【解説】
彼は切り絵を貼り付けて作る絵本作者だった。
普通の絵本と違う味わいの絵本に、近所の子供達は新作を楽しみにしていた。
しかし、彼は病に侵されてしまった。
先は長くないと判ったとき、すでに新作絵本は半分が完成していた。
そこで、彼は死神に願った。
「僕の命はあとわずか。この絵本は僕の最高傑作になりえるはずだ。
この絵本はぜひ完成させたい。完成まで僕の命を延命させてくれ。
その代償に、この絵本を子供が見る事で、その子の命を道連れにできるだろう。
そこから病は広まり、魂がたくさん得られると思うんだが。
ついでにと言っては…成功したら僕を人間に転生しやすくしてくれまいか?」
死神は了承した。
さて、彼の絵本も最終ページに達した。
彼はページの真ん中に2匹のウサギの切り絵を置き、時を待った。
吐血して絶命する瞬間を。
かくして、最後のページは闇に浮かぶ2匹のウサギで完結されたのだ。
彼は絶命の前に、絵本を楽しみにしていた子供を家に呼んでいた。
それを見た子供が、彼の血による病への感染を目論んだ彼だったが…
彼の死を知った子供の親により、絵本は彼を含む家ごと炎に包まれた。
さて、怒ったのは死神である。
規律を曲げて男の死を延長した挙句、予定していた子供の魂は得られず。
死神は激怒し、男の魂を永久に地獄に留めたのだった。
と言うわけじゃ。