以前住んでた家がよく出た。正確には「出たっぽい」。
私は見えるタイプではなく、気配を感じ、音や声が聞こえる程度なので、姿は見たことがなかった。
でも私以外誰もいない家の階下を歩く音なんかはしょっちゅう聞いてた。
慣れっこになってたから特に怖くもなかった。
ただ、家を外から見ると、自宅含めた一帯がなんとなく落ち窪んでいるというか、
陰があるというか昼なのに暗いというか、とにかく不思議な印象だった。
妙な現象は仕方ないとしても、その陰がどこからくるのかは知りたかった。
そこら一帯が大病院の跡地に作られた住宅地だと知ったのは、随分先のことだった。
県外から引っ越してきたし、当時はまだ子供だったので全然知らなかった。
だからか〜!と納得できて、少し嬉しかった記憶がある。
一角にある花壇(家と家の間にぽっかりとある)の謎も解けた。
今はもうそこからも引っ越し、何の現象も起きない穏やかな土地に住んでるんだけど、
たまにそこを訪れてみると、やっぱり落ち窪んでるんだよなあ。
でも霊より何より、地面をちょっと掘り返すとゴロゴロ出てきた(らしい)
薬の瓶や注射器を何とかしろと思った。