……しかし、<原初の闇に覚醒するものたち>によって、そのすべては覆される……<闇の底に封印されていたもの>の目覚めによって……そんな思いが心をよぎった。
『歴史の転換期において、<在るもの>が目覚め、それが一律して世界を治める王となる…』
という予告は、クニトコタチやスサノオを根の国や底の国に退却させた邪神や悪神、寄らば大樹の影とやらで、それらの陰謀の手先となって<封殺した>
人間たちにも知らされてあることだった。
『悪神たちは、その思惑を九分九厘までは遂げる。だが、最後の一厘の秘策は、水も漏らさぬ<仕組み>の中に在る…』神諭の中にそんな一節があった。
悪魔の大将たちや邪神たちは、善玉の神さえ画策して陥れたり、寝返らせたり、はたまたスパイを忍び込ませたりと、
<情報>を盗み、それを用いてまことしやかに大衆を欺いて操作する…それがまた、連中がこの歴史の中で培ってきたやり口…戦略であもあった。
支配と被支配の構造をそれとわからぬような形で時代時代の中に忍び込ませていた。
その戦略を浸透させるという連中の思惑にとって、マス・メディアの進歩や<脳の落とし穴に埋没した人間>は、
まさしく<好都合>なものだった。
だからこそ、クニトコタチやスサノオは、見えない世界に追いやられたまま、人々は<神と個の意識との繋がりの回路>
は断ち切られていることすら自覚できない<明き盲>状態に今だに置かれたまま、
今の今まで悪神の思惑は見破られることなく見過ごされ着実に進行している、という現状があった。
自ら真実を求め<考える>力を失ったまま、架空名義の権利に過ぎない、<与えられた享楽>を、
人生の権利と履き違えたまま貪欲に貪り消費する健全でお利口なる市民の群れ……邪神たちにとってこれほど操作しやすいものがあるだろうか?