男性にも好かれるタイプだが、男性はある一定の距離以上は近づけない。
仮に近づいても相手にならない。
従って疎外感・・・と言うものは彼女の心に浮かんだ事はないが、結局は自分は一人である、
という孤独感が常に彼女の心を支配していた。
大人たちに「優秀だね、完璧だわ、模範生だ、優等生よ、天才だよ、強いなぁ・・・」
そんなことを言われるたびに傷ついてきた、
「 おまえは 普通の 人間じゃない 」とでも言われているようで・・・。
受け継いだものがあまりに大きいために、反発する事すら許されず、
自らの務めを果たす事しか、幼い少女には選ぶ道はなかっただけなのに・・・。
・・・だが、今や自分はその務めを果たしつつあるのではないだろうか?
見て! お父さんお母さん? タケルはこんなに大きくなった。
わたしはお父さんやお母さんの役目を果たしたよ!
これからわたしがどうなっても、きっとタケルは私たちの意志を継いでくれる!
わたしすごくない? たった一人で・・・ここまであの手のかかる男の子を育てたんだから!
ねぇ!? どう? お父さん! お母さん! わたしを褒めてくれる?
わたしを! 昔みたいに頭を撫でてくれる!? ねぇ? ・・・おとうさん・・・おかあ さん・・・
その61
タケルはいつの間にか立ち上がっていた・・・、今日子に最後の別れを告げたようだ。
「美香姉ぇ、・・・もういいよ・・・。
・・・? 美香姉ぇ? ・・・泣いてるの?」
言われて美香は、初めて自分の頬を涙が伝っているのに気がついた。
「・・・あら? ホントだわ? いい加減わたしも緊張の糸が解けすぎたみたい・・・。」
涙の本当の理由は言わなかった・・・。
なんたって、タケルはまだまだガキだ、・・・増長させる事もない。
「・・・年取ると涙腺緩むってゆーぜぇ?」
しかも生意気だし!
木刀の柄で遠慮なくタケルの頭部をこづく。
これで平和な日常へ戻れるだろう、今はそれでいい。
エレベーターから、何人かの黒服の男達が登ってきていた。
帰り際に美香たちと鉢合わせになる。
「・・・あなた達は日浦さんの・・・?」
「緒沢様ですね? 支部長は下のエントランスでお待ちしております。」
そう言って彼らは任務を実行しに入る。
美香とタケルはエレベーターに乗り、悪夢の惨劇からようやく開放された。
一階では、異常に気づいて騒ぎ出している職員もいたが、
それらを横目に、最初と同じようにカップルのふりをして、何事もないかのように通り抜けた。
・・・その時タケルは、自分の隣で腕を抱いている姉の目が輝いたのを見逃さない。
その視線の先には、先程の男達と同じく黒服の男がいた。
・・・あれか。
美香はタケルの腕を解くと、小走りにその男の下へ駆け寄った。
今度はタケルが微笑ましく姉を見つめる番だ。
初めて見るぜ、美香姉ぇのあんなとこ・・・。
やっぱり、女の子はああじゃないとな?
さて、・・・どんなヤツだぁ?
その62
タケルは後からゆっくりと近づいた。
ひょっとしたら兄貴になるのかぁ? と品定めをする為に・・・。
男と視線を合わせると、緊張気味に挨拶をする。話しかけたのは男の方からだ。
「お? タケル君だね? 前よりもっと大きくなったんじゃないか!?」
「え? 以前にお会いしましたっけ・・・!?」
美香が割って入る。
「失礼ね、お爺ちゃんのお葬式で会ったでしょ?」
「えっ! あの時いた・・・いらっしゃってたの? すいません!」
いきなり低姿勢になるタケル。
「ああ、気にしなくていいよ、葬式だけじゃ一々相手の顔なんて覚えてられないのが普通だよ。
・・・でも、君とはご両親が亡くなった時にも一度会ってるけどね?」
「えええっ!? それこそ申し訳ありません! 何だよ! 美香姉ぇ、それならそうって言えよ!」
美香はくすくす笑うだけだ。
とりあえず、タケルの印象は良かったようだ。
元々、美香にはある程度年上の方が相応しいとは思っていたし・・・。
このあと、美香は最後の状況を説明し、日浦に全てを任せ、タケルとその場を後にした。
明日はきっと、武蔵野の自宅で二人とも爆睡する事になるのだろう。
二人の姿が見えなくなると、日浦の部下であろう男が近づいてきて話しかけた。
「・・・彼女ですか? 騎士団の監視対象団体の一つ、『スサ』の現頭目・・・。」
騎士団極東支部支部長、日浦義純は静かに答える。
「君は見るのは初めてか・・・、最悪の事態だけは避けたいが、もし本部の意向が決まるなら・・・、
覚悟しとけ。 はっきり言って騎士団内で、彼女の統率力・判断力・剣術、その総合において、
相手になる者はいない。最強と言われた『湖の騎士』ランスロットでさえ勝てるとは思えない。」
「・・・まさか! あんな若い女性が!?」
「だからこそ、『監視対象』なんだ。あの一族には謎が多すぎる。
騎士団が警戒するからこそ、彼女達の両親が死んだ時は、真っ先に騎士団が疑われたんだ。
本来、オレはあの時、命を失うはずだった、だが、あの娘、美香のおかげでこうして生きていられる。
・・・たった9歳の女の子がオレの命を救った・・・。
信じられるか・・・? それに・・・あの弟・・・、
以前はただの気弱な少年だった筈なのに・・・。」
セカンドストーリーその63(最終話)
・・・
・・・・・・
応接室では騎士団極東支部の者達が、事件の関係書類、ハード機器やディスクなどを回収していた。
当然、両手首をもがれた人形・・・マザー・メリーも合わせて運び出されている。
最終的には海の向こうの騎士団本部に送られるのだろう。
閉じ込められていた社員は、残念ながら誰も生き延びてはいなかった・・・。
児島社長と同じ運命を辿ってしまったようだ・・・。
警察はこの事件をどこまで追及できるのだろう?
事件に関係ないと思われる機材はもちろん、そのまま残される。
極東支部の者も、そこまで人手に余裕はない・・・。
例えばこのシステム室にはプリンターが残されている。
そんなものは持ち帰った研究室にあるもので代用できる。
従って彼らは見落としていた、
・・・そこに印刷された文字を・・・。
「 クスクス タケル タケルルルル ドコ
アタタカカッタ タケル ドコニ イル タケルル ルル
ナマエ ヨンデ アタシノ ナマエ オネガイ ダイテ サミシイ タケルルルル
タケル ネェ ズット ズット ソバニイテ
モウイチド オネガイ ダキシメテ タケルルル ヒトリニ
シナイデ アタシ
ノ タケル アタシダケノ タケル イツモ
ウシロニ イタノニ ネェ タケル ドコニ イルノ タケル タケル タケル タケルルルル
」
━━完━━
☆ はーい終わりでーす。
とゆーわけでネタばらし。
実は今回のメリーは、前スレの最初のほうで、絵描きさんのうpしてくれた「会話してくれるメリー」を
参考にさせてもらいました。
まだ、このスレ読んでくれてるのかな?
姿かたちは似ても似つかないけどね・・・。
あと、心配がひとつ。
>>579 の美香姉ぇ、誰かのストーリーやキャラにかぶってなかったかなぁ・・・?
話の流れやキャラ設定に従って、勝手に指先が動いて書き込んでしまったもので・・・。
名無しさんあたりにかぶっていなかったかが、ビクビクもの・・・。
大丈夫・・・だよね?
では、また!
GJ
Ladyさんお疲れ!
最後、今日子に鳥肌立ちました。
いやはや伏線バリバリ張り巡らせて終わったように思うんですが
こりゃ、ちょっと淡い期待を寄せちゃってもかまわないですかww
てか別に被ってませんよ。俺もよく使う手法てだけですもん。
今俺が書いてるメリー外伝なんかオンパレードです。
ぅぉおー!!
すげー!!
Ladyさん超GJー!!
日浦さんとか今までの物語と繋がる人物が出てくると、思わずニマニマしちゃうよ〜
やっぱりLadyさん好きですわ。
っていうか美香姉ぇそんなにつおいの!?
(*´Д`*)ステキ..
>>584 ・・・良かったぁ・・・(ホッ)
そうねぇ、伏線バリバリはホントは乱用したくはない手法なんですけどね。
ついつい・・・。
伏線つーか、どうしても脳内の原初のストーリーに近づけたくて・・・ただそれだけ。
>>585 ありがとうございます!
強いですよ、美香姉ぇ。何故強いかは緒沢一族の謎です。
物語上では、かつて地上を支配していた、とある神様の末裔だから・・・ということで。
説明は
>>558 に。
ばらすと、学生時代の四部作の最初の話の主人公が緒沢姉弟。
したがって、がうでんタマとも・・・ああ発作がゴホゴホッ!!
Ladyメリー氏マジGJ!そしてサボってごめんなさい!
てなわけで今回の分投下っす。行きますよー
噎せ返る血の臭い。
床一面にぶちまけられた赤。
その中心に転がる、四つの物体。
それは、胸の辺りで真一文字に切り分けられ、絶命した、オカルト研究部の山根の変わり果てた姿だった。
(鷹司がいながら…一体何が起こった!?)
血溜りに足を踏み入れ、しゃがんで死体に触れると、その切り口の肉体と服の隙間に何か光を反射するものを見つけ、それを取り上げた。
それは、胸ポケットに仕舞われていたらしき携帯電話。
一瞬顔をしかめると、山神はメリーを手招きした。
「足が汚れるの…」
「我慢しろ。それより、これ…」
斬られた携帯電話をメリーに見せる。
それは、最初からそうであったかのように、余分な傷も皹も出来ていない、現実離れした姿をしていた。
「人間業じゃないの…」
目を見開きながら、メリーが搾り出すように感想を述べた。
「これ程の切り口は俺にも不可能だ。おそらく、何らかの妖刀魔剣の類に斬られている…お前の『プリンセスグレイヴ』や、カボの『ナイトメアネイル』の様な…」
メリーとカボタンの持つ鎌は、霊力を帯びた特殊な刃を用いている。
それら二つは、肉体と共に命を切り裂くという能力を備えていた。
肉体を傷付ける事に成功すれば、其処から血液と共に生命力が漏れ、小さな傷でも確実に死に至る。
山神の持つ刀も特別ではあるが、これはこの二つとは違い、持つ能力は「折れず曲がらず欠けず」といった、いわば『完全な』刀である。
だが、余分な傷一つ無い携帯電話は、その二つの特性とは違い、ただ物体を斬る事のみに力を費やしたことを窺わせた。
そして、そんな刃物に、山神は心当たりが有った。
「…行くぞ。鷹司達が危ない」
恐怖に歪み、見開かれた山根の目を閉じ、山神は立ち上がった。
即座に走り出し、階段を五段飛ばしで駆け上がる山神を、メリーはすぐに追った。
角煮のほうすごいことになってるな
廊下に道標のように付着した血液を辿り、山神は駆ける。
刃に付いた血か、それとも誰かが負傷しているのか、それは分からない。が、今はそれと、感じる霊気を頼りにするしかなかった。
飛ぶが如くに…否、実際に、その背からは漆黒の翼が生え、地面からは脚が浮いていた。
少しでも早く。その思いが彼を駆り立てていた。
が、曲がり角直前で不意に飛行を止め、廊下に足を付けると、慣性に従い2,3歩進んでその場に止まった。
何か、居る。
刀を抜き放ち、ゆっくりとその何かに近付く。
じりじりと肌を焦がす殺気。おそらく、向こうもこっちに気づいている。
何時でもカウンターを合わせられるように、刀を突き出したまま待つ。
背後にも気配。だが、これは追いついたメリーだ。何も問題は無い。
どれほど待とうと、向こうは襲い掛かってこない…山神はそう感じた。
もし山神も暇ならそれに付き合ってやっただろう。だが、今はそんな場合では無い。
先に動いたのは山神だった。
左側の壁に邪魔されないよう、右手で右からなぎ払う斬撃を繰り出しながら、相手の前に躍り出た。
だが、相手にそれは通用しなかった。
しゃがんで躱され、下側から這い上がる様な斬撃を繰り出される。
普通なら確実に貰う一撃だろうが、山神には翼が有る。
中空に飛んで躱し、相手を見据え…
「…愚地?」
上を見上げたそいつも、山神の姿を確認し、声を上げた。
「何だ、山神か…」
それは、山神の同僚であり、また、山神と同じく「正体が人外」の、愚地礼二であった。
「危うく斬るところだったよ」
爬虫類を思わせる顔に笑みを浮かべながら、愚地が奇妙にうねった形の刀を肩に担ぎ、山神に近付こうとする。
だが、山神は構えを解かず、近付こうとした分だけ後ろに下がった。
間に開いた距離は、ちょうど愚地の刀の間合いであった。
「オイオイ、偽者とでも思ってるのかよ…大丈夫だ、ちゃんと本物だ」
「何故…何故ここに居る?」
更に近付こうとする愚地から離れながら、山神は搾り出すように聞いた。
「何故って、私は赤マントを追ってたら、偶然この学校に…」
「なるほど、そう答えるか…なら質問を変えようか。何故山根を斬った?」
「山根…誰だい、それは…」
「とぼけるなよ…切り口が、お前の刀の能力…忘れたとは言わせない。霊的な守護の無い物質を切り裂く能力…。もう一度聞く。何故、山根を斬った…!?」
愚地の、常人より遥かに大きく裂けた唇の端が、歪に吊り上った。
「やれやれ…油断させて後ろからばっさり、と思ったんだけどね…一度でも不信感を抱かせれば、君は決して私に背を見せないだろう…?」
「貴様…!」
「正確には…斬ったのは私じゃない。私のこの『蛇咬』の特性をコピーした刃なんだが…そんな事はどうでも良い…」
刀を肩から離し、長い両腕をだらりと下げる。それが、愚地の構えであった。
「君を消せと言われてるんだ…直接対決は面倒だけど、こうなってしまったからには仕方が無いね…出来れば、抵抗せず殺されてくれないか?まだ私はやる事が残ってるんだ…」
ぎり、と山神は刀を握る手に力を込めた。
メリーの様に具現化を解けるなら、「物体を切り裂く能力」は怖くは無い。
だが、山神の身体は、根元的な所では普通の人間と変わりない。
つまり、愚地の『蛇咬』ならいとも簡単にその身を切り裂ける事を意味している。
躱すか、霊的な守護を受けている刀…山神の『神刀・巌』で受け止めるしか無かった。
にやりと愚地が笑んだ。
次回、山神vs愚地!やたら長くなってごめんなさい!!次回には鷹司タンを…出せるかな…?
>>589 どんな事に…?俺角煮見ないから全く状況が分からん…
カボチャさんGJ!!
面白くなってきたー!!
次もwktk♪
Ladyさん、がうでんタマとな?
むふふ・・・楽しみがなくなる事はないようですね
角煮のぞいてこよ
おー! カボチャさんきたきた!
武器の名前かっこええですなー!!
もう少しいったら、次スレ立てるから遠慮なくガンガン書いてねー!
角二の盛り上がりに負けるなー!
・・・おまけ。
携帯の方は見れないが、最終話の今日子のセリフにはしかけが
あ
る
。
>>カボチャさんGJ!
お久しぶりだね。
んで、Ladyさんマジだ!マジ!
携帯からでもなんとか頑張れましたが…びっくりしたわぁぁ
しかしいいね。今日子ちゃん。報われない魂って感じが。
>>595 見れましたか!? ご苦労様です。
最終話うpするのに時間かかったのは、
直前になって、なんか「できないものか?」と思案した結果です。
ではまたまたコテはずしますーす。
>>Ladyメリー氏
おぉ、俺もみれましたよ、携帯からですが。
次を待ちますよ!
それにしても、電撃メリー氏はどこ行ったんだろう…
それを言ったら
ロム専さんとか芽理パパとか糸電話ネタの人とか・・・。
みんなーぁ。
まぁ、去る者は追わず…
ネタが浮かんだらまた来てくれるといいね。
マターリとやってまいりましょ。
600 :
本当にあった怖い名無し:2006/04/25(火) 00:30:34 ID:YW/mSSk60
落ちてるのでageますね
600げと!
ちょっと前に短編書いてた人の続きもほすぃ
あの儚いメリーさんよかったな。
何回も消えちゃっても結局は帰ってこれるやつ。
桜の木の下のメリーさんか!
どこに行ったんだ?
中津川女子中学生殺人事件・・・。
腐ってる・・・、加害者も友人も家族も・・・。
13歳で未成年を妊娠させ、逃げるように一家で岐阜に引越し、
懲りもせずに子供に手を出し、自分の要求が通らないと、
女生徒の首を二度も絞めて・・・。
自分の都合のためだけに・・・
自分の快楽のためだけに・・・
自分の思い込みのためだけに・・・!
誰もいない廃墟・・・。
暗がりにはタバコの吸殻、飲みかけのペットボトル・・・、
もう動かない、未来があったはずの一人の少女・・・。
放心状態にある、禁断の境界を踏み越えた少年・・・。
さぁLady メリーの登場です!
薔薇の刺繍のドレスを纏い、
か細き腕には、一振りの鎌
未来を捨て去る覚悟はできたのかしら?
Uoo La La〜、
私は見つける、法を犯したもの、そして私は近づく、物陰に潜みて、
そして私は知らせる、有罪を宣言し、そして私は準備する、死刑執行のその時を、
そして私は背後に立つ、罪を後悔させるため、
そして私は鎌を振るう、汚れた命を絶つために・・・!!
・・・だけど、この少年を裁けばそれでいいのだろうか?、
モラルが失われたこの街をどうすればいいのだろう?
誰か教えてはくれないのか?
この死神の鎌で、いったい何を切り裂けばいいと言うの?
偉大なる主よ、我に力を与えたまえ、
どんな絶望にもくじける事はなく、天地の法を守る強い意志を我に与えたまえ・・・!
・・・と、こんなんはどうだろうか?
物語にはしないが、
このネタで丸々書けそうな?
しかも内容が内容だけに、かなり重い話になりそうだったかも。
と、ニュー速まわってて考えました。
今日のネタ、終わり!
GJ!…あれ?
新章だと思って期待してしまった(;´Д`)
でも確かにメリーに裁いてほしい犯罪者はいっぱいいるね。
お。
Ladyさんお今晩和。
それにしてもひでぇ事件ですよねまったく。
俺は聖者じゃないから他人の事なんか知った事じゃないと、いつも一蹴の嫌な奴なんですが。
でも確かな募りは確かに抱いております。恋よりも燃え盛る憎悪。憂欝。
それらは慈しみよりも親しみ深い感情で、そうある事を俺は当たり前のように思ってる。
何故、不快な感情ばかりがいともすぐに感じられるのだろう。
何で思いやりを持つ事が偉いんだろう。何で怒りが普通なんだろう。
愛やら恋がなんであんなに崇高なんだろう。何で皆疲れてんだろう。
何で不安なんだろう。何で楽しいのは一瞬なんだろう。何で苦しみや悲しみに人は慣れていくんだろう。
何で人はすぐに泣きたがるんだろう。何で皆ママゴト遊びが好きなんだろう。
何で良い方を選べないんだろう。自分が良心と思い込んでるのは、実は卑屈な劣等感だと何がいけないんだろう。
何故、強くなろうとしないんだろう。何故、戦う人の足を引っ張ろうとするんだろう。疑問は尽きません。
俺はいつも、被害者の肩も加害者の肩も持ちません。願わくば、ニュースなんか見たくもない。
聴きたくもない。嫌でも耳に入るのはいつも愚かな犯罪ばかり。他人の業に心を引っ掻き回されるのが堪らなく不愉快。
この美しい世界は実は地獄なんじゃないでしょうかしらんぬふふ。
「忘れてはいかんぞ? 神は人間に苦しみと『希望』を与えたのじゃ・・・。」
と、名無しさんにニコラ爺さんの言葉を置いときますね。
・・・とりあえずヒマだったので角二のほうに「家庭ゴミ」を与えに行ってきた。
ご め ん
まぁ気になさらず。
まぁ、ニコラ爺さんがそーいうならしょうがないですねw
ありがとうニコラ爺さん。
あれLadyさんだったんだwww
ワロスwwwww
ここはオカ板だけど、オカルトな事より人間の方が怖い世の中ですね
このモラルに欠けた時代に染まらないように生きてゆかねば・・・
なんて独り言スマソ
メリーさんはその為にいるのよ!
私メリーさん。
なんで私があなた達の為に働かなきゃいけないの?
ふざけないでくれる?
…え?
ま、まぁどうしてもって言うなら…
やってあげないこともなかったりするけど…
ちょっ!?何!?その嬉しそうな顔!?
ふん!もう知らない!/////
コンビニ家庭ごみ放置事件・・・。
腐ってる・・・、生ごみもも弁当ガラも新聞紙までも・・・。
13日に地域のごみ収集。それに間に合わずに、家に放置され続けた黒いゴミ袋・・・。
懲りもせずに新たなごみを生み続け、ごみ収集に間に合わないと、
夜中にこっそりとコンビニのゴミ箱に放置する・・・。
自分の都合のためだけに・・・
自分の便利のためだけに・・・
自分の部屋の快適さのためだけに・・・!
誰もいない商品搬入の時間帯・・・。
暗がりの中で光る二つの眼・・・。両手には異臭を放つ黒いゴミ袋、
もうつまらない・・・。まだまだ入るはずだったコンビニのゴミ箱。
薄ら笑いを浮かべ手ぶらになって家路を急ぐ青年。禁断の境界を踏み越えた青年・・・。
さぁLady メリーの登場です!
薔薇の刺繍のドレスを纏い、
か細き腕には、一振りの鎌
未来を捨て去る覚悟はできたのかしら?
Uoo La La〜、
私は見つける、ごみを捨てたもの、そして私は近づく、物陰に潜みて、
そして私は知らせる、有罪を宣言し、そして私は準備する、死刑執行のその時を、
そして私は背後に立つ、罪を後悔させるため、
そして私は鎌を振るう、汚れた命を絶つために・・・!!
・・・だけど、この青年を裁けばそれでいいのだろうか?、
人すらがごみのように扱われるこの世界をどうすればいいのだろう? 誰か教えてはくれないのか?
この死神の鎌で、いったい何を切り裂けばいいと言うの? 偉大なる主よ、我に力を与えたまえ、
どんな絶望にもくじける事はなく、天地の法を守る強い意志を我に与えたまえ・・・!
(ところどころ原文ママ)
・・・すいません。。。出来心です・・・。
静かですね。皆さん小休止でしょうか…。とりあえず
>>350あたりの続きを…。
「もしもし、私メリーさん。危うく香港マフィアに売り飛ばされるとこでしたの。」
「その筋のコレクターに高く売れるものと見受けたが。しかし簡単に騙されてしまった。」
「人の好意を踏みにじる輩は許せないですの。軽く本気出してきたですの。」
「お参りする前に、その手を洗っといた方がいいと思うのだが。いやホントに。」
見上げると大鳥居であった。広い参道の両側に屋台が数珠繋ぎに続いている。
向かって右に目をやると、満開の桜並木であった。まさに宴たけなわの人々が集っていた。
「手を洗って、さっぱりしたですの。それにしても賑やかですの。桜もきれいですの。」
「気象庁が発表する東京の開花時期は、この境内の桜が基準となっているらしい。」
「80へぇーですの。とか言ううちに本殿に到着ですの。私人として参拝しますの。」
「結構並んでいるなあ。そもそも人出が多いこともあるが、ちょっと意外ではある。」
次に向かったのは千鳥が淵。堀の水面にこぼれるほど花をたたえた古木の群。
「向こう岸の桜がすごいですの。まるで桜の瀬戸大橋ですの。」
「遊歩道に沿って間近に見る桜も、空一面花弁に埋まって隙間もないほどだ。」
「雲の中を散歩ですの。まさに桜の青函トンネルですの。」
「喩えがガテン系なのが気になるが、素晴らしさについては同感である。」
貸ボートで堀を遊覧する予定だったが、乗り場は長蛇の列であきらめるしかなかった。
戦没者霊苑の方面へと進んでいく。遊歩道も終わりに近付いていた。
「とてもきれいでしたの。何か、えも言われぬ妖しささえ感じましたですの。」
「昔読んだ本にあったな。桜が美しいのは木の下に屍体が埋まっているからだと。」
「そうと聞いたら、さっそく掘ってみますなの。世界ひみつ発見ですの。」
「木が傷むからやめるべきだと思うが。見たまえ、監視員の人たちがやって来た。」
5分後。鮮紅色に染まったバールのような物でザクザク土を掘るメリーさんの姿があった。
「あら、穴から軍人さんが出てきましたの。ホントに埋まっているとは、びっくりですの。」
「兵馬俑かと思ったが、どうやら本物らしい。旧日本陸軍の装備のようだが。英霊に敬礼。」
突如、千鳥が淵が波立つ。無数のボートを転覆させ水面に浮上したのは戦艦大和であった。
水兵が甲板に並んでいた。駆け足で上陸したその顔は微笑んでいた。血みどろであった。
「メリーさん、後ろに隠れるのはいいとして、俺を盾にするのはやめてくれないか。」
「そんなことより自分たちのこの戦艦を見てほしいであります。どう思うでありますか?」
「すごく…大きいですの…。」
「大きいのはいいのであります。このままじゃおさまりがつかないのであります。」
手際よくメリーさんを拉致した憲兵が大和に乗艦する。出航の準備はすでに整っていた。
やがて空高く舞い上がると、素晴らしい速力で遠ざかり、米粒ほどになってしまった。
行き先はどこなのか。いずれにしろ、戻ってくるには、少々時間がかかりそうであった。
売店でビールを飲もうと思い、北の丸公園へと向かう。風を感じて、空を見上げた。
すでに大和は見えなくなっていた。メリーさんとともに。今頃は大気圏外なのだろうか。
「大和…俺も乗って見たかったかも…。」
羨望を込めた眼差しを空に向けながら、ちらほらと桜舞う中を歩いていった。
そう言えば、メリーさんがいなくなるのは、これで今日3度目であった。
>>616 あ、タイミング失礼しました
>>126さん…。GJ
メリーさん大活躍ですね…。コンビニへのゴミ捨て…ダメ…絶対…!!
>>619 いえいえ、Ladyさんのメリーのぱろでぃですから・・・。
今は反省しています・・・。
Ladyさんすいません・・・。
でも、家庭ごみはほかしたらだめですよ!www
アンタ・・・人のネタで何やってんねん・・・?
>>620 文末に関西弁混じっとるし。
ゴミの持ち込み? そないな奴はな、すれ違いざまに買い物袋の底に穴あけてな?
車のシートや家のじゅーたんにべんとーのぬくい汁、垂れ流させればえーんよ。
姐さん、はいギザ10。
おお、さんきゅーな? それとな 車のっとる奴やったら、おみやげにな
10円玉で「やんちゃの勲章」をおもいっきり、記念カキコしたれば、みんなハッピーハッピーやッ!
>>618 おかえりんす。みなさん、待ってたようですよ。
今回は突っ込みどころが多くて笑わせてもらいました(いい意味で)。
個人的にはメリーさんが大和の中で何をするのか、すごーく興味あるなぁ。
今後もよろしく!
623 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/26(水) 20:12:32 ID:4f53VyzW0
・・・すいませんwwLadyさま・・・
お詫びといっては何ですが、中途半端にUpします。
【あらすじ1から4>199-202】
【あらすじ5から7>241-243】
【74番目>250 75番目>251 76番目>252】
【77番目>398 78番目>399 79番目>400】
【80番目>471 81番目>472 82番目>473 83番目>474】
【84番目>494 85番目>495 86番目>496 87番目>497】
【88番目>509 89番目>510 90番目>511】
91番目←今ここ
624 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/26(水) 20:13:12 ID:4f53VyzW0
91番目
泣きやんだ紫のメリー・・・。
落ち着いたら聞きたいことは山ほどあった。
まず、俺を刈りに来た理由。メリーを解放するという言葉の意味。それが黒の鎌の意思が俺の体を通し
て語った通りなのかどうか。
「あ、あのさ・・・」
しかし聞きづらかった。クローゼットに持たれ、ひざを抱えるように坐っている彼女の、きれいなストレート
ロングの黒髪に目が行った。
・・・・お、おさげにしてぇ・・・
・・・いや、違う・・・。今考えなければいけないのは、もっと重要なことだ・・・。
「・・・どっかいっちゃ・・・いやなの」
改めて声をかけようとすると、先手を打って服の裾をつかんでくる。
「・・・いや、あの・・・行かないから、教えてほしいんだ」
「・・・な、なんですの?」
「まず、君は、何者なんだ?」
そうだ。メリーと名乗るこの少女が、俺の調べていたメリーと同じとは限らない。
しかし、人外のものであるのは間違いないだろう。
黒の鎌に操られていた俺の攻撃への反射神経、人間でもかなりの武道家と同様の動きと見た。つまり、
こいつも恐ろしいことに麻子と同じぐらいの攻撃力を持っているということだ。
「な、何者ってなんですの?」
「いや、君は紫のメリーと名乗った。俺の召喚した子を黒のメリーと呼んだ・・・メリーは・・・たくさんいるのか?」
「・・・・・」
625 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/26(水) 20:13:49 ID:4f53VyzW0
92番目
紫のメリーは視線を落とし、服の裾を離した。
「言いたくないのか?」
紫のメリーは首を横に振った。
「ちがうのですわ・・・本当に黒のメリーが堕ちたのも・・・」
後半が聞こえない。
「え?黒のメリーがどうかしたのか?」
「黒のメリーが堕ちたのも無理がないって、言ったんですわ!」
と真っ赤になった顔を上げて急に立ち上がる。
「もう寝ますわ!お布団お借りしますわね!」
と逆切れ口調なのに、丁寧な言葉遣いをやめない彼女は、勝手に俺のベッドにもぐりこんでしまった。
あっけにとられていると、ふとんにもぐりこみながらごそごそとうごめいている・・・。
布団がまるで巨大ないもむしのように、のたうっていた。
しばらくすると、相当動いていたにもかかわらず、まったく乱れていない黒髪が現れた。
そして何かが、投げつけられた。
紫のメイド服・・・。先ほどまで紫のメリーが身につけていたもの。まだぬくもりが感じられそうなそれが俺の手の上にあった。
「しわにならないようにちゃんとたたんでおくのですわ!」
「はぁ?」
俺の抗議も耳にせずに、紫のメリーは再び布団にもぐりこんでいった。
仕方なしに紫のメリーの服をきちんとたたみ、枕元へとおいておいた。
626 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/26(水) 20:16:12 ID:4f53VyzW0
93番目
「なんだって、俺が・・・」
と愚痴ろうとしたとき、また、紫のメリーが顔を出す。
今度は真っ赤な顔をしている。
よく見ると、布団のすそから手が出ている。
「なんだ?」
と聞くとまた、布団の中に顔をうずめて、ぼそぼそとした声で何かを言った。
「聞こえないよ」
何を言っているのかまったく聞こえなかった。
「・・・怖いから・・・手を・・・つないでい・・・て・・・ください・・・」
・・・・・。
紫のメリーの高慢な態度からは想像できないしおらしい言葉が、かすれながら細々と聞こえてきた。
あまりの事に俺は、「は?」と聞き返してしまった。
すると、ガバッと布団をはいで、やはり真っ赤な顔をした紫のメリーが起き上がった。
「・・・な、何回も言わせないでほしいのですわ!は、はずかしい・・・んだから!」
・・・・・。
起き上がった紫のメリーは・・・洋服を着ていない。かわいい下着姿で、俺の前に座っていた・・・・。
「・・・・・」
俺は何も言えずに固まっていた。
そんな俺の姿でわれに返ったのか・・・。紫のメリーは、急いで布団の中へともぐりこんだ。
「も、もういいですわ・・・。そこで、私のことをま、守るの・・・ですわ」
と言い放って、俺に背を向けた。
・・・守るかどうかは別にして・・・俺は固まったままだった。
俺のメリーに負けず劣らずの美少女・・・しかも、俺のメリーよりも成長した・・・その・・・なんだ・・・身体。
落ち着こう・・・俺は殺されるわけにもいかないが、こんな形でメリーを裏切るわけにもいかない。
と・・・一旦ここまででございます。
Ladyさんの予言したとおりの展開に練ってきてしまって、あまり期待を裏切っていないことに・・・申し訳なく感じながら・・・。
できるだけ早くに次のを書きますね!!
きたなぁ〜正統派ツンデレ・・・!
だが、126パパ! あなたを待っていたんだ!
その調子で次も頼んまっせ!
>Ladyさんの予言・・・それは忘れて・・・。
そういってもらえると、本当に救われます!
かいててよかったって・・・。
ありがとう!がんばりますよ!
ハァハァハァハァハァハァハァハァ(*´Д`)ハァハァハァハァハァハァハァハァ
やばすぎだよ126さん最高
こんなに萌えたのはあの「えっち!」以来だ(*´Д`)
いや、もしかしたらそれ以上か…
/ / ::::\`、
/ / :::::::\、 「しわにならないようにちゃんと
ィ! / :::.,.:::::::;::';:', たたんでおくのですわ!」
i:..!/ / ィ / / i! ! ';.';.:.:ヽ:i.|
ィ=レ!::!:i!:i!:::! !..:!::..!::i!:::.i!:!::!::!:!:!
{rj `゛ー=_ト!::::i!::!!:ィ:::/!//ソソ'rj、_K
ト、j 弋テト、'´` ー‐斗二イ/fjトj, `レrj、_
|::::! `ー'' イ イ辷ソ /イ:!:',fj ヽ'
|::i::', |  ̄ /´|:!!::', fjレ
i !:::.', 、 ,..! /|:::i!!';';:`<!.tj
i.:i!::i!::ト、 ー_;:-ィ .イ!!i!:::!:';:';';::`、ヾ
|:!:::i!:ノ \ イ::::::!i!!!:::::!::!ト;:';';:`、
|:!:/  ̄ .ム、;::::';';!: :::i:::i:. :';:':;.ヽ、
_,. イ ` !'; ::!、 _:. :::::::..\
,. ' ´ _ ,. -'´ ヽ: :! `ヽ::::::..\
/  ̄ ̄ ヽ、 ィ ̄ !: :! ヽ::::::::..\
/ |:! レ' 'ト::::::::::..ヽ
{ |::!::! | ヽ:::::::::..ヽ
', ヽ! _ | !/ !', ヽ :::ヽ.ヽ
r-', ', ヽ | :!! /:!', ヽ::ヽ、',
ヽ_ ` -、__ ', ' ィ!ノ:!. /:::::', ヽ::. ',、.',
`y `ュ、._', , ト:ノソ/ /::::::::.', ヽ:. ',ヽ',
,イ ` ‐- _ ,ィ ト-':/ /::::::::!: ', i!::: ',ヽ!
ら  ̄ ―-r' ´ /:::::::::::!:. ', !:: ! !、
`t_, テ ―- 、 / :::::::::::!!
お返しに貼っとく。
元AAはへそまであったが、この板では字数オーバーしてしまうので、
胸まで。
,イ ` ‐- _ ,ィ ト-':/ /::::::::!: ', i!::: ',ヽ!
ら  ̄ ―-r' ´ /:::::::::::!:. ', !:: ! !、
`t_, テ ―- 、 / :::::::::::!! ', !:!ト! ! !
ヽ∠ ヽ`_、 / ̄ヽ_::::!:!::. ! ! イ::ソ ソ'
ヽ /´ ` ‐-- _ / y::!::. ィ/ 〃
ヽ _,. ー'イ、 j j!:::/ イ
ヽ _,. ' ´ ';::,_マ: j jr: /
ヽy-‐' ´ ';;`r-'ソソ
/ Y
/. t! ',
残りもの
残りものに服がありそうなので
残りものをいただいておきますwww
えっち。
えっち!
637 :
カボチャ ◆IZZpp56nQY :2006/04/27(木) 07:04:49 ID:2tJKLZij0
えっちなのはいけないと思います!と言いながら貰って行くですよ。
>>126氏、ここ掘れメリーさん
GJっす!
自分の方は今日の深夜一時前後に投下できるかな、ってなところです。
ぬぁ、下げ忘れた…
wktk・・・
∧__∧
(`・ω・´)
.ノ^ yヽ、
ヽ,,ノ==l ノ
/ l |
"""~""""""~""
えっちな126さんもイイヨー(・∀・)
今夜はカボチャ氏にwktk
下から這い上がる、蛇が飛び掛かるかの様な刺突が山神を襲う。
刀の腹で軌道を逸らし、その隙に攻撃に転じようとするが、愚地の連撃…身体を回転させ、
遠心力を利用して放たれる逆側からの斬撃が予想以上に早く、山神の反応が一瞬遅れ、
防御と身のこなしが間に合わず、切先が頬を撫でた。
それを見た愚地は牙を剥き出しにして笑い、止まる事無く斬撃は繰り出される。
距離を取ろうと後ろに跳ね退くが、それに反応して愚地は追う。
「シャァァァァアォっ!」
長い腕を精一杯まで伸ばして放った刺突は、山神の右肩に突き刺さった。
更に奥へと刺し込もうとする腕を蹴り、何とか身体から刀を抜くと、左手で牽制をしながら距離を取る。
傷は深く、骨が半ば斬られていた。
「怖い…刀だな…」
左手で肩を押さえながら、山神は呟いた。
物質で有れば大抵を斬り裂く、愚地の「蛇咬」。
敵にすれば、これ程恐ろしいとは思ってもいなかった。
その強さの要素として、刀身の長さ、そして愚地自身の腕の長さが有った。
刀が山神の物よりおよそ二十センチ、腕が十センチ、合計して軽く三十センチ。
更に、持つときは鍔の近くではなく柄尻を持っていた。
これでおよそ五十センチは山神より距離を稼いでいる。
早さは山神と互角であっても、その間合いを潰し一太刀浴びせるには、その距離は余りに遠すぎた。
完全な間合いの外から、山神は愚地を見据えた。
「そんな遠くからじゃ…私を斬る事は出来ないだろ。来いよ、人形遣いの鳥野郎」
視線を感じ、背後のちらりと見ると、メリーが目で「私が行こうか?」と言っていた。
だが、山神は軽く首を振って拒否の意志を示すと、顎で愚地の方を指した。
一瞬訝しげな表情を浮かべるが、すぐに真意を理解し、こく、と一度頷いた。
「あぁ…そうさせて貰う」
刀を持ち直し、構えを変えて愚地の間合いに飛び込む。
蛇咬が山神に襲いかかる。
山神が凶刃を受け止め、二撃目を放とうと愚地が刀を引き、上段に
振りかぶった瞬間、山神の背後から人影が飛び出した。
山神は囮、メリーが本命…その事を愚地は既に読んでいた。
それゆえに二撃目は上段から振り下ろし、一気にメリーと山神を斬る積もりである。
愚地の蛇咬がメリーの身体に手応え無く沈み込む。
頭頂から股にかけて、正中線を斬り抜く一撃。食らって生きて居られる筈がない。
山神は流石に予想していたのか、上段受けの構えを既に取っている。
メリーは斬った。後は山神だけ…愚地のその考えは、根本から間違っていた。
それに気付いたのは、愚地が右肩に不意な重みを感じた時だった。
「ぅ、お!」
わけの分からぬ奇妙な声を上げながら、右肩に乗ったそいつの攻撃を躱すため、
身体を傾けながらねじり、追い払うように刀を振るう。
だが、肩に乗ったメリーは何もせず愚地を踏み台にしただけで、
そのまま廊下の奥へと走り去り、姿を消した。
「な…」
「俺の狙いは、最初からこれだけ…メリーをお前の後ろにやり、鷹司達の後を追わせる。それさえ出来れば、
後はどうとでもなるさ…お前を斬り、俺もメリーの後を追う、それで良い」
愚地がメリーに気を取られた瞬間に、山神は愚地の間合いからかなり大きく離れていた。
高速治癒により、傷口が塞がり、半ば皹の入ったかの様になっていた骨はほぼ繋がった。
出し抜かれた事が余程悔しいのか、愚地は歯が折れそうな程に強く歯軋りした。
「…私に勝つことが前提で話が進んでいる事が気に食わないし…第一、貴様の遣い魔は鷹司に勝てるのか?」
「…鷹、司?」
愚地の口からその名が出たことに、山神は怪訝な顔をした。
「何だ…分かってなかったのか。くく、鷹司にハメられ地下室に入った事にも気付いていなかったのか…
愚かだ、実に愚かだな、烏天狗。鷹司望は、私の相方。貴様を殺すために龍宮から遣わされたのだよ…。」
「お前も、龍宮か…」
「私も龍宮だ。私も、などという言葉はおかしいかな。世の怪異の大半は龍宮の差し金…。
その事にも気付いていなかったか?くく、一瞬不愉快な思いをしたが…無知な相手に物を教えるのは愉快な事だ…」
「…相手が鷹司と分かったからには、お前を斬り、メリーを追う必要が更に強くなったな」
「私を斬る?無理だろう、遣い魔の居ない烏天狗。貴様が人の姿から元の姿に戻ったところで、
私に勝てぬ事は分かるだろう。間合いは私が遠く、迅さは互角。私の刀は貴様を優しく撫でるだけで
深く傷つける。くく、勝てる要素など見つからないな。」
「…確かに、俺がお前に勝てる要素は限りなくゼロに等しい…
だが、一つ勘違いしてないか?俺の遣い魔は、メリーじゃない。俺とメリーの関係は、
貴様と鷹司の様な…否、それ以上の、互いに命を預ける相方だ。
カボだって…メリーの遣い魔という立場に居るが、俺は彼奴にも命を預ける。相方だからな」
「…何を馬鹿な」
「俺の遣い魔は…別にいる。お前と対等に渡り合うための、従者が遣い魔が此処に…な」
懐から一枚の紙を取り出し、右手の人差し指と中指の間に挟んで、相手に見せるかのように立てた。
読み取れない蚯蚓のうねった様な文字の取り囲んだ真ん中に、たった三字、多少崩れてはいるが読み取れる字が有った。
「居太刀」の三字。
「出ろ。夜火月(ヤカヅキ。」
墨で書いた居太刀の字がじわりと滲み、歪み、紙に溶けるように消えた。
と同時に、室内であるにも関わらず、風が吹いた。
「何…だ…?」
「知らないのか?天狗様は風を操れるんだ。俺の場合、直接操れるほどの力は無いんでな…」
ざくり、と不意に愚地の頬が裂けた。
次の瞬間、壁が、窓が、天井が、床が激しく切り刻まれる。
「な、何だと…こんな能力、知らされていないぞ…!!」
「当たり前だ。メリーすら知らない、メリーにも教えない遣い魔。俺にも操りきれない、
鎌鼬の二匹目『夜火月』の半無差別斬撃。やれ」
山神から愚地までの空間に存在する空気が激しく揺れ動き、床に傷が増える。
斬撃を受け止めようと刀を構えるが、それは無駄に終わった。
風は愚地の全身を撫で、無数の傷を付けて通り過ぎた。
「風を刀で受け止められるか?夜火月の斬撃から逃れたければコンクリートの壁でも用意すべきだ」
「き…っ、さまぁ…」
血にまみれた身体で、愚地は山神に近付こうとする。その瞬間、刀を携えた細い腕が切り落とされた。
「がぁぁぁぁああっ!」
「終わらせるぞ、愚地…」
指に挟んだ紙…夜火月を封じていた符を愚地に向け、それを操る。
躱すことも出来ず、右肩から左腰にかけて、一際深く大きな傷が愚地に刻まれた。
崩れ落ちるかのように、愚地の身体が前のめりに倒れそうになる。
だが、愚地は踏みとどまった。
「いい気に…いい気になるなよ…烏天狗風情がぁっ!!」
愚地の気が…身体が膨れ上がった。
皮膚は鱗に覆われ、手足は身体に同化するかのように縮まり、何より、身体が見る見るうちに大きくなる。
声を上げる時間も無いほどの早さで、如何にして窮屈な人間の姿にその身を押し込めたのか理解が出来ない程の巨大な蛇がその場に現れた。
胴の太さは優に1mを超え、長さは一体どれほどなのか想像もしたく無いほどに長く、壁を破壊して外に出、校舎にぐるりと巻き付いた。
人類の常識を越えた、神話の怪物級の超規格外のその姿こそ、愚地礼二の真の姿であった。
人の顔ほどもある目が、山神を睨みつけた。
今夜は此処までっす。次は、上手く行けば日曜かな。
それにしても萌えのもの字も無いような内容ですなぁ。この回が終わったら
ちょっとはメリーの可愛いところを前面にプッシュするような話を書こうかな…
ノiノiノi
┣¨ く;:;o;:;:;ノ
('( ゚∀゚9m
┣¨ ,−−'、. '〈 ┣¨
_|Jo_ミヽヽ_)
┣¨('( ゚∀゚9m GJだぜ!
ヽl「~'〈 ┣¨
┣¨ ヽヽ'.)
「もしもし? 私、メリーさん、今、駅にいるの・・・。」
「・・・? 君はメリーさんっ・・・て言うのかい? か、かわいい声してるねぇ?」
「・・・・・。」
メリーさんは電話を切った・・・少し怪訝な顔をしている。
「もしもし? 私、メリーさん、今、あなたのアパートの下にいるわ・・・。」
「待ってたよぉ! 近くに来てくれてるのかぁ? ね、ねぇ? 君いくつ? 今、どんな格好なの?」
メリーさんは電話を切った・・・あからさまに嫌そうな顔をしている。
「もしもし・・・。私、メリーさん、今、あなたの部屋の前にいるんだけど・・・。」
「ああぁ、嬉しいなぁ! は、早く! 鍵は開いているよ! ちらかってるけど気にしないで・・・!」
メリーさんは電話を切った・・・。 こいつはヤバい・・・、メリーさんの本能がそれを告げていた・・・。
「もしもし・・・私メリ・・・」
「うわあぁぁ! 思ってた以上の可愛さだぁ!! フリルのワンピース可愛いよぉ!!」
メリーさんは電話を遮られた・・・。(てめぇ、近寄んじゃねぇ)
「あああ、女の子と話すだけでも久しぶりなのに・・・、ね、さ、触っていい・・・!?」
「・・・いーですけど・・・(息臭せーこいつ・・・それにこの部屋のにおい・・・マジ最悪)。」
メリーさんは腕や肩を触られた・・・。顔をそむけて何とか耐える。
「うっは〜、柔らけぇ〜・・・、顔近づけちゃお! ・・・あ〜メリーさんの息がオレの顔に・・・。
・・・もう我慢できねぇ!」
「あっ! ちょ・・・ちょっと、ダメ・・・、待って!」
メリーさんは思いっきり抱きすくめられた。背中からお尻を撫で回される。
「だ・・・大丈夫! 優しくするからね? だ、だから、ね!?」
「イヤ! それは・・・! やだ! 変なもの押し付けないで! ちょっと! いやぁ!!」
ドカン!!
・・・メリーさんはデリヘルをクビになった・・・。行方をくらまし全国指名手配になった・・・。
そしてこの時から彼女の恐怖の伝説は始まる・・・。
「もしもし、私メリーさん、今、あなたのベッドの中にいるの。」
「ん? どうしたの? なんか言った・・・?」
「んーん? 何でもない。 このまま寝てていい?」
「あー、いいよ、どうせ明日休みだし。・・・あ、でも時間延長は・・・。」
「気にしないで? あたしが言い出したんだから料金加算はなしよ。」
「嬉しい事言ってくれるねぇ、じゃあ、ちょっと喋ろうか?」
「ん・・・、なんか喋って。」
「とは言ってもあらたまると、かえって喋りにくいな・・・、普段なにやってんの?」
「普段? こんなこと・・・くすくす。」
「うわぁお、恋人とかは・・・?」
「いたら、こんな仕事やってないわよ、・・・別れちゃった・・・。あなたは・・・?」
「そりゃそーだよな。 オレ・・・? いるけど・・・転勤が長いから滅多に会えないし・・・。」
「大変ね? ナンならここにいる間、お得意様になってくれるかしら? 半額でサービスするわ。」
「・・・マジ? いいの? そりゃ、君みたいに可愛けりゃ毎日だってお願いしたいけど・・・。
で、でもなんで?」
メリーさんは男に足をからめる・・・。そして男の顔に唇を近づけてゆっくりしゃべる。
「んー? 相性がよかったからかなぁ? 気持ちよかったぞ?
・・・あとは、昔の男にあなた、なんか似てんだよね? ・・・ダメかな? そんな理由・・・。」
「いや・・・光栄だな。でも・・・そんなこと言われちゃうと本気になりそうでヤベェ・・・。」
「くすくす・・・それが狙いだったりして・・・あ。」
「ん? どうしたの?」
男はそう言いながらメリーさんの柔らかい唇にキスをする。
二人は軽く舌先をからませる・・・、だがメリーさんはどうでもいいことかのように・・・、
「え・・・いや、あなたの後ろに女の人が・・・。」
見ると、そこには男の彼女が鬼のような形相をして立ち尽くしていた・・・。
彼氏を驚かせようと連絡なしにいきなり訪ねてきたようだ。
「あっ!! ・・・おまえ・・・そ、それ・・・いやこれはぁっ!!」
階下の住人は、上の部屋で複数の男女の怒声と叫び声を聞いたらしい。
警察が踏み込んだときには、二人の男女の死体が部屋に転がっていた。
そしてメリーさんの犯罪歴がまた増えた・・・。
デリへル「メリーさん」かぁ・・・www
客を時間いっぱいまでじらす電話攻撃。
時代を凌駕するゴスロリファッション。
いいかも知れませんね・・・。
「私。メリー・・・今、あなたの彼氏の別途の仲にいるの・・・うふふ」
というのも、怖いかも知れない。
もうワンランク、エロくなっても大丈夫かな?
一応、その辺が限界と思っているが・・・。
「もしもし、私メリーさん、今あなたの部屋の前にいるの。」
ガチャ・・・。ロックが外れマンションの一室の扉が開かれる。
出てきたのはおとなしそう・・・いや気弱そうな青年だ、学生かな?
男は何も言わずにメリーさんを部屋に上げる。
(あ〜、コイツ暗そぉ〜。変な性癖持ってねぇだろーなぁ?)
部屋はこの年代の一人暮らしの男の割には綺麗に片付いていた。
メリーさんは気を取り直してビジネスの話に入る。
「えーと、システムはご存知?
本番はオプションなのね、で、その時にはゴムつけて頂くわ。
他の子はNGの場合あるけどあたしはベロチューおっけー。
・・・それから。」
メリーさんが喋っている間、男は無言でメリーさんを見詰めている。
(やっぱ、こいつやばそう・・・。でも大それた事はできなそうな気もするし・・・)
男はおそるおそるだが、ゆっくりとメリーさんに近づいた。
「・・・あ、あの・・・?」
男の視線はふくよかなメリーさんの胸に注がれている・・・。
男は哀願するような声でメリーさんに訴えた。
「おっぱい・・・お願いします・・・。」
「は、はい? おっぱい?」
「後はどうでもいいんです・・・。」
その言葉にカチンとはきたが、一応メリーさんはプロだ。
ここまでの観察で男の望むものは把握した。
「・・・私の胸に顔をうずめてみたいの?」
その瞬間、男の目が輝いた。メリーさんを目を見つめて嬉しそうに叫んだ。
「はい! お願いします!!」 ・・・コイツはマザコンに違いない・・・。
ベッドの中で・・いや、メリーさんの胸の中で男は幸せそうな寝顔を見せる。
「・・・下はいいの? 大きくなってるみたいだけど・・・?」
「え・・・あ? どう・・・するんですか?」
(童貞かよ・・・、そりゃそーだろーな? テコキで十分か・・・?)
メリーさんは男の下腹部に手を伸ばした。
「あっ・・・!!」
「うふふ? もしかしてこっちは初めて?
ちゃんと料金の範囲内だから安心していいわよ?」
メリーさんは男の下着の中に手を突っ込んだ。
男の困ったような表情が面白い、・・・こちらの手の動きに一々反応する。
(いつもは立場が逆だしなぁ・・・。)
「あっ! ちょっとそん・・・な、あぅ!」
「くすくす・・・えーぃ?」
相手の正体が判明してしまえばどおってことはない。
普通に付き合う分にはキモいが、仕事なら楽なもんだ。
「ん、・・・んん、イキたくなったら言ってね?
このままでもいいし・・・おなかでも、お尻でも太ももでも・・・それとも・・・
やっぱり胸がいい?」
男はメリーさんの胸に必死にしがみつきながら、
「ああ、ど、どぉしよう? 胸・・・、いや、このままでお願いしま ああ・・・!」
男はメリーさんの胸から顔を離したくないらしい。
片方の乳房を鷲づかみにして、もう片方に思いっきり吸い付いていた。
「あ・あ・・あ・・・もぅ・・・!」
「・・・いいわよ? 思いっきり・・・あたしにブチまけちゃいなさい?」
「うああああ!!」
メリーさんの指先と太ももに暖かいものが降りかかる。
「わぁ、すっごぉい!」
・・・落ち着いてから、メリーさんは優しく男のカラダを拭いてやった。
いやぁ、今日の仕事は楽だ〜ぁ。
「どうだった? 気持ち良かった?」
男は息を荒げながら唾を飲み込んでようやく口を開いた。
「は、はい! ありが とうございました・・・。 でも・・・ママの胸のほうが、大きいな・・・。」
プ ツ ン!
隣の部屋の住人は、この世のものとも思えない叫び声を耳にした。
メリーさんによる新たな被害者がまた増えてしまった。
・・・マザコン男はデリカシーないから嫌いなのよ!!
えろす(はぁと
えろす(;´Д`)ハァハァ
創作意欲を掻き立てられるわーw
ただいま、
>>654レス目現在で
497775Byte
500000超えたらまた、新スレ立てますね?
テンプレの過去スレは今までにくちゃんねるを使ってましたが、
次回からは
>>478で使ったリンク先を記載します。
・・・良く見たら今までテンプレではにくちゃんねる表示してなかった・・・。
・・・orz
もう4スレ目か…
658 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/29(土) 20:37:43 ID:ZrJJtxwV0
では!いきまーす!
ごめんなさい、今回は萌えがありません・・・。
【あらすじ1から4>199-202】
【あらすじ5から7>241-243】
【74番目>250 75番目>251 76番目>252】
【77番目>398 78番目>399 79番目>400】
【80番目>471 81番目>472 82番目>473 83番目>474】
【84番目>494 85番目>495 86番目>496 87番目>497】
【88番目>509 89番目>510 90番目>511】
【91番目>624 92番目>625 93番目>626】
94番目←いまここ
659 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/29(土) 20:38:20 ID:ZrJJtxwV0
94番目
紫のメリーは、俺に背中を向けるとすぐに寝息を立てた。無防備というか、なんと言うか・・・。
俺は、彼女の寝息に気づくまでの間、身を固くして、動かないように動かないようにと自分を抑え続けて
いた。まあ、なんだ・・・少しでも動いてしまうと、その・・・俺のメリーへの忠誠というか、一途な思いが揺
らいでしまいそうな気がするほどに、先ほどの真っ赤な顔で布団にもぐりこむ紫のメリーの姿が・・・そ
の・・・かわいかったというか、色っぽかったというか・・・まあ、そういうこと・・・なんだが・・・。
寝息に気づいた俺は、彼女に気が疲れないようにそっとベッドの横から離れた。
まず、床の上に放置された危険な代物を何とかしなければならない。
そうだ・・・黒の鎌・・・。
思い返してみると、この鎌はただの鎌ではない・・・。もともと俺のメリーを知ったきっかけになったメリー召喚のまとめサイト上にも、この鎌の事は、さまざまな仮説として書かれていた。
何者かが死んでいく不幸な少女与えた「死神の鎌」であるという説。
古代の大魔道師ヒ・ダールのもたらした道返しの剣が現在に伝わったものという説。
日本の古来の伝承に鎌の招待を求めるものもいて、その説は本当なのか書き込んだ人間の創作なのかわからなくなっていた。
その中に確かひとつ、奇妙な書き込みがあったのを思い出した。
その書き込みには、確かに「黒き鎌」と明記されていた。
俺は急いでパソコンを立ち上げた。現在はもう、インターネット上に存在しないまとめサイト。俺はそのサイトを自分で保存していた。「黒」「鎌」で検索をかける。出てきたのは4つ
『黒き鎌は、紅毛の地より渡り、多くのものを惑わし、特別なる修行を行いし仙人を持ってしても使役する事は叶わず』
『黒き鎌は、人心を惑わし、人心を麻痺させ、人心を食らう。』
『メリーの持つ鎌は、黒き鎌と呼ばれるもので、人形であるメリーにしか扱えない。人間の心を持つものが使おうとすると、心を蝕まれる』
そして・・・。
『黒き鎌は、最強にして、意思をもち、自らの持ち主を選ぶ・・・』
660 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/29(土) 20:39:28 ID:ZrJJtxwV0
95番目
「・・・持ち主を・・・選ぶ・・・」
紫のメリーとの戦いのさなか、黒の鎌が行っていた言葉・・・。
『黒のメリーが契約をした獲物を横取りし、自分の下僕にしようとしている』
『最強の鎌といわれる黒の鎌の力。このわしのマスターになる』
つまりは、黒のメリーが契約した獲物というのが俺なわけだ・・・。俺がメリー・・・俺のメリーに殺されるの
ではなく、他の・・・他にいるのかどうかわからないが、何者かに殺されでもしたら、俺のメリーはそのもの
の下僕となる。そして、メリーを持ち主として選んだ黒の鎌の所有者となるということか・・・。
―――そうだーーー
俺は改めて、鎌の方を見た。もう何度も俺の頭の中で聞いた声。黒の鎌の意思が俺に語りかけているのを
感じたからだ。
―――お前の考えたとおり、わしは黒のメリーをマスターとして選んだ。しかし、メリーがわしを拒み、
わしを手に取らぬ限り、メリーはお前を殺す事はできぬ。
―――他のメリーがかぎつけてくるとは、しかもこんなにも早く・・・。
―――事情が変わってきた。お前に死なれ、わがマスターなるメリーが他のものの下僕となること
だけは避けねばならぬ。
「それは、お前のマスターがメリーから俺を殺したものに変わるからか?」
―――わしのプライドもある。つまらぬ小物の魔物に使役されねばならぬのはたえられん。しかし・・・
「しかし?」
―――わしの選んだ・・・いや任された娘を下僕などにするわけにはいかぬ。
「任された?」
―――それはよい。お前は、命を狙われるものとなった。メリーを名乗るものだけではない。
他にもわしの力を欲しがっておる魔物やアヤカシは数多くいるであろう。
661 :
126 ◆dNexSJi1ew :2006/04/29(土) 20:40:20 ID:ZrJJtxwV0
96番目
・・・俺が、命を狙われる・・・。数多くの魔物に?
―――こうなれば、方法は3つ
―――1つ目の方法は、お前が自ら死を選ぶこと・・・
―――そうして、メリーを解放すれば、何も問題は生じない。メリーの中に更なる憎しみと悲しみが芽生
え、人外のものとしての成長を遂げる。
―――2つ目は、お前がメリーに変わり、このわしのマスターなること・・・
―――先ほどのわしを跳ね除けた心の力アレを持っておれば、迫りくる小ぶりの魔物など敵ではない。な
にせ、このわしがついておる。
―――しかし、わしの望みは、お前が死すること。願わくばメリーの手にかかるか、メリーを絶望のふちに
陥れること。何よりもわしの望むのは、人としてのメリーの心を真っ黒にしてしまうことだ。
「そ、そんなこと!」
―――まあ、最後まで聞け。もしくは・・・・
俺は黙った。
―――メリーとお前の契約を解除させること・・・
「え?」
―――お前を殺さぬ限り、メリーは次の契約を結ぶ事はできぬ。つまり、別のものを刈りにいくと言う事
はできないということだ。
―――それゆえに、お前が狙われる。契約さえなくなってしまえば、獲物を横取りしようなどと思うものも
いなくなる。お前も安全で、メリーも誰かの下僕になる事はない。
「それだ!それはどうやるんだ?」
―――しらぬ・・・。
「は?」
―――一度交わした契約を解除したことがあったという話は聞いたことがあるが、もう何十年も前に一
度だけだ。それがどのように行われたのかはしらぬ。誰が知っているのかも、わからぬ。
いったんここまで。
さて、ようやくお話が見えてきましたでしょうか?
できるだけ急いで続きを書きます!
萌え萌えなのをねwww
新スレ立てときました。
126さんへのコメントは後ほど・・・。
ああ、定職屋が終わってしまう、飢え死にしないうちにご飯を・・・!
>>664 ああ! なんか忘れてると思ったらそれか!
すまんこってす。
大変失礼しました。
あー、満腹じゃ・・・!
・・・では気をとりなおして・・・126さん、
だんだん世界が深くなってきましたね・・・。
底が見えないほどに・・・。
カボチャさんといい、これからどういう展開になっていくのか・・・ゴクリ。
Ladyさん、ありがとうございます。
そうですね。
でもストーリーとしては単純です。
シュチュエーションに重きをおくつもりで
頑張ります・・・。
緻密な構成は、みなさんにおまかせして。
おいらもなんか書こうっと。
真面目でもなくギャグでもなく・・・舞台裏?
AAはこっちに貼って、SSは新スレに。
・・・AAは適当・・・じゃなくて開発中なのでキャラ確定じゃありません。
携帯の人はごめんなさい。
・・・カボチャさんは結婚式帰りかぁ、華やかでいいなぁ。
ナイトラウンジ「キャッスル・オブ・メリー」 の店内
||/ΛΛ/凹凹/∩∩/ || / ___ /! lゝ
||■■/目目/ΥΥ/| ||/ / 〈Å°,,ゝ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
||■/凸目/ΥΥ/ | / ./ 日/⊂ ヽ <姐さん、オイラ顔これでいいの?
||/凸凵/ΠΠ/ | / ./ ハヽ丶(___,)ノシ \____________
||凸凵/▲▲/| |/ ./ 廴‐川 ノ ┳┛
||凵/日日/ | / ./ 日と ~ つヽ┃ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
||/ΔΔ/〃´`ヽ. / ./ 〃爪 ゝヽ(⌒ .ノ . ┻ <たまにはこーゆーのもえーなぁ?
||廿廿/| 川゙ ゚川 / 〈o‘ 父ノ y ┳┛ \_____________
||廿/ | と `´ つ ./ 口 と、´ 从 ' ┃
||/ | ) ^ (リ ./ / i⌒}___) ┻ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|| | | |. / / 且 ┳┛ <カルーアおかわりぃ!
|| / ~~~~~~/ / ┃ \________________
|| / ∧ ./ / ┏━┓....┻
_||/ /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| クスクス、ここに入れるのはメリーさんだけよ?
\__________________________________
最近は携帯からでもAAが見れるんですぜ
>>670 そうなのか! それは良かったです。
後はフォントの心配だけか。ずれて表示されなけば良いのですが・・・。
何分、こっちは大昔の携帯しか持ってないもんで・・・。
>>Ladyメリー氏
や、言葉足らずでしたな。結婚式帰りじゃないっすよ。
バイト先がバーで、よく結婚式の二次会に使われるんです。特に今日は二件も二次会が入ってました…
六月になったら更に大変だそうです。ジューンブライドで。
…キャッスル・オブ・メリーで雇ってくれないかなぁ、臨時ので良いから…
>>672 そうなのですか? お仕事繁盛はいいことです。
キャッスル・オブ・メリーに入れるのは、
メリー・ガールとカボタンだけです。
こっちのマザー・メリーには人格がありませんので、
良ければいつでもご利用くださいませ。
>>673 ありがとう! どんどん描いて下さいね!
18禁にならない範囲でエッチぃポーズもオーケーです。
デリヘル・メリーの人気度はいまいちわかりませんが、
妄想が膨らみつつあります。
そのうち続編、書くかも・・・。
画像は二枚でいいのかな? 見れない画像もあるけど、広告か作品か分らない・・・。
>>674 画は一応2枚ですが、2枚目はただの下書きなんでヌルーしておkです
また時間あったら書きますね
とはいったものの、中々いいストーリーが思い浮かばない。
いや、ネタやストーリーそのものはいくつか浮かんで下書きも終わってるんだけど、
・・・どうもLady と似たような話になっちゃうんだよねぇ・・・。(悪人暗殺型)
全く新しい新キャラもいるんだけども。
セカンドストーリーとかは自信がなかったから名無しで話をスタートさせたけど、
さすがにワンパターンじゃなぁ次に名無しでやってもばれるだろうし・・・。
デリヘルメリーにでも頑張ってもらうか?
677 :
本当にあった怖い名無し:2006/05/02(火) 04:22:13 ID:b6k1xdREO
保守
キリリィィヤァ!
\____ _/
V
〃´`ヽ
く⌒ゝ 川゚ 。川
W━━つ━と━
イ) (リ
ん へ ノ
残りあと何byteだろ?
|もうすぐ終わり!|
\/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ハ爪ゝ★ヽ
〆u _u八 ‡
とイ┸┸从つ
£££ヽ
/ く ヽ
∠ア´ ∠ア
後少し
\(^o^)/オワタ
終わってねーよw
/・・・疲れちった・・・ .\
\あと500byteくらい?/
 ̄ ̄\/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ハ爪ゝ★ヽ
〆u 。u八
とイ┸┸从
へへ ヽ∪
`タタノ )
ひどい自演を見た
埋まったか?
もしもし? 私メリーさん、・・・いま、終わりの手前にいるの・・・。
(次の書き込みで最後かな?)
これで終わりかそれともまだか
終わりならいいが