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本当にあった怖い名無し:
ほんの数年前の年末、色々合って会社の社長とケンカして、職場を解雇された。
もともと休みもボーナスもなく、給料も安い会社だったので清々したこともあるが、
貯金は微々たる額で、次の仕事のあてもなく、この先のことを考えるとつい暗く
なってしまっていた。
そうして暗い正月を過ごした後、行き着けの整体師から勧められ、某神社に行った。
その神社は地元でも有名な商売の神様の社といわれていた。
神社は商店街の中にあるのだが、整体師曰く、
「奥にある神社が本物で、手前のはダミーだから、
奥の神社に御参りすることを忘れないようにね」といわれた。
見るとなるほどお社は、手前と奥に二つある。そこで両方に御参りして、
これで終わりかな? と商店街の中をブラついていると、商店街の終わり
間近のところに、もう一つ神社があった。
「あれ? なんでこんなところにも神社が…」と思いつつ入ると、
そこは正月だと言うのに誰もいない静かなお社だった。
俺はつい気になって、中に入って見ると小さな社の隅で何かが動いた。
「なんだ?」と思い近づいてみると、それは黒毛の子猫だった。
しかも近づこうとすると「フミャー!」っと毛を逆立てて俺を威嚇する。
何で御参りに来たのに威嚇されるの?w と思いつつ見ると、
その猫は手と顔にケガをして酷く痩せていたので、哀れになった俺は、
商店街に戻り、売店で牛乳を買って再びお社に戻った。そうして猫に近づくと、
猫はまた怒ってお社の裏に隠れてしまう。そこで妙な違和感を覚えた。
そもそもここの神社は他にも猫が沢山いるのだが、みな同様に人懐こい。
なので、その猫の極端な人嫌いぶりにおかしな気はしたが、
まあそれはそれとして、牛乳パックの封を開け、自分でも少し飲んで見せ、
パックを猫の側に、石を下敷きにして斜めにして飲めるようにして置いておいた。