束縛をとかれた指が突き出され、ひじはそれを天に向けようとする。
起き上がるべく、ひざを持ち上げ、踏ん張ろうとする足からは力が
抜け、中ほどで折れたまま、太ももだけが直立する。
時に、喉から音がする。
そのどれかが、彼がこの世に残す最後の声。
腹の中は、地獄の釜さながらだろう。
ふくれ、破れ、縮み、あるいは破裂を繰り返しながら火となり、
温度の塊となり、不意に消えてしまう。
歯がむき出しになり、耐えかねた骨の表面が薄く弾け、撒き散らされる。
彼の経験も、技術も、暴力的なこの炎の前に、ただただ消え行く。
彼に触れる太い箸。
壷に入れられ、一部は小さなガラスの瓶へ押し込められる。
ほんの少しだけの彼を残し、儀式は終わる。
やがて温度は下がる。
彼に触れるのは、優しい指だろうか。
風が撒き散らした彼の上を、登山靴が行く。
彼はそれを感じない。
ポエマーだな
934 :
:2005/07/16(土) 13:47:01 ID:tUN3nOl/0
全裸隊ドノ、やってくれますなー!
拍手!!
935 :
本当にあった怖い名無し:2005/07/16(土) 14:28:03 ID:9d70jjOg0
936 :
本当にあった怖い名無し:2005/07/16(土) 16:17:15 ID:i2UdiJ2yo
だから全裸は基地外だと
937 :
本当にあった怖い名無し:2005/07/16(土) 17:10:10 ID:+lyvuDeo0
最近、大切な友人を亡くしたのではないかと私は推測する。
うむ。ポエマーだ。
装飾過多で、いまいち。
怖くないしな。
描写が自然葬?みたいだね。
前の謎掛け式みたいになってないかな、と一瞬思ってしまふ。
怖いと言うよりグロ。やめてほしい
>>939 ああした仕掛けは、今のところ、あれっきりだ。
ま、読んだままということで・・・
942 :
本当にあった怖い名無し:2005/07/16(土) 22:32:48 ID:9d70jjOg0
>ま、読んだままということで・・・
つまり、つまらない話てこと?
943 :
正義のために:2005/07/16(土) 22:34:18 ID:8mctCd190
以下を1時間以内に別の板の掲示板にコピペしないと、このレスを見たあなたは不幸になります。↓
島 田 紳 助 を 殺 せ。
>>912 >〜気に入らないから見る〜
こういうのはアニヲタに多いね。
○○糞だとか××は作画がダメとか、ギャンギャン言いながら結局見てるんだよね。
ギャンギャン二回言われても、あれはプロトタイプだぞ・・・
>945
だいぶ前に、とある書物で目にした言葉。
「『好き』の反対は『嫌い』ではない。『好き』の反対は『無関心』」
「嫌い」なのに粘着するor顛末が気になってしょうがない…っていうのは
ゆがんだ愛情表現の一つなのかもね。
950 :
本当にあった怖い名無し:2005/07/17(日) 06:02:14 ID:p49i32qk0
>>949『好き』の反対は『無関心』
→マザー・テレサじゃなかったかな?
キリスト教関係のひとはよくつかいますね。キリスト教の解説書でも読んだことがあるような。
確か曾野綾子なんかが30年以上前に書いた「誰のために愛するか」だかなんかにもそんなせりふがあったような
もう少し激しい言い方だと「暑くもなく、冷たくもない。そういうあなた方を、ワタシははき出す」とかいうような一説が福音書にあったような気がします。
まああと心理学でも。
30年以上前の岩波新書に宮城音弥センセの「愛と憎しみ」だったかな、それにもそんなことばがあったような。
ネンチャクンヲ分析中!
ヨハネ黙示録だったかな。
私はあなたが熱いか冷たいかを望む
しかしあなたは熱くも冷たくもなく、なまぬるい
それだから私はあなたを私の口から吐き出す
ってやつだよね。内容もいいけど
either hot or cold
neither hot nor cold
の構文が面白かったと記憶している。
訂正
吐き出す→吐き出そう
going toだから
ヨハネ黙示録3章
で、怖い話は?
コメイチゴ
N.Wさん乙です
変なの沸いてるけど気にしないでこれからもいろいろ話を書いてくださいな
沢から帰った友人の土産は、20枚ほどの写真だった。
俺も良く知る沢で、沢の岩壁や、石が転がる斜面など、沢に入ってからの
ポイントを順番に撮影したものだったが、この友人、そんな写真を
いちいち撮影するような男ではない。
拾ったカメラに入っていたフィルムを現像したものだという。
その季節特有の彩りで沢筋が写真に焼き付けられ、写真を
めくるごとに、沢の奥へと俺の意識は進む。
大きな滝を見上げる写真。
滝が巻き上げるしぶきのせいか、写真が少し煙っているように白い。
自然のままの、力強い滝の姿があった。
そして、次の写真で終わりだった。
滝を登りきった所から、滝壷を見下ろすアングル。
ザイルがまっすぐ下に伸び、先端は地面に触れ、折れ曲がっている。
途中にはナイロンロープとアルミの踏み板で作られた、あぶみが
取り付けられている。
地面で折れ曲がるザイルの横には、人の姿。
水際、横向きになり、くの字に曲げた身体で、肩から上だけが
上を向いている。
「悪ふざけだろうけど、気味悪いよな」
と、友人。
ふざけてるのは、お前だろうと思い、苦笑した。
倒れているのは、他ならぬ、その友人なのだ。
「しょうがねえな」
「でも、少し怖かったろ」
ばれたか、という顔で屈託無く、友人は笑う。
顔が見えるようにしたのも、わざとばれるように考えたのだろう。
ところで、写真の下端ぎりぎり、滝の最上部を掴む白い手がある。
当日、友人は二人連れ。
写真は、供養をしてくれる寺へ、俺が持ち込んだ。
961 :
本当にあった怖い名無し:2005/07/17(日) 23:23:19 ID:SjfwSRRP0
>>960 恐い話でも何でもないじゃん。
おまい、確信的にやってるだろ?
3人(?)目が居た(存在していた)って言う、考えオチだろ。
坊の季節だなー。
>地面で折れ曲がるザイルの横には、人の姿。
>水際、横向きになり、くの字に曲げた身体で、肩から上だけが
>上を向いている。
どういう状況か、わからない。
地面に倒れている状態ってことかな?
>>967 まあ手っ取り早く言えばそういうこと。
確かに全裸さんの文章は、ちと装飾に走りすぎる傾向があるな…。嫌いな人はそこが嫌いなんだろう。
でも、一定水準のものを提供「し続ける」のをプロと呼ぶのならば、全裸さんはプロかも知れない。
今回も乙です。
>>968 まあ一流のバッターでも6割強はダメなわけだし。
まったく君はネガティブレインボウだな
携帯のカメラのシャッター音を消す裏技(注:悪用厳禁)
@通話ボタンを1回押す
A1を1回押す
B再度1を1回押す
C0を1回押す
D10秒ほど放置
これでシャッター音が消えます。
携帯の電源落とすと元に戻ります。
としあきよためしてみれ。俺はやったがまじで消えた
誤爆です…orz
>>971 随分古いネタだな〜( ゚д゚)ポカーン
これ通報対象になるよな
無用ないたずら電話を騙してさせようとしてるんだから
警察の業務妨害になるし
そうだな
最近おれ通報マシーンになってるので
脚色して04HtbT1n0を通報しておくぽ
976 :
N.W:2005/07/19(火) 07:10:07 ID:bt1vmWLc0
おはようございます。
あー、1週間の出張は長かったよ〜。
山怖ものぞけなかったし、別の意味で恐かったし…
全裸隊サマ、乙です。
いろんな意見出てますけど、俺はやっぱりあなたはスゴイ人だなと思います。
読むたび感動してます、本当に。
それから、俺の話面白がってくれてる人たち、どうもありがとう。
長話ばっかでゴメンね。
俺、すっきりした文章書きたいけど、上手く書けなくて…
他の人のもみんな味があって面白怖いですねぇ。
この後も、楽しみです。
では、今日も一つ、行きますか。
977 :
N.W:2005/07/19(火) 07:10:41 ID:bt1vmWLc0
今は昔。
頃は夏。信州・霧ガ峰でのこと。
俺が初めてバイクで信州を走ったのは、桃色(高坊)2年の7月の終わり。
まだ青色(中坊)でチャリダーだった頃から出入りしていたバイクショップの常連、
和泉のあねさんに連れられての事だ。
暗闇の中、ただ単騎でまっしぐらに、何のためらいもなく突き進んで行くこの人を、
みんなは『Night Witch』と呼ぶ。それが気に入らなくて突っ掛かって
行く人たちもいるが、和泉さんは全く相手にしない。いつか梶が言ってたっけ、
「相手の強大さにビビって騒ぐヤツはただの雑魚、相手の格が判らねぇヤツはカス
以下だ」って。正論だ。だから、俺は和泉さんを“あねさん”と呼ぶ。
「無理するな。ダメだと思ったらいつでもペースを落とせ。合わせてやるから」
それだけ言って、午前0時、あねさんは走り出した。俺はその後を追う。
あねさんは能書きを垂れない。ただ、俺にその背中を見せるだけ。この人はどんな
道であっても、なまじの男より大胆に、豪快にラインを決める。必死で食いついて
走っていくうちに、俺にも少しづつ走り方が飲み込めて来る。
国道19号線──そう、木曽路を塩尻に向かって突っ走りながら、俺はあねさんに
改めて惚れ直した。
978 :
N.W:2005/07/19(火) 07:11:40 ID:bt1vmWLc0
松本へ入る頃、急に気温が下がり、辺りの空気がキンと引き締まる。夜明けが近い。
浅間温泉の脇から武石峠を通り、美ヶ原高原を目指す。灰色の空が段々白んで行き、
やがて浅葱色に染まる頃、名だたる山々が光と影をまといながら姿を現して来る。
俺たちが走るのはその間のなだらかな高原。朝露にぬれた深緑の葉と、やや黄色の
勝ったニッコウキスゲの橙色の花々。時折混ざる赤紫色はたぶんアザミ。聞こえる
ものはただ俺たちのエグゾースト。俺たちバイク乗りが求めてやまないのは一瞬の
感動だが、ここではそれが連続して押し寄せてくる。
太陽がすっかり昇ってしまい、他の車がぽつぽつ上がって来るようになった頃、
俺たちは霧ヶ峰のパーキングにバイクを止めた。缶コーヒーを飲んでしばし休憩。
疲れたか?とあねさんが聞く。いいえと答えたがウソ。本当はヘロヘロで、立って
いるのもやっと。腰から下が他人の物のようだ。24時間あれば北海道や九州まで
かっ飛んで行くあねさんにすれば、こんなもの朝飯前の鼻歌だろうけど。
夜走りはもう嫌か?と聞かれ、いいえと答えたが、これは本当。
「しんどいけど、なんだか楽しくて…もしかしたら俺、夜走るほうが好きかも」
「そうか」あねさんが少し笑った。「なら、おまえ、二つ名は“夜風”を名乗れ」
驚いた。二つ名なんてものは実力のある人が持つ称号。俺のような、走り出して
まだ半年にもならない小僧が持って良いものじゃない。
「先代の“夜風”から預かってた。私の眼鏡に適うヤツに譲ってくれってね。
おまえが夜走りが嫌いなら止めておこうと思ったけど、好きならちょうどいい」
嬉しかった。名前を持てる事より、あねさんに認めて貰えた事がすごく嬉しかった。
煙草を吸って気分を落ち着けたかったが、煙草が大嫌いなあねさんの前ではマズイ。
知らずに一度、目の前で吸い付けて拳骨を食らった事がある。16歳が煙草を吸う
のも問題だろうが、こう言う時こそ一服欲しい訳で、トイレ行って吸って来ようか
と考えながら、辺りを見回した俺の目に変なものが映った。
979 :
N.W:2005/07/19(火) 07:17:32 ID:bt1vmWLc0
白い何かが、ふらりふらりと漂うように飛んでいる。コンビニの袋かと思ったが、
よく見るとミヤマアゲハのような形をしており、蚕のように真っ白なそれの、翅の
上端だけが真紅に彩られている。大人の目の高さ辺りを、右へ左へふらつきながら、
その大きな変わった蝶はこちらの方へやって来る。
ふっと日が翳った。翳りは瞬間に曇りになり、足元からシューシュー音を立てて
霧が湧いてくる。そりゃあここは霧ヶ峰、濃霧多発地域で昔その為に遭難した人も
いると聞いたが、こんなに唐突に霧が出るのはちょっとおかしい。それも濃い。
あねさんが眉をひそめたその前を、白いアゲハモドキが通り過ぎた。
「しゃがめ!私が良いと言うまで、絶対に顔を上げるな!」
突然肩を押さえられ、訳が解らないまま、俺はあねさんの言葉に従った。
どこからか、生ゴミの腐ったような臭いが漂って来る。それがだんだん強くなる
と同時に、疲れ果てたような複数の足音が向こうの方から聞こえて来た。
ざっしゃ… ざっしゃ… ざっしゃ…
周りはアスファルト舗装のはずなのに、小石交じりの地面を歩いているような音だ。
全然デリケートでない俺が吐きそうになった程強烈な腐敗臭と、足音だけで姿の見え
ない面々はのろのろと俺たちの前を通り過ぎ、やがてどこかへ行ってしまった。
もういいぞ。あねさんの言葉と同時ぐらいに霧が晴れ始め、あっという間に元通りの
好天に戻る。
980 :
N.W:2005/07/19(火) 07:21:26 ID:bt1vmWLc0
醜態を晒さずに済んでほっとしながら、俺はあねさんに尋ねた。
「今の、なんだったんですか?」
「“さばえ”だよ。所によっては“みさき”とも言うな。目を合わせたら命がない」
「じゃ、その前に飛んでたあの蝶みたいなのは?」
あねさんが目を丸くした。「見たのか、おまえ?」
はいと答えると、あねさんは天に向かって溜息を一つ。な、なんか悪い事か?
「…話には聞いた、“さばえ”の前触れに蝶のような“のはく”が飛ぶと。でも、
それは普通の者には見えない」
「み、見えないって、見ちゃいました、俺」
「私は“さばえ”は見たが“のはく”は見てない。気配の違うヤツだとは思ってたが、
霊感ゼロのくせに、どうしてそう言うモノを見るかな?」
信じられない、というようにあねさんは2・3度頭を振り、
「まあいい。それよりどっかで何か食べよう。お腹が空いた」
そして、俺たちは再びバイクに跨り、ビーナスラインを走り始めた。
以来、和泉のあねさんは時々、俺の事を“妖怪小僧”と呼ぶ。
俺は至って普通の人間なんだが…
N.Wさん、乙です。
数々の怪異と遭遇していながら、
霊感なしとは意外ですね〜