おかるちわ!

このエントリーをはてなブックマークに追加
18しゃこマン ◆JEhW0nJ.FE
では

そろそろ本題に入る事にしよう。少し長くなるかもしれないが、ご容赦願いたい。
長くなろうがどうなろうが、吐き出さなければならない話であり、
それに足る物語であると信じてここに筆を取る。

1986年の事だ。
実名を出さねば意味がない話なので記述するが、大阪の千里丘、山田第2小学校での私の体験談になる。
もしこのスレに私の同級生が目を通すとすれば、「SOS」という言葉が懐かしく感じられるだろう。

当時、山田第2小学校では児童の間である怪談が流行していた。
「SOS]という名前の幽霊が旧校舎に出没するという話だ。
19しゃこマン ◆JEhW0nJ.FE :04/08/10 04:05 ID:9r/fpvQJ
いや、正確には「出没し続けていた」というべきか。
SOSは誰の目にも見えた。

新校舎にコの字に囲まれる形の木造旧校舎。
その東側二階の曇りガラスの向こうに、それはいた。
窓辺でうつむく女。髪の長い女の顔。

それはいつでも、誰にでも、はっきりと見えた。
「SOS」と呼ばれる「幽霊」。

その正体は他愛のないもので、卒業生の誰かが残した良く出来た絵だった。
旧校舎の美術準備室の窓際に置かれた額の中の絵。
曇りガラス越しし、それは憂鬱そうに中庭を見下ろし続けるように映っていた。
20しゃこマン ◆JEhW0nJ.FE :04/08/10 04:08 ID:9r/fpvQJ

その夏。
私とMとKの三人は夏休み中の学校を訪れ、グラウンドの小山で遊んでいた。
夕方には少し早いと思える時間帯だったと記憶している。
遊びつかれて私たちは小山の上に座って話し込んでいたが、Mが突然
「SOS見に行こうぜ」と言い出した。
当時の山田第2小学校の生徒にとっては、それはありきたりの遊びの一つに過ぎなかったのだ。
私たちは夕暮れの始まるグラウンドを横切り、
中庭へと向かった。
21本当にあった怖い名無し:04/08/10 04:09 ID:+AUEXdfk
それがふかわりょうなわけだ、
だな?
22しゃこマン ◆JEhW0nJ.FE :04/08/10 04:12 ID:9r/fpvQJ
(児童の言葉使いを上手く再現できる自信がないし、会話の詳細を覚えている訳でもないし、
以後の会話は意訳とさせて頂きたい)


「おい!!あれ!!」
中庭に着いてすぐに、Mが叫んだ。
叫ばれるまでもなく、それを見つけて私とKの顔はすでに凍りついていた。

SOSが動いていた。

曇りガラスの向こう、SOSが動いている。
人が額を動かしているのではないと、はっきりと分かる。
SOSの顔が、はっきりと動いている。

私たちは突然の状況に凍りついた。
23しゃこマン ◆JEhW0nJ.FE :04/08/10 04:16 ID:9r/fpvQJ
「わっ!」
私たちは叫んだ。打ち明けるが、私は(おそらくMとKも)ここまでは遊びの延長上のつもりだった。
だが次の瞬間、私たちは心底の恐怖を味わう事になる。

SOSの顔が曇りガラスの向こう、カッとこちらを向いた。
そして顔がサッと消えたかと思うと、無人のはずの旧校舎の美術準備室から
ガララッ!!という、戸を開ける音が響いた。

「SOSがこっちに来るんじゃないの?」
無意識に誰かが(あるいは私だったか)口にした言葉の意味が、
恐怖となって私たちを貫く。
同時に、目と鼻の先の階段を、妙に静かに下りてくる気配が伝わってきた。
24しゃこマン ◆JEhW0nJ.FE :04/08/10 04:24 ID:9r/fpvQJ
「うわーーーーーーー」
私たち三人は必死に走って校庭へと走る。
校庭には学校裏の商店街に出られる裏口があり、夏休みはそこが開放してあったのだ。
その出口へ向かって、私たち三人は必死で走った。

そして出口にたどり着いた時、私は振り返り、見た。
中庭へ続く校舎横の通路からこちらを見つめる女の姿を。
私は見た。奇妙に歪んだ、鳥を思わせるその女の体を。
女は「ユウスケサン!!ユウスケサン!!」と二回叫び、サッと身を翻して消えた。
オウムを思わせる声が、私をそこから逃げ出させた。

私の名前はユウスケだと明かすが、今もってあの女が私の名前を知っていた事が
私の心から一片の影を晴らさせない。
狂おしきSOSはまだあそこに居るのか?
大阪府 千里丘、山田第2小学校をご存知の方はいるだろうか。
SOSを知らないだろうか。