有名な怖い話をクールに反撃する話に改変しよう 2

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751番町皿屋敷1/2
(前略)
お菊の亡骸が古井戸に放り込まれた次の夜の事でありました。
お屋敷の者達も寝静まった頃、井戸の中からなにやらぼうっと光る球のような物が現れ
井戸の底の方からでしょうか、くぐもった若い女の声が聞こえてきます。
声に気づいた数人の若い奉公人が起きあがり、古井戸に向かいますとどうやら
その声は皿を数えてるようなのでございます。
「いちまーい、にまーい…」
あれはお菊ではないか、一人が言うと他の者もそうじゃ、そうに違いない、殺された
お菊が化けて出たんじゃと口々に言いました。
声は途切れ途切れしながら皿を十枚まで数えると、さも恨めしそうに
「一枚足りぬ……」 とうめいたそうでございます。
その声はその晩から夜な夜な続き、いつからか世間では
「青山主膳さまのお屋敷は呪われている」などという噂と共にお菊の幽霊の話が
まことしやかに広まったのでありました。
奉公人たちは祟りを恐れ次々と辞めてゆき、旗本青山主膳のお屋敷は人すくなになってゆきました。

さて、そして登場するのがこの物語の主人公、旅の道中立ち寄った町でお菊の亡霊の噂を耳にすると
そんな物を恐れるとはやれ情けなや、そのような化け物この俺が退治してやるわといきり立ち
お供三人を従え青山主膳のお屋敷へ参ったのであります。
もうすでにお屋敷には誰も住んでおらず、草がぼうぼうと生い茂り、まだ昼なのにも
関わらず薄暗く、いかにもあやかしの類がふっと出てきそうな雰囲気でありました。
752番町皿屋敷1/2:2005/07/02(土) 13:44:57 ID:q1fE4vR50
男達四人はそこに荷を下ろすと夜を待ちました。
そして真夜中。ふたたび古井戸からは人魂が現れ、女の声が聞こえて参ります。
「いちまーい、にまーい、さんまーい、よんまーい、ごまーい、」
「ろくまーい、しちまーい、はちまーい、きゅうまーい、じゅうまーい…」
「一枚足りぬ…」
話に聞いたとおりでありました。男は震える気持ちを抑え、声を上げたのでありました。
「待て!いいか?今お前は皿を十枚持っている。『一枚足りない』と言うことは本当は
皿は十一枚あったと言うことだろう。しかし、こう考えてみたらどうだろう?皿が
『元々十枚しかなかった』のだとしたら?」
女の声は男の言葉にたじろいだ様子でありました。
「古くから四と九は『死』『苦』に繋がるとして縁起の悪い数とされてきた。今でも
げんを担いでビルなどに四階、九階をつくらないところも多い。そしてそう言う場合、
四階、九階はどうするか?四階を五階、九階を十階と表示するんだ。そしてその皿にも
同じ事が言えるんだ。つまり…」
男はそこで言葉を切りました。男はすうっ、と息を吸うと右手をかざし、叫びました。
「つまり四枚目の皿は五枚目、九枚目の皿は十枚目となる。皿の数は十一枚だ。
つまり、皿は足りなくなんかなかったんだよ!!!」
女の声と三人のお供たちが「な、なんだってー!?」と叫びました。
その後、人魂や女の声を見た、聞いたという者はいなくなったとの事でございます。