★★ウミガメのスープ★★459杯目 桃色の葬儀屋味
【解説】
男は3歳の娘・りんを連れていつもの散歩道を歩いていた。
ある日娘がふと立ち止まって「この場所、懐かしいでしょ」と語りかけてきた。
確かに週末にしか来ないが、子供には「懐かしい」になるんだ……w
男は微笑ましく思い、しゃがんで娘の笑顔を覗き込んだ。
すると娘は「ねえ、修治さん?」と呼びかける。
修治さん?修治って誰だ?保育園の友達か?
不審そうな父親の反応に構わず、娘は続けてこう言った。
「前は心中しても離されて悲しかった……今度は離さないわよ、修治さん」
男がふと目を上げるとそこは石碑の前。
そうだ、ここは心中事件があったことで有名な場所だった。
そこに書いてある名前は、娘が口にした人物の名前だと気付き、男は凍りつく。
しかし、まだ3歳の娘がそんなことを知っているはずがあろうか。
お前は誰だ?!そして、そしてお前は俺を一体誰だと言いたいんだ?!
「――お前は、お前はりんちゃんだよな?」
父親がやっと口にした問いに、娘はこう答えた。
「何を言ってるの?修治さん。私は富栄よ…今度はずっと一緒よ」