もし江戸時代にオカルト板があったら?

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69本当にあった怖い名無し
他板ヨリ導かれて訪ひ候。

一昨月望日旅先にて偶かさる御仁に出会ひ候。
身なり賎しからざれども体調悪しき様子にて路傍に倒れ居て喘鳴甚だしき処、追い剥ぎにでも狙われてはと支えつ手持ちの水を与へたれば、曰く、

出雲より来たりてかかるより京に上り、世に仇為す輩をばこの筐を以て云々と。
言の解しざる所多く聞くともなく介抱し候はバ、果たして負いし荷より怪しき筐を取り差し出だし、

手違いにて吾は先長からず、斯く成は縁を得たる貴殿(吾れ也)に此れを託す故、京の何処の某に手渡されたい由何卒希ふと。

某の名の聞き得ざるを問へば筐を指さし、その名を「はつかい」と云ふと告げるばかり。
気を失ひしを人を呼びて寺まで運びしが日を経るも一向に醒めず終に落命も間近と見え候。

我ながら薄情と思へども寺に託し、預かりし筐の件も気に留め、復び旅路を急ぎ経候也。

然れども京の広きこと些かならず、名も判ぜぬ人捜しなど埒の開かざる愚行と半ば諦めし折り、
人伝てに聞きし此板の諸賢なれば、係る「はつかい」なる筐の由来など知らざるところ無からざらむと思ひ候。
或いは京の某の消息之自ら収まる先判ずべしと、僅かとも手掛かりを得んとぞ願いて訪ひ、乞い尋ね申し候モノ也。

何卒諸賢の御見識御報告御助力を頂くこと能ふれば是望外の幸ト伏して御礼申し上げ候也。

不尚、体調の甚く勝れざれバ取り急ぎ書きし故の行改メ等御判読に不都合在るは何卒御容赦下されたく重ね御願ひ候。