不可解な体験・謎な話 〜enigma〜 PART 26
子供の頃、母親のこぐ自転車の後ろに乗って、近くの海岸に行った。
夕焼けがきれいだった。すっかり暗くなった帰り道、ふとみると道の塀のところに
ポツンとおかれたお地蔵様の目が、真っ赤に光り輝いている。
「おかあさーん、お地蔵様の目が光ってるよ」というと「それはね、海で死んだ人の霊が」
悪いことしないように、見張っているんだよ」と教えてくれた。
・・・数年後、ふと思い出して母にそのことを話すと「知らない。そんなこと言ってない」との答え。
確かに母は、霊の話などが大嫌いな人だ。それに、よく思い出してみると
あのときの声は、あきらかに母のものではない、ドスのきいた男の声だった・・
俺は今でもそのお地蔵様の前を通るときには、手を合わせるようにしている。