373 :
カナコちゃん1:
友人のNから聞いた話です。
Nは大きくて古い団地に住んでいたのですが、小さい頃に同じ団地だった子でカナコちゃんという友達がいたそうです。
カナコちゃんちとNの家は何件か離れていましたが同じ階なので、カナコちゃんの家に良く遊びに行ったそうです。
カナコちゃんちの居間の壁にはお面が飾ってあり、見たところ地方へ旅行した際に旅の雰囲気に酔って買ってしまった類の様で、
他の置物と一緒に飾ったまま忘れ去られ放置されている感じだったそうです。
しかしNはそのお面がとても怖くて、カナコちゃんはよくあんな怖いお面のある家に住めるなーと思っていたそうです。
カナコちゃんもそのお面をとても怖がっていたそうです。
それはカナコちゃんが直接Nに、お面が怖い と言ったのではなくカナコちゃんがそう言っているところを見たそうです。
374 :
カナコちゃん2:04/12/08 17:45:53 ID:I56WidZ/
それは、ある夏の日だったそうです。
カナコちゃんちには冷房がなかったため、風の通りを良くする為、玄関のドアにカマボコの板を挟み少しだけドアを開けていたそうです。
Nがカナコちゃんの家の前をを通った時に、玄関の隙間からチラッとカナコちゃんが立っている姿が見えたので話しかけようとしたら、
家の中からカナコちゃんのお母さんが「ちょっと!なにボーッとしてんのっ!そこをどいてよっ!通れないじゃない」と怒っている声が聞こえて、
続いてカナコちゃんが泣きながら「・・グスン・グスン・・お面の人・・怖いの・・」と言っていたため、
なんかマズイとこ見ちゃったなーと思ったNはその場を足早に通りすぎたそうです。
しかしNはその時に何か疑問を感じたそうです。
その日以外でも内容は聞こえなかったそうですが、たまに玄関でカナコちゃんの泣き声とお母さんの怒鳴り声を聞いたことがあったそうです。
375 :
カナコちゃん3:04/12/08 17:47:27 ID:I56WidZ/
ある日Nがカナコちゃんと外へ遊びに行くためカナコちゃんちへ迎えに行ったときのことです。
カナコちゃんが家の中で鍵か何かを探していたため、Nは玄関に入って待っていたそうです。
かなり狭い間取りなので玄関からは居間まで丸見えだそうです。
昼間でも日当たりが悪いために家の中は薄暗く、その日カナコちゃんのお母さんは家に居なかったそうです。
376 :
カナコちゃん4:04/12/08 17:53:43 ID:I56WidZ/
Nが、ふと居間にある例のお面を見ると、お面に何か黒い物が被っていて揺れているなーと思ったそうです。
ジーっと見てみると、それは長い髪の毛だったそうです。
サッシから吹く風に髪の毛が揺れていてまるでお面から生えた髪の毛のようだったそうです。
Nは、目がそらせなくなりジーっと見ていると、また髪が風に揺れてお面の顔が現れた時・・・。
お面の目がゆっくりとNの方を見て、口角がゆっくりと上がり、ニターっと笑ったそうです。
その時Nは周りの景色が見えなくなり、音も聞こえず、ただ暗闇でNとお面だけが目を合わせていたそうです。
そしてお面は徐々にNの方へと顔の向きを変えて、正面にNと向かい合ったそうです。
Nはこの後まさかお面が近づいてくるんじゃ!っと思ったそうです。
Nは身動きが取れず、自分がカナコちゃんちの玄関に立っていることも忘れてただ恐怖を感じていたそうです。
お面は案の定、徐々にNへと近づいてきて、なぜか近づく度に少しづつお面の顔から人間の顔に変わったそうです。
お面はどんどん距離を縮めてきて、肌の質感なども見て取れる距離にきたそうです。
Nはもうダメだと思い、お面が目前に迫るのを見ていたその時「ちょっと!」っと声がしたそうです。
ハッと気付くとカナコちゃんがNの足元で窮屈そうに靴を履いていて
「なにボーッとしてんの!そこをどいてよっ!通れないじゃない!」と言っていたそうです。
Nは夢が覚めたように現実に戻ったそうです。恐怖で足がガクガクして涙をポロポロ流して泣いていたそうです。
その時にカナコちゃんは、ぴくっと動きを止め、Nの顔を見たそうです。
カナコちゃんは自分が母親と同じことを言っていたことに気付き、そしてNに何が起きたか察したみたいだったそうです。
そしてNは疑問が解けたそうです。
どうしてカナコちゃんが泣いていたあの時‘お面が怖い’と言わずに‘お面の人が怖い’と言っていたのかを。