なにそのツンデ霊★2人目

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848おぢさん
あれはわしが中等学校にあがる頃じゃったから、もう60年もまえかのう。
お前も学校で習ったように、その頃日本は外国と戦争をしててのう。
わしはそんな戦争の意味や怖さなんて判らんかったが、
日増しに険しくなる大人たちの雰囲気から、
「こりゃただ事じゃないらしいぞ」とはおもっておった。
まぁそうはいってもわしもそのへんの男の小僧と変わらんかったから、
紙や木で作った飛行機や戦車で戦争ごっこはしておったがな。
わしはそのころ関東のY県の片田舎に住んでおったが、
やがて近くの紡績工場が空襲に遭う、という噂がたってな、
疎開をせんならんようになったんじゃ。
行き先は、同じ県内だがその頃でも人のまばらな村じゃった。
わしの爺さんの親族が住んでおったらしい。
普通の道ですら山を登ってるかのような坂でな、あたりにはうっそうと森が茂っておった。
まぁ間違いなく敵さんにはみつからんじゃろな、はっはは…
849おぢさん@方言を直すかね:2006/03/08(水) 15:53:27 ID:XKvCWorA0
わしの爺さんの親族ちゅうのが、その地方じゃそれなりに名の知れた庄屋でな、
古い土蔵やら納屋やらがあちゃこちゃにあって、冒険心をくすぐられたもんだよぅ。

わしら家族は、父・母・兄・姉・姉・わし・妹ちゅう女系家族でな、
父が飛びぬけてほうだったのかもしれんが、おっとりした一家じゃったよ。
ほいだから同じよに疎開に来てたほかの兄弟に気を使ってな、
皆がいいっちゅうだに一番古ぅい土蔵で暮らすことになっただよ。

そうそう、父は体がよわくてな、甲種合格にならなんだ。
ほんで兄は父の分まで!っちゅって、とうに航空士官学校に志願してな、
そのころじゃ中尉として一隊を率いるまでになってたっちゅうな。
上の姉さんは嫁いでいってたし、下の姉さんは学徒出陣でさっき話した紡績工場に勤めておった。
家に居るんはわしとまだ小さい妹だけじゃったの。
850おぢさん@まだちょっと方言がおかしいな:2006/03/08(水) 16:19:36 ID:XKvCWorA0
どこまで話したっけな…
そうそう、古い土蔵に住んでたっちゅうとこだったな…

まぁもともとその近くの家に住んでた悪ガキたちとよく喧嘩しただよ。
その土蔵にゃ「出る」とか囃したてるんでな。
父親は「相手にしちょ」と気にしちゃいんかったけんど、
やっぱりわしにゃぁ頭にくる囃し文句だったぞ。実はホントに「出た」からな。

気付いたんは妹が一番はじめじゃったかな。
初めて越してきた夕暮れの、ちょうど土蔵の入り口が木の陰に隠れる頃、
土蔵の奥から誰かがじいっと睨んでるっちゅうだよ。
それから毎日言うんでわしも見ようとしたんだけんど、妹の近くに行くと見えなくなる。
最初は妹のウソじゃないかと思って相手にゃしんかったけど、
たまたま妹が先に土蔵に入っちまったとき、その幽霊を見ただよ。
なんかこう、日本人形みたいな女の子でな、赤い着物を透けて向こうがみえてるだに
その向こうにいる母や妹には見えてないらしかった。
不思議と怖いとはおもわなんだな。
すごい形相で睨んでる…つもりなんじゃろな、本人は。
妹よりも幼そうで、うつむき加減の頬っぺたがほんとに丸ぅかったからかな。
いつもの妹じゃない、と悟ったのか、はっとして消えてしまった。
だけんどその日から、今度は妹には見えんでわしにだけみえるよになってしまった。
明るいと見えにくかったけんど、見えるのは決まって外から土蔵の中を見てるとき。
時間は決まっちゃいんかったようで、のべつ出ていたな。
その子が居るときに他の人が土蔵を出入りしても、まったく意に介さなかったようじゃ。
まぁ別に悪さをするでもないし、妹ももう見えんくなってて話もしんから、
土蔵を出入りするときに小声で挨拶してやるくらいだったな。
851おぢさん@まぁ方言は気にしちょしw:2006/03/08(水) 16:51:27 ID:XKvCWorA0
親戚には聞いてみたことがある。
あの土蔵にゃなんかいるじゃねぇだけ?ってな。
だけんどだぁれも知らんちゅってた。
ウソや出鱈目だったかはもう判らんけんど、
もう聞いてもそれ以上は答えないなっちゅう感じがしたな。

疎開でそこに住みだしたのが夏の終わり、秋、冬と山ン中はぐんぐん寒くなる。
幽霊とは話もしんかったし、外に出るのも億劫になっていったから
幽霊の姿を見る回数も減っていったな。
厳しい冬が過ぎ、春の兆しがそこかしこに見え始めた…三月くらいじゃったな。
それまでもたびたび飛んでいたB-29の数がどんどん多くなっていった。
時には3〜4機も飛んでることもあった。
そんな時、兄が帰国して駐屯していたG県のT林ちゅうところから、
兄が特攻隊長になったっちゅう連絡がきたんじゃ。
父も母も親戚の手前、表面上は息子を讃えていたが、夜ごとに神仏にお祈りしておった。
わしはというと、兄ちゃんが死ぬはずはないと安易に考えておった。
たまに帰ってきて飛行機の操縦を目を輝かせて話す兄ちゃんは、
きりもみ急降下からの急上昇が得意で、何度も大隊長さんから褒められたといっておったし、
特攻なんて言っても、接近して爆弾を落とすだけのことと思い込んでいたな。
いまとなっちゃあなんて物知らずだったかと笑えてしまうな。
村の数少ないラジオも、さかんに本土決戦やら米英の非道さをがなってたけんど、
わしはまわりののどかさもあって日本は勝っていると無邪気に思い込んでいたな。
852本当にあった怖い名無し:2006/03/08(水) 17:41:41 ID:eq8OwWWn0
なんかいい感じだな。
長いのは苦手なんだが、この感じでとつとつと語られるのは良いな。

でもY県は関東地方じゃねえぞ。
853本当にあった怖い名無し:2006/03/08(水) 18:51:53 ID:8+tpTPNhO
>>852
( ^ω^)山梨も関東だお!
854本当にあった怖い名無し:2006/03/08(水) 18:57:56 ID:DMewl3Ud0
甲信越だろ
何勝手に潜り込もうとしてんだよ
855本当にあった怖い名無し:2006/03/08(水) 19:06:07 ID:P7q5Jwcb0
関東地方一都六県
08茨城 09栃木 10群馬 11埼玉 12千葉 13東京 14神奈川
856本当にあった怖い名無し:2006/03/08(水) 19:35:56 ID:8+tpTPNhO
( ^ω^)大月の辺りまでは関東だお!
857おぢさん@けんかは止しなぁ:2006/03/08(水) 20:25:41 ID:XKvCWorA0
なんでも兄は本当に優秀だったっちゅうこんで、特攻に志願したのが3月だけんども
実際に戦地へ赴いたのは7月も終わりになってからだったらしいなぁ。
まぁそれはちょっと先の話じゃったな。

来る日も来る日もB-29がとんでる空を見上げて生活していたんだけんど、
敵さんに頭の上を飛び回られるっちゅうのは気分のいいもんじゃないな。
いくぶん仲ようなってた悪ガキどもと小石を投げたり、
ほら、お前さんも聞いたことがあるだろが、竹やりで突くまねをしてたもんじゃ。
あんな高いとこを飛んでるものを、いくら突っついたって届くわけはない。
まぁそうでもしんきゃ落ち着かんかったんだな。

そういえばずいぶん前から、たいそう高価な着物を食べ物と交換していく
専門の男の人がおった。
疎開してきた頃はたまーに見かける程度じゃったが、3月4月ごろになると
本当に頻繁に、リヤカーまで持ってくるようになってな。
いんやその人だけじゃない、避難している途中なのか家族で来るような者たちもおったわ。
大人たちの噂じゃ東京に空襲が、それもかなり大規模なもんがおこったちゅうてたな。
子供心に「あぁちょっと前、明けの東の空がけぶって見えたんはそれじゃったか」と思うたのは覚えとる。
じゃが、まだ少し遠いことに感じておったな。
858本当にあった怖い名無し:2006/03/08(水) 20:26:30 ID:qF1kr0dS0
つ、続きは?
もしかしてこれで終わり?
859本当にあった怖い名無し:2006/03/08(水) 20:30:10 ID:qF1kr0dS0
リロードしろよ自分……。
さてな、そんな人たちがわしらのおった村を通過して避難するようになって
そうさな、ふた月ほどもたったかな、あの幽霊がいきなり居らんようになったんじゃ。
見えにくいだけかと思っておったが、いつ見ても居らん。
普段話しかけても答えることもなかったし、たまぁに目が合う程度で
別段気にしておったわけでもないが、姿が見えんくなるとなんやら寂しくなってな
悪ガキたちと遊んでいる間も、あの幽霊が気になって何度も土蔵を見やったもんじゃ。

おんなじ頃、k府の街に通ずる道を辿って下りようとする人たちに、妙な噂が立ち始めたんじゃ。
なんでも、k府に行こうとすると妙な寒気と一緒に、恐ろしい声が聞こえるんだと。
なにょう言ってるだかは判らんちゅうことじゃったけどな、
k府じゃないほうに足を向けると寒気も声も止む。でももういいだろうと
k府の方におりはじめるとすぐに寒気と声がするっちゅうんだ。
まぁでも焼け出されて身内を頼ってきている人たちにゃ、
そんくれぇのこんは足を止める理由にゃなりゃしなんだわな。
その峠は出るらしいっつう噂が広まっただけだったな。
861おぢさん@なんだか改行が上手くいかない:2006/03/08(水) 21:17:33 ID:XKvCWorA0
とおい異国でわしらのお国のために命を張って戦ってくださる兵隊さんに
たぁんと食べてもらうためじゃというて、さいぜんからわしらも
畑やら田んぼやらに連れてかれて働かされておったんじゃが、
6月も落ち着かないまま半ばが過ぎると、
まっと働かなきゃ自分らも食えんようになってしまうっちゅこんで
遊ぶじかんもとれんようになってしまった。
まぁ後から聞いた話では、他の都会の子供達は少しでも遊ぶことすらできなんだ
っちゅうから、わしらは恵まれたほうだったんかのう。
腹が空きゃ山に入って、すぐきやへびいちごなんかを食えたからの。
ぐみやらあけびやら、ついでに母さんや家主の親戚なんかに山芋やむかごなんか
とっていってな、これでもすこしゃあ気をつかったもんじゃな、はっはは。
ほんでもその頃にゃほんなよそのこたぁしらんかったから、わしなりの理由で戦争を恨んだもんだ。

7月の早い時期じゃったな。
この二日ばっかりB-29が見えんようになって、やぁやぁ兵隊さんたちもやってくれた
なんて早合点してた矢先じゃった。
前の日の朝に遠くにBが見えたなんて噂もあったが、避難する人も減ってきて
みんないつになく安心して寝入ったんじゃな。
なぜかその日は寝につく前にあの幽霊のことを少し考えたのを覚えとる。
862おぢさん@ちょっと腹具合が…:2006/03/08(水) 21:44:59 ID:XKvCWorA0
隣で寝ていた妹とわしは、まだ朝になるには早い時分に起こされたんじゃ。
起こされたのか起きてしまったのかは判らんが、なんせ大きな騒ぎがおこっておった。
南西の空が真っ赤に燃えて、ふもとの町の空襲警報がじゃんじゃん鳴っていて、
大人たちも右往左往してk府の街まではだいぶあるのに水をかぶって火よけをしてたり、
まだk府に親類縁者が居る者なんかは取り乱して皆に止められたりしておった。
轟音に空を見上げると、真っ黒い空に赤々と映える大きな影があってな、
それがいつも遠くに見えてたBだと判るのにしばらくかかったもんじゃ。

それがわしの居る村で起こった空襲ならいざ知らず、
見えはするが行くにはちと離れた街のこと、わしや妹に出来ることなんてこれっぽっちもなかったの。
父も痛々しい風に見るしか出来なかったし、母は兄の無事を今更ながらに祈っておった。
夜が完全に明けて、焦土っちゅうんか、なぁんもないk府の街が見えたときには、
村にいたおとこし連中で服やらなんやら持ち寄ってk府に、
今で言う人道支援ちゅうやつをしにいこうっちゅうこんになった。
まぁ身内を助けにいこうっちゅうのが殆どだったからちょっと違うかもしれんな。
おとこしが出払って、心配そうに見守るおんなしがちらほらと戸口に立っているだけになった頃、
久方ぶりにあの幽霊が見えたんじゃ。
さいぜん見えた土蔵の入り口じゃねぇで、k府へ下りる道の脇の、薄暗い森の奥。
やっぱり向こうが透けて見える赤い服で、こんときゃぁ背中を向けてうずくまっておった。
863おぢさん@長くてごめんね:2006/03/08(水) 22:17:43 ID:XKvCWorA0
そうそう、言ってなかったが下の姉さんはつい先月、
6月のうちにまた違う疎開先へ疎開しておった。工場の工員がみな行っておって
たまに手紙も届くので父も母も心配はしなかったんじゃ。

さて幽霊を久方ぶりに見たわしは、なぜか「無事だったか!」と
胸を撫でおろしたよ。相手はもう無事だとか関係ない者なのにな。
しばらく見ていたが、うずくまって動かない。
おどろかしちゃかわいそうだと思って、そろそろと近づいて行ったが、
近くに来てみると震えておる。はて、寒気のする幽霊なんてけったいな、
と思ったが、よくよく見てみるとどうやら泣いているらしかったんじゃ。
いつも話しかけても何も言い返してこんし、そもそも口がきけるんかどうかも
しらんかったが、そんときゃ話かけにゃいかんと思ったな。
なぁ、なんで泣いとるんじゃ。
やっぱり答えちゃくれんかった。
でもな、ぴくりと身をすくめると、ふと泣き止んだんじゃ。
ひざの間に顔は埋めたままじゃったけんど、震えるのは止んだ。
わしは泣いてる妹によくやるように、頭をなでてなぐさめてやろうとおもってな、
左手を伸ばして頭のてっぺんから後ろへなでようとしたんじゃ。
じゃがわしの手はすぅっとすり抜けて、幽霊の尻のあたりにある熊笹でちぃっと切ってしまった。
そのとたん幽霊は撥ねるように立ち上がって、まだ真っ赤に泣きはらした目で
クスクスッと笑ったんじゃ。声は聞こえんかったがの。
864おぢさん@まぁまぁお茶でもどうぞ つ旦:2006/03/08(水) 23:11:04 ID:XKvCWorA0
なんとなぁく馬鹿にされたような気がしたもんじゃから、
わしはついついきつく怒鳴ってしもたんじゃ。
こん幽霊がぁ、お前なんかどうせ帰るとこないんじゃろ。
するとな、ほんとに幼い子がやるように、みるみるその場で顔をくしゃくしゃっとゆがめたかと思うと
弾けたように泣き出したんじゃ。口をへの字に曲げて、鼻に可愛いしわをよせてな。
そんときばかりは声が聞こえんことが助かったと思った。

いっこうに泣き止まない幽霊は、まったく始末に負えんな、はっはは。
なんしろなだめようとなでてもどこにもさわれんし、
いじわる言ったことを謝っても、まぁだちびすけだからか通じそうもない。
妹をあやす要領で、いろいろと面白い顔やふざけた格好をさんざやったら、
なんとか気が紛れてくれたみてぇで涙をいっぱい貯めながら笑ってくれたのう。

そのあといろいろ聞こうと思ったが、相手は口ん利けんだから弱ったもんさね。
どこから来たかとか聞いても、あっち、とか指さしゃぁ判るんだが、
うっすら笑ってるだけで身振りも手振りもしんだよ。
まぁ幽霊だし、と帰りかけりゃぁついてくる。
たしかにうちの土蔵に憑いていたんだし、しょうがねぇなとほっといたさ。
865本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 00:04:22 ID:YTN0OUxZ0
>>852
Y県=横浜県
え、神奈川?どこそれ?
866本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 00:05:25 ID:lQM+wSrk0
>>865
神奈川って、横浜の…、ですよね?w
867おぢさん@ID変わっても判るかな:2006/03/09(木) 00:09:22 ID:p6GQYt950
土蔵に着きゃまた入り口に陣取るんかな、と思ったら今度はわしにそのままついてきよった。
やっぱり特に何をするでもなしに、あごを引いた上目遣いでわしや方々をを睨んでいる。
睨んでいるっちゅっても怖がらそうとしてるんじゃなくて、
むしろなんかに怯えてるからだっちゅう感じがしたな。
次の日、兄に特攻命令が下されたという知らせが入ってきた。

これは後で聞いた話も入ってるけんど、特攻命令が下されたのは7月の1日だったそうな。
兄ちゃんの所属するk鷲特別攻撃隊は、
30を迎えたばかりの兄ちゃんを201隊の隊長にして組織されたんだと。
で、その知らせがわしらの村に届いた晩、駐屯先の人々が壮行会を兼ねて
送別会を開いてくれたらしいな。
もう、いつ出撃してもおかしくない雰囲気だったけんど、
その時点じゃまだ出撃命令はでてなかったんじゃの。

しかし、母や父には大きな衝撃だったようじゃな。息子が死出の旅に出てしまう、と。
いやもちろんわしにも悲しみはのしかかってきた。
ついせんに目の当たりにした空襲の光景が、紙や木の戦争じゃない現実をみせてくれたんじゃから。
868本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 00:10:12 ID:qZD6vHBB0
ああ、そうだったそうだった。横浜県に神奈川村って小さな村があったっけ。
あのときの雰囲気というか、皆の偏りぶりはなんとも不快で不可解じゃったよ。
今だからいくぶん思うところもあるけんど、皆が兄の特攻隊入りを祝ってくれたんは
不幸の仲間意識もあったんじゃないんかな。
うちの肉親やら親戚が死んでいるのに、あの家で不幸がないのは不公平だっちゅうふうに。
それが証拠に兄の特攻入りを殊更に喜ぶんは疎開組が多かったな。
ともに夫や息子を取られているのに万歳をする姿は、どこか爽快感もあったように思うよ。
わしにゃそいつらの方が幽霊みたいに空恐ろしくみえたもんじゃ。
村の人々はこっそりと母を慰めに来てくれたりもしたもんじゃが。

さてその頃のことじゃ、悲しいばかりも言ってられんでな、
毎日汗水たらしてはたらかにゃ、食糧の確保も日に日に厳しくなる。
夏に入っちゃ山で取れる物も限られてくるし、鉄砲が無いからと罠で取るだけの
イノシシやウサギなんかじゃ到底足りんかった。
なにぶん小さな村じゃ、村の人らが蓄えた米や他のもんも避難の人たちに分けたら
たいそう少なくなってしまっておったからの。

あの幽霊は、いつもわしについてまわるようになった。
とはいってもわしも相手できるほど暇じゃなかったんでな、かってに遊ばせておいた。
ときおり北西の方を見やって泣きそうな顔をしとるとこを見かけたが、理由はきけなんだ。
7月も終わり、ついに兄に出撃命令がでたと便りが来た。
腕のいい飛行機乗りだった兄は、特攻隊長になった後も後進の育成に力を貸していたそうじゃ。
人づてに、k鷲特攻隊は順に飛び立ち、勇ましく散っていったと聞いた。

ラジオでは広島と長崎にでっかい爆弾が落とされ、何人もの犠牲者がでたと報じられた。

そして毎日仰々しい戦果とともに、散っていった特攻隊の番号が読み上げられておった。

第201k鷲特攻隊の名が、いつ読み上げられるかとはらはらしていたのは
わしら4人の家族だけじゃなかったようじゃ。
あの幽霊は、わしらが戦争の話、特に家族の安否を話しているときは必ずそばに居った。
いつもの怯えたような目じゃなしに、眉根をひそめて神妙に聞いておった。
やれ上の姉さんの嫁ぎ先じゃこんなことがあっただの、
下の姉さんの工場は跡形もなくなっていたけんど、疎開が間に合ってよかっただの、
兄ちゃんの飛行機の腕があれば間違いなく敵の船に当てられるねぇ、
それじゃぁ兄ちゃんは苦しまずに立派に逝けるかねぇ、だの…

じっと身動きもせず父と母の話を聞いているのは、なにかを待ってるかのようじゃった
なんちゅうのはあと知恵かのう、はっはは。
871おぢさん@そろそろかなり眠いぞw:2006/03/09(木) 02:35:32 ID:p6GQYt950
なんだか皆が一様に疲れちょって、ラジオの声が白々しいものに聞こえはじめたの。

あの終戦を迎える、一日前じゃったな。
日の出前からまた幽霊がいなくなっておった。
土蔵をぐるっと周ってみても、k府への坂まで行ってみても、
頼りなげな赤い着物は見当たらんかった。
朝飯に呼ばれて帰る道々、
ふと、南の空から呼ばれたような気がしたんは、なんの知らせだったんじゃろな。


ついに第201k鷲特攻隊が飛び立ったっちゅうて村が騒ぎになっちまって、
泣き崩れる母の代わりに家事をこなさんならんかった。


翌日、天皇陛下のお言葉で、戦争がおわったっちゅうこんだった。
872本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 03:42:34 ID:6GaZBwVq0
とりあえずどれくらい続くか教えてください
873本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 03:47:50 ID:ZvjZS6Zm0
今夜は更新なさそうだね。
もう寝るよ。ノシ
874本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 09:10:47 ID:qcBbx/gKO
>>871
一期にお願い。
続きが気になるよ〜!
875本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 13:21:03 ID:elVzJfSoO
流石に長過ぎて読む気しない…無駄な表現多いし。
推敲って知ってる?
876本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 13:29:14 ID:KNGfgF0b0
これってなんかの本をそのまま書き写してんじゃない?
まぁツンで霊の本なんてありそうも無いから霊のところはなんか違う話の
張り合わせでとかさ。
877本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 13:33:24 ID:KNGfgF0b0
おおIDがキングだ(笑)
IDを訳すスレにいってこよう
878本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 14:08:32 ID:Gg1ISXw8O
ほんとだすげー、IDがコングだ
879本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 14:18:58 ID:FmV9cGVQO
IDにツンデレが出たら神
880本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 14:25:45 ID:KNGfgF0b0
コングかよ…orz
881本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 14:50:19 ID:ryezWbig0
途中で張るのをやめるのだけはやめてくれ


(訳:続き書かないと許さないんだから!
   …楽しみにしてるからね)
882おぢさん@ごめん全部こぴぺだったw:2006/03/09(木) 15:01:21 ID:KNGfgF0b0
受けようと思ってやった。
悪気は無かった。
今はマンセーしている。
883本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 15:21:16 ID:KNGfgF0b0
だれも反応してくれない…(´;ω;`)ショボーン


もう来ねぇよ!!!!!  ウワーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!

         .。::+。゚:゜゚。・::。.        .。::・。゚:゜゚。*::。.
      .。:*:゚:。:+゚*:゚。:+。・::。゚+:。   。:*゚。::・。*:。゚:+゚*:。:゚:+:。.
    .:・゚:。:*゚:+゚・。*:゚      ゚( ノД`)ノ゚      ゚:*。・゚+:゚*:。:゚・:.
  。+゜:*゚ー゚:・。:+゜    =    ( ┐ノ         ゜+:。゜・:゜+:゜*。
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    :::  :;..  .,;;   ;    : :::., /   /| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/   /,,;    :::  :;    :;.  ;    : :::
884本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 15:34:16 ID:qcBbx/gKO
>>883
二度と面見せんな!
885本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 15:36:42 ID:G8OLmNMP0
>>883
おぢさん本人以外に興味はねぇっ!
886範馬刃子はデレレレレピキィッ:2006/03/09(木) 17:26:30 ID:rHDbmelQO
一週間前、ジャクリーン・ハンマーが強盗殺人罪で捕まって以後平和な日々を過ごしていた俺の元に招かれざる闖入者が。
 
刃子「お久しぶりですぅ、またご奉仕にきたよ」
メイド服に身を固めた刃子は返事も待たずズカズカと上がり込んでくる
 
「馬鹿なッ!貴様はレベルEの海底監獄に収容されたはず!一体どうやって!?」
「うん。看守の人たち、ボクの邪魔するからみんな殺っちゃったぁ、えへ」
 
唖然とする俺を尻目に台所に向かう刃子。
「ほ、包丁か?包丁で俺をヤルつもりか!?」
思わず動揺する俺。
 
「そんな事しないよぅ、母さんや姉さんと違ってボクはとろけるように甘いデレデレキャラだもの」
「デレキャラは看守皆殺しにして脱獄なんてしないッ!」
 
「ま、それはともかく朝ご飯まだだよね?
今作るから待っててねぇ」 
都合悪い事はスルーしつつ台所に籠もる刃子。
チャンスは今しかない!
電話に飛び付いて110番をダイヤルする
しかし、電話機からは不通音しか聞こえない
 
「無駄無駄ァ、無駄だよぅ
電話線は切断してあるし
携帯はボクが預かってるからねぇ」
いつのまにかうっすら笑いながら刃子が背後に立っていた。
その手には握り潰された俺の携帯が。
 
確かにコイツは雄子やジャクリーンとは違う…まるで知能の高い猛獣を相手にしているような錯覚を覚える俺だった。
887本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 17:47:08 ID:FmV9cGVQO
早く早くう
888本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 18:02:48 ID:4HiZ4L7V0
>>886
うざいからもう書き込むなよ。
889本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 18:24:35 ID:acWI1WCj0
>888
でたw範馬の粘着wしかもゾロ目取りやがってw

もしや範馬センセの、自信がないのを隠すための自演?
大丈夫、根強いファンは居ますから。これからもお願いします。
890範馬刃子は素手でシベリア虎を殺せる:2006/03/09(木) 19:16:50 ID:rHDbmelQO
>>889
dクス
続き
「出来たよぅ、さぁ召し上がれ」
 
朝からステーキだった。
付け合わせにマッシュポテトにスィートキャロット、コンソメスープにパンと意外とマトモだ。
少なくとも見た目は。
 
「これ、何の肉?」
 
「……知らないほうが、イイヨ」
うっすら微笑んだまま答える刃子。

「はい、あーん♪」
肉の破片にドスッとフォークを突き刺し俺に突き付けてくる。
 
「……」
バレンタインの雄子の仕打ちを思い出し、固く口を閉ざし歯を食いしばる。
 
ドスゥッ!
 
「ぐぼらっ」
笑顔のまま刃子が俺の鳩尾に刃物のような手刀を突きこむ。
思わず喘ぐ俺。
 
「うふふ、世話の焼ける甘えん坊さんなんだからぁ」
 
首を押さえ付けて空気を求める俺の口にギュウギュウと肉を押し込める刃子。

味は結構普通でした。
89185pesOZL0 ◆keaGkWNWxw :2006/03/09(木) 19:47:49 ID:IcToBIVX0
あぁ…今気付いた…「範馬」ってハンマーって読むのか…
ずっと「のりま」だと思ってた…何でかは知らないけど…


つかまた新人?
しかも俺の次回作予定の「昔あった出来事」風の作風。


…もうね、ウザイ。
誰がって…俺が。

もう次スレまで来ない事にするわ。


(ふ、ふんだ、悔しくなんかないもん。(´;ω;`))
892本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 20:08:57 ID:Mq5Z8Xx40
漫画が元ネタ…のはず
893ポン介 ◆ZMp2Jv9w5o :2006/03/09(木) 20:48:02 ID:rn3GnDyQ0
>>886 >>890
目くるめくGJ!

>>891
頑張れミレレイ。おまいがやめるなら漏れももう来ない(TДT)
ツンデ霊ってむつかしいし
894本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 20:54:05 ID:Y9sR+ZUGO
俺と守護霊もっと読みたいのら
895本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 21:05:14 ID:i8PIfqD80
>>893
こっちにお仲間がまってるぞw
http://www.tsunderei.org/tsunderei/
896本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 21:34:24 ID:rn3GnDyQ0
了解(・ω・)ゞ
897本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 22:33:12 ID:wvSpW4630
1/5
夜、オレは車で田舎の山道を暴走気味に走っていた。
仕事で些細なミスをし、それに気づかなかった自分に嫌気がさしていた。

上り下りを何往復しただろうか、疲労感を覚え山頂付近の展望台に車を止める。
車を降り、街の夜景を見下ろし息を吐く。
吐き出した息は白く、数秒で虚空へ消えていく。
しかし、自分へのやるせなさはまだ胸に溜まったままだ。

”ガン・・ガン・・”

静かな空間に金属を叩くような音が響く。
辺りを見渡すが、音の出所は見つからない。

”ガン・・ガン・・”

また響いた。
車の近くから聞こえるようだ。
オレはゆっくりと車に近づき、死角になっている反対側に回り込んだ。
そこには、少し屈んだ状態でタイヤのホイールを蹴っている女性がいた。
女性は肩まで伸ばした髪と今の時期にしては薄着だった。
「なに・・してンですか?」
オレは少し怒りを含んだ口調で問いかける。
898本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 22:33:48 ID:wvSpW4630
2/5
女性がゆっくりと振り向く。
失礼ながら仏頂面という言葉がぴったりだと思った。
「それはこっちのセリフ」
どうやら彼女も怒っているらしい。
「こんな時間にうるさいったらありゃしない。
 ゆっくり眠れないから出てきたワケ」
「うっ・・」
オレは言葉に詰まる。
いい訳にしかならないが、車には多少手を入れてあるものの、
迷惑にならないよう騒音には気をつけていたつもりだった。
「それに、なにこの車・・」
彼女はオレを尻目に言葉を続ける。
「ムダにゴツいというか、もっとスタイルのいい車とかあるでしょうに。
 走りにも向いてなさそうだし・・」
その言葉にカチンときた。
「ちょっとまて、確かに音で迷惑をかけた事は悪かったと思う。
 しかし、車にケチつけられる筋合いは無いと思うが」
「ふん、わたしは思ったままを言っただけ。
 車の悪口を言ったつもりはないわよ。
 それとも、突っかかってくるんだから、自覚してんじゃないの?」
彼女は嘲笑するように言った。
899本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 22:34:27 ID:wvSpW4630
3/5
オレはその言葉に大人気なく熱くなってしまった。
数十分だろうか、時間はよくわからないが、
罵詈雑言も含め彼女と車について言い合った。

気づけばお互いが肩で息をしている。
――何やってんだ、オレ。
「ふ、ふふふ・・・」
なぜか笑いが込み上げてきた。
「ちょっと、なに笑ってんのよ・・気持ち悪い」
彼女が怪訝な顔でこちらを見ている。
「・・ああ、悪い。なんかどうでもよくなってな」
笑いを噛み殺して答えた。
「どうでもよくなったってなによ?」
オレは彼女にここにきた理由・・仕事でヘマをした事、
ヘコんで山を走っていた事を説明した。
「キミと言い合ったおかげですっきりしたよ。
 ありがとう」
彼女を見つめ心から礼を言った。
「ちょ・・なんであなたにお礼を言われなきゃならないわけ!?
 べ、べつに・・嬉しくとも、な、なんともないんだからね!!」
さっきとは打って変わって、彼女はそっぽ向き視線を泳がせている。
暗くて良くわからないが、頬が少し赤いような気がする。
900本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 22:34:59 ID:wvSpW4630
4/5
彼女は気まずそうに言葉を続けた。
「わ、わたしは・・あなたがうるさかったから出てきただけで、
 決して励まそうだなんて、これぽっちも思ってないんだから!」
「ああ、迷惑をかけてすまなかった」
オレは素直に謝り、軽く頭を下げた。
「わ、わかればいいのよ。
 今回だけは・・許してあげる」
「ありがとう」
オレはもう一度、礼を言った。
彼女がたじろぐように、一歩後ろに下がった。
「も、もう用はないんでしょ?
 早く帰ったらどうなの?」
彼女の言葉にオレは腕時計で時間を確認する。
深夜を少し過ぎた辺りだった。
「そう・・だな。明日も仕事だし。
 キミも帰らないとダメだろ?家まで送ってくよ」
オレは彼女を車に乗るように促す。
「・・・私は」
彼女は言葉に詰まった。
901本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 22:35:33 ID:wvSpW4630
5/5
オレはなんとなくその理由がわかっていた。
一応この辺は地元で、近くには民家がない事は知っている。
そして、彼女の服と『眠れない』『出てきた』という言葉が引っかかっていた。
「私はいいの、一人で帰れるから・・」
彼女は俯きながら答えた。
「そうか・・気をつけてな」
オレは車のドアを開けてから問いかける。
「また、ここに来てもいいかな?」
彼女は驚いたように顔を上げた。
「なっ、なにばかなこと言ってるのよ。
 わたしもヒマじゃないんだし、いつ来るかわからないあなたを
 待ってるワケないじゃない」
オレは間髪いれずに返答する。
「じゃ、今週の土曜。夜8時頃来るから」
言い終わると同時に車のエンジンを掛ける。
「ちょ、ちょっと、勝手に決めないでよ!
 わたしは待つとは言ってない・・待っててなんかあげないんだから!」
彼女は言葉とは裏腹に笑っていた。
オレは笑みを返し手を振ると車を発進させる。

バックミラーで確認した彼女はどこか透けて見えた。
「さて、安全運転っと」
そしてオレは遅い帰路についた。

902本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 23:05:27 ID:J81rlwBTO
>>897-901
GJ!

やっぱこの位が丁度いいねww

無駄に長いのや、ツンデレっぽくないのウザス
903本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 23:11:00 ID:UNLO+HzS0
>>897->>901
ベリーグジョブ!
温故知新、原点回帰、まさにあのツンデ霊よもう一度!!




俺も、既存の都市伝説ベースのヤツで書いてみようかな…首なしライダーとか、
どう見ても、セルティです。ありがとうございました。
904本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 23:25:51 ID:FmV9cGVQO
たまにはベタなのもいいね♪
905本当にあった怖い名無し:2006/03/09(木) 23:55:31 ID:JAg30BxN0
霊媒師「おい、おまいら!!除霊の準備ができますた。リビングに集合しる!」
俺   「詳細キボーヌ」
霊媒師「今日は護摩祈祷ですが、何か?」
悪霊  「ポルターガイストキターーーーーーーーー」
俺   「祟りキターーーーーーーーーー」
悪霊  「除霊ごときで騒ぐ奴は逝ってヨシ」
俺   「オマエモナー」
悪霊  --------終了-------
霊媒師--------再開-------
悪霊  「再開すなDQNが!それよりお供えうpキボンヌ」
俺   「お札うp」
悪霊  「↑誤爆?」
霊媒師「読経age」
神   「ほらよ六文銭>悪霊」
霊媒師「神降臨!!」
俺   「清め塩age」
悪霊  「糞清め塩ageんな!sageろ」
俺   「清め塩age」
悪霊  「清め塩age厨uzeeeeeeeeeeee!!」
霊媒師「清め塩ageって言ってれば除霊できると思ってるヤシはDQN」
守護霊「イタイ悪霊がいるのはこの家ですか?」
悪霊  「氏ね」
霊媒師「むしろゐ`」
俺   「清め塩age」
悪霊  「お 前 、 必 死 だ な ( 藁
906本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 00:03:22 ID:i8PIfqD80
ワロタw
むしろ既存のツンデ霊よりGJかも知れんw
まぁこの流れだから出来ることであって、二番煎じは効かないけどなw
907本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 00:37:50 ID:1zq9wx2h0
おぢさんはまだかな?
908本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 00:54:10 ID:zWBjgk9HO
>>891
今まで言わなかったけどあまりにしつこいんで言わせてもらうわ。

構ってちゃんウザい。
もう二度と来るな。
909本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 00:58:50 ID:Uh2+7Mkb0
待ち人は来ず、余計なのは嫌がっても来る。
ある意味ツンデレだなw
910本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 01:38:28 ID:CG973NM90
           ,..-─‐-..、
            /.: : : : : : : .ヽ
          R: : : :. : pq: :i}
           |:.i} : : : :_{: :.レ′ なかよくねっ!
          ノr┴-<」: :j|
        /:r仁ニ= ノ:.ノ|!           _
          /:/ = /: :/ }!        |〕) パシッ
       {;ハ__,イ: :f  |       /´
       /     }rヘ ├--r─y/
     /     r'‐-| ├-┴〆    _, 、_  '⌒ ☆
      仁二ニ_‐-イ  | |      ∩`д´)
      | l i  厂  ̄ニニ¬      ノ  ⊂ノ
     ,ゝ、 \ \   __厂`ヽ    (__ ̄) )
     / /\_i⌒ト、_   ノrr- }     し'し′
   └-' ̄. |  |_二二._」」__ノ
911本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 03:42:48 ID:isK5fcbqO
>>871
ハハキトク スグツヅキオクレ
912本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 03:47:55 ID:qqjtfzKD0
ツンデレな付喪神ってのもここ?
と思いつつ文才が無いので書けない
913本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 05:26:13 ID:9t/WjEYX0
ああ・・・ツンデレっていいな。
人でも霊でも・・
914本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 05:26:34 ID:zaVr08lV0
915本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 05:38:14 ID:KaXarD8i0
わたしが求めるのは空に輝く月の光

いったい何度繰り返せばいいのだろう
今日もわたしを呼ぶ声が聞こえる
それは他の誰にも聞こえない、わたしの冷え切った身体の内から響く慟哭

無機質なブラウン管の向こうに見える質素な部屋
その部屋の中央に敷かれた布団に男が一人横たわっている

愚かな男……

この男で何人目になるのか、すでに数えることはやめてしまった
今はただ、目の前にいるこの男が憎い、憎い、憎い……

わたしを閉じ込める箱からゆっくりと這い出し、男のかたわらに立つ
男はこれから迎える運命も知らずに眠りこけている

「起きて……」

なにも知らないまま死ぬことなど許さない
わたしの声を、姿を、恨みを知り、自分の行いを後悔しながら死んでいくといい
男はゆっくりと瞼を開く

「ん……誰……」

目覚めた男の問いには答えず、意識を集中させる
ただ、この男を殺す、それだけに――
916本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 05:39:04 ID:KaXarD8i0
「今何時だ?」
「え? っと、七時……十五分かな」

あまりに意外な問い掛けに、考えるよりも先に答えてしまっていた

「七時十五分……やばっ! 遅刻する!」

突然飛び起きた男は、わたしに目もくれずに慌しく身支度を始めた
わたしなど眼中にないというその様子に呆気に取られていると、
男は支度を終え部屋から出て行こうとする

「あの……」
「あ、悪いけど今急いでるから後にしてくれないかな」
「後にって……わたしのことが気にならないの?」

おかしな男だ
わたしを誰だと思っているのだろう?
917本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 05:39:57 ID:KaXarD8i0
「気になるけど、今それどころじゃないんだよ。
 ああもう、起こすならもっと早く起こしてくれよ」
「……別にあなたのために起こしたわけじゃないのよ」

そう、すべてはこの男にわたしの味わった恐怖を教えるために――

「なんでもいいや、とにかく俺は出かけるから。
 帰るなら鍵閉めていってくれよ。鍵は郵便受けに入れといて」
「あ、うん……いってらっしゃい」
「いってきます!」

嵐のあとの静けさの中に、わたし一人が取り残されていた

「あ……逃げられた」

なんということだろう、こんなことは初めてだ
これまでわたしが殺してきたどんな人物とも違う

「どうしよう」

考えたところで仕方がない
わたしはわたしが作り出した「子供」の側からは離れることはできない
もはや男はわたしの手の届かないところに行ってしまった

ここはおとなしく明日の朝を待つしかないか
焦ることはない、これまで何十年も暗く冷たいあの場所で独り過ごしてきたのだから
とりあえず明日は少し早起きしなければ
918本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 16:22:39 ID:ViCZZAaz0
GJ
919本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 20:28:43 ID:RREyj/L+0
日本にツンデレする某国ネタ
920本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 21:02:32 ID:b9U3UF7RO
そのツンデレは嫌だぁ
921本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 21:04:21 ID:LVQrR2Vs0
新作が貼ってないのにageんなw
922本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 21:53:34 ID:iDDpuh4N0
大槻教授はツンデレ
923本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 22:37:32 ID:iDDpuh4N0
つーか小部屋パワーハウス、入る前にギガヘッドの姿で気づいたのに間違えて攻撃しちまった。
絶対凌げたと後悔してしまうぜ。
924本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 22:38:11 ID:iDDpuh4N0
壮大な誤爆をしました。すいません
925本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 22:43:04 ID:LVQrR2Vs0
それなんてツンデレ?ワロスw
926本当にあった怖い名無し:2006/03/10(金) 23:04:20 ID:UI9PqBqFO
不思議のダンジョンナツカシス
927本当にあった怖い名無し:2006/03/11(土) 00:36:15 ID:GN9j1V4YO
おぢさんの続きマダァ-?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
928本当にあった怖い名無し:2006/03/11(土) 00:39:16 ID:8eP/NAHF0
まぁ気長に待てし(俺もY県人だけどw)

それより次スレは誰が立てるんだ?
この流れなら>>970あたりでいいのかな?
929おぢさん@気を持たせてスマンね:2006/03/11(土) 03:00:53 ID:d2RtP9Dh0
戦争が終わったなんていっても、暮らしがすぐに変るわけじゃなかった。
相変わらず食べ物は少ねぇし、天から家や財産が降ってくるでもなかった。
疎開組の大人たちは不安と悲しさが混じったみたいな暗い顔をしちょった。
恨み言をぶつける相手も無いし、やり場の無い怒りや悲しみに耐えてたんじゃろな。
そんでもまぁ村の大人たちが気丈に励ましてくれてたけんどな。

あの幽霊は、あれから一度も姿を見せなんだなぁ。

無事な親類や家族が居るもんはぼちぼち下に下りてったが、
わしらは一番最後に下りた組じゃった。
こんなことでも無ぇと親類が集まるなんてこたぁ滅多にねぇ、なんて
村に残る爺さんの弟が見送りながら言っていた。気でも遣ったじゃねぇだかな。
最後まで振り返り振り返りして、悪ガキたちと名残を惜しんだ振りしてたが、
実ンところあの幽霊が気になってただよ。

焼け野原になったk府は、そんでもぼちぼち人が集まってた。
荒川をはさんで中心の方はひどい有様じゃったけんど、
わしらの住んでたk母の方はいくぶんましじゃった。
結局一年ばっかし疎開しとったからな、それもあってうちは荒れ放題だった。
その後のつましいくらしの話なんぞ、思い出すのも億劫だし、聞きたくもなかろ。
かいつまんで言うと、ツテを頼って父が宝石の仲買を始めたんじゃ。
じゃがなにぶん慣れないもんでの、一月も経たんうちに失敗して、
下の姉と妹まで借金でひぃひぃ言っておった。そんな時じゃった。
930おぢさん@要望が多いので書き溜めて投下:2006/03/11(土) 03:00:57 ID:d2RtP9Dh0
兄ちゃんが帰ってきおったんじゃ。
あまりに突然のことで家族みんなびっくりしてな、
幽霊でも見るように見つめるしかできなんだよ、はっはは。

兄ちゃんによると、とうに何度も現金を入れて手紙を送ったらしいんじゃが、
まったく音沙汰が無いので、こりゃぁもういよいよ駄目だったかと思って
せめて供養だけでもと思って帰ってきてみたらしいの。
あとで聞くところによると、この時分はどこでもそんなことがあったらしいがの。

上の姉や世話になった親類なんかも呼んで開いた宴席で、兄ちゃんは不思議なことを話し出したんじゃ。

あの日の夕方、特攻命令が出たんで隊長として皆に最後の言葉を掛け、
往復分の燃料と特攻用の爆弾とを積んでT林の基地を後にした。
この日の夜の作戦には約75機の特攻機が飛び立った。
兄の特攻の目標となる軍艦には、他に戦友の少尉の隊も攻撃する予定だった。
目標に近づいたら二つの隊は雲の上と下から、反撃をくぐってそれぞれ特攻する予定だった。
上官である兄が指示を出そうとしたとき、突然寒気と耳鳴りがした。
目の前の雲が赤く染まって見え、雲の上に誘導しているみたいだった。
状況が飲み込めないまま他隊に雲下に行くように指示し、自隊は上に進路をとった。
だが、いくら探しても敵艦なんて見つからない。
燃料が残り少なくなって、犬死を避けて出直すために引き返した。
爆弾は誘爆を避けるため、途中で放棄した。

兄は基地に帰ってみて初めて敗戦していることを知ったそうじゃ。
それから生還したのが自隊だけということも。
931おぢさん@あと2レスくらい:2006/03/11(土) 03:01:03 ID:d2RtP9Dh0
その話を聞いたわしは、ぱっとあの幽霊を思い出した。
気付いたらそのことを皆にまくし立ててたな。

ふと見ると父も母も押し黙って、じっと俯いてるんじゃ。

長いこと何にも言わなかった母が、わしのせっつきで少しだけ話してくれた。
実はわしら兄弟にはもう一人姉がいたこと。
あの村で結婚した父母の始めての子で芳子と言い、赤い着物を好んで着ていたこと。
おっとりしていて、あの土蔵から村の子供たちを眺めるのが好きだったこと。
4歳になるころ、山でも珍しいすももをおすそ分けで貰ったこと。
親の目を盗んで未生のすももを食べてしまい、急性腸炎であっという間に亡くなってしまったこと…

きっといつもわしらのことを見守っててくれたんじゃろな。
それとも誰かを助けるまでこの世に留まらならんかったんか。
さてな、どっちもなんじゃろか。

あれ以来幽霊は出んようになってしもたし、兄は結婚して娘に芳子とつけた。
あんときの幽霊に、似とると言えば似とるかの。
そう、お前の母さんじゃ。
ほれ、お前にも赤い洋服がよく似合うよ、はっはは。


--------
祖父の三回忌で聞いた話は、あたしのふるさとを少しだけ見せてくれた気がした。
今年の夏休み、その村を訪ねてみよう。
932おぢさん:2006/03/11(土) 03:01:09 ID:d2RtP9Dh0
まづ、昨日来ることが出来ないので一昨日のうちに書き上げたかつたのだが、
あまりの眠気に途中で寝てしまつた事は許して呉れな。
それから少し論議された様だが、この話は何処にも載つてないものですよ。
私が縁あつて実際にお聞きしたものです。
「兄」の土台となつた人、「芳子」の土台となつた人は実在の人物です。
いや、「でした」。
実際はその兄の娘だつたのが芳子で、一家はG県のT林に住んで居りました。
その「兄」自身から伺つたお話を基にして、幽霊話に仕立て上げました。
その方は残念なことに一昨年、永遠の楽土へ旅立たれました。
その後、ご供養に行つた折に奥様に伺つた当時の話も混ぜて真実味を出しました。
出来るだけお話の雰囲気を出したかつたので、いたづらに長い文になつてしまいましたな。
どなたか短くまとめてくださればありがたいと思います。
芳子さんの挿話も実話が基ですよ。勿論お名前や場所は変えてありますけれど。
皆さん、長い話に付き合つて呉れてありがとうね。
このスレがますます発展すると良いですね。また覗かせてもらいます。

そうそう、>>847のご要望にはお答えできてますでしやうかね。


・・・もし差し支えなかつたら、
お話を聞かせてくれたk中尉のご冥福を祈って
少しだけ手を合わせて頂けないでせうかな。
いや、これは少々あつかましいお願いでしたかな・・・
933本当にあった怖い名無し:2006/03/11(土) 08:38:10 ID:8HOikS8tO
とても良かったです。お疲れ様でした
934本当にあった怖い名無し:2006/03/11(土) 09:26:20 ID:naBzKLMX0
いい話をありがとうございます。あなたのレスに出会えて良かったと心から思います。
話が長すぎるとは全く感じませんでした。
これからももしよろしければ、心に沁みる話をお聞かせいただければと。
935本当にあった怖い名無し:2006/03/11(土) 12:30:06 ID:jUTGOAYyO
真実であったにせよ長すぎる。スレ内容に沿っているとも思えないし。
俺は読んでて楽しくなかったな。語り口調も不快だった。
だいたい特攻機は片道分の燃料しか詰まないんじゃなかったか?
936本当にあった怖い名無し:2006/03/11(土) 12:40:53 ID:b5QObp880
>>935
積まなかったんじゃなくて、資源不足で積めなかったんだよ。

ついでにこれを貼っとく。
http://shupla.w-jp.net/datas/flash/sinjituwadokoni.html
937本当にあった怖い名無し:2006/03/11(土) 13:02:58 ID:i0++AMXF0
>>936
泣いた。

当時、太平洋に展開する米兵は、英語で放送される
日本から流れてくる神風予報なるものに恐怖していたという。
バンザイアタックの喧伝も伝わり、本当に怖かったとアメリカの
じいさんがいってた。
938本当にあった怖い名無し:2006/03/11(土) 13:07:28 ID:i0++AMXF0
と同時に、すごく尊敬したそうだ。
戦術としてはFUCK OFFだが、それを遂行する兵士には
畏怖と尊敬を抱いていたらしい。
小柄な体躯だけど、一対一なら勝てなかったさ、と肩をすくめてた
939本当にあった怖い名無し:2006/03/11(土) 15:07:22 ID:aRScP112O
>>935
長くても脈略があれば構わんと思うよ。
短くても範馬とかはウザイ。
940本当にあった怖い名無し:2006/03/11(土) 15:33:37 ID:KULLaQmO0
最初は良かったけど中盤ダルかったな
941本当にあった怖い名無し:2006/03/11(土) 16:16:39 ID:ecdwCoDO0
>>935 あのなあ・・・

そりゃ特攻は成功すれば片道で二度と帰らないさ。

でもね。

目標を発見できなかったり、悪天候になったりして迂回したり、機関が不調を起こしたりして引き返さなきゃならんときはどうするんだよ!
基本的に「満タン」で送り出してやるんだよ!いざとなったら帰ってこられるように!

軍板初心者スレで質問してきてごらんよ。

942ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン:2006/03/11(土) 16:20:29 ID:pCukqR5B0
そして帰ってきたら振武寮で「再教育」となるわけだ…
いずれにせよ地獄だな
943本当にあった怖い名無し:2006/03/11(土) 16:44:12 ID:UihvuuXB0
なになに?今は特攻隊の燃料が片道分か往復分かを論議するのが流行なの?
この板のトリビアスレでもやってたぞw
944本当にあった怖い名無し:2006/03/11(土) 16:48:58 ID:QbRDB08Y0
板違いうざい
945本当にあった怖い名無し:2006/03/11(土) 17:11:31 ID:UihvuuXB0
今、つらーっと「おぢさん」つう人のレスを読んでみたけど、
ツンデ霊っつうにはちと強引じゃない?
心霊ちょっといい話スレならマッチするかも試練
946897:2006/03/11(土) 19:58:15 ID:7r5dF4DW0
1/7
オレは山頂付近の展望台から街の夜景を見下ろしている。
時間は夜の8時少し前、彼女が来るのを待っていた。
彼女のおかげかどうか分からないが、仕事もうまくいき、
オレのできる部分は終わっていた。

「ほんとに来てるなんてばかじゃないの」
いつの間にか隣に彼女がいた。
「キミも来てるって事はヒマなんだね」
オレは彼女をからかうように言う。
「ば、ばかな事言わないでよ。
 わたしはただ・・そう、あなたが一人寂しくしてるのを見に来ただけ!」
「もしかしてオレの事、心配してくれたの?」
彼女の性格は、この前合った時に大体分かっている。
「なっ、勘違いしないでよ!
 わたしはあなたを笑いに来たの。心配なんかこれっぽちもしてないんだから」
彼女は紅潮した顔を見られるのが嫌なのかそっぽ向く。
オレは心の中で『ありがとう』と言い、別の言葉を紡いだ。
「まぁ、そういう事にしておくよ」
「だから、ちがっ・・」
「ああ、そうそう」
オレは彼女の言葉を遮り、コートのポケットから小さな紙袋を取り出すと、
中から空色の石の付いたネックレスを彼女に差し出した。
「キミのおかげで仕事がうまくいったよ。
 これはそのお礼、受け取ってほしい」
947897:2006/03/11(土) 20:00:11 ID:7r5dF4DW0

2/7
彼女はオレの顔と差し出されているネックレスを見比べる。
心なしか彼女の顔が暗くなった気がした。
「わ、わたしはあなたの為に何かした覚えはない。
 勘違いも大概にして!」
俯きながらも強い口調で彼女は否定した。
オレはいままでの雰囲気と違う彼女に驚きを覚えた。
「・・すまない。
 じゃあ、出会った記念でってのはクサすぎるかな?」
オレは苦笑しつつ、彼女の反応を見る。
「・・・受け取れないよ・・」
彼女は消え入る声で呟いた。
そして、キッと睨むように顔を上げた。
その瞳には涙が溜まっている。
「あなた、もう分かってるんでしょ!?
 わたしは・・・わたしは・・・」
彼女の言葉は声にならず聞き取ることができなかった。
彼女はまた俯き、肩を震わせている。
オレはため息をつき、ネックレスをポケットに戻した。
そして、そっと彼女に触れようと手を伸ばす。
しかし、手は彼女に触れることはなく、空を掴むようにすり抜ける。
「・・キミに合った時から、なんとなくだけど違和感はあった」
オレは触れることのできなかった手を見つめ、彼女の方へ視線を移す。
彼女は俯いたまま動こうとしない。
948897:2006/03/11(土) 20:01:16 ID:7r5dF4DW0
3/7
オレは夜景に目を向けポツりと呟く。
「オレも死んだらキミに触れる事できるかな・・」
幸いにも周辺の柵は低く、オレの腰辺りまでしかない。
この程度なら余裕で越えられるだろう。
「ちょ、ちょっと、なに考えてんのよ!
 ダメ!そんなのダメなんだから!!」
彼女の慌てる声が聞こえる。
オレはゆっくりと柵の方へ歩いていた。
「ばか、そんな事したってなんにもならない!
 わたしが喜ぶとでも思ってるの!?」
彼女が引き止めるようにオレを掴もうとするが、
体をすり抜けていく。どうやら彼女も触れることができないらしい。
オレは他人事のように体から突き出ている手を見つめた。
「なんで・・どうして・・」
彼女の言葉を背にオレは柵を越える。
崖下は20mくらいだろうか、暗闇の奥にアスファルトで舗装された道路がぼんやりと見える。
オレは彼女の方へと振り向く。
彼女は信じられないといった顔でこちらを見ている。
オレも自分の行動が信じられなかった。
949897:2006/03/11(土) 20:02:15 ID:7r5dF4DW0
4/7
彼女へ自嘲気味に微笑んだ時、彼女の表情が怒りへと変った。
「あなたばかよ!ほんとにばかだわ!!
 なんでわかんないのよ、そんな事したってわたしは嬉しくなんてない!
 あなたが死ぬ事でどれだけの人が悲しむと思ってるの!?
 残された両親は?友達は?彼女は?
 死んだら何もかも無くなると思ってるの!?
 そんな事ない!私は死んでこんなになっちゃったけど、
 両親や友達の悲しみ、怒り、落胆、いろんな感情に押し潰されそうになったわ。
 自分の行いにとても後悔したわ。なんで死んじゃったんだろうって・・。
 でも、戻りたくても戻れない。だから、もう忘れようって・・、
 誰の目にも触れないようにしてたのに。
 あなたが・・あなたが、ここに来なければ!あんな感情を持って来なければ!
 う、ぅぅ・・」
彼女は捲くし立てるように言った後、崩れ落ちるように泣き出した。
彼女の死んだ理由・・あの時のオレのように自暴自棄になって、か。
幽霊に諭されるとは思っていなかった。
オレは柵を越え彼女の方へ歩み寄る。
「ごめん。オレ・・」
オレは彼女の肩に手を伸ばす。
「ばか!!」
彼女の平手がオレの頬をすり抜ける。
痛みはないはずなのに、ズキリと胸に響く。
950897:2006/03/11(土) 20:05:29 ID:7r5dF4DW0

5/7
お互いが動かず、どれくらいの時間がたっただろう。
「ようやくキミの本心を聞けた気がした・・」
オレはできる限り優しく話しかけた。
「もう死ぬなんて言わない。だから・・ごめん」
彼女がゆっくりと顔を上げる。
咎めるような視線が痛い。
――なんであんな事したんだろうな
とことん不器用なんだと思った。オレも彼女も。
「ふぅ・・」
彼女は少し大げさにため息をついた。
どこか吹っ切れたような、そんな表情だった。
「こんな気持ちになるなんて・・。
 なんでもっと早く素直になれなかったんだろ」
自問自答のようで、オレに問いかけるような彼女の言葉。
オレの言葉で彼女の人生を否定してしまいそうで、
答えることができなかった。
――情けねぇな、ほんとに。
「あ〜、なんかすっきりした〜。
 身体が軽くなったみたい」
オレは突然明るくなった口調に驚いてしまった。
「この前のあなたじゃないけど、ありがとうって言うべきかな?」
彼女はからかうような笑みをオレに向けた。
「オレは礼を言われるような事をした覚えはない。
 そんなことを言われても嬉しくはないな」
951897:2006/03/11(土) 20:08:52 ID:7r5dF4DW0
6/7
「ちょ、なによその言い方!」
オレはにやりと笑みを浮かべる。
「キミのマネをしただけだ、気にするな」
彼女は『全然似てない』と抗議するような視線を向てきた。
しかし、ふっと真顔になって言った。
「あなたも素直になった方がいいよ」
――ああ、分かってる。
オレは心の中で答え、苦笑だけを彼女に返した。

「そろそろ時間かな・・」
「行くのか?」
言っておいてなんだが、変な質問だと思った。
「うん、なんかそうみたい」
ハッキリとしない回答だった。
「一つだけ」
彼女はオレに向けて人差し指を立てた。
「一つだけ約束して」
強い意志を持った瞳がオレを見つめる。
「あなたはわたしが生きられなかった分、幸せになること!」
簡単なようで難しい約束だった。
だが、なんとでもなる、それが人生だ。
「ああ、わかった。がんばるよ」
オレは彼女に負けないくらい意志を込めて見つめ返す。
「うん、がんばれ!」
見たことのない屈託のない笑顔だった。
「キミも・・」
オレは思わず出そうになった『一緒に』という言葉を飲み込む。
ここで引き止めてはいけない。オレは首を横に振り言い直した。
「また、いつか会おう・・」
「ええ、また、いつかどこかで・・」
そして彼女はオレの前から消えた。
952897:2006/03/11(土) 20:11:31 ID:7r5dF4DW0
7/7
十数年後
オレは妻と小ニになる息子を連れて遊園地に来ていた。
といっても、妻はショッピングに勤しんで子守を押し付けられた形なのだが。
「おと〜さん、次アレ乗ろうよ」
手を繋いだ息子の指さす方向にはジェットコースターが見える。
「よし、行こうか」
オレは息子に引っ張られるような形で歩く。
「すいませ〜ん!」
誰に向けられた言葉か分からないが、比較的近い場所で声がした。
オレは辺りを見渡し、左手の方からこちらに向かって駆け寄ってくる女の子に視線を止めた。
栗色の髪を肩まで伸ばし、学生服を着ている。
中学生くらい・・旅行生だろうか。
「すいません。写真撮ってもらっていいですか?」
オレの元まで走ってきた女の子が尋ねてくる。
彼女の少し後ろには、この遊園地のマスコットを囲んでいる3人の女の子がいた。
「いいですよ」
オレは彼女の持っていたデジカメを受け取り、マスコットを中心に並んだ4人の女の子を撮った。
「ありがとうございます」
オレは栗色の髪の彼女にデジカメを返した。
「どういたしまして」
言葉も半ばに、横で待っていた息子にせかされて歩き始める。
「あの」
再度呼び止められ、オレは振り向く。
彼女はオレを真っ直ぐ見つめていた。
「あなたは幸せですか?」
普段のオレなら『宗教か?』と眉をひそめただろう。
「ああ、とても幸せだ」
しかし、無意識の内に答えていた。
オレの言葉を聞いた彼女は満足そうに、そして見た事のある屈託のない笑顔を向けて言った。
「わたしも幸せだよ」
―終―
953897:2006/03/11(土) 20:12:34 ID:7r5dF4DW0
>>897 の続きです。
ツンデレって難しいと実感しました。
後の方はツンデレじゃなくなってしまったし・・。
話を分けて長々とすいません。

オカルト板でツンデレの意味を知った自分がオカルト。
以上、記念カキコでした。
失礼しますノシ
954本当にあった怖い名無し:2006/03/11(土) 21:27:15 ID:/VcWlGeB0
>>946-952
内容はGJだと思う。乙。
でもな〜正直タイミングが悪かったと思う。
上でさんざん長いのが出てて、みんな食傷気味だからすぐには読む気がしないんじゃないか?
次のスレまで待ったほうがよかったかも?

でも内容は良かった。また頼むよ。
955本当にあった怖い名無し:2006/03/11(土) 21:51:51 ID:aRScP112O
>>953
>>897までは良かったけど、今回のは既に誰かが書いたものの焼き増しな感じがする。
956本当にあった怖い名無し:2006/03/11(土) 22:07:22 ID:GN9j1V4YO
それは、しょうがないだろう
題材が決まってるからな
957本当にあった怖い名無し:2006/03/12(日) 00:16:14 ID:Hve3DDTsO
>>946-952
グッジョブ
輪廻って今回初めて出たな。

とってもよかったお。・゚・(ノД`)・゚・。
958本当にあった怖い名無し:2006/03/12(日) 00:29:48 ID:GriLkGyU0
>>957
輪廻ネタは>>360-362にもあったり
959本当にあった怖い名無し:2006/03/12(日) 01:23:22 ID:tkHzm+9C0
普段はROMってるおれだが950こえたし新しいの立てといたよ

なにそのツンデ霊★三人目★
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1142094064/
960本当にあった怖い名無し:2006/03/12(日) 01:37:22 ID:M1zfuvBiO
>>959 乙か霊
961本当にあった怖い名無し:2006/03/12(日) 11:19:07 ID:NuqY/+YN0
>>942
そこに行く人もいるし、そのまま基地で待機になって次回に行く人もいる。
なんせ戦争だし基地もあちこちだし指揮官も色々出しパイロットも色々だし。
962本当にあった怖い名無し:2006/03/12(日) 11:19:43 ID:NuqY/+YN0
板違いお詫び ;y=ー∵. <´`д゚` ・∵. パン ・・・ッ・・・
963本当にあった怖い名無し:2006/03/12(日) 11:29:04 ID:BnjYAitG0

…そして>>962はツンデ霊としてこのスレを静かに見守っていくのであった…

■■■■■■■■ツンデ霊 第二部 〜韓〜■■■■■■

次スレが立っているので、以下埋め作業か新人の練習として使う?
それともまだ本スレあつかい?
964本当にあった怖い名無し:2006/03/12(日) 11:32:03 ID:BnjYAitG0
まちごいた…OTL
〜韓〜って何だよ韓って…
〜完〜の間違いな

おれも逝ってこよう…;y=ー<ヽ`д´>・∵.
965本当にあった怖い名無し:2006/03/12(日) 12:02:11 ID:M1zfuvBiO
いや、漏れには狙ってやったように見えたよ
966本当にあった怖い名無し:2006/03/12(日) 12:09:45 ID:BnjYAitG0
ばかじゃないの?!いくらツンデ
レだからって、そんな簡単なネタで
たのしんでるとでも思う?!
w笑わせようとしてるにしても
ごういんだし、そんな言いがかりって
メンドイんですけど…暇なニーとは
寝てればァ?
967本当にあった怖い名無し:2006/03/12(日) 12:50:05 ID:8vuJDlCfO
まー、なんだな。
とりあえず>>966
しんで良いと、思うよ
968本当にあった怖い名無し:2006/03/12(日) 13:12:22 ID:928q/hns0
きのうの夜、ETV特集という番組で、脳の機能が衰えたお年寄りに
ごく簡単な計算などをやらせて機能回復させるっつうのをやってた。
中には嫌がる人もいて、出題されても「知らん!」と大声で繰り返すお婆さん
がいた。答がわからないようには見えなかった。一種のツンデレだろうか?
969本当にあった怖い名無し:2006/03/12(日) 13:27:24 ID:hWaa6ph1O
婆はもうデレッとする事はないかと。ただでさえ老人(特に女)はお荷物なんだから可愛くしてないと救いようがねーな
970本当にあった怖い名無し
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次スレからデビューしまつ・・・・・