中古住宅の解体作業のバイトしたんだけど、解体する前に家の中に置いたままになってるものを全部処分することになった。
で、そのときに「残ってるもので欲しいものがあったら持って帰ってもいい」って事になった。
勿論、電化製品をはじめ、金目のものはあらかた既に別の業者によって処分された後だったので、めぼしいものなんてほとんど残ってなかった。
しかも、そこに元すんでたのはおじいさんで、若向けのものは何一つ置いていなかった。
だから欲しいものがなければムリに持って帰らなくてもいいのに、何か持って帰らないと損とかいう貧乏根性で色々捜していた。
すると、小さなダンボールにぎっしり詰まった録画済ビデオテープがあったので、それを持って帰ることにした。
あわよくば、エロビデオなんかが混じってればと思ったのだが、家に帰って中身を確認してみたら、つまんない番組(主にNHK)を撮ったのばっかりだった。
ガッカリして、即上書き用に使おうと思ってたら、箱の奥にただ(1)とか(2)とか番号の書かれたラベルの貼られたテープが十数本でてきた。
何のビデオなのかと、まず(1)のビデオ再生してみたら、どっかの部屋の映像が映し出された。
どこにでもありそうな和室。タンスが置いてあって小さな机が置いてある。タンスの上には小さな仏壇。机の上には湯飲み茶碗が2個置いてある。
壁にはカレンダーがかかっている以外は何も飾られていない。そんな、殺風景ではないけど、何もない部屋の映像。
何か始まるのかと思ったが、その部屋の映像が延々写し出されているだけ。人もでてこない。
早送りで見てみても、どうやらずっとそんな部屋の様子が写しだされているだけで何も起こらない。
そうしているうちに、一本目のビデオが終わってしまった。
それでも、根気よく(2)のビデオも見てみたが、やはり同じ部屋の様子が同じ調子で映し出されているだけだった。
そして何事も起こらぬまま(2)のビデオも終わってしまった。
それで、もう後のビデオを観るのは止めようか、とも思ったんだが、あの部屋の様子が妙に気になったので(3)のビデオも見てみることにした。
もういちいち丁寧に見るのはめんどくさいので、早まわしで見ていたら、始まって20分あたりで、ふっと何かが画面を横切るのが確認することができた。